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とっておきの話 只見とっておきの魚たち ⑥
只見学 とっておきの話 只見とっておきの魚たち ⑥ 豊かな恵みを求めて人々も集い ます。これは、おじいちゃんや おばあちゃんの、そのまたおじ いちゃんやおばあちゃん、それ より、ずっとずっと昔の代から、 代々受け継がれ守られてきた町 の宝物です。そんなすばらしい 自然が、只見町には残っている のです。 昨年7月の集中豪雨による水 害は、尊い命や大切なものをた くさん奪ってしまいました。し かし、町の人々は、ずっと昔か ら、自然の猛威に さらされることは あっても、ブナの 森や川から命の恵 みを授かりながら 豊かに暮らしてき ました。洪水によ り、只見町内の川 は、大きく様子が 変わってしまった ところもあります が、時間をかけて もとの自然に戻っ ていくと思います。 今、只見町の水 辺にはいくつもの 問 題 が あ り ま す。 葉 修 只見町の川は、観光に訪れる 人たちの遊び場だけではありま せん。先祖代々、受け継がれて きた町の財産であり、みなさん の 文 化 だ と 思 い ま す。 そ れ は、 只見町の子どもたちの遊び場で あり、教育の場であり、町の活 性化への大きなヒントを持つ宝 箱です。将来、自然豊かな只見 町にたくさんの生き物博士や川 の達人が増えることを期待して います。 南相馬市博物館学芸員 稲 そのひとつが田子倉湖に放流さ れてしまったブラックバスなど の外来種です。興味のある人は 釣 っ て み て も い い と 思 い ま す。 実際に自分の目で確かめること で、たくさんの発見があるでし ょう。田子倉湖では何を食べて いるのか、なぜアメリカの魚が 放流されたのか調べてみてくだ さい。そして、外来種と在来種 の関係から、未来の町の川がど うなっていくのか考えてみてく ださい。 15 只見の川・魚・ そして人 川にいる魚たちは、エサとな る川底の水生昆虫や川の周りの 森にすむ虫、生活の場である川 の中の瀬や淵などの環境に支え られて生きています。魚を放流 しなくても、山・森・川の環境 の バ ラ ン ス が 保 た れ て い れ ば、 魚は増えていくと思います。逆 に、 い く ら 水 が 流 れ て い て も、 山にブナなどの自然林が残って いない限り、魚の生活にはマイ ナスとなるでしょう。春先の雪 融け水も川の生き物にとって重 要です。増水は川の中を変化さ せ、新たな魚の隠れ場をつくっ たりするなど、河川環境をリフ レッシュします。 只見町は、山にはブナの森が 広がり、川辺には貴重なユビソ ヤナギが自生し、魚のエサとな る昆虫をはじめ、たくさんの植 物や動物が生活できる多様な環 境があります。その森や川には、 森と川は只見の宝物 216