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第43回日本人工臓器学会ランチョンセミナー BV計を用いた 除水制御プログラムで 水分管理不良症例の 透析治療に貢献する 医療法人偕行会岐阜 中津川共立クリニック 野溝明弘 ⊿BV(%)={ Ht(前)/Ht(後)-1 }*100 除水量とリフィリングの和 除水 血漿 ⊿BV リフィリング 血漿 除水は血漿 からおこなう BV1 血球 Ht 33% 血球の量は 変わらない 血球 BV2 ⊿BV Ht 43% -23.3% 20.0% 15.0% n=550 10.0% ⊿BV 5.0% 0.0% -2.0% 0.0% -5.0% 2.0% y = -2.0124x + 0.0857 2 R 0.5886 r = =-0.767 n = 55 4.0% 6.0% 8.0% 10.0% -10.0% -15.0% -20.0% -25.0% -30.0% 適正 溢水傾向 虚血傾向 n = 488 y = -2.0176x + 0.0059 2 R 0.3233 r = =-0.569 除水率 1)溢水傾向: ①確かな溢水症状をみとめる。 ②HD後半も高血圧で、除水に伴う脈拍増加がなく、 牽引痛や倦怠感がない。 ③HD後に浮腫を認める。(低Alb血症でないこと) ④過去1年間の安定した透析状況下でのCTRの 最低値よりも5%以上の増大がある。 ⑤適正と思われるDwtより2%以上の除水不足である。 2)虚血傾向: ①除水に伴い明らかな低血圧、または 脈拍の増加がみられる。 ②除水に伴う牽引痛や倦怠感・胸痛・腹痛などが みられる。 1),2)の条件に該当しないものを適正除水群とした。 症例1 73歳 女性 独居 透析歴2年 原疾患:慢性糸球体腎炎 Alb:3.2g/dl TP:5.8g/dl Ht:36.0% 認知症あり 体重管理不良 週3回 4hrHD DW42.1kg 週始め平均増加率 9.9% S . I 040429 症例2 症例1 040429 0 Wt45.9kg BP125/ P88 Bp161/ P67 0 0.5 -5 1 1.5 2 BP115/ P68 BV[ % ] PRR:0.56L/h 2.5 3 3.5 4 4.5 5 5.5 95 BP123/ P76 90 -10 BP103/ BP98/ BP107/ P93 P93 P96 -15 BV Sat -20 HD 除水速度(L/h) ECUM 0.75 0 -25 下肢(Up) リズミック(1T) -30 100 エホチール(mg/h) 5.25 4.5 6.75 S a t[ % ] 5 総除水量 4.05L/6h Wt42.4kg 85 HD 0.4 9.0 8.25 80 75 Time(hour) 040504 症例1 S.I 040504 5 総除水量 WT 42.5kg 4.0L/5h WT 45.7kg 100 Bp180/ P66 0 0 0.5 BP122/ P95 BP120~130 1 1.5 2 2.5 3 3.5 4 4.5 95 90 -10 S a t[ % ] BV[ % ] -5 -15 BV Sat BP120/ P86 PRR:1.19L/h BP119/ P87 -20 85 ECUM HD 除水速度(L/h) 1.35 0 0.49 80 -25 下肢(Up) リズミック(1T) 2.0 -30 エホチール(mg) Time(hour) 3.0 75 z 水分貯留により希釈された膠質浸透圧は、 HD前半に急速に除水を進めることで、血液 濃縮化により速やかに回復し、HD前半の PRRを高めることができる。 z 正常化BVまで早期に修正し、その後そのBV を維持することができれば、合理的に除水を すすめることが可能になる。 目標⊿BVまたは目標Htを定めて 除水することの問題点 同一症例であっても除水率により最終⊿BV の値は変動する。 z 同一除水率であっても症例により最終⊿BV の値は変動する。 z 同じ体重で入室しても立位から臥位になって からの経過時間により開始時のHt(BV)は変 動する。 z HtはEPOの投与量調整により変動する。 z 当施設の除水制御デザイン 1. 2. 3. 安全である血圧の下限+α,または脈拍の 上限-βまで急速に除水を進め、膠質浸透 圧を早期に回復させ、HD前半のPRRを高 める。 急速除水中の安全を図るため除水速度に 応じて血圧・脈拍測定時間間隔を変動させ る。 設定血圧または脈拍に達したら、その後 PRR追従除水に切り替えBVを水平に保つ。 当施設の除水制御デザイン 4. BV維持する過程で血圧低下または脈拍増 加が設定値にかかった場合、BV維持ライン を設定に従い上げる。 5. BV維持する過程で血圧上昇が設定値にか かった場合、BV維持ラインを設定に従い下 げる。 血圧 脈拍 %⊿BV 0 200 安全な血圧の 下限+αの値 まで急速除水 180 160 140 120 BV維持中に血圧上 昇したらBV設定ライ ンを下方修正しPRR 追従除水 -5 開始後 10分間 は平均 除水 -10 100 -15 80 60 ⊿BV 血圧 脈拍 40 目標血圧(脈拍)に達し たらその時点のBV維持 するようPRR追従除水 BV維持中に血圧低 -20 下したらBV設定ライ ンを上方修正しPRR 追従除水 20 平均 除水 速度 平均除水 速度のx倍 PRR追従除水で目標BVライン維持 BV維持ライン 400 SI-1110 dBV[%]*10 PRR[L/h]*100 sys-BP[mmHg] Wt:43.2kg→41.0kg 除水:3.0L/4.5h (7.37%除水/Dwt) UFP-speed[L/h]*100 PRR-avr[L/h]*100 pulse[bpm] UF-volume[L]*100 Na-cond[mEq/L] 300 200 100 Na 150mEq/l Na 150mEq/l Bp100 P90 除水 0.67L/h PRR 0.75L/h 0.00 0.16 0.32 0.48 0.64 0.80 0.97 1.13 1.29 1.45 1.61 1.77 1.93 2.09 2.25 2.41 2.58 2.74 2.90 3.06 3.22 3.38 3.54 3.70 3.87 4.02 4.18 4.34 4.50 0 Na 150mEq/l -100 ⊿BV-17.6% -200 SI-1105 400 dBV[%]*10 PRR[L/h]*100 sys-BP[mmHg] Wt:43.1kg→40.7kg 除水:3.1L/4.5h (7.62%除水/Dwt) UFP-speed[L/h]*100 PRR-avr[L/h]*100 pulse[bpm] UF-volume[L]*100 Na-cond[mEq/L] 300 200 Bp105 Na P78 150mEq/l Na 除水 1.67L/h Na 150mEq/l 150mEq/l Bp109 Na P76 150mEq/l Bp126 P79 Bp126 P79 100 PRR 0.13L/h PRR 1.33L/h 0.00 0.16 0.32 0.48 0.64 0.80 0.96 1.12 1.29 1.45 1.61 1.77 1.93 2.09 2.25 2.41 2.58 2.74 2.90 3.06 3.22 3.38 3.54 3.70 3.87 4.03 4.19 4.35 0 ⊿BV-15.6% -100 -0.5% -200 +0.5% 350 300 250 NM-1102 Wt:53.9kg→51.4kg 除水:3.2L/4.0h (6.23%除水/Dwt) dBV[%]*10 UF-volume[L]*100 PRR-avr[L/h]*100 sys-BP[mmHg] UFP-speed[L/h]*100 PRR[L/h]*100 Na-cond[mEq/L] pulse[bpm] 200 150 100 50 0 -100 -150 -200 食事 0.00 0.15 0.30 0.46 0.61 0.77 0.93 1.08 1.24 1.39 1.55 1.70 1.86 2.01 2.17 2.33 2.48 2.64 2.79 2.95 3.10 3.26 3.42 3.57 3.73 3.88 -50 プログラム除水から 一時的に回避できる 350 300 NM-1017 Wt:54.1kg→51.5kg 除水:3.3L/4.0h (6.42%除水/Dwt) dBV[%]*10 UFP-speed[L/h]*100 PRR-avr[L/h]*100 sys-BP[mmHg] UF-volume[L]*100 PRR[L/h]*100 Na-cond[mEq/L] pulse[bpm] 250 200 150 100 50 -50 -100 -150 0 0.16 0.32 0.48 0.64 0.80 0.97 1.13 1.29 1.45 1.61 1.77 1.93 2.09 2.26 2.42 2.58 2.74 2.90 3.06 3.22 3.38 3.54 3.71 3.87 0 食事 BV制御除水プログラムの評価 延べ治療回数:286回 69.9% 時間短縮・除水量増加 200 除 水 改善 38.8% 低血圧等 0% 22.0% 8.0% 同等 時間延長 63 同等 111 20% 55.6% 159 40% 60% 23 5.6% 症状あり 16 80% 100% 除水時間が延長したケース 普段よりも低い血圧でHDが開始され、早期 にBV維持ラインが高めに設定されPRR追従 除水に切り替わってしまった。 (→対処:除 水プログラムから外れ一般の除水法に移行) z 低血圧警戒感からスタッフが意図的にBV維 持ラインを上げてしまった。 (→対処:症例別 血圧コントロール域の設定確認) z 除水後半以降のPRR低下(原因:便秘,太り →これらの場合はDwtの上方修正が必要) z 除水中に低血圧症状等のみられたケース 前半の急速除水に適応できないケース (重度のASO症例,発作のある狭心症症例) z 同じBVを維持していても血圧低下していく ケースもある。(超高齢者,重度のASO症例) (反対に同じBVを維持していても血圧上昇 していくケースもある) z HD中の食事時に血圧測定休止中 (→対処:食事開始時刻の10分程前に除水 停止しリフィリングにより適度にBV上昇させ る) z 早期急速除水法に適する症例: z 水・Na依存性高血圧症例 z HD前半に低血圧のみられない症例 早期急速除水法に適さない症例: z 常時低血圧症例 z 重度のASO症例 z 発作のある狭心症症例 結 語 HD開始後早期に急速除水を行い、その後 PRR追従除水を行なう当除水法は、一般的 な除水法に比べ大量除水に適している。 z HD後半はPRRと同等の除水であるため患者 への負担が少なくHD後の体調の安定化が期 待できる。 z 血圧と脈拍によりBV維持ラインを決めるため Ht変動因子に影響されにくい。 z DCS-27は特別な消耗品を必要とせず低コス トで使用でき、毎回の除水評価ができる。 z