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ESDを深めよう アジア太平洋ESD教育者フォーラム
Accu PROGRamme 「東京HOPE宣言2009」を採択 ESDを深めよう─アジア太平洋ESD教育者フォーラム 文: 柴尾智子(教育協力課 課長) 様々な契機でESD(持続可能な開発のための教育・持続発展教育)に関心を持ち、その実践を既に行っていたり、これから行おうとしている 学校教育、社会教育、ノンフォーマル教育の実践者やESDを行っている企業、メディア関係者、173名が16か国からアジア太平洋地域ESD教 育者フォーラムに集いました。フォーラムは、2009年8月21日から23日の3日間、東京新宿の京王プラザホテルで行われました。 ESD世界会議 「ボン宣言」 を受けて るべきだ、という考え方で す。誰かが誰かを萎縮させ 学校教育、社会教育を問わず、何より てしまったのでは、ESDら 大切なのは、教材よりも施設や場所より しい評価とは言えません。 も、ESD推進のキーパーソンである「先 ESDは、関わった全ての人 生」です。 「先生」たちがESDを進めるた にとっての学習と学びのプ めに、またその実践を支えるための課題 ロセスとなるような評価方 を語り合うために、このフォーラムは開 法を模索していく必要があ かれました。 「国連ESDの10年(2005∼ ります。そのための話し合 2014)」の中間年にあたる2009年春、ド いがESD「HOPE」評価※1 イツのボン市でESD世界会議が開かれ、 を中心に行われました。 グループワークで議論を深める 「ボン宣言」を採択しました。フォーラム では、 「ボン宣言」で重要とされた今後10 年の取り組みの中から、 「ESDの方法論」 区別なく、価値観が共有され広がってい くことも学びました。 教師はコミュニティを吹き抜ける風 HOPE:希望ある未来に向けて 「ESD実践の評価」 「ESDとEFA(万人 議論を進める中で、E SDの実践には のための教育)連携の可能性」という3つ 学校と地域の連携が欠かせないことが、 思索と対 話の末に、フォーラムは、 のテーマについて対話を重ねました。 参加者に共有され、一部の熱心な先生 Tokyo Declaration of HOPE(東京 が背負うのではなく、地域全体で支える HOPE宣言)を採択しました。HOPEは ESDのイメージが浮かび上がってきまし このフォーラム中に、E SDのキーワード た。学校と地域が連携することで、ESD として浮かび上がった Holistic(包括的 E S Dの実践 の実践が継続・発展して行くイメージで な)、Ownership-based(主体的に関わ では、グループ す。 「教師はコミュニティを吹き抜ける風 ることのできる)、Participatory(参加型 での議 論や実 だから、任期に限りはあっても、その地域 の)、Empowering(エンパワーメントをも 体 験 などを 含 に良いものを残していきたい」という発言 たらす)の頭文字を並べたものです。そ む、多様な学び がありました。 してもちろん、持続可能な未来への希望 教えることと体現すること (hope)を表しています。※2 の方法を使うこ とが効果的だと 伝統舞踊も基調講演の一部 されています。 「ESDの旅」を共有しよう このフォーラムでは、南太平洋大学のコナ フォーラムに参加した教師・実践者全 イ・ターマン氏の基調講演中にも、ご出身 員が、ESDと呼ぶかどうかは別にして、現 のトンガの伝統舞踊が披露されました。 在のESD実践に関わるきっかけを持って 伝統の知を教育を通じてどう継承してい いました。 「生徒のことを考えたら自然に くか、というテーマをまさに「体現」され 始めていた」、 「大きな自然災害に遭い、 たと言えます。 それまでの価値観が転換した」、 「途上 国と先進国を行き来する中で見えてきた 学びのプロセスとしての評価 課題があったから」―それぞれ「ESDの 旅」の始まりがあり、その後の紆余曲折 ESD実践をどう評価するのかは大きな がありました。ESDという大テーマを与え 課題です。本来の教育そのものであると られたことで、縦割り行政の枠を超えて もいえるESDの成果をどう捉えるかとい 学習者に役立つ実践を切り開いたという う視点が大切になります。ここで重要と 例もありました。そんな「ESDの旅」の経 されたのは、ESDの評価はESDらしくあ 験を共有することで、途上国、先進国の 東京 HOPE 宣言についての検討 ※1 ESD「HOPE」評価については、ACCUニュー ス370号(2008年11月号)P.10、371号(2009 年1月)P.10を参照。 ※2 Tokyo Declaration of HOPE(東京HOPE宣 言)を含むフォーラムの詳細は ACCU ESDウ ェブサイト(http://www.accu.or.jp/esd/jp/ forum_esd/)を参照。 ACCUニュース No.376 2010.2 13