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クライストロン

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クライストロン
高エネルギー加速器研究機構/KEKB加速器
クライストロン
特 色
高い周波数(KEKBでは約5億ヘルツ)の電波を増幅する真空管で、構造が比較的簡単なの
で大電力に向いている。クライストロンで増幅された電波は加速空洞に導いて荷電粒子(電
子、陽電子など)の加速に使用する。
原 理
ヒーターで加熱され熱電子を放出しやすくなったカソード(陰極)に対し、対向するアノード(陽
極)に正の電圧をかけることによって直流の電子の流れをコレクター(集電極)方向に作る。こ
の電子流は集束用の磁場によって絞られて真空の金属の筒の中を流れ、カソードとコレク
ターにかけられた電圧により加速される。増幅したい電波が入力された入力空洞を電子流が
通過する時に、中の電界によって電子流に少しだけ速度差ができる。この速度差のある電子
流が中間空洞を通過するとその空洞に電界が生じ、その電界によって電子流に、より大きな
速度差ができる。このようにして電子流は出力空洞に達する時には、図のように集群(バン
チ)して電子のかたまりになる。このバンチは入力の電波の周波数と同期していて、出力空洞
を通過する時に、加速により得られた運動エネルギーを電波の形で出力空洞に与える。これ
をアンテナで外に取り出してやれば入力の約10万倍の電波が得られる。
発 明
1937年 Hahn及びMetcalf(General Electric社) Varian兄弟(Stanford大学)
名前
のいわれ
クライストロンという名称は、浜辺で波が砕けるという意味のギリシャ語による。
集群した電子流は出力空洞で高周波エネルギーを放出し、コレクターに捕捉される
KEKB用クライストロン
出 力
連続波100万ワット(Philips社)
効 率
60∼70パーセント
120万ワット (東芝)
コレクター冷却方式
入 力
1∼80ワット
水が蒸発する時に奪う多量の
周波数
5億ヘルツ(508.9MHz)
気化熱を利用して効率良く冷やす。
入力電力 最大180万ワット
(9万ボルトx20アンペア)
使用台数
35台(KEKB 27台、PF-AR 2台,
テストステーション他 6台)
高エネルギー加速器研究機構/KEKB加速器
UHF帯連続波クライストロン
KEKB加速空洞で、電子、陽電子の加速に用いられる 508.9 MHz の高周波( RF )は真空管の1種
である連続波クライストロンより供給される。加速空洞が電子、陽電子を繰り返し蹴飛ばして加速する
筋力とすれば、クライストロンはそれに絶えずエネルギーを供給する心臓であり、直流高電圧で加速
された電子の運動エネルギーを高周波交流電力に変換する電子の云わば加・減速器である。電子
銃部を下に、コレクター・ボイラー部を上にしてコイル・ソケットに挿入し垂直に立てて運転する。
KEKBリングには、1周にわたって8ケ所高周波
装置専用の建家(クライストロン電源室)が有り、
内6ケ所に、LERで10本、HERで15本、合計2
5本のクライストロンが設置され、コンピューター
制御により運転される。大電力 RF は出力結合器
からサーキュレーターを介して導波管(WR1500)
により地下約10メートルのトンネル内の各加速
空洞に導かれ入力結合器を通して供給される。
他に両リングのクラブ空洞用に2本、ARES 及び
超伝導空洞の開発エージング用に2本、クライス
トロン自身を含む大電力 RF の研究開発用に2
本、大強度放射光 PF-AR の運転及びバックアッ
プ用に4本、都合35本もの大電力クライストロン
が使用され活躍している。
ここが素晴らしい!
世界最高の出力達成とこれに耐える大電力機器の数々
連続出力 1.35 メガワット(135 万ワット)は世界一、
水冷空冷ハイブリッド方式の出力結合器、水負荷、
サーキュレーター
最先端薄膜コーティング技術を駆使
マルチパクターリング放電を抑える窒化チタン被膜、
低温動作のイリジウム被覆カソード(ハイビジョン
TVにも応用)、銅やバリウムの飛散を抑えアノード
の安定動作に寄与する酸化クローム被膜
世界トップレベルの安定性能
長期安定な運転性能とそれを支える電源、RF 機器、
技術、そして人
高い効率と驚く程の長寿命 (最高齢は9 万時間)
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