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ガスパイプライン - JBIC 国際協力銀行
ガスパイプライン ナブッコ・ ナブッコ・サウスストリーム・ サウスストリーム・ノルドストリーム計画 ノルドストリーム計画 現状と 現状と各国の 各国のスタンス 平成 21 年 9 月 (株)日本政策金融公庫 国際協力銀行 フランクフルト事務所 はじめに カスピ海地域の石油・ガスは、外洋に接していない故に如何にして国際市場に搬出するか が、国際的なエネルギー安全保障上、長年の重要な課題となっており、ロシア、中国、欧 米間の主導権を巡り「カスピ海パイプライン戦争」と言われることもある。 我が国は、経済産業省が 2006 年に策定した「新・国家エネルギー国家戦略」の中で、ロシ アやカスピ海地域等における原油開発の推進が、国家的な戦略の一つと位置付けている。 JBIC は、カスピ海地域において日本企業の参画する ACG 油田(アゼルバイジャン) 、カシ ャガン油田(カザフスタン)開発、BTC 石油パイプライン(ロシア迂回ルート)建設運営、 石化プラント輸出、輸送インフラ整備の資金として総額約 27 億ドルの支援を行っている。 中国は、上海協力機構(SCO)等を通じてロシアや中央アジア諸国との外交・経済関係を 強化すると共に、ロシアからの石油・ガスパイプラインの拡張・新設計画、2005 年に連結 されたカザフスタンからの石油パイプラインのカスピ海周辺までの延伸計画、中央アジア 諸国からのガスパイプライン建設計画等を非常に積極的に実施してきている。 EU は、インフラ整備がエネルギー安全保障の重要課題として、エネルギー供給源の多様化 を推進。具体的な優先分野の一つとして、カスピ海地域からロシアを迂回して中欧に達す るナブッコ・ガスパイプラインを挙げている。一方で現在、ガス輸入の約 4 割をロシアに 依存(試算によると 20 年後には約 6 割に上昇)する EU にとって、毎年冬に発生するロシ ア・ウクライナガス紛争の影響を回避することは喫緊の課題であり、ウクライナを迂回す るノルドストリームやサウスストリーム建設への必要性はいっそう高まりつつある。 カスピ海地域やロシアから欧州へのナブッコ、ノルドストリーム及びサウスストリームの 3 つのガスパイプライン建設計画は、関係する各国や事業者間の利害調整が困難で時間を要 しているものの、少なくとも何れかは着実に実現に向かうものと見られる。2000 年に本邦 コンソーシアムがロシア・トルコ間の黒海海底ガスパイプライン(ブルーストリーム)建 鋼管を輸出(JBIC 協調融資:約 3 億ドル)しており、今般のパイプライン規 模の商談となれば、国際的なコンソーシアムで対応する可能性もあると思われる。欧州の エネルギー安全保障及び日系ビジネス機会の観点で本件動向に関心が持たれるところ、以 下に現時点の概要と各国スタンスを簡単に纏めたのでご参考となれば幸いである。 平成 21 年 9 月 7 日 日本政策金融公庫 国際協力銀行 フランクフルト首席駐在員 熊谷 芳浩 設に深海肉厚 2 月 6 日、トルコはロシアが推進するサウスストリーム・ガスパイプライン のトルコ領海域での建設を受け入れて合意に至り、覚書に調印した。一方、これに先 駆けた 7 月 13 日、同国は EU が露ガスへの依存度削減を目指して推進するナブッコ・ ガスパイプライン建設に関わる調印式のホスト国を務め、ブルガリア、ルーマニア、 ハンガリー、オーストリアとパイプラインが経由する 5 カ国で既に建設に関わる政府 間協定に調印済みで、両パイプラインのポーカー勝者と評された。 このように EU ロシア間で競合関係を強めているとされる両ガスパイプライン・プ ロジェクトに加え、既に露独が中心となって推進するノルドストリーム・ガスパイプ ライン・プロジェクトの概要と現状、並びに各国のスタンスを以下に纏めた。 2009 年 8 【欧州の 3 ガスパイプライン計画の概要】 ガス供給地 経由国 費用 総延長 建設 量 輸送 ナブッコ カスピ海周 トルコ、ブルガリ 辺 ア、ルー 3,300km マニア、 31Bio.m3/年 ハンガリー、オー ユ 7.9Bio. ーロ ロシア、中央 トリーム アジア ノルドス ロシア トリーム 未定 ガリア、 セ ル ビ ( 海 底 部 分 ア、ハンガリー、 900km) オーストリア 63Bio.m3/年 トルコ海域、ブル 総延長 バルト 3 国海域、 1,220km ポーランド海域、 55Bio.m3/年 ドイツ 概 1. ナブッコの 要 2011 年 2014 年 ストリア サウスス 始 稼動開始 建設開 19-24Bio. ユー ロ 2010 年 2015 年 ユ 14Bio. ーロ 2010 年 2011 年 天然ガスをトルコ、ブルガリア、ルーマニア、ハンガリー経由 でオーストリアまで輸送する延長 3,300km のガスパイプライン・プロジェクト(第 1 段階、第 2 段階は②後述) 。米国の協力下、EU 主導で推進。ロシア天然ガスへ の依存度の削減を目指す。 ① プロジェクト参加企業: 合弁会社 Nabucco Gaspipeline International GmbH(在墺ウィーン、2005 年年設立)に対し、墺 OMV(主導) 、ハンガリーMOL、独 RWE、ブルガ リア Bulgargaz、ルーマニア Transgaz、トルコ Botas のエネルギー6 社が 各 16.67%出資。 カスピ海地域の 3 ② ③ ④ ⑤ ⑥ 由 : パイプライン経 国 第 1 段階:トルコ、ブルガリア、ルーマニア、ハンガリー、オーストリア (既に露ガス供給に利用している欧州供給ハブである墺 Baumgarten が終点) 第 2 段階:東方(グルジア、シリア、イラク)に延長 ガス供給国(候補) : カスピ海沿岸諸国のうち、アゼルバイジャン、トルクメニスタン、イラク が有力候補。中期的には、カザフスタン、エジプト、アラビア半島諸国(と りわけサウジアラビア) 。ロシア・トルコ間のブルーストリーム・パイプラ インを利用した露ガス供給の可能性。将来的には、中央アジア、中東諸国。 輸送能力: 年間 31Bio.m3(当初は 10Bio.m3。欧州ガス需要の 5-10%程度) 。輸送量 の 50%は出資者に配分し、残りは市場での売却を計画。 建設コスト: 7.9Bio.ユーロ。当初予定された 5Bio.ユーロから大幅に増加。 資金調達手段: プロジェクト出資企業 6 社の負担額は各 400Mio.ユーロ。EU(5Bio.ユー ロの経済・金融危機向け投資支援ファンドから 250Mio.ユーロ支援を提示 (註 1)。他に EIB(註 2)、EBRD、国際金融機関等。 (註 1:当該ファンドは有効期限 2009 年末までの充当要。コンソーシアム が鋼管や昇圧機の年内購入で対応の見通し。) (註 2:2009 年 1 月時点で Maystadt 総裁はコストの最大 25%の融資の可 能性を示唆。同 7 月に Hurst エネルギー・運輸部門部長は、具体的な金 額を示すのは時期尚早と発言。) ⑦ 今後の見通し 2009 年末:エンジニアリング操業開始 2011 年:建設開始 2012 年:供給国最終決定 2014 年:供給開始 2015 年:第 2 段階として東方(グルジア、シリア、イラク、イラン註 3)へ の延長を計画。 (註 3:現時点では、非現実的とされる。後述 4.イラン参照) ⑧ 問題点 -ガス供給国の確保。現時点では、契約締結国はゼロ。 -統一コンセンサス形成が困難。関係する各国や事業者が独自の利益を優 先。 (3 パイプライン共通) 4 -経済性が不透明であり、建設費の資金確保が困難。(3 パイプライン共通) 概 2. サウスストリームの 要 天然ガスを黒海海底パイプライン(延長 900km)でブル ガリアまで運び、複数経路でイタリア、オーストリアまで輸送するパイプライン・ プロジェクト。露伊主導で、ウクライナ迂回(註 4)による西欧へのガス輸送を目 指す。 ロシアと中央アジアの 註 4:輸送コストに関わるロシアとウクライナ間の争議で、過去に露ガス輸送 が滞ったことが背景。) ( ① ② ③ ④ ⑤ ⑥ ⑦ ェ 加 : 合弁会社 South Stream AG(在スイス Zug、2008 年 1 月設立)に対し、露 Gazprom と伊 ENI が各 50%出資。 両社がパイプラインの所有・運営権を有し、 資金を調達。仏 GDF Suez が出資意向を表明。 パイプライン経由国(企業) (流動的) : ロシア、トルコ(海域)、ブルガリア(Bulgargaz)、セルビア(Srbijagas) 、 ハンガリー(MOL)、墺(OMV。Baumgarten ハブを提供)、ギリシャ、イタ リア。オプションとして、スロベニア、ボスニア・ヘルツェゴビナ、クロア チア経由の可能性。 ガス供給国: ロシア(Gazprom、ロシア政府が供給保証) 。将来的には、トルクメニスタン、 カザフスタン、ウズベキスタンなどからの供給も見込む。 輸送能力: 年間 63Bio.m3 。当初の同 31Bio.m3 から 2009 年 5 月に輸送量拡大が発表。 建設コスト: 19-24Bio.ユーロ(海底パイプライン敷設コスト約 9Bio.ユーロを含む) 資金調達: ロシア政府が保証。 今後の予定: 2010 年末(遅くとも) :建設開始 2015 年末:稼動開始 長期的には、トルコ経由でイスラエル、シリア、レバノン、キプロスへの輸 プロジ クト参 企業 送計画あり。 ⑧ 問題点: 月、ブルガリア新政府が計画凍結の可能性を示唆。経由国の変更を 強いられる可能性。ブルガリアによる取り消しに際した代替案としては、ト ルコ経由で西欧への輸送を検討。 2009 年 7 5 概 3. ノルドストリームの 要 下、バルト海底経由でロシアからドイツに天然ガスを輸送する延長 1,220km のガスパイプライン・プロジェクト。独英蘭仏丁を中心に西欧市場に供給の EU 支援の 見通し。 ① ェ 加 : 合弁会社 Nord Stream AG(在スイス Zug、2005 年 11 月に前身 North European Gas Pipeline Co. 設 立 ) に 対 し 、 露 Gazprom(51 % ) 、 独 BASF/Wintershall と E.ON-Ruhrgas(各 20%) 、蘭 Gasunie(9%)が出資。 仏 GDF Suez が 2009 年 7 月に出資交渉を開始。 ② プロジェクト経由国: 露独間バルト海底 ③ ガス供給国: ④ ⑤ プロジ クト参 企業 ロシア(Gazprom) 能 : 輸送 力 平 年間 55Bio.m3( 行する 2 本のパイプラインを 2 段階に分けて建設) : 約 14Bio.ユーロ:7.4Bio.ユーロ(オフショア部分) 、約6Bio.ユーロ(オンシ ョア部分) ⑥ 資金調達: 30%は出資企業により Pro rata で分担。70%は外部調達(プロジェクトファ イナンス) 。EIB からの融資は複数の出資国の反対で見込めず。 ⑦ 今後の予定: 2010 年 4 月:建設開始(第 1 段階:27.5Bio.m3) 2011 年後半:稼働開始 2011 年:建設開始 (第 2 段階:同上) 2012 年:稼働開始 ⑧ 問題点: -環境問題を掲げ、スウェーデンとフィンランドが海域敷設を容認せず -海域諸国(ポーランド、バルト 3 国)がロシアの影響力拡大を懸念して反対。 関連国経由陸上パイプライン建設を要請。米国も同様の理由で警告。 建設コスト 4. 各国のスタンス 【西欧】 ドイツ: 期契約を締結し、ノルドストリームを推進し ていることから、ナブッコに消極的。当初、EU ファンドによるナブッコ支援 Gazprom とガス供給に関わる長 6 反対の意を表明していた。2009 年 8 月に Merkel 独首相は訪露して、複数 の経済協力契約を締結。破綻した独企業の露企業による買収等に期待し、一 段の関係強化を目指している。 オーストリア: ナブッコとサウスストリームのハブの役割を担うことから、両プロジェクト は競合ではなく、既存のパイプラインを補填し合うものとの立場で、供給ル ートの拡大を歓迎。 イタリア: ロシアとサウスストリーム・プロジェクト推進。伊が国際エネルギー市場で 主要な役割を果たすことを目指し、全ての石油・ガスパイプラインをイタリ アに向ける意向。 フランス: ロシアと一段の関係強化を模索。Gazprom と天然ガス供給の長期契約締結 (年 間 12Bio.m3 を輸入) 。トルコとの確執(註 5)でナブッコへの参加は実現せ ず。Gazprom と GDF Suez がノルドストリームへの参加を交渉中(出資率は 9%の見通し)。以前にはサウスストリームへの参加の可能性も報じられてい に た。 (註 5:フランスが数年前に 1915 年のアルメニア人虐殺問題でトルコを批判 したことから、トルコはフランスのナブッコ・プロジェクトへの参加に反 対。) 【中・東欧】 : ブルガリア 月 5 日の議会選で勝利した親 EU 路線を取る Borisov 新首相は、 サウスストリーム・プロジェクト(註 6)は不透明としてナブッコ調印の翌日 (7 月 14 日)、サウスストリーム計画の一時凍結を発表。ナブッコ プロジェク ト推進の見通し。露 Putin 首相は秋に協議する意向。Borisov 首相は、ブル ガリアに対するガス供給保証確保が優先事項としている。 2009 年 7 (註 6:2008 年 1 月 18 日に Stanischew 前首相と合意。折半で国内での合 弁設立を計画していた。Varna 港湾都市を経由するブルガリアはサウスス トリーム・ガスパイプラインの中枢国とされていたことから、凍結決定は ロシアにとって大きな痛手。) セルビア: 月 25 日、国内延長 400km のサウスストリーム・ガスパイプライン 共同建設の覚書に調印(Srbijagas と Gazprom) 。輸送量 10Bio.m3 が見込ま れており、露ガスの廉価輸入保証を期待。 2008 年 2 7 ハンガリー: 月 26 日、折半の合弁設立によるサウスストリーム国内敷設で合意。 年間最低 10Bio.m3 の輸送を想定。 ポーランド: ナブッコとの接続パイプラインの国内建設を検討。サウスストリームに対し ては、陸上輸送を主張して反対。 【中近東】 トルコ: 独伊に続く第 3 の露ガス輸入国。ナブッコとサウスストリームの最重要パー トナー。ナブッコを EU 加盟への切り札として利用し、EU 加盟交渉を優位に 運ぶのが目的とされる一方、サウスストリームは欧州全体のエネルギー確保 とトルコ、ロシア両国間の外交強化を優先事項として、エネルギープロジェ クトは重要な役割を果たすと位置づけ。地理上の優位性から、両プロジェク トの最重要国で、両者への参加調印で優位性を一段と確立。2009 年 8 月 6 日 のサウスストリーム締結時には、ロシアがトルコに対し、ガス供給量の引き 上げ、トルコ国内でのガス貯蔵施設の共同建設、既存のロシア・トルコ間ブ ルーストリームのハンガリーまでの延長、ブルーストリーム II 計画(イスラ エル、他の中近東諸国への供給)、トルコ初の原発建設プロジェクト(2009 年初め、露 Atomstrojexport 主導の合弁で計画推進)への出資等を確約。 。将 来的には、トルコ経由でイスラエル、シリア、レバノン、キプロスへのガス 供給を計画。更に、トルコの黒海沿岸 Samsun と地中海沿岸 Ceyhan 間の Bosporus 迂回石油パイプライン建設(トルコの Calik と伊 ENI の合弁による 建設。ブルガリア Burgas からギリシャのエーゲ海沿岸 Alexandroupolis 間の 石油パイプラインと代替関係) 。ブルガリア新政府によるロシア寄り前政権の エネルギー政策見直し発表を受けた決定。国内では、ロシアからの燃料への 依存度引き下げ目標に反すると批判有り。現在、国内消費量のうち、ロシア は天然ガス(60%) 、原油(25%)を輸入する最大の相手国。ナブッコにより、 輸送手数料年間最大 450Mio.ユーロを見込む。 カタール: 2009 年 8 月 18 日、同国はトルコとサウジアラビア、ヨルダン、シリア経由 で天然ガスパイプラインの建設交渉を開始。ナブッコへのリンクを計画。現 在、EU 向けに年間 7.5Bio.m3 の天然ガスを輸出し、供給量は第 4 位。EU 委員会 の Piebalgs 委員 (エネルギー 担当 )は、 数 年後に年間供給 量が 30Bio.m3 に増加することを期待。 イラク: ナブッコへの供給(8Bio.m3、将来的に 15Bio.m3)に関心を示す。 2008 年 2 8 : イラン 心 示 即反対。これに対し、トル コが条件次第で可能と擁護。埋蔵量は巨大であるが、新ガス田開発の遅れで、 現在は天然ガス輸入国。 ナブッコへの供給に関 を したが、EU、米国が 【CIS】 : ロシア 段と保証するものとの立場。西欧へ のガス輸送上のウクライナ依存を解消。1998 年施行の露 EU 間エネルギー協 定の改正を拒否。ナブッコによりロシアの独占が失われることから、同プロ ジェクトのガス供給国に対案を提示(註 7)。現在までは、カザフスタンとト ルクメニスタンのガスはロシア経由でのみ輸出し、西欧もロシア経由でのみ 中央アジアのガス輸入が可能。 サウスストリームは欧州のガス供給を一 (註 7:最も有力な供給国されるアゼルバイジャンに対し、露 Medvedev 大統領は 2009 年 6 月 29 日、2010 年 1 月から同国産ガスの購入再開を 提案して契約調印に至った。価格 350USD/1000m3 は、2009 年初めに ウズベキスタンやトルクメニスタンに提示した約 300USD/1000m3 を上 回る。) : アゼルバイジャン 目指す。最大ガス田 Shah Denis(米 EU が獲得を模索 していたもの)からの天然ガスはロシアに売却契約締結(ロシア上述) 。ナブ ッコは Shah Denis II からのガス獲得(8-12Bio.m3:註 8)を目指し、既存の グルジア経由パイプラインでトルコまでの輸送を見込む。 ガス輸出先の多様化を (註 8:現行の契約では、ナブッコはアゼルバイジャンから年間 8Bio.m3 の天然ガスを購入予定であるが、現在 27Bio.m3 を生産する同国の Aliyev 大統領は 2009 年には 30Bio.m3 への増産が可能としている。) メニスタン: ナブッコに対し、10Bio.m3 の供給が見込まれる。現在、イラン、露、中国に 供給。埋蔵量 4,000-14,000Bio.m3 のガス田発見。独政府が良好な友好関係を 維持。ガス輸送問題の解決要。 カザフスタン: ナブッコからの供給要請を受けているが、ロシアからの働きかけもあり、既 存の CAC(Central Asia Center)パイプライン等の計画への参加意向が強い。 グルジア: カスピ海周辺ガスの経由供給国としてナブッコの交渉相手国。 トルク 9 【参考】 現在、欧州への主な供給国はロシア、アルジェリア(主に伊西仏向け)、ノルウェー で需要の約 90%を占有(グラフ 1)。EU におけるガス消費量の 4 分の 1 を供給するロ シアからの EU での輸入シェアは約 40%(20 年後には 60%まで上昇との試算)。うち、 ハンガリー、ルーマニア、ブルガリア、スロバキアは 100%、オーストリア、チェコは 約 75%、ドイツは 40%。ロシアからの輸入ガスの 80%はウクライナ経由パイプライン (輸送能力は 30Bio.m3)。 ナブッコ、サウスストリーム、ノルドストリーム・ガスパイプラインの総稼働能力は 年間約 150Bio.m3。 IEA によれば、 2020 年までの EU27 カ国の圏内生産量は半減する一方、 消費量は 2030 年までに倍増との見通し。欧州における輸入需要は 2020 年までに約 70 %増の 515Bio.m3 との試算(AT Kearney) 。一方で、EU 委員会は 2005 年から 2025 年まで の輸入量は 195Bio.m3 増の 509Bi.m3 を見込む。 【グラフ 1:EU におけるガス輸入国のシェア(%)】 (出所:独紙 Frankfurter Allgemeine Zeitung) 10 【CIS 天然ガスの欧州輸送用パイプライン、天然ガス田】 (出所:独紙 Frankfurter Allgemeine Zeitung) 【ナブッコ、サウスストリームパイプラインの敷設計画(暫定)】 (出所:独経済紙 Handelsblatt) 以上 11