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中国中央病院 教えてDr.!!
中国中央病院 教えてDr. !! 更年期障害と骨粗鬆症 産科部長 とく も けいぞう 德毛 敬三 女性は思春期、分娩産褥期、更年期に精神的・内分泌的に大きく変化します。 特に閉経とともに更年期障害、骨粗鬆症、高脂血症など様々な病気が起こりや すくなります。更年期をうまく乗り越え、高齢になっても健康で長生きするため日頃から健康管理に注意す ることが大事です。 ■ 更年期障害 ホルモン補充療法や漢方薬が有効です 女性の更年期障害は卵巣ホルモンであるエストロゲンの低下に伴い、閉経前後(45 ~ 55 歳頃)におこ りますが、一定の期間を過ぎると治まってきます。のぼせ、うつ症状、頭痛、めまい、全身倦怠感など種々 の症状が出現し QOL が低下します。また、内科をはじめ脳外科、耳鼻科領域の病気が潜んでいることがあ り注意が必要です。更年期障害の診断は、問診が重要です(図) 。治療が必要と判断された場合、ホルモン 補充療法や漢方薬が有効です。 【ホルモン補充療法】 若返りの薬とも言われています。卵胞ホルモン(貼り薬)と黄体ホルモン(内服)が標準的です。 効果が比較的早く、更年期障害だけでなく、骨粗鬆症や高脂血症にも有効な場合があります。ただし、 症状によっては有効でなかったり、一部の悪性腫瘍の治療後の方では投薬できないことがあります。 また、静脈血栓症、心筋梗塞や脳卒中などのリスクがあります。 【漢方薬】 体質(漢方用語で証と言います)と病状に合わせて使用します。ホルモン補充療法と同等の効果が あると報告されています。即効性はありませんが、副作用が少なく長期投与も可能です。ホルモン補 充療法が有効でなかった方やリスクのため使用できない方などはお勧めです。 更年期症状で困っている方は、産婦人科を受診してみてください。症状が軽くなり日常生活が楽になると 思います。 (図)日本人女性の更年期症状評価表 症 状 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 顔や上半身がほてる(熱くなる) 汗をかきやすい 夜寝付かれない 夜眠っても目をさましやすい 興奮しやすく、イライラすることが多い いつも不安感がある ささいなことが気になる くよくよし、ゆううつなことが多い 無気力で、疲れやすい 目が疲れる ものごとが覚えにくかったり、物忘れが多い 症状の程度 強 弱 無 症 状 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 めまいがある 胸がどきどきする 胸がしめつけられる 頭が重かったり、頭痛がよくする 肩や首がこる 背中や腰が痛む 手足の節々(関節)の痛みがある 腰や手足が冷える 手足(指)がしびれる 最近音に敏感である 症状の程度 強 弱 無 ■ 骨粗鬆症 65 歳以上の女性は骨密度測定をしましょう 女性の骨量は、30 歳代がピークで閉経後に急速に低下し、65 歳以上の女性の約 3 割が骨粗鬆症と言わ れています(男性の約 3 倍) 。進行すると背骨が曲がったり、痛みがでたり、骨折して寝たきりになること があります。骨粗鬆症は、骨密度測定によって診断され、早期発見、早期治療により骨折予防になります。 日頃から適切な運動やバランスの良い食事(特にカルシウムの摂取)を心がけましょう。それでも効果がな い場合は、骨密度改善薬(ラロキシフェン、ビスフォスフォネート製剤、活性型ビタミン D3 製剤など)を 使用します。 骨粗鬆症は症状に乏しく、骨密度を測定しなければ発見が遅れます。検査は簡単で、産婦人科や整形外科 で行っています。高齢化の時代に健康で長生きするため、骨を定期的に検査することは重要です。65 歳以 上の女性は自覚症状がなくても骨密度測定をお勧めします。 16