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LM2574/LM2574HV シリーズ SIMPLE SWITCHER® 0.5A 降圧型電圧
LM2574/LM2574HV シリーズ SIMPLE SWITCHER ® 0.5A 降圧型電圧レギュレータ 概要 特長 LM2574 シリーズは、降圧型(バック)スイッチング・レギュレータ のアクティブ機能のすべてを内蔵したモノリシック集積回路で、0.5A の負荷を駆動でき、優れたラインおよびロード・レギュレーション能力 をもっています。これらのデバイスは、3.3V、5V、12V、15Vの固定出 力電圧、および可変出力電圧タイプがあります。 外付け部品は必要最小限となっており、これらのレギュレータは使 い易く、内部で周波数補償され、固定周波数発振器を内蔵しています。 LM2574 シリーズは、通常の 3端子シリーズ・レギュレータに代わる 高効率レギュレータです。その高効率によって、PCボードの銅エリア によるヒートシンクだけで十分です。 標準インダクタは、メーカ数社から発売されており、LM2574 シ リーズを使用するにあたって最も適当と思われるものを購入すること ができます。そのため、スイッチング電源の設計が大幅に簡略化され ています。 その他の特長としては、規定入力電圧、および出力負荷条件内で ± 4% の出力電圧許容誤差、および± 10% の発振器周波数許容誤差が 保証されています。また外部シャットダウン機能を内蔵しており、 50µA(代表値)のスタンバイ電流を実現しています。また、異常条件 でも完全に保護動作の保証される熱暴走保護機能およびサイクルごと の電流制限回路も内蔵しています。 ■ 3.3V、5V、12V、15V、および可変出力電圧バージョン ■ 可変出力電圧バージョンは1.23V∼ 37V(HVバージョンは 57V)の 出力電圧範囲で、ラインおよび負荷条件に対して最大±4% の出力 誤差 ■ 出力電流 0.5A 保証 ■ 広入力電圧範囲、40V、HV バージョンでは最大 60V ■ 4 個の外付け部品で動作可能 ■ 52kHz の固定周波数発振器内蔵 ■ TTL レベルのシャットダウン機能 ■ ローパワー・スタンバイモード ■ 高効率 ■ 入手が容易な標準インダクタ ■ 熱暴走保護および電流制限保護回路内蔵 アプリケーション ■ ■ ■ ■ ■ シンプルな高効率降圧型(バック)レギュレータ リニアレギュレータの為の高効率プリレギュレータ オンボード・スイッチング・レギュレータ 反転型コンバータ(バックブースト) 電話回線用 DC/DC コンバータ(HV バージョン) 代表的なアプリケーション(固定出力電圧バージョン) Note: ピン番号は 8 ピン DIP パッケージ用です。 特許申請中 SIMPLE SWITCHER®はナショナル・セミコンダクター社の登録商標です。 © National Semiconductor Corporation 1 Printed in Japan NSJ 3/2000 LM2574/LM2574HV シリーズ SIMPLE SWITCHER® 0.5A 降圧型電圧レギュレータ June 1999 LM2574/LM2574HV ピン配置図 * 内部接続はされていませんが、 最適な熱伝導のためにPCボードにハ ンダ付けして下さい。 http://www.national.com 2 本データシートには軍用・航空宇宙用の規格は記載されていません。 関連する電気的信頼性試験方法の規格を参照下さい。 最大接合部温度 消費電力 最大電源電圧 LM2574 LM2574HV ON/OFF ピン入力電圧 グランドに対する出力電圧 (定常状態) 最小 ESD 耐圧(C = 100pF、R = 1.5kΩ) 保存温度範囲 リード温度(ハンダ付け、10 秒) 動作定格 45V 63V − 0.3 ≦ V ≦+ VIN − 1V 2kV − 65℃∼+ 150℃ 260℃ 動作温度範囲 LM2574/LM2574HV 電源電圧 LM2574 LM2574HV 150℃ 内部制限 − 40℃≦ TJ ≦+125℃ 40V 60V 電気的特性―LM2574-3.3、LM2574HV-3.3 標準文字で表記される規格値は、TJ = 25℃に対するもので、太字は全動作温度範囲に適用されます。 電気的特性―LM2574-5.0、LM2574HV-5.0 標準文字で表記される規格値は、TJ = 25℃に対するもので、太字は全動作温度範囲に適用されます。 3 http://www.national.com LM2574/LM2574HV 絶対最大定格 (Note 1) LM2574/LM2574HV 電気的特性―LM2574-12、LM2574HV-12 標準文字で表記される規格値は、TJ = 25℃に対するもので、太字は全動作温度範囲に適用されます。 電気的特性―LM2574-15、LM2574HV-15 標準文字で表記される規格値は、TJ = 25℃に対するもので、太字は全動作温度範囲に適用されます。 電気的特性―LM2574-ADJ、 LM2574HV-ADJ 標準文字で表記される規格値は、TJ = 25℃に対するもので、太字は全動作温度範囲に適用されます。特記のない限り、VIN = 12V、および I LOAD = 100mA です。 http://www.national.com 4 出力電圧の全タイプの電気的特性 標準文字で表記される規格値は、TJ = 25℃に対するもので、太字は全動作温度範囲に適用されます。特記のない限り、3.3V、5V、可変出力電 圧バージョンでは VIN = 12V、12V バージョンでは VIN = 25V、15V バージョンでは VIN = 30V であり、ILOAD = 100mA です。 5 http://www.national.com LM2574/LM2574HV 電気的特性―LM2574-ADJ、LM2574HV-ADJ(つづき) 標準文字で表記される規格値は、TJ = 25℃に対するもので、太字は全動作温度範囲に適用されます。特記のない限り、VIN = 12V、および I LOAD = 100mA です。 LM2574/LM2574HV 出力電圧の全タイプの電気的特性(つづき) 標準文字で表記される規格値は、TJ = 25℃に対するもので、太字は全動作温度範囲に適用されます。特記のない限り、3.3V、5V、可変出力 電圧バージョンでは V IN = 12V、12V バージョンでは VIN = 25V、15V バージョンでは VIN = 30V であり、ILOAD = 100mA です。 Note 1: 絶対最大定格とは、ICに破壊が発生する可能性のある制限値をいいます。動作定格とはICが動作する条件を示し、特定の性能リミッ ト値を保証するものではありません。保証される仕様および試験条件については、電気的特性を参照下さい。 Note 2: 室温におけるリミット値(標準文字)および全動作温度範囲におけるリミット値(太字)は保証されます。室温におけるリミット値 は 100% 検査されます。全動作温度範囲におけるリミット値は、標準統計品質管理(SQC)手法を用い、相関関係により保証されま す。すべてのリミット値は工場出荷検査時の品質レベルの計算に使用されます。 Note 3: キャッチ・ダイオード、インダクタ、入出力コンデンサなどの外付け部品は、スイッチング・レギュレータのシステム性能に影響しま す。したがって、LM2574を Figure 2 のテスト回路に示すように使用すると、システム性能は電気的特性のシステムパラメータ・セク ションに示すようになります。 Note 4: 出力ピンのソース電流。出力ピンにはダイオード、インダクタまたはコンデンサを接続しません。 Note 5: フィードバック・ピンは出力から外し、0V に接続します。 Note 6: フィードバック・ピンは出力から外し、可変/3.3V/5V バージョンでは+ 12V、12V/15V バージョンでは+ 25V に接続、出力トランジ スタをオフにします。 。 Note 7: VIN = 40V(HV バージョンの場合、60V) Note 8: 接合部・周囲間熱抵抗は、リードを囲む約 1 平方インチの銅エリアを備えたプリント基板に実装。さらに銅エリアを追加すると、よ り熱抵抗が低下します。本データシートのアプリケーション・ヒント、および「Switchers Made Simple」ソフトウェアの熱モデル を参照下さい。 Note 9: 接合部・周囲間熱抵抗は、リードを囲む約4 平方インチの 1オンス(35ミクロン厚の銅箔)の銅エリアを備えたプリント基板に実装。 さらに銅エリアを追加すると、より熱抵抗が低下します(Note 8 参照) 。 Note 10: 発振器周波数は出力短絡時あるいは過負荷時に約18kHzに下がり、その結果、安定出力電圧が公称出力電圧の約 40%に低下します。 この自己保護機能により、最小デューティ・サイクルを 5% から約 2% に低減することで IC の平均消費電力が低下します。 代表的な性能特性(Figure 2 の回路) http://www.national.com 6 LM2574/LM2574HV 代表的な性能特性(Figure 2 の回路)(つづき) 7 http://www.national.com LM2574/LM2574HV 代表的な性能特性(Figure 2 の回路)(つづき) http://www.national.com 8 LM2574/LM2574HV ブロック図 Note:ピン番号は 8 ピン DIP パッケージ用です。 9 http://www.national.com LM2574/LM2574HV テスト回路とレイアウトのガイドライン 他のスイッチング・レギュレータと同様に、 レイアウトは極めて重要 です。配線のインダクタンスに伴う急激なスイッチング電流がトラン ジェント電圧を発生し、問題を起こすことがあります。インダクタン スおよびグランド・ループを最小にするためには、 太線で表したリード の長さを出来る限り短くしなければなりません。一点接地(図示の通 り)するか、グランドプレーンの構成にすることにより、最良の結果が 得られます。可変出力電圧タイプを使用するときには、出力の分割抵 抗をレギュレータの近くに配置し、フィードバック用の配線パターン を出来る限り短くします。 http://www.national.com 10 LM2574/LM2574HV テスト回路とレイアウトのガイドライン (つづき) 11 http://www.national.com LM2574/LM2574HV LM2574 シリーズ降圧型 (バック)レギュレータ設計手順 [例] (固定出力電圧バージョン) [手順] (固定出力電圧バージョン) 与式: 与式: 1. VOUT =出力電圧(3.3、5、12、または 15V) VOUT = 5V VIN(Max)=最大入力電圧 VIN(Max)= 15V ILOAD(Max)=最大負荷電流 ILOAD(Max)= 0.4A インダクタの選択(L1) 1. インダクタの選択(L1) A. Figure 4、5、6、または 7 から正しいインダクタ値選択チャー トを選択します(各々、出力電圧 3.3、5、12、または 15V) 。他の 出力電圧については、可変出力電圧バージョンの設計手順を参 照ください。 A. Figure 5 に示す選択チャートを使用します。 B. インダクタ値選択チャートから、VIN(Max)と ILOAD(Max)の 交差するインダクタンス領域を求めます。 C. 要求されるインダクタ値は 330µH です。Figure 3 の表より、 Pulse Engineering 社の PE-52627、Renco 社の RL-1284-330、ま たは NPI 社の NP-5920/5921 から選びます。 B. 選択チャートから、15V のラインと、0.4A のラインの交差 するインダクタンス領域は 330 です。 C. Figure 3 に示す表から適切なインダクタを選択します。 3社のインダクタ製造業者の部品番号は、表にまとめられていま す。選択したインダクタは、LM2574 のスイッチング周波数 (52kHz)における動作、および 1.5 × ILOAD に対して定格を満足 するものでなければなりません。インダクタの詳細情報につい ては、本データシートのアプリケーション・ヒントのインダク タ・セクションを参照ください。 2. 出力コンデンサの選択(COUT ) 2. A. インダクタと同様に出力コンデンサの値は、スイッチング・ レギュレータ・ループにおいて重要です。安定動作と許容可能な 出力リップル電圧(出力電圧の約1%)を得るためには、100µFか ら 470µF の数値を推奨します。 出力コンデンサの選択(COUT) A. COUT = 100µF ∼ 470µF の標準アルミニウム電解 B. コンデンサ定格電圧= 20V B. コンデンサの定格電圧は、少なくとも出力電圧の 1.5倍でな くてはなりません。5V のレギュレータには最低 8V の定格が適 切であり、10V または 15V の定格を推奨します。 高電圧電解コンデンサは一般に ESR 値が低く、そのために回路 に最低限必要な電圧よりも高い定格電圧のコンデンサを選択す る必要があります。 3. キャッチ・ダイオードの選択(D1) 3. キャッチ・ダイオードの選択(D1) A. この例では、1A の電流定格が適切です。 A. キャッチ・ダイオードの定格電流は、少なくても最大負荷電 流の1.5倍でなければなりません。また電源の設計上、連続的な 出力の短絡状態に耐えなければならない場合、ダイオード定格 電流は LM2574 の最大定格電流のリミット値と同じでなければ なりません。 このダイオードにとって最も過酷な状態は、 過負荷 や短絡状態です。 B. 20V 1N5817 または SR102 ショットキ・ダイオード、または Figure 9に示す推奨ファースト・リカバリ・ダイオードのいずれか を使用します。 B. ダイオードの定格逆電圧は、少なくとも最大入力電圧の1.25 倍でなくてはなりません。 4. 入力コンデンサ(CIN) 4. レギュレータの近くに配置されたアルミニウムまたはタンタル 電解バイパス・コンデンサは、安定動作のために必要です。 http://www.national.com 12 入力コンデンサ(CIN) 22µFのアルミニウム電解コンデンサを、充分なバイパス機能を 得る為に入力ピン及びグランドピンに近く配置します。 LM2574/LM2574HV LM2574 シリーズ降圧型 (バック)レギュレータ設計手順(つづき) インダクタ値の選択ガイド(連続動作モード) 13 http://www.national.com LM2574/LM2574HV LM2574 シリーズ降圧型 (バック)レギュレータ設計手順(つづき) [手順] (可変出力電圧バージョン) [例] (可変出力電圧バージョン) 与式: VOUT =出力電圧 VIN(Max)=最大入力電圧 ILOAD(Max)=最大負荷電流 F =スイッチング周波数 (52kHz で固定) 1. 与式: VOUT = 24V VIN(Max)= 40V ILOAD(Max)= 0.4A F = 52kHz プログラミング出力電圧 (R1 および R2 を選択、Figure 2 参照) 適切な抵抗値を選択する際には以下の式を用います。 1. プログラミング出力電圧(R1 および R2 を選択) を選択 ここで VREF = 1.23V R1 は1k と 5k の間を選択します(最適温度係数および時間に対す る安定した精度を得るために、 1%の金属皮膜抵抗を使用します) 。 R2 = 1k(19.51− 1)= 18.51k、1% の誤差で最も近い値 18.7k を 用います。 2. インダクタの選択 (L1) 2. A. インダクタのボルト・マイクロ秒定数、E・T(V・µs)を以下の 式から計算します: B. 上記の式の E・T 値を用いて、Figure 8 に示すインダクタ値選 択ガイドの縦軸の E・T 値を選択します。 C. 横軸から、最大負荷電流を選択します。 D. E・T 値および最大負荷電流値の交点からインダクタンス領 域を求めて、その領域のインダクタ値を選択します。 E. Figure 3の表から適切なインダクタを選択します。表には、イ ンダクタ・メーカ3社の部品番号が記載されています。選択した インダクタは、LM2574 のスイッチング周波数(52kHz)におけ る動作、および 1.5 × ILOAD に対して定格を満足するものでなけ ればなりません。インダクタの詳細情報については、本データ シートのアプリケーション・ヒントのインダクタ・セクションを 参照ください。 http://www.national.com 14 インダクタの選択(L1) A. E・T(V・µs)を計算します。 B. E・T = 185V・µs C. ILOAD(Max)= 0.4A D. インダクタンス領域= 1000 E. インダクタ値= 1000µH。Pulse Engineering 部品番号 PE52631、または Renco 部品番号 RL-1283-1000 から選択します。 [手順] (可変出力電圧バージョン) 3. [例] (可変出力電圧バージョン) 出力コンデンサの選択 (COUT ) 3. A. インダクタとともに出力コンデンサの値は、スイッチング・ レギュレータ・ループにおいて重要です。安定動作のために、コ ンデンサは以下の条件を満たさなければなりません: 出力コンデンサの選択(COUT) しかし、許容可能な出力リップル電圧を得るには、 COUT ≧ 100µF を選択します。 COUT = 100µF 電解コンデンサ 上記の式は、安定動作のためのループ条件を満たす 5µF から 1000µF の間のコンデンサ値が得られます。しかし、許容可能な 出力リップル電圧(出力電圧の約 1%)および変動する負荷に対 するトランジェント応答を達成するためには、出力コンデンサ は、上記の式の解よりも数倍大きな値でなければなりません。 B. コンデンサの定格電圧は、少なくとも出力電圧の 1.5倍でな くてはなりません。24V のレギュレータには最低 35V の定格が 適切です。高電圧電解コンデンサは一般に ESR 値が低く、その ために回路に最低限必要な電圧よりも高い定格電圧のコンデン サを選択する必要があります。 4. キャッチ・ダイオードの選択(D1) 4. A. この例では、1A の定格電流が適切です。 B. 50V 耐圧の MBR150または 11DQ05ショットキ・ダイオード、 またはFigure 9に示す推奨ファースト・リカバリ・ダイオードのい ずれかを使用します。 A. キャッチ・ダイオードの定格電流は、少なくても最大負荷電 流の1.5倍でなければなりません。また電源の設計上、連続的な 出力の短絡状態に耐えなければならない場合は、ダイオード定 格電流は LM2574 の最大定格電流のリミット値と同じでなけれ ばなりません。 このダイオードにとって最も過酷な状態は、 過負 荷や短絡状態です。Figure 9の選択ガイドから適切なダイオード を選択します。 B. ダイオードの定格逆電圧は、少なくとも最大入力電圧の1.25 倍でなくてはなりません。 5. 入力コンデンサ(CIN) アルミニウムまたはタンタル電解バイパス・コンデンサを、 安定 動作のためにレギュレータに近く配置します。 15 キャッチ・ダイオードの選択(D1) 5. 入力コンデンサ(CIN) 22µFのアルミニウム電解コンデンサを、充分なバイパス機能を 得る為に入力ピン及びグランドピンに近く配置します。 降圧型 (バック) レギュレータの設計手順をさらに簡素化するた めに、ナショナル セミコンダクター社は、 スイッチング・レギュ レータのSIMPLE SWITCHER®シリーズ用にコンピュータ設計を 支援するソフトウェアを用意しています。IBM 互換パーソナル コンピュータ対応のソフトウエア「Switchers Made Simple」 (バージョン 3.3)をディスケット(3.5 インチ)で提供していま す。ナショナル セミコンダクター社の代理店にお問い合わせく ださい。また、URL からダウンロードも可能です(http:www. national.com/appinfo/power/index.html) 。 http://www.national.com LM2574/LM2574HV LM2574 シリーズ降圧型 (バック)レギュレータ設計手順(つづき) LM2574/LM2574HV LM2574 シリーズ降圧型 (バック)レギュレータ設計手順(つづき) アプリケーション・ヒント 入力コンデンサ(CIN) インダクタの選択 安定性を保つために、最低22µFの電解コンデンサでレギュレータの 入力ピンをバイパスして下さい。コンデンサのリードは短くしてレ ギュレータの近くに設けます。 動作温度範囲に−25℃以下の温度が含まれる場合は、入力コンデン サの値を大きくする必要があります。通常の電解コンデンサは、温度 が低く、製造よりの期間が長いほど容量値が減少し、ESR(等価直列抵 抗)が増加します。セラミック・コンデンサまたは固体タンタル・コン デンサを並列接続すると、 低温でのレギュレータの安定性が増します。 コンデンサの動作寿命を最大限に高めるために、コンデンサの RMS リップル定格電流を次式の値より大きくします。 すべてのスイッチング・レギュレータの動作モードには、 連続と不連 続の2つの基本モードがあります。この2つのモードの相違点は、イン ダクタの電流が連続して流れるか、 あるいは通常のスイッチング・サイ クルの一定周期間にゼロに降下することにあります。これらのモード の特長はそれぞれ明確に異なり、レギュレータの性能およびアプリ ケーションにより選択します。 LM2574(あるいはシンプル・スイッチャ・ファミリのデバイス)は、 連続および不連続の両動作モードで使用可能です。 多くの場合、 連続動作モードが選択されます。連続モードでは、優れ た負荷安定性、低いピーク・スイッチインダクタ電流、及びダイオード の電流で動作し、低出力リップル電圧が得られます。 ただし、インダク タ電流を連続して流すためには、比較的大きな数値のインダクタを用 いる必要があります(特に低出力の負荷電流の場合) 。 インダクタの選択を容易にするために、Figure 4 ∼8にインダクタの 数値選択ガイド (ノモグラフ)を記載しています。このガイドは連続動 作モードでのインダクタ選択を示し、インダクタ電流のピーク・ツー・ ピークのリップル成分(∆IIND)を最大設計負荷電流に対し一定の比率 になるように作られています。LM2574シンプル・スイッチャでは、異 なる負荷電流を選択する際、インダクタ電流のピーク・ツー・ピークの リップル成分(最大負荷電流に対する)比率を変更することができま す。低出力電流のアプリケーションとしてインダクタ電流のリップル 成分の許容比率を高めると、インダクタのサイズと数値を小さくする ことができます。 (降圧型レギュレータの場合) (反転型レギュレータの場合) http://www.national.com 16 インダクタ電流のリップル成分 SIMPLE SWICHER® が連続モードで動作しているとき、入力電圧に 応じて、 インダクタの電流波形は三角波形あるいは鋸波形になります。 入力電圧と出力電圧が一定していれば、インダクタの電流波形のピー ク・ツー・ピーク時の振幅も一定状態に保たれます。 負荷電流の増加/低 下に応じて、鋸電流波形全体も上昇 / 降下します。この波形の平均DC 値は DC 負荷電流に一致します(降圧型レギュレータ構成の場合) 。 負荷電流が最低レベルまで下がると、鋸電流波形の底部がゼロに達 してスイッチャは不連続動作モードに移行しますが、レギュレータの 動作には全く問題ありません。負荷電流が非常に小さくなると、すべ ての、降圧型スイッチング・レギュレータは(インダクタ値の大きさに 関係なく)不連続動作モードになります。 Figure 10 の曲線グラフは、それぞれの最大負荷電流の選択に対する インダクタ電流のピーク・ツー・ピーク・リップル成分 (∆IIND)の変化を 示しています。また、インダクタンス領域における上部境界と下部境 界間の動作範囲の変化も示しています(インダクタ選択ガイド参照) 。 一例として: VOUT =負荷電流 0.4A で 5V ∆IIND値が分かると、次の3つの式を用いてスイッチング・レギュレー タ回路の付加情報を算出することができます。 1. ピーク・インダクタ、またはピーク・スイッチ電流 2. 回路が不連続モードになる前の最小負荷電流 3. 出力電圧のリップル成分 =(∆IIND)×(ESR of COUT) 選択ガイドには連続モードの動作に適したインダクタ値を記載して いますが、選択したインダクタ値が極端に高くなった場合は設計の際 不連続モードの検討が必要になります。不連続動作モードと連続動作 モードにおける全構成部品の数値については、コンピュータ設計ソフ トウェア「Switchers Made Simple」を参照下さい。 インダクタにはポットコア、トロイダル、E型コア、ボビンコアなど の各種タイプがあり、コア材としてフェライトおよびパウダーアイア ンなどがあります。最も安価なボビンコア・タイプは、フェライトの ロッドコアにワイヤを巻いた構造をしています。このタイプは、安価 なインダクタを実現しますが、 コア内に完全なマグネティック・フラッ クスループを備えていないため、多くの電磁妨害(EMI)を引き起こし ます。この結果、 ノイズにシビアな回路で障害を起こす原因になり、ま たプローブでの誘導電圧のためにオシロスコープの読出しが正しく行 われない原因にもなります。 選択表に記載のインダクタには、 パルス・エンジニアリング社のパウ ダーアイアン・トロイダル、Renco 社のフェライト・ボビンコアがあり ます。 インダクタは、飽和するおそれがあるので、最大定格電流を超えて 動作させないようにして下さい。インダクタが飽和し始めるとインダ クタンス値は急激に減少し、インダクタは抵抗成分(巻線の DC抵抗) に近くなります。この結果、インダクタ電流が急激に上がり、エネル ギー蓄積機能に影響を与えインダクタのオーバヒートの原因になるこ とがあります。各インダクタ・タイプは、異なる飽和特性を備えている のでインダクタを選択する際注意が必要です。インダクタ・メーカの データシートには、インダクタの飽和を防止するために、電流とエネ ルギーのリミット値が記載されています。 VIN =最小 10V ∼最大 20V 出力コンデンサ であればFigure 5の選択ガイドでは、上記の入力電圧範囲の場合、イン ダクタンスの選択領域は330µHになります。 インダクタ電流のピーク・ は、この領域内のインダクタンス値 ツー・ピーク・リップル成分(∆IIND) を選択すると、最大負荷電流に対し一定の比率となり、また入力電圧 に応じて変化します。入力電圧レベルを 20Vに上げると、インダクタ ンス領域の上限近くに達しインダクタ電流のリップル成分が増加しま す。Figure 10の曲線グラフでは、0.4Aの負荷電流レベル、および330µH のインダクタンス領域の上限近くの動作範囲の場合、∆IINDは負荷電流 0.4A の 53%(212mAp-p)になります。 この∆IIND 値は重要です。この数値から、ピーク・インダクタ電流(回 路が不連続動作モードになる前に必要な最小負荷電流)が得られるか らです。また、出力コンデンサのESR 値が分かると出力電圧のリップ ル成分も算出でき、逆に、出力電圧のリップル成分を測定し ∆IIND 値が 分かると ESR 値が算出できるからです。 前述の例から、インダクタ電流のピーク・ツー・ピーク・リップル成分 (∆IIND)は 212mAp-p になります。 17 出力コンデンサは出力電圧のフィルタとしての役割と、ループを安 定させるために必要です。コンデンサはプリント基板のパターンを短 くしてLM2574の近くに配置します。一般に、スイッチング用のアルミ ニウム電解コンデンサで十分ですが、 ESRの低いコンデンサを選ぶと、 出力電圧のリップル成分が低くなり優れた安定性が得られます。コン デンサのESR 値は様々な要因で決まり、例えばその要因としてコンデ ンサの容量値、 定格電圧、物理的サイズ、および構造タイプなどがあり ます。一般に、電解コンデンサの場合、容量値または電圧が低い(12V 以下)と ESR 値は高くなります。 http://www.national.com LM2574/LM2574HV アプリケーション・ヒント(つづき) LM2574/LM2574HV アプリケーション・ヒント(つづき) 出力電圧のリップル成分量は主に、出力コンデンサのESR値とイン ダクタ電流のリップル成分(∆IIND) の大きさにより決まります。アプリ ケーション・ヒントのセクション「インダクタ電流のリップル成分」を 参照下さい。 出力電圧のリップル成分は、小容量のコンデンサ(100µF ∼ 330µF) だと 50mV ∼ 150mV(代表値)になりますが、大容量のコンデンサを 使用することにより約 20mV ∼ 50mV まで減少します。 出力電圧のリップル成分=(∆IIND)×(出力コンデンサの ESR 値) 出力電圧のリップル成分をさらに減少させるには、いくつかの通常 の電解コンデンサを並列接続するか、あるいはグレードの高いコンデ ンサを使用して下さい。これらのコンデンサは通常、 “高周波” 、 “低イ ンダクタンス” 、あるいは“低 ESR”型と呼ばれます。これらを使用す ると、出力電圧のリップル成分は 10mV ∼ 20mV の範囲まで減少しま す。ただし、連続動作モードでESRを 0.03Ω 以下にすると、レギュレー タ動作が不安定になることがあります。 タンタルコンデンサを使用する場合、ESR 値を非常に低くすること ができますが、単一の出力コンデンサとして使用する際には動作の安 定性上十分な注意が必要です。タンタルコンデンサは、優れた低温特 性を備えているため、アプリケーションにより低温の動作が必要とさ れる場合メインのアルミニウム電解コンデンサの容量の 10 ∼ 20% の 値のものを並列に接続することにより最良の性能が得られます。 コンデンサの52kHz における定格電流リップル成分は、インダクタ 電流のピーク・ツー・ピーク・リップル成分より少なくとも 50%高くな ければなりません。 フィードバックの接続 LM2574(固定出力電圧バージョン)のフィードバック・ピンは、ス イッチング電源の出力電圧ポイントに結線します。可変出力電圧バー ジョンを使用する場合、LM2574 の近くに両方の出力電圧分割抵抗を 配置し、不要なノイズの検出を避けます。100kΩ 以上の抵抗の使用は、 ノイズによる誤動作の可能性が大きくなるので避けて下さい。 ON/OFF 入力 通常動作では、ON/OFFピンを接地するか、またはLレベルのTTL電 圧(代表値 1.6V 以下)で駆動します。レギュレータをスタンバイモー ドにするには、このピンを Hレベルの TTL信号、あるいは CMOS 信号 で駆動します。ON/OFF ピンは抵抗を使用しないで直接+ VIN にプル アップできますが、オープン状態にしないで下さい。 接地 8ピンのモールドDIP パッケージと14 ピンの表面実装パッケージで は、電源グランド・ピンと信号グランド・ピンが独立しています。両方 のグランド・ピンは、 プリント回路基板の幅広い同じグランドパターン にハンダ付けして下さい。これにより、低インダクタンスの配線と優 れた放熱効果が確保できます。 熱特性に関する考慮事項 8 ピンの DIP(N)パッケージと 14 ピンの表面実装(M)パッケージ は、 銅でできたリードフレームをもつモールドプラスチック・パッケー ジです。このリードフレームによって、大部分のダイからの熱はリー キャッチ・ダイオード ドを介して、ヒートシンクの機能をもつプリント基板の銅エリアに伝 降圧型(バック)レギュレータには、スイッチのターンオフ時にイン 導します。優れた熱特性を得るには、幅広い銅エリア・パターンを用 ダクタ電流の帰還パス用として、1個のダイオードが必要です。この帰 い、 広範囲にわたりすべてのグランド・ピンと非接続ピンをプリント基 還パス用のダイオードは、リードとプリント基板パターンを短く配線 板の銅エリア(グランドプレーンなど)にハンダ付けしなければなり し LM2574 の近くに配置します。 ません。銅エリアが広く、さらに両面あるいは複数層の基板であれば、 ショットキ・ダイオードは、その高速スイッチング機能と低順方向電 空気中への放熱度がより高まり、優れた熱抵抗が得られます。パワー 圧降下により、特に5V以下(低出力電圧)のスイッチング・レギュレー レベルが低くない限り、8ピン・パッケージのソケットの使用は避けて タにおいて最高の効率を発揮します。ファーストリカバリ・ダイオー 下さい。使用すると、 さらに熱抵抗が加わり、接合部温度が高くなりま ド、高効率ダイオード、あるいはウルトラファーストリカバリ・ダイ す。 オードも適していますが、これらの中には急激なターンオフ特性をも LM2574 の定格電流は 0.5A であるため、このスイッチャのパッケー つタイプがあり、動作不安定と EMI 問題を起こすことがあります。穏 ジの全消費電力は非常に低く、各種条件下で0.1Wから最大0.75Wの低 やかな回復(ソフトリカバリ) 特性を備えたファーストリカバリ・ダイ 消費電力を実現しています。 十分に設計に配慮したプリント基板では、 オードを選択する方が賢明であるといえます。標準的な 60Hz のダイ 周囲温度が 60℃であっても、N パッケージ、M パッケージとも容易に オード(1N4001、1N5400 など)も適していません。ショットキ・ダイ 最大0.75Wの電力消費能力が得られ、同時に125℃以下の最大接合部温 オードおよび“ソフト”ファーストリカバリ・ダイオードの選択ガイド 度が維持できます。 については、Figure 9 を参照下さい。 この2つのパッケージの「熱抵抗に対するプリント基板の銅エリア」 の特性曲線については、本データシートのセクション「代表的な性能 出力電圧リップル成分とトランジェント 特性」の曲線グラフを参照下さい。 スイッチング電源の出力電圧は、スイッチング周波数の鋸波リップ これらの熱抵抗の数値は概算値であり、各種要因により最終的な熱 ル電圧(通常出力電圧の約 1%)を含み、また、鋸波形のピーク時にお 抵抗の値が決まります。 例えば、その要因としては、基板サイズ、形状、 ける短い電圧スパイクも含んでいます。 厚さ、位置、場所、および基板温度があり、さらにプリント基板の銅面 出力電圧のリップル成分は主に、インダクタの鋸波電流リップル成 積、銅の厚さ、パターン幅、複数層 / 片面/ 両面の基板形状、および基 分に出力コンデンサのESRを乗じて得られます (アプリケーション・ヒ 板のハンダ量などがあります。また、プリント基板の放熱度は基板上 ントのセクション「インダクタの選択」を参照) 。 のその他の構成部品のサイズ、 数および間隔でも決まります。さらに、 電圧スパイクは、出力スイッチの急激なスイッチング動作、および これらの構成部品(キャッチ・ダイオード、 インダクタなど)の中には、 出力フィルタ・コンデンサに派生するインダクタンス成分が原因で起こ ある程度別個に放熱するものがあります。熱抵抗は電源電圧レベルが ります。この電圧スパイクを最小限に抑えるためには、低インダクタ 上がっても低下します。これは、消費電力レベルが上がると空気流が ンス・タイプのコンデンサを使用し、リードの長さを極力短くします。 活性化したり、 高温になると基板表面-空気間の係数が低くなるためで 配線インダクタンス、浮遊容量、またこれらのトランジェントの測定 す。 に使用するオシロスコープ・プローブ等、 全てがこの電圧スパイクの振 幅の原因になります。 小容量の LC フィルタ(20µHと100µF)を出力に加えると、出力リッ プルとトランジェントの量をさらに低減することができます (Figure 16 参照) 。このフィルタにより、出力電圧のリップル成分とトランジェン トの量を約 1/10 に低減することができます。 http://www.national.com 18 本データシートの熱抵抗曲線とソフトウェア「Switchers Made Simple」 (バージョン 3.3)から、動作条件に基づいて最大接合部温度 を推定することができます。さらに、次の式から、 実動作中の回路の接 合部温度を求めることができます。 IC の消費電力(PD)は次の式から得られます。 ここでは、IS は Supply current 曲線から得られる電源電流です(可変出 力電圧バージョンの場合は、Supply Current vs Duty Cycle 曲線を使用し ます) 。 任意のケースに収めたスイッチャを最悪時の状態で動作させ、他の 構成部品すべてを基板上に搭載して、IC 近くの銅エリア温度(Tcu)を 測定します。測定には小容量の熱電対を使用しますが、これをIC 近く のプリント基板の銅エリアに一時的にハンダ付けするか、高い熱伝導 率を得るためにサーマル・グリースでプリント基板上に固定します。 N パッケージと M パッケージの熱抵抗(θj-cu)は次の通りです。 他の応用回路 反転型レギュレータ Figure 11 は、反転型(バックブースト)構成の LM2574-12 を示して おり、正の入力電圧から−12Vの負出力が得られます。この回路では、 レギュレータのグランド・ピンを負出力電圧にブートストラップし、 フィードバック・ピンを接地することでレギュレータが反転出力電圧を 検出して− 12V に安定させます。 8 ピンN パッケージでは、θj-cu = 42℃/W 14 ピンM パッケージでは、θj-cu = 52℃/W Note:ピン番号は 8 ピン DIP パッケージ用です この構成では、8V 以上の入力電圧を印加すると約 100mA の最大許 容出力電流が得られます。軽負荷時には、必要とする最小入力電圧が 約 4.7V に下がります。 この反転型(バックブースト)構成では、標準的な降圧型(バック) モードの構成と比べてスイッチ電流が高いため、許容出力電流が低減 します。また、起動時の入力ラッシュ電流も降圧型(バック)モード・ レギュレータより高くなり、電流制限値が0.6A以下の入力側電源を過 負荷状態にすることがあります。遅延ターンオン回路または低電圧 ロックアウト回路の使用(次項参照)により、スイッチャがターンオン 可能になる前に、入力電圧を十分に高いレベルに上げることができま す。 反転型(バックブースト)レギュレータは降圧型(バック)構成のレ ギュレータと構造が異なるために、降圧型レギュレータの設計手順の セクションを参照してインダクタまたは出力コンデンサの選択はでき ません。反転型設計のためのインダクタ値の推奨範囲は、68µH ∼ 220µH の間になります。また、降圧型の設計で一般に必要とする値よ り大きな値の出力コンデンサを選択して下さい。低入力電圧または高 出力電流に対しては、大容量(数 1000µF)の出力コンデンサが必要で す。 ピーク・スイッチ電流と同じピーク・インダクタ電流は次の式より求 めることができます。 ここで、fosc = 52kHz。通常の連続したインダクタ電流(連続モード) の動作条件で、最小VINは最悪値を表します。上式より得られたピーク 電流定格を満足できるインダクタを選択して下さい。 また、レギュレータ上の最大電圧は入出力電圧の絶対的和を示しま す。− 12V の負出力電圧に対する最大入力電圧は、LM2574 では+ 28V、LM2574HV では+ 48V になります。 「Switchers Made Simple」 設計ソフトウェア・バージョン3.3により、 各種動作モード、入出力パラメータ、異なった外付構成部品の数値な どを用いてレギュレータ設計の可能性を検討することができます。 負昇圧型(ネガティブブースト)レギュレータ 反転型(バックブースト)構成のもう1つのタイプには、負の昇圧型 (ネガティブブースト)構成があります。Figure 12 の回路は− 5V ∼− 12Vの入力電圧範囲を許容し、−12Vの安定化出力電圧が得られます。 入力電圧が−12V 以上になると、出力電圧は− 12Vを超えることがあ りますが、レギュレータに悪影響はありません。 19 http://www.national.com LM2574/LM2574HV アプリケーション・ヒント(つづき) LM2574/LM2574HV 他の応用回路(つづき) Note:ピン番号は 8 ピン DIP パッケージ用です Note:回路の一部を示しています Note:ピン番号は 8 ピン DIP パッケージ用です この種のブースト構成のレギュレータは標準的な降圧型(バック) モードの構成と比べスイッチ電流は高くなり、特に低入力電圧の場合 顕著となります。出力電流は定格最大スイッチング電流によって決ま り、スイッチング・トランジスタは内蔵されたカレント・リミット回路 により保護されます。しかし、ネガティブブースト・レギュレータの回 路構成(Figure 12)は負荷短絡時、電流はグランドより負荷及びダイ オードを経由して− VIN へ直接流れる為、IC の電流制限はきかず、負 荷保護機能を必要とする場合、ヒューズ又は他の保護回路を付加しな ければなりません。 低電圧ロックアウト アプリケーションによっては、入力電圧が一定のスレッショルドに 達するまでレギュレータをオフにしておくほうが望ましく、これを低 電圧ロックアウト回路により実現しています(Figure 13) 。Figure 14 は 反転型構成の同一回路を示しています。この回路によって、入力電圧 が所定のレベルに達するまでレギュレータをオフにしておくことがで きます。 Note:回路の一部を示しています(Figure 11 参照) Note:ピン番号は 8 ピン DIP パッケージ用です 遅延スタートアップ機能(簡易ソフトスタート機能) ON/OFFピンを使用すると、 遅延スタートアップ機能が可能になりま す(Figure 15 参照) 。20V の入力電圧と回路図に記載の数値では、回路 がスイッチング動作をする前に約10msecの遅延時間が得られます。 RC 時間の定数を大きくすると、さらに長い遅延時間が得られます。ただ し、RC 時間の定数を大きくし過ぎると、ON/OFFピンに対しリップル 成分のカップリングが生じるため、60Hz(電源周波数)または 120Hz でリップル成分が高くなるなど障害が起こります。 可変出力、低リップル電源 Figure 16は可変出力電圧バージョンの500mA電源回路例です。この 回路では外付けL-C フィルタを追加し、1/10 以下に出力リップルを低 減しています。 Note:回路の一部を示しています Note:ピン番号は 8 ピン DIP パッケージ用です http://www.national.com 20 LM2574/LM2574HV 他の応用回路(つづき) Note:ピン番号は 8 ピン DIP パッケージ用です 用語の定義 100µF∼ 1000µF容量範囲のコンデンサの ESR値は、最も標準的なア ルミニウム電解コンデンサで0.5Ω∼0.1Ω、ハイグレードのコンデンサ 高電圧を低電圧に変換するスイッチングレギュレータの1種であり、 (低 ESR、高周波、低インダクダンス)で一般に 0.15Ω 以下です。 降圧型スイッチングレギュレータとしても知られています。 バックレギュレータ 等価直列インダクダンス(ESL) バックブーストレギュレータ コンデンサの純粋なインダクダンス成分(Figure 17参照) 。インダク トランスなしに正電圧を負電圧に変換するスイッチングレギュレー ダンスの量は、多くはコンデンサの構造により決まります。降圧型 タの一種。 (バック)レギュレータにおいては、この不要なインダクダンスによっ て出力上に電圧スパイクが生じます。 デューティ・サイクル(D) 出力リップル電圧 発振器周期に対する出力スイッチのオン・タイム比率。 スイッチングレギュレータの出力電圧のAC成分。通常、出力コンデ ンサのESR をインダクタ電流のリップル成分(∆IIND)で乗じて得られ ます。この鋸波リップル電流のピーク・ツー・ピーク値を求めるには、 アプリケーション・ヒントのセクション 「インダクタ電流のリップル成 分」を参照下さい。 バックレギュレータの場合 バックブーストレギュレータの場合 コンデンサ・リップル電流 キャッチダイオード(電流ステアリングダイオード) LM2574 の SW トランジスタがスイッチ・オフ時に、負荷電流にリ ターンパスを与えるダイオード。 規定温度でコンデンサを連続して動作させることのできる最大許容 交流電流の RMS 値。 スタンバイ・クワイセント(待機時消費)電流(ISTBY ) 効率(η) スタンバイ・モード時(ON/OFF ピンが H レベルの TTL 電圧)に LM2574 が必要とする電源電流で、出力スイッチがオフの状態です。 負荷に実際に供給された入力電圧の比率。 インダクタ電流リップル成分(∆IIND) インダクタ電流波形のピーク・ツー・ピーク値。通常はレギュレータ の動作が連続(不連続に対比) しているときの鋸波形の値を示します。 等価直列抵抗(ESR) コンデンサのインピーダンスの純粋な抵抗成分(Figure 17 参照) 。 ESR はコンデンサを加熱する電力損失を招き、コンデンサの動作寿命 に直接影響します。スイッチングレギュレータ出力フィルタとして使 用する場合、ESR 値が高ければ、出力電圧のリップル成分も高くなり ます。 21 連続 / 不連続動作モード インダクタ電流の動作モード。連続モードでは、インダクタ電流は 常に流れており、決してゼロに降下しません。不連続モードでは、イン ダクタ電流は通常のスイッチング・サイクルの一定周期間ゼロに降下し ます。 http://www.national.com LM2574/LM2574HV 用語の定義(つづき) インダクタ飽和 ボルト・マイクロ秒動作定数(E•Top) インダクタがマグネティック・フラックスに耐えられない状態。 イン ダクタが飽和状態になると誘導性を失い抵抗成分のみ現れ、インダク タ電流は巻線のDC抵抗成分と供給可能なスイッチング電流によって 制限を受けます。 インダクタの印加電圧と印加時間の積(ボルト• マイクロ秒) 。E•Top 定数は、インダクタの機能処理に費やすエネルギ量を表し、コアタイ プ、コア面積、コア巻数、およびデューティ・サイクルによって異なり ます。 http://www.national.com 22 LM2574/LM2574HV 外形寸法図 特記のない限り inches(millimeters) 23 http://www.national.com LM2574/LM2574HV シリーズ SIMPLE SWITCHER® 0.5A 降圧型電圧レギュレータ 外形寸法図 特記のない限り inches(millimeters)(つづき) 生命維持装置への使用について 弊社の製品はナショナル セミコンダクター社の書面による許可なくしては、 生命維持用の装置またはシステム内の重要な部品として使用す ることはできません。 1. 生命維持用の装置またはシステムとは(a)体内に外科的に使用さ れることを意図されたもの、または(b)生命を維持あるいは支持す るものをいい、ラベルにより表示される使用法に従って適切に使用 された場合に、これの不具合が使用者に身体的障害を与えると予想 されるものをいいます。 2. 重要な部品とは、 生命維持にかかわる装置またはシステム内のすべ ての部品をいい、 これの不具合が生命維持用の装置またはシステム の不具合の原因となりそれらの安全性や機能に影響を及ぼすことが 予想されるものをいいます。 ナショナル セミコンダクター ジャパン株式会社 本 社/〒 135-0042 東京都江東区木場 2-17-16 TEL.(03)5639-7300 製品に関するお問い合わせはカスタマ・レスポン ス・センタのフリーダイヤルまでご連絡ください。 フリーダイヤル http://www.nsjk.co.jp/ 0120-666-116 にやさし ゅう い き ち み どり をまも る この紙は再生紙を使用しています 本資料に掲載されているすべての回路の使用に起因する第三者の特許権その他の権利侵害に関して、弊社ではその責を負いません。また掲載内容 は予告無く変更されることがありますのでご了承下さい。