Comments
Description
Transcript
a291 イスラエル3日・ガリラヤ湖の古代木造船
異文化の旅 イスラエルを行く1103-8 a291 イスラエル3日・ガリラヤ湖の古代木造船 2011 年 3 月 3 日朝、ガリラヤ 湖畔のホテルから湖に沿って北 に 10-15 分走ると、キブツ・ゲ ノサレの敷地内に建つイガル・ アロン・センターに着く。ここ でおよそ 2000 年前と推定される 古代木造船 を見学した。 イスラエルの発展に伴いガリ ラヤ湖の水使用量が増えたうえ に異常渇水が続き、ガリラヤ湖の水位が極端に下がった 1986 年 1 月、キブツ・ゲノサレ Kibbutz Ginosar に住んでいた兄弟が湖底から 顔を出した船の残骸を見つけた。イスラエル考古学博物館庁が中心 となり調べたところ、炭素分析の結果からおよそ 2000 年前と推定 された(資料は古代木造船入場チケット )。 2000 年前といえば、イエスがこのあたりで伝道していた時期に 相当する 。新約聖書マルコ福音書1-16には「 ガリラヤ湖のほとりを 通られると、シモンとシモンの兄弟が湖で網を打っているのをご覧 になった。彼らは漁師であった 」、 1-19 には「・・ ゼベタイの子ヤ コブと、その兄弟ヨハネをご覧になった。彼らも船で網を繕ってい た 」、さらに 1-35 では「・・ 夕方になって。イエスは弟子たちにさ あ向こう岸に渡ろうと言われ 」、 1-36 で「・・ 船に乗っておられる ままでイエスをお連れした。他の船もイエスについていった 」など とあり、ガリラヤ湖での漁や船に乗ったイエスが紹介されている。 2000 年前の船の残骸はまさに聖書のイエスを彷彿させよう。研 究者たちは、もろくなった船全体をファイバーグラスと発泡ポリウ レタンで包み込み、固まったところで地上に持ち上げ、イガル・ア ロン・センター Yigal Alon Center の保護水槽に収めた。 木材は水中に没したままか、または十分に乾燥している場合は腐 食は進行しないが、通常の環境では腐食を止めることが出来ない。 次に、研究者たちは合成蝋を溶かしたポリエチレングリコール液に 船を浸し、木材に合成蝋が浸透するのを待った。合成蝋が完全に浸 透するまで 14 年もかかったそう だ。この間に新展示ホールも建 設され、 2000 年 2 月、船の形を 支える骨組みで安定させて展示 ケ ー ス に 移 さ れ た 。( 写 真 、 白 っぽく見えるのが船を支える骨 組み、黒っぽく見るのが発見さ れた古代木造船) 船 の 大 き さ は 長 さ 8.2m、 幅 2.3m、高さ 1.2m で、船板にはレバノン杉や樫など 11 種の樹種が使 われ、ほぞ穴で継がれていたそうだ。船の大きさから 5 人ていどが 乗り込んだと推定された。近くの復元模型をみると一本マストの帆 で動かしたらしい。 私たちの到着は 8 時 15 分頃でけっこう早いと思ったが、すでに 大勢が見学していたし、次々と新しい観光客が入場してくる。聖書 のことばを裏付ける古代木造船は観光コースの定番のようだ。 見学を終えて外に出る。回り はキブツ・ゲノサレに入植した ユダヤ人によって整備が進んで いる(写真はキブツ・ゲノサレ の 牧 草 地 と 住 宅 地 )。 キ ブ ツ に ついては別項で紹介するが、当 初、農業を中心とした共同体だ ったキブツは、いまや工業生産 や観光産業を営むキブツも多く なり、ここキブツ・ゲノサレは農業生産のほかに古代木造船にちな んだガリラヤ湖遊覧やガリラヤ湖を望む保養所も営業していて、大 いに賑わっているから大いに潤っているようだ。 ガイドは観光客の混み具合をみて、次は山上の垂訓教会に向かう ことにした。どこかでは別のツアーとかち合うだろうが、順番をう まく組み立てるとかち合う場所を少なくすることが出来る。それも ガイドの手腕で、後で思い返すと経験豊かな S さんのコース設定 の成功率は高かった 。( 1103 現地、 1210 記) - 1 - - 2 -