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日産自動車横浜工場で乗用車のエンジン検査員誕生!
チャレンジ・ロールモデル 18 エンジン検査員 久野木雅美さん (横浜市) 女性のキャリア開発、 日産自動車横浜工場で乗用車のエンジン検査員誕生! 初めての女性エンジン検査員として未知から、キャリアを積む 就職に先立っての会社見学で、エンジンの組み立てを見ました。 「面白そうだな、自分で もできる」仕事だと思って選択した職種です。最初から迷いはありませんでした。チャレ ンジのための勉強や訓練など、特別の準備もなく、車の構造などの予備知識もなかったの で、入社してから、先輩の男性社員からすべて学んだことです。すなわち、OJTといっ て、職場教育の一環で、直接、先輩社員から仕事を通じて訓練を請けて学んでいく学習法 です。職場が日々「学校」であるということです。どんどん学び、どんどん吸収し、面白 かったと、久野木さんはいいます。 大変だったことは、 「一般の乗用車エンジンは 500∼1000 の部品点数があり、V型8気筒 の高級車の場合には、1300 もの部品があるのです。その部品の名称、機能を知ることでし た」 。部品の説明は特別の教育の機会がありませんでしたので、職場の行きかえりにみて、 憶えていくしかなかったのです。その部品を、どこに付けるのか、まるっきりわからなか ったというハードさをさりげなく、久野木さんは語りました。 -1- また実務上、困難を感じたことは、作業環境が従来の男性の身体基準を標準としてでき ていることでした。男性より身体が小柄な女性にとって、作業するに当り、部品の位置が 高い、また重い。男性中心の作業基準から、女性が作業するのに適切な職場環境の見直し・ 改善が必要なことを久野木さんが指摘し、改善されました。男性の上司は久野木さんの言 葉で始めてそのことに気づいたようです。 女性社員の存在はそういう工場内の整備・改善に ついても提案できるという意義があります。 エンジン検査員の仕事とは・・・ 新しく組み立てられた 1 台のエンジンをまわして、異常の有無をテストします。正常で あるのが絶対条件であり、それが原則です。その OK か否かをチェックするのは精密な、緊 張を要する大変な作業です。久野木さんが担当している検査作業工程は 6 工程、その過程 でコンピューター測定をするところは 40 計測あります。 ①できたエンジンにテスト備品を組み付ける。②冷却水を入れる。③燃料を入れ、エン ジンの始動。1 分間に 2500 回転、3∼4分間回転させる。これは暖機(エンジンを温める) のため。④水漏れ、油漏れ、異音の有無を目視・聴覚で確認。⑤排気ガス測定。国内外の 規定を満たしているかどうかチェック。⑥最後に運転調整作業。 この間、約20分です。1 日、18∼20台のエンジンのテストをするのです。そして テスト OK だったエンジンは車両工場に出荷され、自動車にのせられます。 生産調整の場合、キャラバン生産という異なる職場に移動して違う機種のエンジンを要 求に応じ検査していく、いわゆる午前に A のエンジン、午後に B のエンジンというように 1 日のうちに異なるエンジンの検査をするため別の職場に移動して仕事をすることもあり、 エンジン検査員として、多様なエンジンに対応することが求められています。その対応す る能力に感嘆してしまいます。 大変だなと、感心してしみじみ思うもうひとつのことは、日勤・夜勤を 1 週間交代です るということです。久野木さんは同等の夜勤をこなしています。夜勤についてはからだが 応えてくれるので、特別辛い・苦しいと思うことはないそうです。男女雇用機会均等法が 施行されている今日、女性も男性と同じ労働条件で就業しているのですから、久野木さん はこの業種におけるまさにパイオニアであるといえましょう。 女性の職域開拓として女性に早く教えたいし、教えて学びたい! エンジンテスト部門に女性の後輩がこの 4 年間に 1 人も来ていないのだそうです。 久野木さんは、待っています。早く女性の職域開拓として「教えたいし、教えて学びたい のです」 。ずっと仕事をつづけて、そういう立場になることに憧れています。日産自動車 (株)では、両立支援施策が検討され整備されているので、女性がキャリアの途中で出産・ 育児・介護などに直面しても、ワーク・ライフ・バランスの環境が保障されています。久 -2- 野木さんは安心してキャリアを継続できる職場環境にあり、恵まれているといえましょう。 工場はまだ男性中心だけど、女性であることにこだわらず、私でもできると思って技術 部門にチャレンジしてもらいたい。技術の知識がなくても大丈夫です、女性が自分の適性 にあった職種に進出する「勇敢さ」を就職活動のときに発揮してもらいたいのです。これ が久野木さんのメッセージです。男性従業員だけの部門も、女性の進出で環境整備がすす み、会社組織の発展に通じるでしょう。技術の現場にも女性の存在は大切です。 「自分のテストしたエンジンは大丈夫、安全です、そのエンジンが載った車が走ってい ると思うと、 責任の重大性を自覚すると同時に誇らしいですよ。 やりがいのある仕事です」 、 と語る久野木さんには、あとに続く女性エンジン検査員の後輩がまだいません。是非チャ レンジしてほしいものです。 (2005 年 11 月 1 日取材) ♦プロフィール 久野木 雅美(くのき まさみ) 1983 年 10 月生まれ 川崎市在住 父母弟の 4 人家族 独身 2001 年 4 月 日産自動車(株)横浜工場第1製造部 入社 (勤続 4 年) ♦交通&アクセス 日産自動車株式会社 横浜工場 横浜市神奈川区宝町 2 番地 最寄り駅 JR 新子安駅下車 徒歩 15 分 -3-