...

在宅がん患者の疼痛コントロールで感じた 多職種連携の必要性

by user

on
Category: Documents
22

views

Report

Comments

Transcript

在宅がん患者の疼痛コントロールで感じた 多職種連携の必要性
在宅がん患者の疼痛コントロールで感じた
多職種連携の必要性と保険薬局・薬剤師の役割
∼基幹病院医師への処方提案を経験して∼
○松谷優司 二井本恭子 小下和也 岡田光一
大上友子 花岡麻弥 坂本徹 服部聖 古屋憲次
㈱ホロン すずらん薬局グループ
私たちすずらん薬局グループは、2005年に無菌調剤室
を設置すると同時に本格的に在宅医療に取り組んできた。
その中で多職種からのさまざまな要望やニーズを受け
て、医療・衛生材料の分割販売・シリンジポンプのレン
タルシステムなどを構築してきた。
これらのことを含め積極的に連携することで多職種か
らの信頼を得るようになり、現在では医師だけでなく訪
問看護師などを通じて「訪問依頼」を受けるようになっ
た。
今回は訪問看護師の依頼で、訪問を開始した症例につ
いて、基幹病院医師との情報のやり取りで、処方変更、
症状改善につながった症例を経験したので報告する。
80代、男性、右側上顎歯肉癌
要介護3
妻との2人暮らし
主治医は基幹病院医師(口腔外科、精神科)
家族の手助けにより月1回の通院
• 2月より訪問看護、訪問リハビリ開始
• TS-1で治療中
• トラムセット、オプソで疼痛コントロール
•
•
•
•
• TS-1飲むと調子がわるくなるので2錠のところを1錠
でのんでいるときがある
⇒服薬方法の妥当性は?
• トラムセットでは痛みがとりきれていないのではない
か?
痛い時にオプソを飲む(1日1∼2回)が眠気ばかり
強くなる、痛みがとれているかは不明
⇒オピオイドの服薬方法に疑問、もっといい方法は?
• オプソの処方が必要な時に処方されないことがある、
定期薬もきちんと服用できていない
⇒残薬管理、服薬管理が必要
• 本人、妻、孫、ケアマネージャー、訪問看護師、訪問リハビリ担当
者、薬局薬剤師(2名)
• 在宅療養は継続しているが体調は不安定でムラがある
• 家族の支援で受診できているが、主治医に状況を伝えることができ
ていない
• 服薬に関して、複雑で不安、混乱がある
• 看護情報提供書を作成、受診時に主治医に読んでもらう
• 居宅療養管理指導(薬剤師)を利用し薬はカレンダーで管理
トラムセット配合錠
タケプロンOD錠15mg
マグラックス錠250mg
デジレル錠50mg
プルゼニド錠12mg
オプソ内服液5mg
4錠
1錠
6錠
1錠
1錠
1包
毎食後、寝る前
朝食後
毎食後
就寝前
就寝前
痛い時
• TS-1は8月より休薬中
• 朝の痛みあり、オプソを服用すると昼まで寝てしまう
• トラムセットを6時、12時、18時、22時に服用するよう印
字してカレンダーセット
10/9 一部処方変更
トラムセット配合錠 4錠→3錠へ減量
セレコックス錠100mg追加 2錠 朝夕食後
10/11 検査により腫瘍縮小、TS-1は中止
今後は痛みに対する治療を継続する
11/13 定期受診時にそのまま入院となる
12/17 退院、退院時薬の整理のため訪問を行った
入院時処方変更
セレコックス錠100mg→200mgに増量
頓服としてロキソニン顆粒処方あり
トラムセット、オプソ、残薬あり、痛い時服用
1/8 処方変更
トラムセット配合錠→オプソ、カロナールに変更
セレコックス錠中止
処方
オプソ内服液5mg
カロナール錠200mg
タケプロンOD錠15mg
マグラックス錠250mg
デジレル錠50mg
オプソ内服液5mg
3包
6錠
1錠
3錠
1錠
1包
毎食後
毎食後
朝食後
毎食後
就寝前
痛い時
作用時間の短いオプソ内服液への変更は、さらに疼痛コ
ントロールが悪化する可能性を感じた。
トラムセット、セレコックスの中止とオプソへの変更の
理由について疑義照会を行った。
薬剤部に相談し処方意図を確かめてもらった
医師からの回答は
オプソを中心とした疼痛コントロールをする予定
痛い時には追加でオプソを飲むよう指示
処方変更後
痛みの発現頻度が増え、オプソを服用するも眠気ばかり強くなる
イライラ感強く、予定を早めて受診
1/16
カロナール錠200mg 6錠⇒9錠へ増量
オプソは服用回数が増え不足となったため
7日分の追加処方あり
毎食後指示だが、オプソの服用は多く
現状は1日4回以上の服用をしていた
看護師からの情報
・疼痛は改善していないこと、イライラが強く奥様も疲弊
してきていること
・オプソ服用時は痛みがとれるが、眠気が強く出ていること
主治医への手紙
看護師からの情報および薬剤師としての視点から情報提供
・作用時間の長いオピオイドへの変更の提案
・セレコックス錠の再開の提案
患者さんに受診時に手紙を持参してもらった
緩和ケアチームの医師よりの電話と返信
・オプソ内服液 定期内服は中止
・オキシコンチン錠5mg 1錠を12時間毎
・セレコックス錠の再開
・レスキューはオプソ内服液5mgのまま
薬剤師からの手紙
主治医からの手紙
変更後の処方
オキシコンチン錠5mg
カロナール錠200mg
セレコックス錠200mg
タケプロンOD錠15mg
マグラックス錠250mg
デジレル錠50mg
オプソ内服液5mg
2錠
6錠
2錠
1錠
3錠
2錠
1包
12時間毎
毎食後
朝夕食後
朝食後
毎食後
就寝前
痛い時
• 患者さんが医師に正確に状況を伝えることが困難な場合
もある
• また、医師も多忙な診療時間のなかで正確に状況を把握
することは難しい
• 疑問を感じたら基幹病院といえども臆せず疑義照会、処
方提案をすることが患者さんのQOL向上につながる
• 情報提供は口頭だけでなく、受診時に患者さんを通じて
書面で行うことも有用である
Fly UP