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スポーツトレーニング教育研究センター 平成17年度の研究内容とその
スポーツトレーニング教育研究センター か 氏 名 が や よし のり 加賀谷 善 教(講師) 専門分野 主な研究テーマ ⃝三次元剛体モデルを用いた膝回旋機能に関する研究 ○ディサービスにおける介護予防筋力向上トレーニング の効果に関する研究 平成17年度の研究内容とその成果 の可能性が高くなると考えられている。 ○三次元剛体モデルを用いた膝回旋機能に 我々は、これらの運動様式を明確にする 関する研究 ため、健常成人やACL再建術後患者を対象 私が主な研究テーマとして取り組んでい に、三次元剛体モデルを用いて、①スク るのは、 「スポーツ外傷の予防と対策」であ ワッティング、②膝外反動作、③膝内反動 る。その中でも、発生頻度が高く復帰まで 作、④着地動作時の下腿回旋運動を解析 に9ヶ月を要する膝前十字靭帯(ACL)損 し、膝関節の回旋機能を検討してきた。平 傷に注目し、各種動作時に大腿に対して下 成17年度の研究では、臨床的に用いている 腿がどのような動きを呈するかについて分 テーピングの効果について同様の手法を用 析している。一般的にACL損傷は、バレー いて解析した。一般的に、Knee in-toe out ボールやバスケットボールの着地時や方向 を制動するためには足先に対して膝が外に 転換動作で、膝が外反・外旋することで起 出るようなKnee out-toe inの肢位を保ち、 こると言われている(図1)。しかし、MRI を用いた研究やバイオメカニカルな分析か らは、下腿外旋による損傷は考えられず、 受傷機転が一致しないという矛盾も存在す る。 図 1 は 左 膝 の 外 反・外 旋 位 を 示 す。 Knee in-toe out と も 呼 ば れ て い る。ACL 損傷の受傷機転だけでなく、膝内側に伸張 ストレスが加わるため、膝内側側副靭帯損 傷、鵞足炎等のケガも引き起こす。運動時 にKnee in-toe out になりやすい人は、膝と 足先の方向が真直ぐの人に比べると、ケガ −1 9 6 − 1 5− − 図1.膝の外反・外旋 膝外旋を制動する内側スパイラルテープを からすると週2回の頻度でなければ効果は 用いる。今回の実験では、内側スパイラル ないと考えられている。平成18年度からの テープを用いることで、下腿が内旋方向へ 介護保険改正の関係もあり、今後は、週1 変位することが実証された。 回の筋力向上トレーニングでどの程度の改 ○ディサービスにおける介護予防筋力向上 善が認められるかを調査したい。 トレーニングの効果に関する研究 本研究は、要介護1から要支援のディ サービス利用者10名を対象とし、筋力向上 トレーニングの介入効果を調査した。ト レーニング前後の評価項目は、最大歩行速 度、握力、ファンクショナルリーチ、長座 位体前屈、開眼片脚立ち、Timed up & Go (TUG)、下肢伸展筋力の7項目とした。 週2回3ヶ月間の筋力向上トレーニングに よって、有意な向上が認められたのは最大 歩行速度、握力、ファンクショナルリーチ、 下肢伸展筋力の4項目であった。従って、 高齢者に対する筋力向上トレーニングは、 歩行速度、筋力、動的バランスの向上が期 待できる。 これからの研究の展望 平成17年度の研究成果から、我々が臨床 的に多用しているテーピングの効果につい ての知見が得られた。しかし、ACL損傷の 予防を考慮した場合、Knee in-toe outが生 じないような予防トレーニングの効果を研 究していく必要がある。今後は、Knee intoe outを呈する要因を調査し、そこから予 防プログラムの構築に向けて研究を進めて いきたいと思う。 介護予防筋力向上トレーニングの介入効 果については、一般的なトレーニング理論 −1 9 7 − 1 6− −