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ハルツーム州衛生環境改善のための廃棄物管理能力向上計画準備調査
無償資金協力 案件概要書 国際協力機構 2013 年 2 月 26 日 アフリカ部アフリカ第一課 1. 案件名(国名) 国名: スーダン共和国 案件名:ハルツーム州衛生環境改善のための廃棄物管理能力向上計画 (The Project for Improvement of Solid Waste Management in Khartoum State) 2. 事業の背景と必要性 (1) 当該国における廃棄物管理セクターの開発実績(現状)と課題 スーダン国の首都ハルツームが位置するハルツーム州は、約 600 万人の人口を有 し、1 日あたり約 4000 トンの廃棄物が発生している。同州は 3 箇所の廃棄物運搬 中継所と 3 箇所の埋立地を有しており、連邦環境・森林・都市開発省の指導のもと、 ハルツーム州環境評議会清掃管理局の管理下にある各郡の清掃事務所が、担当地域 での廃棄物収集・運搬業務を担っている。しかしながら、収集運搬に関しては古い 機材を用いた非効率な事業のため、総廃棄量に対する収集率は 63%程度(日量約 2700 トン)に留まっており、このため廃棄物が市中に滞留し、低所得者居住区を 中心に衛生環境が悪化している。更に同州は広大な処分場(約 1000ha)を有し、 JICA 専門家の支援により 24 時間体制の廃棄物搬入受入体制は存在するが、埋立地 用重機の不足により覆土処理等がなされず、処分場周辺地域における衛生環境面で の悪影響が懸念されている。 (2) 当該国における廃棄物管理セクターの開発政策と本事業の位置づけ及び必要性 2008 年にハルツーム州環境保護法が成立し、同法を基に州内の清掃計画が立て られている。また、政府は JICA 専門家のアドバイスの下、ハルツーム州の廃棄物 管理事業の改善・強化に向けた中長期的なマスタープランの策定を進めており、本 事業はその実現に貢献する。 (3) 廃棄物管理セクターに対する我が国の援助方針 本事業は、現行の対スーダン国別援助方針及び事業展開計画の援助重点分野「基 礎生活向上支援(BHN)」の水・衛生支援プログラムの案件として位置づけられる。 同プログラムにおけるこれまでの支援実績としては、2010 年より環境管理の JICA 専門家が活動しており、ゴミ収集運搬及び埋立地管理分野における人材育成で大き な成果をあげている。また、現在、同活動を拡充し機材管理・運用能力向上も対象 とした後継技術協力の要請が検討されており、右案件が採択・実施されれば本無償 資金協力との相乗効果が期待される。 なお、環境分野における日本のスーダン支援実績は、廃棄物収集用トラック等の 機材供与を行った 1985 年の無償資金協力「スーダン共和国首都圏衛生改善計画」 まで遡る。これらのトラックの一部は 20 年以上経った現在もハルツーム州におい て利用されており、長期的に同州における廃棄物管理事業の推進に貢献している。 (4) 他の援助機関の対応 スーダン国廃棄物セクターで活動している主要ドナーはおらず、ローカル NGO 等 が衛生環境向上のために廃棄物収集活動を実施しているのみである。 3. 事業概要 (1) 事業の目的 本事業は、ハルツーム州において、廃棄物収集車などの機材供与及び維持管理ワ ークショップ建設を行うことにより、廃棄物収集の効率化を図り、もって同州の都 市衛生環境の向上に寄与することを目的とする。 (2) プロジェクトサイト/対象地域名:ハルツーム州(人口 600 万人) (3) 事業概要 1) 土木工事、調達機器等の内容 【施設】維持管理ワークショップ 【機材】収集車(コンパクター、ダンプトラック)、埋立地用重機、予備部品、 修理機材 2) コンサルティング・サービス/ソフトコンポーネントの内容 協力準備調査にて今後確認。 3) 調達・施工方法:協力準備調査にて今後確認。 (4) 事業実施体制 事業実施機関:連邦環境・森林・都市開発省。 (5) 環境社会配慮・貧困削減・社会開発 1) 環境社会配慮 ① カテゴリ分類: B ② カテゴリ分類の根拠: 本事業は、「国際協力機構環境社会配慮ガイドライン」 (2010 年 4 月公布)に掲げる廃棄物処理・処分セクターのうち大規模なもの に該当せず、環境への望ましくない影響は重大でないと判断され、かつ、同ガ イドラインに掲げる影響を及ぼしやすい特性及び影響を受けやすい地域に該 当しないため。 2) 貧困削減促進等:詳細は協力準備調査にて今後確認。 (6) 他スキーム、他ドナー、他案件等との連携 2013 年度以降の開始に向け検討されている廃棄物管理分野の技術協力プロジ ェクトにて、本事業により供与された設備・機材の運用・維持管理を側面支援す る。 (7) その他特記事項:特になし。 4. 過去の類似案件の評価結果と本事業への教訓 (1) 類似案件の評価結果 パレスチナ自治政府に対する無償資金協力「ごみ処理機材整備計画」の評価等で は、スペアパーツ全般の入手可能性において調達ルートの確保などの配慮をおこな ったことが、継続的な機材の活用に際して効果的であったとされた。また、他の類 似案件においては、事業実施後、廃棄物管理事業における被雇用者との意思疎通が 十分でなかったことから、当初想定していたよりも整備した機材や施設の稼働に時 間を要した事例が見られた。 (2) 本事業への教訓 本事業も機材供与を含む案件であることから、協力準備調査の段階で、機材、ス ペアパーツ調達先及び調達方法(ルート)を確認し、その結果を調達機材の選定に 反映するようにする。また、廃棄物管理事業に携わる被雇用者との意思疎通の問題 による稼働の遅れ等を防止するため、本事業と並行して実施する予定の技術協力で 実施機関の経営・事業運営能力の強化を図るとともに、現状組織の状況を踏まえつ つ、必要に応じ、作業員への適切な説明等を行うこととする。 以上 〔別添資料〕地図 別添: プロジェクト対象地図 ハルツーム州