...

割賦販売法の抜本的改正を求める会長声明 クレジット

by user

on
Category: Documents
20

views

Report

Comments

Transcript

割賦販売法の抜本的改正を求める会長声明 クレジット
割賦販売法の抜本的改正を求める会長声明
クレジット取引は、商品を代金後払い、分割払いで購入できるという利便性
を有するため、多くの消費者に利用されている。
他方で、クレジット取引が過剰与信、詐欺的商法に悪用され、消費者被害を
増大させているという実態も存在する。かかる被害は、判断能力の低下した高
齢者、社会経験に乏しい若者、資力に乏しい主婦など、社会的・経済的に弱い
立場にある者を中心に広範囲に及んでいる。徳島県内でも、ラティア事件、コ
コ山岡事件、ダンシング事件等のクレジット取引を悪用した消費者被害事件が
過去に発生し、その被害が多人数、多額に上るなど、深刻な事態を招いてきた
ところである。
このため、経済産業省は、割賦販売法を中心としたクレジット法制度の見直
しを検討しており、2008(平成20)年にはその改正が実現される予定で
ある。
そこで、当会は、これがクレジット取引による消費者被害の救済のために実
効性を有するものとなるべく、経済産業省、国会その他の関係者に対し、以下
の事項を盛り込んだ割賦販売法の抜本的改正を求める。
記
1 クレジット会社の加盟店管理責任の明確化
クレジット会社は、加盟店の販売活動により多額の手数料収入を得ている
ことから、加盟店の審査、管理を怠りがちであり、悪質な販売をあえて排除し
ないこともある。
そこで、クレジット会社には、加盟店の行う不適正な取引にクレジット契
約が使用されることを防止すべき義務(不適正与信防止義務)があり、これに
違反したときは民事上の損害賠償義務が生じることを法文上、明確にすべきで
ある。
2 抗弁対抗の効果の拡大
現行法上、消費者は、クレジット会社に対し、加盟店に対して主張できる
事由を抗弁として、未払金の支払いは拒絶できるが(割賦販売法 30 条の 4)、
既払い割賦金の返還に関する規定は存しない。
そこで、被害救済の実効性を確保するために、クレジット契約の無効・取
消・解除事由が存する場合には、クレジット会社に既払い割賦金の返還義務を
負わせるべきである。
3 指定商品制、割賦要件の廃止
現行法上、政令による指定商品以外の商品、1、2回払いの取引等には法
規制が及ばない。(割賦販売法 2 条)
そこで、被害救済の範囲を広げるために、指定商品制や割賦要件を廃止し、
全ての商品に関する一括払いを含む全ての形態のクレジット契約に対して法規
制を及ぼすべきである。
4 過剰与信に対する規制
消費者の支払能力を超えるクレジット取引(過剰与信)は、詐欺的商法を
助長するばかりか、多重債務者を生み出す原因となっている。しかし、現行法
上、過剰与信の防止については規定があるものの(割賦販売法 38 条)、実効性
を欠いている。
そこで、実効性を担保するために、クレジット会社に対して消費者の支払
能力の調査を義務付け、総量規制を導入し一定額以上の与信を禁止するととも
に、これに違反するクレジット契約につき、消費者による取消・解除、クレジ
ット会社の請求権の制限等を認め、かつ、行政処分の対象とすべきである。
5 個品割賦購入斡旋取引に対する規制の導入
クレジットカードを使用しない個品割賦購入斡旋取引は、最も被害が多発
しているにもかかわらず、現行法上、クレジット会社において登録制でないな
ど、同取引は規制対象となっていない。
そこで、個品割賦購入斡旋取引につき、クレジット会社につき登録制を導入
し、クレジット会社に契約書面交付義務を課すとともに、消費者にクーリング・
オフの権利を認めるべきである。
2007(平成 19)年 12 月 25 日
会
長
徳島弁護士会
豊 永 寛 二
Fly UP