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暮らし - 徳島経済研究所

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暮らし - 徳島経済研究所
138
住まい
■住宅
徳島県の住宅数と世帯数の推移を見ると、1968 年に総世帯数 190,940 に対して総住宅数
が 198,860 戸となり、住宅数が世帯数を上回った。その後も住宅数は世帯数の増加を上回る
ペースで増加し、2013 年 10 月現在、住宅総数は 364,900 戸となっている。一方で空き家は、
64,000 戸(住宅総数の約 18%)
、そのうち賃貸用に限れば 23,300 戸
(貸家の2割余り)
にのぼっ
ている。
持ち家比率は 72%で全国平均(62%)より高く、持ち家
(専用住宅)の延べ面積は 136.30㎡
で、全国平均
(120.93㎡)を上回っている。一戸建ての割合は、居住世帯のある住宅全体の
72%(全国 55%)
、持ち家の 95%(同 82%)を占めている。逆に、共同住宅は、居住世帯の
ある住宅全体の 25%(同 42%)
、借家の 78%(同 85%)
で全国より低い。
民営住宅の家賃
(3.3㎡当たり)
は 4,041 円で東京都
(8,704 円)
の 1/2 以下の水準である。また
住宅着工統計
(2015 年)によると、持家1戸あたり工事費予定額は約 20 百万円
(全国 23 百万
円)であった。
ところで、現在の耐震基準
(1981 年)
以前に建築された住宅は、2013 年現在、持ち家で約 4
割、借家で約 3 割あり、耐震性に劣る建物も多く含まれていると思われる。市町村は、2000
年 5 月以前に着工した木造住宅の耐震診断事業を行っており
(自己負担は市町村により 0 ~
3 千円)、併せて、診断結果による耐震化や耐震化工事と併せて行うリフォーム工事などに
対して補助金を出す制度を用意し、2020 年度末耐震化率 100%を目標としている。なお、地
震保険の世帯加入率は 26.9%で全国平均
(28.8%)並みだが、火災保険の新規契約に地震保険
をつけた割合は毎年上昇し、2014 年度は 71.7%(全国 5 位、トップは宮城県 85.3%)
となって
いる。
また、全ての住宅に火災警報器の設置が義務づけられている
(新築は全国一律 2006 年、既
存は徳島県内の場合 2011 年 6 月)が、2015 年 6 月時点の徳島県の設置率は 70.2%(43 位、全
国 81.0%)
と遅れている
(消防庁推計)
。
■宅地価格
地価調査によれば徳島県の住宅地の地価は 1999 年から下落が続いており、2014 年から
2015 年にかけての変動率は△ 1.6%で、下落幅は全国 11 位であった。
■住まいを取り巻く環境
1 人あたり都市公園面積は 9.5㎡(36 位)
、国・県道改良率
(52.4%、全国 76.5%)
と汚水処理
人口普及率
(55.7%、全国 89.5%)
は全国最下位となっている。
(竹中淳二)
139
(住まい−1)住宅数および空き家率の推移
(万戸)
40
空き家
空き家率=――――
住宅総数
居住世帯のない住宅
借家
持ち家
35
(住まい−2)持ち家比率
(%)
20
(%)
80
76.0
73.4
75
徳島県
25
71.8
70
10
65
15
5
10
62.4
60
55
0
1973 1978 1983 1988 1993 1998 2003 2008 2013
(年)
(住まい−3)建て方別住宅数(居住世帯のある住宅)
(万戸)
25
59.8
60.3
1978 1983 1988
1993
1998 2003
61.7
61.1
2008 2013(年)
(住まい−4)延べ床面積(1住宅あたり、専用住宅)
持ち家
140
120
100
15
69.0
61.2
全国
(㎡)
160
一戸建
長屋建
共同住宅
20
1973
61.3
70.1
60.4
59.2
5
70.1
71.8
70.8
徳島県
全国
20
0
73.0
15
30
80
10
60
40
5
89.87
96.12
76.37 79.81
39.82 41.63
108.10
89.61
113.62
94.28
125.81 128.44
101.45 102.93
133.71 133.76 136.30
108.97 107.55 111.95
平均
46.17 45.83 47.09 46.35 49.27 49.35 49.10
借家
20
0
1983
1988
1993
1998
2003
2008
(住まい−5)建築時期構成比(2013年)
1973 1978 1983 1988 1993 1998 2003 2008 2013
(年)
(住まい−6)地価の対前年変動率(住宅地)
(%)
2
4
総 数
0
2013
(年)
18
18
19
20
1
21
0
2
持ち家
-1
20
19
20
20
19
-3
5
借 家
0
全国
-2
11
17
20
18
21
40
60
-4
28
80
不詳
1970以前
1971∼1980
1981∼1990
1991∼2000
2001∼
(住まい1∼5)資料:総務省「住宅・土地統計調査」
徳島県
-5
100
(%)
-6
-7
2003 04
05
06
07
資料:国土交通省「地価調査」
140
08
09
10
11 12
13
14
15
(年)
(住まい−7)耐久消費財の所有状況(2人以上の世帯)
徳島県
全国平均
単 位
全国順位
7.5
6.6
%(普及率)
24
高効率給湯器
32.9
23.9
%(普及率)
6
IHクッキングヒーター
43.1
23.9
%(普及率)
4
%(普及率)
13
太陽光発電システム
食器洗い機
ルームエアコン
温水洗浄便座
鏡台(ドレッサー)
自動車
軽自動車(国産車)
新車で購入(国産車)
オートバイ・スクーター
テレビ
ピアノ・電子ピアノ
37.8
31.0
3,849
2,723
73.2
70.6
%(普及率)
16
1
台
69.8
55.5
%(普及率)
4
1,925
1,377
台
9
797
487
台
12
1,480
997
台
4
219
159
台
9
2,764
2,162
台
2
32.8
30.9
%(普及率)
16
注:数量は1,000世帯当たり、普及率は所有している世帯の割合
資料:総務省「全国消費実態調査(2014年)
」
(住まい−8)住まいに関する指標
持ち家比率
1住宅当たりの延べ面積
空き家率
民営賃貸住宅の家賃
(2013,%)(専用住宅・持ち家)
(2013,㎡) (空き家/住宅総数)
(2013,%)(1か月3.3㎡当たり)
(2014年,円)
順位
県 名
比 率
順位
県 名
面 積
順位
県 名
比 率
順位
県 名
金 額
1
富 山
79.4
1
富 山
175.26
1
山 梨
22.0
1
東 京
8,704
2
秋 田
78.1
2
福 井
171.58
2
長 野
19.8
2
神奈川
7,200
3
山 形
76.7
3
山 形
165.84
3
和歌山
18.1
3
埼 玉
6,343
12
徳 島
71.8
19
徳 島
136.30
5
徳 島
17.5
28
徳 島
4,041
45
福 岡
53.8
45
大 阪
100.27
45
山 形
10.7
45
福 井
3,533
46
沖 縄
48.0
46
神奈川
97.86
46
沖 縄
10.4
46
佐 賀
3,532
47
東 京
45.8
47
東 京
89.52
47
宮 城
9.4
47
山 口
2,913
−
全 国
61.7
−
全 国
120.93
−
全 国
13.5
−
全 国
(持ち家比率∼空き家率) 資料:総務省「住宅・土地統計調査」
−
(注)県庁所在市
生活系ごみ排出量
汚水処理人口普及率
都市公園等面積
国・都道府県道改良率
(2015.3,%)(人口1人当たり)
(2015.3,㎡)
(2014.4,%)
(1人1日当たり)(2013年度)
順位
県 名
普及率
順位
県 名
面 積
順位
県 名
改良率
536
1
東 京
99.7
1
北海道
38.0
1
北海道
95.2
564
2
兵 庫
98.6
2
宮 城
22.8
2
沖 縄
93.0
広 島
580
3
滋 賀
98.3
3
宮 崎
21.6
3
埼 玉
87.0
43
徳 島
726
36
徳 島
9.5
45
茨 城
736
44
大 分
72.3
45
神奈川
6.6
45
奈 良
56.0
46
群 馬
784
45
和歌山
59.0
46
千 葉
6.2
46
高 知
54.7
47
福 島
786
46
徳 島
55.7
47
大 阪
5.6
47
徳 島
52.4
−
全 国
678
−
全 国
89.5
−
全 国
10.2
−
全 国
76.5
順位
県 名
1
沖 縄
2
京 都
3
グラム/人日
資料:環境省
資料:国土交通省
注:福島県は公表対象外
資料:国土交通省
「一般廃棄物処理実態調査結果」 資料:国土交通省
「都市公園等整備現況」 「道路統計年報」
「汚水処理人口普及状況」
141
家計・消費
経済行動を起こす主体は、大きく政府、企業、家計に分けられ、そのうち家計の行動は、
個人消費や個人の金融資産残高などからうかがうことができる。
総務省の「家計調査年報(2015 年)」によると、徳島市の二人以上の世帯(勤労者)に
おける1か月の実収入は、519,455 円と全国で 27 位(全国平均 525,669 円)となっている。
特色として、全体に占める世帯主の収入割合は全国平均よりも低く、配偶者及び他の世帯
員収入の割合が高くなっていることが挙げられる(家計-1、4)。
一方、消費支出は 309,604 円と全国で 28 位(全国 315,379 円)であり、費目別にみると、
仕送り金、住居、被服及び履物、保健医療などの項目が全国平均を上回った。前回調査と
比べ、教育、仕送り金、住居、家具・家事用品、交際費の項目が減少しており、前年に続
いて家計の節約志向の様子がうかがえる(家計-2、4)。
総務省の「全国消費実態調査(2014 年)」によると、2014 年における徳島県の二人以上
の世帯(全世帯)の家計の純資産額は、一世帯当たり 3,032 万円(全国 3,491 万円)、全国
で 22 位となっている。内訳を見ると、宅地資産が 1,297 万円(同 1,832 万円)と最も多く、
金融資産(貯蓄-負債)が 1,138 万円(同 1,039 万円)、住宅資産が 469 万円(同 492 万円)、
耐久消費財資産が 124 万円(同 117 万円)となっている。
徳島の県民性を表す言葉として、一世帯当たりの預金残高の高さから、しばしば「貯蓄
好き」であることが挙げられている。銀行(ゆうちょ銀行除く)の一世帯当たり個人預
金残高は全国第2位(2015 年 9 月末現在)と、全国平均を大幅に上回っている(家計-
4)。また、家計の貯蓄残高と金融資産構成を見ると、全国平均に比べ生命保険の割合が
高い(家計-3)。なお、総務省の「社会生活統計指標(2016 年)」によると、2014 年勤
労者世帯の平均貯蓄率(可処分所得に対する預貯金および保険の純増)は、18.4%(全国
25 位)であった。
近年、経済的格差に対する関心が高まっており、所得や資産が平等に分配されているか
をみる指標として「ジニ係数」が注目されている。当指数は全員の富が同じで完全平等の
場合を「0」、すべての富が一人に集中する完全不平等の場合を「1」としており、数値が
「1」に近いほど格差が大きいといえる。総務省の「全国消費実態調査(2009 年)」による
と、徳島県の年間収入のジニ係数(二人以上の全世帯)は 0.334 と全国3位(前回同1位)
であり、全国平均 0.311 を大きく上回っている。この背景には、老年人口割合が高いこと
(2014 年全国第6位)や、就業者数の減少による中間所得層の減少などがある。
また厚生労働省の「被保護者調査」によると、徳島県の生活保護受給者数は全国と同様
景気低迷による増加傾向が続き、2012 年度には過去最高の 14,998 人を記録したが、2013
142
年度は 14,710 人、2014 年度は 14,566 人、2015 年 12 月時点では 14,277 人と減少傾向にあ
り、高齢者世帯を中心に増加を続ける全国と対照的な動きとなっている。
(佐々木志保)
(家計−1)
実収入の内訳
(2015年平均:
1世帯当たり年1か月間)
配偶者及び他の
世帯員収入
16.4%
配偶者及び他の
世帯員収入
13.8%
その他
9.4%
徳島市
519,455円
世帯主
賞与等
12.3%
世帯主
定期収入
61.9%
世帯主
賞与等
12.6%
その他
7.6%
全 国
525,669円
世帯主
定期収入
66.0%
資料:総務省統計局「家計調査年報」(二人以上の世帯のうち勤労者世帯)
(家計−2)消費支出の内訳
(2015年平均:
1世帯当たり年1か月間)
仕送り金
5.3%
その他
12.1%
交際費
5.8%
教養・娯楽
9.4%
教育
4.4%
食料
22.7%
徳島市
309,604円
交通・通信
14.5%
仕送り金
2.5%
その他
11.9%
食料
23.6%
交際費
5.9%
教養・娯楽
9.6%
住居 7.0%
全 国
315,379円
光熱・水道
6.9%
住居 6.2%
光熱・水道
7.3%
家具・家事用品
3.2%
被服及び履物
保健医療 4.9%
3.8%
教育
5.8%
資料:総務省統計局「家計調査年報」(二人以上の世帯のうち勤労者世帯)
143
交通・通信
15.9%
家具・家事用品
3.5%
被服及び履物
保健医療 4.3%
3.5%
(家計−3)
家計の貯蓄残高と金融資産構成
(総世帯/勤労者世帯)
18.1
徳島
35.8
25.0
全国
通貨性預金
30.5
36.4
定期性預金
生命保険
6.6
24.5
貸付信託・債券
2.9
株式・投資信託
6.6 2.4
7.5
3.7
社内預金・その他
資料:総務省統計局「全国消費実態調査」(2014年実施)
(家計−4)
家計・消費に関する指標
世帯主の勤め先収入
実収入
消費支出
平均消費性向
(2015,千円)(勤労者世帯1世帯当たり1か月間)
(2015,千円)(勤労者世帯1世帯当たり1か月間)
(2015,千円)(勤労者世帯消費支出/可処分所得×100)
(2015,%)
(勤労者世帯1世帯当たり1か月間)
順位
都市名
順位
都市名
順位
都市名
支 出
順位
都市名
割 合
1
名古屋市
472
1
福島市
632
1
東京都
360
1
仙台市
90.2
2
東京都
471
2
富山市
630
2
高松市
355
2
横浜市
84.1
3
水戸市
466
3
高松市
610
3
金沢市
353
3
京都市
82.5
34
徳島市
386
27
徳島市
519
28
徳島市
310
19
新潟市・徳島市
73.4
45
青森市
332
45
那覇市
428
45
宮崎市
268
45
佐賀市
65.3
46
鳥取市
328
46
神戸市
415
46
那覇市
267
46
福井市
63.9
47
那覇市
313
47
仙台市
396
47
青森市
255
47
富山市
62.9
−
全 国
413
−
全 国
526
−
全 国
315
−
全 国
73.8
収 入
収 入
銀行預金残高(ゆうちょ銀行除く) 消費者物価指数地域差指数
(1世帯当たり) (2015/9月末,千円)(東京都区部=100、総合)(2013)
順位
県 名
預金残高
順位
都市名
指 数
1
東 京
14,444
1
横浜市
100.1
2
徳 島
10,655
2
東京都
100.0
3
奈 良
9,944
3
さいたま市
97.5
22
広島市・徳島市・高知市
94.2
45
鹿児島
4,306
45
奈良市
92.0
46
宮 崎
4,299
46
秋田市
91.9
47
北海道
4,285
47
宮崎市
91.7
−
全 国
8,113
−
全 国
94.4
資料:総務省統計局「家計調査」
日本銀行 , 総務省統計局「国勢調査報告」
総務省統計局「消費者物価指数(CPI)」
144
労働
少子高齢化や人口減少が進展する中、持続的な経済成長を実現していくためには、産業活
動の担い手を確保し、労働生産性を高めていくことが必要である。女性や高齢者を含む多様
な労働力の拡充に加え、働き方の見直しや労働力の効率配分、産業構造の転換などが求めら
れる。女性雇用に関しては、その希望に応じて十分に能力を発揮し、活躍できる環境を整備
するため、2016 年 4 月に「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」
(女性活躍推
進法)が施行され、労働者 301 人以上の企業に対し、女性の活躍を進める行動計画の策定な
どが新たに義務づけられた。一方、高齢者雇用に関しても、2013 年 4 月に高年齢者雇用安定
法の改正法が施行され、希望する高年齢者の 65 歳までの継続雇用が義務化されたほか、将
来的な生涯現役社会の実現を展望した取り組みが進められている。
■労働力
法的に就業が認められている年齢が 15 歳以上なので、15 歳以上人口に占める労働力人口
(就業者+完全失業者)の割合が労働力率と定義されている。完全失業者とは、
(調査期間中
に)仕事に就いておらず、仕事を探す活動をしていた者で、仕事があればすぐに就ける者の
ことをいう。つまり就労の意志があるのに就労できない状態なので、潜在的な労働者として
労働力人口に加えられている。
徳島県の状況を見ると、15 歳以上人口は高齢化や長寿化に伴い増加してきたが、少子化
の要因などから 2000 年を境に減少に転じ、労働力人口も 1995 年をピークに減少が続いてい
る。2010 年の国勢調査によると、徳島県の労働力人口は 375,753 人であり、2005 年と比べ
て 27,504 人減少(▲ 6.8%)している。このうち就業者数は 373,825 人から 347,093 人へ 26,732
人減少(▲ 7.2%)し、一方の完全失業者も 29,432 人から 28,660 人へと 772 人減少(▲ 2.6%)し
た(労働- 1)。
徳島県の 2010 年の労働力率(労働力人口÷ 15 歳以上人口
(労働力状態「不詳」を除く)×
100 で算出)
は、57.8%と全国平均
(61.2%)
を 3.4 ポイント下回っており、1985 年 63.1%→ 1995
年 61.0%→ 2005 年 58.4%→ 2010 年 57.8%と近年低下し続けている。男女別に見ると、女性の
労働力率 47.7%と全国平均 49.6%との差
(1.9 ポイント)
より、男性労働力率 69.3%と全国平均
73.8%との開き
(4.5 ポイント)
の方が大きい。年齢階層別では全国平均をより顕著に下回って
いるのは、60 ~ 69 歳の高齢者層である。また男性の労働力率が、25 ~ 74 歳と幅広い年齢
層にわたって全国平均より低い。女性については、いわゆるM字カーブの 30 歳~ 44 歳の労
働力率は全国平均を大きく上回り、またそのM字が浅いことから、結婚、出産、子育て期に
おいても就業を継続している女性が多いことがうかがえる
(労働- 8、9)
。
145
■有業者
2012 年の就業構造基本調査における有業者を見ると、
自営業主が 12.9%(全国平均 9.2%)
、
家族従業者が 4.8%(同 2.1%)、雇用者が 82.0%(同 88.7%)となっており、自営業主および
家族従業者の割合が全国平均に比べて高い。雇用者の形態別にみると、役員が 6.6%(同
5.4%)、正規の職員・従業員 49.9%(同 51.5%)
、非正規の職員・従業員 25.4%(同 31.8%)
と
非正社員が全体の4分の1程度を占めるものの、全国平均と比べると徳島県は非正社員の
比率が低い。非正社員の内訳では、パートが 47.1%(同 46.8%)
、アルバイトが 17.8%(同
21.5%)、契約社員が 14.4%(同 14.2%)
などとなっている
(労働- 2)
。 徳島県の有業者数については、男女ともに近年は減少傾向にある中、女性の有業者割合は
上昇傾向が続いている
(労働- 3)
。内閣府が調査した女性活躍度ランキング
(資料:
「地域経
済の活性化に向けた女性の活躍促進について」2014 年 4 月)によると、徳島県は「有業者に
占める女性割合」が 45.2%(全国 10 位)と高率のほか、
「管理的職業従事者に占める女性割
合」は 17.4%(同 4 位)、会社などの役員の「起業者に占める女性割合」も 15.2%(同 8 位)
といずれも全国上位となっている。
次に、徳島県の 60 歳以上の有業者を見てみると
(労働- 4)
、2007 年までは7万人程度と
ほぼ横ばいで推移してきたものの、2012 年では8万6千人と約2割増加し、その有業者割
合もそれまでの 18%程度から 23.2%にまで上昇している。2013 年には、希望する高年齢者
の 65 歳までの継続雇用が義務化され、今後も 60 歳以上の有業者割合は上昇するものと予想
されるが、社会全体としての労働力確保に向け、柔軟な働き方を模索する必要があろう。
■労働生産性
県単位で労働生産性を見る場合、県内の生産活動によって新たに生み出された付加価値
額(実質県内総生産)を、この生産活動に携わった県内全体の就業者数で除す、という方法
がある。2013 年度の徳島県の労働生産性
(就業者1人あたりの付加価値額)
を見ると、919 万
円で全国 7 位
(全国平均 900 万円)
、四国では香川県
(856 万円で全国 21 位)より高くトップと
なっている。なお、この5年間
(2008 → 2013 年度)
に労働生産性は 126 万円増加しており、こ
の間の増減率は+ 15.8%(全国 5 位)
と全国平均の+ 6.3%を大きく上回っている。
■労働市場
(求人・求職)
2015 年度の徳島県の月平均有効求人数は、景気の回復傾向を映して、前年度比+ 1.1%の
14,815 人、一方の平均有効求職者数は同▲ 9.0%の 12,255 人で、有効求人倍率
(有効求人数÷
有効求職者数)は 1.21 倍と前年度に比べ 0.12 ポイント上昇し、ほぼ全国平均
(1.23 倍)並みに
推移している
(労働- 5)
。2016 年度も上昇傾向にあり、5 月時点で県内の有効求人倍率は過
去最高水準となり、一部の業種では人手不足感が強まってきている。
146
(元木秀章)
(労働−2)従業上の地位、雇用形態別有業者数
(労働−1)労働力
(千人)
800
(千人)
700
15歳以上人口
681,714人
600
500
不詳 31,451人
350
非労働力人口
274,510人
300
労働力人口
375,753人
300
就業者
347,093人
200
100
250
1985
1990
1995
2000
2005
パ
ー
ト
ア ル バ イト
派 遣 社 員
契 約 社 員
そ
の
他
200
39.2千人
16.2千人
6.7千人
10.3千人
12.7千人
分類不能・不詳等
1.2千人
非正社員
85.1千人
パ
ー
ト
ア ル バ イト
派 遣 社 員
契 約 社 員
そ
の
他
正規の職員・従業員
200.5千人
100
50
会社などの役員 25.0千人
家族従業者 25.6千人
会社などの役員 24.4千人
自営業主 50.1千人
自営業主 47.6千人
2007年
2012年
0
2010
(年)
44.2千人
16.7千人
4.3千人
13.5千人
15.2千人
非正社員
93.9千人
正規の職員・従業員
184.4千人
150
完全失業者
28,660人
0
総数 369.3千人
分類不能・不詳等
1.0千人
400
雇用者
400
総数 387.3千人
450
家族従業者 17.8千人
資料:総務省「就業構造基本調査」
注:非労働力人口とは、15歳以上人口(労働力状態 「不詳」を除く)
のうち、就業者と完全失業者以外をいう。
資料:総務省「国勢調査」
(労働−3)徳島県の男女別有業者数と全有業者に
占める女性有業者割合の推移
(千人)
500
女性有業者割合
(労働−4)徳島県の60歳以上有業者数と全有業者に
(%)
50 占める60歳以上有業者割合の推移
(%)
(千人)
25
100
23.2
45.2
36,568
45
60歳以上有業者割合
86
31,171
20
18.2
17.6
17.8
80
369
16.3
25,263 40
71
71
74
15
69
46
60
202
44
12,186
38
44
46
44.9
44.1
44.0
44.1
400
424
420
398
387
300
237
236
223
213
男性有業者
200
40
女性有業者
100
0
20
187
185
175
174
167
1992
1997
2002
2007
(年)
2012
0
65歳以上有業者
60∼64歳有業者
31
30
25
27
1992
1997
2002
2007
40
2012
(年)
注:就業構造基本調査における有業者とは、ふだんの状態として、収入を得ることを目的とした仕事を持っており、調査期日以降も仕事を続け
ていくことになっている者(及び仕事は持っているが現在は休んでいる者)をいう。家族従業者は、収入を得ていなくてもふだんの状態
として仕事をしていれば、有業者に含まれる。
注:有業者には仕事を主にしている者と、家事、通学等が主でかたわらにパートタイマーやアルバイトとして仕事をしている者がある。一方、
ふだん全く仕事をしていない者(及び仕事をしてもときたま臨時的にしかしない者)は、無業者という。
注:国勢調査においては、調査期間中に少しでも仕事をした者を就業者としており、ふだんの状態(今後もその状態を続けるかどうか)によっ
て労働力状態をとらえようとする就業構造基本調査とは観点が異なっている。
資料:総務省「就業構造基本調査」
(労働−5)有効求人倍率(原数値、年度平均)
(倍)
1.60
1.43
1.34
1.40
1.30
1.20
1.08
1.11
1.00
0.80
0.60
0.40
0.76
0.62
0.55
0.64
0.93
0.81
1.23
1.16 1.02
1.00
0.98
0.80
0.74
0.70 0.70
0.69
0.71
0.64 0.64
0.72
0.67
0.86
0.60 0.60 0.62
0.62
0.50 0.49
0.69
0.56 0.56 0.68
0.56 0.55
1.06 1.02
徳島
0.91 0.89
0.93
0.77 0.74
0.87
0.83
0.74
0.74 0.59
0.45
1.02
1.11
1.21
1.09
0.97
0.82
0.68
全国
0.56
1986 87 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 2000 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15
注:新規学卒者を除きパートタイムを含む。
(年度)
資料:厚生労働省「一般職業紹介状況」
147
(労働−6)常用労働者の1人平均年間労働時間(事業所規模常用労働者30人以上)
(時間)
2,200
全国
2,100
徳島
2,000
{
{
総実労働時間
所定内労働時間
総実労働時間
所定内労働時間
1,874
1,900
1,788
1,800
1,784
1,733
1,700
1,600
1,888
1,729
1,634
1995 96
97
98
99
00
01
02
03
04
05
06
07
08
09
10
11
12
13
1,630
14
15 (年)
資料:徳島労働局HP、徳島県統計調査課「毎月勤労統計調査」
(労働−7)現金給与総額(常用労働者1人平均月間)
(円)
430,000
410,000
全国 事業所規模30人以上
390,000
370,000
363,338
全国 事業所規模5人以上
350,000
339,028
330,000
徳島県 事業所規模30人以上
310,000
294,984
徳島県 事業所規模5人以上
298,085
270,000
250,000
326,599
313,801
316,567
290,000
357,949
1995 96 97 98 99 00 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15
(年)
資料:厚生労働省HP、徳島県統計調査課「毎月勤労統計調査」
(労働−8)労働力率(2010年)
(%)
100
全国・総数
全国・男
全国・女
徳島県・総数
徳島県・男
徳島県・女
90
80
70
60
50
40
30
20
10
19
24
29
34
39
44
49
54
59
64
69
74
79
84
注:労働力率=労働力人口÷15歳以上人口(労働力状態「不詳」を除く)×100で算出
資料:総務省「国勢調査(2010年)」
148
85 (歳)
∼
80
∼
75
∼
70
∼
65
∼
60
∼
55
∼
50
∼
45
∼
40
∼
35
∼
30
∼
25
∼
20
∼
15
∼
0
(労働−9)労働力に関する指標
労働力率[男]
労働力率[女]
完全失業率(完全失業者数÷労働力人口) 共働き世帯割合
(2010,%) (対15歳以上人口)
(2010,%)
(2010,%) (対一般世帯数) (2010,%)
(対15歳以上人口)
36.44
山 形
36.05
大 阪
8.0
3
富 山
35.11
7
徳 島
7.6
25
徳 島
26.92
東 京
52.8
3
38
徳 島
47.7
3
埼 玉
福 井
2
青 森
76.0
3
1
9.0
沖 縄
2
福 井
東 京
11.0
1
53.0
石 川
2
愛 知
2
割 合
53.4
1
76.9
1
県 名
割 合
77.3
割 合
順位
県 名
県 名
県 名
割 合
順位
順位
順位
45
長 崎
69.7
45
山 口
46.2
45
三 重
5.1
45
北海道
21.24
46
徳 島
69.3
46
和歌山
45.9
46
滋 賀
5.1
46
大 阪
19.08
高 知
68.7
47
奈 良
43.4
47
島 根
4.6
47
47
全 国 73.8
全 国 49.6
全 国 6.4
東 京
全 国 17.74
24.45
高卒者に占める就職者の割合 高卒者に占める県外就職者の割合 大学卒業者に占める就職者の割合 実労働時間数(月間)[男]
(2013,%) (対高卒就職者数)(2013,%) (対大学卒業者数)(2013,%)
(2014,時間)
(対高卒者数)
順位
県 名
43.2
1
青 森
77.1
42.9
2
群 馬
76.6
佐 賀
41.3
3
愛 知
75.4
12
徳 島
26.9
44
徳 島
62.1
8.3
45
静 岡
6.6
45
茨 城
61.1
7.8
46
大 阪
6.1
46
鳥 取
東 京
6.2
47
3.4
47
沖 縄
全 国 17.5
順位
県 名
割 合
1
青 森
2
佐 賀
3
順位
県 名
32.7
1
鹿児島
32.2
2
宮 崎
岩 手
30.2
3
19
徳 島
22.9
45
京 都
46
神奈川
47
愛 知
全 国 割 合
17.9
全 国 割 合
順位
県 名
時 間
1
福島、
岐阜
188
3
茨城、群馬、
埼玉、
和歌山、岡山、
佐賀
広島、
185
38
秋田、大阪、兵庫、
鳥取、徳島、
大分、宮崎
180
58.6
45
神奈川、高知
179
56.0
47
東 京
174
69.8
全 国 181
高齢就業者割合[65歳以上]中高年齢者就職率[45歳以上]パートタイム就職率[常用] 女性パートタイムの給与
(2010,%) (就職件数/求職者数)
(2013,%) (就職件数/求職者数)
(2013,%) (1時間当たり) (2014,円)
(対老年人口)
順位
県 名
1
長 野
2
山 梨
3
東 京
38
割 合
順位
県 名
金 額
14.2
1
東 京
1,207
12.7
2
神奈川
1,091
青 森
12.6
3
大 阪
1,069
9
徳 島
10.8
22
徳 島
961
4.3
45
北海道
6.9
45
沖 縄
838
埼 玉
4.1
46
神奈川
6.4
46
岩 手
832
神奈川
3.8
47
埼 玉
6.1
47
青 森
823
順位
県 名
26.7
1
岩 手
24.9
2
福 島
23.9
3
徳 島
18.6
45
宮 城
46
47
割 合
順位
県 名
10.1
1
福 井
9.2
2
秋 田
福 井
8.7
3
23
徳 島
6.6
16.5
45
東 京
北海道
16.3
46
沖 縄
15.2
47
全 国 20.4
全 国 5.8
全 国 149
割 合
8.6
全 国 1,012
教育
■学校再編
少子化・過疎化が進むなか、県下の生徒・児童数の減少が続いていることを背景に、学校
再編が進んでいる。
県立高校については、2009 年に徳島科学技術
(徳島工業・徳島東工業・水産が統合)が開
校、12 年に鳴門渦潮
(鳴門第一・市立鳴門工業が統合)
、吉野川
(鴨島商業・阿波農業が統合)
が開校、小松島西と勝浦が統合
(勝浦を分校化)
、14 年につるぎ
(貞光工業・美馬商業が統合)
が開校した。17 年には池田・辻・三好が統合予定であり、阿南工業と新野の 18 年における
統合計画も進められている。
小・中学校については、休廃校が県西部・南部・中山間部を中心に進められてきた。公
立学校の廃校は、2002 ~ 13 年度の 12 年間で、小学校 64 校・中学校 10 校に上っている
(文部
科学省「廃校施設等活用状況実態調査」
)
。また、公立学校の休校は、2012 年度が小学校 60
校・中学校7校、13 年度が同 35 校・同5校、14 年度が同 33 校・同5校、15 年度が同 24 校・
(教育−1)学校数、生徒数など
小 学 校
中 学 校
高等学校
(2015年5月1日現在)
教員数 教員1人
当たり
(本務者) 生徒数
1学級
当たり
生徒数
年度
学校数
学級数
生徒数
2009
269
2,064
42,041
3,299
12.7
20.4
10
266
2,060
41,408
3,304
12.5
20.1
11
260
2,040
40,484
3,266
12.4
19.8
12
253
2,032
39,400
3,252
12.1
19.4
13
226
2,020
38,463
3,236
11.9
19.0
14
222
2,012
37,560
3,162
11.9
18.7
15
209
1,998
36,867
3,149
11.7
18.5
2009
96
858
22,010
1,924
11.4
25.7
10
97
854
21,575
1,916
11.3
25.3
11
96
862
21,402
1,907
11.2
24.8
12
96
854
21,132
1,912
11.1
24.7
13
94
857
21,070
1,914
11.0
24.6
14
93
855
20,801
1,884
11.0
24.3
15
92
865
20,453
1,863
11.0
23.6
2009
42
−
21,355
1,821
11.7
−
10
42
−
21,058
1,834
11.5
−
11
42
−
20,801
1,817
11.4
−
12
39
−
20,602
1,792
11.5
−
13
39
−
20,217
1,735
11.7
−
14
38
−
19,983
1,715
11.7
−
15
38
−
19,743
1,690
11.7
−
注:1. 高等学校の生徒数は、専攻科・別科の生徒数も含む。
2. 高等学校の学級数は、公立・本科のみ。
資料:徳島県統計戦略課「学校基本調査」
150
同4校と推移している(県教育委員会調べ)
。13 年度と 15 年度に休校から廃校に踏み切った
学校が多く、全体の学校数の急減につながった
(教育-1)
。
県中心部の近郊地域でも具体的な再編・統合計画が進められており、小松島市では2つの
中学校を 2016 年度に新設した1つの中学校に統合させている。県都徳島市をみると、1学
年に1クラスしかない小規模校
(複式学級含む)
が小学校で 11 校、中学校で4校あるが
(2015
年度)、16 年度には1小学校を休校とする措置を取った。
政令指定都市においても人口動態などに応じて再編を進めている事例があること、2015
年には文部科学省から「公立小学校・中学校の適正規模・適正配置等に関する手引」が公表
されていることなどを鑑みると、県下における今後の統合・再編の動きは過疎地域のみなら
ず全域に及んでいくと思われる。
■学力の状況
2015 年4月に実施された「全国学力・学習状況調査」の公立学校分の結果について、小学
校(6年生)の平均正答率は、国語A(主として知識
(全国 39 位)
)
、算数A
(主として知識
(同
30 位))、理科
(同 36 位)は全国平均を下回り、国語B
(主として活用
(同 21 位)
)
、算数B
(主
として活用
(同 15 位)
)
は上回った。中学校
(3年生)
は、数学A
(主として知識
(同 10 位)
)
が全
国を上回ったが、国語A
(主として知識
(同 29 位)
)
、国語B
(主として活用
(同 39 位)
)
、数学
B(主として活用
(同 33 位)
)
、理科
(同 29 位)が下回った。前年も実施された国語と算数・数
学で比べると、総じては、小学校が上昇、中学校がほぼ横ばいの結果となっている。
県教育委員会では 2013 年2月に「学校マネジメント・学力向上実行プラン」を策定して
おり、小学校ではその成果が現れ始めているという状況である。もっとも、全国をみると、
秋田、福井など上位に定着している県もある。学力水準の上昇を今後も目指すというのであ
れば、同計画には抜本的な見直しを要する箇所もあると思われる。
■高校入試制度とリーディングハイスクール
1972 年度入試から導入された徳島市などの公立普通科における「総合選抜制度
(複数校を
一括して志願者を募集し、合格後各校に入学希望者を割り振る方式)
」は、学力の格差是正
については成果を上げてきたが、難関大学などへの合格という観点では、他県と比べて見劣
りする状況を招いた要因といわれてきた。
2004 年度には、この制度を廃止し、普通科について全県を3つの学区に区分し募集する
方式に変更した
(中高一貫教育を一部採用する城ノ内・富岡東・川島を除く)
。もっとも、学
区外からの流入率を低く制限しているため、学区内からの受験が依然としてかなり有利と
いったことなどを背景に、合格難易度などを基準としてみられる序列化は若干進んだ程度に
留まった現状である。
151
こうした状況を打破すべく、2013 年には城ノ内中学・高校を大学進学実績で県内トップ
を目指す「リーディングハイスクール」に指定し、以降優先的な予算措置や教職員配置など
を行っている。しかしながら、直近 16 年の実績は依然首位とはいえない状況であり、この
取り組みについては正念場を迎えているといえよう。
■県内の大学
○徳島大学
徳島大学の前身は、1874 年に創設された徳島師範期成学校
(のち徳島県師範学校・官立徳
島師範学校などに改称)
、1922 年に設置された官立徳島高等工業高校
(のち徳島工業専門学
校)および 1943 年に設置された徳島県立医学専門学校
(のち官立徳島医学専門学校)
で、1949
年に新制の国立大学
(学芸・医学・工学部の3学部)として発足した。2004 年、国立大学の
法人化が実施されたことに伴い、徳島大学も「国立大学法人」となり、国の行政組織から独
立している。
2016 年4月には、ヘルス・フード・アグリとバイオ融合型産業を創生する人材の育成を目
指す生物資源産業学部の新設、総合科学部の改組、工学部から理工学部への改組が行われ、
医学部、歯学部、薬学部もあわせ、6学部の体制となった。15 年5月1日現在の在籍者数
は、学部生 5,961 名、大学院生 1,634 名となっている。また、理系の構成比率が高いというこ
ともあり、博士学位取得者は四国の大学のなかで最も多い。
2013 年2月には阿波銀行と連携協力協定を締結するなど学外との連携に力を入れてきた
が、保有特許権の企業への使用許諾や共同研究などでは高いレベルの成果を上げるまでに
至っている。
○鳴門教育大学
鳴門教育大学は、1981 年に徳島大学から教育学部を移行し、
「教育の専門大学」として開
設された大学で、学校教育学部と大学院学校教育研究科
(修士課程)が置かれている。在籍
数は、学部生 452 名
(2015 年 10 月1日現在)
、大学院生 617 名
(同年5月1日現在)
となってい
る。学部は初等教育および中学校教員の養成を行い、大学院は現職教員などに高度な研究・
研鑽の機会を提供している。
「教員の専門大学」とある通り、入学定員は学部
(100 名)より
大学院(300 名)
の方が多く、大学院生の約 21%を在職3年以上の現職教員が占めている。ま
た、約 150 名の大学教員を配置するなど、少人数制授業によるきめ細かい指導に特長がある。
15 年3月卒業者の教員就職率(大学院進学者と保育士就職者を除く)は 89.1%であり、全国
44 の国立の教員養成大学・学部
(教員養成課程)
の中、6年連続で第1位を誇っている。
152
○徳島文理大学
徳島文理大学は、1895 年に村崎サイ氏が女性の自立を唱えて、徳島市内に創立した村崎学
園を母体に、1966 年に徳島女子大学として設立され、1972 年に現在の校名に改称された私
立大学である。現在、徳島と香川のキャンパスに大学・短期大学部を併せ9学部ある。2015
年5月1日現在、大学・短期大学部に 4,761 名、大学院・専攻科に 82 名が在籍している。ま
た、当学園は幼稚園、小学校、中学校、高等学校も運営している。特に、難関大学への合格
という観点では、県下の高校の中で実質的には県内トップの実績を残している。
○四国大学
四国大学は、1925 年に佐藤カツ氏が創設した「徳島洋服学校」が前身であり、1961 年に
短期大学を設置、
1966 年には家政学部を持つ4年制大学の「四国女子大学」になった。1992
年には、男女共学制に切り替えて四国大学と改称し、現在は大学・短期大学部を併せ5学
部を設置している。また、2016 年4月には併設の附属幼稚園を幼保連携型の認定こども園
に移行させている。さらに、社会福祉法人四国大学福祉会では附属保育所を運営している。
2015 年5月1日現在、大学・短期大学部に 2,433 名、大学院に 29 名が在籍している。
2014 年度には、地域再生の核となる大学の形成を目指す「地
(知)
の拠点整備事業
(COC
事業)」に採択され、スーパーサテライトオフィスの開設
(美馬市・美波町)や地域志向型研
究の構築などで構成される「SUDAchiプロジェクト」を開始している。
■阿南工業高等専門学校
1963 年に設置された阿南工業高等専門学校は、2014 年度から複数あった学科を創造技術
工学科(5年間の教育課程)
に集約した。この新学科ついては、1年次に一般教養等の共通科
目などを履修し、2~5年次に機械・電気・情報・建設・化学の5つの専門コースに配属さ
れるシステムとなっている。また、修了後大学工学部と同等の学位が取得可能な専攻科
(追
加で2年間の教育課程)
も設置している。
産学公連携の一環として、日亜化学工業からの寄附をもとに 2007 年4月から高専初の寄
附講座を開講し、地元企業が望む物質・材料系の若手技術者を養成している。また、LED
関連技術者養成講座を開講し技術者養成に貢献するとともに、地元の阿南市などからの受託
研究にも数多く取り組んできている。
■教育に関するいくつかの指標
教員一人当たりの児童・生徒数の県別ランキングを見ると、徳島県は小学校が 45 位、中
学校が 43 位であり
(2014 年調査)
、全国平均と比較してかなり少ない。
図表
(教育-2)は、徳島県内の高校卒業者の大学進学率を表している。2015 年は前年か
153
らやや低下している。男女別では、女性が男性を上回って推移している。
図表(教育-3)
で目立つのは、単位人口当たりの幼稚園数が第1位にランクされているこ
とである。また、公立高校に通う学生の比率も同じく1位であり、私立高校が少ないという
本県独特の事情が現れている。
(蔭西義輝)
(教育−2)高校卒業者(公立・私立)の大学等への進学率
(%)
60
58.3
55
50.9
50
47.3
45
43.7
40
35
49.9
47.4
44.9
50.2
49.7
51.3
49.6
53.2
49.3 50.0
47.2
46.9
44.1
47.3 47.9
46.1
44.7
02
03
05
06
47.2
56.1
55.5
53.6
54.3
51.9
50.9
48.4
48.3
50.4
52.9
49.7
57.7
54.0
53.9
49.6
50.4
55.5
53.4
53.0
48.5
45.3
46.9
50.5
女
計
49.4
男
45.6
45.2
14
15(年)
∼
∼
2000
01
04
07
08
09
10
11
12
13
注:短大への進学を含む。
資料:徳島県統計戦略課「学校基本調査」
(教育−3)教育に関連した指標
教育費割合
教育費割合
(対歳出決算総額)(2013,%) (対消費支出)
教育費(対人口1人当たり)社会教育費(対人口1人当たり)
(2014,%) 県・市町村財政合計(2013,千円) 県・市町村財政合計(2013,千円)
順位
県 名
割 合
順位
県 名
割 合
順位
県 名
金 額
順位
県 名
金 額
1
埼 玉
30.22
1
埼 玉
6.6
1
島 根
185.9
1
鳥 取
18.8
2
神奈川
30.05
2
滋 賀
6.2
2
鳥 取
173.4
2
福 井
18.4
3
千 葉
27.47
3
鹿児島
6.2
3
高 知
171.3
3
島 根
18.1
43
徳 島
16.62
12
徳 島
4.5
12
徳 島
154.5
31
徳 島
9.6
45
宮 城
13.77
45
新 潟
2.3
45
千 葉
112.8
45
埼 玉
7.1
46
岩 手
13.47
46
青 森
2.0
46
埼 玉
104.3
46
神奈川
6.1
47
福 島
11.85
47
長 崎
1.9
47
神奈川
94.9
47
大 阪
5.8
−
全 国
21.17
−
全 国
3.8
−
全 国
127.6
−
全 国
9.1
幼稚園数
保育所数
公立高等学校生徒比率
出身高校所在地県の大学への入学者割合
(2014,園) (0∼5歳人口10万人当たり)
(2013,所) (対高等学校生徒数)
(2014,%) (対大学入学者数)
(2014,%)
(3∼5歳人口10万人当たり)
順位
県 名
幼稚園数
順位
県 名
保育所数
順位
県 名
割 合
順位
県 名
割 合
1
徳 島
1021.3
1
島 根
784.4
1
徳 島
95.9
1
愛 知
70.6
2
大 分
725.9
2
青 森
781.6
2
沖 縄
94.1
2
北海道
68.4
3
香 川
675.7
3
高 知
740.2
3
秋 田
90.2
3
東 京
64.6
8
徳 島
584.4
15
徳 島
36.2
45
鳥 取
235.5
45
静 岡
251.7
45
大 阪
58.5
45
奈 良
14.5
46
石 川
224.1
46
神奈川
247.9
46
京 都
56.4
46
鳥 取
11.1
47
長 野
212.5
47
千 葉
247.1
47
東 京
43.3
47
和歌山
10.8
−
全 国
404.6
−
全 国
355.5
−
全 国
68.6
−
全 国
−
154
文化・スポーツ
■文化
徳島県の代表的な文化に、伝統芸能である阿波踊りや阿波人形浄瑠璃、阿波藍(藍染
め)などがある。市街地の街並みや自然の景観なども、歴史や風土を感じさせる魅力的な
文化資源であり、観光資源ともなっている。その一方で、現存する文化施設では県民の文
化への関心や参加欲求を十分に満たす環境が整っていないとの声(例、徳島市立文化セン
ター老朽化に伴う音楽・芸術ホール建設)もある。今後、県民文化の底上げを図るために
は、ハード面での課題解決や、多様なニーズに応えられるソフト面の充実など、双方の課
題に対応した文化の発信拠点整備が待たれている。
○阿波踊り
「日本三大盆踊り」などに数えられる、日本を代表する盆踊り。約400年の歴史があり、
人々の暮らしに根づき、時代ごとの変化を巧みに取り入れながら継承し、洗練されてきた
その踊りは、国内外から訪れる人たちを魅了している。近年は、全国各地でおこなわれる
ようになっており、特に「東京高円寺阿波おどり」は、東京都の代表的夏祭りのひとつと
なっている。徳島県内の各学校では、体育祭や運動会などで演目に採用することが多く、
かね
授業で経験する地元住民も多い。「鳴り物」と称される三味線、太鼓、鉦、横笛などの楽
れん
器を用いた2拍子の伴奏のもと、踊り手の集団である「連」が踊り歩く。「連」とは一つ
の踊りのグループであり、有名連と呼ばれるもののほか、企業連や大学連など、大小さま
ざまな連が存在する。阿波おどり会館(徳島市新町橋2丁目)では年間を通じ、阿波踊り
の実演のほか、歴史や衣装などの展示がおこなわれている。
○阿波人形浄瑠璃
角田一郎編「農村舞台の総合的研究―歌舞伎・人形芝居を中心に(1971年)」による
と、全国に1,921棟(廃絶したものを含む)の農村舞台が存在し、舞台形式は歌舞伎系1,630
棟、人形芝居系291棟となっている。徳島県内は最多となる240棟が存在し、そのうち人形
芝居系が239棟となっており、いかに人形浄瑠璃が盛んであったかがうかがえる。2014年
3月時点で、県内には全国最多となる88棟の農村舞台が残っており、その文化的、歴史的
価値が見直され、10棟余りの舞台で定期的に人形浄瑠璃の公演がおこなわれている。徳島
県内の学校では、クラブ活動・部活動として取り入れている学校もある。徳島県立阿波十
郎兵衛屋敷(徳島市川内町)では、阿波十郎兵衛座が定期公演をおこなっており、同所は
「傾城阿波鳴門」で知られる板東十郎兵衛の屋敷跡となっている。
155
○阿波藍
吉野川流域は、洪水の影響で米作が困難であった一方、肥沃な沖積平野を形成していた
ことから、平安時代より藍の栽培がはじまったと言われている。江戸時代になると、全国各
地で木綿生産が拡大するなか、徳島では藩主である蜂須賀公により、阿波藍の生産が奨励
され、木綿染料としての阿波藍生産の大発展をもたらした。阿波藍はその品質の高さから
「本藍」と呼ばれ、一時は市場を独占するほどであり、隆盛を極めた藍商人から上納される
運上金や冥加金は、藩財政の有力な財源となった。その他にも、たばこや塩などで得た利
益を合算すると、阿波藩の石高である25万石余に匹敵する程であったと言われている。藍
商人たちの活躍は徳島城下を経済的に潤すこととなり、阿波踊りや人形浄瑠璃などの文化
を大きく発展させることに貢献した。明治30年代にドイツから化学染料が大量に輸入され
たため、その後は衰退期に入ったが、現在では天然染料の良さが見直されつつある。
○四国遍路とおもてなし文化
四国にある空海(弘法大師)ゆかりの札所霊場88か所の総称である「四国八十八箇所」
を巡拝することを、四国遍路または四国巡拝などと言い、四国4県をループ状に巡る、全
長1,400㎞に及ぶ壮大な寺院巡礼である。2006年に「四国八十八箇所霊場と遍路道」のユネ
スコ世界文化遺産登録を目指し、登録の前段階にあたる暫定リスト入りに向けた、共同提
案書を文化庁に提出。選定結果は、高い評価の一方、課題についても多くの指摘があり、
現在は継続審査となっている。特に遍路道へのごみの不法投棄は早急に解決すべき課題で
あり、行政や関連団体などが連携し、登録に向けた取り組みが続いている。また、おもて
なし文化は、四国遍路を支える「お接待」などを通じ育まれ、生活文化として息づいてい
る。接待することにより功徳を積む、巡礼者もまた弘法大師のある種化身であるとのいい
伝えなどから生まれたものと言われている。また2014年は霊場開創1200年の記念年となっ
たことから多くの記念事業が開催され、国内外から参拝者が多数訪れた。
○大塚国際美術館
瀬戸内海国立公園の一部・鳴門公園内に位置し、大塚製薬グループの創業75周年事業と
して1998年に開設された。延床面積2万9,412㎡に及ぶ常設展示スペースを有した、世界初
の陶板複製画を中心とした私立では国内最大の美術館である。1,000点以上のオリジナル作
品の原寸大の陶板名画を所蔵しており、世界25ヵ国、190ヵ所以上の美術館等の作品が一堂
に展示されている。オリジナルの収集に拘るのではなく自社技術を用いてふんだんに作品
を複製、展示するという構想、また本物に限りなく近い完成度は専門家からも高く評価さ
れている。2007年には開館10周年記念事業として、ミケランジェロの天井画で有名な「シ
スティーナ礼拝堂天井画」の完全再現を行っている。近年では、システィーナ礼拝堂ホー
ルでの新作歌舞伎の公演や将棋の対戦、スクロヴェーニ礼拝堂での結婚式など、多彩な企
画が催され、新たな文化の発信拠点として注目されている。
156
○徳島を舞台とした映像作品
近年、徳島県内を舞台とした映画製作が相次いでおり、映画を通し徳島県の自然や文化
が全国に発信されている。それぞれのロケ現場では、多くの地元住民がエキストラとして
参加することでスタッフを支援するなど、温かい交流が生まれた。
テレビ番組では、2009年9月から放送が開始されたNHK朝の連続テレビ小説「ウェル
かめ」は、美波町や徳島市内を中心に県内ロケが行われ、なじみある風景や阿波弁が全国
に発信された(徳島県を舞台としたものは、1980年「なっちゃんの写真館」以来2度目)。
ここで映画製作の主な事例を紹介する。
・2004年「村の写真集」県西部を舞台に家族の絆を描く
・2006年「バルトの楽園」板東俘虜収容所でのドイツ兵捕虜と地元住民の心の交流を描く
・2007年「眉山」さだまさし氏の人気小説を映画化
※阿波踊りの再現に延べ1万7千人以上のエキストラを動員。観客動員数100万人を超え
る大ヒットを記録。2007年東京・明治座で舞台公演。2008年テレビ版全国放送・徳島
ロケ。2009年徳島市立文化センターで舞台公演(3日間計5回・来場者数約4千人)
・2007年「阿波DANCE」鳴門市を舞台に阿波踊りを愛する高校生たちの友情と青春を描く
・2009年「沈まぬ太陽」鳴門市や県内四国霊場でロケが行われた
・2010年「奇跡の海」阿南市椿泊町を舞台とした漁師を目指す少年の姿を描く
・2011年「こころざし-舎密を愛した男」徳島出身、日本薬学の開祖長井長義博士を顕彰
・2012年「人生、いろどり」上勝町㈱いろどりをモデルに葉っぱビジネスを描く
・2013年「祖谷物語-おくのひと」祖谷を舞台に厳しい自然と共に生きる人々を描く
・2014年「佳歩」四国八十八箇所霊場開創1200年を記念し、徳島の美しい風景を描く
・2015年「蔦監督-高校野球を変えた男の真実-」池田高校野球部の蔦文也監督の軌跡を
追ったドキュメンタリー
また、映像クリエイターの芸術性が発揮されるショートムービーや、ICT先進県としての優
位性を活かした4K映像を発信することで、世界に冠たる「映像クリエイターの聖地・徳島」
の構築を目指し、2016年3月18日から20日に「徳島国際短編映画祭」が開催された。オープニ
ングには、三好市出身の蔦哲一朗監督作品「林こずえの業」、クロージングには、休校が決
まった小学校で撮影されたドキュメンタリー「桜谷小学校、最後の174日」が上映された。
○国民文化祭
国内最大級の文化の祭典である「第22回国民文化祭とくしま2007『おどる国文祭』」
が、2007年10月27日から11月4日にわたり開催された。会期中は県内全24市町村で89種類の
文化事業が実施されており、主催者(県)よると、出演者も含めた来場者数は、延べ76万
人であったと推計されている。徳島経済研究所では、国文祭が県内にもたらした経済波及
効果を、107億400万円と推計した。内訳は事業費支出による効果59億6,700万円、参加者の
157
消費活動による効果47億3,700万円。
徳島県では、2007年の国文祭開催を契機に、「文化立県とくしま推進事業」を展開し、
国文祭で4大モチーフに掲げた、「ベートーヴェン『第九』」「阿波人形浄瑠璃」「阿波
藍」「阿波おどり」を順次テーマとする「4大モチーフ全国発信事業」が実施されてい
る。2008年度からは、「文化立県とくしま推進事業助成金」が交付され、2011年度には22
事業、1,245万円が助成された。またこれまで継承・発展させてきた成果を検証し、その集
大成を全国に発信することを目的に、おどる国文祭5周年記念事業として「第27回国民文
化祭・とくしま2012」が2012年9月1日から12月14日にわたり開催され79の文化行事が繰
り広げられた。全国初の2度目の開催であり、地域の活性化や伝統の継承、人材の育成等
の問題解決につながる新たな国文祭の在り方を示すものとなった。
■スポーツ
徳島を本拠地とするプロチームには、サッカーと野球がある。スポーツが地域活性化の
起爆剤となり、社会や文化、経済に大きな影響を及ぼした先進地事例も多く、地域に根ざ
したプロスポーツチームの活動、地域住民の応援活動やスポーツへの参加が、郷土意識の
高揚、地域間交流、地域の知名度向上などにつながることを期待したい。
○徳島ヴォルティス
・運営会社:徳島ヴォルティス㈱、設立:2004年、資本金:409百万円
日本プロサッカーリーグ(Jリーグ)に加盟するプロサッカークラブ。ヴォルティスは、
イタリア語で渦を意味する「 V O R T I C E 」から生まれた造語。1995年結成の大塚製薬
サッカー部を前身とし、2005年よりJ2参戦。2006年から08年までは3年連続リーグ最下
位。09年9位、10年8位、11年4位、12年15位。
2013年にはリーグ4位から昇格プレーオフに進出し、参戦10年目にして四国初となるJ1
昇格を決めた。地域経済への波及効果について、徳島経済研究所は県内消費額を約10億円
と推計。徳島県は間接的な効果を含めて約51億円と試算した。しかし、14年J1での成績は
3勝5分け26敗(勝ち点14)最下位となり、J2降格。15年は、J2・22チーム中14位。
○徳島インディゴソックス
・運営:徳島インディゴソックス球団、設立:2006年
プロ野球独立リーグ・四国アイランドリーグplusに所属するプロ野球チーム。徳島県の
伝統産業である藍染や観光名所鳴門海峡をイメージした藍色(インディゴ)と、メジャー
リーグの伝統あるチームに命名される「ソックス」を組み合わせた造語。
日本初の試みである独立リーグとして、2005年4月「四国アイランドリーグ」が発足
し、08年からは、福岡・長崎の九州2球団が加わり「四国・九州アイランドリーグ」とし
158
て6チームとなった。10年に九州2球団が撤退し、11年に三重新加入(翌年解散)がおこ
なわれ、11年2月からは「四国アイランドリーグplus」に名称変更。11年前期1位・後期2
位・総合優勝、12年前後期とも3位。13年前期2位・後期1位・総合優勝。14年には前後期
とも1位・総合優勝を飾るとともに、北陸・上信越BCリーグ覇者である群馬ダイヤモンド
ペガサスを下し、野球独立リーグで初の日本一に輝いた。15年は前期3位・後期2位。
○とくしまマラソン
神戸淡路鳴門自動車道(明石海峡大橋)開通10周年記念として、2008年4月27日に開催。
以降春のイベントとなっているが、2011年のみ東日本大震災の影響から秋開催となった。
吉野川沿いに徳島市中心部を走る初のフルマラソンであり、地元住民による趣向を凝
らした応援や大勢のボランティアによる運営は、参加ランナーからも高い評価を得てい
る。市民ランナー向け月刊誌「ランナーズ」の人気投票で、第1回目「とくしまマラソン
2008」が全国ランニング大会100選に選出されており、第2回目以降も、同誌年間人気ラ
ンキングで高評価を得ている。走り終えたランナーらが力走の余韻を楽しむため企画さ
れた後夜祭「ランナーズ・オアシス」や、ランナーが自分の目標を事前に宣言し、達成す
るとゴール後に寄付する「チャレンジ&チャリティ」も好評を博している。第5回記念大
会「同2012」からは阿波しらさぎ大橋を通る新コースが採用されており、特に「同2012」
は、開通前の大橋利用が話題となった。「同2013」は徳島の春の祭典「はな・はる・フェス
タ2013」などの通常イベントのほか、「徳島LEDアートフェスティバル2013」との同時
開催となり、県内外から9,794名が出場し、過去最高となる9,197名(93.9%)が完走するな
ど大きな盛り上がりを見せた。男子マラソン日本代表の川内優輝選手を招待選手とした
「同2014」の出場者は、初の1万人越えとなる10,373名、完走者は9,676名(93.3%)。3月
開催となった「同2015」は、初めて国際マラソン・ロードレース協会公認コースとなり、
海外からの参加者も含めた出場者は10,628名、完走者は9,738名(91.6%)。4月に開催され
る「同2016」は、募集人数15,000名で過去最高となる。また徳島経済研究所は「とくしまマ
ラソン2008」が県内にもたらした経済波及効果を2億5,300万円と推計した。
○その他のスポーツ
県西部では吉野川の渓流を活かしたラフティングが盛んであり、三好市内吉野川に拠点
を置くラフティング女子日本代表チーム「ザ・リバーフェイス」は、2009年6人乗り世界
大会・準優勝、10年4人乗り世界大会・優勝、11年6人乗り世界大会・準優勝、13年6人
乗り世界大会・4位、14年4人乗り世界大会・2位、15年6人乗り世界大会・総合3位と
なった。その中地元関係者を中心に、17年世界大会を三好市山城町に誘致しようとする招
致委員会を立ち上げ、日本初開催に向け官民一体となったアピールを展開した結果、大
歩危を含む吉野川上流で開かれることとなり、国内で初めての世界大会開催となる。また
2010年には、美馬、三好、つるぎ、東みよしを舞台に「パラグライディングアジア選手
159
権」が日本で初めて開催されたほか、県南部では海陽町を練習拠点とする県内サーファー
が好成績をおさめている。
(佐々木志保)
(文化−1)
文化・スポーツに関する指標
スポーツ行動者率
新聞
(日刊紙)
普及率
図書館数
図書館蔵書数
(2015,部)
(2014,館)
(人口100万人当たり)
(1世帯当たり発行部数)
(人口100人当たり)(2014,冊)
(2011,%)
順位
県 名
割 合
順位
県 名
割 合
順位
県 名
割 合
順位
県 名
割 合
1
福 井
1.05
1
山 梨
60.2
1
福 井
672.7
1
東 京
68.6
2
富 山
1.04
2
長 野
52.2
2
滋 賀
667.7
2
滋 賀
67.9
3
奈 良
1.03
3
島 根
51.9
3
鳥 取
585.7
3
埼 玉
66.9
18
三重・徳島
0.87
12
徳 島
35.7
5
徳 島
486.0
38
徳 島
57.5
45
熊 本
0.60
45
大 阪
16.3
45
兵 庫
255.8
45
高 知
54.7
46
沖 縄
0.59
46
愛 知
13.0
46
宮 城
251.2
46
秋 田
53.9
47
鹿児島
0.53
47
神奈川
8.9
47
神奈川
188.1
47
青 森
49.4
−
全 国
0.80
−
全 国
25.1
−
全 国
328.8
−
全 国
63.0
資料:徳島県「都道府県別指標2016」
160
コミュニティ・ビジネスと市民活動
■コミュニティ・ビジネス
近年日本の地域コミュニティは、個人のライフスタイルの変化や価値観の多様化により
弱体化しつつあり、地域住民の連帯感や共通問題意識の欠落など、地域活力低下が表面化
し、その存立が危ぶまれる状況となっている。そうした中、地域住民が主体となり、地域
の課題や問題を解決するコミュニティ・ビジネスが注目されており、徳島県内においても
既にいくつかの活動事例を見ることができる。
コミュニティ・ビジネスの領域は、社会性を追求する行政の仕事、経済性を追求する企
業活動、市民ボランティアなどの市民活動が交わる領域に位置しており、市民セクターが
社会性から経済性へと、個から集団の論理へと展開し、営利・非営利に関わらず、地域社
会の問題に取り組む領域だと言える(CB市民活動-1)。
さらにコミュニティ・ビジネスの事業分野は、福祉、観光・流通、就労支援、生涯学習
等多岐にわたり(CB市民活動-2)、社会的、経済的機能や効果が期待されている。
コミュニティ・ビジネスは、地域住民が主体となり、地域が抱える課題をビジネスの手
法により解決し、新たな雇用を創り出すなど継続的、発展的な事業のことで、地域コミュ
ニティ活性化に寄与するものと期待されている。
また近年ではコミュニティ・ビジネスと合わせてソーシャル・ビジネスの考え方があ
る。経済産業省の「ソーシャルビジネス研究会報告書」によると、ソーシャル・ビジネス
とは、社会的課題の解決を目的とした持続的な事業活動であり、従前の営利を目的とした
会社や無報酬の善意に依存するボランティア活動とも異なる、新しいスタイルの事業形態
としている。また、双方の持つ言葉の違いとして、ソーシャル・ビジネスのうち、より地
域性のあるものをコミュニティ・ビジネスと定義している。
コミュニティ・ビジネスは、地域の課題を解決することにより地域コミュニティの弱体
化を防ぐことが可能となるほか、個人の生きがいをも創り出している。「本当にやりたい
仕事」を起業できることから、個人の能力を十分に発揮でき、自己実現が可能となる。
さらに、雇用機会の得にくい高齢者、障害者、主婦などを対象に、フルタイム、パート
タイム、事業所での就業、SOHO(在宅勤務形態)、裁量労働など、多様な就業スタイ
ルが提供できる。今後ますます行政、企業、市民の協働のパートナーとして活躍の場が期
待されるところである。
*コミュニティ・ビジネスについての詳細は、『徳島経済』2004年春号(Vol.74)に掲載
の「コミュニティ・ビジネスと地域活性化」に記述。
161
( C B 市 民 活 動 −1)
(CB 市民活動−2)コミュニティ・ビジネスの事業分野
事業分野
福 祉
環 境
具 体 例
各 種 配 食サービス、在 宅 介 護サービス、デイケアサービス、外 出 移 送サービス、住 宅 改 造サービス、
買い物 代 行サービス、家 事 援 助 、出 張 理 美 容サービス、福 祉 施 設 経 営 など
リサイクル( 廃 油を回 収 、再 生して石 鹸を製 造 販 売 等 )、環 境 美 化 、
リサイクルショップ など
情 報 サ ービス
地 域 情 報 誌の発 行 、コミュニティ放 送 局の運 営 、
インターネットを活 用した情 報サービス、地 域 文 化
資 源の電 子データ化 など
観 光・交 通
観 光イベントの企 画・運 営 、観 光ボランティアガイド、都 市と農 村の交 流 、国 際 交 流 、異 業 種 交 流
など
ま ち づ くり
祭りやイベントの企 画・運 営 、商 店 街 空き店 舗の活 用、
まちづくりコンサルティング、商 店 街 宅 配サー
ビス、地 域 特 性のある食 材を活 用したまちづくり など
も の づ くり
食 品 加 工・販 売 、地 域 独自の特 産 品を開 発・製 造・販 売 、伝 統 工 芸 品の普 及 など
就 労 支 援
女 性・障 害 者・高 齢 者の就 労 支 援 、訓 練 、研 修 、ワークアレンジメント など
子 育 て 支 援
保 育サービス、不 登 校 児 童のための交 流や学 習機 会の提 供 、青 少 年スクール運 営 など
生 涯 学 習
趣 味 、おけいこごと など
芸 術 文 化
スポーツ振 興
芸術文化イベントの企画・運営、伝統行事や祭りのサポート、映画・演劇等の上映、美術の展示施設
を創出、文化教室の運営、
スポーツスクール など
公益施設管理
公 共 施 設の管 理 運 営 など
科学技術振興を
図るものづくり
職人や技術者の技をいかしたものづくり など
コミュニティ
・
ビジネス 支 援
コミュニティ・ビジネス起 業 家 支 援
(中間 支 援 )、ワークアレンジメント、地 域 通 貨 、地 域 金 融 など
株式会社日本総合研究所資料を参考に、当研究所にて作成
162
■市民活動
「市民活動」という言葉は、1980年代後半から市民の間で広がり始めたと言われてい
る。1995年の阪神・淡路大震災におけるボランティアの関わりが注目され(ボランティア
元年)、さらには2011年3月の東日本大震災後の復興支援においても、その社会的意義と
重要性をますます大きくするなかで、全国各地において多彩かつ多様な市民活動が展開さ
れている。
現在、市民活動は一般的に「個人の自発的意志による参加と運営にもとづき、個別私的
な関心・問題意識から出発しながらも、何らかの社会性・公共性を帯びた、民間非営利
の、多様で一定の継続性をもった諸活動」という意味で用いられており、ボランティア活
動や組織化されたNPO活動の総称として使用されている。
○NPO
NPO(Non Profit Organization)とは、非営利組織などと訳される。内閣府によ
ると、NPOとは「様々な社会貢献活動を行い、団体の構成員に対し、収益を分配するこ
とを目的としない団体の総称」である。したがって、収益を目的とする事業を行うことは
認められているが、収益は利害関係者に分配せず、組織の事業活動に充てることとなる
(「非営利=収益活動の禁止」ではない)。
NPO法人設立の経緯は、①一人の人間が社会に課題や問題点を感じ、ある公益活動を
始める(ボランティア)②課題解決のためには、複数の人の協力が必要となり、協力者を
集める(ボランティアグループ、市民団体)③効果的な活動展開のため、資金が必要とな
り、会員を募ったり助成金に応募する上で、団体の組織化を行い、規約の制定や責任の所
在を明確にした組織となる(NPO)④日常的な事業運営が必要になれば、専従職員を雇
用したり事務所を設置する上で、法人格が必要となり取得する(NPO法人=特定非営利
活動法人)と発展する流れが一般的であるが、最近では、法人格を取得してから活動を開
始する例も増加している。
1998年の特定非営利活動促進法(NPO法)施行から20年弱が経過し、NPOあるいは
市民活動という言葉も広く定着している。社会的・地域的に解決するべき課題は、質・量
ともに増加しており、福祉や環境、国際協力などの幅広い分野で活躍するNPO法人は、
政府も提唱する「新しい公共」の実現になくてはならない市民組織である。
2016年2月末現在、徳島県には338のNPO法人が認証済みである(CB市民活動-
3)。2015年3月末現在の人口10万人当たりのNPO法人認定数は、全国第8位と高水準
にある(CB市民活動-5)。各NPO法人の活動分野(NPO法上20の分野に限定され
ている)別の構成比を見ると、NPO法人のみでの傾向ではあるものの、最近の社会的必
要性あるいは地域の市民ニーズを強く反映していると考えられる(CB市民活動-4)。
163
活動の構成比をみると、全国、徳島県ともに「①保健、医療又は福祉の増進を図る活動」
「②社会教育の推進を図る活動」「③まちづくりの推進を図る活動」が上位を占めてお
り、「⑦環境の保全を図る活動」などは、徳島県の構成比が全国を上回っている。徳島県
も全国と同様、医療福祉や社会教育に関する活動が盛んであり、特にまちづくりによる地
域再生に取り組んでいること、環境保全への意識が強いことなどが見てとれる。徳島県の
NPO法人数の年度別認証数の推移をみると、2006年度は障害者自立支援法の影響から障
害者福祉関連団体による申請・認証が増加し、51法人となっているが、近年は安定的に推
移している。事務所所在地の地域別においては、徳島市に152法人と半数近いNPO法人が
集中している(CB市民活動-5)。
徳島県は、「新未来『創造』とくしま行動計画」の中で、「ふるさと貢献とくしまの推
進」を重点戦略に掲げており、社会貢献活動の促進に向けた積極的支援を進めている。し
かしながら、NPOの運営や活動普及への道のりには、お金を含めた物材、人材、情報の
不足が課題となっており、特に資金の確保は、安定的な活動を行う上で重要な懸案であ
る。全国では、企業や個人から出資金や寄付金を募り、集まった資金をNPOの活動費に
充てる「NPOバンク」や、「NPO基金」といった受け皿を活用した仕組みがみられ
る。徳島県においても、県民や企業からの「人・もの・お金」を、支援を必要とするNP
O団体等へとつなぐ情報共有サイト「ゆめバンクとくしま」が2011年9月より本格稼働し
ている。また、活動の認知度および実施団体の社会的信頼性を高め、活動従事者の意欲の
醸成や、活動の活発化を図ることを目的とした、「とくしまNPO大賞(長年活動し、顕
著な成果が認められるNPO法人)」「とくしまNPOきらめき賞(斬新なアイディア、
画期的な取組等話題となる活動を行ったNPO法人)」も同時に創設されている(CB市
民活動-6)。直近の動きとして、前述の行動計画の中で、NPO法人が寄付を集めやす
くする徳島県独自の基準を創設するとしている。
さらに政府においても、2012年4月よりNPO法人等への寄付や参画を促す「改正特
定非営利活動促進法」が施行され、それに先立つ2011年6月にはNPO法人に寄付した
場合、寄付金に応じた額を所得税から差し引く「寄付金税額控除方式導入」など新しい寄
付税制が盛り込まれた「平成23年度税制改正の分離法関連法令」が施行された。改正の主
な内容としては、活動分野に3分野を追加したほか、手続きの簡素化や柔軟化のために、
2以上の都道府県に事務所を置くNPO法人の認証事務を、内閣府から主たる事務所の都
道府県・政令市に移管するなど、制度の使いやすさと信頼性向上に務めている。これらは
優遇措置が受けられる対象が、活動内容などで一定の基準を満たした認定NPO法人に限
られ、2001年の認定NPO法人制度創設以降、全国での普及率が1%にも満たなかった
(徳島県での認定はゼロ)実態を踏まえてのものである。改正NPO法の施行後、新制度
における認定・仮認定NPO法人は着実に増加しており、その数は2016年2月末現在、全
164
国で認定684法人、仮認定190法人となっている。徳島県では「鳴門『第九』を歌う会」
(2013年11月)、「とくしま県民プラザ」(2014年7月、2014年3月仮認定)が認定を
取得している。
今後は、1995年が「ボランティア元年」であったように、2012年が「寄付元年」となる
ことが期待されている。
(CB 市民活動−3)特定非営利活動促進法に基づく申請受理数および認証数等
(2016年2月29日現在)
所轄庁名
北 海 道
青 森 県
岩 手 県
宮 城 県
秋 田 県
山 形 県
福 島 県
茨 城 県
栃 木 県
群 馬 県
埼 玉 県
千 葉 県
東 京 都
神奈川県
新 潟 県
富 山 県
石 川 県
福 井 県
山 梨 県
長 野 県
岐 阜 県
静 岡 県
愛 知 県
三 重 県
滋 賀 県
申 請 認証数
不認
解散数 認 証
受理数 (現在数) 証数 (累計) 取消数
(含申請中)
(累計)
(累計)
1,169
400
483
390
343
437
887
791
614
859
1,711
1,654
10,472
1,481
448
361
358
247
459
983
780
704
1,105
713
606
1,153
396
475
384
339
431
874
779
606
848
1,682
1,627
9,478
1,470
440
360
354
246
453
970
773
697
1,092
705
600
0
0
0
0
0
1
1
0
0
1
3
2
768
1
2
0
1
0
1
0
2
1
0
2
1
275
95
97
115
59
61
99
160
106
188
388
479
2,687
495
92
49
81
61
47
207
137
161
265
202
140
67
6
6
3
9
3
3
32
2
46
34
189
1,012
99
8
0
9
0
0
21
4
29
27
37
45
所轄庁名
京 都 府
大 阪 府
兵 庫 県
奈 良 県
和歌山県
鳥 取 県
島 根 県
岡 山 県
広 島 県
山 口 県
徳 島 県
香 川 県
愛 媛 県
高 知 県
福 岡 県
佐 賀 県
長 崎 県
熊 本 県
大 分 県
宮 崎 県
鹿児島県
沖 縄 県
都道府県計
指定都市計
全 国 計
申 請 認証数
不認
解散数 認 証
受理数 (現在数) 証数 (累計) 取消数
(含申請中)
(累計)
(累計)
532
1,729
1,414
544
388
281
279
463
488
437
342
372
453
324
872
378
482
413
506
432
888
574
41,046
11,311
52,357
524
1,718
1,393
540
385
277
277
457
478
430
338
365
444
321
839
374
474
406
500
422
880
572
39,646
11,176
50,822
0
4
3
0
1
0
0
1
3
1
0
2
0
0
1
1
0
2
1
0
0
0
807
4
811
146
612
317
69
83
31
53
111
140
100
37
67
80
59
298
68
138
109
159
90
169
138
9,820
1,812
11,632
12
101
44
6
0
0
0
18
13
20
0
3
1
0
61
4
16
4
60
28
16
39
2,137
500
2,637
注1:申請受理数には、認証法人数、不認証数が含まれています。また、解散の場合には申請受理数、認証法人数ともに減算しています。
注2:定款変更による所轄庁の変更があった場合は、申請受理数、認証法人数ともに新たな所轄庁の欄へ移動させています。
資料:NPOホームページ
(CB市民活動−4)各NPO法人の活動分野(2016年3月30日現在、認証済の県内339団体)
活 動 分 野 の 区 分
①
②
③
④
⑤
⑥
⑦
⑧
⑨
⑩
⑪
⑫
⑬
⑭
⑮
⑯
⑰
⑱
⑲
保健、医療又は福祉の増進を図る活動
社会教育の推進を図る活動
まちづくりの推進を図る活動
観光の振興を図る活動
農山漁村又は中山間地域の振興を図る活動
学術、文化、芸術又はスポーツの振興を図る活動
環境の保全を図る活動
災害救援活動
地域安全活動
人権の擁護又は平和の活動の推進を図る活動
国際協力の活動
男女共同参画社会の形成の促進を図る活動
子どもの健全育成を図る活動
情報化社会の発展を図る活動
科学技術の振興を図る活動
経済活動の活性化を図る活動
165
職業能力の開発又は雇用機会の拡充を支援する活動
消費者の保護を図る活動
前各号に掲げる活動を行う団体の運営又は活動に関する連絡、
助言又は援助の活動
団体数
構成比
184
156
170
17
17
113
114
24
24
41
46
19
148
27
14
70
69
19
100
54.3%
46.0%
50.1%
5.0%
5.0%
33.3%
33.6%
7.1%
7.1%
12.1%
13.6%
5.6%
43.7%
8.0%
4.1%
20.6%
20.4%
5.6%
29.5%
全国構成比
(2015.9月末現在)
29,504
24,126
22,142
1,842
1,627
17,861
14,037
4,033
5,894
8,442
9,507
4,569
22,717
5,741
2,810
8,920
12,315
3,160
23,536
58.5%
47.9%
43.9%
3.7%
3.2%
35.4%
27.8%
8.0%
11.7%
16.7%
18.9%
9.1%
45.1%
11.4%
5.6%
17.7%
24.4%
6.3%
46.7%
静
愛
三
滋
岡
知
重
賀
県
県
県
県
704
1,105
713
606
697
1,092
705
600
1
0
2
1
161
265
202
140
沖 縄 県
都道府県計
指定都市計
全 国 計
29
27
37
45
574
41,046
11,311
52,357
572
39,646
11,176
50,822
0
807
4
811
138
9,820
1,812
11,632
39
2,137
500
2,637
注1:申請受理数には、認証法人数、不認証数が含まれています。また、解散の場合には申請受理数、認証法人数ともに減算しています。
注2:定款変更による所轄庁の変更があった場合は、申請受理数、認証法人数ともに新たな所轄庁の欄へ移動させています。
資料:NPOホームページ
(CB市民活動−4)各NPO法人の活動分野(2016年3月30日現在、認証済の県内339団体)
活 動 分 野 の 区 分
①
②
③
④
⑤
⑥
⑦
⑧
⑨
⑩
⑪
⑫
⑬
⑭
⑮
⑯
⑰
⑱
⑲
⑳
保健、医療又は福祉の増進を図る活動
社会教育の推進を図る活動
まちづくりの推進を図る活動
観光の振興を図る活動
農山漁村又は中山間地域の振興を図る活動
学術、文化、芸術又はスポーツの振興を図る活動
環境の保全を図る活動
災害救援活動
地域安全活動
人権の擁護又は平和の活動の推進を図る活動
国際協力の活動
男女共同参画社会の形成の促進を図る活動
子どもの健全育成を図る活動
情報化社会の発展を図る活動
科学技術の振興を図る活動
経済活動の活性化を図る活動
職業能力の開発又は雇用機会の拡充を支援する活動
消費者の保護を図る活動
前各号に掲げる活動を行う団体の運営又は活動に関する連絡、
助言又は援助の活動
前各号に掲げる活動に準ずる活動として都道府県又は指定都市の条例で定める活動
団体数
構成比
184
156
170
17
17
113
114
24
24
41
46
19
148
27
14
70
69
19
100
1
54.3%
46.0%
50.1%
5.0%
5.0%
33.3%
33.6%
7.1%
7.1%
12.1%
13.6%
5.6%
43.7%
8.0%
4.1%
20.6%
20.4%
5.6%
29.5%
0.3%
全国構成比
(2015.9月末現在)
29,504
24,126
22,142
1,842
1,627
17,861
14,037
4,033
5,894
8,442
9,507
4,569
22,717
5,741
2,810
8,920
12,315
3,160
23,536
180
58.5%
47.9%
43.9%
3.7%
3.2%
35.4%
27.8%
8.0%
11.7%
16.7%
18.9%
9.1%
45.1%
11.4%
5.6%
17.7%
24.4%
6.3%
46.7%
0.4%
注1:一つの法人が複数の活動分野の活動を行う場合があるため、合計は100%にならない。
資料:徳島県 県民環境政策課
NPOホームページ (CB市民活動−5)NPO法人の年度別認証数の推移等(2015年12月31日現在)
全 県
(累 計)
全国 認 証 数
順位
(/47) 人口10万人当たり
徳 島 市
鳴 門 市
小松島市
阿 南 市
吉野川市
阿 波 市
美 馬 市
三 好 市
勝 浦 町
上 勝 町
佐那河内村
石 井 町
神 山 町
那 賀 町
牟 岐 町
美 波 町
海 陽 町
松 茂 町
北 島 町
藍 住 町
板 野 町
上 板 町
つるぎ町
東みよし町
2005
36
138
44
22
13
3
1
3
3
2
2
3
2006
51
189
42
12
21
3
2
3
4
1
1
1
1
3
2
2007
25
214
42
12
9
0
1
1
3
1
2
2008
22
236
41
10
8
4
1
1
1
1
2
2009
19
255
41
11
11
2
-1
1
1
0
0
2010
18
273
41
9
7
3
3
4
1
1
-1
2
1
1
2012
23
314
43
10
9
0
-1
3
2013
13
327
43
10
7
1
2
1
0
1
1
3
1
1
1
1
1
1
-2
2
1
2
4
0
2
1
1
1
1
3
2
1
1
1
1
1
2011
18
291
41
11
8
-1
2014
12
339
43
8
9
-1
1
3
-1
1
1
1
-1
1
-1
1
1
2015
-2
337
43
8
-2
-1
1
1
-2
-1
1
1
2
-1
0
1
3
1
1
1
0
1
1
1
-1
-1
1
1
-1
1
-1
1
1
1
1
1
1
0
-1
-1
1
1
-1
0
1
注:各年度及び各市町村の認証数は、他所轄庁からの移管、事務所の所在地の移転、解散などを反映した数字である。
資料:徳島県 県民環境政策課
166
計
割 合
337
100.0%
152
27
12
21
19
9
11
17
2
2
2
11
4
5
4
4
3
3
6
8
6
5
3
1
45.1%
8.0%
3.6%
6.2%
5.6%
2.7%
3.3%
5.0%
0.6%
0.6%
0.6%
3.3%
1.2%
1.5%
1.2%
1.2%
0.9%
0.9%
1.8%
2.4%
1.8%
1.5%
0.9%
0.3%
(CB市民活動−6)とくしまNPO大賞、とくしまNPOきらめき賞
第 3 回(2013 年度)
とくしまNPO大賞
とくしまNPO
きらめき賞
第 4 回(2014 年度)
第 5 回(2015 年度)
子育て支援ネットワークとくしま
(徳島市) 県消費者協会(徳島市)
グリーンバレー
(神山町)
AwatterLab(徳島市)
アクア・チッタ(徳島市)
こやだいら(美馬市)
AWAがん対策募金(阿南市)
ホワイトベースとくしま(松茂町) チルドリン徳島(徳島市)
Creer(徳島市)
資料:徳島県
(CB市民活動−7)徳島県内のアドプトプログラムの実施状況(2015年3月31日現在)
制度発足 活動対象 団体数
登録
人数
アドプト
距 離
(2014年度)
コーディネーター
制 度 名 称
概 要
担当距離 清掃回数
吉 野 川
138
14,102
94.6㎞ 吉 野 川 交 流 推 進 会 議 アドプト・プログラム吉野川 600m以上 年3回以上
94.0㎞
1999.10 県 道
383
6,540
553.0㎞ 県土整備部道路整備課 徳島県OURロードアドプト事業 100m以上 年3回以上
567.7㎞
2001.9
県管理河川
107
4,006
187.2㎞ 県土整備部河川整備課 徳島県OURリバーアドプト事業 100m以上 年3回以上
189.0㎞
2001.9
港湾・海岸
21
2001.7
(初参加03.4) 公 園
9
2001.8
国 道
136
2002.7
那 賀 川
35
1,728
829
33,606
1999.7
合 計
5.66㎞
1,152 +10ヵ所
県土整備部運輸政策課港湾空港経営室 徳島県OURポートアドプト事業 100m以上
年3回
1.8㎞
358 +4ヵ所
県土整備部都市計画課 徳島県OURパークアドプト事業 100m以上 年3回以上
5,720 125.8㎞ ボランティアサポートプログラム徳島事務局 ボランティアサポートプログラム徳島 100m以上 年2回以上
18.5㎞ アドプトネットワーク那賀川 ア ド プ ト 那 賀 川 300m以上 年3回以上
資料:徳島県 県民環境政策課
○アドプト(adopt)プログラム
アドプトプログラムとは、川の土手や河川敷、道路といった公共物を子どもに見立て、
その一定区間を地域住民や企業、またはNPOが養子縁組(アドプト)し、定期的な清
掃・美化活動を行うボランティア制度である。
子どもから高齢者まで、誰もが簡単に参加できることから、ボランティア活動を始める
きっかけとして、またゴミ袋の提供やゴミ処理等については行政が担当するなど、住民と
行政が互いに助け合う「協働」の新たな取り組みとして注目されている。
徳島県内では、1998年に日本初のアドプトプログラムが神山町の道路清掃において始め
られた。翌1999年には吉野川と県管理道路へ、2001年には国道や県管理施設全般(河川、
海岸、港湾)に広がり、さらに2002年には那賀川で開始された。近年、ますますアドプ
トの輪が広がってきており、なくてはならない制度として定着している(CB市民活動-
7)。
■徳島県内におけるコミュニティ・ビジネスの代表例
○株式会社 いろどり(勝浦郡上勝町)
・1999年4月設立
・2003年「ソフト化大賞」受賞(主催:(財)ソフト化経済センター)
・2005年「日経地域情報化大賞」CANフォーラム賞(主催:日本経済新聞社)
・2009年「ソーシャルビジネス55選」選出(主催:経済産業省) など
167
243.0㎞
18.5㎞
農産物や建築土木資材用木材加工品の販売、観光案内、販売・経営合理化に関するコン
サルタントの業務を実施。代表取締役である横石知二氏が2002年に「アントレプレナー・
オブ・ザ・イヤー・日本大会」特別賞、2007年に「地域活性化伝道師」(地域活性化担当
大臣)、「地域中小企業サポーター」(経済産業省)、「世界を変える社会起業家100人」
(ニューズウィーク日本版)を受賞など多数。
1981年の大寒波により、当時上勝町の主産業であったみかんが全滅。上勝町に適した作
物は何かと試行錯誤を繰り返し、1986年つまものの生産、販売を行う「葉っぱビジネス」
を考案し事業開始。以後、地域住民、行政、農協が一体となって事業を推進。1999年4月
に法人化。自然の恵み、山の資源を商品化した新ビジネスが地域の高齢者の働く場を創出
し、生きがいを高揚させている。
事業内容としては、約320種のつまもの(和食料理などに添える飾り)を商品化してお
り、生産農家は約200軒で、平均年齢は約70歳。80歳超の高齢者も元気に従事し、年収
1,000万円を超える農家も存在。年間売上は2億5千万円を超え、つまもの市場で8割の
シェアを持つ。当初は山に自生する葉を摘むだけであったが、現在では商品の90%以上を
路地やハウスで自家栽培することで高品質・安定供給を維持しており、アメリカやフラン
ス、タイなどにも輸出している。
また、主要品目の動向、出荷情報、売上個人等の情報を共有化しており、タブレット端
末等から、短納期・即日発送の体制を確立している。
いろどり事業はテレビや新聞で全国に数多く紹介され、農山村の活性化、むらおこし、
過疎地でのICT活用、高齢者の生きがい創出などのモデル事業として、全国から注目を
集めており、視察者が国内外から訪れている。UターンやIターンによる移住者の増加
や、高齢者の寝たきり数や医療費の減少など、これからの高齢化社会の手本となる要素を
多く含むビジネスモデルとなっている。
○特定非営利活動法人 JCI Teleworkers’Network(鳴門市大麻町)
・1999年4月設立、2002年1月NPO法人取得
・2009年「ソーシャルビジネス55選」選出(主催:経済産業省)
・2011年「徳島県地域情報化表彰(e-とくしま表彰)」受賞(主催:徳島県)
・2012年「とくしまNPO大賞」受賞(主催:徳島県) など
理事長である猪子和幸氏が高校教員退職後、社会生活や職業生活の中で弱者の立場にあ
る人たち(チャレンジド)の社会的・経済的自立を支援することを目的として創設。事業
内容-障害特性に応じたICT利活用の知識、技術を習得する講演会の企画・運営や指導
者の育成、作業所や自宅でのwebサイトの設計やデータ入力、印刷物作成など、インター
ネット環境を活用することによる新しい就業形態の創出を精力的に進めている。設立当
168
初、中古パソコンを集めてリサイクルし、障害者に無償提供するところから活動を開始。
2002年度~2005年度の間に、障害者を対象としたICT利活用の指導者を約150名養成。I
CT講演会・研修会の企画・運営においては、分野別や段階別に応じた20のコースを設定
し実施。各コースで使用するテキストは、全てJCIスタッフにより作成されたものを使
用している。
○株式会社 とくし丸(徳島市)
・2012年1月設立
・2013年「がんばる中小企業・小規模事業者300」選出(主催:経済産業省)
・2013年「ニュービジネス支援賞」優秀賞(主催:徳島ニュービジネス協議会) など
地域スーパーと連携し、商品を店舗から調達し、軽トラックで玄関先まで届ける徳島発
のサービス。ビジネスモデルは、とくし丸本社が販売ルートの開拓や研修など運営ノウハ
ウを提供し、地域のスーパーが商品を供給し、販売を担当するパートナーである個人事業
主がトラックで販売するもの。生鮮品や惣菜など、軽トラック1台につき400品目以上、約
1,000点が積まれており、週2回、地域の高齢者の自宅などを回って販売している。また販
売員は御用聞きとして、注文があれば衣料品なども届けるとともに、行政等との連携によ
り地域の見守り隊としても活動している。とくし丸本部は、プロデューサーとして共通ブ
ランドで全国展開でき、商品提供を担当する地域のスーパーは、初期投資無しで店舗外で
の販売が可能であることから、販売面積や数量が増加。個人事業主は、約300万円で冷蔵庫
付軽トラックを購入する必要があるが、売れ残り商品はスーパーが引き取り再販売するこ
とから、仕入リスクを負わず、低予算での開業が可能であるなど、3者が役割分担を行う
ことでリスクを分散でき、また利益についても3者で分配している。さらに、商品の価格
はスーパーでの販売価格より10円高く設定しており、安定経営に向けた採算性向上を図っ
ている。
今後急速な拡大が予想されるシルバーマーケットにおいて、先行者利益とノウハウで
大手企業参入による競争激化に対抗するとくし丸は全国の注目を集めており、中小スー
パーからの引き合いも多い。提携先は、北は青森、南は鹿児島まで、全国各地に広がっ
ている。
○特定非営利活動法人 グリーンバレー(神山町)
・1991年3月設立、2004年11月NPO法人取得
・2009年「地球市民賞」県内で初選出(主催:独立行政法人国際交流基金)
・2011年「地域再生大賞」優秀賞(主催:地方新聞社46社および共同通信社)
・2012年「文化庁長官表彰」文化芸術創造都市部門で神山町が四国で初選出
169
・2013年「過疎地域自立活動化優良事例」総務大臣賞(主催:総務省)
・2014年「ふるさとづくり大賞」優秀賞(主催:総務省) など
芸術や美化などをテーマに、地域活性化の活動をおこなっていた神山町内の任意のボラ
ンティア5団体が一体化。芸術・文化の発展、国際交流の推進、環境の美化に関する事業
をおこない、神山町を活力ある住みよい町にすることを目的とする。1999年からは国内外
の芸術家を招き、地域住民と交流しながら創作活動することを支援する「神山アーティス
ト・イン・レジデンス(KAIR)」事業を開始。ほかにも、山林の整備、道路の清掃活
動など多彩な活動を展開。2007年には昭和初期に人形浄瑠璃や映画でにぎわった地元の劇
場「寄井座」を改修し、50年ぶりに復活させた。2008年にはKAIR事業とは別に、国内
外の芸術家にアトリエや宿舎を有償提供する「神山でアート」を開始。2010年からは若者
の受け皿となる求職支援訓練講座「神山塾」を開き、人材育成に取り組んでいる。KAI
R事業に関連し長期滞在する芸術家や、IT企業などを地域に呼び込むサテライトオフィ
ス(SO)誘致の取り組みなど、住民主導による「創造的過疎」を目指した取り組みは、
全国から注目を集めている。
○特定非営利活動法人 新町川を守る会(徳島市)
・1990年3月設立、1999年7月NPO法人取得
・2009年「ふれあいの森林づくり表彰」会長賞(主催:国土緑化推進機構)
・2010年「みどりの愛護」功労者国土交通大臣表彰(主催:国土交通省)
・2011年「日本水大賞」大賞(主催:日本水大賞委員会)
・2013年「地域再生大賞」優秀賞(主催:地方新聞社46社および共同通信社)
・2013年「手づくり郷土(ふるさと)賞」大賞部門受賞(主催:国土交通省) など
“できる人が、できる時に、できることを”を基本に、河川環境の向上とまちづくりに関
する事業を展開。「市民の汚した川は市民の手できれいに再生しよう」と有志10人で会
を発足し、毎月2回ボートで川の清掃を開始。徳島市のひょうたん島を200円(小人100
円)で一周する「ひょうたん島クルーズ」は今や徳島市の名物となっている。毎年夏には
「吉野川フェスティバル」を主催、そのほか、活動の起点となった新町川はもちろん、助
任川、田宮川、吉野川河川敷の清掃、花植えやイベント活動など、年間を通し川を中心と
した多彩な活動を展開。高知県の吉野川源流域での植樹・間伐活動や、積極的な講演活動
など、全国各地との連携にも力を注ぐ。2008年に新町川から鳴門を結ぶかつての巡航船
「撫養航路」を遊覧船で復活させ、定期的に運行している。
○特定非営利活動法人 徳島共生塾一歩会(徳島市)
・1997年4月設立、2001年10月NPO法人取得
170
・2010年「日本計画行政学会第13回計画賞」最優秀賞(主催:日本行政学会ほか)
・2011年「みどりの愛護」功労者国土交通大臣表彰(主催:国土交通省)
・2012年「地域再生大賞」優秀賞(主催:地方新聞社46社および共同通信社)
・2014年「緑化推進運動」功労者内閣総理大臣表彰(主催:国土交通省) など
徳島県が主催した環境ボランティアリーダー養成講座「共生塾」の修了生を中心に結
成。グラウンドワーク活動により、自然に支えられた心地よいまちづくりを目指す。道路
脇の空き地、遊休地を活用した「ポケットパーク」と呼ばれるミニ公園づくりのほか、
国道や県道の清掃活動、使用済み割り箸を回収し製紙会社に持ち込むリサイクル活動な
ど、その活動は多岐にわたる。遍路道の清掃活動に取り組むと同時に、2007年12月には地
元地域での美化に役立つようにと、ごみ投棄の状況や推定量、撤去作業の手順をまとめた
「八十八ヵ所遍路道のごみ地図パートⅡ」を作製。さらに2010年には、県内の遍路道14ヵ
所に推計3百トン以上のゴミが不法投棄されている実態を解明。さまざまな団体と連携
し、阿波踊りや吉野川フェスティバルなどでごみ活動や、子ども向け「おもしろ出前環境
教室」など、幅広い活動を展開している。
*県内NPO法人の情報については、徳島県のホームページで参照可能。
(佐々木志保)
171
福祉と医療
■福祉
日本の高齢化は世界的にも類を見ない速度で進行しているが、徳島県においては、全国平
均よりさらに早いテンポで高齢化が進んでいる(福祉医療- 1)
。2010 年の老年人口比率
(65
歳以上の高齢者が人口に占める割合)
は 27.0%(全国 8 位)
、2014 年では 30.1%(全国 6 位)
の
高率となっているほか、高齢単身世帯の割合や高齢夫婦のみの世帯割合なども全国平均を
上回っており、高齢者福祉への要望は大きい
(福祉医療- 2)
。
高齢者福祉に関しては、徳島県は老人ホーム数
(65 歳以上人口あたり)が全国平均を上回
る(2013 年)
ほか、介護老人福祉施設
(特別養護老人ホーム)
、介護老人保健施設
(老人保健施
(福祉医療−1)老年人口割合の推移
(%)
30.0
30.1
27.0
24.4
25.0
21.9
20.2
15.6
15.0
5.0
0.0
23.0
徳島県 18.9
20.0
10.0
26.0
9.6
7.1
1970
10.7
10.3
9.1
7.9
75
17.4
13.3
12.0
80
12.1
85
全国
90
14.6
95
00
05
10
14(年)
注:
「国勢調査」における割合は、分母(人口総数)から年齢不詳を除いて算出している。
資料:総務省「国勢調査」、「人口推計」(2014年10月1日現在)
(福祉医療−2)福祉に関する指標
老年人口割合(65歳以上) 高齢単身世帯の割合
後期高齢者医療費
介護保険3施設の定員数
(2014,%)(対一般世帯数) (2010,%)(被保険者1人あたり)
(2013,千円)(65歳以上人口10万人対)(2014,人)
順位
県 名
割 合
順位
県 名
割 合
順位
県 名
金 額
順位
県 名
人 数
1
秋 田
32.6
1
鹿児島
14.09
1
福 岡
1,181.7
1
新 潟
3,606
2
高 知
32.2
2
高 知
13.95
2
高 知
1,120.8
2
徳 島
3,520
3
島 根
31.8
3
和歌山
12.81
3
北海道
1,091.7
3
富 山
3,500
6
徳 島
30.1
11
徳 島
10.73
15
徳 島
989.5
44
神奈川・愛知
23.2
45
宮 城
7.02
45
静 岡
790.2
45
千 葉
2,107
46
東 京
22.5
46
茨 城
6.93
46
岩 手
758.3
46
東 京
2,035
47
沖 縄
19.0
47
滋 賀
6.55
47
新 潟
745.3
47
大 阪
1,964
全 国
26.0
資料:総務省
「社会生活統計指標」
全 国
全 国
9.24
資料:総務省
「社会生活統計指標」
929.6
資料:総務省
「社会生活統計指標」
172
全 国
2,598
資料:厚生労働省
「介護サービス施設・事業所調査」
設)、介護療養型医療施設
(介護型療養病床)
のいわゆる介護保険3施設の定員
(病床)
数も同
人口あたり全国 2 位
(2014 年)
など施設環境は整っている
(福祉医療- 2 ~ 5)
。
介護については、従前は家庭の問題とされていたが、長寿化や核家族化の進展等により
家族だけの負担では難しくなったことを背景に、2000 年から相互扶助の社会保険方式での
介護保険制度がスタートした。2014 年度末の県内の要介護・要支援認定者数は 48,078 人
(福
祉医療- 6)、このうち 65 歳以上の第1号認定者は 47,202 人と老年人口の 20.6%を占め、和
歌山県、長崎県などに次ぐ、全国 5 位の高い認定率となっている
(全国平均 17.9%)
。
(福祉医療−3)老人ホーム入所定員の推移
(人)
3,800
3,615 3,760
3,600
3,447 3,462 3,477
3,506
3,336
3,447 3,477
3,400
3,156
3,066
3,206
3,096
3,200
3,000
2,735
2,800
2,600
特別養護老人ホーム
2,400
1,840
1,800
1,600
1,400
1,200
1,000
800
1,710
1,605
1,503
1,655
1,556
1,343 1,373
1,403
1,373
1,940
2,030
1,770
1,493 1,493 1,493
1,423 1,423 1,423
1,493 1,493
1,423 1,423 1,423
1,115
1,173
1,079 1,079 1,074 1,064 1,064
1,044 1,044 1,018 1,018
1,039
1,018 1,018 1,018 1,020 1,020 1,020 1,020
1,028 1,079 1,074 1,074 1,074 1,044 1,044 1,044 1,018 1,018 1,018 1,018 1,018 1,020 1,020 1,020 1,020
922
716
450
400
0
1,283
養護老人ホーム
600
200
2,545
2,245
2,030
2,000
2,525
2,395
2,135
2,200
2,830
596
軽費老人ホーム(ケアハウスを含む)
130
120
120
170
170
280
280
170
170
170
230
170
170
170
170
170
(年)
1981 82 83 84 85 86 87 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14
資料:徳島県保健福祉部「保健福祉行政の概要」
(福祉医療−4)老人福祉施設の状況(2015年4月1日現在)
計
県 立
市町村立
民 間 立
入居率
施設数 定 員 入所者数 施設数 定 員 入所者数 施設数 定 員 入所者数 施設数 定 員 入所者数
養 護 老 人 ホーム
7
371
289
12
649
620
19
1,020
909
89.1
特別養護老人ホーム
(2015.3.31現在)
5
335
332
56
3,152
3,113
61
3,487
3,445
98.7
地域密着型特別養護老人ホーム
(2015.3.31現在)
12
273
12
273
軽 費 老 人 ホーム
37
1,423
37
1,423
1,333
93.7
資料:徳島県保健福祉部「保健福祉行政の概要」
173
1,333
(福祉医療−5)介護保険3施設の都道府県別にみた65歳以上人口10万対定員
(2014年10月1日現在)
都道府県
北 海 道
青 森
岩 手
宮 城
秋 田
山 形
福 島
茨 城
栃 木
群 馬
埼 玉
千 葉
東 京
神 奈 川
新 潟
富 山
石 川
福 井
山 梨
長 野
岐 阜
静 岡
愛 知
三 重
滋 賀
京 都
大 阪
兵 庫
奈 良
和 歌 山
鳥 取
島 根
岡 山
広 島
山 口
徳 島
香 川
愛 媛
高 知
福 岡
佐 賀
長 崎
熊 本
大 分
宮 崎
鹿 児 島
沖 縄
全 国
介護保険3施設
定員(病床)数計
40,347
11,398
12,415
15,525
11,570
10,882
15,535
22,028
12,349
13,968
41,621
33,094
61,277
48,118
24,233
11,131
10,539
7,696
6,114
17,994
15,666
28,106
38,422
14,769
7,438
18,871
44,517
35,458
10,411
8,140
5,745
7,480
15,145
20,799
12,276
8,097
8,710
11,590
7,392
34,874
6,496
11,073
15,763
9,818
8,970
15,686
7,948
857,494
65歳以上人口10万対(人)
全国 2,598人
2,656
2,976
2,709
3,267
3,413
3,220
2,893
2,921
2,480
2,640
2,396
2,107
2,035
2,275
3,606(全国1位)
3,500(全国3位)
3,367
2,647
2,926
2,813
2,816
2,223
2,984
2,240
2,692
1,964
2,429
2,718
2,750
2,805
2,705
2,784
3,498
介護老人福祉施設
介護老人保健施設
介護療養型医療施設
3,440
3,385
3,520(全国2位)
3,045
2,793
3,119
2,727
2,887
2,761
3,128
2,829
2,812
3,282
2,944
0
1,000
2,000
3,000
注:65歳以上人口は総務省「人口推計」(2014年10月1日現在」による。
注:介護療養型医療施設における「定員」は介護指定病床数である。
資料:厚生労働省「2014年介護サービス施設・事業所調査」
174
4,000
5,000(人)
介護保険制度の介護保険料(第1号被保険者)は、中期的な財政安定を図るため、事業運
営期間(3 年)
を通じての収入や介護サービス費用の見込み額を勘案して、保険者である市町
村が 3 年に 1 度見直し、条例で定められる。第 6 期の全国平均保険料
(2015 ~ 17 年度)
は前期
比+ 10.9%の 5,514 円と、2000 年の制度開始時
(2,911 円)
と比べ 1.89 倍に上昇している。
こうした介護保険料の上昇は、高齢化の進展に伴う要介護認定者の増加と、介護サービス
供給量の拡大に伴う介護事業費の増大が背景にある。介護給付は 2000 年度の当初は 3.6 兆円
だったが、2014 年度には 9.6 兆円に達し、今後も増加し続ける見通しの給付費を抑制するた
め、2015 年度の介護報酬では 9 年ぶりのマイナス改定となった
(福祉医療- 7)
。直近の介護
報酬では、総額が 2.27%引き下げられた一方で、職員の月給を一人あたり 12,000 円引き上げ
るための加算がなされた。介護職員の給与は産業平均の7割程度にとどまり、
職員の人材不
足や処遇改善といった社会問題が表面化する中、サービス事業者や施設経営者に改善を促
すかたちとなった。このほか、介護の必要度が高い中重度者や認知症高齢者への対応強化、
(181) (184)
(175) (178)
48,078
(169) (171) 45,822 46,636 47,212
(162) (162) (162) (164) 44,152 44,798
4,759 要介護5
4,783
4,792
(155) 42,264 42,448 42,351 42,984
4,835
4,836
(146) 40,598
4,601
4,083
3,721
3,881
4,026
5,944 要介護4
38,230
5,840
5,662
3,715
5,588
5,357
5,257
4,564
4,243
3,714
4,920
4,684
4,186
6,561 要介護3
6,309
6,136
6,157
4,195
4,496
5,973
5,416
6,197
6,305
5,985
4,296
(福祉医療−6)要介護(要支援)認定者数(各年度末現在)
(人)
45,000
40,000
35,000
30,000
(100)
26,141
25,000
3,217
20,000
3,087
4,304
10,000
7,795
0
5,012
5,185
5,512
7,661
8,265
8,391
8,267
要介護2
7,493
7,982
8,633
7,348
7,054
5,737
5,794
6,327
6,711
7,005
7,448
7,970
8,024
要介護1
7,549
7,791
7,755
7,532
7,329
7,420
7,490
7,637
7,784
要支援2
7,159
6,780
6,577
6,634
6,610
0
52
0
0
(経過的要介護)(経過的要介護)(経過的要介護)(経過的要介護)
6,552
6,717
6,406
6,373
要支援1
2011
2012
2013
2014 (年度末)
6,773
3,384
15,000
5,000
3,875
4,354
2000
13,498
14,007
14,517
7,936
(要支援)
9,775
9,209
2003
2004
2005
2006
2007
2008
2009
注:経過的要介護とは、要介護認定の更新を受けるまでの間をいう。
注:
( )の値は、2000年度を100とした場合の指数。
資料:厚生労働省「介護保険事業状況報告(年報)
」
2010
要介護1
要支援
(福祉医療−7)介護報酬の改定率の推移
改定率・
内訳
介護報酬
全体
在 宅
施 設
2003年度改定
▲2.3%
①訪問介護 +2.3%
②訪問看護 ▲3.2%
③通所介護 ▲3.0%
+0.1% ④通所リハ
▲3.8%
⑤短期入所 ▲3.2%
⑥グループホーム+2.7%
⑦居宅介護 +17.1%
①特養▲4.2%
▲4.0% ②老健▲4.2%
③療養▲3.2%
2006年度改定
(2005年10月改定分を含めた率)
▲0.5%(▲2.4%)
2006年度∼
要介護1
要支援2
要支援1
2012年度改定
2009年度改定 (介護職員処遇改善交付金分を 2015年度
差し引いた場合)
+3.0%
+1.2%(▲0.8%)
▲2.27%
+1.7%
+1.0%
▲1.42%
+1.3%
+0.2%
▲0.85%
全体 平均▲1.0%
軽度 平均▲5.0%
中重度 平均 + 4.0%
平均±0%(▲4.0%)
175
サービス評価の適正化と提供体制の効率化といった点も盛り込まれた。今後、2025 年には
団塊世代の全員が 75 歳を超え、介護ニーズがいっそう高まるため、施設から在宅での介護
をさらに押し進め、高齢者が在宅のまま医療や介護サービスを十分受けられる「地域包括
ケアシステム」を構築することが急務となっている。
徳島県の介護保険料
(第 1 号被保険者)
を見てみると
(福祉医療- 8)
、当初 3,320 円でスター
トし 2003 年度からは 4,251 円
(前期比+ 28.0%)
、2006 年度からは 4,861 円
(同+ 14.3%)にそ
れぞれ上昇。2009 年度からは 4,854 円
(同△ 0.1%)と、同年度の制度改正
(要介護認定の判断
(福祉医療−8)県内各保険者の介護保険料基準額(月額)の推移〈65歳以上の第1号被保険者〉
第2期
第3期
第4期
第5期
第6期
増 減 率
(2003∼ (2006∼ (2009∼ (2012∼ (2015∼ (第6期÷第5期
2005年度) 2008年度) 2011年度) 2014年度) 2017年度) ×100−100)
保 険 者 名
(市町村名)
(円) 順位
(円) 順位
(円) 順位
(円) 順位
(円) 順位
(%)
徳
島
市
4,200
10
5,280
6
4,960
11
5,680
3
5,860
2
3.2
鳴
門
市
4,440
5
5,300
4
4,800
14
4,800
21
5,760
11
20.0
市
4,640
2
5,680
2
5,680
1
5,095
19
5,280
21
3.6
市
4,500
3
4,500
16
4,500
19
4,900
20
5,250
22
7.1
市
3,971
16
4,293
20
4,975
9
5,285
8
5,885
1
11.4
小
松
阿
吉
島
南
野
川
阿
波
市
3,711
18
4,700
12
4,795
15
5,310
6
5,800
3
9.2
美
馬
市
3,974
15
4,900
10
4,400
20
5,100
16
5,700
13
11.8
勝
浦
町
4,200
10
4,600
15
4,600
18
5,100
16
5,800
3
13.7
上
勝
町
4,130
13
4,480
18
4,680
17
5,100
16
5,800
3
13.7
村
4,300
8
4,700
12
4,700
16
5,200
9
5,333
20
2.6
佐
那
河
内
石
井
町
3,800
17
4,500
16
4,975
9
5,200
9
5,500
15
5.8
神
山
町
4,305
7
4,300
19
3,800
23
4,000
23
4,700
23
17.5
那
賀
町
3,516
21
3,980
21
4,080
22
4,800
21
5,760
11
20.0
牟
岐
町
4,060
14
5,170
9
5,470
2
5,800
1
5,800
3
0.0
美
波
町
3,590
20
4,700
12
5,400
3
5,800
1
5,800
3
0.0
海
陽
町
3,700
19
3,600
23
5,200
7
5,500
4
5,600
14
1.8
松
茂
町
4,400
6
5,300
4
5,300
5
5,200
9
5,400
18
3.8
北
島
町
4,300
8
5,200
7
4,900
12
5,180
14
5,500
15
6.2
藍
住
町
4,930
1
5,480
3
5,380
4
5,480
5
5,800
3
5.8
板
野
町
4,450
4
5,750
1
5,200
7
5,200
9
5,400
18
3.8
上
板
町
4,200
10
5,200
7
5,300
5
5,300
7
5,500
15
3.8
町
3,500
22
4,900
10
4,900
12
5,200
9
5,800
3
11.5
み よし 広 域 連 合
3,400
23
3,700
22
4,300
21
5,140
15
5,800
3
12.8
県 平 均(加 重 平 均)
4,251
4,861
4,854
5,282
5,681
7.6
全国平均(加重平均)
3,293
4,090
4,160
4,972
5,514
10.9
つ
る
ぎ
(三好市・東みよし町)
注:合併市町村の第2期保険料は、旧市町村単位の保険料平均額。
資料:徳島県HP
「介護保険制度のあらまし」
176
基準見直しなど)
の影響で初めて保険料がダウンしたものの、2012 年度からは 5,282 円
(同+
8.8%)、直近 2015 年度からは 5,681 円
(同+ 7.6%)
と、再び上昇に転じている。この 2015 年度
からの第 6 期介護保険料を市町村別に見ると、最高額は吉野川市の 5,885 円で、以下、徳島
市 5,860 円、阿波市ほかの 5,800 円と続く。一方、最低額は神山町の 4,700 円で、吉野川市と
は格差 1.25 倍、1,185 円の開きが生じている。
高齢者1人あたりの介護給付費を見てみると、徳島県は直近 2014 年度で 299.7 千円と全国
平均 253.7 千円を大きく上回り、沖縄県や島根県などに次ぐ全国 6 位の高水準となっている
(04 ~ 09 年度は同 1 位、10 ~ 11 年度 2 位、12 年度 4 位、13 年度 6 位)
。これは徳島県の高い
認定率や介護施設の充実ぶりが反映されており、今後、介護予防事業の効果的な実施や介
護事業運営の更なる効率化、介護・医療制度間の機能分担の明確化などが求められよう。
ところで、徳島県人口の将来推計を見ると
(福祉医療- 9)
、65 歳以上人口は 2020 年あた
りでピークを迎え、以後は減少に転じる見込みであるが、医療・介護ニーズがより増大す
る 75 歳以上では、2020 年以降も当面の間、増加が続く推計となっており、介護保険の持続
可能な制度設計が求められる。さらに県内の世帯形態の将来推計を見てみると
(福祉医療-
10)、世帯主が 65 歳以上の高齢者世帯は 2020 年の 13 万世帯をピークに、以後減少する見込
みだが、同単独世帯に着目すると、2030 年の 4 万 5 千世帯まで増え続ける推計となってお
り、一人暮らしの高齢者に対するケア体制の構築が急がれる。一方高齢者夫婦のみの世帯
も、2020 年の 4 万 2 千世帯をピークに、以後は緩やかに減少するものの、いわゆる「老老介
護」の問題が顕在化することが想像され、福祉・医療の面から将来を見据えた対応が急が
れる。(*高齢者居住については『徳島経済』2006 年秋号
(Vol.79)
「シニアリビングを考え
る」、介護の実情や近年の動向は 2011 年春号
(Vol.87)
「徳島県の介護の実情と今後の動向」
、
2011 年夏号
(Vol.88)
「徳島県における地域ケアの近未来」
、2012 年夏号
(Vol.90)
「
『2025 年』
に向けた医療・介護の機能再編」のレポートを参照)
(福祉医療−9)徳島県の65歳以上人口の将来推計
2010年
(実績値)
(人)
300,000
250,000
113
118 117
114
2015年
2020年
(2015年∼推計値)
2025年
2030年
2035年
2040年
111 109
100
200,000
128
150,000
118 123
100
100,000
104
100
108 113
134 132
125
90 86 91
100 98 96
114 119
50,000
0
101
89
100
65歳以上
65∼74歳
(再掲)
75歳以上
(再掲)
75∼84歳
(再掲)
注:図表中の数値は、2010年のそれぞれの年齢階級別人口を100とした指数を表している。
資料:総務省「国勢調査」、国立社会保障・人口問題研究所「日本の地域別将来推計人口(2013年3月推計)」
177
134
158 165 174
210 217
85歳以上
(再掲)
(福祉医療−10)徳島県の世帯形態の将来推計
(千世帯)
298
2005年 28(9.4) 33(11.0) 96(32.3)
実績値
2010年 32(10.7) 35(11.8) 107(35.4)
302
2010年 35(11.5)
302
36(11.8) 109(36.2)
2015年
40(13.3)
2020年
43(14.7)
42(14.3)
130(44.3)
292
2025年
44(15.7)
41(14.5)
128(45.5)
282
2030年
45(16.5)
39(14.4)
124(45.7)
2035年
45(17.4)
37(14.2) 118(46.1)
40(13.4)
推計値
299
124(41.3)
270
257
世帯主65歳以上の単独世帯
世帯主65歳以上の夫婦のみの世帯
世帯主65歳以上の世帯
一般世帯
注:
( )%は、それぞれ一般世帯に占める割合を表している。
資料:実績値(2005年、2010年)は総務省「国勢調査」、
推計値(2010年∼2035年)は国立社会保障・人口問題研究所「日本の世帯数の将来推計(都道府県別推計)
(2014年4月推計)」
■医療
医療機関には、病院、一般診療所、歯科診療所などがある。病院は、20 人以上の患者を
入院させるための施設を有するものを指し、病床を持たない、あるいは 19 床以下の施設を
有するものは一般診療所、歯科診療所などとして、病院とは区分されている。
県内の医療施設状況を見てみると(福祉医療- 11)
、直近 2014 年は病院が 113 施設で長期
的に漸減傾向が続く中、病床数 19 床以下の一般診療所
〈有床〉も 131 施設と年々減少してい
る。一方、病床を持たない一般診療所
〈無床〉や歯科診療所はこれまで緩やかな増加傾向に
あったものの、近年は頭打ちの状態が続いている。
(福祉医療−11)徳島県内の医療施設の推移
(施設数)
900
800
701
725
741
760
779
790
794
776
782
791
600
400
300
435
465
620
415
420
422
238
225
208
192
189
180
130
127
123
123
122
120
395
396
404
408
413
313
319
306
295
285
277
274
200
100
602
538
384
132
591
520
328
131
557
583
513
406
132
800
494
388
141
791
778
783
796
612
618
759
763
756
743
632
613
617
614
612
434
440
425
424
423
426
166
165
164
146
146
142
131
119
119
117
114
114
114
113
一般診療所
700
500
783
134
132
131
一般診療所〈無床〉
(再掲)
427
433
432
歯科診療所
432
一般診療所〈有床〉
(再掲)
病院
0 1990 1995 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014(年)
資料:厚生労働省「医療施設調査」
178
医療関係者数の推移を見ると(福祉医療- 12)
、一般に医師不足と言われる中でも、県内
の医師数は右肩上がりで増加している。また歯科医師や薬剤師、就業看護師、就業保健師
も同様に増加傾向が見てとれる。
徳島県の人口あたりの病院数、一般診療所数、歯科診療所数および病院病床数は、いず
れも全国上位であり、また同様に、人口あたりの医師数や歯科医師数、薬剤師数なども全
国トップクラスと、徳島県の医療環境は整っているように見える
(福祉医療- 22)
。
施設面を詳しく見ると、2014 年の徳島県の病院数は人口 10 万人あたり 14.8 施設で、高知
県、鹿児島県に次いで全国 3 位。一般診療所数は同 97.3 施設で全国 4 位、歯科診療所数は同
55.8 施設で全国 5 位、また病院病床数でも同 1,943.1 床と全国 4 位となっている。県内の病院
の特徴(2014 年)を病床規模別に見ると
(福祉医療- 13)
、20 ~ 49 床の病院が 31 施設、50 ~
99 床が 32 施設と、合わせて全体の 56%(全国平均は 36%)を占めており、病床規模は比較
的小さい病院が多い。さらに病床の種類別では
(福祉医療- 14)
、一般病床、療養病床、精
神病床など全種類において、徳島県の人口 10 万人あたり病床数が全国を上回っており、中
でも特に療養病床と精神病床の占める割合が高いことが特徴的である。
2013 年中の県内の病院利用状況を1日あたりの平均患者数に換算すると、外来患者とし
て 11,543 人が日々病院を訪れるほか、290 人が新たに入院し、別途 290 人が退院、12,348 人
が在院している計算となる。また病院の1日平均在院患者数を人口 10 万人あたりで見ると、
徳島県は全病床 1,603.6 人(内一般病床 668.3 人)となり、全国平均の同 1,001.9 人
(内一般病床
532.4 人)を大きく上回っている。また、病院の平均在院日数は徳島県でも年々低下傾向にあ
(福祉医療−12)医療関係者数の推移
8,436
(人)
8,000
7,571
7,500
6,500
6,000
5,500
4,746
5,000
4,000
3,500
4,035
3,782
5,103
5,490
4,300
3,914
4,121
2,000
1,500
1,000
500
0
2,073
2,070
5,802
4,464
6,146
4,546
6,355
4,477
4,289
4,404
2,236
2,322
2,413
2,412
2,492
2,132
2,188
2,222
2,261
733
747
775
326
235
2000
3,000
2,500
就業看護師
7,140
7,000
4,500
8,007
1,915
1,978
1,698
1,861
594
205
192
657
704
228
214
256
214
295
213
313
219
1990
1992
1994
1996
1998
6,627
4,403
4,326
4,201
2,446
2,574
2,296
2,350
769
779
326
197
333
2002
資料:厚生労働省「医師・歯科医師・薬剤師調査」
、
「保健衛生行政業務報告」
179
就業准看護師
3,980
3,909
2,609
2,570
2,598
薬剤師
2,377
2,388
2,441
2,463
医 師
819
813
813
822
826 歯科医師
336
363
370
387
216
192
196
195
218
390 就業保健師
224 就業助産師
2004
2006
2008
2010
2012
2014(年)
るものの、直近の 2014 年では徳島県が全病床 41.6 日
(一般病床 19.2 日)
で、全国平均の同 29.9
日(一般病床 16.8 日)
よりも長くなっている
(福祉医療- 15)
。
次に医療関係者について詳しく見ると
(福祉医療- 22)
、2014 年の県内医師数
(総数)は人
口 10 万人あたり 322.4 人で、京都府、東京都に次いで全国 3 位
(2008 年から全国 1 位だったが
順位が低下)
、また医療施設にて医師として従事している医療施設従事医師数も、同様に徳
島県は同 303.3 人と同 3 位。医療施設従事歯科医師数は同 101.2 人で東京都、福岡県に次ぐ同
3 位、薬局・医療施設の従事薬剤師数は同 210.9 人で全国 1 位となっている。こうした医療
関係者の充実ぶりは、地元大学の貢献が大きい。徳島大学には医学部 ・ 歯学部・薬学部があ
り、医学部は 1973 年に愛媛大学に設置されるまで、四国内で唯一徳島県だけであったこと
が大きく影響しており、これまで長きにわたって人材を輩出している。また、徳島文理大
学には薬学部と保健福祉学部(看護学科など)
、四国大学には看護学部があり、医療・福祉
関連の専門職を育成、輩出している。
(福祉医療- 16)
には、県内の従事医師数に占める女性医師数の推移を示したが、これを
見ると女性医師数は年々増加の一途であり、その比率も 1980 年が 11.7%、1990 年が 12.6%、
(福祉医療−14)病院の病床数(2014年)
(福祉医療−13)病床の規模別にみた病院数(2014年)
病 床
構成割合(%)
病 院 数
徳島県
全 国
徳島県
病 床
全 国
総
数
実 数
率(人口10万対)
徳島県
全 国
総 数
113
8,493
100.0
100.0
14,845
1,943.1
1,234.0
20∼ 49床
31
945
27.4
11.1
精 神 病 床
3,916
512.6
266.1
50∼ 99床
32
2,147
28.3
25.3
感染症病床
23
3.0
1.4
100∼199床
23
2,757
20.4
32.5
結 核 病 床
37
4.8
4.7
200∼299床
12
1,116
10.6
13.1
療 養 病 床
4,367
571.6
258.2
300∼399床
11
711
9.7
8.4
一 般 病 床
6,502
851.0
703.6
400 床 以 上
4
817
3.5
9.6
資料:厚生労働省「医療施設調査」
資料:厚生労働省「医療施設調査」
(福祉医療−15)病院の平均在院日数
(日)
80
70
60
50
40
30
20
徳島(全病床)
徳島(一般病床/再掲)
全国(全病床)
全国(一般病床/再掲)
10
50.5 48.7
47.9 47.5 46.9 45.7
44.1 43.6 42.6
41.6
35.7 34.7 34.1 33.8 33.2 32.5
32.0 31.2 30.6
29.9
21.9 21.5 21.5 21.4 20.9 20.4
20.1 20.1 19.8 19.2
19.8 19.2 19.0 18.8 18.5 18.2 17.9 17.5
17.2 16.8
0 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014(年)
資料:厚生労働省「医療施設
(静態・動態)
調査」
180
2000 年が 16.8%と上昇し、2008 年には 20.2%と全体の 2 割を超え、5 人に 1 人が女性医師と
いう割合になった。直近の 2014 年では 22.7%となり、ますます医療現場における女性の進
出が進んでいる。なお同比率の全国平均は 1980 年が 10.0%、1990 年 11.5%、2000 年 14.4%、
2014 年が 20.4%と、どの時点も徳島県の比率の方が全国を上回っているほか、2014 年は東
京都(28.4%)、神奈川県(23.9%)に次ぐ全国 3 位の女性医師比率となっており、徳島県にお
いては今後もさらに、女性医師の働きやすい職場環境整備が重要と言えよう。
医療施設に従事する医師の平均年齢を見てみると
(福祉医療- 17)
、徳島県は全国の 49.3
歳を 2.4 歳上回る 51.7 歳と、
全国で 4 番目に高い平均年齢となっている。年齢階級別では 50 歳
未満の医師が徳島県では 46.1%と半数以下なのに対し、全国は 53.7%と 7.6 ポイント上回っ
ている。男女別に見ると、女性医師の平均年齢は全国平均と大差ないが、男性医師につい
ては徳島県の方が 3.0 歳高く、これは全国 1 位の高い平均年齢となっている。
以前、医師不足が大きな社会問題となり、中でも特に病院の勤務医不足が叫ばれた。2004
年から始まった新医師臨床研修制度の影響による大学医局の派遣医師引き上げや、病院の
(福祉医療−16)徳島県の医療施設従事医師数と女性医師数の推移
(人)
2,500
2,000
1,500
2,317
2,223 2,299
2,121 2,133 2,174 2,204
2,061
2,039
1,949 2,004
1,829 1,885
1,777
1,707
1,579 1,653
医療施設従事医師数
1,000
500
0
473 499 525
うち女性医師数(女性医師比率)
379 399 410 445
346
338
305
(22.7%)
(21.7%)
278
(21.3%)
(20.2%)
(18.9%)
(18.7%)
171 184 207 227 230 261
(17.9%)
(16.8%)
(16.6%)
(15.2%)
(14.3%)
(13.8%)
(12.8%)
(12.6%)
(11.1%)
(12.1%)
(10.8%)
1982 1984 1986 1988 1990 1992 1994 1996 1998 2000 2002 2004 2006 2008 2010 2012 2014(年)
資料:厚生労働省「医師・歯科医師・薬剤師調査」
(福祉医療−17)医療施設従事医師の年齢階級別割合(2014年)
0
【従事医師総数】
全国
徳島県
【従事医師男性】
全国
徳島県
【従事医師女性】
全国
徳島県
10
20
6.9
18.5
7.3
18.9
14.5
50
60
22.9
22.7
22.4
18.9
70
80
22.8
20.7
15.2
10.9
40
21.9
8.9
5.8
30
14.5
20.7
24.7
24.6
16.4
23.5
33.4
24.7
32.2
90
27.0
181
100
[平均年齢]
5.8 3.2 [49.3歳]
6.9 3.6
[51.7歳]
6.7 3.6
[50.9歳]
8.4
15.6
16.4
29歳以下 30∼39歳 40∼49歳 50∼59歳 60∼69歳 70∼79歳 80歳以上
資料:厚生労働省「医師・歯科医師・薬剤師調査」
(%)
4.4
7.1 2.4
10.9
1.7
[53.9歳]
1.7[43.1歳]
[44.2歳]
1.0
過酷な労働環境からの立ち去り
(勤務医→開業医の増加)
、あるいは医師の専門医志向や都市
志向の高まりによる偏在などの要因から、特に救急医療や産科、小児科、外科などの医師不
足が表面化し、病院によっては診療体制の縮小を余儀なくされるケースも起きた。
徳島県における医療体制は、これまで見てきたように数的には全国トップクラスにあり、
医療環境は整っているように見えるが、地域ごとにばらつきがあり、その偏在がしばしば
問題になっている。(福祉医療- 18)には各市町村の保健医療圏を、
(福祉医療- 19)には各
医療圏別の従事医師数の推移を示したが、直近の 2014 年では、東部Ⅰ医療圏に従事医師の
69.8%と約7割が集中、また東部Ⅱを含めた東部圏域には全体の約 3/4 が集中している
(もっ
とも、これを圏域内人口と比較してみると、東部Ⅰ医療圏は県人口の約 6 割が、東部Ⅱを含
む東部圏域には約 7 割が集中しており、医療の偏在はこうした人口分布を色濃く反映した
かたちとなっている)
。一方南部Ⅱ、西部Ⅰ・西部Ⅱ医療圏での推移を見てみると、2004 ~
2014 年までの 10 年間で南部Ⅱでは 16 人減、西部Ⅰは 11 人減、西部Ⅱは 14 人減と、従事医
師数減少が顕著であり、地域あるいは特定の診療科目で深刻な医師不足が生じている。
こうした中、各医療圏における基幹病院として地域医療の中心的な役割を果たすものが公
的病院であり、県内には計 20 施設が整備されている
(福祉医療- 18)
。公的病院は、①民間
病院がその採算性確保の観点から参入に消極的な地域あるいは分野を補完する、②地域医療
を確保する「最後の砦」としての役割を担う、③高度専門医療、救急医療、災害医療、へき
地医療、周産期医療などの政策的な医療を担う、④結核・感染症や難病といった民間病院だ
けでは担うことが困難な医療を提供する、など県民が必要とする医療の提供に大きな役割を
果たしている。
その中で、政策医療の中心的役割を担う県立中央病院が 2012 年 10 月に改築され、救急医
療や災害医療の拠点病院として、ドクターヘリの運航や高度医療に対応した先進的医療機器
が新たに導入された。また隣接する徳島大学病院と連絡橋で結ばれ、両病院を一体的に機能
させる「総合メディカルゾーン」構想のハード整備も進んだ。さらに、徳島県が 2012 年 7 月
に国から指定を受けた「先導的な地域医療の活性化
(ライフイノベーション)
総合特区」につ
いても、両病院間での①医師や看護師の相互派遣、②徳島大学病院が製造する薬の中央病院
への供給、③非常時の電力融通、の3件の特例措置が 2013 年 2 月に認められた。
2013 年 4 月からは、従前の健康保険鳴門病院が「地方独立行政法人徳島県鳴門病院」とし
て、県が設立した地方独立行政法人によって運営され、既存の県立3病院との医療連携強化
やコスト削減による経営の効率化など、一体的運用が進められるようになった。
また 2016 年 3 月には、南海トラフ巨大地震による津波を想定して高台に建設した「美波町
国民健康保険美波病院」が開院、それに伴い由岐病院
(美波町)
は廃院、日和佐病院
(同町)
は
「日和佐診療所」として外来診察のみとなった。
なお、都道府県の枠組みを超える全国初の広域行政組織として、徳島県など 2 府 5 県でつ
182
(福祉医療−18)公的病院等(20施設)
〔東部Ⅱ医療圏〕
〔西部Ⅱ医療圏〕
脇町
市立三野病院
東みよし町
三好市
川島町
山川町
吉野川市
貞光町
町立半田病院
半田町
つるぎ町
徳島市
石井町
徳島大学病院
徳島市民病院
県立中央病院
美郷村
徳島病院
穴吹町
徳島赤十字ひのみね総合療育センター
阿南共栄病院
勝浦町
一宇村
勝浦病院
上勝町
阿南市
阿南中央病院
〔南部Ⅰ医療圏〕
鷲敷町
木沢村
那賀町
町立上那賀病院
上那賀町
木頭村
徳島赤十字病院
小松島市
佐那河内村
神山町
木屋平村
〔東部Ⅰ医療圏〕
藍住町北島町 松茂町
上板町
鴨島町
徳島県鳴門病院
鳴門市
東徳島医療センター
吉野川医療センター
吉野町
阿波病院
阿波町
美馬市
美馬町
三好市
県立三好病院
市場町
土成町
阿波市
板野町
〔西部Ⅰ医療圏〕
美波病院
美波町
牟岐町
県立海部病院
海陽町
〔南部Ⅱ医療圏〕
海南病院
東部Ⅰ
東部Ⅱ
南部Ⅰ
病院名
地域 がん 難病
災害
小児
診療
3次 救急 救急 周産期 拠点 医療 拠点 医療
総数 一般 療養 精神 結核 感染症
支援
救急 告示
等 協力
8
○
○
○
○
○
○
5
○
○
○
○
○
○
○
○
339
○
○
○
○
○
○
○
307
307
○
○
○
○
独立行政法人国立病院機構東徳島医療センター
330
310
阿波病院
133
133
独立行政法人国立病院機構徳島病院
300
300
吉野川医療センター
323
323
徳島赤十字病院
405
405
徳島赤十字ひのみね総合療育センター
140
140
阿南中央病院
229
179
阿南共栄病院
343
343
60
60
徳島大学病院
696
643
45
徳島県立中央病院
460
390
60
徳島市民病院
339
徳島県鳴門病院
国民健康保険勝浦病院
那賀町立上那賀病院
徳島県立海部病院
南部Ⅱ
美波町国民健康保険美波病院
西部Ⅰ
つるぎ町立半田病院
海陽町国民健康保険海南病院
西部Ⅱ
救急医療
許可病床数(2016.4.1現在)
保 険
医療圏
三好市国民健康保険市立三野病院
徳島県立三好病院
20施設
5
○
20
○
○
○
○
○
○
40
50
50
○
45
45
○
120
120
○
60
4,710 4,495
○
○
○
○
○
○
○
○
4
○
○
○
4
○
○
○
○
○
○
○
○
50
105
8
6
37
23
○
4
注:公的病院等とは2003年4月24日付医政発第0424005号医政局長通知に記載のある病院。
資料:徳島県「第6次徳島県保健医療計画」(2013年4月)をもとに当研究所作成
183
○
16
○
○
○
102
206
○
○
50
40
60
○
○
110
220
○
8
4
11
○
7
○
5
○
12
(福祉医療−19)県内医療圏別における医療施設の医師従事状況
0
10
20
30
40
50
60
70
80
90
2002年
1,379人(65.0)
179人(8.4)321人(15.1)
2004年
1,390人(65.2)
183人(8.6) 321人(15.0)
2006年
1,451人(66.7)
178人(8.2) 330人(15.2)
2008年
1,473人(66.8)
179人(8.1) 340人(15.4)
2010年
1,501人(67.5)
170人(7.6) 346人(15.6)
2012年
1,574人(68.5)
175人(7.6) 348人(15.1)
2014年
1,617人(69.8)
165人(7.1)337人(14.5)
(%)
100
47人(2.2) 95人(4.5)
100人(4.7)
53人(2.5) 92人(4.3)
94人(4.4)
39人(1.8) 85人(3.9)
91人(4.2)
38人(1.7) 90人(4.1)
84人(3.8)
41人(1.8) 85人(3.8)
80人(3.6)
38人(1.7) 81人(3.5)
83人(3.6)
37人(1.6) 81人(3.5)
80人(3.5)
東部Ⅰ 東部Ⅱ 南部Ⅰ 南部Ⅱ 西部Ⅰ 西部Ⅱ
注:
()
は医療圏別の割合(%)を表している。
資料:厚生労働省「医師・歯科医師・薬剤師調査」
(福祉医療−20)糖尿病による死亡率
(人口10万人対)
推移
(ここまで14年連続ワースト)
(ここまで6年連続ワースト)
1位
1位 1位 1位
1位
19.5
1位
1位
1位
1位
1位 1位 1位 1位
1位
18.6
18.9
18.5
1位 18.0
18.0
1位 1位
1位
17.6
17.8
17.7
17.5 17.0 17.4 17.5
17.3
7位 5位
1位
16.6
16.4 16.5
15.8
1位 15.2
7位
14.9 14.9
14.2
13.9
徳島県
20.0
15.0
1位
12.2
10.0
1位
5位
11.4
10.6
8.3
7.7 7.8 8.0
5.0
8.8
11.5 11.1 11.4 11.6 11.5
11.4
11.0 10.9
10.8 10.8 11.1
10.6
10.3 9.9 10.0 10.2 9.8
10.2 10.0
10.0
9.6
全国
1990 91 92 93 94 95 96 97 98 99 2000 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15(年)
注:順位は徳島県の糖尿病による死亡率の全国順位
(高い順)。
資料:厚生労働省「人口動態調査」
、
「2015年人口動態統計月報年計(概数)」
(福祉医療−21)徳島県死因順位の年次推移と10大死因による死亡率
(位)
1 ●
●
●
全国
〔 死 因 /死亡率/ 順位 〕
1 . 悪 性 新 生 物/ 324.9/18位
●
2 .心
2
3
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
死 因 順 位
4
●
疾
患/ 203.0/10位
3 . 肺 炎/ 142.9/ 4位
●
●
●
●
●
●
●
4 . 脳 血 管 疾 患/ 108.6/19位
5
5 . 老 衰/ 84.6/12位
6
6 . 不 慮 の 事 故/ 44.2/ 8位
7
7 .腎
8
8 . 慢性閉塞性肺疾患/ 20.8/ 1位
9
9 . 自 殺/ 19.9/22位
10
11
全結核
高血圧性疾患
184
全/ 28.7/ 5位
10 . 肝
疾
患/ 17.9/ 2位
11 . 糖
尿
病/ 14.9/ 7位
1965 70 75 80 85 90 95 96 97 98 99 2000 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14
(年)
注:死亡率は人口10万人あたり死亡率(人)。
全国順位は、死亡率の高いほうからの都道府県の順位。
資料:厚生労働省「人口動態調査」
不
くる「関西広域連合」が 2010 年 12 月に発足したが、その中の役割として、徳島県は「広域
医療担当」県として、府県民の救命率向上や後遺症の軽減、災害時の孤立集落支援などに対
応すべく、ドクターヘリの運航や広域救急医療連携計画の策定などに取り組んでいる。
地域の医療態勢の確保・充実に関しては、徳島県では 2006 年に「徳島県地域医療支援機
構」を立ち上げ、即効性のある「とくしま医師バンク事業」
(医師と病院とのマッチング)
を
実施している。また徳島大学医学部定員の「地域枠」拡充
(地元高校出身者を特別枠で増員)
や「医師修学資金貸与」
、同大学との連携による「地域医療確保モデル事業」といった、中
長期的な視野に立った医師養成・確保対策にも注力している。このほか徳島県は、2010 年
に徳島大学に「寄付講座」を開設し、同大学の医師を県立病院に派遣するなど、各県立病院
を足場とした地域内の診療、研修活動を通じて、常勤医師不足の解消や将来の地域医療を担
う人材を育成している。さらに 2015 年には、県南部の医師不足解消のため、海部・那賀地
域の医療機関が一体となって医療を提供する「海部・那賀モデル」を構築した。
ところで、徳島県の糖尿病による死亡率
(人口 10 万人対)
は、2014 年が 14.9 人で全国7位、
2015 年も 14.9 人で全国 5 位と、全国の同死亡率より高率ながら、2013 年以前と比べ 2 年連続
してやや低い死亡率となった。糖尿病死亡率は、1993 年から 2006 年までの間は 13.9 ~ 19.5
人で 14 年連続の全国ワースト 1 位(2007 年全国 7 位)
、2008 年から 2013 年までの間も 17.3 ~
18.9 人と再び 6 年連続ワースト 1 位となっていた
(福祉医療- 20、21)
。こうした徳島県の糖
尿病死亡率の高さについては諸説あるが、1日あたりの歩数が少ない運動不足に加え、野菜
の摂取量不足や濃い味付けによる塩分過多、一食あたりの量が多いカロリーオーバーなどが
指摘されている。また一方で、糖尿病専門医の少なさや糖尿病の初期段階での受診率の低
さ、患者の状態に応じた医療機関の連携パスが不適切、なども要因に挙げられる。
徳島県は 2005 年 11 月に「糖尿病緊急事態宣言」を出し、翌 2006 年 1 月に医療や福祉関係
者らによる「みんなでつくろう!健康とくしま県民会議」を設立、県産食材を用いたヘル
シー阿波レシピの考案等による食生活の改善や阿波踊り体操の普及など、成人病予防に向け
た幅広い県民運動も併せて展開した。また 2007 年には徳島大学病院と連携して「糖尿病対
策センター」を開設、その研究成果を治療法や予防法開発に反映させる仕組みをつくった。
さらに 2008 年度からは「メタボリックシンドローム一掃作戦」に取り組み、
「毎日の運動
プラス 1000 歩」を呼び掛ける県民運動のほか、
ウォーキングマップ作成や地域ごとのウォー
キング教室開催など、糖尿病になるリスクが高いメタボリック有病者の減少を目指す施策も
実施した。このほか県歯科医師会では「医科歯科連携」を打ち出し、糖尿病の合併症の一
つでもある歯周病対策として、訪問診療など糖尿病患者への積極的な治療を展開している。
今後糖尿病患者を減らすためには、種々の糖尿病対策の効果を検証しながら、その取り組み
を県民一人一人に着実に浸透させることが重要であり、その動向が注目される。
こうした中、徳島県は 2009 年度に世界レベルの糖尿病研究開発臨床拠点の形成を図る構
185
想を打ち出し、文部科学省の支援(5 年間)による知的クラスター創成事業
(徳島健康・医療
クラスター)
に取り組んだ。これは前述した糖尿病死亡率のワースト記録を逆手にとり、世
界最先端の糖尿病研究と治療法を集積した、糖尿病克服の先進地域をつくるというもので、
将来的には、糖尿病患者と予備軍を誘致する医療観光
(メディカルツーリズム)の実現も視
野に入れている。具体的には、糖尿病の予兆を様々な角度から発見する検診サービスを開
発し、その最先端の糖尿病検査と観光を組み合わせた本格的な医療観光の商品化を目指し
ている(2010 年度にはモニターツアーも含め計 3 回、延べ 19 人の中国人が参加)
。
2014 年度には、こうした糖尿病予防・早期発見のための検診サービスを技術移転し、民
間医療機関に普及させる事業モデルが始まった。まず徳島県鳴門病院に試験導入し、受け
入れ人数や検査の効率化などの検証を同病院で進め、2016 年度以降に民間病院に普及させ
ていく計画となっている。この検診サービスは、動脈硬化を早期発見するため超音波で血
管の弾力性を調べる血管内皮機能検査や、血液の流れを測定する頸動脈エコー検査、また
内臓脂肪 CT 検査といった項目のほか、生活習慣の改善や治療方法の指導なども行われる。
さらに、同 2014 年には、糖尿病の克服に向けた持続的なイノベーションの創出を目指す
「とくしま『健幸』イノベーション構想」が、四国で初めて「地域イノベーション戦略推進
会議(国際競争力強化地域)
」の指定を受け、
文部科学省の「地域イノベーション戦略支援プ
ログラム」に採択された
(2014 ~ 2018 年度の 5 年間)
。産学官金が密接に連携しながら、持
続的イノベーション創出に向けた研究開発等が展開されており、健康寿命の延伸や医療費
の抑制、また糖尿病関連ビジネスの拡大などに繋がるものと期待されている。
今後の医療については、急速な高齢化の進展により医療需要の急増が見込まれる中、と
りわけ団塊の世代が 75 歳以上になる 2025 年に向け、限られた医療資源を有効活用し、患者
にとって過不足のない効率的な医療サービスを提供できる体制を構築する必要に迫られて
いる。具体的には、〇急性期・回復期・慢性期といった病床機能の分化と連携、〇入院期
間の短縮、早期の家庭・社会復帰、〇在宅医療等の充実、〇地域包括ケアシステム
(急性期
から在宅医療・介護まで継続的で包括的なネットワーク体制)
の構築、〇医療従事者の確保、
養成などが求められる。徳島県では 2015 年度から、地域の医療需要の将来推計や病床機能
報告等の情報を活用して、地域にふさわしい医療機能の分化と連携を適切に推進するため
の「地域医療構想」の策定に取り組んでいる。その素案には、2025 年に向けた二次医療圏
ごとの各医療機能の必要量が推計され、目指すべき医療提供体制や施設整備、医療従事者
の確保・育成などのビジョンが示された。
(*県内医療の動向に関しては、
『徳島経済』2008
年夏号(Vol.82)
「医療制度改革の進展と地域医療の動向」
、2009 年冬号
(Vol.83)
「地域医療
の再生に向けた取り組みとあるべき姿」
、2010 年春号
(Vol.85)
「地域医療を支える中小病医
院の実情と今後の展開」
、2012 年夏号
(Vol.90)
「
『2025 年』に向けた医療・介護の機能再編」
のレポートを参照)
(元木秀章)
186
(福祉医療−22)医療に関する指標
病院数
一般診療所数
歯科診療所数
病院病床数
(全病床)
(2014,床)
(人口10万人あたり)(2014)(人口10万人あたり)(2014)(人口10万人あたり)(2014)(人口10万人あたり)
順位
県 名
施設数
順位
県 名
施設数
順位
県 名
施設数
順位
県 名
床 数
1
高 知
17.6
1
和歌山
110.2
1
東 京
79.0
1
高 知
2,482.4
2
鹿児島
15.3
2
島 根
103.7
2
大 阪
62.3
2
鹿児島
2,054.9
3
徳 島
14.8
3
長 崎
101.7
3
福 岡
60.3
3
熊 本
1,961.5
4
徳 島
97.3
4
徳 島
1,943.1
5
徳 島
55.8
45
愛 知
4.3
45
千 葉
59.9
45
滋 賀
39.8
45
愛 知
908.9
46
滋 賀
4.1
46
茨 城
59.0
46
島 根
39.3
46
埼 玉
857.3
47
神奈川
3.8
47
埼 玉
57.3
47
福 井
37.0
47
神奈川
814.9
全 国
6.7
全 国
79.1
全 国
54.0
全 国
1,234.0
資料:厚生労働省「医療施設調査」 資料:厚生労働省「医療施設調査」 資料:厚生労働省「医療施設調査」 資料:厚生労働省「医療施設調査」
医療施設従事歯科医師数
医師数(総数)
医療施設従事医師数
薬局・医療施設従事薬剤師数
(2014,人)
(人口10万人あたり)(2014,人)(人口10万人あたり)(2014,人)(人口10万人あたり)(2014,人)(人口10万人あたり)
順位
県 名
人 数
順位
県 名
人 数
順位
県 名
人 数
順位
県 名
人 数
1
京 都
326.3
1
京 都
307.9
1
東 京
118.4
1
徳 島
210.9
2
東 京
323.4
2
東 京
304.5
2
福 岡
104.1
2
東 京
207.1
3
徳 島
322.4
3
徳 島
303.3
3
徳 島
101.2
3
兵 庫
198.2
45
千 葉
189.4
45
千 葉
182.9
45
富 山
56.4
45
福 井
140.5
46
茨 城
177.7
46
茨 城
169.6
46
滋 賀
55.4
46
青 森
133.8
47
埼 玉
158.9
47
埼 玉
152.8
47
福 井
52.9
47
沖 縄
131.0
全 国
244.9
全 国
233.6
全 国
79.4
全 国
170.0
資料:厚生労働省
資料:厚生労働省
資料:厚生労働省
資料:厚生労働省
「医師・歯科医師・薬剤師調査」 「医師・歯科医師・薬剤師調査」 「医師・歯科医師・薬剤師調査」 「医師・歯科医師・薬剤師調査」
医師常勤換算従事者数
看護師・准看護師常勤換算従事者数 病院の1日平均在院患者数 病院の平均在院日数(全病床)
(2014,人)(病院100床あたり)
(2014,人)
(2014,日)
(2014,人)
(病院100床あたり)
(人口10万人あたり)
順位
県 名
人 数
順位
県 名
人 数
順位
県 名
総 数
順位
県 名
総 数
1
東 京
21.6
1
長 野
64.9
1
高 知
2,075.1
1
高 知
48.8
2
神奈川
17.3
2
滋 賀
64.6
2
鹿児島
1,704.0
2
鹿児島
44.7
3
滋 賀
15.4
3
沖 縄
63.5
3
山 口
1,659.7
3
佐 賀
44.2
34
徳 島
11.1
6
徳 島
1,583.0
6
徳 島
41.6
45
高 知
9.5
45
愛 知
727.8
45
長 野
24.6
46
鹿児島
9.1
46
埼 玉
693.3
46
東 京
23.1
47
山 口
8.6
47
神奈川
646.4
47
神奈川
23.0
全 国
13.4
45
46
山 口
徳 島
高 知
全 国
51.1
51.7
57.6
全 国
992.4
全 国
29.9
資料:厚生労働省「医療施設調査」 資料:厚生労働省「医療施設調査」 資料:厚生労働省「医療施設調査」 資料:厚生労働省「医療施設調査」
187
情報通信
1980 年代にパーソナルコンピュータの普及により本格的な情報化社会の到来が告げられ、
1990 年代からは Windows などのOSとインターネットや携帯電話などの普及によりIT
(Information Technology)
革命と呼ばれるようになって 20 年あまりが過ぎた。現在、パソコ
ン保有率が下がる一方、スマートフォン、タブレット型端末が急速に普及しており、ブロー
ドバンドをはじめ情報通信の高速・大容量化が劇的に進み、国民の 83%がインターネットを
利用している(総務省 2014 年「通信利用動向調査」
)などICT
(情報通信技術:Information
and Communication Technology)
は社会の中に様々なかたちで浸透するとともに、暮らしそ
のものをより便利で快適なものへと変化させている。
■徳島県の情報化
(情報通信)
の進展度合い
徳島県内のブロードバンド基盤の整備は進み 2015 年3月末でブロードバンド利用可能世
帯率は 100%、
超高速ブロードバンド利用可能世帯率も 100%となっている
(全国も 100%)
。ま
た CATV(光ファイバー)
の世帯普及率は 88.6%と全国1位である。
ところが、民間においてどれほど情報化が進展しているかを示す指標の一つであると考え
られる『ブロードバンドアクセスの世帯普及率』をみると、徳島県の情報化の進展度合いは
四国平均を上回り全国平均をやや下回っている
(情報-1)
。県内の情報化
(情報通信)
は着実
に進んできているものの全国平均の水準を超えるよう官民一体となって推進していく必要
がある。
(情報−1)ブロードバンドアクセスの普及状況
2015年9月末現在
固定系(FTTH・DSL・CATV・FWA)
FTTH契約数
FTTH以外の契約数 固定系合計契約数
移動系(3.9世代携帯電話・BWA)
世帯比率
移動系合計契約数
世帯比率
人口比率
徳島県
172,181
23,297
195,478
59.6%
458,007
139.7%
59.4%
香川県
220,878
32,817
253,695
59.8%
656,911
154.8%
65.9%
愛媛県
242,417
85,479
327,896
51.1%
864,288
134.8%
61.0%
高知県
137,243
22,113
159,356
45.4%
418,470
119.3%
56.3%
四 国
772,719
163,706
936,425
53.7%
2,397,676
137.5%
61.0%
全 国
27,289,347
10,096,146
37,385,493
67.5%
105,272,145
190.1%
83.4%
注:
DSL:電話線(光ファイバー回線でない)を用いた高速データ通信サービス
FTTH:光ファイバーによるデータ通信サービス
CATV:CATV網を利用して提供されるインターネット接続サービス
FWA:固定された利用者端末を無線でネットワークに接続するアクセスサービス
BWA:2.5ギガヘルツ帯を使用する広帯域移動無線アクセスシステムでネットワークに接続するアクセスサービス
資料:四国総合通信局
188
■ICTとくしま創造戦略
官民協働で徳島県のICT化を推進し、県民誰もがICTの利便性を享受し、個人・地
域・産業が活力にあふれ、県全体がいきいきとした徳島を創造することを目指して、e-
とくしま推進財団が 2005 年2月に設立されている。ICTを課題解決ツールとして効果
的・積極的に利活用するための指針として 2014 年3月に「ICTとくしま創造戦略」が
策定され、官民協働で役割分担のもと様々な事業に現在取り組まれている。
2014 年~ 2018 年の実施プロジェクト
1.新産業・新サービスが創出され、人と地域が元気な社会
①映像産業分野の新事業創出
『とくしまクリエイティブ』プロジェクト
スーパーハイビジョン(4K・8K)の地域モデルの確立に資する取組(人材育成・コンテンツ
作成・電送実験など)の支援を行い、新事業の創出による産業振興につなげる。
クリエイター、企業、大学等と連携し、業界で将来活躍できる優秀な人材の発掘、育成を行
うことにより、地方で活躍できる人材を創出し、若者の定住や UJI ターン拡大を図る。
ジュニア世代からシルバー世代まで幅広い世代に対して普及・啓発を行うことにより、デジ
タルコンテンツの利活用を促進する。
②オープンデータ・ビッグデータの利活用の推進
『JoinTown 徳島』プロジェクト
南海トラフ巨大地震への「被災者支援」
、また「高齢者支援」
、
「地域活性化」などの課題を
1億 2000 万台、ほぼ全世帯に普及しているテレビを最先端のICT技術と融合させることに
より、その解決を図る。
『オープンデータ推進』プロジェクト
公共データを二次利用可能なオープンデータとして提供するポータルサイト
(以下「データ
カタログサイト」という。)をユーザーの意見を参考にし、職員誰もが容易に機械判読可能な
ファイル形式に変換できる機能も有するシステムとして、外部サーバー上に構築する。
③ICTを利活用した農林水産業の振興
『とくしまブランド魅力発信』プロジェクト
大都市圏における県産農林水産物の販売拡大を図るため、生産者団体その他関係者等と連携
し、パブリシティをはじめ、経費負担が少なく、効果の高い手法を選択し、認知度の飛躍的
な向上に県を挙げて取り組む。
県産農林水産物をはじめとする県産品の認知度向上、消費拡大のため、多様なメディアを活
用し、「とくしまブランド」を効果的に発信する。
④雇用形態の多様化とワークライフバランスの実現
とくしまサテライトオフィスプロジェクト
全国屈指のブロードバンド環境と豊かな自然が共存する価値を活かし、首都圏や近畿圏から
ICT企業やクリエイティブ人材を誘致する。
189
子育て世代の雇用の確保や、趣味と仕事を高いレベルで両立したワークライフバランスの実
現を目的に、テレワーク導入により、遠隔地でも本社と同様の執務環境を構築。
サテライトオフィス進出企業・人材による、地元小中学校への出前授業や高齢者グループへ
のタブレット端末の提供と利用支援等、ICTを活用した地域貢献。
サテライトオフィス進出企業と地元企業のマッチング、サテライトオフィス企業等の連携に
よる新たな商品の開発。
⑤アクティブ・シニアが活躍する地域社会の実現
『デジタルを活用するアクティブ・シニアが溢れる街作り!』プロジェクト
個人宅等に眠る古い写真をデジタル化し地理情報・時代情報を付けてクラウドで共有する
サービスを提供する。地域の歴史を知る高齢者が中心的に活躍することで、地域の歴史や文
化・風俗が未来に継承される徳島をめざす。
地域の歴史を誰よりも知る高齢者がタブレットや SNS 等を用いて地域を紹介することで、四
季折々の自然の美しさと深い歴史・知識を提供する徳島ならではの地域観光を実施する。
⑥ICTを利活用したユニバーサル社会の実現
『Wi-Fi
(ワイワイ)
王国!とくしま』プロジェクト
大規模災害発生時における通信手段の確保を図るため、県下全域の避難所や防災拠点等に耐
災害性の強い公衆無線LANアクセスポイントの整備を進める。
平時から、観光情報・イベント情報の発信、特産品のPR等、徳島の魅力発信に積極的に活
用することにより、観光施策や地域振興につなげる。
民間事業者と連携して、県内の公衆無線LANアクセスポイントの整備を促進する。
『時間と場所に制約されない、新しいワーキングスタイル・ライフスタイル創出』
プロジェクト
特定非営利活動法人ジェイシーアイ・テレワーカーズ・ネットワークが運営する「JCI在
宅就業支援センター」をICT基盤として、テレワークの拡充と地域雇用の創出を推進する
ことにより、障害者・高齢者・育児介護に関わる父母・引きこもり子女などの社会的・経済
的自立を実現する。
2.健康で安心して暮らせる、安全で災害に強い社会
①効果的・効率的な医療・生活支援サービスの展開
『診療情報の共有推進』プロジェクト
平成24年度~平成25年度に整備した「西部圏域医療情報ネットワーク
(愛称:あわ西部
ネット)」を活用し、地域の中核病院が行った検査等の診療情報を地域の医療機関へ提供する
システムの運用を図る。
徳島県鳴門病院及び徳島赤十字病院においても同様のシステムの運用を図る。
『遠隔画像診断の推進』プロジェクト
平成24年度~平成25年度に整備した「遠隔画像診断システム」及び「遠隔画像共有シス
テム」を活用し、遠隔画像診断サービス、遠隔画像共有サービス
(救急画像コンサルタントを
行うシステムの維持管理)を提供する。
②防災・減災体制の整備
『災害情報の確実な伝達・共有』プロジェクト
整備後16年が経過し老朽化した総合情報通信ネットワーク(県防災行政無線)を再整備する
190
ことで、災害発生時における確実な通信を確保する。
被害等の情報について、一元的な集約・共有が行える体制整備を行い、災害対応を行う関係
機関が災害時のみならず、平常時の訓練等においても有効に活用できる「災害時情報共有シ
ステム」と呼ぶ情報共有基盤の機能強化を実施する。
『Wi-Fi
(ワイワイ)
王国!とくしま』プロジェクト
③効果的・安定的なエネルギーマネジメント等の実現
『スマート社会とくしま構築』プロジェクト
スマートコミュニティの推進
ICTの活用による「エネルギーマネジメント」の実現など、
本県の強み
(
「全国屈指のブロー
ドバンド環境」、「豊富な自然エネルギーのポテンシャル」等)を活かしたスマートコミュニ
ティづくりの推進
④安全な道路交通社会の実現
『安全で快適な交通環境の実現』プロジェクト
交通管制システムの高度化
3.利便性の高い電子行政サービスが提供される社会
⑤利便性の高い行政サービスの提供
『徳島県総合地図提供システム』プロジェクト
ハザードマップなど県の各部局が保有し、個別に提供している各種地図情報を、インターネッ
トを利用した「総合地図提供システム」として開発し、一元的に提供することにより、県民
利用の利便性の向上や情報提供の効率化、県の情報システムの最適化や職員の業務コストの
削減を図る。
『オープンデータ推進』プロジェクト
⑥行政の効率化
『市町村システムクラウド化推進』プロジェクト
県内市町村の事務の効率化、関連経費の削減を図るため、市町村システムのクラウド化を検
討・実施する。
『データセンターへの庁内クラウド基盤構築』プロジェクト
懸念される南海トラフ巨大地震などの大規模災害発生時においても、本県の業務継続性を確
保するため、耐災害性に優れたデータセンターに庁内の各情報システムを統合するクラウド
基盤を構築するとともに、データ補完のためのバックアップセンターを本庁舎に設置するこ
とにより、システムの二重化を行う。
『テレワーク推進』プロジェクト
災害時等における業務継続能力の向上を図るため、
「情報セキュリティ環境」の整備を行うと
ともに、整備されたシステムを有効活用し、タブレット端末を活用したモバイルワークの導
入や本庁舎へのサテライトオフィスの設置など、新たな働き方であるテレワークを推進する。
『徳島県総合地図提供システム』プロジェクト
4.リテラシーが高く、実践的なICT人材を育む社会
①教育環境のICT化
191
『ICTを効果的に利活用した学校教育の実現』プロジェクト
コンピュータ支援語学学習システム
(CALLシステム)を導入し、質の高い語学教育を展開
するなど。
②実践的なICT人材の育成
『OSS 人材育成支援』プロジェクト
OSS を活用できる技術者や情報関連企業の育成・支援に取り組むとともに、OSS 等による情
報システム導入の効果を県内のユーザー企業・団体等にも広く普及し、その成果を、全国へ
と発信することにより、本県産業の振興や雇用の促進、地域活性化につなげる。
『とくしまクリエイティブ』プロジェクト
■とくしまサテライトオフィスプロジェクト
限界集落と呼ばれる過疎地域にまで整備された徳島県の全国屈指のブロードバンド環境
(光ファイバー網等)
を最大限に活用して、過疎集落の「空き家」となっている古民家や遊休
施設などを首都圏などのICT企業などの「サテライトオフィス」として展開することで、
地域活性化を図る「集落再生モデル」である。2016 年2月末日現在、神山町で 12 企業、美
波町で 12 企業、三好市で5企業、徳島市で 1 企業がサテライトオフィスを設置している。
■公衆無線 LAN 設置状況
日本においては、電気通信事業者と利用契約が必要な無線 LAN サービスが多いため、外
国人旅行者からは「契約をしていない外国人旅行者は無線 LAN が使用できない」との声が
多く、無料公衆無線 LAN 環境の充実が求められている。また、インターネットにアクセス
しやすく、スマートフォン等のように無線 LAN の利用可能な端末が普及していることから、
災害時において効果的に情報を受発信できる通信手段として無料公衆無線 LAN 環境の整備
が求められている。県内の地方公共団体が整備または主体的に関与した公衆無線 LAN の設
置状況(アクセスポイント数)
は 2015 年5月末時点で 193 箇所となっている。
(大谷 博)
192
環境
環境問題は、大量生産、大量消費など社会経済活動に起因するものが多い。過去には大気
汚染や廃棄物投棄などを起因とする公害が多く発生したが、さまざまな規制や産業・民生両
者の取り組みにより、こうした時代に比べると「きれいになった」
、
「住みやすくなった」と
感じることが多いのではないか。こうした経験は、あの忌わしい過去の経験を復活させない
ことを目的としたさまざまな施策や取り組みに今もつながっている。
しかし、地球温暖化の進行や生物多様性の後退という地球規模にまで広がっている環境問
題に対しては、多くの取り組みがなされてはいるものの、決定打を放つ状況までには至って
いない。現在のライフスタイルや社会経済システムの見直しが迫られているのであるが、こ
れらを自らの問題として捉え、自主的かつ主体的に行動することができるのか。個人、企業、
地域、国、そして地球規模にまでその意識と行動を拡大させることこそ、喫緊の課題として
取り組まなければならない。
■徳島県の環境分野全般におよぶ条例・計画
徳島県は 2014 年度から「第2次徳島県環境基本計画」をスタートさせており、
18 年度まで
の計画期間では、「スマート社会とくしま」
、
「自然エネルギーの導入と活用」
、
「循環を基調
とする健全な社会」
、
「多様な自然環境」
、
「南海トラフ巨大地震を迎え撃つ」
、
「人が主役」の
以上6つの目標のもと、25 の分野において取り組みを進めている。また、15 年度にはこれを
踏まえた上で「徳島県地球温暖化対策推進計画」の「重点プログラム」を改定しており、ス
マートコミュニティの実現、自然エネルギー導入促進に向けた各種施策の展開、県民総ぐる
みでの森林づくりなど、具体的な計画が進められている。
(環境−1)徳島県の取り組み(経緯)
1997年
第3回締約国会議(COP3)京都議定書採択
1998年
地球温暖化対策推進法公布
1999年
徳島県環境基本条例制定
2000年
徳島県地球温暖化対策地域推進計画策定
2001年
徳島県地球環境保全行動計画(ローカルアジェンダ21)策定
徳島県環境基本計画策定
2004年
オンリーワン徳島行動計画において「環境首都とくしま」を基本目標の一つに掲げる
環境首都とくしま憲章策定
2005年
とくしま地球環境ビジョン策定
2008年
徳島県地球温暖化対策推進条例制定
2011年
徳島県地球温暖化対策推進計画策定
2013年
第2次徳島県環境基本計画策定
2015年
徳島県地球温暖化対策推進計画「重点プログラム」の改定
193
■地球温暖化対策の状況
地球温暖化の主な原因とされる温室効果ガスについては、化石燃料の使用をいかに抑制す
るかが大きなカギであるが、これにはエネルギーの生産と消費の両面から取り組む必要があ
る。もっとも、この消費面における省エネについては、経済合理性の追求による便益と相反
する場合、個人や企業では後者を優先することが多々あることから、補助金・税制といった
優遇措置や規制の強化といった政策面からの誘導がどうしても必要である。
徳島県では、徳島県環境基本条例における3つの基本理念の一つに「地球環境保全に向け
た地域の取り組み」を掲げ、第2次徳島県環境基本計画においても、そのトップに地球温暖
化対策を記している。2011 年策定の「徳島県地球温暖化対策推進計画」では、20 年の温室効
果ガスの総排出量を 1990 年比 25%削減の中期目標を設定している。また、
「地球温暖化対策
推進条例」
(09 年4月施行)
では、虚偽報告や資料提出を怠たる違反事業者への罰則規定を全
国で初めて盛り込んだ。
県内の温室効果ガス排出量(二酸化炭素換算)は、2010 年度は 6,531 千 t であったが、13 年
度は 8,422 千 t にまで増加した。11 年度に伊方原子力発電所が全基停止し、それ以降火力発電
の稼働を高めてきたことによる。また、12 年度の温室効果ガス排出量の 93.9%を占める二酸
化炭素を部門別にみると、民生部門が 40.0%、産業部門が 36.7%となり、両者の順位が入れ
替わった。同年夏に四国電力では大幅な節電の依頼、計画停電の実施準備などを実施してお
り、特に産業部門での節電活動が進んだためである
(環境-2・3)
。
(環境−2)徳島県の温室効果ガスの排出状況(2012年度)
代替フロン等
2.4%
一酸化二窒素
1.9%
メタン
1.8%
エネルギー転換部門
2.7%
工業プロセス
0.5%
廃棄物
3.7%
運輸部門
16.5%
93.9%を占める
二酸化炭素の内訳は
二酸化炭素
93.9%
民生部門
40.0%
産業部門
36.7%
二酸化炭素排出量の内訳
(総排出量7,912千t-CO2)
温室効果ガス排出量の内訳
(総排出量8,422千t-CO2)
※t-CO2とは温室効果ガスを二酸化炭素に換算した量です。
※四捨五入の関係で合計が合わない場合があります。
出所:徳島県「環境白書」
エネルギー転換部門
産業部門
工業プロセス
運輸部門
民生部門
廃棄物
194
電気事業とガス事業の自家消費
製造業、農林水産業、鉱業、建設業
生石灰製造工程等
自動車、鉄道、船舶、航空機
家庭系(一般家庭)、業務系(オフィス等)
廃棄物の焼却
(環境−3)温室効果ガス排出量の推移
(千t-CO2)
(127)
(121)
8,800
(115)
8,422
(109)
8,007 (109)(107)(108)
7,552
7,554 7,440 7,505 (101) (97)
8,000 (100) (99)
(94)
7,030
6,942 6,907
6,710 6,531
10,000
6,000
4,000
2,000
0
1990
1995
2000
2005
2006
2007
2008
2009
2010
2011
2012
2013(年度)
注:( )内は、1990年を100としたときの指数
出所:徳島県ホームページ
省エネなどに直接関係する徳島県の具体的な計画をみると、
「エコオフィスとくしま・県
率先行動計画
(目標年度:2019 年度)」
、
「徳島県食料・農林水産業・農山漁村基本計画
(同:
16 年度)
」
、
「徳島県地球温暖化対策推進計画
(同:20 年度)
」
、
「自然エネルギー立県とくしま
推進戦略
(同:18 年度)
」
「生物多様性とくしま戦略
(同:17 年度)
」などで具体的な項目が策
定されている。こうした活動は多岐にわたることから、多くの計画で採り上げられるのは当
然であろう。しかし、省エネへの関心・意識がますます大きくなる中、このような具体的な
計画については、より広くわかりやすい周知・徹底が必要である。第2次徳島県環境基本計
画である程度整理されたと思われるが、今後も次々と新たな計画が打ち出されることが予想
されることから、今以上のていねいな広報が求められる。
■廃棄物の状況
廃棄物が引き起こす負の側面には、その運搬・投棄・埋め立て・焼却などの時点で発生す
る化学物質による土壌・大気汚染や温室効果ガスによる地球温暖化、また、これらをできる
だけ抑制するために多額の費用がかかっていることなどが挙げられる。この影響を抑制する
ためには、廃棄物の減少が必要であるが、循環型社会の形成も目指す中で、リサイクルシス
テムの確立が一部で進んできた。もっとも、リサイクル自体が運搬や生産の過程で消費する
エネルギーを増加させてしまうなど、逆に資源の無駄使いと指摘されるケースが多々ある。
環境負荷を減らすことが可能か否かを見極めた上でそれを推進することはもちろん重要で
あるが、最終的には廃棄物そのものを減少させなければならない。
廃棄物は、「産業廃棄物(工業、農業、建設業など事業活動から生ずる廃棄物
(法律および
政令で指定された 20 種類)
)
」
、
「一般廃棄物
(いわゆる『ごみ』
)
」
、
「し尿」に分かれ、それぞ
れ廃棄物対策が行われている。徳島県では、
「徳島県廃棄物処理計画」
(第1期は 2001 年度~
195
05 年度、第2期は 06 年度~ 10 年度、第3期は 11 年度~ 15 年度)
をもとに、循環型社会の形
成に向けた取り組みを推進している。
①一般廃棄物
徳島県における 2014 年度のごみ総排出量は 274.7 千 t で、前年度比+ 0.2%となり、3年ぶ
りに増加した。もっとも、世帯数増や小型焼却炉での焼却自粛・禁止に伴う市町村処理施設
への転換といった増加要因が根強く、15 年度の目標値である 269.0 千 t の達成は困難な状況で
ある(環境-4)
。
(環境−4)ごみ総排出量の推移
(g/人・日)
(千t/年)
1,400
500
450
400
350
1,146
1,115
1,089
1,061
319.2
1,055
315.4
1,044
310.1
1,030
304.7
89.5
91.0
100.0
72.7
67.4
229.7
224.4
210.1
231.9
223.9
300
250
200
1,200
1,131
1,033
994
291.4
994
976
976
964
959
968
958
279.0
959
277.6
968
279.2
962
277.2
958
274.1
947
274.7
63.1
62.4
62.8
65.7
66.7
67.3
215.9
215.1
216.3
211.6
207.5
207.4
1,000
800
600
150
400
100
200
50
0
2004
05
06
07
08
09
10
11
12
13
0
14 (年度)
生活系ごみ 事業系ごみ
徳島県1人1日あたり 全国1人1日あたり
注:ごみ総排出量=計画収集量+直接搬入量+集団回収量
生活系ごみ量=収集量
(直営及び委託収集量)+集団回収量+直接拠入量(生活系ごみ)
事業系ごみ量=許可業者収集量+直接搬入量(事業系ごみ)
出所:環境省ホームページ
これを1人1日あたりの排出量で見た場合、2014 年度は 968 g / 人・日と前年度比+ 0.9%
となり、15 年度の目標値である 966 g / 人・日をやや上回った。これを全国と比べると、13、
14 年度は全国平均を上回って推移した
(環境-4・5)
。また、14 年度における全国の市町村
(人口 10 万人未満)における1人1日あたりのごみの排出量の少なさのランキングをみると、
神山町が 261.9 g / 人・日で第2位、佐那河内村が 404.1 g / 人・日で第9位となっている。
2014 年度のリサイクルされる資源化量
(=リサイクル率)
は全体の 16.9%となっており、前
年度のほぼ横ばいで推移した。この目標は 25.0%であり
(15 年度)
、達成はかなり困難な状況
である(環境-6)
。一方、最終処分量については、中間処理施設の整備が進み減少傾向にあ
り、14 年度における総排出量に占める最終処分率は 12.1%と当初目標の 13%以下となってい
る。(環境-5)
。
196
(環境−5)環境に関する指標
1人1日あたりのごみ総排出量 リサイクル率
(2014年度,g/人日)
(2014年度,%)
(2014年度,%)
順位
県 名
率
順位
県 名
率
838
1
山 口
30.7
1
高 知
5.0
844
2
三 重
29.7
2
埼 玉
5.5
熊 本
846
3
岡 山
29.5
3
岡 山
5.7
28
徳 島
968
29
徳 島
16.9
35
徳 島
12.1
45
青 森
1,046
45
大 阪
13.7
45
京 都
14.7
46
群 馬
1,051
46
和歌山
13.5
46
青 森
15.5
47
福 島
1,081
47
青 森
13.5
47
北海道
19.7
−
全 国
947
−
全 国
20.6
−
全 国
10.3
順位
県 名
1
長 野
2
沖 縄
3
排出量
最終処分率
(最終処分量/(収集量+直接搬入量))
資料:環境省「日本の廃棄物処理」
(環境−6)総資源化量とリサイクル率の推移
(%)
(千t)
80
リサイクル率(徳島県)
70
40
30
(25.0)
リサイクル率(全国)
60
50
30
総資源化量
17.7
17.6
56.6
19.0
19.7
20.3
18.9
19.6
19.9
59.6
60.9
60.6
20.3
18.9
54.0
20.5
17.3
48.0
20.8
20.6
18.2
18.1
50.6
50.6
20.5
17.3
48.0
20.6
20.6
16.8
16.9
15
45.9
46.5
10
20
20
5
10
0
25
2004
05
06
07
08
09
10
11
12
13
14
0
15 (年度)
目標値
注:総資源化量=〔直接資源化量+中間処理後の再生利用量+集団回収量〕
リサイクル率
(%)=〔総資源化量〕÷〔ごみの総処理量+集団回収量〕×100
出所:環境省ホームページ
②産業廃棄物
徳島県によると、2008 年度の実態調査による産業廃棄物の排出量は約 293 万 t となってい
る(この調査はほぼ5年ごとに実施)
。産業廃棄物の処理処分状況をみると、中間処理によっ
て、排出量の 48.3%が減量化されており、排出量の 49.9%が残さ量となっている。直接最終
処分量と中間処理後の最終処分量は排出量の 4.2%、資源化量は 51.0%となっている。
③し尿
徳島県内の汚水処理人口普及状況をみると、2014 年度末での汚水処理施設の普及率は、全
国の 89.5%に対して、徳島は 55.7%と大幅に下回っている。その中でも、下水道の普及率は、
全国の 77.6%に対して、徳島は 17.2%と特に下回った状況にある
(環境-7)
。生活環境の改
善や公共用水域の水質保全の役割を担う基幹的な施設であることから、下水道はもちろんの
197
こと下水道類似施設や合併処理浄化槽の設置も併せて、計画的な整備が求められる。
(環境−7)市町村別汚水処理人口普及状況(2014年度末)
市町村名
汚水処理施設
下 水 道
農業集落排水等
合併処理浄化槽
住民基本
台帳人口 処理人口 普及率 処理人口 普及率 処理人口 普及率 処理人口 普及率
(人) (人) (%) (人) (%) (人) (%) (人) (%)
1
徳 島 市
256,315
185,738
72.5
79,159
30.9
106,579
41.6
2
鳴 門 市
60,294
24,441
40.5
4,802
8.0
19,176
31.8
3
小松島市
39,866
12,051
30.2
12,051
30.2
4
阿 南 市
75,813
30,598
40.4
2,337
3.1
2,752
3.6
20,446
27.0
5
吉野川市
43,235
28,154
65.1
21,018
48.6
2,310
5.3
4,826
11.2
6
阿 波 市
39,622
19,549
49.3
2,378
6.0
17,171
43.3
7
美 馬 市
31,176
15,251
48.9
2,678
8.6
9,864
31.6
8
三 好 市
28,643
13,557
47.3
552
1.9
13,005
45.4
9
勝 浦 町
5,604
2,657
47.4
705
12.6
1,905
34.0
10
上 勝 町
1,717
585
34.1
585
34.1
11
佐那河内村
2,538
2,332
91.9
12
石 井 町
26,385
12,619
47.8
13
神 山 町
5,927
2,181
36.8
14
那 賀 町
9,278
6,235
67.2
15
牟 岐 町
4,543
2,240
49.3
16
美 波 町
7,416
2,546
34.3
1,135
17
海 陽 町
10,167
6,227
61.2
8.7
2,709
2,034
80.1
2.1
564
298
11.7
12,055
45.7
2,181
36.8
3,007
32.4
463
0.8
5,063
6.7
47
0.8
34.8
2,240
49.3
15.3
300
4.0
1,111
15.0
2,771
27.3
1,014
10.0
2,442
24.0
29.4
1,631
10.6
3,885
25.1
803
5.2
8.9
8,287
36.3
1,427
6.2
7,803
1.0
18
松 茂 町
15,457
10,856
70.2
19
北 島 町
22,849
11,754
51.4
2,040
20
藍 住 町
34,638
17,722
51.2
2,905
8.4
14,817
42.8
21
板 野 町
13,728
6,000
43.7
4,141
30.2
1,859
13.5
22
上 板 町
12,516
6,404
51.2
23
つるぎ町
10,030
4,679
46.7
2,311
23.0
24
東みよし町
15,052
6,012
39.9
2,679
17.8
430,388
55.7
133,108
17.2
772,809
処理人口 普及率
(人) (%)
3,228
4,537
徳島県計
コミュニティプラント
1,101
8.8
5,303
42.4
524
5.2
1,844
18.4
3,333
22.1
2.7
268,270
34.7
21,207
出所:徳島県「環境白書」
■徳島県が認定・承認した環境ビジネス企業
環境対策はビジネスに負の影響をもたらすことが多い、とかつていわれてきた。しかし、
環境対策をビジネスチャンスと捉え、技術開発に取り組む企業も増加している。
「環境ビジ
ネス」は、大企業のみならず多くの中小企業も携わる一大産業にまで成長している。
徳島県内にも環境ビジネスに関連する企業は数多く存在するが、徳島県などが優良と認定
している企業あるいは環境ビジネス計画を承認している企業として、以下の①~②などが挙
げられる。
① 徳島県優良産業廃棄物処理業者
(以下は第三区分
(産業廃棄物の適正処理および環境問題
などに特に積極的に取り組んでいる処理業者)
を掲載)
㈱旭金属、旭鉱石㈱、アサヒブリテック㈱、㈱イージーエス、キカワ鋼業㈱、㈱三幸ク
198
リーンサービスセンター、東條商事㈱、㈱徳島機械センター、徳島リサイクル工業㈱ 、
バンドウクリエート㈱、バンドウリメーク㈱、三木資源㈱
② 徳島県リサイクル認定制度による認定企業
認定3Rモデル企業
(複数の事業所で認定されている企業もある)
㈲徳雄産業、㈱丁井、㈱旭金属、リコージャパン㈱、㈱ヤングクリーン、大塚製薬
㈱、㈱三幸クリーンサービスセンター、生活協同組合とくしま生協、㈱テンセイジャ
パン、㈱カシハラ、㈱徳島機械センター、㈱大塚製薬工場、四国加工機㈱、㈲リフ
レッシュ阿南、㈱日誠産業、日清紡ホールディングス㈱、日清紡ペーパープロダクツ
㈱、大塚テクノ㈱
認定リサイクル製品製造企業
バ ン㈱、オンダン農業協同組合、㈱YBK工業、中央広域環境施設組合、㈱オオ
タ、松浦開発興業㈱、ヘイワ工業㈱、㈱田村組、社会福祉法人池田博愛会、㈲ハイ
プラ、四国電力㈱、㈲リフレッシュ阿南、みよし広域連合清掃センター、アースコ
ンシャス㈱
■再生可能エネルギーの状況
<太陽光発電>
2011 年3月に発生した東日本大震災による原子力発電の稼働停止とそれに起因する化石
燃料の使用量増加を余儀なくされているわが国では、一方で地球温暖化対策も同時に進める
必要があり、再生可能エネルギー(太陽光・風力・バイオマス・水力など)の普及・拡大が
急務である。こうした中、12 年7月から「固定価格買取制度」を導入したが、この制度に基
づき発電した電力の買取単価を高く設定したこと
(太陽光発電:12 年度 40 円 /kWh(税抜)
)、
環境調査がほとんど不要など計画段階から営業運転開始まで短期間で済むことから、当該事
業に参入する企業などが加速度的に増加してきた。
もっとも、この拡大は太陽光発電に偏重している現状も呈している。そこで、太陽光発電
の買取単価の引き下げてきたことに加え
(2013 年度 36 円 /kWh・14 年度 32 円 /kWh・15 年
度 4 ~ 6 月 29 円 /kWh・7 ~ 3 月 27 円 /kWh・28 年度 24 円 /kWh)
の一方、他を据え置くな
どの施策により、太陽光以外への誘導を促している。
太陽光発電において最も問題なのは、設備設置認可を受けているにもかかわらず、運転
開始に至っていない事業がかなり多いことである。この背景には、固定価格買取制度の不
備、つまり運転開始がいくら遅くなっても系統電力への接続申込時点での買取価格が保証さ
れたとともに、設備費用の多くを占める太陽光パネルなどの価格下落が続いてきたことか
ら、工事の着工を遅らせる誘因がかなり強く働いたことにある。2015 年 11 月末時点におけ
る認可済みのメガソーラー(出力 1,000kW 以上)の件数・出力に対する運転開始済み分の比
率は、全国ベースで件数が 37.7%、出力が 18.6%しかない。一方、徳島の状況をみると、件
199
数が 66.3%、出力が 72.4%で、ともに全国第1位となっている
(環境-8-⑦・⑧)
。
(環境−8)固定価格買取制度下における再生可能エネルギーの運転開始状況
①運転開始済件数(太陽光) ②運転開始済出力
(太陽光) ③運転開始済率(件数・太陽光) ④運転開始済率(出力・太陽光)
(2015年11月,件)(10kW以上1,000kW未満)(2015年11月,千kW)(10kW以上1,000kW未満)
(2015年11月,%)(10kW以上1,000kW未満)
(2015年11月,%)
(10kW以上1,000kW未満)
順位
県 名
件 数
順位
県 名
出 力
順位
県 名
比 率
順位
県 名
比 率
1
愛 知
23,478
1
茨 城
714.7
1
富 山
64.6
1
石 川
63.8
2
静 岡
17,511
2
愛 知
681,4
2
石 川
62.5
2
富 山
62.5
3
福 岡
15,046
3
千 葉
606.7
3
大 阪
62.1
3
大 阪
62.0
30
徳 島
5,070
27
徳 島
215.8
26
徳 島
48.2
21
徳 島
45.7
45
福 井
1,403
45
島 根
61.6
45
鹿児島
25.5
45
鹿児島
25.9
46
山 形
1,073
46
山 形
41.7
46
北海道
23.3
46
宮 崎
22.2
47
秋 田
469
47
秋 田
25.7
47
宮 崎
22.1
47
山 梨
21.9
−
全 国
359,843
−
全 国
13,191.5
−
全 国
43.0
−
全 国
38.1
⑤運転開始済件数(太陽光) ⑥運転開始済出力
(太陽光) ⑦運転開始済率(件数・太陽光) ⑧運転開始済率(出力・太陽光)
(2015年11月,件)(1,000kW以上)
(2015年11月,千kW)
(2015年11月,%)
(2015年11月,%)
(1,000kW以上)
(1,000kW以上)
(1,000kW以上)
順位
県 名
比 率
順位
県 名
比 率
532.1
1
徳 島
66.3
1
徳 島
72.4
茨 城
481.5
2
大 阪
62.0
2
大 阪
51.0
兵 庫
431.5
3
神奈川
60.8
3
富 山
49.6
25
徳 島
101.6
18
45
沖 縄
13
46
福 井
東 京
3
47
全 国
3,690
−
順位
県 名
件 数
順位
県 名
出 力
1
茨 城
251
1
福 岡
2
福 岡
236
2
3
千 葉
227
3
24
徳 島
53
45
鳥 取
46
沖 縄
47
−
4
富 山
56.9
4
愛 知
48.3
44
東 京
23.1
44
山 形
8.9
37.0
45
岩 手
22.1
45
福 島
6.9
27.6
46
福 島
21.4
46
宮 城
5.7
東 京
4.6
47
宮 城
19.8
47
岩 手
4.7
全 国
7,552.0
−
全 国
37.7
−
全 国
18.6
⑨運転開始済件数(太陽光) ⑩運転開始済件数(太陽光以外) ⑪運転開始済出力(太陽光以外)
(2015年11月,件)
(2015年11月,千kW)
(10kW未満)(2015年11月,件)
順位
県 名
件 数
順位
県 名
件 数
順位
県 名
件 数
1
愛 知
148,606
1
北海道
51
1
秋 田
92.1
2
埼 玉
114,078
2
大 分
21
2
北海道
85.1
3
神奈川
94,908
3
秋 田
20
3
鹿児島
80.6
38
徳 島
13,924
27
徳 島
5
38
徳 島
0.9
45
福 井
8,944
0.1
8,554
2
佐 賀
青 森
京都・香川・
佐賀
45
46
44
46
沖 縄
0.0
47
秋 田
5,690
47
沖 縄
1
47
京 都
0.0
−
全 国
2,025,567
−
全 国
392
−
全 国
953.3
注:本制度開始時にすでに発電を開始
していたなどの「移行認定分」を含む
注:「バイオマス比率考慮あり」での出力 出所:
を掲載
資源エネルギー庁ホームページ
この点においては、本県は優等生であるといえよう。なお、こうした状況を改善するため
に、長期間工事に着手していない計画に対する認定取り消し、今後認定する計画における工
事着工までの有効期限の設定、買取価格の決定時期を系統電力会社への接続の申込時から契
200
約時に変更、といった見直しがなされてきた。
また、電力需要が少ないときに供給が過剰になると、最悪大規模な停電が発生しかねな
い。四国電力では、このような事態を防ぐため、発電事業者に対し無補償の出力制御を行う
時間数の制限がないことを条件とした上で、建設の契約申込みを受付する措置を講じている
(2016 年1月 25 日以降の措置であり、それより前は無補償の出力制御を年間 360 時間として
いた)。
本県における太陽光発電の普及状況をみると
(2015 年 11 月末時点・運転開始済み分)
、住
宅用の 10kW 未満の件数
(この区分のみ制度開始時に既に発電を開始していたなどの「移行
認定分」含む)
が 13,924 件で全国第 38 位、事業用の 10kW 以上 1,000kW 未満の件数が 5,070 件
で第 30 位、出力が 215.8 千 kW で第 27 位となっている
(環境-8-①・②・⑨)
。この程度に
とどまっているのは、住宅用は人口・世帯数の規模が小さい、事業用は広大な遊休地があま
り多くない、といった理由がそれぞれ考えられる。
<自然エネルギー立県とくしま推進戦略>
徳島県が実施した「クリーン・エネルギー賦存量・利用可能量調査」
(2011 年2月)では、
県内の太陽光・風力・小水力・バイオマスのエネルギー賦存量合計は 5.35 兆 kWh/ 年、利用
可能量は年間電力使用量の約3割となる 20.47 億 kWh/ 年と試算されている
(賦存量:理論的
に地域に賦存するエネルギー量、利用可能量:技術的・経済的・社会的制約条件等をある程
度考慮して算出したエネルギー量)。本県は、東部沿岸地域や山間部で風速値が高い、小さ
い急流の河川や豊富な森林資源を有するなど、
「自然
(再生可能)
エネルギーの宝庫」といえ、
これを拡大していく自然条件面でのハードルは他地域と比べ低いと考えてよい。また、21
世紀の光源「LED」や「リチウムイオン蓄電池」の生産拠点となっている側面も併せ持っ
ている。
このような優位性を最大限活用するため、県では、
「自然エネルギー立県とくしま推進戦略
~『環境首都・新次元とくしま』の実現へ~(期間:2015 ~ 18 年度)
」を策定し、
「エネル
ギーの地産地消」
、
「多様なエネルギーの普及を促進」
、
「自然エネルギーで産業を振興」
、
「先
導的取組みや新技術の導入」
、
「ICTの利活用」
、
「水素エネルギーを最大限活用」の6つの
基本方針にもと、さまざまなプロジェクトを進めている。太陽光以外のエネルギーの比率を
どのように高めていくのか、県南部・県西部など電力の系統接続が困難な地域での普及をど
う進めるのかなど、達成にはかなりの困難が予想されるプロジェクトもあるが、
「自然エネ
ルギー立県」と自ら名乗る以上、官民挙げて真剣に取り組む必要がある。
(蔭西義輝)
201
統計から見た徳島県の自然・社会環境
総面積
1
2
3
36
45
46
47
北
岩
福
徳
東
大
香
全
可住地面積割合
日照時間(年間)
(2014,100k㎡) [対総面積]
(2014,%)
海 道
834.24 1 大
阪
69.5 1
手
152.75 2 千
葉
68.5 2
島
137.84 3 埼
玉
67.8 3
島
41.47 38 徳
島
24.7 15
京
21.91 45 岐
阜
20.7 45
阪
19.05 46 島
根
19.2 46
川
18.77 47 高
知
16.3 47
国
3,779.72
全
国
32.8
埼
群
山
徳
島
鳥
秋
全
年平均気温
(2014, 時間)
玉
2,366 1
馬
2,344 2
梨
2,335 3
島
2,098 14
根
1,721 45
取
1,707 46
田
1,647 47
国
-
沖
縄
鹿 児 島
宮
崎
徳
島
青
森
岩
手
北 海 道
全
国
(2014,℃)
23.1
18.5
17.4
16.4
10.7
10.6
9.3
-
(北方地域及び竹島を含む) (北方地域及び竹島を除く)
総人口
人口増減率
(2014, 万人)
1
2
3
44
45
46
47
東
京
神 奈 川
大
阪
徳
島
高
知
島
根
鳥
取
全
国
1,339
910
884
76
74
70
57
12,708
生産年齢人口割合
人口密度
合計特殊出生率
東
沖
埼
徳
高
青
秋
全
京
縄
玉
島
知
森
田
国
老年人口割合
0.68
0.42
0.24
-0.78
-0.94
-1.05
-1.24
-0.17
(2014, -)
(2014, 人)
(2014,%)
1
2
3
39
45
46
47
1
2
3
34
45
46
47
東
京
大
阪
神 奈 川
徳
島
秋
田
岩
手
北 海 道
全
国
6,111.6
4,638.3
3,765.2
184.2
89.1
84.1
68.9
340.7
1
2
3
22
44
46
47
沖
縄
宮
崎
島根・長崎
徳
島
北海道・奈良
京
都
東
京
全
国
1.86
1.69
1.66
1.46
1.27
1.24
1.15
1.42
(総面積1k㎡当たり)
一般世帯数
共働き世帯割合
[15 ~ 64 歳]
[65 歳以上]
[対一般世帯数]
(2010,%)
(2010, 万世帯)
[対総人口]
(2014,%) [対総人口]
(2014,%)
1
2
3
32
45
46
47
東
京
神 奈 川
沖
縄
徳
島
山
口
高
知
島
根
全
国
66.2 1 秋
田
64.0 2 高
知
63.5 3 島
根
57.9 6 徳
島
56.3 44 神奈川・愛知
56.2 46 東
京
55.6 47 沖
縄
61.3
全
国
就業者数
1
2
3
43
45
46
47
東
京
神 奈 川
大
阪
徳
島
福
井
島
根
鳥
取
全
国
638
383
382
30
27
26
21
5,184
1
2
3
25
45
46
47
福
井
山
形
富
山
徳
島
北 海 道
大
阪
東
京
全
国
36.44
36.05
35.11
26.92
21.24
19.08
17.74
24.45
第1次産業就業者比率 第2次産業就業者比率 第3次産業就業者比率
(2010, 人)
1 東
京
2 神 奈 川
3 大
阪
45 徳
46 高
47 鳥
全
32.6
32.2
31.8
30.1
23.2
22.5
19.0
26.0
島
知
取
国
6,012,536
4,146,942
3,815,052
1
2
3
13
347,093 45
335,775 46
287,332 47
59,611,311
青
森
高
知
岩
手
徳
島
神 奈 川
大
阪
東
京
全
国
12.7
12.1
12.0
8.5
0.8
0.5
0.4
4.0
[対就業者]
(2010,%)
[対就業者]
(2010,%)
[対就業者]
(2010,%)
1
2
3
28
45
46
47
202
富
静
滋
徳
高
東
沖
全
山
岡
賀
島
知
京
縄
国
33.4
32.8
32.7
23.4
17.1
15.2
14.0
23.7
1
2
3
26
45
46
47
神 奈 川
沖
縄
福
岡
徳
島
山
形
滋
賀
長
野
全
国
72.7
72.3
71.8
64.4
59.5
59.4
58.6
66.5
労働力人口比率[男] 労働力人口比率[女]
県内総生産額
(対 15 歳以上人口)
(2010,%)
(対 15 歳以上人口)
(2010,%)
1 静
2 長
3 愛
岡
野
知
45 徳
46 東
47 高
全
島
京
知
国
74.0
74.0
73.5
1
2
3
39
65.9 45
65.5 46
63.9 47
69.3
福
石
長
徳
兵
大
奈
全
井
川
野
島
庫
阪
良
国
52.2
52.1
51.6
45.6
44.3
43.9
41.4
47.0
1人当たり県民所得
(2012, 億円)
1
2
3
43
45
46
47
東
大
愛
徳
島
高
鳥
全
京
阪
知
島
根
知
取
国
919,089
368,430
343,592
28,389
23,420
21,604
17,482
5,001,582
(2012, 千円)
1
2
3
23
45
46
47
東
愛
静
徳
高
鳥
沖
全
京
知
岡
島
知
取
縄
国
4,423
3,437
3,195
2,727
2,252
2,249
2,035
2,972
(県・市町村財政合計)
1人当たり歳出決算総額 地方債現在高
財政力指数
(2013, 千円)[県財政](2013, 百万円)
1
2
3
9
45
46
47
岩
手
福
島
宮
城
徳
島
千
葉
神 奈 川
埼
玉
全
国
1,652.2
1,584.9
1,471.4
1,107.9
598.9
580.9
553.6
835.8
1
2
3
41
45
46
47
北 海 道 5,839,733
大
阪 5,598,100
東
京 5,510,470
徳
島
913,474
佐
賀
722,113
沖
縄
672,044
鳥
取
665,716
全
国 89,730,130
国内銀行預金残高
[県財政]
(2013, -)
1
2
3
42
45
46
47
愛
知
神 奈 川
東
京
徳
島
鳥
取
高
知
島
根
全
国
(2014, 万円)
0.927 1 東
京
0.913 2 大
阪
0.871 3 徳
島
0.294
0.241 45 北 海 道
0.229 46 宮
崎
0.224 47 鹿 児 島
0.464
全
国
1,554.9
668.6
575.0
276.6
259.7
256.3
530.2
(人口1人当たり)
世帯主収入
実収入
消費支出[二人以上の世帯]
平均消費性向
[勤労者世帯]
(2014, 千円) [勤労者世帯]
[勤労者世帯]
(2014, 千円)
(2014,%)
1
2
3
15
45
46
47
栃
東
奈
徳
宮
鳥
沖
全
木
京
良
島
崎
取
縄
国
503.3
493.8
491.0
433.6
322.0
316.4
289.6
414.7
(1世帯当たり1か月間)
1
2
3
14
45
46
47
栃
富
石
徳
兵
宮
沖
全
木
山
川
島
庫
崎
縄
国
652.1
639.1
613.5
563.6
411.9
402.8
395.8
519.8
1
2
3
13
45
46
47
三
兵
群
徳
福
福
島
全
重
庫
馬
島
井
島
根
国
(1世帯当たり1か月間)
青
森
福
島
3 栃木・岐阜
7 徳
島
東京・神奈川・
43 愛媛・福岡・
鹿児島
全
国
1
2
3.3 3
3.0 19
45
2.3 46
47
2.7
3.4
(持ち家の帰属家賃を含む)
東
京
神 奈 川
山
形
徳
島
福
岡
群
馬
宮
崎
全
国
山
川
玉
島
崎
森
縄
国
339.6
335.9
329.4
320.1
250.5
243.6
225.9
291.2
(1世帯当たり1か月間)
消費者物価指数対前年 消費者物価地域差指数 持ち家比率
変化率 [総合]
(2014,%)
[家賃を除く総合]
(2013, -)
1
(2014, 千円)
94.7 1 富
94.5 2 石
88.1 3 埼
78.1 7 徳
63.6 45 宮
62.7 46 青
60.9 47 沖
75.3
全
103.1
102.9
101.2
99.3
97.8
97.5
97.4
100.0
1
2
3
12
45
46
47
富
秋
山
徳
福
沖
東
全
住宅の敷地面積
(2013,%)
山
田
形
島
岡
縄
京
国
(対居住世帯あり住宅数)
203
79.4
78.1
76.7
71.8
53.8
48.0
45.8
61.7
(2013,㎡)
1
2
3
23
45
46
47
茨
山
岩
徳
京
東
大
全
城
形
手
島
都
京
阪
国
(1住宅当たり)
425
408
404
293
165
140
129
263
着工居住用建築物工事費予定額 標準価格対前年平均変動率 下水道普及率
民営賃貸住宅の家賃
(2014, 円)
1
2
3
28
45
46
47
東
京
神 奈 川
埼
玉
徳
島
福
井
佐
賀
山
口
全
国
8,704
7,200
6,343
4,041
3,533
3,532
2,913
-
1
2
3
42
45
46
47
東
京
神 奈 川
静
岡
徳
島
熊
本
秋
田
宮
崎
全
国
(2014, 台)
群
馬
長
野
山
梨
徳
島
神 奈 川
大
阪
東
京
全
国
900.3
896.7
891.3
810.5
438.7
421.9
329.6
634.8
東
宮
福
徳
鳥
青
秋
全
京
城
島
島
取
森
田
国
1.3 1 東
京
1.2 2 神 奈 川
1.0 3 大
阪
-2.6
-3.4 40 鹿 児 島
-3.9 41 和 歌 山
-4.4 42 徳
島
-1.2
全
国
(2013, 所)
1
2
3
43
45
46
47
東
京
神 奈 川
大
阪
徳
島
山
梨
佐
賀
秋
田
全
国
(2011, 店)
570.99 1 島
根
498.31 2 高
知
467.03 3 和 歌 山
25.19 5 徳
島
21.11 45 千
葉
19.28 46 埼
玉
18.10 47 神 奈 川
85.07
全
国
11.53
11.25
11.09
10.37
5.95
5.95
5.72
8.05
高等学校数
中学校数
小学校数
(2014, 校)
(2014, 校)
639.2 1 高
知
583.7 2 島
根
570.7 3 鹿 児 島
551.0 8 徳
島
215.2 45 大
阪
210.5 46 愛
知
184.3 47 神 奈 川
303.1
全
国
99.5
96.2
94.4
40.3
22.7
17.9
-
小売店数(飲食店を除く) 飲食店数
(可住地面積 100k㎡当たり) (人口千人当たり)
(人口千人当たり)
高
知
鹿 児 島
島
根
徳
島
大
阪
埼
玉
神 奈 川
全
国
1
2
3
36
45
46
47
(2012,%)
(福島 ・ 新潟 ・ 三重 ・ 鳥取 ・ 岡山除く)
都市公園数
保有自動車数
1
2
3
4
45
46
47
218.0
189.5
179.7
153.1
151.3
146.1
143.1
175.6
(床面積1㎡当たり)
(1か月 3.3㎡当たり)
1
2
3
13
45
46
47
[住宅地](2014,%)
(2013, 千円)
629.0
513.1
490.4
434.6
215.6
203.0
196.6
295.8
(2011, 店)
1
2
3
20
45
46
47
沖
高
東
徳
埼
滋
奈
全
縄
知
京
島
玉
賀
良
国
(人口千人当たり)
幼稚園数
(2014, 校)
1
2
3
12
45
46
47
6.80
6.16
6.09
4.91
3.51
3.32
3.10
4.76
島
根
高
知
山
口
徳
島
愛
知
神 奈 川
埼
玉
全
国
219.1 1 徳
204.0 2 大
196.6 3 香
170.6
103.0 45 鳥
97.9 46 石
94.4 47 長
136.1
全
(2014, 園)
島
分
川
1,021.3
725.9
675.7
取
川
野
国
235.5
224.1
212.5
404.6
(6~ 11 歳人口 10 万人当たり)(12 ~ 14 歳人口 10 万人当たり)
(15 ~ 17 歳人口 10 万人当たり)
(3~5歳人口 10 万人当たり)
(2014, 人)
1 神 奈 川
2 埼
玉
3 愛
知
45 徳
46 高
47 島
全
島
知
根
国
高等学校生徒数
中学校生徒数
小学校児童数
18.82
18.70
18.00
1
2
3
43
11.88 45
11.49 46
11.17 47
15.85
(小学校教員1人当たり)
(2014, 人)
神 奈 川
愛
知
東
京
徳
島
鳥
取
島
根
高
知
全
国
16.16
16.00
16.00
11.04
10.85
9.99
9.05
13.81
(中学校教員1人当たり)
幼稚園在園者数
(2014, 人)
1
2
3
42
45
46
47
東
京
神 奈 川
愛
知
徳
島
鹿 児 島
島
根
高
知
全
国
(2014, 人)
16.58 1 愛
知
16.49 2 神 奈 川
16.11 3 千
葉
11.65
11.01 45 徳
島
10.62 46 福
井
9.70 47 島
根
14.17
全
国
16.90
16.08
16.01
8.90
8.34
7.46
13.53
(高等学校教員1人当たり) (幼稚園教員1人当たり)
各指標は総務省統計局「統計でみる都道府県のすがた」「社会生活統計指標」を参考にしている。
(元木恵子)
204
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