Title 膝関節靭帯損傷 Author 松本, 秀男(Matsumoto, Hideo) Publisher
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Title 膝関節靭帯損傷 Author 松本, 秀男(Matsumoto, Hideo) Publisher
Title Author Publisher Jtitle Abstract Genre URL Powered by TCPDF (www.tcpdf.org) 膝関節靭帯損傷 松本, 秀男(Matsumoto, Hideo) 慶應医学会 慶應医学 (Journal of the Keio Medical Society). Vol.80, No.3 (2003. 9) ,p.77- 85 Journal Article http://koara.lib.keio.ac.jp/xoonips/modules/xoonips/detail.php?koara_id=AN00069296-20030900 -0077 慶 距 医 学 ・80(3):77∼85, 2003 座 講 膝関節靭帯損傷 慶晦義塾大学医学部整形外科学教室 まつ もと ひで お 松 本 秀 男 Key Word:knee joint, ligament, joint instability, conservative treatment, reconstruction 膝 関 節 の 安 定 性 は 極 め てTipで 概 念 あ る.膝 関 節 で は この 関 節 安 定 性 は主 と して 靭 帯 や関 節 色 、 関 節 周 囲 の筋 群 等 の 膝 関節 の運 動 範 囲 はtめ て 大 き く,屈 伸 運動 は 起 立 時 軟 部 支 持 組 織 に よ り確 保 さ れ て い る 匡 噌.特 の 完 全by展 位(0。)か 靭 帯(MCL),外 150。)に 及 ぷ.更 ら正 座 が で き る深 屈 曲 位(約 に,女 子,小 (ACL),後 児 な どで は正常 で も 20。程 度 の 過 仲 展 が 可 能 な こ と もあ る.ま 側 側 副 靭 帯(LCL),前 十 字 靭 帯(PCL)の4っ 安 定 性 に 不 可 欠 で あ る(第1図).従 た,屈 曲 位 で に内側側 副 十字靭帯 の 靭 帯 は膝 関 節 の って,こ れ らの膝 は脛 骨 の 骨 軸 を 中心 に回 転 す る回 旋 運 動 な どの よ り複 雑 関 節 靱 帯 が 損 傷 さ れ る と,そ の 種 類 や程 度 に よ り様 々 な な動 き も可 能 で あ る.こ の 様 に 大 きな 可 動 性 を 持 つ膝 関 関 節 不 安 定 性 が 惹 起 され る.本 稿 で は,こ の 膝 関 節 靭 帯 節 は.そ の 一 方 で起 立 や 歩行 に 伴 い 金 身 の 体 垂 を 支 え る の 機 能 解 剖 学 と靭 帯 損 傷 の 病 態 や診 断,治 必 要 が あ るた め,荷 重 に耐 え る十 分 な 安 定 性 も要 求 さ れ 解 説 す る. 療法 について る.特 に ス ポ ー ツ活 動 時 に は強 大 な 外 力 が 加 わ る た め, 灘 膝関節前面 膝関節後面 i7e 興 囎. 皿 懸 轟 謎 ・、 逗馨 郷1図 一 「 幽 . 、Grants Anat。myよ 膝 関 節 の 解 剖.(a):膝 側 副 靱帯,ACL:前 r・臨蚤ゆ1 Ca 関 節 前 而,(b):膝 十 字 靱 帯, PCL=後 十 字w帯.文 一77一 関節 後 面.MCL 献3を 改 変. り引 用 l内 側 側 副 靱 帯. LCし:外 側 慶癒 医.; 80巻3号(平b覧 且5卑9月) 膝関節靱帯損傷の症状 膝関節靭帯の解剖と機能 1.内 L 急 姓 期 の症 状 側 側 副 靭 帯(MCL) 大 腿 骨 内 側 上穎 か ら脛骨 内 側 部 の驚 足(屈 筋 腱 付 着 部) 膝 関 節 靱 帯 損 傷 は スポ ー ツ外 傷,交 通 耶 故,商 所 よ り の 下 に 付 着 す る 薄 く幅 を も った靭 帯 で 膝 関 節 の 内 側 を這 の 落下 な ど,様 々 な原 因 で生 じ得 るが,ス う様 に 走 行 す る,膝 関節 に外 反 力 が 加 わ る と緊 張 し,こ は単 独 の靱 帯 損 傷 が 多 く,交 通 事 故 で は加 わ る外 力 が大 れ を制 御 す る.ま た,脛 骨 の やや 前 方 よ り に付 着 す るた き く複 雑 な た め,複 合靱 帯 損 傷 に な る こ とが 多 い.ど の め脛 骨 の 外 旋 に 対 す る制 御 機能 も有 す る.膝 関 節 伸 展 位 靱 帯 が ど の程 度 損 傷 す るか は,加 わ っ た外 力 の 方向 や強 で 最 も緊 張 が 強 く,屈 曲 位 で は や や 弛 緩 す る.ま さ,速 さ,受 傷時 の膝 関 節 の屈 曲 角 度 や 回 旋 角 度 な ど に MCLの た, 大 腿 骨 付 着 部 は糸 巻 状 の 構 造 を して お り,膝 関 節 を屈 曲 す る とMCLを ポ ー ツ外 傷 で よ って様 々で あ る.ま た,靱 帯 ば か りで は な く,骨 折 や 軟 骨 損iii,半 月 板損 傷 を合 併 す る こ と も しば しば あ る. 巻 き上 げ る 様 に動 くた め,膝 関 節 の ほ ぼ 全 可動 域 で あ る程 度 の緊 張 を 保 って い る.内 側 いず れ にせ よ,受 傷 後 の 急 性 期 に は 損 傷 部 位 か らの 出 血 半 月板 に も線 維 を送 り,内 側 半 月 板 の 制 動 に も関 与 して な ど に よ り腫 脹 が 強 く,終 痛 の た め に 歩 行 で きな く な る い る. こ と が 多 い.特 に膝 関 節 内 に 存 在 す るACLやPCLの 損 傷 で は関 節 腔 内 にffil(IIす る た め,通x,著 2.外 (関 節 内 出 血)と 側 側 副 靭 帯(LCL) し い腫 脹 そ れ に 伴 う強 い 疹 痛 を 認 め る.こ の 関 大腿 骨 外 側 上 穎 か ら腓 骨 頭 に大 腿 二 頭 筋 に 包 まれ るよ 節 内 出血 は受 傷 後2∼3時 うに付 着 す る細 い 筒状 の 靭帯 で大 腿 骨 お よ び 脛 骨 の 外 側 こ と もあ る.こ の 急 性 期 の腫 服 は通 常。 受 傷 後i∼2週 縁 とは や や離 れ て 走行 す る,膝 関 節 の 伸 展 位 で は 緊 張 が 経 っ と徐 々 に消 退 し,出1血 も吸 収 さ れ る.こ れ に 伴 って 強 く,内 反 お よ び外 旋 を制 御 す る.膝 関節 を屈 曲 す る と, fkliYもaspし,関 そ の 緊張 性 は 急 激 に低 下 す るが,あ 損 傷 した 靱 帯 が 修 復 され た 訳 で は な く,急 性 期 の 炎症 所 る程 度 の 内 反 や 外 旋 間 経 ってか ら徐 々 に出 現 す る 節 可 動 域 も改 善 す る.し か し,こ れ は に 対 す る 制 御 作 用 は す べ て の 可 動 域 で 認 め られ る, 見 が 鎮we化 したの で あ り, fairsした靱 帯 の 種 類 に よ り, MCLと 様 々 な関 節 不 安 定 性 が 残 る. 異 な り外 側 半 月 板 との線 維 性 の 連 続 は 極 め て 粗 で あ る. 2,内 3.前 側 側 副 靱 帯(MCL)損 傷 の症 状 膝 関節 靱 帯 損 傷 の 中 で 最 も頻度 が 高 く,膝 関節 を過 度 十 字 靭 帯(ACL) 膝 関 節 内 の 大 腿 骨外 側 穎 の内 壁 か ら関 節 の 中 心 を 前 方 に 外 反 す る力 が 加 わ る と損 陽 す る.ス:,a一 ッ中 に膝 が 身 に 向 か って 走 行 し,脛 骨 穎 間 部 前 方 に扇 状 に 付 着 す る靭 体 の 内 側 に 入 う た状 態 で 転 倒 した際 な ど に受 傷 す る こ と 帯 で あ る.伸 展 位 で は脛 骨 関節 面 と約30。 の 角 度 を も っ 多 い.特 に ス キ ー外 傷 で は下 腿 の回 旋 が ス キ ー仮 に よ っ て い るが,膝 て 制 限 され て い るた め,脛 骨 内旋 位 で 転 倒す ると,膝 が 関 節 を 屈 曲 す る と徐 々 に 後 方 に 倒 れ, 90。屈 曲 位 で は 脛 骨 関 節 面 とほ ぽ 平 行 に な る.前 内 側 線 固 定 され て逃 げ られ な い た め,MCL損 維 と 後 外 側 線 維 と呼 ば れ る 走 行 の 異 な る2つ 損 傷 部 付近 の 強 い 圧 痛 と腫脹 を認 め,膝 関 節 を外 反 強制 か ら な り,膝 関 節 の 屈 伸 に 儲 って2つ の線維 東 の線 維東間 の緊 す る と膝 関 節 内 側 のMCLに 傷 が 生 じ易 い. 沿 って落 痛 を訴 え る.大 腿 張 が 徐 々に 移 り変 わ る こと に よ り,す べ て の 迎 動 範 囲 で 骨 付 着 部 で の 揖 傷 が 多 く,そ の際 に は付 着 部 の瘍 痛 を訴 緊 張 す る.脛 骨 の 前方 変 位 お よ び内 旋 を制 御 す る. え る.通 常 は炎 症 の 鎮 静 化 に{半い圧 痛,外 反 時 痛 と もに 徐 々 に 軽 減 す るが,付 着 部 の圧 痛 は比 較 的 艮 期 に残 存 す 4,後.卜 字 靭 帯(PCL) る こ とが 多 い. 膝 関 節 内 の 大 腿 骨 内 側 穎 の内 壁 か ら脛 骨 穎 部 後 方 に付 MCLは 1す る靭 帯 で,大 腿骨 内 側 穎 の内 壁 を這 う様 に後 方 に向 い るた め,自 然 修 復 能 力 が高 く.経 時 的 に修 復 され 不安 か って 走 行 す る.ACLに の太 さを 有 して 定 性 が 改 善 す る症 例 もあ るが,最 終 的 に は あ る程 度 の外 い る,膝 関 節 の ほぼ 全 可 動 域 で緊 張 し,脛 骨 の後 方 変 位 反 不 安 定 性 が 残 存 す る症 例 が 多 い.自 覚 的 に は運 動 を す お よ び 内旋 を制 御 す る. る際 に 「膝 の 内 側 が カ ク カ ク開 くよ う な 不安 定 感 」 を訴 比 べ ほぼ2倍 周 囲 を 比 較 的 血 行 の よ い 軟 部 組 織 に囲 ま れ て え る.MCL損 1度 ∼m度 傷 に伴 う外 反 不 安 定 牲 は その 程度 に よ り に 分 類 され て い る,1度 はMCL付 着 部(通 常 は大 腿 骨 付 着 部)に 圧 痛 や腫 脹 を認 め るが 不 安 定 性 を _78_ 松本:膝 関節靭帯 損傷 認 め な い もの で,MCLの 5.後 部 分 断 裂 で あ る と考 え られ て 十 字 靱 帯(PCL)損 傷 の症 状 い る.∬ 度 は完 全 伸 展 位 で は 不 安 定 性 を 認 め な い が, 脛 骨 に過 度 の後 方 引 き出 し力 が 加 わ る こ と に よ り受 傷 300屈 曲 位 で は外 反 不 安 定 性 を 認 め る も の で,通 す る.ス ポ ー ツ活 動 中 の 受 傷 も しば しば 見 られ る が,半 MCL単 常の 独 損 傷 は これ に属 す る こ と が 多 い.皿 度 は完 全 数 以上 は交通 外 傷 で あ る.乗 用車 に乗 車 中 に追 突 し,ダ ッ 伸 展 位,300屈 曲 位 と も外 反 不 安 定 性 を 認 め る も の で, シ3t ACLやPCL損 傷 を 合 併 して い る璽 度 の損 傷 で あ る こ と ま れ て受 傷 す るdashboard injuryが 育 名 で あ る.交 通 が 多 い. 甥 故 が 多 い た め,様 々な 合 併 損 傷 に 沿i意す る必 要 が あ る. ACL損 3.外 側側 副 靱 帯(LCL)損 膝 関 節 靱 帯4本 LCL損 ドが 下 腿 の 中 枢 部 に あ た り脛 骨 が 後 方 に押 し込 傷の症状 の 中 で,そ 傷 と同 様,関 傷 後1∼2週 の損 傷 頻 度 が 最 も少 な い. 節 内 出 血 を 来 す こ と が 多 い が,受 間 で 鎮 静 化 す る.PCL旧 傷 に 伴 う関 節 不 安 定 憾 は,脛 骨 全 体 が 大 腿骨 に対 し後 方 に変 位 す る 後 方 不 傷 は膝 関 節 に 過 度 の 内 反 力 が 加 わ る と受 傷 す る 安 定 性 で あ る.徒 手 的 に 不安 定 性 が 大 きいわ り に は が,通 常 の ス:r:一ッ外 傷 で は 膝 関 節 に加 わ る 内 反 力 は股 ACL損 傷 に 比 べ,自 覚 的 に は不 安 定 感 を 訴 え る こ とが 関 節 が 内 旋 す る こ とに よ り逃 げ て しま うた めLCLの 損 少 な く,後 方 不 安 定 性 を 残 した ま ま ス ポ ー ツ活 動 を 継 続 傷 は起 こ りに くい.逆 に,比 較 的 多 い の が オ ー トバ イ 乗 して い る こ と も多 い.し か し,中 に は 階 段 昇 降 な ど で 不 車 中 の 交通 外 傷 で あ る.オ ー トバ イ は膝 関 節 の 内 側 に 大 安 定 感 を 訴 え る症 例 も存 在 す る.ACL損 傷 に比 べ,二 きな エ ン ジ ンが 存 在 す る ため,股 関 節 の 内転,内 旋 が制 次 的 な関 節 軟 骨 や 半 月 板 の 損 傷 頻 度,変 形性閲節症 への 限 され,こ の 状 態 で 転 倒 す る と膝 関 節 に 内反 力 が 加 わ り 移 行 頻 度 は低 い. や す い.い ず れ にせ よ,交 通 事 故 に よ る外 傷 は 重篤 な も の が 多 く,LCLが やPCL損 傷,更 靱帯損傷の診断 単 独 で 損 傷 さ れ る こ と は 稀 で, ACL に は様 々 な骨 折 な ど を 合 併 す る こ とが ぐ らを か くよ う 先 に述 べ た如 く,膝 関 節 靱 帯 損 傷 の 主 な症 状 は関 節 不 な 動 作 また は ス ポ ー ツ にお け る カ ッテ ィ ン グ動 作 時 に 関 安 定 性 で あ り,損 傷 靱 帯 の 組 み合 わ せ に よ って 様 々 なNL 節 の 不 安定 感 を訴 え る こ とが 多 い. 類 の不 安 定 性 が惹 起 され る.従 って 靭 帯 損 傷 の 診 断 に は 多 い.LCL損 傷 そ の もの の 症 状 は,あ M則 4.前 十字 靱帯(ACL)損 MCL損 傷の疲状 な どの 補 助 診 断 も有 効 で は あ るが,最 も基 本 と な る の は徒 手 検 査 に よ り不 安 定 性 を把 握 す る こ とで あ る. 傷 に次 い で頻 度 の高 い靱 帯 損 傷 で あ り,ス ポ ー ッ活 動 の 継続 に大 きな支 障 を来 す こ とが 多 い.脛 骨 に過 且。 外 反 不 安 定 性 度 の 前 方 引 き出 し力 が 加 わ っ た場 合,膝 膝 関 節 外 反 不 安 定 性 は膝 関 節 に 外 反 力 が 加 わ っ たaに れ た場 合 な ど に も受 傷 す る が,膝 関節 が 過 伸 展 さ 関 節 に過 度 の 回 旋 力 内 側関 節 裂 隙(す きま)が 開 大 す る よ うな 不 安 定 性 で あ (内 旋)が 加 わ って受 傷 す る こ とが 多 い と され て い る. る61,徒 手 検 査 は完 全 伸 展 位 と軽 度 屈 曲 位(20。 ∼30。) 従 って,ス で 行 う.完 全 伸 展 位 で はACLやPCL,関 ポー ツ外 傷 が圧 倒 的 に 多 く,ジ ャ ンプ の 着 地 時 な ど に 膝 を ひ ね った際 に受 傷 す る.ACLは 張 も高 くな る た め,MCL単 膝 関節内 節包 などの緊 独 損 傷 で は陽 性 とな り に く に存 在 す るた め,損 傷 す る と関 節 内 出 血 を 来 す こ とが 多 く,軽 度 屈 曲 位 で の み 認 め られ る こ と が 多 い.ACL損 いが,通 常 は受 傷 後1∼2週 間 で,腫 傷,PCL損 可 動 域 も改 善 す る.ACL損 傷 に 伴 う関 節 不 安 定 性 は, 服や琢痛 は軽減 し 傷,ま た はその両者 を合併 す ると外反 不安 定 性 は 極 め て 高 度 に な り,完 全 伸 展 位,軽 脛 骨 全 体 が 大 腿骨 に 対 し前方 に変 位 す る前 方 不 安 定 性 と 度屈曲位 とも に 陽 性 に な る こ とが 多 い. 脛 骨 外 側 穎 が 回 旋 しな が ら前 方 亜 脱 臼 す る前 外 側 不 安 定 性 が知 られ て い る.こ の 内,自 覚 的 に は 前 外 側 不 安 定 性 2.内 がraspと な り,ジ ャ ンプの 着 地 時 な ど にgiving wayと 膝 関 節 内 反 不 安 定 性 は膝 関 節 に 内 反 力 が 加 わ った 際 に 呼 ば れ る 「膝 が は ず れ る感 じ」 を 訴 え る.ま 外 側 関 節 裂 隙 が 開 大 す る よ う な 不 安 定 性 で あ る61.LCL た,ACL 反不安定性 損 傷 の問 題 点 は靱 帯 損 働 に 伴 う不 安定 性 だ けで な く,こ ば か りで な く,ACL, のgiving way 1:.より,関 節 軟 骨 や半 月板 の損 傷 が 生 じ, う こ と が 多 い.徒 更 に これが 繰 り返 され る と二 次 性 の 変 形 性 膝 関 節 症 に移 (20。∼30。)で 行 す る こ とで あ る. PCL,関 PCL,更 に 膝 窩 筋 腱 の損 傷 を`半 手 検 査 は完 全 伸 展 位 と 軽 度 屈 曲 位 行 う.膝 関 節 完 全 伸 展 位 で はACLや 節 包 な どの 緊 張 も高 くな る た め, LCL単 独損 傷 で は内 反 不安 定 性 が 出 に くい.軽 度 屈 曲 位 に お け る内 一79_ 慶 慮 医 学80巻3号(平 反 不安 定 控 が 検 出 され れ ばLCL損 安 定性 を 偲 め る場 合 に はACL損 傷 を疑 うが,強 傷, PCL損 成15「9fl) い不 常PCL損 傷,ま た は 傷 で は 上述 したtestの いずれ もが 陽 性 とな る. しか し,十 分 な筋 弛緩 の 得 られ な い例 や 関 節 内 の 癒 着 を 認 め るよ う な症 例 で は,す べ て が 陽 性 に な らな い こ と も 膝 窩 筋 腱 損 傷 の 合 併 を念 頭 に置 く必 要 が あ る. あ る.ま た,PCL損 3.前 傷 に よ る後 方 不 安 定 性 とACL損 傷 に よ る前 方 不安 定性 の鑑 別 が難 しい症 例 が あ り,そ の 際 方不安定性 膝 関 節 前 方 不安 定性 は脛 骨 に前 方 引 き出 し力 が加 わ っ に は 重 力 に よ る脛 骨 の 後 方 変 位 の 左 右 差 を 比 べ るpOS・ た 際 に 脛 骨 が 大 腿 骨 に 対 して 前 方 変 位 す る 不 安 定 性 で あ lerior saggingの る.徒 手 検 査 で は 軽 度 屈 曲 位(20。 Lachman testと90。 test(ADT)で く緊 張 性 を 保 っ た め,通 drawer 5.前 全可動域 で比較 的 よ 常ACL{1{傷 testも 陽 性 と な る. しか し,損 で は,い 傷ACLが 穎lllj窩やPCL す る 不 安 定 姓 と 考 え ら れ て い る.徒 陰 性 に 出 る こ と が あ る. れ て い る.Pivot shift testは 膝 関 節 伸 展 位 か ら 外 反 ト ル ク下 に 膝 関 節 を 徐 々 に 屈 曲 さ せ,徐 の 嵌 頓 の た め に 前方 不 安定 性 が 検 で あ り,逆 にjeTk testは 膝 関 節 を 屈 曲 位 か ら徐 々 に 伸 展 さ せ,軽 度 屈 曲 位 に お け る脛骨 の急 激 な前 方 亜 脱 臼 を 見 る もの で あ る.い た 際 に 脛 骨 が 大 腿 骨 に 対 して 後 方 変 位 す る 不 安 定 性 で あ も の の,同 る 。 徒 手 検 査 で は 軽 度 屈 曲 位(20。 ∼30。)で の脛骨 後 方 不 安 定 姓 み るreverse Lachman lestと90。 届曲位 で drawer test(PDT)で 同 様,全 々 に前 方 亜 脱 臼 し た 脛 骨 が 軽 度 屈 曲 位 で 急 激 に 整 復 さ れ る現 象 を 見 る もの 膝 関 節 後 方 不 安 定 性 は 脛 骨 に 後 方 引 き出 し力 が 加 わ っ ACLと 手 検 査 と し てpivot shift test"', jerk test, N・testな ど 様 々 な 方 法 が 考 案 さ 方 不 安定 俄 のposterior 6.前 検 出 す る. PCLも ず れ のtestも 屈 仲の方向 は異 な る じ現 象 を 検 出 す る も の で あ る. 内 側回 旋 不 安定 性 元 来 は 前 方 引 き出 しに際 し,脛 骨 が 外 旋 しなが 前 方 へ 可 動 域 で 比 較 的 よ く 緊 張 す る た め,通 変 位 す る こ とを 意 味 した が0,現 在 で は 脛 骨 外旋 位 に お 内 ヒ ダ 腰 、 《二 ち "轟 蜘 野 . 壇騨 冠 α }L ` ㌦ ㎡ 盈 ・ , ψL t ■ 、 磯 齢 セ ..一 轡 遍、 ヤ 籍_ 魅 鰍 轡鞭 蒐 噸 糖 灘畿 一 一 ヒ 藻 .黙= 亀 嵐 譲 .「 . .ヤ 謡灘 、同 c、N,・ 、 第2図 善 5 町 ッ 騨 傷 患 者 が 「膝 が 抜 け る 」 と 訴 え る 不 安 定 感 を 最 も よ く再 現 出 し に く い こ と も あ る. 4.後 度屈曲位で脛骨外 穎 の 急 激 な 前 方 亜 脱 臼 が 起 こ る現 象 で あ るrl. ACL損 傷 に しば しば 合 併 す る半 月 板 の バ ケ ツ柄 損 傷 が 存 在 す る と,そ 外 側 回 旋 不 安 定性 膝 関 節 を 外 反 力 下 に 屈 伸 す る と,軽 ず れの 節 内 の 線 維 組 織 の 二 次 的 な 肥 厚 をRCSめ る 様 な 疲 例 で は 一 方 のtestが ま た,ACL損 行 う 屈 曲 位 で 行 うanterior 検 出 す る. ACLは に 癒 着 し た り,関 ∼30。)で 有無 が 重 要 な決 め手 に な る. 膝 関 節 不 安 定 性 測 定 装 殿(KT-2000)に 慾 よ る前 方 不安 定 性 の 測定.脛 骨 巾枢 部 に前 後 方 向 の 力 を定 騒 的 に 加 え,そ の瞭 に生 じるqtrの 大 腿 骨 に 対 す る 変 位 を測 定 す る. 一80一 松本:膝 関節靭帯旧 傷 け る前 方 引 き 出 し兆 候 を 指 す こ とが 多 い.徒 手 検 査で は (第2図),③ 一 定 の 外 力 下 に 膝 関 節 を 屈 伸 させ,そ の 膝 関 節90。 屈 曲 位 で 下腿 を外 旋 位 で 固 定 して 前 方 引 き出 際 に生 じる膝 関 節 運 動 の変 化 を測 定 す る もの 隅,があ る. しテ ス トを行 う.現 在 で はそ の 臨 床 的 意 嚢 はあ ま り重 用 靱帯損傷の治療 視 され て い な い. 7.後 外 側 回 旋 不 安 定性 1.急 性 期の治療 脛 骨 が 外 旋 しな が ら後 方 に変 位 す る不 安 定 性 で あ る. 靱帯 損 傷 後 の 急 性 期 に最 も大 切 な こ と は組 織 の 損 傷 が 徒 手 検 査 で は膝 関 節90。 屈 曲 位 で 下 腿 を外 旋 しな が ら後 拡 大 す るの を 防 ぎ なが ら,急 性 炎症 症 状 を鎮 め る こ とで 方 引 き 出 しテ ス トを 行 う.PCL及 び後 外 側 支持 機 柵 あ る.か っ て は,膝 関 節 靱 帯 唄 傷 は 急 性 期 に緊 急 手 術 を 窩 筋 腱,弓 状 靭 帯 行 い,靱 帯 の 縫 合 や 再建 が 行 わ れ た が,こ の 時 期 に 手 術 (膝 関 節 の 後 外 側 に 存 在 す るLCL,膝 な ど の総 称)の 慣 傷 が 関与 す る と言 わ れ て い るioi, 操 作 を加 え る と,外 傷 に よ る侵 襲 に 更 に手 術 侵 襲 が 加 わ るた め,可 動 域 制 限 を残 す症 例 が 多 い.従 8.不 安 定 挫 の定 量 化 脱 臼 に 伴 う靱 帯 損 傷(第3図)で って,膝 関 節 徒手的 に整 復が 不能 上 述 した よ う に膝 関 節 不安 定 性 は通 常 徒 手 検 査 に よ り な 場 合 や1血1管 損 傷 な ど 緊急 を 要 す る場 合 で な け れ ば,急 評価 され て い る.徒 手 検 査 は 鼓 検者 の 筋 緊 張 を 感 知 した 性 期 の 炎 症 症 状 が お さ ま っ て か ら手 術 を 行 う.一 般 に り,屈 曲 角 度 や引 き出 し力 を 微 妙 に調 節 しなが ら症 例 ご 「靱帯 損 傷 」→ 「歩 行 不 能 」→ 「緊 急 手 術 」 とい う連 想 を す とに きめ の細 か い検 索 を す る こ とが 可 能 で あ るが,一 方 る患 者 は決 して少 な くな い.靱 帯 損 傷受 傷 直 後 の 急 性 期 で客 観 性 に欠 け る欠 点 が あ る.こ れ まで,関 節 不 安 定 性 に は,関 節 の腫 脹 も著 し く痔 痛 も強 い た め,早 期 の手 術 の 定 雁化 に は外 力 を 加 え なが ら単 純X線 を撮 彫す るス を求 め る患 者 もい る.し か し,急 性 期 に 手 術 を 行 う と可 年,様 々 な膝 動 域 制 限 を 来 す こ とが 多 い こ と,炎 症 所 見 が 鎮 静 化 す れ 関 節 不 安 定性 測 定 装 置 が 開 発 され て い る.不 安 定 性 測 定 ば,琢 痛,腫 脹 と も徐 々 に軽 減 し,そ の 後 に 手 術 を行 っ 装 置 に は外 力(力 ま た は トル ク)を 定n的 た方 が 成 紬 が良 い こと を よ く説 明 す る こ とが大 切で あ る. トレ スX線 撮 影 が 馬 い られ て き た が,近 際 に生 じる 不 安 定 性 をX線 に加 え,そ の 計 測 す る ものn},② 加える ま ず,ACL損 傷 やPcL tuftな ど で 関 節 内 出 血 を認 め る場 合 に は,こ れ を 穿 刺 す る.穿 刺 液 は 新 鮮 靱 帯 損 傷 で 外 力 と不 安 定 性 の測 定 の いず れ も装 置 で 行 う もの12珊 懸li ㎝ 灘 難. 第3図 膝 関節 脱 臼.脛 骨 は 大 腿 骨 の 関 節 面 か ら完 全 に逸 脱 して い る. この 槻 な膝 関 節 脱 臼例 で は 適 常3∼4本 の 研帯 撮傷 を 合 併 す る. 一8工 一 慶慮 医 学80巻3号(平 成15fF 9月) は 通 常 血 液 で あ るが,陳 旧牲 の靱 帯 損 傷 や 半 月 板 損 傷 で 損 傷 によ って 生 じた関 節 不 安 定性 を 筋 力 トレ ーニ ン グ な は 黄 色 い関 節 液 で あ る こ と もあ り,穿 刺 液 のp#伏 も診 断 どで 代 償 す る対 症 療 法 で あ る. に有 用 で あ る.関 節 穿 刺 に よ り腫 脹 が 軽減 し,疹 痛 が 少 古 くか らMCL損 傷 に 対 して は欲 極 的 保 存 療 法 が 行 わ し改 善 した と こ ろで,徒 手 検 査 に よ り関節 不 安 定 性 を 可 れ て き た.MCLは 周 囲 に 比較 的 血 行 の よ い軟 部 組 織 が 能 な範 囲 で確 認 す る.急 姓 期 に は腫 脹 や癖 痛 が 完 全 に は 豊 富 に あ り,自 然 修 復 機 転 が 働 きや す い た め,受 陽 直 後 除 去 出来 な い た め,十 分 な徒 手検 査 が 出来 ず,確 定 診 断 か ら伸 展 位 ま た は 軽 度 励 曲 位 で2∼3週 が 得 られ な い こ と もあ る.し か し,無 理 な 徒 手 検 査 は靱 が 行 わ れ る こ とが 多 い。 受 傷 直 後 の 出来 る だ け早 い 時 期 帯 の 損 揚 をか え って悪 化 させ る場 合 が あ るの で 行 わ ず, に 治療 を開 始 し,擬 傷靱 帯 の修 復 を促 す こ と が大 切 で あ そ の際 に は急 性 期 の炎 症 所 見 が 鎮 静 化 して か ら,改 め て る.ま た,近 年,関 節 の屈 伸 運 動 を させ な が ら外 反 力 の 正確 な 診 断 を下 す必 要 が あ る.更 に,合 併 す る骨折 な ど み を 予防 す る装j1も 開 発 され て い る.い ず れ にせ よ.固 を 確 認 す るた め,単 純X線 定 期 間 中 は筋 力 低 下が 急 激 に進 行 す るの で,可 能 な限 り 写 頁 の 撮 影 は行 って お く. 間 の ギプ ス固 定 骨 折 を 伴 って い る場 合 や,損 傷 組 織 が 広 範 囲 に 及 ぶ場 早 く,大 腿 四 頭 筋 訓練 な どを開 始 す る こ とが大 切 で あ る. 合 に は ギプ スな どに よ る外 固 定 を要 す る こ とが あ る.急 しか し,初 期 に は腫 脹 や 疹痛 が 強 いの で,軽 度 屈 曲 位 で 性 期 の ギプ ス固 定 は 腫 脹 が強 くな る と患 肢 は相 対 的 に 圧 の等尺 性巡 勤 訓 練 に留 め,炎 症所 見 の改 善 を 見 なが ら徐 々 迫 され,徳 環 障 害 や 神経 障害 を来 す 可能 性 が あ るの で 注 に強 化 す る.ま た,急 性 期 に無 理 な 可動 域 訓 練 を行 う と 意 を要 す る.疑 わ しい 場 合 に は,す ぐに ギ プ ス固 定 を 除 損 傷 部 の 新 た な 出血 な ど によ り靱 帯 の付 着 部 に異 所 性 骨 去 す る.単 独 の靱 帯 慣 傷 で は,通 常 支 柱付 サ ポ ー タ ー な 化 な どを生 じ,か え って 可動 域 制 限 が 強 くな る ことが あ どの装 具 を装 着 して,あ る程度 関節 を運 動 さ せ なが ら, る.従 って,こ 損 傷 靱 帯 の二 次 損 傷 を 予 防 す る.掲 傷 靱帯 の 腫類 に よ り 所 見 を認 め る場 合 に は,可 動 域 訓 練 は愛 誕 的 に 行 う.受 様 々 な タ イプ の ブ レー スが 開 発 され て い る.ま た,腫 脹 傷 後3∼4週 が 強 い場 合 は,松 葉杖 を処 方 して 患 肢 は 免 荷 とす る.消 観 察 しなが ら徐 々に 日常 生 活,ス 炎鎮 痛 剤 を投 与 し,就 寝 時 に は患 肢 を 高 挙 して ア イ シ ン る.外 反 不安 定 性 の残 存 の た め に十 分 な復 帰 が で き な い グ を行 う な ど,腫 脹 を早 期 に軽 減 させ る処 狸 も大 切 で あ 時 は手 術 療 法 も考慮 す る. る. 一 方,ACLやPCLは の大 腿骨 付着 部 の魎 脹 や 熱 感 な ど の炎 症 で,装 具 を 装 着 し,関 節 不 安 定 性 の 経 過 を ポ ー ツ活 動 に復 帰 させ 自然 修 御 機 転 が ほ とん ど働 か な こ の時 期 に特 に大 切 な こ とは患 肢 の 安 静 や 免 荷 に よ り い と され て きた が,近 年,こ れ ら も修 復 さ れ る可 能 性 が 筋 萎 縮 が 急 激 に進 む の で,可 能 な限 り筋 力 訓 練 を 行 う こ あ る こ とが 指 摘 され,ACL損 と で あ る.'通 常,関 節 を 動 か しな が ら行 う筋 力 訓 練 は損 積 極 的 保 存 療 法 が試 み られ て い る,可 動 域 は確 保 しなが 傷 部 を刺激 し,靱 帯 掴 傷 を悪 化 させ る可 能 性 が あ るの で, ら,ACL損 患 肢 を伸展 位 の ま ま足 部 に お もりを 乗 せて 挙 上 す る な ど, 具 が,PCL損 等 尺 性 の 筋 力 訓練 が 有 効 で あ る. 装 具 が開 発 され て い る.い ず れ も,受 傷 後 な るべ く早 期 傷 やPCL損 傷 に対 して も 傷 に対 して は脛 骨 の 繭 方 変 位 を 予 防 す る装 傷 に 対 して は脛 骨 の 後 方 変 位 を予 防 す る 経 つ と徐 々に 消 退 か ら装 着 を開 始 し,筋 力 低 下 を 予 防 しな が ら,靱 帯 の 修 し,出 血 も吸 収 され る.こ れ に伴 い痔痛 も軽減 し,関 節 復 を待 っ.し か し,関 節 不 安定 性 の残存 す る症 例 も多 い. 可 動 域 も改 善 す る.し か し,こ れ は損 傷 した靱 帯 が 修 復 一 方,陳 され た訳 で は な く,急 性 期 の 炎症 が 鎮 静 化 したの で あ り, 鮮蚕 員傷 に対 して行 わ れ る様 な靱 帯 の 修 徹 を 目的 とす る も 靱 帯 損 傷 に伴 う関 節 不 安定 性 が残 る.先 に述 べ た如 く, の で は な く,靱 帯 損 傷 に よ って 生 じた関 節 不 安 定性 を 筋 この 急 性 期 の腫 脹 は受 傷 後1∼2週 旧性 靱 帯 損 傷 に対 して 行 わ れ る保 存 療 法 は新 受 傷 直 後 に は痔 痛 や 腫 脹 の た め に正 確 な診 断 が 下 せ な い 力強 化 な ど に よ り補 う ことを 目 的 と した対 症 療 法 で あ る. こ とが あ り,こ の時 期 に再 度 徒手 検 査 な ど を行 って,損 ACL旧 傷 靱 帯 の 種 類,程 廣 な ど を再 確 認 す る.残 った 関節 不安 保 存 療 法 は難 しいが,MCL#A1」SやPCL損 定 性 の 程 度 と患 者 の職 業,活 動 性,将 来 の 希 望 な どを 考 四 頭 筋 訓 練 に よ りあ る程 度,目 覚 的 に は関 節 安定 性 が 得 慮 して,そ の 後 の 治療 方 針 を 決 定 す る. 傷 に 伸 う関 節 不 安 定 性 は 活 動 性 の 高 い症 例 で は 傷で は大腿 られ る.ま た,い ず れ の 靱 帯 損 傷 に対 して も,そ の 不 安 定 挫 を 軽減 す る 目的 で装 具 や テ ー ピ ングな ど も行 わ れ る, 2.靱 帯 扱 暢 に対 す る保 存療 法 靱 帯 損 傷 に 対 す る保 存 療 法 は2つ の 目的 に 大 別 され 3,靱 帯 縫 合術 る.一 っ は新 鮮 靱 帯 損 働 に 対 して,こ れ を 修 復 させ る こ か って は膝 関 節 靱 帯 損 傷 に 対 して は急 性 期 に縫 合 術 が とを 目的 と した積 極 的 保 存療 法 で あ り,も う一 つ は靱 帯 盛 ん に行 わ れ た.し か し,そ の 術 後成 績 が 安 定 しな い こ 一82一 松本=膝 関節靭帯損傷 と,急 性 期 の手 術 操 作 によ り関 節 拘 縮 を来 す症 例 が 多 い 1)手 術 適 応 こ と等 が報 告 され て い る.現 在,周 囲 組 織 の血 行 が比 較 ACL損 的 豊 富 で 組 織 の 修 復 に 比 較 的 有 利 なMCLを に,ス 除 い て は急 傷 で は 「靱 帯 損 傷 の 症 伏 」 の 項 で 述 べ た よ う ポー ツ活 動 中i:.giving wayと 呼 ば れ る 「膝 が は 性 期 に は縫 合 術 は ほ とん ど行 わ れ て い な い. ず れ る感 じ」 を 訴 え た り,こ れ を繰 り返 され る こ とに よ っ MCL縫 て半 月 板損 慨 や 軟 骨 損 傷 を 合 併 す る の で,活 動 性 の 高 い 合 術 は ス ポ ー ッ選 手 な ど 膝 関 節 の 十 分 な安 定 性 が 要 求 され る活 動 性 の高 い症 例 に行 わ れ る.受 傷 後 可 症 例 で は 手 術 が 必 要 に な る こ とが 多 い,プ 及 的 早期 にMCLの#i3傷 選 手 な ど活 動 性 が 極 め て 高 く,早 期 の ス ポ ー ツ復 帰 が 必 部 を展 開 し,損 傷 した靱帯 を端 々 縫 合 す る.術 後 は縫 合部 の状 態 や 縫 合 強 度 を 考 鯉 して ギ 要 な 症 例 で は,受 傷 後2∼3週 プ スな どに よ り外 固定 を 行 う.通 常1∼2週 静 化 した ら,MR1に ス固 定 後,CPM装 程 度のギ プ 置 を用 い て可 動 域 訓 練 を 開 始 す る. で 急 性 期 の 炎 症$E状 が 鎮 よ りACL,他 状 態 を 確 認 した後,手 ロの ス ポ ー ツ の 靱帯,半 月板等の 術 を行 う.ス ポ ー ツ活 動 レベ ルが 腫 脹 が お さ ま った ら荷 重歩 行 を許 可 す る.活 動 性 の 高 い あ ま り高 くな い症 例 で は,急 性 期 の炎 症 症 状 が 鎮 静 化 し 症 例 が 多 い ため,大 腿 四頭 筋 訓練 度 を 術 直 後 か ら行 い, た ら,一 度,日 常 生 活 に 復帰 させ,日 常 生 活 上 で も,明 筋 力 低 下 を最 大 限 に 予 防 す る こ とが 璽 要 で あ る. らか な不 安 定 性 を訴 え る場 合 に手 術 を 考慮 す る。 日常 生 活 で は不 安 定 性 を訴 え な い場 合 に は,徐 々 に ス ポ ー ツ復 4.靱 帯 再建 術 帰 させ,不 安 定 性 の症 状 が な けれ ば筋 力 強 化 な どの 対 症 随 旧性 の靱 帯 損 傷 で は損 傷 靱 帯 は消 失 した り,わ ず か 的 保 存 療 法 を 行 う.日 常 生 活 で は不 安 定 性 を 訴 え ず,ス な遺 残 組織 を残 す のみ で あ るな ど,機 能 的 な靱 帯 は残 っ ポー ッ活 動 のみ 不 安 定性 を訴 え る症 例 に対 して は,ス ポ ー て い な い こ とが 多 く,縫 合 術 は不 可 能 で あ る.従 って, ツの 継 続 の 意 志 が強 い場 合 に は 手 術 を 考 慮 す る. そ の機 能 を 回 復 す るた め に は靱 帯 を作 り直 す 再 廼 術 が 必 PCL損 要 とな る.ま た,新 鮮 例 で も前 述 した 様 に,靱 帯 縫 合 術 残 って い て も,自 覚 的 に関 節 不 安 定感 を 訴 え る症 例 は比 で は十 分 な強 度 が得 られ ず,術 後 成 績 が 安 定 しな い ため, 較 的 少 な く,再 建 術 の 適 応 は よ り少 な くな る.ス ポ ー ツ MCLの 活 動 性 の 高 い 症 例 で も,一 度,ス:r'一 ツ活 動 に 復帰 さ せ, 修 復 術 を除 い て は 再 建 術 が 行 わ れ るの が 一 般 的 傷 やMCL損 傷 で は他覚 的 な関節 不 安定 牲 が 靱 帯 揖 傷 に よ る訴 え の た め に継 続 が 困 難 な場 合 の み 再 建 で あ る. ゴ ∴ 「 琳譜 「1 調.譜 詔〆 タ 。 憾 夢 贈 ,・㌦汐 era貯 押 ^sr ジ ご=6:労〆' /'ド //' ♂P'チ 'ゆ 輔 懇i 第4図 Leeds-Keio人 2000Nで 工 靭 帯,ポ1,エ ス テ ル 製 で メ ッ シ ュ 構 造 を 有 し, あ る. 一83一 その最 大破 断 強度 は約 墾 瞳 慮 医 学 80巻3号(平 成15H=9月) 7 L ︼F ﹂卸 一.■ ' \ 鮮 、 .、 第5図 Leeds・Keio人 工 靭3RI:よ \ るACし __!「 再 建 術. ACL遺 残 組 織 の 間 に 人 工 靭 帯 を 通 し,両 端 を ス テ ー ブ ル で 固 定 す る. 術 を行 う. 2)手 定 を 行 うこ と は同 様 で あ る. 術 方法 3)術 後 処 置 お よ び後 療 法 関 節 内 の 靱 帯 で あ るACLやPCLの 再 建 術 は通 常 関 術後 は再 建 材 料 の種 類 に もよ るが,通 常 は装 具 に よ る 節 鏡 視 下 に 行わ れ る.{1}建 に用 い られ る材 料(再 建 材 料) 簡 単 な固 定 を行 う.駆 血 帯 を 用 い て 手 術 を 行 った場 合 に は膝 関 節 周 囲 の 自家 組 織 をmい るの が 一 般 的 で あ る.膝 は,術 後 下 肢 の しび れ を 訴 え る が 通 常 長 くて も1週 盗腱 の 中 央1/3を 前 後 で 消 失 す る.関 節 可 動 域 訓 練 は通 常 手 術 翌 日 よ り 骨 を っ け た ま ま採 取 して 用 い るBTB (bone-tendon・bone)と い わ れ る方 法 が 主 流 で あ う た CPM装 間 置 を 用 い て 開 始 す る.荷 重 歩 行 の時 期 は 再u材 が151,最 近 は膝 関 節 の 屈 筋 腱 を 用 い る方 法 も広 く用 い ら 料 の種 類 や 手 術 侵 襲 等 に よ って異 な るが,通 常,腫 脹 の れ て い るIBI.ま た,人 工 靱帯(第4図)を お さ ま る術 後1週 用 い る方 法 や 程度 か ら装 具 をっ けて 許 可 す る. ハ イ ブ リッ ドと呼 ば れ る人 工靭 帯 と 自家 組 織 を組 み 合 わ せ た 方 法 も行 われ て い る17噌,. 終 わ りに 手 術 は通 常 全 身 麻 酔 下 に駆 血 帯 を用 いて 行 われ る.ま ず,関 節 内 を関 節 鏡 を 用 い て観 察 し,鏡 視 下 に合 併 す る 半 月 板 損 傷 や 軟 骨 損 傷 に 対 す る処 置 を 行 う.次 ACL, PCLの 膝 関節 靭 帯 損 傷 は必 ず しも手 術 を 要す るわ け で は な く, いで 年 齢.職 業,活 動 レベ ル,生 活 様 式,意 欲 な どを 総 合 的 い ず れ も大 腿 骨,脛 骨 そ れ ぞ れ の骨 付 看 部 か ら関 節 外 に 向か って 骨 トンネ ル を作 る.再 建 材 料 を に判 断 して 治療 方 針 を決 定 す る こ とが 大 切 で あ る. この トンネル に通 し,そ の 出 口部 で これ を固 定 す る(第 5図).固 文 献 定 方 法 は用 い る再建 材 料 に よ って 様 々 で あ り, ス ク リュ ー ス テー プ ル,エ ン ドボ タ ンな ど の金 属 が 用 い られ る こ とが 多 い,MCLとLCLは る た め,MCL再 建 術 やLCL再 Dvon 関 節 外 靱帯 で あ 廼 術 で は,そ れぞれ の 靱 帯 付 着 部 を 申 心 に切 開 を行 って 再 建 術 が 行 わ れ る が, 骨 トンネ ル を作 製 して 再建 材 料 を 通 し,そ の 出 口 部 で 固 一aa一 Kahle W,他:解 剖 学 ア ト ラ ス(越 智 淳 三 訳).文 光 堂,1981 2)von Lanz tomie.(Ed)von von Julius 3)Anderson]E:The T,他:Bein and Lanz SprinBer. 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