Comments
Description
Transcript
議事要旨(PDF)
電子行政分科会(第17回)議事要旨 1.日 時 平成28年6月15日(水)15:58~17:38 2.場 所 中央合同庁舎第4号館12階1208特別会議室 3.議事概要 (1)開会 (2)議事 ①世界最先端IT国家創造宣言及び工程表の改定等について 資料1について内閣官房から説明。(後述参照) ②IT戦略の国際動向等について 資料2及び資料3について内閣官房から説明。(後述参照) ③その他 内閣官房から説明。(後述参照) (3)遠藤内閣情報通信政策監(政府CIO)あいさつ (4)閉会 4.説明 議事①及び②についてそれぞれ説明後、質疑応答。 ・資料1「世界最先端IT国家創造宣言及び工程表改定(概要)」について内閣官房から説 明 ・資料2「諸外国のデジタルガバメント戦略と我が国の国際案件対応について」について 内閣官房から説明 ・資料3-1「国内外の電子政府に関する戦略や方針・計画」について内閣官房から説明 ・資料3-2「電子政府に関する国内外の先進的な取り組み」について内閣官房から説明 <世界最先端IT国家創造宣言及び工程表の改定等及びIT戦略の国際動向等について> ○ デジタルガバメントを議論するに当たり一番大きな課題になるのは、「産業構造そのもの が大きく変わるのでは」ということである。例えば、自動車の自動走行・無人化については、 自動車業界もさることながら自動車の修理工場や部品工場等の関連する業界についても従前 のビジネスモデルから新しいビジネスモデルに変えていく必要が生じる。このような「デジ タル技術が様々な業界のビジネスモデルに影響を与える」という観点に立って、電子政府の あり方・進め方を考えなければいけない。 防犯カメラやセンサーあるいは衛星がリアルタイムで地上の写真を撮り続け、Googleがス トリートビューを数時間単位で更新するような時代において、例えば「警察」という仕事の モデルをどのように変えていくべきか。政府としてデジタル技術を使って政府の仕事の中身 をどのように構造的に変えていくのかという議論をやるべきである。本分科会でそうした議 論をやらないのであれば、どこでどのように議論していくのか関心がある。 もう1点は、行政の現場の働き方で気になっていることであるが、予算が付いたら何が何 でも実施する(予算を使い切る)といった仕事のやり方はいかがなものかと思うので、デジ タルガバメントと直接関わる話ではないかもしれないが、例えば一方で予算が余っていれば 他方へ予算を回すような使い方ができるような予算制度や仕事の仕方を検討すべきではない - 1 - かと考える。 ○ 民間サービスとの連携・活用が重要であると考えている。国民としては常に行政のホーム ページ等を見ているわけでなく、普段は Yahoo!や Google を使っている人が大半なので、そ うした民間サービスの中に、いかに行政のデータやサービスを組み込んでいくかといった発 想の転換をしていかないといけないのではと考える。そうした発想の転換により低コストで よい改革につながるのではないかと思う。 ○ まず「世界最先端 IT 国家創造宣言」について、サービスを中心に国民が利便性を実感でき る電子行政というものを柱においたらどうかと考える。各国のデジタルガバメントをみても、 統計情報や交通データが中心であるが、日本の行政サービスは多種多様(高齢者向けサービ スや災害復興等)な取り組みが非常に進んでおり、このようなサービスをいかにデジタルに サービスセントリック(サービス中心主義)で行っていくのかが電子政府のキーワードにな ると考える。 2点目は、いかにマーケティング手法を電子政府に取り入れ、今までの手法を変えていく、 発想の転換が必要であるということである。公共サービスは、行政だけでなく民間も提供す ることができるため官民連携して実施していくことが重要である。 3点目は、電子政府を進めるにあたり、こうしたサービスセントリックであり新しいマー ケティングの手法を取りまとめた戦略を作成することが必要ではないかと考えている。「世 界最先端 IT 国家創造宣言」の内容が非常に幅広いため、特に電子政府について今後どのよう な方向性で進んでいくのかを取りまとめると、より明確なデジタルガバメントへの道筋がで きるのではないかと思う。 ○ 自治体クラウドについて、自治体クラウドの導入を検討している団体と話をする機会があ るが、その際に「導入事例の出来が良すぎるためハードルが高く感じる」ということをよく 言われる。ちょうど先ほども総務省の担当の方と、もう少し普及できるようにしなければな らないという話をしたところである。 このような検討を含め、8つのグループと自治体クラウドの情報交換をしているところで あるが、もう少し広げ56のグループと連携できるような体制作りを検討しているところで ある。 また、マイナンバーに関連して地方の現場で危惧していることであるが、印鑑証明書がコ ンビニでも交付できるようになるとなった際に、例えば自治体にマイナンバーカードを持参 していても印鑑登録カードを持参していないと印鑑証明書をもらえないということが起こり かねない。つまりマイナンバーカードに対応したシステムを自治体に導入しておかないとい けないため、デジタルを前提とした業務フローの見直しについても検討が必要であるのでは ないかと考えている。 ○ 調達方式について、各国で共通しているのはモジュールを必要に応じて随時変更していく ような方式であるが、日本の官庁の調達方式は、マイナポータルもそうであると思うが、「一 連の開発作業を一括調達→開発・テスト→運用→耐用年数5年でまた調達」という方式であ るが、各国はイノベーティブに柔軟にモジュールを変えていき、これにより最先端の IT 国家 につなげている。また同時に AI を活用しデータ分析を徹底的に行い、例えばリコール等の問 題が発生したデータについては、すぐに製造工程に反映させ製品の規格を変えていくという やりかた(インダストリー4.0)を採っている。日本もそろそろ本格的に手を付けなければな らないと考えている。政府はそのあたりを検討しているのか。経済産業省はもう手を付けて - 2 - いるのか。 →遠藤 CIO その辺りの状況について経済産業省は把握していないと思われる。政府の人はほとん ど表面上の話しかしない。実際に何か物事をやる際には、官僚が自らやるわけではなく 「やれ」と指示を出すのみである。中身を理解していない人が表面上の流行り言葉(バ ズワードやネーミング)を使い「ああしろこうしろ」というだけである。PDCA という言 葉もそうであるが、政府で PDCA という言葉を使わない人はいないが、実際に本当の意味 での PDCA をやっている人はいない。500 回にわたるヒアリングにおいてその実態をすべ て確認してきたところである。実際に物事を成すために必要な細かい内容を、まったく 関わっていない官僚の人たちが表面上のバズワードだけを使い指示をすることについて は、あまり気に留めていない。 調達方式についてであるが、特許庁ではそのような取り組みがすでに始まっている。 インターフェースだけ定義し、個別の内容は一括ではなく一つひとつ取り組んでいる。 またその取り組みをどのようにして進めるに至ったのか、具体的にどのように進めてい たのかをまとめてもらっているところである。まとめてもらうことで進捗状態を掴むこ とができるようになる。 他の国がデジタルガバメントと言い出しているが、要は e ガバメントで期待されたこ とができていないため目先を変えるために言い方を変えているだけではないかと思う。 例えば、ローカルガバメントとセントラルガバメントについて、日本の場合は「地方と 一緒にやっていきましょう」「政府もお手伝いします」という体制になっているがその ような国は他にないのではないか。どの国も国民から「税金を使って何をやっているの か」と言われているが、日本は情報システムに関する運用経費の3割削減にもほぼ目途 がつき、また例えばマイナンバーカードについても 380 億円ほどコストダウンした等、 数字で示すことができる成果はいくつもある。しかしイギリスやドイツに聞いても何も 出てこない。整理されたコンセプトは参考になるが、各国が使うネーミングやバズワー ドに踊らされてはいけない。構成員の方々には、日本がやるべきこととしてできていな い部分があれば、ビシビシ言っていただきたいが、流行り言葉が使われていないという 指摘はお控えいただきたい。 ○ 政府がマイナポータル等を核にしながらプラットフォームを作ることで、自治体にとって は「モジュールがある」というようになれば、よいシステムになるものと考えている。 →遠藤 CIO おっしゃるとおりで、すでにいろいろな自治体で非常に役になっている情報システム (仕事のやり方とそれをサポートする情報システム)はいくつもある。さらに新しいも のを作る必要はなく、その中から厳選して使う方がよい。例えば、オープンデータにつ いては IT 総合戦略室の職員が Web サイト(オープンデータカタログサイト)を構築し、 それを基礎自治体に使い方を教えることで、3つの自治体においてすでに導入されてい る。このように自治体クラウドにおいても非常に良いモジュールができているので活用 していきたいと考えている。 ○ 遠藤 CIO のおっしゃるとおり、バズワード等に惑わされないように世界最先端 IT 国家に向 けて取り組まなければならないと考えている。そのためにも議論しなければならないことは たくさんあると思うので、ぜひ事務局の皆様には、どのような議題をどのような順番でやっ ていくのかということを早めにお示しいただければ、こちらもしっかり準備させていただく ので、運営をよろしくお願いしたい。 - 3 - ○ これまでの当分科会で議論してきた内容は「今の行政の制度をいかに効率的にIT化する か」ということが中心であったかと思うが、「行政の仕組みそのものを変えていく」という 次のステップに進むことも考えなければならない。例えば、他の構成員より予算の話があっ たが、単年度予算と予算の細かい議決主義については、財政民主主義の原則で歴史は長いが、 それは大規模な予算をきめ細かくコントロールし、短期間で定期的にチェックしていかない といけないという発想から生まれた原則である。これも考えようによっては、複数年度予算 や枠予算で執行しながらコントロールする仕組みがあるとすればその方が合理的ではないだ ろうか。すでに独立行政法人ではその仕組みを取り入れようとする動きがあるが、今までそ の取組が導入されなかったわけは、予算の執行状況の情報をリアルタイムに近い状態で把握 することができなかったためである。しかしそれが IT の技術を使ってできるようになるので あれば、もう少し合理的な予算執行のやり方というのもあり得るのではないか等、行政シス テムのそもそもの新しい方向を探ることも必要ではないかと考える。 →遠藤 CIO 先程の繰り返しになるが、(システム等の)名付け親になると、中身が伴っていない仕組 みであろうと歴史に残ると思っている人が非常に多いが、コツコツと取り組んだという人は あまりいない。これが今の日本の悪いところであると思う。目の前にある仕事をいかに正確 にやるかを私は伝えているところである。 もう1点、資料1の一番右下に「政府 CIO が府省庁の IT 関連施策を評価し、政府として既 存の施策を見直しつつ、選定した特定施策に重点的に投資できるよう予算に反映する。」と いう記載があるが、今までであればあり得ないことであったようだが、ここについて向井審 議官からも補足をお願いしたい。 →向井審議官 当初、予算は自分たちのものであるという財務省主計局の伝統的な考え方があったが、 コツコツと取り組んできた結果、財務省主計局の方から「遠藤 CIO からの了承を得ている のか」といった話を聞くようになってきた。本来、財務省主計局からこのような話が出る ことはなかったが、「政府 CIO が評価し予算に反映させるとしたもの」については財務省 主計局も予算を割り当てるといったようなことになった。 しかし構成員から話があったように、予算の制度が硬直的過ぎるというご指摘はおっし ゃるとおりで、IT があるからこそ変えていくことができる部分はあると思うので、今後と も構成員の皆様にはご知見をいただきたい。 以上 - 4 -