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⑨挿し木によるいちじく早期成園化試験
挿し木によるいちじく早期成園化試験 JA 紀の里 長田事業所 宮井 洋幸 1. 試験概要 挿し木によるいちじくの苗木生産は、よく行われているが、苗木を生産するのに1 年かかり、できた苗木を本田に移植し、一文字に倒すまでに2年の歳月が必要となる。 そこで、早期に収量を上げるためと省力化、コスト軽減を目的にある生産者が実践し ていた挿し木方法の実証を行った。 2. 試験方法 試験区 対照区① 定植場所へ挿し木を2本行う 土壌に 3 芽挿し込み、地上部に 4 芽出す(写真 1) 8 月下旬に生育の良い方を残し、1本を引き抜く 定植場所へ従来の挿し木を行う 土壌に2芽差し込み、地上部に1芽出す(写真 2) 対照区② 苗木を定植 試験区・対照区とも同じ管理を行い 11 月に生育状況を確認する。 3. 実施日 平成 23 年 3 月上旬 4. 実施園 紀の川市北長田(22 年実施)・長田中 どちらも水田から転換 5. 結果 ・ 5月下旬、初期の生育は、対照区①・②の方が良く、試験区については発芽が遅れ た。 ・ 試験区については 6 月に入り新梢の生育が活発となった。 ・ 試験区と対照区②については大差は見受けられなかった。(写真 3・4) ・ 対照区①については1本しか伸びず、一文字にするにはもう1年必要となる。(写 真 5) ・ 試験区については 60 カ所に挿し木を行い、3 カ所で生育不良となったため2本と も引き抜いた。 ・ 平成 22 年 3 月に挿し木を行った園地(写真 7・8)では、2 年目で約 1,600kg の出 荷量があった。 6. 考察 今回の試験で、挿し木の方法によっては苗木と同じ早さで成園化を図ることができ たが、苗木を定植するよりはリスクが高いことも確実といえる。しかし、今回、試験 を行った挿し木方法を行い、生育不良となった場所に苗木を定植するという方法をと れば、苗木代の軽減につながる。また、挿し木で苗木を育成し、本田に定植するより も作業の軽減化が図れる。今後、相談があれば提案・実践し、データを集積したい。 写真 1 試験区 写真2 対照区① 写真3 試験区 写真4 対照区② 写真5 対照区① 写真6 試験区 写真7 22 年実施園 写真 8 22 年実施園