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最大歩行速度と下肢筋力との関係について
北里大学医療衛生学部 リハビリテーション学科 三田 靖子 共同研究者 池田 泰明 指導教員 青木 主税 はじめに 歩行速度の規定要因 (伊藤ら;1990) 対象 健常者 年齢 身長 体重 バランス *下肢筋力* *下肢筋力の測定項目* ①膝伸展(伊藤ら;1990) ) ①膝伸展(伊藤ら; ②歩行の推進力として働く足底屈筋力 ③起居・移動に密接な関係を持つ足背屈筋力 (浅川ら;1997) ) (浅川ら; 目的 老人保健施設に入所及びデイケアを 利用する高齢者を対象として、歩行速 度と身体的要因特に下肢筋力との 関係について明らかにした。 対象 高齢女性21名 対象 高齢女性 名 歩行様式数 12 68歳から 95歳まで 10 8 6 平均年齢81.7歳 標準偏差±8.13 4 2 0 シルバーカー 杖歩行 独歩 方法1 対象者に、研究の承諾を得て、現病歴の有無 のアンケートを聴取後、測定機器を用い計測した。 ①身長 ②体重・Body ②体重・ Mass Index( (BMI) ) ③転倒頻度・転倒への恐れ感 ④開眼片足支持時間 ⑤足関節背屈・底屈・膝関節伸展筋力 ⑥10m最大歩行速度・歩行率・歩数 方法2 足関節筋力測定 安川電機製作の足関節 底屈・背屈筋力測定器 を用い、足関節底屈 30°~背屈 °~背屈15°の範囲 °~背屈 °の範囲 で角速度10゚ 秒で、 で角速度 ゚/秒で、 等速性収縮を、底背屈 0°で等尺性収縮を3回 0°で等尺性収縮を 回 測定。 測定 。 方法3 膝関節伸展筋力測定 アニマ社製作 ハンドヘルドダイナ モメータを使用し、 膝関節90°屈曲 位で等尺性筋力を 3回測定。 結果①機器の再現性 等尺底屈2 等尺底屈1 等尺底屈3 等尺底屈2 等尺底屈1 等尺底屈3 50 40 Y 変数 3試行間に高い相 関関係が見られた (P<0.0001)。 30 20 10 0 例 等尺性底屈 0 5 10 15 20 25 30 35 40 45 50 X 変数 等尺底屈1 = .315 + .939 等尺底屈3; R^2 = .942 等尺底屈2 = 1.001 + .905 等尺底屈1; R^2 = .934 等-尺底屈3 = -.1 + 1.086 等尺底屈2; R^2 = .967 結果②左右筋力の相関性 1.4 1.2 1 .8 .6 .4 .2 0 0 .2 .4 .6 .8 1 1.2 1.4 右等速性底屈トルク体重比 左等速性底屈トルク体重比 = .291 + .55 右等速性底屈トルク体重比; 右等速性底屈トルク体重比; R^2 = .362 左等尺性底屈トルク体重比 左等速性底屈トルク体重比 等速性・等尺性共に左右相関が見られる。 等速性(P<0.05) ) ) 等尺性(P<0.01) .9 .8 .7 .6 .5 .4 .3 .2 .1 0 0 .1 .2 .3 .4 .5 .6 .7 .8 右等尺性底屈トルク体重比 左等尺性底屈トルク体重比 = .094 + .793 右等尺性底屈トルク体重比; 右等尺性底屈トルク体重比; R^2 = .613 結果③歩行速度と各筋群の相関について 2 1.8 1.6 1.4 1.2 1 .8 .6 .4 .2 歩行速度 歩行速度 足底屈の相関が高い(P<0. )。次いで足背屈の 足底屈の相関が高い( .01)。 )。 次いで足背屈の 相関が高い(P<0.05) ) 相関が高い( 2 4 6 8 10 12 14 16 18 20 等尺性背屈 歩行速度 = .205 + .065 等尺性背屈; 等尺性背屈 R^2 = .387 2 1.8 1.6 1.4 1.2 1 .8 8 .6 6 .4 4 .2 2 5 10 15 20 25 30 35 40 45 等尺性底屈 歩行速度 = .263 + .033 等尺性底屈; 等尺性底屈 R^2 = .54 相関が見られたもの 相関が見られたもの 開眼片脚支持時間 (P<0.05) 0.05) 相関が見られなかったもの 年齢・身長・体重・転倒頻度 ・転倒への恐れ感・整形疾 患の有無 歩行速度 結果④歩行速度と関係のある他の因子について 2 1.8 1.6 1.4 1.2 1 .8 .6 .4 .2 -20 2 4 6 8 1012 101214 121416 141618 161820 1820 片脚立ち 歩行速度 = .642 + .034 片脚立ち; 片脚立ち R^2 = .256 考察①歩行速度と足底屈筋力との関係について 歩行速度と足底屈筋力 歩行速度と足底屈筋力に相関が 足底屈筋力に相関が 見られた。足底屈筋力が高いと、 • 歩行において蹴り出し力が強くなり、 .7 推進力が働くことで、歩幅が大きく 推進力が働くことで、歩幅が大きく .6 歩 .5 幅 なり、歩行速度も上がった 歩行速度も上がったのでは なり、 歩行速度も上がったのでは 歩 .4 ないかと考えられる。つまり、高齢 幅 .3 .2 5 10 15 20 25 30 35 40 者における歩行速度の減少が蹴り 等尺性底屈 だし期の足底屈筋力の減少に起 歩幅 = .259 + .01 因すると考えられた。よって、 等尺性底屈; 等尺性底屈 R^2 = .534 歩行能力の維持改善のための訓 練対象として、足底屈筋力が関係 すると示唆された。 45 考察②歩行速度と足背屈筋力との相関について 歩行速度と足背屈筋力に相関が見られた。足背屈 筋力が高いと、遊脚期に下垂を防ぐことで下腿を 高く持ち上げる必要がなくなり、立脚期への移行が スムーズになり、歩行速度が上がったのではない かと示唆される。 まとめ ・最大歩行速度の規定要因として、高齢者を対象 として、年齢・身長・体重・BMI・下肢筋力・10m 最大歩行速度・歩行率・歩数を測定した。 ・下肢筋力は、膝伸展・足底屈・足背屈ピークトル クを測定し、体重比を算出した。 ・最大歩行速度に相関が見られたものは、足底 屈ピークトルク・足背屈ピークトルク・片脚支持 時間であった。