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第2章

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第2章
第フ
ル係数の基礎
レ (A J Frcsnenは 1788年 生 まれのフランスの物理学者であ り、ヤ ングとは
フレネツ
独立 に波の干渉の概念 を導 入 して光 の波動説 を確立 した。 1823年 、光 を弾性波 とし
て反射 と屈折 に関する元の式、いわゆるフ レネルの式 (Fresners fonnule)を 導 いた。
その後、マ クスウェルが 1874年 「Treals on elec● chy and magnetl颯 Jを 発表 し、光
の電磁理論の基礎 を築 いた。光学薄膜 の解析 や光学 フイルターの設計 には種 々の手
法があ るが 中で もマ クスウェルの方程式か ら導かれる2行 2列 の特性 マ トリクスは
最 も有効 な手法である。多層膜 で も各層 の特性 マ トリクスの積 を繰 り返す だけて簡
単 に反射率や透過率特性が計算 で き、 コ ンピュー ター による計算 には適 している。
しか し 基板や薄膜 に吸収がある と特性 マ トリクスによる計算ではsineゃ cOЫ ncの 中
に虚数単位 ′が入 り、そ の上 斜入射 になる と計算 は ます ます複雑 になる。 また、
薄膜 の上下面による多重繰 り返 し反射 とい う物理的 イメー ジも湧かない。
確 かに、 フ レネル係数 による計算は古 い理論 ではあるが、波動 とい う物理的 イ メ
ー ジが湧 き、未板や薄膜 に吸収があつて も四則演算 と三角関数 だけで種 々の計算が
簡単に行 える。偏光解析 に も有効 である。電磁波である光の電界お よび磁界の境 界
面 の条件 か らそれ らの振幅反射率お よび振 1畠 透過半、つ ま リフレネル係数 (Flcsnel
coefflcicnts)を 度 は数学的 に求 めてお きたい。 また、Matleodの Thin Fn■ Oplcal
Filteisの 第2章 基礎理論 を理解す るために も、 フレネル係数 を理解す る必要がある。
本幸 では、光が 界面 に垂直入射 および斜入射す る場合 を吸収 の有無別 に分 けて、段
い
26項
階的 に平易 に解説す る。 しか し、それ らを飛ば して結果だけをfl用 した 人は
よ
て
の まとめ をご覧頂 きたい。そ して、次章以降で はフレネル係数 をオ1用 し 単層 お
さら
び多層膜 のFx射 率、透過率、位相変化の計算や基板 や薄膜の光学定 数の測定、
には光学 モニ ターの光景変化の計算 について詳細 に解説する。
■■■‖11 2.1 垂直入射
に入射す る場
議論 を簡単 にす るため に、入射光 は平面波 であ り界面に垂直
してz方 向 に進行す る
合 を考 える。 15項 でltべ た ように、光 は電界Eと 磁 界が 直交
の きを図21の
と して、界面 におけるそれぞれの反射波 お よび透過波の電界 磁界 向
まず
ように定義す る
(約 束事 )。
媒質 I、 ■の各物理量 を
λ
媒質 1:誘 電率εl(=cne。 )、 透磁率μl(=″ .″ ♪、屈llr率 ″ 波長
波数β 人射波の振幅A、 反射波の振幅A
屈折率● 波長 λ
′
)、
2(=μ ″μ。
媒質n:誘 電耗 2(=ε .2・ ∂、透磁率′
1、
,、
.、
2、
,、
波数 ′
2、
透過波 の振 廊
29
稗[¨
→
︲
第2幸
渡 ″
人射波
H ︰
II‐ 2μ 2.λ 2.FF・ ■
,
図2‐ 1 垂直入射における●鷲減ベクトルの正方向の定
“
とす る。電界 Eと 磁界 rrlこ は次 の 関係 があ る。
(2‐
″‐VワTE あるいは
F′
1)
″=Vμ ′
ε=イ ″
′
ε
′
′
。′ ‐V47′ 87× 377191
イμ
C。
したがって、13項 で述べ た波動関数でそれぞれの電界 磁界 を表す と
電界
入射波 : ■ _4eXp,(o‐
tr'F
Aぞ )、
4 = ,F, IE
反射波 : ■ ‐4 eXpjO′ ―Aィ )、
ar'=.[V,
透過波 : E2‐ βcxpl(ω ′ぁz)、
a,
ょ累
b電[面
五十″='、
= ,[
r
eexp i\a,t- P,z)
fit
expi \at
-
qTfirexpi(at-
B1t)
12,2)
p1z)
レ=∝ ′=oで は電磁界の接線成州 ま等しいので、r221
式 でz‐
].4-ィ ら′
ィa′ μ
μ
:″ ‐
v82′ 乃B
(23)
となる。 この2式 か ら,を 消去す る と
+=脇
=黎
(2● )
また、スを消去す ると
透過波の振幅
入射波の振幅
30
0‐ 5)
フレネル係数の基礎
となる。一般に光学薄膜で扱 う誘電体の比透磁率 ″メま1で あるので μ =″ 2‐ ″。と
なる。 また、15瑣 で述べたように物質の比誘電率 と屈折率には (1● 1)式 の関係が
あるから、 (24)式 および (25)式 は
一
一
〓
ズ 一A 3 一ハ
‐
景将 需将=競 ‐
ギ誇=ギ詩=れ イ
126)
0つ
となる。電界の振幅反射率 をフ レネルの振幅反射係数、電界の振幅透週率 をフ レネ
ルの振幅透過係数 といい、お のおの ρ rで 表記す る。境界面 におけるエ ネルギー
反射率R(以 後、単 に反射率
(К neccllce)と
呼ぶ)お よびエ ネルギー透過率 T(以 後、
単に透過率 (mnsm"lall∝ )と 呼ぶ)は
トリ4(樹
(28)
I
L満
吋 口
・
"
つ まり空気 (正 確 には真空)、 ″,‐ ″.(透 明基板 )と す ると、
と表 される 。
1、
"‐
その反射ヽお よび透過率 は
R=(靖
)2rポ
。。
締
とな り、 よく知 られた基板 の反射率お よび透過率 の式 となる。
てみ よ う。 フレネル反射係
それでは、 この フレネル係数の物理的 イメー ジを
`え
の大小 によつて符号が異なる。
数 ′は、(26)式 か らわかるように媒質の屈折率″ ■
口1>ら 、つ ま り密度力嗜 な物質か ら疎 な物質に光が入射 した場合、 ′>0と なるので
1、
図22に 示す ように反射波の位相は入射波 と同 じになる。 しか し、′ くら (疎 か ら密)
の場合、 ′く0と なる。電界の振幅反射率が 一とは、境界面 か らの反射波の位相が入
射波 とπ (180° )ず れてい ることを意味する。図23に 示す ように、透過波 をπ″の
位置 を中心 に してその πか ら先 の波形 を媒質 I側 に折 り返 した波 の形が反射波 の位
相状態 となる。 フレネル係数 を考 える と、波動 としての光の状態 のイメージが得 ら
れることが理解で きるであろう。
31
第
"
境界面
入射波
反射波
透過波
図22
o,>nρ ●●の反射崚
遺■摯の位相
境界面
入射 …)●
反射波 は ,′ 2を 中 しに
して ,II・ ら折 り返す
■2
I
図2●
―
1日
nlく n2の 場合の反射波
透過波の位相
ヽ 2.2 斜入射
回24の ように光が媒質 1か ら媒質 ■に斜 めに入射 す る場合 を考 えてみ よう。第 1
章で述 べ た よ うに光 は紙 面 に平行 P(独 :parallel)に 振動 す る波 と垂 直 s(独
:
scn臓 ht)│こ 振動す る波 と分かれ、それぞれP波 、s波 と呼 ばれる。そ して、各物理
32
フレネル薇数の基礎
反射波
(b)s波
(a)P波
国24 斜入■における●僣出ベクトル0工 方向の定着
量 は添 え字RSを 付 けて表 わ される。p波 お よυ鼈波 の電磁場 ベ ク トルの向 きを国24
の ように定義す ると (こ れ も約束事 )、 垂直入射 の場合 と同様 に して入射波、反射波
お よび透過波の電界お よび磁界のP、 6成 分 は次式の ように表 される。
電界
磁界
:│:f]t∬ 肺
入
波
射
13 1:[悟 繁j=瓶軍
:慨 :算 鰤
波
反
射
距ltt il朝乳葛憲
:lイ )‐ 0
:檻
透
過
波
│ な[驚罵孵躍
方
〔雛 え
1)
]ξ
)
ただ し、る、る みはそれぞれの波の進行方向にとつた座標 であ り、座標軸変換する
と
.、
zl =
rsinq
+ zco69r
zi=
rsinOr
-
22
=rsino2
zcos€t
0‐ 12)
+ zco602
で表 される。
33
揮
cOfreO Break】 座標軸変換 (回 転移動)
【
入射波のぅ軸とx― 劾 との座標軸変換を考えてみよう。図25(a) に示 す よ
うに、点P(x②・ P(xl.4)を 考え、 フ =rと すると
鳳樹[I鶏 罵iTl∬
に監」
Iメ
これに χ]=_ar=_s● α 、ぅ=_αV'=― r∞ Sα
{:[]凛 111∬ l
となる。 これか ら
lb)反 射波
国25 童■■変換
34
(日 鮨移動)
:
を代入 して
フレネ,レ係数の基礎
●=χ SIna+Z∞ sθ
l
となる。透過波および反射波の場合 も、符号 を考慮 して計算すれば、 (212)
式のように座標軸変換が行 える。
(1)藪
境界に平行なs波 の成分は
■s+Els'=ら s
ffls― ■r‐ ″
"
である。境界面 における入射渡、透過波および反射波の位相は等 しいので、各波の
位相 を表すexpの 項は等 しい。 したがって、 これ らを振幅で表す と
As+4s.=Bs
イ 輌 ′μl AsCKlsa マ ら ′μl,、
.CKISa‐
V15′ μ2島 cOSら
となる。入射波 と反射波の振幅の比率、すなわち反射係数ρ」よ、両式から島を消去
して
。0
=キ
お
平需等ギ票肇詩=1憲肝鷲詩=器玲・
=ギ
ただ し
●J=ぅ CO,ら
(′
‐1,2)
(214)
となる。入射波 と透過波の振幅の比率、すなわちフレネル透過係数 rJま 、両式か ら
Arを 消去 して
特
キ
=
=謂
粍
=れ
い
,
となる。S波 は垂 直入射 と同 じ方向を とるので、その反射率Rお よび透過率 Tlよ
Rs=│ぉ 12_〔
樹
(2‐ 16)
)2
‐
・ =論 イ 緻
とな り、境界で、
Ts‐ 1と
(2■
‐
l
なる。
35
●2●
(2)1娘
p波 の境界 に平行 な成分 は
FIPcKlsq+■ P,ぃ a=ら ′鰯 o2
IIP cosal― ■ メ ∞ sa=12PCKISら
となり、これらを振幅で表すと
スPcosa+AP tta=み 鰯 ら
12‐ 181
Va′ μl,■ イFl′ μ 4メ ‐マε2′ μ2'P
0■
l′
"
となる。入射波 と反射波の振 lilの 比率、すなわちフレネル反射係数 ρ21ま 、両式から
Bpを 消去 して
生±=
′
月
2′ cosら
"Sa―
′
∞
sa+″
■
2′ COSら
_■
2′ cosら
(2-20)
となる。入射波 と透過波 の振幅の比率、すなわちフレネル透過係数 7メ ま両式か らスメ
を消去 して
τ
ρ=」 L=7両
7デ七[諄平手湯半売戸玉al
=既
_\
2n2 | cosgz
(2,1)
n2\lqt6,q+n21ffi02
となる。すると、反射率Rお よび逸過率TPは 、s波 の場合 と同様 にして
み Jが 、 ■=7レ
メ2
と書 ける。 しか し、Rハ よびTPを この ように、 ただ単純 にs波 と同 じように考 えて、
RPITPを 計算す ると1に はな らない。 これ までの理論展開に ミスはないが、p波 の透過
波 は入射波 と違 うある角度 に傾 いているので ある。光学薄膜 では境界 に垂 直な波の
成分 とエ ネルギーの流れを考える として、 この角度依存性 を修正 す ると、s波 の場合
と同様 に して ρ′
お よび rpは 次 の よ うになる°。
け
器
τ′ =鵡
36
=樹
=満
(222)
023)
フレネル係夕の■礎
2′
ただ し ●7P=り ′CKIS07=り η.(プ =12)
p波 に対す るフ レネル係数 は、s波 に対す る
(2‐
24)
(213)式 、 (2‐ 15)式 と同 じ形 に表 され
たことになる。す ると、反射率凡お よび透過率 TPは
引がく
締
(225)
I
%イ =緻
(226)
とな り、,TP‐ 1を 満足する。p波 の フレネルの透過係数 7ρ (2‐ 21)式 は正 しいの
だが、エ ネルギーの流れ を扱 う光学薄膜 では (2‐ 23)式 が矛盾 な く使用で きるので
ある。
16項 で、スネルの法則 をホ イヘ ンスの原理お よびフェルマーのlnt理 か ら導 いた力!、
ここで述べ たことか らも導 いてみ よう。斜入射 の場合、上述の ように境界面 におけ
る各波の位IIは 等 しい としたが、これを式で表す と
―AZl=ω ′
―βlZl'=ω
ω′
あて
2
`―
■●=■ ●=島 Z2
となる。境界面では、z=oだ から (212)式 は
Sina2
Zl=χ SInθ l、 そ
2・ χ
r=χ Sinθ [、 ζ
となる。した力'っ て、 λ。
を真空中の波長として
ム=等 “[=ギ 缶Sha
・
nθ
"l“
ttZ2・
7話
等Ы‐
nら
nら
=“
nθ [=F2● nら
となる。これはスネルの法則である。スネルの法則を利用する と、 (2‐ 16)式 の反射
率R脚 よび (225)式 のRPは 、入射角 と屈折角だけで次のように表される。
Rs=(11:::;::)2.(::::::li::::::::)2=(:│]::::::│:::::│:::::)2
12271
RP= (樹
‐
)2 = (:│‐ ;:::::││:;::;│::::;:)2
(:│::;::::I::::::ll:::::│キ )2
37
第牢
=(―
。初
m)2=器
]::li:I:I:)2.(
プルースター角
icOfree Breek】
光力曝 板 に斜入射 した時の反射率 の角度依存性 を図26に 示す。s波 の反射率
は入射角が大 きくなるに したがって大 きくなるが、p波 の反射率は角度が大 き
くなるに したが って徐 々 に小 さ くな り、そ してある角度でoに なる。p波 の反
射率力tllに なる角度 をブルース ター角 (D Brewster,1815)と い う。 この角度 を
求めて見よう。反射執
なる。したがって
1丸F或
:
なればよいのだから、(225)式 からηp・ フ2,と
"fllに
ら
cos2ez+sin2e2=G7lq)2cos2ol +(trr /,h)2sin20, =|
.'. n
2
cas?
e, = nr2
sin2
="o"'6 *rtnz,
0,
:.4-r3E-'Gzlat)
(2‐
Z.rr4" nFt, r\= r.52o&+,
0
r
56.7'
29)
Lr.A"
また、反射率 を入射 角 と屈折角だけで表現 した (228)式 か らブルース ター
角を考 えてみ よ う。アルース ター角ではp波 の反射はoに なるか ら、分子力ヽあ
∞
∞
“
。
7
ω
m
Ю
∞
η
¨
ド r興︶zく↑費﹃r団 “
透過菫
o
l
o
01021"0516o70
80 90
ANC'Oθ
:d●
g]
口26 反射事の入射角●●L
38
フレネル係数の基礎
るいは分母が無限大 になれば よい。分子力lllに なるためには、 θl― θ2=0と な
り、人射角 と屈折 角力'等 しくなる。つ ま り、界面が存在 しな くな って しまう
か ら、 これは解ではない。 した力'つ て、分母 が無限大、つ ま りθl+θ 2=″ ′2
であればよいことがわかる。
外部 ミラー形 の レーザ ー管 の端 はこのブルース ター角 で窓が取 り付 け られ
てお リブルースター窓 (Brewstel window)と い う。 レーザ ー光 の出力 は、窓
を損失 な く通過す るp波 (直 線偏光 )の みが誘導放 出される。 また、図26か
らわか るように光が ガラスや水 の表面 に斜入射 した場合の反射光 は、その大
部分がs偏 光であることがわかる。釣 りや車の運転時 に偏光 メガネ (通 常 、偏
光 フィルムを レンズ 間に挟 んで偏光特性 を持 たせてい る)を かけると、水面
や雨 Lが りの路上 か らの反射が少 な く、いわ ゅるギ ラギラが 少な くな り、凹
凸が よ くわかる。そのため、偏光 メガネは垂直 な s備 光を減 らす ように、その
偏光軸 は垂 直 になつている (p波 を通過 させ る)。 また、 カーナ ビターシ ョン
には液品がfl用 されているが、偏 光 メガネをか けて運転席 にいて も画面が見
えるように、その画面 の偏光の向 き力 整 されている。
'調
ICdte Break】 臨界角と全●射
図26と は逆に、プリズムのようにガラス基板 (″ ‐152) か ら空気 (n..1)
に光が入射 した場合の反射率の入射角依存性 を図27に 示す。p波 の反射率は、
I
n1)
=33.34'
り、その後、P波 、s波 ともにその反射率は急激 に大 きくなる。そ して、
〓
“一﹁
a
(2‐
30)
]∞
,0
︹腱﹂ 0 0 Z く ﹂し口 OL ]︼
m
70
ω
50
“
30
20
10
0
0
10
20
●
5o
ぶ
“
ω
,o
GIE′ ,ld・ g]
図27 饉界角
39
第2章
の時にloO%に なる (■ 折角 θ2・ 90・ )。 この人射角を臨界角
とい う。 さらに入射角 θl力 '大 きくなると、
(c■
lcal anglc)
●nら ‐■ ●nθ ]>1
112
とな り、 この よ うな屈折角 ∂メま存在 しないので入射光 はすべ て反射 される。
これ を全反射 (total renec“ On)と い う。 この場合、臨界角 は4115° とな り、
45° の直角 プリズムでは斜めの外 表面 にゴ ミやはこ りがあって も、光は全 て反
射す る。 これが、 カメラな ど多 くの光学機器 で ミラーの代 わ りにプ リズムが
利用 される理 IIIで ある。
―
日日ヽ 23 吸収媒質への垂直入射
次に媒質 nに 吸収がある場合 を考えてみ よう。薄膜系で吸収媒 質 を取 り扱 う場合、
入射媒質には吸収が無い としてもそれほ ど一般性 を失わな。゛。そ こで、、 =″ 馬
1、
=ρ 2 ■ 2と す るとフレネル係数 ′、 rは
ρ=樹
=蹴
031)
F哉 =満
0‐
3"
反射華R、 透過率 Tは
t鰈
中
(233)
2
τ‐
lτ
=
=十
器
0341
轟
となる。 ここで計算 された反射率Rお よび透過半 Jま 、媒質 Πが ガラス基板 な どであ
・ 裏面反射が ない'と い う意味 は裏面 に完全反
り、裏面反射が ない場合の値である。
射防止膜が施 されているか、あるい は裏面 をサ ン ドプラス ト処理後、艶消 しの黒色
の塗料 を塗布 した場合 を意味する。基板 の裏面か ら反射がないか らRは 基板の厚みに
は無関係 であるが、■まネ板表面直後 の透過率であ ることに注意 されたい。 また、吸
1又 媒質の場合、透過率 Tの
ることに注意 されたい。
40
計算では「 式の ように、lτ 2に 、、、 の実部の比 を掛 け
フレネル係数の基礎
Coffoe
【
入射燎質の消衰係数慇 ゼロ
Break】
!
薄膜理論 では人射媒 質 には吸収が な い と して扱 う。 キ ユー ビ ック形PBS
(偏 光 ピームスプリッター)で は、薄膜 を基板 と基板 で挟 み、入射媒質は基板
となる。実際 には基板 には吸収があ り因 つて しまわない だろ うか ? その よ
うな場合 は、入射側 の基板 の消衰係撫 は0、 出射側 の基板 は■■0と すればよ
い。つ まり、同 じ基板 に対 して2つ のデー タを作成 して、分光特性 などを計算
すれば よい。基板 による吸収 を無視で きない場合 は、光が入射す る基板表面
か ら薄膜 までの吸収 をラ ンベ ル トの法則で計算 して、計算 されたPBsの 分光
特性 の処理 をすれば よい。 般 に市販 されてい る理論 ソフ トウェアも、人射
媒質には吸収がない もの と してll算 す るようになってお り、特 に、SFllな ど
の比較的吸収が大 きな基板 を利用 した大 きなPBsで は注意力必 要である。
次に位相変化を考えてみよう。吸収がない場合は、
らの大小によって反射波の
"1と
位相力Юあるいは1耐 変化することは前述した。吸収がある場合の位IIll変 化 φだ
″
=帥
蹴
∴●
・
・ 師
=守
(,35)
論
となる。同様に透過波の位相変化 φメ
ま
τ =晏
ギ │デ ド
:∴
毒
多
∴
=輌 Jお
●
12‐
30
となる。真空中に置かれた代表的な金属表面へ 光が垂直入射 した場合 の反射率、透
過率お よびそれ らの位相変化 を表21に 示す。Auは 赤外城 で反射率 は大 きく、反射波
の位相変化 は1780° であ り、ほは18ぴ に等 しいことがわかる。
iCofFee Broakl アークタンジェントtan lの II●
横 軸 を実 部 、経軸 を虚部 と して ρの 分子 の座 標 を とる と、表 21に 示す よ う
に第2象 限 とな る。 EXCELで は 、:an・ の 関数 と して、ATAN(値 )と ATAN2
(x座 標、y座 標)力 !用 意されている。ATANで はその解 φは一π/2≦
φ≦π/2
となるが、ATAN2で は一πく φ≦″である。 したがって、 φの計算では
ATAN2(実 部、虚部)で 計算するとよい。
41
第2=
表21代表的な金属への二壼入射時の反射率、透遇事、位相変イ
L
││ミ
■
―
4 3 0 2
"よ
る”%● ■0
・ )光 学定数データは 文
+
,391m
9537″ m
1● Ю
`.I]
5 3 3
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13 10
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■ 0
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4279
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“
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夕 189 95∞
17,
"
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` ,8
],2,
9802
1カ ‰
70ω
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“
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“
0
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'1つ
」
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1
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1● 40 1781
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︲
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"1,メ
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1
知印隅ψ“螺額噛節“哺
m
! (′ 分子) (′ 分 r) │.「
螂m鋼卸銀剛卿闊瑯開
“
口”“師躙幻か硝押飾o
mm囃口晰曜n剛隔餡峰
体
I 和 れ 0 0 M =颯
“ “ 測 A
lm
違 I● 率
R lЪ
り引用
2.4 吸収媒質への斜入射
吸収が ない入射媒質 Iか ら吸収がある媒質 Πに光が斜入射す る場合は、媒質 Πの
一般化 した屈折率の (2■ 4)式 お よび (224)式 で η2内 の■を、 (=■ ―lk2)と して
{1:It蹴
ら
(2‐ 37)
また、スネルの法則を
al=r2● nら
12‐ 381
"l Sl●
とすればよい。すると、 η2sは 、(237)式 と (238)式 から、次の (2‐ 39)式 の最初
の式のようになるが、 この計算式には√の中に虚数が含まれてお り、反射率 透過
率を実際にEXCELな どの計算 ソフ トウェアで計算する際には不便 である。 しか し、
ほとんどの理論的な解説書では、そこまでで終わつている。そこで、実際の計算に
便利なようにs波 およびP波 の屈折率 ηひ η2Pを 整理 してみよう。s波 に対する屈折事
η 、
"は
■s‐ t COSら =朽 {1-01′ r2ァ ..20}ν
=(●
2
―ち)11{■ ′
02 l1212..201“ 2
20_2.ち 2_(“ _iv)υ 2
=(.2_ち 2_″ 12● ■
)ソ
={イ
42
′
+ア し
′
+ア ■
′
+ア )/2
川
″
イ
フレネ麻
数の基礎
2ヨ ′
+ア ソ
ア
ts:■ 面
イ′十
メ
%罐 ■
痙ソ
争
‐ Ls
│力 s
(239)
ただ し
=7722 ●
“
v=242た
2_″
12●
n20
2
2
∞s(′ 2)=(1′ マ
■)(1+“ ′
↓2+v2ソ ′
2+v2ソ ″
2卜 ●′
√ )0“ ′
V〃
"nC′
‐
ξ ●ll l(V′
.s_(“
ン
2S=(“
040)
)
“4
2+v2)″
coslbF′
2+v2)1′ 4 sin(ζ
2)
′2)
2>0だ から0く くπとな
となる。なお、 nε =v(崎 +v2)】 ′
ξ
り、三角関数の倍角の公
“ よび輌 (で ″)は 上式 となる。する とp波 に対する屈折率 η2Pま
式からcos(`/2)お
=轟 尋 =讐瑠 =■ 許請
・′
2_ち 2)ヵ
(.2_ち 2).2S+2● ち
ヵs― ′
s}
{2712● OS (●
χ2S2+ッ ,s2
=χ 2P =力
(2● 1)
′
た
だ
し
∫
│::]litilill:ilt:1:││1考 i:│あ │
(2●
2)
と表される。これは、吸収がある多層膜系でも同様になり、実際の計算を行う際の
重要な関係式である。
(1)反 射率
以上の結果から、s波 およびp波 に対する反射率Rs、 RP、 それらの位相変化 φか
φ″を求めてみよう。入射媒質のs波 、p波 に対する屈折率は
P
I旧 箇 翼〕
oo
と表 されるので、フレネル係数 ρJま
43
鱒
基板に吸収がない場合は、(251)式 および (2521式 においてrf_1と して、
1']l1111P島
(2 541
)
ただし ヽ =(号
千等 )2
となる。
2.52
測
口20に 示すように光が基板に斜入射す る場合は、光 は臣れ だけ進む。 この口勧
を求めてみ よう。
2■
―
′
cosQ=′ ′
卜″
11-{n′ (斃 ち)12価 ]V2
=(F2 ち レ′
{(22 ち )2_.28●
2_t22_.2血
(■
=(レ ーち ν′
20F″
2 al―
120ち ):′
2
(2 55)
‐(レ ーち )′ ′
(■ s― :ヵ s)
いる
ただ し、■か y"は (240)式 で求められた値である。上式には虚数力治 まれて
のでその絶対値をとり、距離 │力 1は
J‖
=(斜)ち
(2 561
となる。 したが つて、内部透過率 ■は
Tt
Q-57)
= crp(4*2t hl I L)
aFvrtlrtrvr"
(156,
^L
@-f,l
*tt'
国2:0 ‖入射
"の
46
&4tj*iEt:i
内部邊洒中
ra&;Lt*6o$1
フレネル係数の基礎
射 の諸計算 で重 要 な式である。する と、s波 、p波 に対す る反射率Rs、 RPお よび透過
率 ■、TPは 垂直入射の場合 と同様 に して次の ように求 まる。
卿”
0581
〇
一
一
一
一
︱
〓
一
一
〇
∫
■ ら
輌仙
ll]lilllll[illli111]::]::│
(2‐
だ
た
し
恥‐ ギ
≒
号
競 RcP脇
宅中ら
″
賀
井
乱
ゴ
檻
:鷺 F:競
:ヽ
吸収がない場合は、(240)式 からu‐ ■2-コ 1`♂θ v=o、
l、
59)
い
0
なるから
`=0と
a12 sln2が
となる。すると、(242)式 か ら
χ
2S=“ 2′
COSθ 2=η 2P
{;::[:22′
となる。xlゞ ‐η゛ χ ‐η だから
l′
島
s=(樹
l′
島 ′ =(締
)2、
(2‐
60)式 の、 、ROPは
)2
とな り、吸収がないとして求めた (,16)式 、 (225)式 になる。 ■‐1だ か ら、 した
がつて、反射率お よび透過率は次の ようになる。
1尋
―
o初
:舞 チ
II驚 │{み 111部 │[1鶴
日IS 2.6 まとめ
261
垂直入射
媒質 rお よび Iの 屈折率をおのおの″】
、■とすると、フレネルの振幅反射係 数 ρ、
振幅透過係数 τ、反射率R、 透過軒 および位相変化 φハ φメま次のようになる。
F村 ヽ年お
oめ
47
第2幸
トリ生
(樹
Iヽ
増″
ギ顎
063)
・={1lli亀 ・=0
│ヽ
262
(2‐
64)
(2‐
65)
斜入射
入射角をθ 屈折角をθ2と す ると、s波 、p波 に対する屈折率は
l、
1襟 ]ち 11ら
■●na=ゎ nら
“
となり、フレネル係数は
(266)
ヽ
067)
ただし J‐ 1,2、
ス
・
ヽ
・
"=冊
器
ヽ
つ
れ
となる。反射率 、
=れ
(2る 8)
烏お よび透過率 ■、 TPlま 次 の ようになる。
uが く
続
I、
‐
・ 怜│イ =詈
引がく
締
,ヽ
I
・ =怜 "F‐ 冊
(269)
(2,0)
=缶
位相変化は垂直入射の場合 と同 じて、 (2‐ 64)式 となる。
263
順収媒貿 への垂直入射
ヽ =Л 凡 ‐■―lk・ とすると、フレネル係数 ρ、 ′は
,、
ρ=蹴
ヽ
"乱
0‐
70
反射率R、 透過率 nま
引
48
t鱗
\2-72)
フレネル係数の基礎
卜器 耐器 褥
(2,3)
となる。また、位相変化φぃ φメ
ま
9.
2n,k"
=ran ' --.-----=---:--t
n|--n1--x7-
.
(274)
となる。
264
吸収媒買への斜入射
入射角をθ 屈折角をθ2と すると、s波 およびp波 の屈折率 η6、
は次のようになる。
l、
ηls‐ !∞ Sa=χ ls、
“
●2S‐ χ2S 'ツ 2Sヽ
ηl′
=澪 l′
CtlSθ l‐
■′
2P
η2P=χ 2P サ ン
\2-75)
\2-16)
ただ し
=■ 22_ち
“
v=2●
2_η
′sln2
a
ち
2+v2)V2
2)=0′ √)0+“ ′
J“
鰯ζ′
2+v2ソ 2
V“
nC′ 2卜 0′ √)0-“ ′
“
=lan l(V′
ξ
0_7つ
)
“
2+v2)W4gls(ξ
2)
′
。s=(“
ツ
2S‐ (“
2+v2)]′ 4
sin(ξ
′
2)
II:]I::じ :fllili:ち
搬
\2-t8)
││li::::勇 ::│
フレネル係数 ′ 反射率馬お よび位相変化 φぉは次のようになる。
`、
お ‐
=識
樹
(.*rs
-xx)2
+ yzs2
G,. +.r25)t
+ y252
=―
l2t9)
(2-80)
(2-81)
49
第2章
p波 に対す る反射波の式 は、 (2-79)式 ∼
(281)式 で添 え字のsを ′に置 き換 えた もの
になる。透過波 に対 しては、次の よ うになる。
=乱
中
蒜
=搬
12821
・ =警需│イ =爺 可武自w=環 哉肯T
ls‐
tanJtttT
(2‐ 83)
o80
p波 に対 す る透 過波 の式 は、 (2‐ 82)式 ∼
(2‐
84)式 で添 え字 のsを Pに 置 き換 えた もの
になる。
265 基板の裏面反射を考慮した反射率、透過率
(1)螂
裏面反射がある場合の反射率Rお よび透過率」ま、表面と裏面の多重操 り返し反射
を考慮 して次のようになる。
R=島 {1+(1-2島 )12}′
(1_■ 2島 2)
(2-85)
r=(1-島 12η ′(1_η 2島 2)
ただ し ヽ ‐
:卜
(2-86)
≒議手
\2-87)
=露
■‐CXP鮨 ″)‐ αp←4rt2″ ん)
(2-88)
基仮に吸収がない場合は
R=2島 ′(1+島 )
7_(1-島
)′
(1+島
)
0‐
89
ただ し お ‐
(景予号 )2
となる。
(2)斜入射
光 ず厚みdの 基板 に入 射角 θlで 入射す る場合 、基板 の裏面反射 を
考慮 した反射率
ヽ 、烏お よび適過率 ヽ、TPは 次 の ようになる。
50
フレネル係数の基礎
岬”
一
一
性
一 一
一
〓
一
一
一
た
れ
・
鼈 聯 <
<
︲
︲
.
性
(291)
=調
跡
090)
ヽ
島 ″ =そ
十
■‐exp← 4π ち 力げ几)、
ft:「
国‐
(糾
十労
,
(292)
(2,3)
)ち
吸収がない場合は
{亀
]舞 チ
:1尋
ただ し
││││:t」
{λ ]││[ミ
=キ
│
Ros=(;::号
:)2
、
島 ′ =(樹
090
)2
鋼
1)H A Macleod:Tbln Fnm Optlcal Fllte● ,2 nd edltlon(Macmllan,Ntt York,1986)、
H AMacleodI 小倉他訳 :「 光学薄膜」(日 刊工業新聞社、1989)
2)■ DA應 :・ Handbook ot Optlcalい mm“ oF Sollds'Amdemlc“ s(1985)
51
1■
一1● 甘 ヾ・
■一
ヽ1
・
基板
:に 作製 された厚 さが光の波長程度の薄膜の上下面か らの光 は互いに干渉す
る。例 えば、ぬれた街路 にこぼれたガソリ ンによる美 しい干渉色や シャボ ン■ を膨
らま してい くと│■ 色 の干渉色が変化 してい く。 これ も、 単層薄膜の干渉か ら説明が
で きる。 ここでは、単層薄膜 の反射率、透過率お よびll相 変イ
ヒについて フレネル
係数 を利用 して実際 のプ ログラ ミングを合頭 に置 いて詳細 に解説す る。 また、真空
成艘装 置を利用 した成膜時の反射波あるいは透過波の位相変化 や光学モニ ターの光
量変化 (反 射率、透過 ヽ)に つ いて も述べ る。 さらに、H A Macleodの THIN FILM
OP"CAL FLTtts nを
参考 に して、 よ く知 られた特性 マ トリクスによる解説 も35
項 に示すので参考にされたい。
■■■‖露1 31 垂直入射
311
反射率 、透週 率 および位相 郵 ヒ
屈折率ち の基板 に透明な簿膜 (屈 折率″、膜厚dlが 成膜 されてい る場合の各界面
の フレネル係数 を図31の ように考える。前章で解説 したように、各 フレネル係数 は
次 の ようになる.
島‐
器 ヽ
τO=れ
(31)
A=始 ヽ
・=奇
(3‐
l
`。
′
`
l 夕
,
国01 単層薄臓のフレネル係数 と多I繰 り返 し反射
52
2)
Fly UP