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事業事前評価表 国際協力機構南アジア部南アジア第四課 1.案件名
事業事前評価表 国際協力機構南アジア部南アジア第四課 1.案件名(国名) 国名:ネパール連邦民主共和国 案件名:トリブバン国際空港近代化計画 Tribhuvan International Airport Modernization Project (Surveillance System) 2.事業の背景と必要性 (1) 当該国における航空セクターの開発実績(現状)と課題 ネパールはインドと中国に囲まれた内陸国であり、空路は陸路とともに重要な移動・流 通手段であり、特に山岳地帯では空路が唯一の移動・物資輸送手段となっている。中でも、 首都カトマンズのトリブバン国際空港はネパール唯一の国際空港であり、国内線のハブ拠 点としても重要な役割を果たしている。同空港の旅客機発着回数は 2001 年 63,159 回から 2011 年 102,052 回と近年急増しているが、航空管制用監視レーダーシステム(通常、空港 監視レーダー及び航空路監視レーダーから成る)のうち空港監視レーダーのみ設置されて おり、監視レーダーによるレーダー網は空港周辺しかカバーされていない。また既存の空 港監視レーダーも耐用年数を超過し老朽化していることから、航空管制の安全性が十分に 確保されていない状況にある。支援対象機関の民間航空公社はネパールの航空行政を担い、 空港の建設及び運営維持管理、通信・ナビゲーション施設の整備を担当しているため、対 象として適切と考えるために選定した。 (2) 当該国における航空セクターの開発政策における本事業の位置づけ及び必要性 国家開発戦略の最上位に位置づけられる三カ年計画(2010/11~2012/13 年度)において、 民間航空システムの整備・拡張を通じた観光産業及び国内経済の発展を目標に掲げ、トリ ブバン国際空港の整備・拡張を最優先課題に掲げている。このことからも本事業の必要性 は高い。 (3) 航空セクターに対する我が国及び JICA の援助方針と実績 我が国は対ネパール 国別援助方針(2012 年 4 月)において運輸交通を重点分野とし、国 内経済の活性化のために、主要な運輸交通ネットワークの整備・改善を実施することを目標 に掲げている。また、ネパール JICA 国別分析ペーパーにおいて協力プログラムとして運 輸交通インフラ整備を設定しており、内陸国であり山間地が国土の大半を占める同国にお いては、陸路とともにライフラインとして空路の整備を重視している。 我が国は航空セクターに対して無償資金協力「カトマンズ国際空港1整備計画」(1994 年) 及び「トリブバン国際空港近代化プログラムにおける航空管制設備改善計画」(1999 年)を 通じて国際空港周辺の空港管制用レーダー施設や管制機器設置等を支援し、航空の安全性 確保及び輸送力強化に貢献してきた。 (4) 他の援助機関の対応 1 このカトマンズ国際空港はトリブバン国際空港と同義 アジア開発銀行がトリブバン国際空港改善マスタープラン策定を支援している他、同空 港の滑走路延長、ターミナルビル拡張等を支援している。 3.事業概要 (1) 事業の目的(協力プログラムにおける位置づけを含む) ネパール唯一の国際空港であるトリブバン国際空港において、航空路監視レーダーの新 設、既存空港監視レーダー・機材の更新を行うことによって航空輸送の安全性向上を図り、 運輸交通インフラ整備プログラムにおける「空港整備」を通じた、カトマンズ盆地内外(国 外)との交通改善に寄与する。 (2) プロジェクトサイト/対象地域名 カトマンズ市トリブバン国際空港、ラリトプル市バテダダ(レーダー設置サイト) (3) 事業概要 1) 土木工事、調達機器等の内容 【機材】空港監視用二次レーダー、航空路監視用二次レーダー、関連機材(情報処理装 置、無停電電源装置、その他付属装置) 2) コンサルティング・サービス/ソフトコンポーネントの内容 設計監理、入札支援、施工監理等 (4) 総事業費/概算協力額 総事業費約 10.32 億円(概算協力額(日本側) :9.89 億円、ネパール国側:0.43 億円) (5) 事業実施スケジュール(協力期間) 2013 年 4 月~2015 年 2 月を予定(計 23 ヶ月) (6) 事業実施体制(実施機関/カウンターパート) 文化観光民間航空省ネパール民間航空公社(Civil Aviation Authority of Nepal: CAAN) (7) 環境社会配慮・貧困削減・社会開発 1) 環境社会配慮 ① カテゴリ分類:C ② カテゴリ分類の根拠 「国際協力機構環境社会配慮ガイドライン」(2010 年 4 月公布)上、環境への望ま しくない影響は最小限であると判断されるため。 2) 貧困削減促進 特に無し。 3) 社会開発促進(ジェンダーの視点、エイズ等感染症対策、参加型開発、障害者配慮等) 対象外。 (8) 他事業、ドナー等との連携・役割分担 アジア開発銀行は同空港の滑走路延長と、ターミナルビル拡張等を支援している。本事 業(航空路・空港監視レーダー等の整備)と併せて、航空機の安全運航に資するものとし て同空港の総合的な改善がなされる。 (9) その他特記事項 特に無し。 2 4. 外部条件・リスクコントロール (1) 事業実施の前提条件 先方負担事項として、バテダダ山頂への進入路の整備、バテダダ山頂のレーダー局舎整 備、及びサイト電源供給等が適切に整備される。 (2) プロジェクト全体計画達成のための外部条件 極端な治安の悪化、政治状況の変化が生じない。 5. 過去の類似案件の評価結果と本事業への教訓 (1)類似案件の評価結果 「カトマンズ国際空港整備計画(1995~97 年)」で導入した航空管制機材の一部に障害 が発生し、ネパール側の予算措置、維持管理、本邦企業の対応の遅れ等により復旧に長期 間要したことから、スペアパーツ調達等の重要性が指摘されている。 (2)本事業への教訓 ネパール側の予算措置・維持管理体制は近年改善されており、本事業で整備される機材 の運営維持管理についても予算の観点からは改善傾向にある。また、スペアパーツ調達体 制については、日本側から技術協力を通じた継続的なフォローを行う予定。 6. 評価結果 以下の内容により本案件の妥当性は高く、また有効性が見込まれると判断される。 (1) 妥当性 本事業はネパール政府の航空セクターの開発政策、並びに我が国及び JICA の援助方 針に合致する。また国際線の 77%をカバーしている既存の空港監視レーダーも耐用年 数を超過し老朽化しており、本計画の緊急性・妥当性は高い。 (2) 有効性 1) 定量的効果 指標名 基準値(2012 年) 目標値(2018 年【事業完成 3 年後】) 監視レーダーでカバーされる 国際線の割合(%) 77 100 監視レーダーでカバーされる 全航空機の割合(%) 64 97 2) 定性的効果 ・ネパール国の広範において監視レーダーによる管制が実施されるため、トリブバン国 際空港における航空機の離発着の遅延のリスクが低減する。 ・ネパール国における航空機事故のリスクが低減する。 3 7. 今後の評価計画 (1) 今後の評価に用いる主な指標 6.(2) 1)のとおり。 (2) 今後の評価のタイミング ・事後評価 事業完成3年後 以 4 上