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電波天文の受信信号強度と 観測地の背景雑音,及び, 懸念事項

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電波天文の受信信号強度と 観測地の背景雑音,及び, 懸念事項
電波天文の受信信号強度と
観測地の背景雑音,及び,
懸念事項
日本学術会議
国立天文台
HF帯~UHF帯における電波観測
•地球電離圏・大気圏 ・・・ レーダー、自然電波
•天体の非熱的放射観測
太陽電波バースト、木星電波、銀河電波、パルサー
•固体惑星、太陽コロナ ・・・ レーダー
•星間空間、惑星間空間 ・・・ シンチレーション観測
•将来計画 ・・・ 深宇宙探査、系外惑星探査など
自然電波の受信強度
・・・ 一般に人工電波に比べて極めて
微弱(距離が近いことなど)
人工雑音などによる干渉の問題
・・・ 古くからの問題
デカメータ波帯(20-40MHz)電波観測
1974年以来の定常観測(蔵王、飯舘)
電波強度計観測(6周波数)
ダイナミックスペクトル観測(20MHz-40MHz)
干渉計観測
1.5km(蔵王)、100km級(宮城県、福島県)
500km級(東北-福井)
9基アレイ干渉計観測 200mx200m(飯舘)
波形観測
惑星圏飯舘観測所
0
50m
木星・銀河デカメータ電波観測施設
惑星電波・光観測施設
電波天文観測地の背景雑音
昼間は人工雑音が多少入るが,夜間は銀河雑音の
レベルで背景雑音が決まる
観測対象と電波強度 10m
Wavelength
1m
10cm
Cosmic noise 2004/4/27JST f=35.02861MHz (min=5step avg=40sec)
1
Active Sun
30
25
L 40
35
30
25
21:00
2001/1/9
22:00
Radio flux density [Jy]
Freqency [MHz]
35
105
output voltage(V)
104
ck g
roun
0.5
0
d
un
tS
40000
60000
80000
100000 120000 140000 160000
↑銀河電波雑音レベル
(Hiyama、2004)
↓木星シンクロトロン放射
JSR
F10.7
M31
102
Jovian synchrotron radiation
(top) and solar f10.7 (bottom)
Jupiter
Rec. ITU-R RA.769
10
20000
sweep number
103
1
(Oya & Iizama, 2003)
0.6
Ca
ssi
ope
ia A
10
Cassiopeia-A 電波マップ
0.7
0.55
ie
u
Q
r
R 40
20:00
en t
erba
Jupite
↓木星電波バースト
(Konno et al. 2002)
0.8
0.75
0.65
106
↑太陽電波バーストスペクトル
(http://sunbase.nict.go.jp)
19:00
Gala
xy C
0.9
0.85
M
oo
n
107
"CNavg040427001ch560.dat"u 0:1
0.95
100
(Modified from
Kraus, 1986)
1,000
10,000
Frequency [MHz]
(1Jy=10-26W/m2/Hz)
木星電波放射観測例
福島県飯舘惑星圏観測所における木星からの短波帯放射観
測例(2001年1月9日 19:30-22:00JST).木星の自転並びに衛
星イオの公転に依存して出現する.(Konno, 2002)
銀河電波スペクトル
の特性
銀河雑音電波は強度が大変
強く、常に存在するため、微弱
自然電波観測の障害であるが
無偏波・無相関の熱雑音である性
質を用いることで銀河雑音を排除
可能→より微弱な信号を検出可能
2002年赤城実験
T2FD測定例
PLC ON時のノイズレベルと
銀河電波レベルの比較
-60
Power [dBm]
(1)T2FD直下で電界強度測定器
を用いて放送波の電界強度
を測定: E(dBμV/m)
(2)T2FDによる受信強度を
スペアナで測定: V(dBμV)
(3)両者の結果から、T2FDの
アンテナ係数を導出。
K = E(dBμV/m)- V(dBμV)
(4)アンテナ係数を用い、
PLCノイズのレベル(dBm)を
絶対強度(dBμV/m)に換算。
2002/7/23 10:19 T2FD#1 (57m)
ALL PLC Modem ON
-80
-100
45dB
-120
0
10
20
Frequency [MHz]
30
アンテナ係数を考慮した銀河電波の
受信レベルと、全てのPLCモデムON
時のノイズレベル@57m
PLCノイズは、銀河レベルより30-45dB(103-3×104倍)高い
2002年赤城実験
UHF帯測定結果
モデム OFF
周波数
-70dBm
360M
320M
280M
-90dBm
15:02JST
15:04JST
15:06JST
PLCモデム3/4停止時の327MHz付近のレベル変化
PLCモデムOFF:広帯域ノイズレベル、狭帯域ノイズ減少
方角依存性 :PLC設備方向でノイズレベル増大
・・・UHF帯におけるHFPLCによるスプリアスの存在を確認
自然電波観測に対するPLC設備の影響への懸念
• 2002年赤城実験の様な、1対~数対のモデムが動作している環
境でも、HF帯でのPLC漏洩電力は銀河背景レベルに比して極
めて高い。
・・・ 自然電波観測が困難となる
複数台のモデムが様々な電力線上で同時に動作
・・・ 大きな隔離距離が必要となる可能性
電離層反射効果を考慮した場合
・・・ PLCの影響伝搬する可能性
• 高調波スプリアスが存在
スプリアスレベルも天体の電波観測に対し悪影響を及ぼす可
能性がある。
• 研究の先端部分のターゲットは現在でも銀河電波強度の10-310-5であり、今後さらに系外惑星探査までも視野に入れた微弱
レベル低周波電波天文学の時代の到来が予想されている。
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