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案件名(国名) 国 名:グアテマラ
無償用 事業事前評価表 国際協力機構 中南米部中米・カリブ課 1.案件名(国名) 国 名:グアテマラ 案件名:クリーン・エネルギーによる北部村落生産活動促進計画(環境プログラム無償) Proyecto de Promoción de Actividades Productivas con el Uso de Energía Limpia en Aldeas del Norte en la República de Guatemala 2.事業の背景と必要性 (1) 当該国における電力セクター開発実績(現状)と課題 グアテマラでは、全国電化率は 2008 年に 83%まで向上したものの、貧困層の多い地方 部の電化率は未だ低く、本事業の対象地域であるアルタ・ベラパス県(貧困率 8 割/大 半が先住民)は 41%と全国で最も電化が遅れている。アルタ・ベラパス県に代表される アクセス困難な山岳地域は、特に送電線延伸が困難なこともあり、2011 年と計画されて いる地方電化計画(Plan de Electrificación Rural:PER)の達成後も約 10%の地域が未 電化で取り残される見込みである。 このようにグアテマラ北部地域における貧困層の生活水準向上のため、エネルギーサ ービスへのアクセス向上が不可欠となっている。 (2) 当該国における電力セクターの開発政策と本事業の位置づけ グアテマラは、気候変動枠組み条約(United Nations Framework Convention on Climate Change)及び京都議定書を批准し、積極的に気候変動対策に取り組もうとしており、エ ネルギー・鉱山資源政策(2008~15 年)において「競争力のある料金でのエネルギー供 給量の拡大」、「再生可能エネルギーを優先させたエネルギー源の多様化」及び「再生可 能並びに枯渇性資源を適切に利用した持続可能な開発の推進」等を掲げている。本件対 象地域としている送電線延伸の困難な山岳地については、グアテマラ GVEP(Global Village Energy Partnership) 委員会のイニシアティブのもと、再生可能エネルギー資 源(マイクロ水力等)を活用した独立電化を計画している。またエネルギー鉱山省は、 再生可能エネルギーによる電化とともに電力の生産的利用を重視している。 本事業は、上記に基づき他ドナーが行った電化の優先地域選定や米州開発銀行(IDB) によるフィージビリティスタディを基に、アルタ・ベラパス県の3集落においてマイク ロ水力による電化及び電力を活用した生計向上活動を行うものであり、同国の開発政策 に合致する。 (3) 電力セクターに対する我が国及び JICA の援助方針と実績 1)我が国及び JICA の援助方針 我が国は、従前より、排出削減等の気候変動対策に取り組む途上国及び気候変動の悪 影響に対して脆弱な途上国への支援を積極的に行ってきており、2008 年には 5 年間で 100 億ドル規模の新たな資金メカニズムを発表している。この新たな資金メカニズムの一環 として、2008 年度より途上国の適応策及び緩和策を支援するため、 「環境プログラム無償」 が新設された。 本案件は、JICA の援助実施方針における援助重点分野「持続的開発」内の開発課題「環 境管理」に位置付けられる。 2)実績 開発調査「アマティトラン地熱開発計画」を実施(1998~2001 年)。 (4) 他の援助機関の対応 1)USAID:2004 年に北部貧困地域 74 集落の社会経済調査等を実施 2)UNDP:2005 年、GVEP 再生可能エネルギー事業計画を作成(50 集落) 。また、代替エ ネルギーの生産的活用(PURE)を 2007 年より実施中。 3)IDB:現地 NGO(ソーラー財団)を通じ当該 3 サイトでのマイクロ水力発電の F/S 調 査を実施(2008 年)。 3.事業概要 (1) 事業の目的(協力プログラムにおける位置付けを含む) 系統接続での電化が困難なアルタ・ベラパス県最貧困地域の 3 集落において、マイクロ 水力発電施設及び配電施設を整備し、発電所の運営維持管理及び電力を利用した生産活動 促進のための技術的支援を行うことにより、地域住民のエネルギーアクセスへの向上、生 産活動の促進を図り、もって生計向上に寄与する。 (2) プロジェクトサイト/対象地域名 アルタ・ベラパス県チャハル市ラス・コンチャス集落群、カルボン市セアシル集落群、 パンソス市ホロム・イヒシュ集落群 (3) 事業概要 1) 土木工事、調達機器等の内容 【施設・機材】3 箇所のマイクロ水力発電施設の建設、水車発電機および配電設備の調 達・設置(低圧配電線等の資材調達を含む) ラス・コンチャス 94kW セアシル 59kW ホロム・イヒシュ 98kW 2) コンサルティング・サービス/ソフトコンポーネント・技術支援の内容 ・施設の建設及び機材の調達に関する実施設計および調達・施工監理 ・発電・配電施設の運営維持管理及び電力を用いた生計向上に係る技術支援 3) 調達・施工方法 調達代理方式により現地調達(アンタイド)により調達、施工する。 (4) 総事業費/概算協力額 総事業費 11.13 億円(概算協力額:日本側 10.03 億円、グアテマラ側 1.1 億円) (5) 事業実施スケジュール(協力期間) 2010 年 1 月~2013 年 5 月(計 3 年 5 ヵ月) (6) 事業実施体制(実施機関/カウンターパート) エネルギー鉱山省(Ministerio de Energía y Minas) (7) 環境社会配慮・貧困削減・社会開発 1) 環境社会配慮 ① カテゴリ分類:B ② 分類根拠と回避・軽減策 プロジェクト対象地の一部は生物圏保護緩衝地区内にあり、グアテマラの環境法令 では EIA が必要。しかし、小規模な開発は可能であることから、IEE(初期環境調査) およびモニタリング計画の提出をもって EIA としての位置づけで承認されることとな っている。IEE は 2009 年 7 月末に作成され、同年 10 月 15 日に承認された。 環境や社会への望ましくない影響は限定的であり、本調査にて回避・軽減策が検討 され先方政府により対策が施される予定。 2) 貧困削減促進 対象地域住民の電力供給へのアクセスが可能になり、生計・生活向上に寄与するこ とが期待される。 3) ジェンダー エネルギー供給や生産活動への女性参加によるエンパワーメントが期待される。 (8) 他援助機関等との連携・役割分担 UNDP の PURE と協調し、当該 3 サイトへの技術支援を本事業により行う。なお、本事 業は IDB 実施の F/S をベースに事業化している。 2 (9) その他特記事項 特になし。 4. 外部条件・リスクコントロール (1)事業実施のための前提条件 地方電化及び再生可能エネルギーに関するグアテマラの政策が大きく変更されないこと。 地域住民による小水力発電施設建設に対する反対運動が起こらないこと。 対象サイトに全国電力網(グリッド)が接続されないこと。 (2)プロジェクト全体計画達成のための外部条件 上流部の利水や長期的な旱魃により発電に必要な河川流量が確保できない状況に陥らな いこと。 住民による生産活動促進に対する関心が著しく低下しないこと。 5. 過去の類似案件の評価結果と本事業への教訓 類似案件として、カンボジアにおける、モンドルキリ州小水力地方電化計画(無償)と 運営維持管理プロジェクト(技プロ)が挙げられるが、電力利用者の理解、運営維持管理 能力強化などソフト面の支援が重視されている。本案件においても発電所の運営維持、生 産活動促進等の技術的支援の重点的実施が不可欠である。 6. 評価結果 以下の内容により本案件の妥当性は高く、また有効性が見込まれると判断される。 (1) 妥当性 配電予定のない未電化地区への再生可能エネルギーによる電力供給は、貧困層の生活基 盤を整備するとともに、生産活動を促進することで生計向上・生活改善に寄与するもので あり、必要性、緊急性は高い。同時に気候変動対策にも資する。これらから我が国の定め る援助重点分野である「持続的開発」としての妥当性が認められ、環境との調和のとれた 開発が期待される。 (2) 有効性 1) 定量的効果 指標名 基準値(2009 年) 目標値(2016 年) 【事業完成 3 年後】 電化世帯数(世帯/対象人数) - 1,017/約 6,200 電化率(%) 100 最大電力(kW) - 251 2) 定性的効果 ・電灯使用による夜間における勉学、夜間識字学校など、教育環境の向上に寄与する。 ・ワクチンの冷蔵保存など医療環境の向上に寄与する。 ・グアテマラにおける近代エネルギーを利用した生計向上活動のモデルとして他の地 域での生計向上活動に寄与する。 ・世帯収入の増加に寄与する。 ・薪やケロシンなどの使用量減少により、CO2 排出量が削減される。 7. 今後の評価計画 (1) 今後の評価に用いる主な指標 6.(2) 1)のとおり。 (2) 今後の評価のタイミング ・事後評価 事業完成3年後 以 3 上