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8 11.中国および上海市における固体廃棄物の処理、リサイクルに関する

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8 11.中国および上海市における固体廃棄物の処理、リサイクルに関する
11.中国および上海市における固体廃棄物の処理、リサイクルに関する法律・規制等の状況
工業汚染の防止を目的とした産業環境対策に関連する単独法としては、「大気汚染防止
法」「水汚染防止法」「固体廃棄物環境汚染防止法」「海洋環境保護法」「環境影響評価
法」「環境騒音汚染防止法」「清潔生産促進法」の七つが制定されており、これらのうち
「固体廃棄物環境汚染防止法」と「清潔生産促進法」が固体廃棄物の処理とリサイクルに
少なからず影響を及ぼす。特に「清潔生産促進法」は行政にとって適用に使い勝手がよい
ため、今回の日系企業の調査でもこの法律に翻弄された企業が多く見られた。
中国においては、上海市など直轄市や省では地方行政独自の環境関連法規の制定が認め
られているため、上記の国家レベルの法律法規とは別に、環境基本法に相当するものや特
定の環境問題や環境対策の条例や弁法などが多数存在する。汚染物質の排出基準について
は、地方政府が国家基準を上回る厳しい基準値を設定している場合も少なくない。
また、循環経済促進法の主管部門は発展改革委員会であるが、これは「資源の総合利用」
(回収を含む)が同委員会の所管によるためである。一方、環境保護部は工業廃棄物や危
険廃棄物の監督管理といった側面で、固体廃棄物の処理やリサイクル行政に関わる。中国
では一般に広範囲に亘る法律に関し、各行政機関の役割分担が明確でないことが、法の実
効性を阻む大きな理由の一つとなっている。
以下、固体廃棄物の処理とリサイクルに関する主だった法律について列挙する。
<国家>
施行
名称
公布機関
分類
1996.4
固体廃棄物環境汚染防止法
全国人民代表大会
法律
1996.7
都市ゴミの発生源の分類とゴミの排出
建設部
部門基準
1998.1
生活ゴミ埋立汚染の規制基準
国家環境保護総局
部門規則
1999.10
危険廃棄物移転綴証票管理弁法(マニフェスト)
国家環境保護総局
部門規則
2000.3
危険廃棄物焼却汚染の制御基準
国家環境保護総局
部門規則
2000.6
都市生活ゴミの処理及び汚染防止技術政策
建設部
部門規則
2002.7
一般工業固体廃物貯存、処置場汚染控制標準
国家環境保護総局
部門標準
2003.1
清潔生産促進法
全国人民代表大会
法律
2003.10
廃電池汚染防止技術政策
国家環境保護総局他
部門通知
2003.10
新化学物質環境管理弁法
国家環境保護総局
部門規則
2004.7
危険廃棄物経営許可証管理弁法
国務院
行政法規
2005.4
(改正)固体廃棄物汚染環境防止法
全国人民代表大会
法律
2006.8
廃家電・電子製品汚染防止技術政策
国家環境保護総局
部門標準
2007.3
電子情報製品汚染抑制管理弁法(中版 RoHS) 情報産業部、他
行政法規
2007.5
再生資源回収管理弁法
商務部、発改、他
部門規則
2008.2
電子廃棄物汚染環境防止管理弁法
国家環境保護総局
行政規則
2009.1
循環経済促進法
全国人民代表大会
法律
2011.1
廃棄電器電子産品回收処理管理条例
発展改革委員会、他
行政法規
8
<上海>
施行
名称
公布機関
分類
1995.3
上海市危険廃棄物汚染防止弁法
上海人民代表大会
地方法規
1999.10
上海市危険廃棄物移転の綴り証票管理弁法
上海市環保局
地方規則
2007.6
機関事業団体の廃棄電子製品集中回収処理
上海市経済委会、他
地方部門
実施
2008,1
通知
電子廃棄物汚染環境対策管理弁法の徹底実
上海市環保局
施に関する通達
地方部門
通知
その他、上海での関係する主な規則には、「上海市使い捨てプラスチック容器管理暫定弁
法」「上海市生ゴミ処理管理方法」「上海市都市部の環境衛生施設設置規定」などがある。
≪参考/法律、行政法規、行政規章(規則、規制)について≫
●法律の制定(刑事、民事、国家機関及びその他の基本法律)の権限/「全国人民代表大会」
および「全国人民代表大会常務委員会」にある。<憲法第 58 条>
●行政法規の制定権限/「国務院」にある。
行政法規の定義…国務院が国家の各種の行政活動を指導管理し、憲法と法律に基づき、かつ
本条例の定めるところにより政治経済、科学技術、外事等について制定した各種法規の総称。
「法律」をさらに具体化したものが法規であるが、法律と同様に義務行為、禁止行為、罰
則などが規定されるものの、具体的な管理手法や数値基準は示されないことが多い。
行政法規の種類…単独法を補完する目的である「細則」のほかに、単独法で定められてい
ない領域をカバーする目的の「条令、規定、弁法」
(比較的広範囲に、系統的に規定する「条
例」、部分的に規定する「規定」、及び、手続等について規定するなど行政活動について比
較的具体的に規定する「弁法」)や、特定の指針・原則を示す「決定・通達」等がある。
●行政公文の権限/国家行政機関にある。
公文の種類…下級機関に公文を発するのに使用される「通知」、上級機関に対して指示又は
承認を仰ぐときに使用する「支持伺い」、下級機関の支持伺い事項に対して回答するときに
使用する「回答」、及び、相互に従属関係のない機関の間で業務の連絡を行ない、問題に対
して相談し回答する「書簡」(関連主管部門に対して承認を支給するとき等)など。
●行政規章(規則、規制)の制定権限/各行政機関にある。
法律や法規に基づいて、各行政機関が制定したもので具体的に運用する際の管理手順、手
法を規定したもの。但し、罰則は規定していないことが多い。
●標準の制定権限/各種行政機関
法律や法規に基づいて、例えば具体的な環境基準値、排出基準値、測定手法、評価手法等
の技術規定。やはり、罰則は規定していないことが多い。
●地方法規の制定権限/「地方人民代表大会」および「地方人民代表大会常務委員会」
*参考文献:
「中国環境政策講義」(駿河台出版社、大和田滝惠著)、銭光人氏(上海大学教授)提供資料、他
9
5.上海市および浦東新区の概要と循環経済計画の取組み
5.1
上海市の市政概要
5.1.1
市の概況および地理
上海市は北緯 31 度 10 分、東緯 121 度 29 分に位置し、ほぼ鹿児島県と同緯度にある。面
積は 6,340 km2 で東京都の約 3 倍。2007 年度の GDP は 1 兆 2,001 億元(一人当たり 6 万 5,347
元)で、香港を除くと国内で最高水準となる。因みに、2008 年度の GDP は 1 兆 3,698 億元
になる見通しである。戸籍人口は 1,378 万人(常住人口 1,858 万人、就業者数 877 万人)
で直轄 4 市の中では重慶に次いで 2 番目である。民工(地方から来ている労働者)やその
他を加えると、総人口は約 2,500 万人とも言われている。上海には 2007 年現在、約 4,500
社の日系企業が存在し、世界で最も多い 4 万 7,731 人の日本人が住んでいる。
上海市は行政区分としては18の区と1つの県に区分されており、主な区の位置を下図
に示す。行政区としては、古くから区として存在していた黄浦区、盧湾区、徐汇区、長寧
区、静安区、普陀区、閘北区、虹口区、楊浦区、および近年に県から区に昇格した閔行区、
宝山区、嘉定区、金山区、松江区、南汇区、奉賢区、青浦区、および副省級として特別な
権限が与えられている浦東新区の 18 区と、楊子江河口の中州に島として存在する崇明県の
1 県に区分される。
上海市全体地図
崇明県
蘇
州
黄浦江
宝山区
長江(楊子江)
嘉定区
★南京路
浦東新区
(中心街)
★
浦東空港
青浦区
松江区
閔行区
日本
(九州)
南汇区
奉賢区
金山区
図表 5.1-1 上海市地図(出典:2009.2.18 日中合同会合上海市環境保護局発表資料より)
10
5.1.2
市の行政機構
1)上海市および区、県等の位置づけ
中国全体の行政組織を図表 5.1-2 に示す。図の上下の位置はそれぞれの行政権限のレベ
ルを表す。例えば、直轄市は省と同等の権限を有していることを表している。この図の中
で上海市は直轄市である。「市」という行政組織には3種類のクラス(級)がある:
①
直轄市:省と同等レベルの市。北京、上海、天津、重慶の4市
②
省轄市:省が管轄する市。
③
県級市:市が管轄する「県クラス」の市。
例:蘇州、無錫など。
例:上海近くの昆山市は江蘇省蘇洲
市の管轄下の県クラスの市である。
区、県、市の下部組織として、「郷」、「鎮」、「街道」があり、中国の末端の行政組織であ
る。この三者の行政ランクは全く同じだが、一般的に鎮が郷より発展し、工業の比重が高
く、人口も多い。郷と鎮には農業に従事する人口が必ず居るが、街道には農業に従事する
人はほとんど少なく、ほとんどの住民が「都会戸籍」を持っている。中国には「都会戸籍」
と「農村戸籍」の二種類があり、農村戸籍から都会戸籍への移行は非常に難しくなってい
るという。添付資料4に上海市18区1県下の「郷」、「鎮」、「街道」の一覧表を示す。
国務院
省
直轄市
市
地区
盟
自治州
区
県
区
県級市
県、旗
自治県、自治旗
鎮
郷
街
鎮
郷
民族郷
林区
工农区
街
民族郷
郷
特区
自治県
鎮
自治州
地区
県
街
郷
鎮
街
市
県級市
区
省轄県
省轄県級市
図表 5.1-2 中国行政系統関係図表
11
自治区
2)浦東新区の中の行政区、開発区等の位置づけ
浦東新区は上海市の中の18区の一つではあるが、国務院によって他の区に比べて高度
の行政権限を認められた特別な区である。地元では 1.5 級の区と呼ばれている(5.4.1 章参
照)。
このような背景があり、浦東新区だけはその下部行政組織として「功能区」の設置を認め
られており、現在6つの功能区が存在する。すなわち、陸家嘴功能区、外高橋功能区、金
橋功能区、張江功能区、三林万博功能区、川沙(空港)功能区の6つである。これらはそ
れぞれ、その地区の中に立地する陸家嘴金融貿易区、外高橋保税区、金橋輸出加工区、張
江ハイテクパークを管轄している。上海市および浦東新区内には様々な市級、国家級の工
業区、開発区などが設定されているが、これらは行政組織ではなく、その立地する地域の
行政区が管轄して運営しているものである。金橋輸出加工区の場合は、国家級の開発区で
あるから、浦東新区内に「金橋輸出加工区管理委員会」が設置されて運営されている。
功能区の下に末端行政組織である鎮、街道が存在している。「功能区」の設置は中国全国
でも、浦東新区のみ許可されているもので、浦東新区の特別な地位がうかがわれる。
3)(参考)政治機構との関連
日本の場合は、行政機構はそのまま政治機構であるが、中国の場合は、中国共産党の政
治機構と地域の行政機構とが並存し、互いに連携しながら政策の実行、行政活動を行って
いる。「省」を例にとれば、省長、副省長の他に共産党省委員会書記と副書記がある。書記
は省のナンバーワンであり、ナンバーツーの副書記が省長を兼任するのが通常のようであ
る。このような仕組は、下部の行政組織である市、県、鎮なども同様である。
4)上海市の行政部門概要
上海市の行政部門としては、上海市政府のホームページによると次の50部門がある
(太字は環境関連)。
上海市人民政府弁公室、発展改革委員会、経済情報委員会、商務委員会、教育委員会、
科学技術委員会、民族宗教事務委員会、公安局、監察局、民政局、司法局、財政局、人的
資源社会保障局、都市農村建設交通委員会、農業委員会、環境保護局、都市計画国土資源
管理局、水務局(海洋局)、文化ラジオテレビ映画管理局、衛生局(保健局)、人口計画生
育委員会、会計局(会計監査局)、人民政府外事弁公室、国有資産監督管理委員会、工商
行政管理局、品質技術監督局、統計局、広報出版局、体育局、旅行局、知識産権局、市容
環境衛生管理局、緑化管理局、住房保障房屋管理局、交通運輸港湾管理局、安全生産監督
管理局、上海市人民政府機関事務管理局、国民防衛弁公室、人民政府合作交流弁公室、人
民政府華橋務弁公室、上海市人民政府法制弁公室、上海市人民政府研究室、金融サービス、
上海市広報弁公室、人民政府発展研究中心、湾岸サービス弁公室、上海市人民政府参事室、
穀物局、刑務所管理局、食品薬品監督管理局、社会団体管理局。
12
5.2 上海市の環境行政組織と役割
上海市の環境行政は、上海市政府のもとに「上海市環境保護協調推進委員会」が設置さ
れ、環境保護局とその職務範囲において発展改革委員会、経済情報委員会、商務委員会と
いった行政機関が担当するが、上海市の環境保護に関する方針や政策、法律法規に関する
実施や立案、環境汚染や放射線に関する全ての防止や監督は環境保護局が実施する。また、
上海市の 18 区 1 県の環境保護局の監督管理指導を管轄する。
上海市環境保護協調推進委員会
19 区県政府
事務室
.関係部門
水汚染規制
大気汚染規制
………
…
………
…
委員会
固体廃棄物管理
………
…
工業汚染規制と循環経済
農業汚染規制
緑化と生態建設
…
…
………
…
………
…
プラットホームとしての委員会の設置とメカニズムの建設は環境保護三年
行動計画の着実な前進を保障する。
図表 5.2-1(出典:日中合同会合での上海市環境保護局プレゼン資料より)
上海市環境保護局の部門としては、以下の 11 部門がある。
弁公室(官房事務局)
、環境保護協調推進委員会事務局、総合計画処、法規処、科学技術
標準処、汚染制御処、水環境生態保護処、監督管理処、国際合作処、組織人事処、紀律委
員会監察室
また、直属機関としては、以下の 7 機関がある。
上海市環境科学院、上海市環境保護情報センター、上海市環境観測センター、上海市環
境監察総隊、上海市放射線環境監督ステーション、上海市固体廃棄物管理センター、上海
市環境保護宣伝教育センター
5.3 上海市下の工業区、開発区の概要 (上海の市レベル以上の(工業)開発区の概要)
5.3.1 主な開発区と輸出区
1)浦東新区にある国家レベル開発区
【陸家嘴金融貿易区】1990 年に党中央と国務院が浦東地区の開発開放を宣言した後、上海
13
浦東に設立された中国で唯一「金融貿易」の名を持つ国家レベルの開発区である。陸家嘴
金融貿易区は上海の浦東にあり、浦西とは外灘をはさんで位置し、上海の母なる河川「黄
浦江」と上海の都市内環状線により取り巻かれている。用地占有面積は 28km2。(黄浦江を
挟んで東側を浦東、西側を浦西と呼ぶ。南京路などは旧市街地の浦西地区に位置する。)
陸家嘴金融貿易区は、開発建設が世界でも先進的な水準に達するよう、世界中から著名
な企画設計の専門家が招聘され、上海の専門家と共同で全体計画や交通計画、都市計画が
策定された。このうち、上海市政府により認可された陸家嘴金融中心区の計画案は、中国、
イギリス、フランス、日本、イタリアから計画のベテランの知恵を集めたもので、現代に
おける企画設計の先進的水準を体現するものとなった。計画に基づき、機能別の配分が行
われ、陸家嘴金融貿易区は金融中心区、竹園商貿区、行政文化センター、龍陽居住区等、
いくつかの重点的開発小区に分けられた。これらの合理的な機能配分により、金融貿易の
機能開発の重点が明確に打ち出され、また現代的都市を建設する上で必要な条件も十分に
考慮された。
すでに完成している延安東路の 2 本の渡河用
車道トンネル、1 本の渡河用地下鉄 2 号線、南浦
と楊浦の 2 つの大橋ではあるが、交通渋滞が年々
激しさを増している。しかし、上海万博に向けて、
浦西と浦東を結ぶ交通網は着々と整備されつつ
ある。
建設中の外高橋深水港等、陸家嘴金融貿易区に
建造される高層ビル(8 階以上又は高さ 24m 以上)
は 399 棟に達し、このうち 229 棟は完成して使用
2000 年:外灘から見た陸家嘴金融貿易区
されている。高さ 468m の東方明珠テレビ塔や高さ世界第三を誇る 88 階建ての金茂ビルを
代表とする高層ビル群はすでに近代化した上海の都市部の新しい景観となっている。また
昨年、地上 101 階、高さ 492mの上海森ビル(上海ワールドファイナンシャルセンター)も
完成した。陸家嘴金融貿易区には 83 社以上の中外金融機関が進出しており、外資金融機関
は 42 社以上にのぼる。また、上海証券取引所、上海先物取引所等六大要素市場も陸家嘴金
融貿易区に移っている。更に、影響力のある国内外の大型グループ、大企業、たとえばジ
ーメンス、シミック、アルカテル、トムソン、宝山鋼鉄公司等が 300 社近く陸家嘴に進出
している。長さ 2.5 ㎞の浜江大道、10 万 km2 の陸家嘴センター緑地、長さ 5 ㎞の景観道路世
紀大道、浦西と浦東を結ぶ外灘観光トンネル、そして現代的な高層ビル群が都市観光上独
特の景観を形作っている。さらには、99 年フォーチュンフォーラムの開催を成功裏に実現
した上海国際会議センター、グランドハイアット上海、シャングリラホテル、ホテルイン
ターコンチネンタル等が、陸家嘴金融貿易区内の会議・展示会機能や「ホテル・レストラ
ンでの飲食」面での力強い発展の勢いを呈している。“2015 年にはアジア太平洋地域の国
際的金融貿易センターを基本的に形成する”という陸家嘴金融貿易区の目標は現実のもの
となりそうである。
【金橋輸出加工区】1990 年に国務院から認可された国家レベルの開発区である。金橋輸出
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加工区は上海市浦東新区の中部に位置し、計画面積は 27.38 ㎞ 2。西で陸家嘴金融貿易区に
隣接し、北で外高橋保税区に接し、南で張江ハイテクパークに近接している。
そのうち北区 19.94 ㎞ 2 は金橋路を境界として、
金橋輸出加工区は東部と西部の 2 つの部分に分か
れる。東部の 16 ㎞ 2 は工業区で、そのうち 6 ㎞ 2
が 1998 年 4 月に国家科学技術部により正式に認可
され「上海金橋現代科学技術園」となった。西部は
生活ゾーン——金橋国際コミュニティである。
金橋輸出加工区は、「九通一平<電力、ガス、
蒸気、道路、通信、上水道、下水道、天然ガス、
ブロードバンド完備+整地済み>」のインフラを
2008 年:緑溢れる金橋ビジネスパーク
具備している。インフラには「集中暖房」と「衛星通信」が含まれる。また、金橋輸出加
工区は、金融、貿易、製品検査、通関、倉庫保管、輸送、科学研究、コンサルティング、
小売、飲食・娯楽、不動産、不動産管理等のサービスが基本的に整っている。
2005 年末の時点で、金橋輸出加工区にはすでに 658 のプロジェクトが導入され、金橋に
投資している世界の著名な多国籍企業のうち 47 社は『フォーチュン』の世界トップ 500 に
選ばれた企業である。ゼネラル・モーターズ、シーメンス、HP、ベル・アルカテル、モト
ローラの他に、日系では NEC、松下、ソニー、京セラ、シャープ、リコー、オムロンなどが
ある。金橋ではすでに、電子情報、自動車及び部品、現代家電、バイオ医薬の四大基幹産
業を中心とする産業群が形成されている。
2005 年、金橋輸出加工区の工業総生産は 1,319 億元で、浦東新区全体の 37%を占めた。
金橋国際コミュニティには、高ランク、中ランクの対内、対外分譲住宅、オフィスビル及
びそれに付随する大学、高校、中学、小学校、幼稚園、スーパー、病院がある。1999 年の
「新中国 50 年名品建築上海最良住宅地大賞」を受賞した「碧雲別荘」は金橋国際コミュニ
ティの中部にあり、70 棟の別荘の賃貸率は 100%に達している。対内分譲住宅区内の 22 万
㎡の「金橋湾清水苑」は「上海市開発モデル居住区」の称号を与えられた。
浦東開発のニーズに伴い、1999 年に王橋工業区が金橋開発区の管理下に組み込まれるこ
ととなった。王橋工業区は浦東新区の東南部に位置し、川沙鎮の北にある。計画面積は 4.2
㎞ 2 で、これが現在の「南区」に当たる。「高い基準からのスタート、ハイスピードの建設、
高強度の投資、ハイテク産業」を特徴とする金橋輸出加工区は現在収穫期に入っており、
上海において輝かしい経済成長部分となっている。
【外高橋保税区】1990 年 6 月に国務院の認可を経て設立した全国で初めての、最大規模を
持ち、最も早く起動した保税区である。自由貿易、輸出加工、物流倉庫保管、保税商品展
示取引といった様々な経済機能を持つ。
外高橋保税区の計画面積は 10 ㎞ 2 で、2005 年末の時点で開発され運営されている地域は
6.4 ㎞ 2。10 年にわたる開発建設を経て、保税区では累計で 7,052 の投資プロジェクトが認
可されている。日本からは、松下電器、パイオニア、富士通、日本ビクターなど数多くの
企業が進出している。
15
【張江ハイテク産業開発区】2007 年 7 月、もとの上海ハイテク産業開発区が上海張江ハイ
テク産業開発区(略称は張江ハイテク区)と名称を変更した。加工生産型の金橋輸出加工
区に対して、張江ハイテク区には、張江ハイテクパーク、漕河涇新興技術開発区、上海大
学科学技術パーク、中国紡績国際科学技術産業城(都市)、金橋現代科学技術パークなど
があり、頭脳パーク的な色彩が濃い。
張江ハイテク産業開発区の計画面積は 25 ㎞ 2 であり、電子情報、バイオ及び医薬などを主
要産業とする。2006 年の工業総生産は 2,783 億元、総収入は 3,204 億元、輸出による外貨
獲得高は 190.1 億ドル、純利益は 176.5 億元、納税額は 148.7 億元であった。2007 年末ま
でに進出した企業の数は 3,603 社で、累計では 7,960 社となった。認定済みのハイテク企
業は 566 社、特許申請数は 3,725 項目、授権され許可が実施されたものは 1,653 項目、ソ
フトウェア版権は 1,675 項目に及ぶ。半導体産業が医薬品バイオ産業とともに中心産業と
なっており、約 180 社が進出している。また、医薬品バイオでは世界ベスト 20 のうち 12
社までが進出している。漢方薬の研究も盛んで中医薬科大学も研究室を置いている。
中国のゲームソフトの 50%は同区内でプロダクトしており、アニメーション産業も最近
増えている。このようにイノベーションが常に必要なこともあり、頭脳を使う従業員に快
適さを与えるために、UNEP と同済大学との共同で労働環境の整備や環境産業の育成にも
力を注いでいる。さらに、事務所のリサイクルやシリコンメーカーから出る廃棄物を太陽
光パネルメーカーの原料として利用するなど資源循環システムについても研究中だ。
張江ハイテク産業開発区では元々、たくさんの廃棄物が出る産業は少ないが、医薬品の
廃棄物処理についてはデータを集めて効率的な生産を指導するなど、製造関係は極力少な
くして研究開発型企業に集中する方向という。尚、廃棄物については金橋功能区と連携し
ながら実施しているという。
2)浦東新区以外の国家レベル経済技術開発区
【漕河涇新興技術開発区】上海市中心部から西南に 11 キロ、上海虹橋国際空港からは東南
に7キロ、上海市中心部から一番近い国家レベル開発区である。
漕河涇新興技術開発区の開発総面積は約 6 ㎞ 2 である。2006 年における開発区全体の売
上は 1,227 億元で、前年比 31.93%増であった。うち、外資企業の売上は 1,072 億元で、前
年比 32.01%増であった。工業総生産は 1,005 億元で、前年比 20.33%増であり、うち、外資
企業の工業総生産は 943.32 億元で、前年比 20.31%増となった。国民総生産は 381.50 億元
で、前年比 15.69%増となった。納税額は 22.27 億元で、前年比 13.40%増であり、うち、外
資企業は 18.50 億元で、前年比 12.12%増となった。
漕河涇新興技術開発区に既存の情報、バイオ医薬、新素材、宇宙航空等のハイテク基幹
産業が急速に発展するとともに、自動車関連、環境保護及び新エネルギー、移動通信等の
ハイテク産業が次々と集まっている。中でも、情報産業の年間売上高は区全体の売上総額
の 80%以上を占め、輸出額は区全体の輸出総額の 90%を上回っている。年末の時点で、開発
区内の集積回路企業は 64 社で、その年間売上は 70.21 億元、光通信およびネットワークデ
バイス企業は 118 社で、その年間売上は 36.39 億元、コンピュータソフトウェア・ハード
ウェア企業は 160 社あまりで、その年間売上は 845.30 億元、電子デバイスおよびデジタル
16
電子企業は 101 社で、その年間売上は 73.62 億元であった。1 年の間に著名な多国籍企業が
相次いで開発区に進出したが、それには世界トップ 500 に数えられる企業 11 社も含まれて
いた。
11 月 8 日に開かれた 2006 年上海ソフトウェア外注国際サミットにおいて、漕河涇開発区
は「中国サービス外注基地上海モデル地区」の称号を与えられ、上海市で初めて認定され
た 4 つの「サービス外注モデル地区」の 1 つに入った。2006 年、開発区内のベンチャーセ
ンターインキュベーション基地の総貸出面積は 21127.17 平米で、
貸出率は 94.9%であった。
基地に新たに誘致された企業は 33 社(一時的所属企業 12 社を含む)で、年末の時点でイ
ンキュベート中の科学技術企業は 112 社となった。22 社の企業が基地でのインキュベート
に成功して転出したが、そのうちの 3 社の企業は漕河涇開発区の 5000 平米近い工場を購入
し、高い実力を具えた新興の科学技術企業となった。年末の時点で、漕河涇開発区には 1,200
社あまりの企業があり、従業員は 11.1 万人に達していた。日本からはリコー、東芝、NT
T、エプソンなどが進出している。
【閔行経済技術開発区】上海閔行経済技術開発区(略称は閔行開発区)は計画面積 3.5 ㎞ 2
で、機電が主要産業である。2 月に国務院の許可を受け、閔行開発区は臨港でエリア拡大に
成功した。
閔行経済技術開発区計画面積は 13.3 ㎞ 2 で、重点的に現代的な装備工業と先進的製造業の
発展がはかられる。閔行開発区の年間の工業総生産は 344.2 億元で、前年比 21.94%増、売
上は 364 億元で、前年比 17.24%増、利益は 38.7 億元で、前年比 19.75%増、納税額(関税
を含む)は 46.5 億元で、前年比 19.2%増となった。年末の時点で、閔行開発区の企業数は
94 社、従業者数は 3 万 4430 人となっている。進出している主な日系企業としては、三菱エ
レベーター、YKKなどがある。
【虹橋経済技術開発区】上海虹橋経済技術開発区(略称は虹橋開発区)は、全国唯一の商
業貿易センターを特徴として、展覧会場、ビジネス、ホテルと旅行、飲食とショッピン
グまた外交事務などの機能を備える、中国でも最もはやい国家レベルの開発区である。
日本の総領事館をはじめ日本の名立たる企業が事務所を構える。上海世貿ショッピング
センター、上海国際展覧センターの 2 つ大規模の展覧展示会場があるなど、商業地域と
しての機能に変貌しつつある。
2006 年の時点で、土地開発面積は累計で 47ha、年間の売上げは 74.7 億元で、前年比で
3.03%増えた。このうち三資企業(外資、中外合弁、中外合作)の売上げは 70.6 億元で、
前年比で 3.22%増えたが、全国レベルでいえば、伸び率は悪い。1 年間で、虹橋開発区は区
内の機能がマッチせず、資源配置のよくないプロジェクトについて再建、改造、新規建設
を実施した。新虹橋クラブは上海市の優秀な飲食店ブランド企業の称号を獲得するととも
に、再度中華名飲食店に選ばれた。新虹橋センター花園は市の文明公園に選ばれ、虹橋開
発区は再度、上海市文明的モデル区に選ばれた。年末の時点で、虹橋開発区には 80 社の企
業があり、従業者数は 1 万人となっている。
17
3)浦東新区以外の国家レベル輸出加工区
【松江輸出加工区】上海松江輸出加工区は A 区と B 区から構成される。A 区は第一期計画の
範囲内に位置し、2000 年 4 月 27 日に国務院によって設立が許可された。計画面積は 2.98
㎞ 2 で、現在すでに開発が基本的に完了している。
2003 年 12 月末の時点で、誘致された外資企業はあわせて 55 社で、投資総額は 7.3 億ド
ルに達し、現在では毎年 50 億ドルあまりの輸出量となっている。進出企業のうち、広達電
脳を中心とする電子情報製造産業が A 区の主要産業で、その主要製品はノートパソコンで
ある。A 区の開発のスピードがはやかったため、新たに進出する企業のニーズを満たすため、
2003 年 3 月 14 日に国務院によって松江輸出加工区 B 区が許可を受けた。松江輸出加工区 B
区は松江区西部に位置し、計画面積は 3 ㎞ 2 で、松江新城(地域)と松江大学城(大学を中
心にした地域)に近接している。上海-杭州高速道路と同三高速道路<黒龍江省同江~海南
省三亜の高速道路>がここで交わっており、地理的位置に恵まれ、交通の便はよい。松江
輸出加工区 B 区は、IC 産業に組み合わさった輸出型企業及びその他の輸出を中心とするハ
イテク企業の発展を重点とする。松江輸出加工区は完全なる封鎖管理が実施されており、
松江輸出加工区内に税関、商業検査、税務、工商、銀行、対外貿易、輸送、通関等が全て
そろい、進出企業は松江輸出加工区内で一切の輸出入手続きを行うことができる。
現在、松江輸出加工区では貨物の輸出入通関物流時間はわずか 4 時間であり、先進国並
みの水準を具備している。松江輸出加工区の全体目標は、全国ないし全世界の重要な IT 産
業生産基地、一流の現代的工業パークとなり、海外投資者が大いに事業を発展させ、投資
して企業を起こすための場所を提供することである。
【金橋輸出加工区(南区)】2001 年 9 月に国務院の許可を得て設立された、税関が監督管
理する特殊地域であり、輸出加工区の各種優遇政策が適用される。この輸出加工区は上海
金橋(集団)有限公司が開発、建設に当たっている。当公司は上海金橋輸出加工区(南区)
管理委員会ならびに浦東税関の金橋輸出加工区(南区)駐在事務室の許可を受け、監督管
理区内の企業にサービスを提供することとなった初めての物流公司である。上海空港貨物
代理(AAS)、空港税関との密接な協力により、南区進出企業は「航空輸入貨物直通式通関」
サービスを受けることができるため、物流速度の最も早い輸出加工区となっている。
【青浦輸出加工区】2003 年 3 月に国務院の許可を受けて設立された。税関が監督管理する
特殊地域であり、計画面積はあわせて 3 ㎞ 2。上海市街地の西部に位置し、上海市レベルの
工業パークである青浦工業パークの計画範囲内にある。北は秀横路に至り、西は同三国道
に近接し、東には油墩港があり、南で北青路に隣接しており、交通の便はよい。
青浦輸出加工区では完全なる封鎖管理が実施されており、青浦輸出加工区内に税関、商
業検査、税務、工商、銀行、対外貿易、輸送、通関等が全てそろい、進出企業は青浦輸出
加工区内で一切の輸出入手続きを行うことができる。青浦輸出加工区の貨物輸出入に必要
な輸出入物流時間は先進国並みのレベルに達している。青浦輸出加工区はケーブルテレビ
監視制御システムを採用して、出入口や周辺の囲いに対する 24 時間の全天候監視制御を実
施している。青浦輸出加工区に入る車両、人員には通行証を発行して、通行証に基づき青
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浦輸出加工区への出入りを管理することで、企業の安全を確保している。青浦輸出加工区
には数社の金融サービス機関があり、当区のために各種の金融サービスを実施している。
また青浦輸出加工区には、様々な構造の標準的工場建物、水道、電気、通信、雨水・汚水
等のインフラが整っており、九通一平<電力、ガス、蒸気、道路、通信、上水道、下水道、
天然ガス、ブロードバンド完備+整地済み>を実現して、企業のニーズを満たしている。
青浦輸出加工区附近には、企業従業員のマンション住宅区が建造されている。住宅街に
は食堂、レストラン、商業サービス、文化、娯楽、スポーツ・レクレーション施設が建設
され、不動産管理チームが配備されている。当区は、「双方向で選択し、優れた者を採用す
る」雇用メカニズムを具え、オープンな人材市場があって、人材交流市場、人才資源デー
タベースを持つ。青浦輸出加工区内企業が従業員を雇用する際には、輸出加工区管理委員
会の総合管理処に届け出るだけでよく、後続の手続きは受理人員が全て請け負っている。
【漕河涇輸出加工区】漕河涇輸出加工区は、漕河涇開発区に新たに成立した浦江ハイテク
パーク内に位置する。一期の建設面積は 0.9 ㎞ 2 で、2004 年 3 月 1 日に正式に閉鎖運営が開
始された。
2005 年、漕河涇輸出加工区の工業総生産は 389.2 億元で、前年比で 1.8 倍増え、輸出総
額は 45.8 億ドルで、前年比で 3 倍増え、輸入総額は 28.6 億ドルで、前年比で 78%増えた。
2006 年の上半期のパークの輸出入総額は 50.94 億ドルで、前年同期比で 63.25%増えた。こ
のうち輸出額は 34.15 億ドルで、前年同期比で 75.34%増えた。現在、パークの輸出入総額
は上海市の輸出入総額の 2%を占め、全国の輸出加工区の輸出入総額の 13%近くを占めてお
り、全国の三大輸出加工区の 1 つとなっている。
漕河涇輸出加工区は、20 年近くにわたりハイテク産業の発展をはかってきた加工区の優
位性に依拠し、「一回の計画を段階的に実施し、勢いをつけて開発を行った後、各部を安定
して推進する」との方針のもとに、
「環境保護第一」を謳って、加工区の地表水、騒音、緑
化保護の目標や措置を打ち出している。また、集約的な発展戦略を重視し、土地の集約化
率を高めている。そして、科学技術面でのイノベーションを突破口として産業と輸出構造
の改善を推進しており、英業達集団の IT 産業を主導産業として、より多くの付属産業の進
出を誘致しており、徐々に産業リンケージを整え、主要産業と補助的産業の好ましい、イ
ンタラクティブな発展を促進しつつある。
漕河涇輸出加工区は、スピーディな通関形式の運用により、国内物資の輸出加工区への
搬入については「まとめて登録し、必要に応じて輸送し、即時に検査を行い、集中的に通
関を行う」ことで、企業の「在庫ゼロ」の管理目標達成を助けており、企業は引渡し速度
の面ではトップクラスの位置を占めている。また漕河涇輸出加工区では、現場での事務取
扱いを実施して、企業のために実際の問題の解決をはかっている。また、管理委員例会制
度を作って、加工区の作業の効率、効果を向上させている。
現在、漕河涇輸出加工区では、ハイテク電子通信、IT 企業の集中の雛形ができている。
2005 年末の時点で、パークには重要な外資プロジェクトが 7 件誘致されているが、中でも
中心的企業である英業達集団はパークで投資して 4 社の企業を設立している。その製品は
ノートパソコン、サーバー、携帯電話、無線のパーソナル・デジタル・アシスタント、パ
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ソコン辞書等の製品に及んでおり、これが漕河涇輸出加工区のハイテク製品の輸出の主体
となっている。
【閔行輸出加工区】2003 年 3 月 10 日、国務院の許可を受けて、工業区内に設立された輸出
加工区(上海閔行輸出加工区)であり、一期の計画面積は 3 ㎞ 2、そのうちの 2 ㎞ 2 は 2003
年 11 月に正式に閉鎖運営が開始された。
【上海市工業総合開発区】上海市工業総合開発区は A 区と B 区に分かれており、そのうち A
区は計画面積が 33.38 ㎞ 2 で、区内には工業区のほか面積 3 ㎞ 2 の国家レベルの閔行出口加
区が設けられている。これは上海市で唯一の、工業区と輸出加工区を同時に具備した大型
のパークである。
漕河涇輸出加工区は 10 年にわたる発展を経てすでに、電子・情報産業、現代的バイオ・
医学産業、ハイテク素材産業、送配電設備産業等の基幹的産業が徐々に形成されつつある。
2003 年末の時点で、当区に進出した外資企業は 77 社で、投資総額は 15.4 億ドルあまりに
達し、アメリカのゼネラル・エレクトリック、ドイツの SGL カーボン、日本のパイオニア、
日本の松下、日野自動車、日本の摩擦材のエクセディ、ドイツのフィルターのマーラー、
ドイツのエアバックの AUTOLIV、ドイツの Lemfoerder、ギリシャの Plastika Kritis、
中国の普天、上海の雷允上薬業、双菱 TCL 空調集団、柘中電器集団、浙江慈興軸承集団等、
世界のトップ 500 及び国内外の著名な企業がすでに相次いで当区に進出している。
4)市レベルの主な開発区
2001 年 2 月、上海市は、「東西南北」の四大産業基地を建設するという新しい戦略目標
を打ち出した。東部をマイクロ電子の産業基地、南部を石油化学工業基地、北部を精密鉄
鋼基地、西部を上海国際自動車城とし、これが共同で上海の「東西南北」四大産業基地を
構成するという目標である。この戦略に基づく主な開発区を次にあげる。
【上海化学工業パーク】上海化学工業パーク(略称は化学工業パーク)はもとの上海化学
工業区であり、計画面積は 2902ha で、石油化学工業と精密化学工業を主要産業とする。
2006 年、化学工業パークの開発土地面積は累計で 1747ha となり、土地開発率は 60.2%と
なった。賃貸が許可された土地面積は 71ha で、累計で 684ha、企業の建設が完了した土地
面積は 217ha で、累計で 514ha、土地の建設完了、使用開始率は 31.73%である。年間の工
業総生産は 334.36 億元で、前年比で 103.25%増え、工業売上げは 324.14 億元で、前年比で
101.98%増え、納税額は 18.06 億元で、前年比で 230.16%増えた。輸出入総額は 4.28 億ドル
で、前年比で 3.88%増え、輸出額は 2.52 億ドルで、前年比で 90.91%増えた。誘致された外
資プロジェクトは 7 件で、累計では 40 件となった。契約外資は 0.79 億ドルで、累計では
17.66 億ドルとなり、実際に利用された外資は 2.10 億ドルで、累計では 16.71 億ドルとな
った。進出した国内資本プロジェクトは 4 件で、累計では 40 件となり、登録資本は 0.02
億元で、累計では 88.45 億元となった。
2006 年は、化学工業パークの主体プロジェクトの完成、使用開始件数が最も多い 1 年と
なった。備蓄投資総額 16 億ドルの新しいプロジェクトのうち、中石化三井のビスフェノー
ル A、dishman 医薬の中間体等のプロジェクトも進出し、天原華勝の二期、3M 粘着剤、華
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誼の Anhydride(一期)、ABS プラスチック(一期)等のプロジェクトでも相次いで契約が
締結された。
年末の時点で、化学工業パークにはあわせて 66.3km の道路、70.3 ㎞の工業用水管路、45.8
㎞の生活用水管路、29.5km の電力管路、233 ㎞の公共材料の管路が完成していた。化学工
業の危険物焼却炉は、国の発行する経営許可証を取得して試運転を開始している。余熱発
電所プロジェクトでは、土木建設施工と設備の据付が完了し、人工湿地水循環システムの
基礎建設も基本的に完了し、生態防護林帯プロジェクトも全面的な建設段階に入っている。
年末の時点で、化学工業パークではあわせて 68 社の企業が登録して成立しており、3,434
人の従業員が働いていた。
【嘉定工業パーク】嘉定工業パーク(略称は嘉定パーク)には、嘉定実験パーク(嘉定輸
出加工区を含む)と外崗工業パークの 2 つのエリアが含まれ、その計画面積は 6254.50ha
である。F1 国際自動車レース会場もこの中にある。
主要産業は、自動車部品、精密機械製造、光電子。2006 年の年間の工業総生産は 378.5
億元で、前年比で 14.8%増え、工業売上げは 378.84 億元で、前年比で 14.8%増え、第三次
産業の営業売上げは 74.55 億元で、前年比で 24.1%増え、納税額は 17.56 億元で、前年比で
54%増えた。輸出入総額は 23.87 億ドルで、前年比で 108%増え、輸出額は 23.87 億ドルで、
前年比で 108%増えた。誘致された外資プロジェクトは 131 件で、累計では 610 件となり、
契約外資は 4.25 億ドルで、累計では 29.22 億ドルとなり、実際に利用された外資は 1.64
億ドルで、累計では 8.10 億ドルとなった。進出した国内資本プロジェクトは 111 件で、累
計では 3500 件となり、登録資本は 6.66 億元で、累計では 73.4 億元となった。9 月には、
日本のヤクルトグループの上海益力多乳品有限公司が嘉定実験パークで生産を開始した。
12 月 27 日には、嘉定輸出加工区の一期が上海税関の予備検収を通過した。年末の時点で、
嘉定パークには一定規模以上の工業企業<全ての国有工業企業と年間売上高 500 万元以上
の民間工業企業>が 397 社あり、従業員は 78414 人であった。
【嘉定自動車産業パーク】嘉定自動車産業パーク(略称は嘉定自動車パーク)には、南翔
ハイテクパーク、黄渡工業パーク、国際自動車城部品工業パークの 3 つのエリアが含まれ、
計画面積は 2263.52ha。
主要産業は、自動車部品、機械製造、電子電器。2006 年、南翔ハイテクパークの土地開
発面積は 12ha で、累計では 785ha、土地開発率は 89.3%であり、賃貸を許可された土地面
積は 76ha で、累計では 277ha であり、企業建設が完了した土地面積は 59ha で、累計では
277ha、土地の企業建設完了率は 100%であった。年間の工業総生産は 51.30 億元で、前年比
で 60%増え、工業売上げは 50.26 億元で、前年比で 31.2%増え、第三次産業の営業売上げは
0.27 億元で、前年比で 68.7%増え、納税額は 1.52 億元で、前年比で 60%増えた。輸出入総
額は 0.88 億ドルで、前年比で 51.7%増え、輸出額は 0.88 億ドルで、前年比で 51.7%増えた。
誘致された外資プロジェクトは 6 件で、累計では 78 件となり、契約外資は 0.11 億ドルで、
累計では 2.67 億ドルであり、実際に利用された外資は 0.3 億ドルで、累計では 0.94 億ド
ルとなった。進出した国内資本プロジェクトは 12 件で、累計では 306 件となり、その登録
21
資本は 1.18 億元で、累計では 14.51 億元となった。
年末の時点で、嘉定自動車パークには一定規模以上の工業企業<全ての国有工業企業と
年間売上高 500 万元以上の民間工業企業>が 294 社あり、従業員は 4 万 1,146 人であった。
【松江工業パーク】松江工業パーク(略称は松江パーク)には、松江実験パーク(松江輸
出加工区を含む)、松江工業パーク石湖蕩パーク、練塘緑色工業パークの 3 つのエリアが
含まれ、計画面積は 6373.00ha である。
主要産業は、電子、機械、新素材。2006 年、松江実験パーク(松江輸出加工区を含む)
の土地開発面積は 53ha で、累計では 4,558ha、土地開発率は 76.2%となり、賃貸を許可さ
れた土地面積は 233ha で、累計では 3,101ha となり、企業建設が完了した土地面積は 29ha
で、累計では 2,239ha、土地の企業建設完了率は 72.2%となった。年間の工業総生産は 1938.94
億元で、前年比で 16%増え、工業売上げは 2042.66 億元で、前年比で 25.8%増え、第三次産
業の営業売上げは 69.35 億元で、前年比で 33.9%増え、納税額は 33.31 億元で、前年比で
85%増えた。輸出入総額は 359.33 億ドルで、前年比で 3.4%増え、輸出額は 183.92 億ドルで、
前年比で 9.5%増えた。誘致された外資プロジェクトは 74 件で、累計で 1018 件となり、契
約外資は 4.27 億ドルで、累計では 55.14 億ドルとなり、実際に利用された外資は 5.37 億
ドルで、累計では 37.35 億ドルとなった。進出した国内資本プロジェクトは 108 件で、累
計では 1058 件となり、その登録資本は 9.44 億元で、累計では 85.59 億元となった。
1 年の間に、松江実験パークでは、投資総額 9900 万ドルのアメリカの ProLogis のプロジ
ェクト、投資総額 1300 万ドルのインペリアル・ケミカル・インダストリーズ(ICI)の研
究開発本部プロジェクトが誘致された。また、1 年の間に、あわせて 18 社の企業が研究開
発センターを設立した。年末の時点で、松江パークには一定規模以上の工業企業<全ての
国有工業企業と年間売上高 500 万元以上の民間工業企業>が 448 社あり、従業員数は 21 万
1,246 人であった。日立電線、ミノルタ、松下電工など日系企業の進出が多い工業区である。
【莘荘工業区】莘荘工業区は瀘閔道路に隣接しており、もとの莘北工業区と申莘工業区を
基礎としている。莘荘工業区は「国家生態工業園区」(エコタウン)として上海で初めて批
准を受けている。
莘荘工業区は、南は顓橋横沙河から北は顧戴路に至り、東は瀘閔路、七莘路を境界とし、
西は沙港、竹港を境とし、その土地占用面積は 13.65 ㎞ 2。地理的位置に恵まれ、交通の便
はよく、運輸呑吐量は大きい。七莘路、瀘閔路に連なる国道 320、318 号線は全国の各大都
市に至り、顧戴路、外環状線、瀘青平公路、瀘閔路莘荘立体交差橋、地下鉄はそれぞれ市
の中心と近隣の各県をつないでいる。上海の虹橋国際空港は工業区の最も近い場所からは
7.8 ㎞、最も遠い場所でも 15 ㎞の距離にある。瀘寧、瀘杭の 2 本の主要幹線は、華東沿海
地区の鉄道輸送の主要ルートである。新龍華貨物輸送編成駅は工業区からわずか 2 ㎞の距
離にある。地下鉄一号線が莘荘へ至った後、閔行まで伸びる電車が本工業区の東側を通っ
ている。不凍結港黄浦江は幅 800m であり、莘荘工業区は 8 つの 1 万 t 級のバースを持つ関
港埠頭からわずか 6 ㎞の距離にある。張華浜国際コンテナ埠頭からは 36 ㎞の距離にある。
莘荘工業区は、上海市の古くからの工業基地であった閔行区内にあり、機電、宇宙、化
学工業、ゴムの四大基幹産業に依拠し、虹橋、漕河涇等の国家レベルの経済開発区とも隣
22
り合っていて、こうした開発区の持つ企業を集める力、影響力を利用することができる。
同時に、莘荘工業区は他にはない労働力資源面での優位性を持っている。
工業区附近の上海交通大学閔行分校、華東理工大学、上海師範大学、上海農学院、機械
高等専科学校等 20 あまりの高等教育機関は、工業区によって中レベル、高レベルの各種人
材の供給源である。また、市街地人口の大規模移動の主な集散地の 1 つである閔行区では、
人口が毎年 4 万から 5 万の数で増えており、閔行区の東側は不動産の重要な開発基地とな
っていて、今後はここが数十万の人口を有する市街区となる。更に古くからの工業基地に
は実践の経験を豊に持つ熟練した技術労働者がいるため、工業区の一般的な労働力資源も
非常に豊富である。
莘荘工業区では、開発建設の初めから、閔行区政府の上層部が専門家とともに工業区の
全体的な配置、施設建設、産業の発展について全面的に計画を立て、機能別の位置づけを
行い、工業、商業及びユーティリティ、緑化建設の計画の枠組みを形成し、高いスタート
ラインを基準として一流のインフラを建設した。現在、地域にはすでに移転用の建物が 39.4
万㎡建設されており、道路、水道、電気、ガス、通信も全面的に建設され、縦横に走る幅
45m の主要幹線道路が工業区を国道 320 号線と接続して一体となしている。また、特別に架
設された 22 万ボルトの変電所と 4 ヶ所の 3.5 万ボルトの変電所が、工業区の企業と生産の
ために十分な電力を供給してくれる。水道、プログラム制御の電話等、必要なものは全て
揃い、生産や生活に用いられるガス、蒸気も必要を満たしている。1 日の汚水処理量は 2.5
万 t、1 日のガス供給量は 15~20 万㎥で、供給ステーションはすでに稼動を開始している。
熱供給量は 70t/時間である。電話の容量は 2,000 ゲートで、高速データ通信条件も整い、
すでに投入されたユーティリティ施設建設資金は 2.1 億元、プロジェクト建設資金は 4 億
元である。これは市レベルの工業区にはあまり見られない規模である。
莘荘工業区は、ハイテクで、高付加価値で、汚染のない産業を発展の方向とし、電子、
バイオテクノロジー等の上海市の六大基幹工業を主な発展の方向としている。閔行区は、
企業誘致、資本誘致の法規を制定し、整備して、莘荘工業区に対して政策的なサポートを
行っている。区政府は、工業区の範囲内の土地の賃貸料収入、土地の有償使用料等 5 つの
面で優遇政策を行って、工業区の活力を増強しようとしている。同時に、各鎮や街道<町
内会組織>が工業区の開発建設に参与するよう、様々な奨励措置を定めている。現在、一
部の鎮、村の工業区における開発プロジェクトがすでに 30 あまりあり、区、鎮、村が市レ
ベルの工業区に全面的に進出するという開発の形が形成されている。
1998 年 9 月の時点で、工業区の地域内にはすでに生産性の企業が 102 あり、年間の総生
産は 45.2 億元に達していた。このうち三資(独資、合資、合作)企業は 75 で、契約によ
り誘致された外資は 6.5 億ドルであった。地域に進出した国際的に著名な多国籍企業には、
日本からもダイキン工業、サントリービール、大日本インキなどが進出している。タイの
正大集団、フランスの Rhone-Poulenc、台湾の大霸、ドイツのサックス等がある。すでに誘
致された企業は電子、精密化学工業、バイオ医薬、工業金型等の業界が中心で、かなり高
い技術水準を体現するとともに、かなりの生産規模を有していて、今後の開発に望ましい
基礎が築かれ、工業区は企業、資本誘致面で比較的有利な情況を具備している。
23
莘荘工業区の他に類を見ない地理的位置と基本的規模を備えた付属建設は、間違いなく
工業区で最も魅力的なハード環境である。しかし、優遇された地価と豊富な人材資源はさ
らに魅力的である。莘荘工業区は漕河涇技術開発区から 4km の位置にありながら、地価は
漕河涇技術開発区の三分の一、浦東開発区の二分の一である。人才資源については更に特
別で、各種の専門的な技術者がいずれもそろっている。ハイテク産業の開発により、今後
更に多くの人材が莘荘工業区で発展をはかることは間違いない。
5)その他、市レベルの主要開発区
このほか、市レベルの開発区としては、情報通信、生物医薬、最新繊維新素材、精密機
械加工を中心とした「青浦工業区」
、鉄鋼製品の圧延加工、最新機械の製造やコンテナ運輸
設備、船舶部品を中心とした「宝山工業区」、化学工業、化学顕在、食品加工を中心とした
「金山工業区」、電子機器、自動車部品、新型建材を中心とした「浦東康橋工業区」、紡績
化繊、製紙、顕在、製薬を中心とした「星火開発区」など、多種多様な開発区が存在して
いる。特筆すべき工業区としては「崇明工業区」があげられる。伝統的に船舶修理業や食
品製造業が主であるが世界初の「生態都市」(エコシティ)建設に向けて動き出している。
崇明島は、経済発展の著しい上海にあって市の面積の 1/6 を占め、面積は 1,164km2 で東西
76km、南北 13~18km の細長い砂洲島であるが、これまでは隔離された場所にあったため経
済発展が遅れていたが、これによって環境産業の発展が期待される。また、上海交通大学
と華東師範大学が立地し、これら大学や研究機関が中心となって「紫竹科学パーク」を形
成している。ここはシリコンバレーを発展させたスタンフォード大学や、筑波学園都市の
中核となっている筑波大学といった先進国の例に倣って、情報、新素材、バイオや近代農
業を中心とした産学連携によるサイエンスパークをめざしている。北京大学や清華大学が
中心となって作り上げた北京の中関村サイエンスパークも意識しているものと思われる。
5.3.2 新たな開発が期待される老港地区
浦東地域には、浦東新区とその南に位置する南汇区があるが、最近新たな動きとして老
港鎮にリサイクル基地をつくる動きが活発化している。
もともと、この鎮(町)は東シナ海に面する漁港であったが、近年に入り、もっぱら上
海市民から出る生活ゴミの埋立地として利用されてきた。この市の関連企業が運営する廃
棄物処理公司老港処理場は、市の中心部から東南に約 60km 離れた東海の海岸に位置し、全
国ないし東南アジアで最大のゴミ処理場で、毎日上海市街地の 70%の生活系廃棄物、約
7,700t あまりの廃棄物の処理を担当している。現在、老港埋立処理場には 3 つの埋立区が
あり、320ha の埋立面積を持つ。2003 年末には、56 の作業ユニットの全てが最上部まで埋
め立てられた。
この上海市廃棄物老港処理場の 5000 ムー(1 ムーは約 667 ㎡)のゴミの浜の上に、今後、
美しい超大型の生態テーマパークを完成させる。「廃棄物芸術」をテーマに、未来主義に満
ちた、生き生きとした大型の生態テーマパークで、プルトップ缶で構成される巨大な恐竜、
24
旋盤クレーンを改装した現代彫刻、不思議な色彩に満ちた巨人樹区などである。もともと
何の価値も認められなかったゴミが、神秘的な再加工を経て、いずれも見事な芸術品に変
らせようというコンセプトだ。また、1 年に 1 度、都市固体廃棄物利用フォーラムを開催し、
公開の展示と競売のイベントも実施される計画もある。
もともと臭くてたまらなかったゴミの上に公園を作るわけだが、当局者の課題は参観者
にどのようにして美しくすがすがしい環境を提供するかである。その秘密は緑化であると
考えている。建設予定の 2500 ムーの大型緑地が、空気を浄化するばかりでなく、有害なガ
スを吸収し、地下のゴミを殺菌する不思議な働きを果たすはずだと考えている。生態パー
クが完成すると、そこは防風林帯ゾーン、速生ポプラ林ゾーン、幼苗繁殖ゾーン、盆栽花
卉ゾーン、カラー植物ゾーン、巨人樹ゾーン等十大緑化特色ゾーンに分けられ、訪れた人々
は森林と海風の中に身を置き、大自然の新鮮な空気を享受することができるというわけだ。
それとの抱き合わせで、同地区には廃棄物の大型リサイクル基地も建設しようという計
画だ。リサイクル基地にどのようなリサイクル設備や処理施設を建設するかについては、
まだマスタープランづくりの段階であるが、様々なリサイクルプラントを設置する予定で
あるという。近くには植物公園や遊園地もあり、ディズニーランドの誘致も行っている。
この地域を上海市民の娯楽の中心地にしたい計画であるが、それだけに環境衛生対策につ
いては失敗が許されない。
5.4
浦東新区の概要と特徴
5.4.1
浦東新区の位置と組織
上海の中心を流れる“母なる河川-黄浦江”の東に位置することから、南京路など旧市
街地の浦西に対してこの地域を浦東と呼ぶ。浦東はかつて浦西の川向うに広がる水田地帯
であり、貧しい農民と漁民の住む地方であった。それが 1990 年に動き始めた「浦東地区開
発国家プロジェクト」により様相は一変した。このプロジェクトは 1992 年の鄧小平氏によ
る「南巡講和」によって加速がつき、浦東は一気に中国を代表する経済・金融・貿易の中
心地になった。かつて浦西と浦東との往来には渡し船を使うしかなかったが、今では 10 本
の橋やトンネルそれに地下鉄が往来するようになり、さらに 11 本の建設を予定している。
1999 年には国際ハブ空港の浦東空港がオープンし、空港と浦東中心部はリニアモーターカ
ーで結ばれている。2010 年の上海万博の開催地でもあり、急ピッチで開発が進んでいる。
常住人口は約 300 万人。面積は約 570 km2 でほぼ東京 23 区と同じ面積である。2007 年の
GDP は、前年比 14.4%増の 2,750 億元で上海全体の 1/4 近くを占め、外資導入額が市全体
の半分を占める。因みに、2008 年の GDP は 3,200 億元(約 4 兆 4,800 億円*1 元=14 円)
に達する見込みだ。
浦東新区政府は 1993 年 1 月に発足した上海市に所属する一行政区であるが、1997 年 9
月に開催された中国共産党第 15 回大会では「浦東新区が引き続き体制創新、産業グレード
アップ、開放の拡大等の面で先頭に立って、全国においてモデル的、輻射的な先導な役目
を果たす」との決定が行われ、中国政府の最も重要な対外開放戦略として位置づけ、副省
25
級市並みの大幅な独自の制度の改革や政策措置の実施権を中央政府から認められている。
さらに、2005 年 6 月、国務院によって対外開放のための“総合関連改革実験の先行”が許
可された。(*上海市は直轄市のため省レベルのランクとなる。地元では浦東新区を一般区
より高い 1.5 級区と呼んでいる。従って、浦東新区は江蘇省蘇州市と同等以上のランクと
なる。尚、市・県は日本とは逆で市のほうが県より上のランクとなる。)
前述したように、浦東新区には陸家嘴金融貿易区、金橋輸出加工区など4つの国家レベ
ル開発区を有し、2007 年末時点での浦東新区に進出した外資系企業は 15,746 社におよび、
日系企業も 2008 年 10 月末時点で 2,374 社が進出している。因みに、日本企業は香港に次
いで 2 番目に進出が多く、以下、アメリカ、台湾、シンガポールと続く。
また、浦東新区では2005年、地域の都市整備と行政サービスの一括管理と重点地域を効
率的に先行発展させるために、陸家嘴金融貿易区、張江ハイテクパーク、金橋輸出加工区
と外高橋保税区が立地する4つの地域を功能区(行政区)と制定し、
「工作委員会」
(共産党
組織)とともに、財政、経済、貿易、都市建設、環境保護等の計画・管理、それに3,000 万
ドル以下の許可案件を担当する外資導入審査・許認可等を担当する「管理委員会」(行政)
を設置した。例えば、金橋功能区の区域は金橋輸出加工区を中心に金橋鎮、曹路鎮の2鎮お
よび滬東街道、金楊街道、浦興街道の3街道によって構成され、総面積は94.52k㎡である。
その後、この4つの機能区の他に、三林万博機能区と川沙(空港)機能区が加わり現在では
6機能区となっている。
行政部門としては人民政府弁公室(官房)、監察委員会、人事局、発展計画委員会、経済
委員会、科学技術委員会(情報委員会、知的所有権局)、労働社会保障局、社会発展局、環
境保護市容衛生管理局、文化ラジオテレビ管理局、財政局、審計(会計監査)局の 12 部門
が、機構としては、司法局、台湾事務弁公室、華僑事務弁公室、上海市浦東新区品質技術
監督局、浦東新区民防弁公室などがある。
26
浦東新区全体地図
外高橋保税区
★南京路
金橋輸出加工区
(中心街)
陸家嘴金融貿易区
張江ハイテクパーク
★万博会場
★浦東空港
図表 5.4-1 浦東新区内の開発区等の位置図
*「郷」と「鎮」と「街道」は中国の最少行政機構で、三者の行政ランクは全く同じだが、
一般的に鎮(町)が郷(村)より発達し、工業の比重が高く人口も多い。また、郷、鎮に
は農業従事者が多かれ少なかれ居るが、街道にはほとんどいなく都市戸籍(中国には都市
戸籍と農村戸籍があり農業従事者は都市で基本的に居住できない。この両者の差別をなく
すよう意見も多いが未だ解決されていない。)が多い。尚、郷、鎮には政府と民事法廷はあ
るが、街道には警察派出所はあるものの法廷はない。
5.4.2 浦東新区の環境行政関連機関と職能
次に、浦東新区の行政関連機関のうち、環境行政と関係のある機関とその役割につい
て紹介する。例えば、環境監察支隊は工場から排出される廃水や危険廃棄物などを厳しく
監視するため、違法な操業をしている工場責任者からは恐れられている。公正さと厳格さ
を要求される機関である。
1)浦東新区都市管理総合執法弁公室
主な職能は以下の通りである。
国や上海市ならびに浦東新区の、都市景観、都市の様相を主な内容とした、都市の景観
環境衛生、緑化、道路・鉄道の管理、水道業務、環境保護、公安、工商、企画、不動産等
に関する法律、法規、規則をよく宣伝し、徹底的に実行する。浦東新区の範囲内の法律、
法規、規則に違反する行為を監察、受理し、事件を検挙し、法に基づき行政処罰を与える。
27
2)浦東新区都市景観管理署
主な職能は以下の通りである。関連の法律、法規に基づき、
①主に浦東新区の都市景観、都市の様相の計画、基準等の制定、指導業務を担当し、また
建設的、規範的な意見を提示する。
②責任を持って、景観照明、都市の彫塑について計画を作成する。
③責任を持って、景観照明、都市の彫塑の建設及び業界管理、調整業務を行う。
④責任を持って、大型の屋外広告、一時的な屋外広告の都市景観面の日常的な許認可業務、
監督管理業務を実施する。責任を持って歩行者の指示表示等の日常的な審査、監督管理
を実施する。
3)浦東新区水域環境衛生管理署(浦東新区都市景観環境衛生管理署)
主な職能は以下の通りである。
①国、上海市、浦東新区の、都市景観環境衛生業務に関する法律、法規、規定、方針、政
策を宣伝し、徹底する。
②浦東新区都市景観環境衛生行政主管部門が都市景観と環境衛生の全体計画および中長期
計画を作成するのに協力し、各機能区域の都市景観環境衛生企画業務を指導し、年度計
画を制定して組織、実施する。
③責任を持って、全区の景観環境の衛生管理につき監督、検査を実施し、また、責任を持
って、全区の都市景観環境衛生の各種創建業務計画を起草するとともに、それを組織、
実施する。
④責任を持って、各機能区域所属の街鎮(町村)、および関連機関の都市景観環境衛生業
務を検査、指導、審査、評価する。
⑤新区の景観環境総合建設、管理業務を担当し、合同会議室の日常的管理業務を担当する。
⑥都市郊外一体化の要求に基づき、新区範囲内の都市道路、環境衛生の公共施設(公衆ト
イレ、圧縮ステーション、ごみ集積所、ゴミ箱)の清掃業界の監督管理業務を担当する。
⑦新区の機動車両の外観、車両の洗浄、都市建物の立面(店の看板、広告、広告用のぼり
を除く)のその他付属施設の整備、洗浄清掃の調整、管理業務を担当する。
⑧都市道路両側の公共施設(新聞・雑誌スタンド、郵便ポスト、バスの停留所、電子表示
板、普通表示板、タクシー乗り場)、電話ボックス)の清掃および「四大門戸」、「十
大公共場所」の環境衛生の基準達成の調整、管理業務を担当する。
⑨新区の都市部河川および区レベルの河川の都市景観環境衛生の保護管理、および郊外河
川の都市景観環境衛生の保護業界に対する監督、管理業務を担当する。
⑩新区の景観河川緑化の総合的保護管理業務を担当する。
⑪景観環境建設の各種基準達成、創建活動を担当する。
⑫新区の重要な活動、祝祭日イベント期間の景観環境保障業務をリードし、調整を図る。
⑬浦東新区の環境保護都市景観局から任されたその他の関連業務を担当する。
4)浦東新区固体廃棄物管理署 (浦東新区都市景観環境衛生料金管理センター)
28
主な職能は以下の通りである。関連の法律、法規に基づき、
①主に新区の廃棄物の収集、運搬、処理の全過程に対する管理を担当する。
②廃棄物の中継、処理施設の建設、管理を担当する。
③建築残土の申告、運搬、処理の管理を担当する。
④新区のゴミ料金の管理を担当する。
⑤環境保護都市景観局の都市景観環境衛生苦情センターの日常的管理業務を担当する。
5)浦東新区環境監察支隊
主な職能は以下の通りである。関連の法律、法規に基づき、
①主に各種汚染源、海洋ならびに自然生態環境の監督管理と検査について責任を負う。
②工業汚染源ならびに処理装置、工程について検査を行う。
③各種汚染事故、トラブルについて調査を行って処理に当たるとともに、国家環境保護部
の汚染物質排出費徴収管理方法の規定に基づき汚染物質排出費を徴収する。
④各レベル政府およびその環境保護主管部門が出した処罰規定を執行する。
6)浦東新区環境モニタリングステーション
主な職能は以下の通りである。関連の法律、法規に基づき、
①浦東新区の環境の質と汚染源の監督、モニタリング、汚染事故、トラブルの仲裁モニタ
リング、一般から委託されたモニタリングを担当する。
②責任を持って、浦東新区の環境管理と政策決定のために確かな依拠を提供する。
③責任を持って、社会一般と市民のためにモニタリングサービスを提供する。
7)浦東新区環境科技情報管理センター
主な職能主な職能は以下の通りである。関連の法律、法規に基づき、
①環境保護都市景観局の科学技術、情報化管理の規範性文書、中長期発展計画、プロジェ
クトガイドと実施計画について担当する。
②科学技術、情報化プロジェクトの日常的管理を担当し、プロジェクトの申請、評価審査、
立件、調整、監督、検収等の業務を組織するかこれに参与する。
③局系統の従業員の教育、業務関係の研修の業務を担当する。
④局事務室に協力して、局全体の宣伝業務の組織調整と管理を行う。
⑤責任を持って、局の陳情・投書サービスセンターのネットワーク組織の関係を調整、整
備して、陳情・投書のデータと分析報告を提供し、監督と調整に力を入れる。
⑥局の情報公開について責任を持つ。
⑦局所属の建物等固定資産の管理について責任を持つ。
8)浦東新区緑化管理署(浦東新区環城緑帯建設管理署、浦東新区林業ステーション、浦東
新区野生動物保護管理ステーション、浦東新区森林植物検疫ステーション)
主な職能は以下の通りである。
29
①緑化ならびに林業業務に関する方針、政策ならびに法律、法規を宣伝し、徹底し、執行
する。
②新区の緑化林業行政主管部門に協力して、緑化、林業の全体的発展計画、年度計画なら
びに緑化、林業業界管理実施細則を作成し、その実施を指揮する。
③新区の緑化林業行政主管部門に協力して、全区で一般を対象とした緑化林業の宣伝、モ
ラルの良好な業界の創建、功労コンテスト、全民ボランティア植樹等の業務を展開し、
緑化林業の科学技術を広め、緑化林業の業界研修を実施する。
④新区の緑化林業主管部門に協力して、緑化、林業行政の各種許可事項の業界監督管理業
務を確実に行い、局の委託を受けて、野生動物に関する執法業務を確実に行う。
⑤緑化林業の審査、評価等の業務を組織、実施する。
⑥新区の大型緑地、公園(町を取り巻くグリーンベルト等を含む)の建設管理および大型
緑地、林地の補助プロジェクトの監督管理、審査を組織、実施し、新区範囲内のその他
の緑(林)地建設に対して業界管理を実施する。
⑦新区の環状線両側のグリーンベルト(迎賓用グリーンベルトを含む)、リニアモーター
カー両側のグリーンベルト等の直属の緑化施設量に対する保守、管理業務を組織、実施
し、新区範囲内のその他の緑(林)地(生態林、400m のグリーンベルトを含む)の緑化保
守について業界管理を実施する。
⑧責任を持って、古木、名木の保護、野生動物の保護、森林防火、有害生物の警報・防御、
植物検疫、台風・洪水対策、ネットワーク管理の各種業務を行う。
⑨各種の資源調査、統計を実施し、緑化林業資源の保存資料を構築するとともに、動態的
に更新、管理を実施する。
⑩浦東新区緑化委員会弁公室の日常の管理業務を担当する。
⑪浦東新区の緑化林業行政主管部門から任されたその他の業務を成し遂げる。
5.5 金橋輸出加工区の概要と循環経済に向けた取り組み
中国を代表する循環経済都市を目指す浦東新区政府では、その第一歩を「国家生態工業
モデル園区」
(*一覧表参照 Eco-industrial Parks エコタウン)として国家から批准を受
けた金橋輸出加工区の、
「工業廃棄物再生循環利用基地」の建設から手がけようとしている。
この基地については概念的なものであるが、その中心的な機能を果たすのが「浦東新区
工業廃棄物総合処理センター」であり、このセンターは国有企業であり金橋輸出工業区に
立地する上海新金橋工業廃棄物管理有限公司(以下、新金橋工業廃棄物管理公司と略す)
の敷地内に建設されることになっている。当センター建設に際しては、新金橋工業廃棄物
管理公司に対して浦東新区政府からの支援(補助金など)がある予定だ。センターが立地
される新金橋工業廃棄物管理公司の新工場の第一期工事はこの 4 月には完成するが、全て
の建設計画が完了しているわけではない。実情に合わせて逐次プランを策定していく方針
だ。以下、金橋輸出加工区の現状の計画について説明する。
30
図表 5.4-2 国家生態工業モデル園区一覧
(中国語:国家生态工业示范园区名单:2008.8.29 現在)
一、通过验收批准命名的国家生态工业示范园区
序号
名
称
批准时间
1
苏州工业园区国家生态工业示范园区
2008 年 3 月 31 日
2
苏州高新技术产业・ 发区国家生态工业示范园区
2008 年 3 月 31 日
3
天津经济技术・ 发区国家生态工业示范园区
2008 年 3 月 31 日
二、批准建设的国家生态工业示范园区
序号
名
称
批准时间
1
贵港国家生态工业(制糖)建设示范园区
2001 年 8 月 14 日
2
南海国家生态工业建设示范园区暨华南环保科技产业园
2001 年 11 月 29 日
3
包头国家生态工业(铝业)建设示范园区
2003 年 4 月 18 日
4
长沙黄兴国家生态工业建设示范园区
2003 年 4 月 29 日
5
鲁北国家生态工业建设示范园区
2003 年 11 月 18 日
6
抚顺矿业集团国家生态工业建设示范园区
2004 年 4 月 26 日
7
大连经济技术・ 发区国家生态工业建设示范园区
2004 年 4 月 26 日
8
烟台经济技术・ 发区国家生态工业示范园区
2004 年 11 月 22 日
9
贵阳市・ 阳磷煤化工国家生态工业示范基地
2004 年 11 月 29 日
10
潍坊海洋化工高新技术产业・ 发区国家生态工业示范园区
2005 年 3 月 31 日
11
郑州市上街区国家生态工业示范园区
2005 年 4 月 21 日
12
包头钢铁国家生态工业示范园区
2005 年 12 月 8 日
13
山西安泰国家生态工业示范园区
2006 年 5 月 18 日
14
青岛新天地工业园(静脉产业类)国家生态工业示范园区
2006 年 9 月 11 日
15
张家港保税区暨扬子江国际化学工业园国家生态工业示范园区
2006 年 10 月 24 日
16
昆山经济技术・ 发区国家生态工业示范园区
2006 年 10 月 24 日
17
福州经济技术・ 发区国家生态工业示范园区
2006 年 10 月 24 日
18
无锡新区国家生态工业示范园区
2006 年 11 月 22 日
19
绍兴袍江工业区国家生态工业示范园区
2006 年 12 月 4 日
20
日照经济・ 发区国家生态工业示范园区
2006 年 12 月 29 日
21
上海市莘庄工业区国家生态工业示范园区
2007 年 1 月 19 日
22
青岛高新区市北新产业园国家生态工业示范园区
2007 年 5 月 16 日
23
扬州经济・ 发区国家生态工业示范园区
2007 年 5 月 16 日
★24
上海金桥出口加工区国家生态工业示范园区
2008 年 8 月 25 日
25
南京经济技术・ 发区国家生态工业示范园区
2008 年 8 月 25 日
26
天津新技术产业园区华苑产业区国家生态工业示范园区
2008 年 8 月 25 日
27
昆明高新技术产业・ 发区国家生态工业示范园区
2008 年 8 月 25 日
31
<浦東新区の重要政策>
浦東新区の循環経済の促進
★国家生態工業モデル園区
(エコタウン)
<金橋輸出加工区>
「工業廃棄物再生循環利用基地」の建設
<新金橋工業廃棄物管理公司>
「浦東新区工業廃棄物総合
処理センター」の運営
図表 5.4-3 浦東新区重要政策に果たす金橋輸出加工区の役割
5.5.1 金橋輸出加工区の特徴
金橋輸出加工区の概要については 5.3.1 で述べたが、ここではもう少し深堀して金橋
功能区の主要な部分を構成している金橋輸出加工区の特徴と、浦東新区政府が力を入れ
る“循環経済構築”における幾つかの政策について明らかにする。
金橋輸出加工区の運営は、国有企業である上海金橋集団有限公司が行っている。同公司
の傘下企業は 50 数社に及び、資産は 70 億元を超える。現在の総経理は、元浦東新区経済
貿易局局長(共産党書記および区委員会委員を歴任)の経歴を持ち、ここでも浦東新区政
府との親密さを伺うことができる。因みに、同公司が筆頭株主で不動産開発会社の上海金
橋輸出加工区開発股份公司(股份=株式)は上海B株に上場している。金橋輸出加工区に
はソニー、シャープ、京セラ、オムロン、リコー、日立、松下(パナソニック)
、三洋、N
EC、といった、日本を代表する名立たる大企業をはじめ日系企業 50 数社が進出している
が、同加工区への日系企業の進出が多い理由として㈱フジタが深く関わってきたことが今
回の調査で分かった。「金橋輸出加工区は日本と縁が深く、フジタと共同で作り上げてきた
地域で半分はフジタが誘致した。同社を通じて日本企業の礼儀の正しさと、仕事の真剣な
取り組みの大切さを学んだ。」(金橋集団有限公司・副総経理・潘建中氏)というとおり、
㈱フジタは平成 18 年度で上海金橋藤田連合開発有限公司を解散するまで、日本企業の誘致
に大きな役割を果たしてきた。同集団には、その他にも流通全般を担当する上海新金橋国
際物流有限公司、その傘下で主に区域内から発生する廃棄物の処理と管理を専門に担当す
る新金橋工業廃棄物管理公司など様々な企業群が存在する。
上海市政府は環境政策の重要なプランである「2006-2008 年環境保護建設三年行動計
32
画」の中で、強力に循環型経済を発展させるための方策として、重点的に金橋輸出加工区
などの“工業パークの循環型経済モデル基地を展開する”と指摘している。既に金橋輸出
加工区は循環型経済の国家モデル地区で、上海で最初に ISO14000 国際環境保護標準認定
を取った国家モデル地区である 。実際、上海市政府は昨年、金橋輸出加工区および新金橋
工業廃棄物管理公司を上海市循環経済実証事業 28 か所のひとつに指定した。
「ご覧になっておわかりのとおり、金橋ビジネスパークは名実ともに上海を代表する緑
溢れる地域となっている。同類の国家生態工業モデル園区と比べて、金橋輸出加工区は土
地の集約化利用、水資源の高効率利用、大気汚染対策、面積あたりのGDPなどあらゆる
面において優れている。」(前出、潘氏)と自慢するように、同公司のあるビジネスパーク
は快適なオフィス環境となっている。従って、金橋功能区と金橋集団との協力関係もきわ
めて密接で、浦東新区政府とも連携しながら功能区の政策を実施しているというのが現状
のようだ。
そういった中で、金橋輸出加工区は環境保護と循環経済の促進といった点で、新たな段
階に入ったといえる。これまでのような不動産サービス業を超えた世界に発信できる中国
を代表するエコタウンとしての実績づくりが求められている。これから明らかにする計画
によると、日系企業を含めた企業群の 3R対策や省エネ環境面での貢献といった側面から、
少なからず影響を与えそうな気配である。
5.5.2 金橋輸出加工区の循環経済建設計画
浦東新区政府「循環経済建設計画」の中で、同区の循環型経済の発展を力強く発展させ、
省エネを推進する主な方法として、六つの方法を発表しているが、その一つに『工業園の
循環型経済計画および関連のサポート政策の整備をスピードアップし、工業廃棄物の総合
処理再生センターの建設を積極的に推進する。そのために新金橋工業廃棄物管理公司をプ
ラットホームとする。中でも、電子廃棄物の資源化利用と廃鉱物油の再生資源化のプロジ
ェクトをスピードアップする。』と明記している。
浦東新区政府から入手した金橋輸出加工区の建設計画の資料によると、金橋輸出加工区
が国家から批准を受けた「国家生態工業モデル園区」(エコタウン)の建設は、“中国が循
環型経済を力強く推進し、エコ文明、資源節約型社会を構築する上で、自らのニーズに立
脚して選択された必然の道であり、地域経済と環境の調和の取れた発展を促進するための
重要なる手段である”と位置付けている。つまり、浦東新区政府の進める循環経済建設の
基礎を「国家生態工業モデル園区」
(エコタウン)に置いているということである。
ここでは、浦東新区政府にどのような建設計画があるのかについて説明する。尚、「国家
生態工業モデル園区」(エコタウン)の認定には国家標準が決められていて、批准を受けた
あとでも、後々の成果によっては取り消されることもある。いままで成果があったと認め
られたモデル工業園区は 3 か所(蘇州工業園区、蘇州ハイテク技術産業開発区、天津経済
技術開発区)しかなく、決して批准を受けたからと言ってずっと安心できるものではない。
尚、「国家生態工業モデル園区」(エコタウン)の批准を受けたからといって、日本のエコ
タウンのように国家から補助金が与えられるわけではないが、政策実施の際の優先順位の
33
決定等において大きく左右される可能性があるという。
1)
「国家生態工業モデル園区」(エコタウン)の枠組みについて
計画書の中で、金橋輸出加工区「国家生態工業モデル園区」(エコタウン)の建設の枠組
みとしては、次のステップをあげている。
①工業園区の生態(エコ)産業と生態(エコ)文化建設の推進をメインとする。
②「四三三」事業(四つの産業のエコ化/電子部品と本体製造、家電産業、車産業、環境
サービス産業、三つの循環経済システム/美亜共生資源再利用、企業の循環冷却水再生
利用+エネルギーシステム改善、VOC 排出減量化、三つプラットフォーム構築/環境情
報PF、体制+対策PF、環境文化PF)を手がかりとして産業構造を改善し、先進的
製造業のレベルアップをはかり、近代的な産業サービス業の発展に力を入れる。
③資源エネルギーの利用率を向上させ、汚染物質の排出を抑制する。
④10~15 年を経て、先進的な製造業をメインとし、生産性サービス業が十分に発達し、産
業の集約効果が突出し、環境文化的内容を具備した「先進的製造業と生産性サービス業
の基地」を作り上げる。
⑤全面的に環境、経済、社会の調和がとれた持続可能な発展を実現する。
計画では、次のような具体例をあげている。
→金橋輸出加工区において自動車、電子情報設備、現代的家電および付属品、現代的産業
環境サービスの 4 本のエコ産業リンケージの構築に力を入れること。
→自動車製造業で、上海 GM の自動車全車製造に付属する生産的産業の育成と強化を目標と
して、自動車の研究開発、自動車の設計、部品製造、自動車展示、営業販売等の企業を
積極的に誘致して、エコな自動車産業リンケージを形成すること。
→マイクロ電子産業の発展において、重点をチップの高付加価値的生産、集積回路に関係
する製品装備の製造に集中させ、張江ハイテク工業園区との間で差別化をはかり、特色
のあるマイクロ電子、デバイス産業のグループを形成する。産業リンケージ内の企業が
原材料の代替等を通して有毒有害物質の使用を抑え、RoHS の要求を満たすようにする。
→近代的家電製造業で、企業製品の拡大製造責任制度とグリーンな供給リンケージの管理
を重点として、産業のレベルアップを促進する。製品のデジタル化に力を入れるととも
に、グリーン設計(エコ設計)を通して国の戦略的目標を達成する。
→近代産業サービス業では、工業園区の先進的製造業の集中をはかり、工業園区の産業に
対応できる環境サービス業を優先的に発展させ、工業園区が産業の集中から産業のエコ
的発展へと向かうよう推進する。
計画では、工業園区内に立地する世界トップ 500 の企業を突破口として、資源、エネル
ギーの集約的利用と汚染物質の排出削減を推進することが打ち出された。そのために、「美
亜金橋能源有限公司」の産業共生・資源節約、循環冷却水の中水再生補給・熱エネルギー
の熱ポンプによる省エネ利用、VOC 排出削減といった内容が、工業園区が短期的に推進すべ
き 3 つの循環型経済モデル事業として列せられている。
同時に、「工業園区の情報プラットホーム」「エコ文化」「体制メカニズム刷新」の 3 つの
34
プラットホームの構築を通して、パーク(園区)のエコ化の順調な実現を保障し、金橋工業
園区を最終的に、環境が美しく、産業が高効率で、生態面で調和のとれた「国家生態工業
モデル園区」
(エコタウン)改造することが目指されている。
2)全体的な考え方
(1) 金橋輸出加工区の位置づけ
金橋輸出加工区はアジア太平洋地域で重要な近代的製造業基地の 1 つであり、長江デル
タに広く影響を与え、地域の製造業の発展をリードする中枢的な地域である。また、上海
市の重要な現代製造業の産業基地、サービス基地で、上海の東西の発展軸上で東側への重
要な接点である。ハイテク製造産業を牽引車とした現代製造業サービス産業が高度に発展
した、且つ産業構造が多元的で都市機能が総合的に整った人文・エコ環境が一流レベルに
あるコア的地域である。
(2)建設の全体的枠組みについて
「四三三」事業を手がかりとして、産業構造を改善し、先進的製造業のレベルアップをは
かり、現代的な産業サービス業の発展に力を入れ、資源エネルギーの利用率を向上させ、
汚染物質の排出を抑制して、10~15 年を経て、先進的な製造業をメインとし、生産性サー
ビス業が十分に発達し、産業の集約効果が著しく、産業の生態面での効果が顕著で、環境
文化的内容を具備した「先進的製造業と生産性サービス業の基地」を作り上げ、全面的に
環境、経済、社会の調和がとれた発展を実現する。
「四三三」事業は、産業リンケージのエコ改造と産業の共生、推進方式、インフラの集約
改善の 3 つの視点から金橋エコ工業モデルパークの建設の枠組みを提示している。具体的
には次の通りである。
<4 本のエコ産業リンケージの構築>
産業構造の改善、「騰籠換鳥」<籠の中の鳥を交換する>の改革、産業リンケージの補足
といった措置を通して、
① 上海 GM をコアとする自動車の研究開発、製造、テスト、展示等の内容を含む自動車製
造業のエコ産業リンケージを構築する。
② 華虹 NEC、京セラ電子、アルカテルを核心とする電子情報およびアセンブリ組立のエコ
産業リンケージを構築する。
③ シャープ、日立、ジーメンス等の企業を整合して、近代的な家電製造業のエコ産業リン
ケージを形成する。
④ 危険廃棄物の集中的収集と処理フロー構築、廃棄物情報プラットホームの構築、企業の
電子廃棄物資源化等を突破口として、金橋輸出加工区の近代的産業の環境サービスの産
業リンケージを徐々に整えていく。また、製品と副産物の交換を基礎とし、環境サービ
ス業を接続点として、産業間のシステムの結合と企業の共生ネットワークを形成し、先
進的製造業を特色とする工業園区のエコ化改造の刷新モデルを模索する。
<3 つの循環型経済モデル事業の推進>
① 美亜金橋エネルギー有限公司の産業共生・資源節約モデル事業を全力で推進し、金橋功
35
能区域のエコ産業共生体系を作り上げる
② GM、華虹、京セラ、アルカテル、申美飲料等の企業の循環冷却水処理システムの改造、
中間水の再生補水、潜在的エネルギーの利用、システムの省エネ改善のモデル事業を段
階的に推進して、水資源の循環利用とエネルギーの階段式利用を実現する。
③ GM、インターナショナル・ペイント、華虹 NEC 等の企業の VOC 排出削減事業を徐々に推
進し、地域の大気の質を改善する。モデル事業により、工業園区の循環型経済建設をリ
ードし、点を面に広げる形で、徐々に推進する。
<3 つのプラットホームの整備>
(1)情報プラットホームの建設:パークと企業、企業と企業の間の情報交換のプラットホ
ームを構築する。情報化によりパークの環境管理水準の向上を促進し、情報化により企業
の間の廃棄物の交換、産業の共生、廃棄物の資源化利用を促進し、情報化により企業のエ
コ文化の発展を促進する。
(2)エコ文化の建設:汚染物質の総量規制を目標として、金橋輸出開発区で SO2 と廃水の総
量削減を進め、地域に「環境容量」
(総量の抑制)を考える文化を育てる。金橋輸出加工区
における 9km2 の花の栽培と垂直緑化の実施を契機として、自然を大切にするエコ文化を育
て、碧雲新天地等のコミュニティ、平和国際学校の源からのゴミ減量、パークのエコ建設
への一般人参加を手がかりとして、グリーンなコミュニティ文化を育む。金橋輸出加工区
の企業エコクラブを起点として、企業の環境責任文化を育てる。
(3)体制メカニズムの建設——浦東新区の総合試験付帯改革の重要な機会を利用して、パー
クのエコ化に適した体制を構築する。メカニズムの刷新を通して、パークの政策の方向お
よび「国家生態工業モデル園区」(エコタウン)建設の保障措置を徐々に構築整備する。
(4)全体目標について
「エコ文明を構築し、循環型経済を発展させる」との全体的要求に照らし、パークのエコ
産業とエコ文化の構築をメインとし、パーク内に 38 社ある世界トップ 500 企業を重点とし
て、パークの「四三三」事業の循環型経済構築を通し、10-15 年の努力を経て、金橋に先進
的な製造業-現代的な産業環境サービスの共生産業を主体とし、土地を集約的に使用し、資
源エネルギーの利用が国際的に先進的な水準を持った工業経済の新しい体系を作り上げ、
金橋輸出加工区を「環境が美しく、産業が高効率で、生態的にバランスがとれた」国のエ
コインダストリアルパークに改造する。
5.5.3 金橋輸出加工区における「国家生態工業モデル園区」(エコタウン)の進捗状況
ここでは、上海金橋輸出加工区管理委員会が 2008 年 11 月に発表した金橋輸出加工区に
おける「国家生態工業モデル園区(エコタウン)の創建 2008 年度業務報告」について紹介
する。報告書の中身は、「国家生態工業モデル園区」(エコタウン)を進める上での課題や
難問など、最近の金融危機の影響も含めた金橋輸出加工区の実態について正直に書かれて
おり、今後、日本側が協力できる分野を検討する上で参考になる箇所を随所に見ることが
できる。
36
------------------------------------------ 以下は原文の翻訳
------------------------------------------------
金橋輸出加工区における「国家生態工業モデル園区」(エコタウン)は、資源利用率を高
め、産業の核心的競争力を増強し、高い科学技術、高い付加価値、高い投資強度<訳注:
「投資強度」=プロジェクト総投資額[万元]/プロジェクト総用地面積[万㎡]>を特
色とする、産業面で優位性を具えた地域、美しい生態環境を具えた現代的工業園区を作り
上げることを目指し、2006 年、上海金橋輸出加工区は、国家レベルの生態工業園区の創建
に着手し、生態工業園区の建設技術研究報告ならびに建設計画を作成した。これが 2008 年
5 月、国家レベルの専門家の論証を通過し、同年 8 月には、環境保護部、商務部、科学技術
部から共同で文書が出され、上海金橋輸出加工区における「国家生態工業モデル園区」(エ
コタウン)の創建が承認された。ここに、2008 年の創建業務につき以下の通り報告する。
1)これまでのパーク建設業務について
金橋輸出加工区は、わが国政府により 1990 年に承認され、設立された国家レベルの重点
的開発区であり、17 年にわたる発展を経て、極めて大きな経済的成果をあげ、電子情報機
器及びその付属品の製造業、自動車及びその部品の製造業、家電機器及びその付属品の製
造業、バイオ医薬及び食品製造業という 4 本の産業リンケージを形成してきた。
2006 年 8 月、金橋輸出加工区管理委員会は、上海大学ならびに上海環境科学研究院に委
託して、「金橋輸出加工区生態工業園区建設計画」の作成に着手し、2007 年 3 月にその初
稿を完成させた。開発区の企業レベル、新区レベル、上海市レベルの専門家による審議会
がそれぞれに開催され、計画内容に対し次々と改善が加えられた後、5 月には、国家環境保
護総局、商務部、科学技術部から構成される調査研究班の調査研究会で、この 3 部門に対
して特別報告が行われた。こうして 2008 年 5 月、
「金橋輸出加工区生態工業園区建設計画」
はこの 3 部門によって開かれた専門家論証会を通過し、8 月には 3 部門から正式に文書が公
布されて、上海金橋輸出加工区における「国家生態工業モデル園区」
(エコタウン)創建が
承認された。
金橋輸出加工区は、高いスタートラインから生態工業園区の建設計画を実施し、自ら圧
力をかけつつ、ハイテク産業群のエコ化を推進し、企業の環境面での責任感を育て、環境
を大切にする文化を育てていく。「エコ文明を構築し、循環型経済を発展させる」との全体
的な要求に照らし、
「パークのエコ産業、エコ文化を構築すること」をメインラインとして、
産業構造を改善し、先進的な製造業のエネルギー状態をレベルアップし、現代的な産業サ
ービス業の発展に力を入れ、資源エネルギー利用率を引き上げ、汚染物質の排出を抑制し
て、環境、経済、社会の調和のとれた全面的な発展を実現しようとしている。そして、金
橋パークを「美しい環境、高効率の産業、調和のとれた生態環境」を具えた国家レベルの
生態工業園区へと改造していく。
2)2008 年の創建業務の主な措置
金橋輸出加工区管理委員会は、生態工業園区の創建業務を積極的に推進し、厳格に『建
設計画』ならびに『総合類パーク基準』に基づき、「管理委員会が積極的に推進し、企業が
37
主体的に実施し、社会が共同で参与する」との原則に照らして、パーク、企業、コミュニ
ティの 3 つのレベルからそれぞれに、金橋輸出加工区の生態工業パーク創建の業務を全面
的に推進した。
(1)工業園区レベル:
①上海市節水型工業園区を積極的に立ち上げ
2008 年、金橋輸出加工区は積極的に上海市節水型工業園区の立ち上げに取り組み、金橋
輸出加工区節水計画を作成し、企業の節水型企業化を働きかけた。8 月、上海市給水管理処
と金橋輸出加工区管理委員会が共同で金橋輸出加工区節水型工業園区創建業務推進会を開
催し、工業園区内の 30 社近い重点企業が会議に参加した。工業園区内の重点企業は、節水
業務の重要性を認識し、実際の情況と結びつけて、技術改造、技術革新で節水に力を入れ、
水需給バランスのテストに力を入れて、年内に各企業の節水企業化が実現するよう力を尽
くし、金橋開発区の節水型工業園区化に向けて確かな基礎を築いた。
②河川水を利用した灌漑による工業園区緑化の節水プロジェクト。
2006 年から、金橋城管署は保守管轄範囲内にモデル事業実施拠点を設け、天然の河川水
を利用して植物への散水や気温の高い季節の干害対策の問題を解決してきた。埋設管路に
よる灌漑を採用することで、安全な操作と低廉なメンテナンスコストで水資源の節約が可
能となり、例年の気温が高い季節の使用水量に基づいて計算した場合、居家橋路では、毎
年 12,000t の用水を節約することが可能となった。居家橋路における河川水による灌漑のモ
デル事業を基礎として、事業実施範囲は引き続き拡大されており、金橋機能区域の節水面
での業務は更に深化しつつある。
③金橋環境保護基金の設立。
2006 年に作成された『金橋機能区域循環型経済・環境保護基金管理方法』の内容に基づ
き、詳細な基金使用案が制定され、使用案は 2007 年 12 月に正式に公布されて、実施に移
された。基金の使用範囲は:1、金橋輸出加工区生態工業園区の創建、2、金橋機能区域内
企業の省エネ、クリーン生産、ISO14000 認証、2、エコクラブの活動経費、3、循環型経済
の専門家ベースのコンサルティング費用等。2008 年、金橋管理委員会は、区内の上海新金
橋廃棄物工業管理工公司と上海京瓷電子有限公司の 2 社に対し、循環型経済、省エネ面に
おける両者の成績を表彰し、また、区内でクリーン生産審査を通過した 6 社及び ISO14000
認証を取得した 2 社の企業に対して補助金を出した。
④環境面に力を入れ、環境面での改善を次々と実現。
金橋輸出加工区は国家レベルの経済技術開発区、ISO14000 の国家モデル区であって、国
家生態工業パーク創建の過程において、その環境面でのありようは極めて重要である。開
発区は環境面で、2007 年には、一部道路の歩道の大規模修理、歩道街路樹の補足、垂直緑
化の実施、金藏路交差点の緑化等の事業を行って、開発区の環境面でのありようを次々と
改善した。2008 年には、新金橋路の景観道路の改造工事が 11 月に正式に着工した。この
事業には、道路をまたぐ電子スクリーン、新金橋路の橋の改造、街灯(低エネルギー消費)
照明系統、電子表示スクリーン等が含まれる。計画では、3 年にわたり、パークの環境を改
善し、国家生態工業モデル園区(エコタウン)創建のための好ましい雰囲気が作り出され
38
ることになる。
(2)企業レベル:
2006 年 6 月、金橋管理委員会は国外の「ゼロエミッションサポート倶楽部」の経験を参
考としつつ、企業の自主性に基づくことを原則として、上海市で初めてのエコ倶楽部を成
立させた。金橋エコ倶楽部は、エコインダストリアルパーク(生態工業園区)建設面で成
功した EU の経験に学び、企業間の廃棄物資源化ネットワークや総合利用の協力組織を構
築し、クラブを作ることを通して、資源情報の共有を実現し、生態工業園区の物流交換モ
デルを模索し、企業の生産コストを抑え、製品の品質を高め、企業の環境に対する影響を
抑えて、企業及びパークの好ましい市場イメージを作り出すことを目指すものである。
金橋エコクラブには、2006 年 6 月の成立以来、前後して 12 社の企業が参加したが、そ
の企業は大部分が区内の世界トップ 500 企業,であり、業界は自動車、情報電子、家電、
バイオ医薬等の四大産業全体にまたがる。具体的には、上海通用汽車<GM>有限公司、華
虹 NEC 電子有限公司、上海煙草機械有限公司、上海索<ソニー>広映像公司、上海京瓷<
京セラ>電子公司、上海新金橋廃棄物管理公司、上海美亜金橋能源公司、信誼製薬廠、オ
ムロン(上海)有限公司、聨合包装装潢有限公司、シャープ模具工来控制有限公司、シャ
ープ家用電器有限公司である。
金橋エコ倶楽部の成立以来、我々は何回かに分けて倶楽部の会員企業を訪問し、その企
業の現状、企業のニーズ、エネルギー消費、情報、廃棄物等の情況について調査、研究を
実施するとともに、企業の実際のニーズに基づいて、一連のテーマ活動を実施してきた。
①新金橋廃棄物公司をプラットフォームとして、生態工業園区(エコタウン)建設を推進。
上海新金橋工業廃棄物管理公司は、工業電子廃棄物総合分解処理ライン、中古トナーカ
ートリッジ再利用事業、電子廃棄物深度資源研究事業といった特許技術、専有技術を擁し
ており、一部技術は国内でも先進的な水準に達している。廃棄物管理公司は、高効率で良
質の環境保護サービスを提供することにより、工業廃棄物の安全な処理や総合利用を実現
しているが、金橋生態工業園区の建設を速やかに推進し、工業廃棄物産業を更に強化して、
それを新区ないし上海市全市の循環型経済の産業発展を推進するための重要な措置とすべ
く、また事業のポイントとすべく、2007 年、再生資源総合センターと交易プラットフォー
ムの事業をスタートさせた。そして、これが『2008 年浦東新区の省エネ・廃棄物削減を推
進し循環型経済を発展させる業務計画』に組み入れられ、再生資源公共サービスプラット
フォームが 2008 年 10 月に試験的営業を開始した。
②企業の環境行為の評価
2008 年、金橋輸出加工区の地の利の面での優位性を高め、調和のとれたパーク、生態工
業園区(エコタウン)の建設を提唱するため、金橋機能区域管理委員会は、金橋輸出加工
区内で企業の環境行為の評価に関するモデル事業を実施した。すなわち、企業の環境情報
に基づき、企業に対して総合的評価を実施し、ランクわけをして、緑、青、黄色、赤、黒
の 5 つの色で優劣の等級を表す。環境行為の評価結果が 2 年連続で緑だった企業には、優
先的に環境保護特別資金プロジェクト、クリーン生産モデルプロジェクト、循環型経済実
験プロジェクトが手配され、環境保護審査免除などの奨励措置が採られる。一方で、環境
39
行為の評価結果が赤や黒だった企業は期限を限られて対策が求められ、閉鎖を迫られる場
合もある。
(3)コミュニティレベル:
①コミュニティ住民の生ゴミ収集のモデル事業を実施。
浦興街道区の「碧雲新天地」小区<住宅地>でまずモデル事業が実施され、事前の調
査、宣伝、最終的な実施段階を通して、住民の生ゴミの分別収集作業が順調に実施され
るよう確実に保証された。この業務は、金橋城管署が先頭に立って実施した。
②コミュニティの環境保護宣伝。
コミュニティ住民の環境保護意識を高めるため、我々は毎年さまざまな環境保護の宣伝
テーマを定め、コミュニティのレベルから循環型経済を推進していく。環境保護の宣伝用
冊子を作成して配布したり、コミュニティの掲示板で宣伝を行ったり、コミュニティで実
施される環境満足度調査に合わせて環境保護のスローガンがプリントされた T シャツを配
ったりして、コミュニティの住民に対する宣伝を実施する。
3)工業園区建設の主な成績
(1)経済発展では、安定した中に前進を求める
2008 年 1-8 月、金橋開発区の工業総生産は 1013.99 億元で、前年同期比で 0.8%増であ
った。四大基幹産業の 1-8 月の累計の生産高は 887.9 億元で、前年同期比で 0.3%減であっ
た。工業総生産の上昇率が下がったのに対して、1-8 月の開発区の販売収入は 471.64 億元
で、前年同期で 9%の伸びとなった。これは、開発区の産業構造の調整にある程度の効果が
現れていることを物語っており、「総部経済」等の生産性サービス業<訳注:Producer
Services。中国では現在これを交通運輸業、現代物流業、金融サービス業、情報サービス業、
商務サービス業に分類している>の作用が次第に顕現していることがうかがわれる。プロ
ジェクトを誘致して契約を締結することに力を入れ、プロジェクトが着工して定着するよ
う力を入れ、企業を誘致して資源の整理を整然と行うことで、企業誘致、資本導入は一定
の成果をあげた。1-9 月、開発区では、導入されたプロジェクトが累計で 48 件、増資プロ
ジェクトが 34 件となり、新たに導入されたプロジェクトと増資プロジェクトで吸収された
投資総額はあわせて約 2.55 億ドル、契約外資は約 1.5 億ドルとなった。同時に、開発区の
企業誘致、資本導入のための受け皿や付属部分となる産業を提供するため、工事プロジェ
クト建設の推進にも力が入れられた。建設中の 32#ブロックの再生資源総合処理センタープ
ロジェクト、T17 商業センタープロジェクトの建設は進度要求通り、良好な進捗情況にあ
る。以上の集団の工事プロジェクトの着工面積はあわせて約 33 万㎡となっており、今後集
団のために新たな経営資源が提供されることになる。
(2)省エネ、エネルギー消費抑制で顕著な成果があがる
2007 年、金橋輸出加工区の規模以上の工業企業<訳注:国有工業企業および年間の製品
売上高が 500 万元を超える非国有工業企業>の工業総生産は 1605.91 億元で、前年同期比
で 13.8%増え、工業経済と密接に関係する総合同耗消費総量は 71.38 万トンで、1.3 ポイン
ト下がり、生産高 1 万元あたりのエネルギーは標準炭で 0.044 トンで、11.1%下がり、3 年
40
間で最良の水準に達した。開発区内の 234 の工業企業に対する調査で明らかになったとこ
ろによれば、95%の工業企業が政府の省エネ・エネルギー消費抑制の奨励政策を知っており、
80%の企業は国の関連政策が企業の省エネ・エネルギー消費抑制を促進する役割を果たして
いると考えている。また、10%の企業は政府による省エネ・エネルギー消費抑制の優遇政策
を適用されていた。この他、80%の工業企業は、エネルギー消費と企業の生産コストを関連
付けることで、企業の各部門におけるエネルギー支出を監督し制御していた。また、61%
の工業企業では設備の改造を通して省エネ・エネルギー消費抑制を行っている。これは、
エネルギー利用効率を高め、省エネを実現する上で最も効果的な措置であり、金橋の省エ
ネ面で極めて重要な役割を果たしている。統計によればこうした企業は主に四大重点発展
業界に集中しており、その工業総生産が金橋の工業総生産に占める割合は 64.3%に達する。
(3)汚染物質の排出抑制は年々進展している
金橋の集中的熱力供給システムの完成と運転開始は、金橋開発区の企業誘致面でインフ
ラ整備の役割を果たすばかりでなく、開発区の資源の総合利用、環境保護のための集中化
の実現にもつながっている。集中的熱力供給システムの建設者、経営者である上海美亜金
橋能源有限公司は 10 年以上にわたり、開発区に進出する企業の熱力需要を確実に満たすと
同時に、開発区内の全ての工業企業のほとんどの大気汚染物質排出量にかかわり、その対
策の職能を担ってきており、上海市の環境保護監督制御面で重点的な企業となっている。
国、地方の環境保護面の要求を満たすため、公司は環境保護に対する技術的投入や資金投
入を拡大しつづけ、技術改造に力を入れ、汚染物質の排出を抑制するとともに、クリーン
エネルギーの使用ならびにエネルギーの多段階化の方向へ発展すべく努力を続けている。
GM 及びその付属プロジェクトの導入に伴い、金橋の集中的熱力供給系統に対する熱力需
要は年々増加しているが、一方で、環境保護面で政府の汚染物質排出に対する規制も年々
厳しくなっている。そこで、金橋の企業の熱力需要を確実に保証するため、公司は熱力供
給設備に対する投資を拡大するとともに、国の省エネ、環境保護面の要求を考慮して、現
在国内で最も先進的で、環境保護面の性能が高く、省エネで、高効率な循環流動床ボイラ
ーを採用して、徐々に油焚きボイラー、チェーンストーカーボイラーによる熱力供給に代
替させている。こうして、金橋における熱力供給量は大幅に増え、その一方で、SO2 等の汚
染物質の排出量は効果的に抑制され、基準を満たした排出が実現している。詳細を下表に
記した。
2000-2007 年の排出量の比較
単位:トン
2008
項目
2000
2001
2002
2003
2004
2005
2006
2007
熱生産量(万t)
41
44
49
56
57
70
67
69
57
SO2
910
995
722
908
820
781
780
466
390
煙塵
77
74
50
36
19
27
30
13
10
窒化物
--
--
415
467
461
302
322
154
129
41
1-10 月
(4)パーク建設過程に存在する主な問題と制約要因
①政策による宣伝力を更に向上させる必要がある
『中華人民共和国循環型経済促進法』が 2008 年 8 月 29 日に公布され、2009 年 1 月 1
日から正式に実施される。しかし、この新しいタイプの先進的な経済形態をいかに発展さ
せるかについては、ほとんどの場合、先進的な技術、手段により推進すべきであると認識
されるレベルにとどまっており、企業は依然として一連の法律法規、政策指導等の面で障
害と困難に直面している。そのため、我々は、いかにして政策の宣伝力を拡大し、企業の
認知率を高めるかという問題を解決する必要に迫られている。
②金融危機が開発区内の企業に与える影響が日増しに顕著になっている
今回の金融危機は開発区内の企業にすでに非常に顕著な影響を与えている。とりわけ、
自動車、家電業界の影響は深刻である。輸出の注文は顕著に減少しており、2009 年の注文
も大幅に減っている。たとえば、上海 GM はすでに生産停止に入っているし、上海日立は
2/3 の生産ラインの労働者が離職している。また、松下のプラズマは、ユーロが値下がりし、
日本円が値上がりしたことで、1 ヶ月で 9,000 万人民元もの損失を出した。事前に準備が行
われたにもかかわらず、実質的な損失はやはり 4,000 万元に達した。2010 年までに 500 万
台に拡張するとのもとの計画も取締役会で否決された。今回の金融危機では今後の予測が
立たないことから、『計画』のうち、自動車業界にかかわる産業のリンケージ補填及び一部
の省エネ、節水のための技術改造プロジェクトは予定通り実施できないものと予測される。
③かなりの投資が必要なことで、企業の省エネ推進力が阻まれている
企業の省エネ改造を推進する過程で判明したことであるが、開発区内の企業は普遍的に、
「かなりの投資が必要な点が省エネ推進を阻む主な原因である」と考えている。また、省
エネプロジェクトは、使用開始後も日常的な設備メンテナンスにかなりの費用がかかる。
節水面でも、新しい技術の普及は同様に非常にむずかしい。その主な原因は、第一に、現
在節水技術はコストが高くつき、経済的な収益という面だけで見ても、利益が得られない
ばかりか、一回に投入すべきコストが高くつくことであり、第二に、開発区では多くが製
造型の企業であって、まずは経済的利益が考慮させることがあげられる。以上の状況から
分析して、省エネの新技術の普及のためには、政策による更なる誘導、推進が必要である。
④情報がスムースに伝わらない
国が公布する生態工業園区ならびに循環型経済の指標体系について、対応する情報収集
ルートが欠けており、データの統計や収集に一定の困難が伴う。
⑤次の段階における業務の重点
2009 年、我々は、
『生態工業園区建設計画』で提示された、経済と社会の発展、エコ工業
の構築、生態環境の保護といった面の指標体系に照らして、創建業務を高効率に推進し、
年末までにエコ工業パークの創建業務がこの段階においてあげるべき成果をあげることが
できるよう、確実に保証していくことになる。
1)健全なる業務メカニズムを構築する
金橋輸出加工区における生態工業パーク創建事務室の各職責を制定し、整備して、「分業
を明確に行って、各自がその職責を全うする」ようにし、事務室の下に宣伝班、資料班、
42
調整推進班、工程班を置いて、生態工業園区の建設業務が組織的に、計画的に、一歩一歩
安定して実施されるようにする。
2)投入を拡大し、開発区の環境面でのありようを変える。
2008 年に実施された景観道路の改造を基礎として、引き続き投入を拡大し、大気のオン
ライン表示スクリーンの増設を通して、パークの景観につき第二期の改造、緑化調整等を
実施し、開発区のありようの改善を続ける。
3)クリーンな生産と環境の認証に力を入れる。
これまで以上に力を入れて、開発区内の企業の ISO14000 認証、クリーンな生産の審査
を誘導し、推進する。金橋企業エコ倶楽部の活動を通して、定期的に環境管理、資源節約、
汚染物質排出削減、廃棄物交換といった面での考え方について交流し合い、よい経験や方
法を紹介し、広め合い、企業間で交流する内容を徐々に、クリーンな生産、廃棄物の減量
化、生成物又は廃棄物の循環や再利用等へと拡大していく。また、生態工業パークのモデ
ルプロジェクトや国の「第十一次五カ年計画」期間中の拘束性指標が要求する省エネや汚
染物質排出削減の問題をめぐって、重点的に専門家による研修や相談、企業の経験の紹介
等を実施する。
4)企業の環境年報制度を推進する。
開発区内において、開発区内の世界トップ 500 の重点企業を突破口として、企業環境年
報制度を推進する。社会一般に対して年度環境報告を行うよう企業に求め、年度報告の範
囲を少しずつ規模以上の企業へと拡大することで、企業の環境面での責任意識、文化を育
てていく。企業の年度環境報告には主に、環境改善面で講じた措置、得られた効果、汚染
物質排出の基準達成情況が含まれる。企業の自己管理体系の要求に基づき、その年に達成
された環境面での効果や実施した各種環境開発、研究もいずれも報告に組み入れる。また、
廃ガス、廃水の排出データ、発生量、廃棄物の量、エネルギー消費、化学品使用量、有毒
有害物質使用量もいずれも年報に組み入れ、企業の法人がその年報に署名を行う。
5)コミュニティのエコ文化を育成する。
碧雲国際コミュニティをモデル事業実施拠点として、「完全分別完全分流」の一般廃棄
物収集モデルを作り上げ、一般のゴミを源から分別し、回収利用しようとする住民の責任
感、意識を高める。家庭の生ゴミ、粗大な木製廃棄物、粗大な電子廃棄物については、単
独の収集システムを作る。
①廃電池、廃電球等の危険廃棄物は特別に収集する。
②家庭の生ゴミについては、その場での資源化のモデル事業を行い、建築物を省エネタイ
プに改造し、高効率で省エネの照明設備を採用する。
③コミュニティに適した中間水の再利用方式を模索し、コミュニティの景観、住民の中間
水再利用、質別利用を推進し、様々な面で節水の実践を行う。
④様々な形式で、内容も豊富な、「グリーン・コミュニティ」のテーマ活動を実施する。
6)情報プラットフォームを構築する。
工業園区の情報プラットフォームの構築には、工業園区の環境管理プラットフォーム、
業界クリーン生産技術プラットフォーム、情報公開プラットフォーム、固体廃棄物交換プ
43
ラットフォームと一般人参与のプラットフォームの 4 つのプラットフォームの構築が含ま
れる。
--------------------------------------------------
以上、引用終了
----------
5.5.4 金橋再生資源サービスプラットフォームと上海新金橋工業廃棄物管理公司
(「工業廃棄物再生循環利用基地」について)
これまでは循環経済構築のカギとなるエコ工業パークの建設について説明してきたが、
ここでは生態工業園区の中心的な役割を果たす再生資源のプラットフォーム、すなわち浦
東新区が打ち出した「工業廃棄物再生循環利用基地」(浦東新区工業廃棄物総合処理センタ
ー)計画について報告する。尚、この基地は上海新金橋工業廃棄物管理公司が所有する既
存の 1 万㎡近い処理工場敷地を基礎として、新処理工場(南区)の建設に乗り出す。既に
第 1 期工事に入っており、2009 年 4 月には完成予定である。同工場の敷地面積は、約 4 万
㎡で 5 棟(固体廃棄物倉庫、電子廃棄物処置棟、危険廃棄物倉庫、危険液体廃棄物倉庫、
実験棟、事務棟)の外観は既に完成している。尚、総投資額は 1.8 億元である。
1)上海新金橋工業廃棄物管理有限公司概要と計画
2000 年 2 月に上海金橋集団有限公司の投資により創立。産業廃棄物の収集、輸送、貯蔵、
処理、更に循環利用を行う総合的環境保護企業。浦東新区の模範的企業を目指している。
(1)現在の事業内容:
①電子廃棄物解体部門
パソコン、プリンタ、ハードディスク,デジタルカメラなどの解体を行い、資源リサイク
ル可能なものを選別回収し、販売している。危険廃棄物は最終処分場に運ばれる。
②廃電子基板処理部門
廃電子基板処理の年間理能力は 1,500 トン。乾式法、多層組合式タービンで粉砕解離す
る。微粉化技術や分離技術を利用、基板を金属粉と非金属粉に分離する技術は独自開発し
た。分離された銅と貴金属など粉を金属精錬場の原料にして、ガラス繊維と樹脂などの非
金属粉は建材工場の繊維強化材料として使っているという。
③廃CRT総合処理部門
廃 CRT 処理ラインは年処理能力が 5 万台であるが、現在、10 万台までにアップする計
画という。その際、年間再生ガラス 925 トン、再生金属 825 トン、再生プラスチック 750
トンを回収する計画である。 因みに、現在の設備投資額は約 100 万元で広東省のメーカー
と共同開発した。
④廃棄カートリッジ処理部門
物理的な全自動化方法でカートリッジを粉砕、磁選、空気洗浄し、鉄、アルミニウム、
プラスチックとトナーになる。このシステムの処理能力は 500 トン/年。鉄、アルミニウム、
プラスチックは生産の原料にして、インクは適正処理される。尚、この処理設備は同社が
独自に開発したもので、国家実用新型特許を獲得した。
44
(2)今後の計画(目標)
①「工業廃棄物再生循環利用基地」として「浦東新区工業廃棄物総合処理センター」を建
設する。センターの設計処理能力は次の通りとする。
各種の一般工業廃棄物
5 万トン/年
各種の工業電子廃棄物
2,800 トン/年
危険廃棄物の集散量
2 万トン/年。
②3 年間で各種類の廃鉱物油を 5,000 トン処理し、燃料油 2,500 トンと潤滑油 2,500 トンを
再製する。金橋開発区内の熱供給システムに蒸気を 7 万トン余り提供し、こうして石炭
を 1.25 万トン節約できる。石炭の代わりに 5,000 トンの廃油を燃料として利用する場合、
年間 NOxの排出を約 43 トン削減することができる。
③3 年間で廃ブラウン管(CRT、陰極線管)を 5 万台処理することによって、年間再生ガラ
スを 460 トン、再生金属を 410 トン、再生プラスチックを 375 トン生産することができ
る。総合的利用率は 85%以上に達する。
④3 年間で各種の工業電子廃棄物を 5,000 トン処理する。各種の廃旧家電から銅粉を 500
トン回収すると同時に、樹脂パウダーと電子廃棄物とのリサイクルを実現する。総合的
利用率は 85%以上に達する。
⑤危険廃棄物の安全収集率は 100%に達し、3年間で各種危険廃棄物を 5 万トン収集する。
2)実験期間 2008 年~2010 年の 3 年計画について
(1)浦東新区工業廃棄物総合処理センターを建設する。センターの設計処理能力は次の通
りである:
各種類の一般工業廃棄物
危険廃棄物の集散量
5 万トン/年
各種類の工業電子廃棄物
2,800 トン/年
2 万トン/年。
(2)3 年間合わせて各種類の廃鉱物油を 5,000 トン処理し、燃料油 2,500 トンと潤滑油 2,500
トンを再製(一度使用し廃棄された後の再利用)する。金橋開発区内の熱供給システム
に蒸気を 7 万トン余り提供し、こうして石炭を 1.25 万トン節約できる。石炭の代わりに
5,000 トンの廃油を燃料として利用する場合、年間 NOxの排出を約 43 トン削減すること
ができる。
(3)3 年間合わせて廃ブラウン管(CRT、陰極線管)を 5 万台処理することによって、年間
再生ガラスを 460 トン、再生金属を 410 トン、再生プラスチックを 375 トン生産するこ
とができる。総合的利用率は 85%以上に達する。
(4)3 年間合わせて各種の工業電子廃棄物を 5,000 トン処理する。各種の廃旧家電から銅
粉を 500 トン回収すると同時に、樹脂パウダーと電子廃棄物とのリサイクルを実現する。
総合的利用率は 85%以上に達する。
(5)危険廃棄物の安全収集率は 100%に達し、三年間合わせて各種危険廃棄物を 5 万トン
収集する。
3)実験の任務
45
(1)廃棄物の公共服務プラットフォームを拠り所とし、回収ネットワークを拡大し、収集
システムを健全にする。
目下、300 余りの取引先企業を持っており、固体廃棄物、危険廃棄物から電子廃棄物まで
の回収ネットワークが概ね形成された。これに基づいて、国内外の企業誘致に力を入れ、
サービスをいっそう改善し、更に良い現場サービスを支え柱とし、金橋開発区にある企
業を突破口として、金橋開発区における得意先の占有率を 50%以上に達するように努力
する。浦東新区における廃棄物の公共服務プラットフォームを拠り所にし、「専門市場を
創設し、回収ネットを健全にし、資源の再利用を速め、リサイクル産業を強大にする」
という構想に従って、経営管理を規範化にする。「統一的に企画し、統一的に配置し、統
一的に管理する」という原則に従って、国の《電子廃棄物による汚染の防治弁法》の発
布をきっかけにして、絶えず廃旧物資回収の「ゲリラ」(個人回収業者)を収容改編し、
回収ネットを拡大し、回収システムを健全にする。このほか、合資、合作、共同出資、
加盟、連合経営などの方式を探索し、全市や周辺に至るまで、市で回収拠点を設立する。
(2)廃棄物処理技術を引き上げ、廃棄物に対する高度な加工能力と加工後製品の付加価値
を高め、廃棄物循環経済の産業チェーンを打ち立てる。
(3)産業界、大学と研究所三者の協同を通して、各種類の廃棄物処理・処置技術の研究開
発を展開し、電子廃棄物、廃鉱物油、廃プラを主な突破口とし、廃器物の処理技術水準
と付加価値を高め、“ゴミを宝に変える”ことを確実に実現し、廃棄物循環経済の産業チ
ェーンを形成する。
4)重点
(1)浦東新区工業廃棄物総合処置センターの建設
浦東新区工業廃棄物総合処置センターの年間処置能力は一般廃棄物 5 万トン、危険廃棄
物 2 万トン、電子廃棄物 1 万トンである。処置センターは電子廃棄物の処理技術を高める
と同時に、国際標準の工業廃棄物管理システムを導入し、工業廃棄物、特に危険廃棄物に
対して統一の名称とコード(code)をつけ、種類別に規範化された特定の容器に貯蔵する。
また、全行程の運輸安全を確保するため、危険品運輸専用車両で運輸すると同時に、GPS
(世界的位置決定システム)でのリアルタイム追跡を併用して、浦東新区危険廃棄物安全
物流プラットフォームの構築を目指す。
(2)「三のステップと一つのドッキング」で電子廃棄物の回収システムを打ち立てる
第一ステップ: 半年~1 年に亘る実践を通して、国家機関と事業体の電子廃棄物回収処
置のモデル(在り方)を探索し、《浦東新区機関と事業体の電子廃棄物の規範化回収・処
理管理臨時弁法》を確実に遂行し、政府機関と事業体が先頭に立って電子廃棄物の統一
回収と集中処理を実行するよう強要する。
第二ステップ:
国家環境保護総局の《電子廃棄物による環境汚染の防治管理弁法》の
発布をきっかけとして、唱導と宣伝の方式で企業の環境保護面の社会責任意識と環境保
護意識を高め、電子廃棄物を統一的に収集し、集中的に処理するように浦東新区におけ
る企業を正しく導き、開発区において企業延伸責任制による電子廃棄物の収集モデルの
形成を試みる。
46
第三ステップ:
2009 年、団地のメンテナンス会社と連携し、コミュニティ内の電子廃
棄物回収を実験的に行なう。積極的にコミュニティ内の電子廃棄物回収と運営モデルを
巡って、市場調査を行ない、コミュニティ内の有償回収方式を検討する。回収ステーシ
ョンに基づいて、メンテナンス会社への委託制を実行すると同時に、住民委員会(街道、
鎮の下の末端組織)に収集に協力してくれるよう要請し、コミュニティで電子廃棄物の
規範化回収プラットフォームの構築を目指す。自発的に電子廃棄物をメンテナンス会社
に渡すように住民に働きかける。
一つのドッキング: 2010 年に生産者責任制を実行し、生産者の責任を明確に規定し、
環境に優しい製品を生産するようにメーカーに働きかけ、発生源から有害物質の使用を
削減する。また、電子廃棄物の終点(下流)処理を起点(上流)処理に変え、メーカー
に廃棄中古電子製品の回収を義務づける。販売元も廃棄中古家電などの回収を引き受け
て協力する。こうして電子廃棄物の回収ネットを完璧にし、回収のメカニズムを健全に
することによって、国際社会とのドッキングを目指す。
5)措置、行動戦略
(1)工業廃棄物の集散ネットを健全にする
会社の現有資源と廃棄物の公共服務プラットフォームを活用し、現有の加工企業と全
国都市の専門回収会社とのドッキングを強化し、専門の分業を推進し、回収の品質を高
める。条件が揃う場合、周辺の省、市で幾つかの3段階回収ネットワークを設立するこ
とができ、再生資源の物流センターを設立し、再生資源の回収、運輸、貯蔵、取引、情
報などの一貫した大協業の市場サービス体系の構築を目指す。次第に「金橋に立脚し、
浦東に奉仕し、影響が長江デルタに及ぶ」という目標を実現する。
(2)工業パークを担体とし、産業のプラットフォームを打ち立てる
工業パーク化と群集化は再生資源産業の発展方向である。目下、金橋輸出加工区では、
既に IT 製品及び付属部品の製造業、自動車及び付属部品の製造業、家電及び付属部品の
製造業と生物医学及び食品の製造業など四本の産業チェーンを形成してきた。循環経済
の構想に従って、再生資源市場の廃棄物が工業パーク内の企業の原料になるように、上
流企業の廃棄物が下流企業の原料になるように、資源の循環利用と有効な配置を実現し、
浦東新区、金橋紀能区エコタウンの建設を推し進める。環境サービス業を絆として、上・
下流資源の整理統合を通して、次第に再生資源のクローズ循環とエネルギーの多級開発
利用を実現する。
(3)加工を「牽引車」とし、産業のグレードアップを促進する。
廃旧物資の再生資源化能力の向上に力を入れ、次第に「廃品を回収し、廃品を売る」
から「廃品を回収し、再生原料を売る」、更に「廃品を回収し、製品を売る」への移行
を実現する。
(4)科学的選別によって回収効益を引き上げる。
廃棄資源を分類して再利用する。国内外の先進的な分類・選別の管理経験と技術を導
入し、綿密な分類、選別、分別梱包、分別積卸し方式を採用することによって、廃棄物
を工業原料に変え、回収効益を引き上げる。
47
(5)加工技術を重視して産業チェーンを伸ばす。
引き続き進んだ再生資源の加工、製造技術を導入する。廃金属と廃旧家電の回収処理
において、貴金属と希有金属の処理に重点を置く。電子基板の処理から出てきたものを
再利用し、シリーズ製品を開発する。それと同時に、プラスチック、廃油などを主とす
る多種材料の精密加工技術を開発し、単一な原料製品から次第に中間製品や終端製品へ
の移行を実現し、再生電子製品、再生銅、樹脂パウダー、プラスチック加工と廃油加工
など「五大ブロック」を形成する。
(6)挑戦的な革新を重視し、科学技術の含有量を引き上げる
目下、既に上海交通大学を始めとする国内多数の知名大学と提携し、再生資源の研究
開発センターと研究開発基地を作り、産業・大学・研究所三者の結合の方式で、科学技
術の面で挑戦的な新機軸を出すように会社を導き、高度な製品の開発と資源の再利用を
促進する。それと同時に、積極的に国際間の交流を展開し、EU や日本の川崎市のような
循環経済の水準の高い国や都市と長期間の合作を求めることによって、管理水準と技術
水準を引き上げ、循環経済の理念を原則とし、科学技術面の大胆且つ挑戦的な革新を通
して、絶えず工業廃棄物のリサイクル体系を完璧にする。
以上が、新金橋工業廃棄物管理公司が考案した金橋再生資源サービスプラットフォーム
の考え方である。電子廃棄物(家電を含む)のリサイクル事業を成功させるためには、廃
棄物処理リサイクル会社の処理技術の習得もさることながら、「回収」ができなければなら
ない。政府と民間が一体となって、いかに回収システムを作り上げるかである。そのため
には、政府の実効性のある施策と法の運用が鍵になる。
5.5.5
上海金橋集団について
上述のとおり、金橋輸出加工区のエコタウン計画に大きくかかわっているのが「新金橋
工業廃棄物管理公司」であるが、本企業は「上海金橋集団」を形成する一つの企業である。
以下、上海金橋集団の概要を記す。
上海金橋集団(上海金橋集団有限公司)は、国家級開発区である「上海金橋輸出品加工
区」の総合開発と建設及び運営を目的に、上海市国資委(上海市国有資産監督管理委員会)
と浦東新区国資委(浦東新区国有資産監督管理委員会)の出資によって設立された大手国
有企業である。尚、両出資者とも政府行政部門。具体的な事業内容としては、主に加工区
の 27.38 平方キロメートルの範囲内の土地開発、インフラなどの整備、基礎建設、外資を
はじめとした企業の誘致活動および投資促進活動、産業の発展計画の立案と加工区立地企
業へのサービス機能について責任を負う。
1990 年
●設立
●売上高
約 17 億元(2008 年)
●総資産
70 億元以上
●社員数
1,000 人以上
●総経理
兪標
48
●副総経理
潘建中、沈栄、沈偉国、張浩、王頴
集団の子会社は 50 社余りあるが、一級レベルの子会社は以下のとおりである。
・上海金橋輸出加工区開発株式会社(上海証券取引所に上場、コード:600639)
・上海金橋輸出加工区開発建設有限公司
・上海金橋輸出加工区聯合発展有限公司
・上海新金橋国際物流有限公司
・上海金加園不動産管理有限公司
・上海新金橋工業廃棄物管理有限公司
・上海新金橋投資開発有限公司
・上海新金橋商業経営管理有限公司
・上海金橋輸出加工区労働サービス有限公司
・上海金開市政工程有限公司
・上海大衆金橋販売サービス有限公司
尚、1993 年に日本のデベロッパーの(株)フジタ(旧、フジタ工業株式会社)ととも
に上海金橋藤田連合開発有限公司(フジタ 70%、上海金橋集団有限公司 30%)を設立した
が、計画地全ての販売目処が立ち会社設立の目的を達成したとして昨年解散している。
5.6
浦東新区の循環経済に関する海外諸国との協力内容
1) 概要
EU委員会は欧州地方都市と協力して、2005 年 2 月から 3 年間にわたって、浦東新区の
循環経済発展のための協力プロジェクトを行った。活動の内容としては、相互の訪問視察、
EU側の専門家派遣による指導等行い、最終的には浦東新区の循環経済発展計画のプラニ
ング作成を行ったものである。予算は 70 万ユーロであった。
2) プロジェクトチームの構成
欧州側:
デンマークのオールボルグ市、ヴィボルグ市、スウェーデンのヨーテボリ市、
EU 西スウェーデンオフィス、EU 北デンマークオフィス
上海側:
浦東新区環境保護・市容衛生管理局(リーダー)
上海大学、金橋機能区管理委員会、新区発展改革委員会、経済委員会、科学委員会、宣伝
部文明弁公室、財政等の各局委処、上海美商国際集団、浦城熱電発展有限公司、新金橋固
体廃棄物公司等
3) プロジェクトの目標:
・
ヨーロッパの都市環境の管理と循環型経済の実践面での成功例を参考として、ヨ
ーロッパですでに発展している資源の循環、節約の先進的な理念や管理の経験を浦東新区
49
の循環型経済のシステムに取り込み、今後 15 年の浦東新区の循環型経済発展の中長期戦略
計画を共同で策定する。
・
新区の持続可能な生産および消費、資源の循環といった分野において、企業、パ
ーク、新区の社会全体のレベルから、浦東新区の循環型経済促進のプロジェクトと応用モ
デルの推進に協力して、わが国の従来の経済発展方式の転換を推し進め、新区の社会の持
続可能な発展を実現する。
4) プロジェクトの活動報告
・ プロジェクトが立ち上がってから 3 年、EU 代表団と浦東代表団は密切な連携を保ち、
理論的な発展の推進を基礎として、実践の視察、学習に重きを置いてきた。
・ 2006 年 4 月と 10 月には、浦東チームがスウェーデンとデンマークに赴き、2 度にわた
りヨーロッパの循環型経済の実践を視察した。浦東チームは、国際的な循環型経済の発
祥地でもあるカルンボーのエコインダストリアルパーク、デンマークとスウェーデンの
市政管理システム、ゴミや危険廃棄物等の廃棄物資源の循環企業、コミュニティの源か
らのゴミ减量、下水処理場や製薬工場等 20 あまりの重点工業企業の環境管理体系、更
に EU、デンマーク、スウェーデンの環境保護署、デンマークのオールボルグ市、ヨー
テボリ市、西スウェーデンオフィスの政府上層部、循環利用オフィス等管理部門ならび
に機構を視察して、ヨーロッパの循環型社会構築面の政策、法律、管理体系ならびに実
践経験について踏み込んだ考察を行った。こうした訪問、交流は、EU の循環型経済の
経験を浦東で生かすためにしっかりとした基礎を築くことにつながった。
・ デンマークオールボルグ市のマリアンネ副市長は 2 度にわたり浦東を訪れ、万大寧副区
長等新区の上層部と広範にわたる話し合い、トップレベルでの設計計画を行って、プロ
ジェクトの基本的な枠組みを定めた。
・ 3 年の間には、EU の専門家代表団が 7 度にわたり浦東を訪れて作業に当たり、プロジ
ェクトのモデル拠点である企業、パーク、コミュニティ、政府機関に深く踏み入れて、
政府の管理部門、企業家や技術者、浦東市民、学生と踏み込んだ話し合いや交流を行い、
また、金橋機能区や新区政府で、機関幹部や企業家に対し、EU の循環型経済の実践の
経験や教訓に結び付けて、浦東の循環型経済をいかに推進していくべきかについて、2
度にわたり目的性が明確で新鮮味のある公演を行った。
・ EU 専門家は金橋開発区、張江高科学技術パーク、浦東ゴミ焼却所、美商生物化学処理
場、浦東固体廃棄物管理署、新金橋固体廃棄物公司等のプロジェクトのモデル拠点を訪
れ指導を行った。
5) スタートした 6 つの行動案:
EU協力プロジェクトの成果を元に、以下の六つの行動案がまとめられ、そのうちのいくつ
かはその案に沿って推進された。
①ゴミ循環産業パーク、②電子廃棄物資源化、③ゴミの源からの減量化、④ゴミ固形化燃
料 RDF、⑤危険廃棄物、⑥環境管理情報化プラットホーム
50
行動案に従って推進した事業:
美商生態化学堆肥処理場(*1)をゴミ処理能力の向上
日処理量 800t/d のゴミ分別中継センターの運用
新金橋工業廃棄物管理有限公司における電子廃棄物資源化
(*1)米国資本が建設/運営している生活ごみ(1000 トン/日)のコンポスト化処理施設
51
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