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車両腐食環境の定量化技術と解析手法の開発 Technology
No.33(2016) マツダ技報 論文・解説 13 車両腐食環境の定量化技術と解析手法の開発 Technology Development of the Vehicle Corrosion Environment Quantification and Analysis Method 福田 克弘*1 Katsuhiro Fukuda 山根 落岩 克哉*2 Katsuya Ochiiwa 園田 賢司*3 Kenji Sonoda *4 貴和 Takakazu Yamane 要 約 近年の自動車開発においては,車体の軽量化と高剛性の両立のための新金属材料や,電子制御デバイスの増 加により腐食評価が必要な部品点数は大幅に増加している。自動車は移動体であるため世界中のさまざまな環 境で使用される。このような状況下で個々の部品に対し,確実にねらいの防錆性能を発揮できるようにするに は,従来の特定市場を想定した実車促進腐食試験だけでなく,車両がさらされる腐食環境をコンピュータ上で 再現できる「市場環境モデル」を柱とするモデルベース開発の適用が有効である。そこで腐食環境を定量化す るため,腐食センサーの出力と環境因子を一括で記録可能な計測システムを構築した。市場の融雪塩散布地域 や海塩地域で使用される車両に,このシステムを搭載して計測し,市場の腐食環境を正確にとらえるデータ解 析方法を開発した。更に,開発した計測システムとデータ解析方法を車種開発に反映していく活動を行ったの で,これらの取り組みについて紹介する。 Summary In recent automobile development, the number of parts which require corrosion evaluation has been significantly increased due to an increase of new metal material or electronic control device to achieve both weight reduction and high rigidity of a vehicle body at the same time. Automobiles, moving objects, are used in different environments all over the world. Under the circumstances, not only accelerated corrosion test on-vehicle in the conventional particular market, but also adoption of model-based development focused on “market environment model” to reproduce corrosion environment to which vehicles are exposed on a computer are effective to certainly exhibit aimed anti-corrosion performance. We have built a measuring system which enables batch recording of corrosion sensor output and environmental factors to quantify corrosion environment. We have also developed a data analysis method to obtain corrosion environment in the market precisely by mounting that system to the vehicle used in area in which snow-melting salt is scattered or areas which are exposed to sea salt. Additionally, we have engaged in activities to reflect the measuring system and the data analysis method we developed to model development. In this paper, those activities are introduced. には,従来の特定市場を想定した実車促進腐食試験だけで 1. はじめに なく,地域の特徴を網羅した「市場環境モデル」と,それ 自動車は移動体であり,さまざまな天候や気温変化にさ を柱とする腐食モデルベースを適用した車種開発が有効と らされるため,車両周辺の腐食環境は時々刻々に変動する。 考えた。「市場環境モデル」を構築するためには,市場に しかも部品の構成や形状の複雑さから腐食条件が多岐にわ おいて移動中の自動車の必要な各部位の腐食環境を同時に たり,かつ複雑に絡み合うため,部位によって腐食環境は 測定できる計測システムの開発が必須である。 大きく異なる。海水がかかる島嶼地域や冬季の融雪塩の散 この課題の解決策として,橋梁や建造物の固定体の腐食 布が多い豪雪地域など,世界中のどのシーンで使用されて 環境を測定するツールとして幅広い分野で活用されている も全ての部品がねらいの防錆性能を発揮できるようにする ACM センサー(Atmospheric Corrosion Monitor Sensor) * 1~4 車両開発本部 Vehicle Development Div. -72- マツダ技報 No.33(2016) と呼ばれる,鉄の化学反応によって生じる電流をとらえる Table 1 Components of On-board System ことができる腐食センサーを用いた計測システムを構築し た。本報では,自動車用の計測システム構成と得られたデ ータの解析手法および「市場環境モデル」への適用につい て報告する。 2. 車載型腐食環境計測システムの構築 2.1 腐食環境計測に対する取り組みの考え方 これまでの防錆開発は,特定の市場を想定した車両腐食 を短期間で再現させる促進腐食試験を実車で行い,実際に ACM Sensor 発生した腐食に対して定性的な評価結果により良否判断を GPS Signal Measurement System 行っていた。また実車評価の場合,ボディー形状やパワー トレインのラインナップを全て網羅することが難しく代表 的な機種で評価を代用することがある。今後は軽量化のた めの新規材料の採用が拡大する見込みであり,腐食挙動が 異なる複数の材料や仕様に対し,正確な防錆性能評価を行 Onboard Camera Temp/Hum Sensor CAN Signal Power うためのプロセス開発が不可欠である。図面段階で市場の 腐食環境に耐える防錆仕様を決定するには,世界の各地域 の腐食環境と車両の各部位が受ける腐食環境条件を数値で Battery とらえることができる自動車用の腐食環境システムを構築 し仕様決定のプロセスを開発の初期段階に前倒しするモデ ルベース開発の適用が有効である(Fig. 1)。 for Parking Mode Fig. 2 Corrosion Environmental Measurement System 腐食環境計測システムに使用するセンサーは,自動車の 前提にシステムを構築した。また腐食は,走行中だけでな 複数の箇所で長期の計測が可能であることが条件となる。 く,駐車中も進行するため,エンジン停止後も連続して計 そのため下記の要件を満たしているACMセンサーを選定 測することが必要である。それに対応できるようにバッテ した。 リを搭載したシステムとした。Fig. 2に全体の腐食環境計 ・薄型/小型で車両への設置性が優れる ・車体への固定が容易である 測システムの概要を示す。 Battery ・入手性が優れる 2.2 車載型腐食環境計測システムの構築 ・ランニングコストに優れる 市場の腐食環境は天候による気温,湿度の変動や降雪 ACMセンサーを用いることで,腐食環境は電荷量での 時の融雪塩散布などの影響を強く受けることが分かってい 定量化が可能となる。更に,このデータと各地域における る。世界中で長期間のデータ収集を行うため,本システム 気象データ(温度/湿度など)との関係を明確にすること は,下記の要件を満たす計測システムの構築を行った。ま で,気象データから各地域の腐食レベル予測が可能になる た計測データは,Fig. 3に示すように複数の情報が一画面 と考えた。これに走行エリアが分かるGPS,走行条件が で比較表示可能とした。 分かるCAN信号(Controller Area Network:車載通信 規格)を同時記録するためにTable 1に示す項目の計測を 前提 Annual activity (BM & Market Research) Development Plan Drafting Drawing Evaluation Additional Process Quantify Corrosion Environment Vehicle Test Fig. 3 Data Analysis Windows ■Bank of First Process ■Bank of Second Process <計測システムの開発要件> Fig. 1 V Process of the Rust Prevention Development ・腐食メカニズム解明のため,市場で発生する腐食に関 -73- No.33(2016) マツダ技報 係する信号(腐食電流,温湿度,CAN 信号,走行動画等) 量 Electric Conductor の同期記録が可能であること Water Film ・自動車の部位ごとに異なる車両の腐食環境をとらえる Insulation Paste ため複数の ACM センサーが接続できること ・計測車両への計測器搭載が車両運行の妨げにならない Metal Base ようなシステムの小型化と操作が簡便であること ・ACM センサーにつながる配線が車外に露出させない Data Logger ためセンサーからロガー間は無線であること ・腐食は,走行中だけでなく,駐車時の腐食進行もとら Fig. 4 Operating Principle of the ACM Sensor えられるよう外部電源での連続計測が可能であること ・腐食環境条件を網羅するため,四季を通じて長期間モ Fe is conducted with Ag through a water film. FeとAgが水膜により導通する ↓ Galvanic current (A) is generated. 電池化により電流(A)発生 ↓ Electric current is converted to coulomb (C). 電荷量:クーロン(C)に換算 ↓ Index of corrosion environment 腐食環境の指標 ニタできること 3. 腐食環境定量化手法の開発 3.1 腐食環境定量化手法の技術課題 橋梁等の大気曝露による腐食環境の定量化に用いられて いるACMセンサーは,両金属間に水膜が形成される時に 発生するガルバニック電流を直接データとして取り込む構 造である(Fig. 4)。 そのため,降雨などによって電極間に水膜が形成された Fig. 5 Flow of the Environmental Index 場合は,実際の腐食環境よりも過大に出力する特性がある Test Drive ことが知られている(1)(2)。しかし,過大に出力する特性へ の補正方法などは確立されていない。 自動車への活用は,ACMセンサーが出力した電流値を 電荷量(クーロン(C))に換算し腐食環境の指標にする 手順としている(Fig. 5)。自動車は降雨などで濡れた路 Salt Splay road 面を走行するため,大気曝露に比べ濡れ時間の割合,およ び濡れ量が圧倒的に大きいといえる。 そこで,自動車の使用環境を想定した ACM センサー出 Test in Chamber 力の補正方法について検討を行った。 Chipping Road Repetition 3.2 腐食環境データの解析手法 (1)実験方法 鋼板腐食量と ACM センサー出力から得られる積算クー ロン量(経過時間で変化する電荷量を積算したもの)の相 関性を得るための補正方法として,ACM センサー出力の Fig. 6 Total Vehicle Accelerated Corrosion Cycle 過大出力のしきい値(A)を明らかにするため,ACM セン サーと裸鋼鈑を同じ場所にセットし,積算クーロン量と鋼 る場所を選んでおり,この場所と二つのグループが一致し 鈑腐食速度の比較を行った。腐食環境は,ACM センサー たことから,濡れ量の大小が積算クーロン量に影響を与え と裸鋼鈑の濡れ条件を一定にするため,塩水の散布と,高 たことは明らかである。そこで,実際の鋼鈑腐食速度に対 温恒湿の曝露を繰り返す実車の腐食試験にて実験を行った し積算クーロン量が過大になったと考えられる濡れ量大の (Fig. 6)。 グループ B が,濡れ量小のグループ A と同レベルの積算 (2)実験結果と考察 クーロン量になる ACM センサー出力値の補正方法を検討 腐食試験車両を用いた一定期間の評価後,Fig. 7 に示す した。ACM センサーの出力(A)に対する水膜厚さの影響 場所 6 点の ACM センサー出力から得られる積算クーロン を確認するため,実験的に,ACM センサーの出力(A)と 量と鋼鈑の板厚減少量を比較したところ,濡れ量大と濡れ センサー表面に形成する水膜厚さの関係を検証した。なお 量小で二つのグループに分かれた(Fig. 8) 。センサーの 水膜厚さは ACM センサー表面積に対しての水重量で換算 貼り付け部位を設定する際に,濡れ量の大小で比較ができ している。 -74- マツダ技報 No.33(2016) 合における積算クーロン量と鋼鈑の板厚減少量の関係を Moist Area Fig. 11 に示す。Fig. 8 で見られたグループ化の傾向が改善 Rear Door Roof ACM sensor output (mA) しているのが分かる。 Trunk Lid Wet Area Under Cover Wheel House Rear Frame R² = 0.2185 0.3 Group A: Moist Area 0.1 0.15 0.1 0.05 Threshold Value (mA) Thickness Reduction(mm) 0.5 0.2 0.2 0 0 50 Thickness of water film (μm) 100 Fig. 9 Relation of the ACM Output and Thickness of Water Fig. 7 Location of ACM Sensors and Exposed 0.4 0.25 Group B: Wet Area Case B Case A Data Removed Area Data Removed Area Time Time Fig. 10 Verification Image of the Threshold 0 0 100 200 Integrated Coulomb (C/Year) Table 2 Relation of Verification Condition and Substitution Value Fig. 8 Relation of Coulomb and the Reduction of Steel Thickness その結果,水膜の厚さと,ACM センサーの出力は比例 の関係にあることが確認できた。一般的に,水膜が厚くな る雨天時(濡れ環境)よりも霧などの細かい水の粒子で薄 い水膜形成する条件(湿り環境)で腐食は進行するといわ れている(3)。次に Tomashov モデルで湿り腐食と濡れ腐食 の境界とされる水膜約 50μm(4) との関係をみることにした。 n=3 のサンプルデータ平均値から得られた近似線と ACM そこで ACM センサーの出力に対し「しきい値=0.1mA」 とすることの妥当性について検証するため,しきい値を 0.05mA,0.15mA および 0.20mA とした場合の計算も合 わせて行った。その時に,しきい値を超えた部分の出力値 のみを取り除いたケース A としきい値を超えた時間帯の出 力値を全て取り除いたケース B について分析した(Fig. 10)。その結果,しきい値は 0.1mA でケース B の場合が 最も良い相関が得られたことから,ACM センサー出力値 における濡れと湿りの境界値 0.1mA は妥当と判断した (Table 2)。このしきい値:0.1mA でケース B とした場 -75- Thickness Reduction(mm) センサー出力をみたところ濡れ量過大の境界は 0.1mA に あることが分かり,これをしきい値とした(Fig. 9)。 Over 0.1mA ⇒0mA ば, 0.6 0.4 0.2 R² = 0.701 0 0 20 40 60 Integrated Coulomb(C) 80 Fig. 11 Relation of Coulomb and the Reduction of Steel Thickness (with Data Revision) No.33(2016) マツダ技報 この結果の要因について考察する。水膜厚さと腐食速度 の関係が水膜中の溶存酸素量によって左右されるのであれ 正を行うことで目標クーロン(C)に近づいており,しき い値 0.1mA は妥当である。 ば,厚い水膜でも腐食は進行するため 0.1mA を超えた場 Before Revision Revision using 0.1mA 合の ACM センサー出力値はケース A のように一定値で残 Coulomb (C/year) すのが妥当と考えられるが,実際には異なった結果が得ら れた。これは実験室の静的環境で作り出される水膜と,自 動車走行環境下の動的な水膜に異なる条件があること,つ まり自動車走行環境下の水膜中では腐食速度が停滞し腐食 が進行しにくいことが考えられる。この原因として,走行 中の激しいスプラッシュによって水膜の厚さが厚くなるこ 1000 Target Line of Coulomb Value 500 0 F wheel house Roof Measurement Area とと,表面の腐食因子が洗い流されるため,酸化還元が発 生するポイントが常に変動し定着しないためと判断した(3)。 (3)検証結果 Fig. 13 Validity of the Revision by Threshold 0.1mA これまで市場を模擬した促進腐食試験による実験を行っ てきた。実際に自動車が使われる市場条件においても 0.1 2)ACM センサーの出力値と走行の関係 次に ACM センサーの出力値がどのような環境条件で mA がしきい値で問題がないことを明らかにするため,国 内市場で最も腐食環境が厳しい沖縄を実走した時のデータ 0.1mA を超えているのかを検証するため CAN 信号から得 を分析する。 た車速との関係を調べた。Fig. 14 に沖縄県名護市のある 1 2014 年の沖縄における温湿度のデータを,2014 年の札 日(24h)の ACM センサー出力を示す。走行中に出力す 幌と山形のデータと比較して示す(Fig. 12)。沖縄の気温 る条件は,ほとんどが雨天や水たまりへの侵入時である。 は年間を通しても 15℃以下にならないために化学反応が起 一方で,停車中の出力は,雨天を除き 0.1mA 以下である こりやすく,相対湿度が低い真冬を除き,ほぼ一年中,海塩 ことが分かった。 粒子が潮解する湿度条件にあり,過酷な腐食環境であるとい える(5)。 Roof Temp. ℃ Veh. Speed Amb. Temp. Temp.(℃) / Veh.Speed(km/h) 100 RH(%) Okinawa Yamagata Sapporo 100 80 25 60 RH% 15 40 5 80 60 May Jun Jul Aug Sep Oct Nov Dec 0 Jan Feb Mar Apr -5 Fig. 12 Temperature-Humidity Data of Okinawa 1)市場腐食環境データとしきい値 0.1mA の関係 沖縄で収集した腐食環境データと腐食試験車両と同じ部 位に貼り付けた裸鋼鈑の板厚減少量のデータを使い,しき い値 0.1mA の妥当性を検証した。なお裸鋼板の板厚減少 量は一様条件の腐食試験から算出したクーロン(C)に置 き換え,目標値とした。0.1mA をしきい値とする補正前と 補正後と目標クーロン(C)の関係を Fig. 13 に示す。補 -76- Dew Condensation Condition 40 20 0 10:45 20 ACM Sensor Output (mA) Amb.Temp (℃) 35 Dew Point temp.℃ RH(%) 0.5 0.4 15:45 Driving ☆Rainy ☆Rainy 0.1 0.0 10:45 6:45 Lift Gate Roof Panel AC Condenser Wheel House 0.3 0.2 20:45 1:45 Parking 15:45 ACM Sensor Output 20:45 Time 1:45 6:45 Fig. 14 ACM Output Data of Okinawa(24h) マツダ技報 No.33(2016) また東北地方のデータに関して同じ傾向が見られること 5. おわりに を確認できている。このことから,融雪塩,海塩粒子環境 を問わず,0.1mA を境界に走行と停車を大別できるため, (1)車載型腐食環境計測システムの構築 0.1mA のしきい値は妥当性がある。つまり走行中の ACM ACM センサーを用いた自動車用の車載型腐食環境計測 センサー出力値は実際の腐食環境より過大であり,停車中 システムを構築した。 のデータのみが有効であるといえる。 (2)腐食環境データ解析手法の開発 3)ACM センサーの出力値と温湿度の関係 ACM センサーは,降雨等によってセンサー上に水膜が 次に停車中に ACM センサーから信号が出力される理由 形成される場合,実際の腐食環境よりも過大に出力する特 について温湿度との関係を調べた。一般的に気象学では気 性があるため,以下の補正方法が有効であることが分かっ 温上昇⇒湿度低下,気温低下⇒湿度上昇の関係にあるとい た。 われており,夜間は湿度が上昇している。車体に付着した ・濡れ量が多い(水膜 50μm 以上)環境においては, 塩分が,夜間の結露/潮解により水分を吸着し腐食を進行 0.1mA を超える場合の ACM センサー出力値を 0 にするこ させていると考えた。その結果,外気温は露点より低くな とで試験データの腐食速度と積算クーロン量の相関性が得 った際の結露条件で ACM センサーが出力しており,潮解 られる により腐食が発生していることがデータで確認できた (3)実際に自動車の腐食が進行するのは走行中ではなく, (Fig. 14)。 夜間の結露/潮解現象により発生している (4)車載型腐食環境計測システムで得たデータは,市場 4. 市場腐食環境データの今後の展開 の腐食環境を正確にとらえており,腐食モデルベース開発 腐食環境計測システムで得られたデータは今後,ユニッ のインプット情報として十分に活用できる。 トごとのバーチャル評価につなげていく。腐食のバーチャ 参考文献 ル評価は,市場モデルとして腐食環境条件を正確に把握し, それをベースに腐食モデルベースを構築する(Fig. 15) 。 (1) 押川:沖縄における金属の腐食と環境評価, 今回,定量化に成功した腐食環境データをデータベースに ウェザリング技術研究成果発表会,pp76-77(2013) 集約することで各市場の特徴を容易に分析することが可能 (2) となった。一例として沖縄と東北地方のデータを比較分析 篠原:大気腐食評価技術に関わる最近の進歩と今後の 展望,材料と環境,63,pp116-120(2014) した結果を紹介する。それぞれ腐食環境が異なる部位に (3) 増子:さびのおはなし,pp74-75(2014) ACM センサーを設置し検証した結果,アッパーボディー (4) 細矢ほか:炭素鋼の腐食速度と海塩を含む水膜の厚さ の関係,材料と環境,54,pp391-395(2005) は沖縄,アンダーボディーは東北の腐食環境がより過酷で (5) あることが実証できた。 過去の気象データ検索,国土交通省 気象庁 HP http://www.data.jma.go.jp/obd/stats/etrn/index.php これは海塩粒子が飛来する沖縄の環境と融雪塩を含んだ 水をタイヤで跳ね上げる東北の地域的特徴を正確にとらえ 調査日:2015/10/20 ることができており,腐食モデルベースのインプット情報 となる市場モデルとして十分に活用できるレベルのデータ ■著 者■ となっている。 Paint Water Temp Hum. Structure Material Corrosion Restraint Period 福田 克弘 Corrosion Speed New Step: Addition of the Quantification Process for Each Part Fig. 15 IPO Chart of the Corrosion CAE 山根 貴和 -77- 落岩 克哉 園田 賢司