...

通信 - パリアン

by user

on
Category: Documents
12

views

Report

Comments

Transcript

通信 - パリアン
第35号(2014 年 1 月 1 日)
パ
リ
ア ン 通
信
1ページ
2014年1月号
通信
東京都墨田区立川2-1-9
発行:グループパリアン
KHハウス
電話(03)5669-8302
パリアンに関わる皆様への
新
年
の
あ
い
さ
医療法人パリアン理事長 川越
つ
厚
新年おめでとうございます。
新しい年を迎えるにあたり、死を前にした患者さん・ご家族が
望む生と死を実現できるように、最善のケアを今年も追い求める
一年でありたいと願っています。
この目標を実現するにあたり、大変重要なことがあります。そ
れは、患者さんとご家族が「目の前に差し迫った死をどのように理解し、受け止めようとして
苦しんでいるか」を我々が明確に理解し、その理解に則ったケアを提供しなければならないこ
とです。我々のケアは、なんでも傾聴すればよい、ということではありません。
ここで大切なことは、ケアに携わる我々自身が死生観をしっかり持つことです。死生観とは、
生老病死という苦をどのように観るか、という仏教的色彩の強い概念です。それはともかくと
して、死と向き合わなければならない患者さんとご家族に日々接する我々にとって、避けて通
れない重要な問題です。老い、病を患い、死を迎える患者さんの苦しみ、それを看取るご家族
の苦しみ。我々医療者はどう向き合えばよいのでしょうか。死生観は宗教の問題として提起さ
れましたが、実践の現場でこそ具体的な意味が問われています。
この問題に関して、昨年、柏木哲夫先生とのラジオ対談で改めて考えたことがあります。
「生
の先に死があるのではなく、我々は死を背負って生きている」というのが、柏木先生の言葉で
した。その後同じラジオ番組で、山本圭一先生(日本基督教団牧師)の戦争体験のお話を伺う
機会があり、その思いをますます強くしました。
山本先生は、陸軍士官学校を卒業したエリートですが、卒業したその年(昭和 20 年)の 8 月
15 日の朝、特攻命令を受けました。
「遡上中の数隻のロシア艦隊に、体当たり攻撃せよ」という
のが命令の主旨です。攻撃隊の隊長を拝命した
山本少尉は、若干 20 歳。死を覚悟しました。
しかし話は劇的な結末を迎えます。昼過ぎ、立
ち寄った飛行場で敗戦の報に接し、結果的には
奇跡的に死ななくて済んだのです。
死ぬことに意味を見出す(国のため、天皇を
守るために死ぬ)ことには断固反対ですが、
“人
間には必ず死が訪れる”ということを忘れ去っ
たかのような現代社会の(2ページにつづく)
第35号(2014 年 1 月 1 日)
パ
リ
ア ン 通
信
2ページ
(1ページから)風潮は、もっと困った問題だと、医師として
日ごろ思っています。死は誰にとっても嫌な出来事ですが、患
者さんの、というよりも日本民族の死生観は、死を「お・む・か・
え」という形で受け入れる、世界に誇るべき(P.トゥルニエ)
精神に立脚していました。
Bad news(悪い知らせ)をどう伝えるか、というのは西欧で
お完成に伴い、
の話。我が国では、患者さんに「いまがお迎えの時ですよ」と伝えればよいのです。すると多
くの方がむしろほっとしたように、自らの運命を受け入れてくださいます。さらに、
「しばらく
の間この辺りを彷徨い、あちらに言っても年 2 回こちらに帰ってきますよ」という言葉を付け
加えれば、我々としては伝えるべきことは伝えたことになります。
ただその際、私たちが心得ておかなければならないのは、患者さんとご家族は死を“あたま”
ではなく、
“こころ”で受け止めようとすることです。死に逝く患者さんをかわいそうに、とか
気の毒にとかいうような憐憫の情で観る必要はなく、むしろ禁物です。我々日本人の“こころ”
とかけ離れています。とはいえ、人生最大の試練、つらい別れに遭遇していることには変わり
ありません。
パリアンで働く職員の皆様は、自分にもお迎えが必ず来ることを忘れてはいけません。その
意味では、死を前にした患者さんと私たちは同じ立場にあるのです。
“こころ”で一生懸命“お
むかえ” を受け止めようと、もがき苦しんでいる患者さんとご家族を慰めるケアを今年も追い
求め、実際のケアにあたろうではありませんか。
よい年でありますように。
2014年正月
川越
厚
医療法人社団パリアンが移転しました
医療法人社団パリアンは、昨年 12 月 28 日に今までの墨田区両国から墨田区立川2-1-9
KHハウスに移転し、診療、訪問看護、訪問介護等の業務を始めています。
パリアンでは、パリアン事業・業務や活動について知っていただくため、1月22日(水)
午後1時30分から地域の方々をお招きして、パリアンお披露目会を行います。
住 所:墨田区立川2-1-9
TEL:03-5669-8302
FAX:03-5669-8310
千歳三丁目 バス停
元徳稲荷神社 バス停
【交 通】
■都営新宿線・都営大江戸線
森下駅A5出口から徒歩約7分
■都営バス
(門 33)豊海水産埠頭行~亀戸駅行
千歳3丁目下車 徒歩約7分
■墨田区内循環バス すみまるくん
南部ルート(錦糸町駅北口から循環)
元徳稲荷神社入口下車 徒歩約2分
第35号(2014 年 1 月 1 日)
パ
リ
ア ン
通 信
3ページ
伝 言 板
パリアンお披露目会とボランティアの集いを1月22日に開催
パリアンは墨田区立川への移転に伴い、1 月 22 日
(水)午後 1 時 30 分から地域の方々にパリアンの活
動等を紹介するお披露目会を開きます。続いて、午後
2 時 30 分から第4回ボランティアの集いを行います。
ホスピスハワイのケン・ゼリーさんが2月に来日予定
姉妹ホスピスであるホスピスハワイの設立 35 周年記念セレモニーが昨年 11 月
に行われ、川越先生夫妻が招待された。そのホスピスハワイ代表のケン・ゼリーさんが
今年 2 月に来日され、パリアンには 2 月 18 日にご来訪の予定。
ラジオ日経「日曜患者学校~川越厚のがんからの出発」
・川越厚先生出演 ラジオ日経「日曜患者学校~川越厚のがんからの出発」
毎月第 2 日曜日 21 時~21 時 30 分(今月は 1 月 12 日「柳田邦男氏を迎えてのシリーズ 4 回目」)
※放送の聴き方:短波放送・ラジオ NIKKEI 第 1:3.925MHz、6.055MHz、9.595MHz
放送終了後は、ラジオ日経のホームページ(http://www.radionikkei.jp/inochi/)で
いつでも聴くことができます。
1月のスタッフ勉強会、事例検討会の開催予定日
スタッフ勉強会:1月17日(金)17~18時
事 例 検 討 会:1月24日(金)17~18時
NPO 法人あこもが「がん相談会 がんサロン SAKURA」を開催します
NPO 法人すみだ在宅ホスピス緩和ケア連絡会あこも(代表:川越博美)が、墨田区在宅緩和ケア事業の
一環として、1~2 月に「がん相談会 がんサロン SAKURA(さくら)
」を開催します。
がんサロン SAKURA(さくら)は、がん患者さんとご家族が体験や悩みを分かちあい、よりよく日々
を過ごせるように支え合う場で、開催日・場所は下記のとおりです。
開催日:1月11日・18日・25日、2月8日(各土曜日)午後2時~4時
場
所:すみだ女性センター(墨田区押上2-12-7-111)3階 第2・3会議室
1月のボランティア活動予定
・第4回ボランティアの集い:1月22日(水)午後2時30分~3時30分
・訪問ボランティア:1月22日(水)午後3時30分~
・デイホスピスボランティア:1月10日、17日、31日(24日は休み)
・手作りボランティア:1月28日(火)午後1時~3時
・事務ボランティア:1月22日(水)午後3時30分~
◆あけまして、おめでとうございます。◆パリアンは、昨年 12 月 28 日に両国から同じ墨田
編集後 記
区の立川(たてかわ)に転しました◆「立川」という地名はもともとは「竪川」と言い、
地番変更の時に「竪」の字が当用漢字になかったことから「立」となったそうです◆「竪川」の由来は、万治2
年(・1659 年・将軍徳川綱吉の時代)
)に起工された旧中川と隅田川を東西に結ぶ運河で、江戸城に向かって縦
(東西)に流れることからこの名称がつけられました。現在ではほとんどの区間が暗渠になっており、その一部
が河川敷公園になっています◆訪問看護や介護を業務とするパリアンは年中無休で、年末年始に関わらず活動し
ているので、年末の引越しはさぞ大変だったことでしょう◆パリアン城(新社屋)も築城され、川越城主のもと
気持ちを新たにパリアン精神を発揮して前進していきましょう◆本年もパリアン通信をご愛読ください。
Fly UP