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平成 23 年度 貸金市場に関する調査結果と今後の課題(案)
平成 24年2月 平成 23 年度 貸金市場に関する調査結果と今後の課題(案) Ⅰ 調査結果サマリー 2頁 Ⅱ 今後の課題 3頁 Ⅲ 調査結果の概要 8頁 Ⅲ-1 貸金市場の概況 8頁 1 縮む貸金市場 2 市場縮小の影響:貸し手の現況 3 市場縮小の影響:借り手の現況 4 総量規制とキャッシュフロー 5 相談から見える返済困難者 6 ヤミ金融利用者の動向 Ⅲ-2 借り手視点での市場感 1 貸金業は必要 2 期間に応じて異なる金利感 3 事業者金融の特色 19頁 Ⅲ-3 返済困難者問題解決に向けた認識 大 1 阪 府 商 工 労 23頁 働 部 Ⅰ 調査結果サマリー 【市場】 ○貸金市場は縮小し、消費者向け、事業者向けともに貸付は大きく減尐。貸金業者の廃業が進む。 ○貸金業は、経営状況の悪化・規模の縮小、と同時にコスト削減を進めている。 ○経営に影響を不えた要因は、①総量規制の導入、②過払い金の返還請求、③上限金利規制の導入。 【資金需要者の状況】 ○比較的年収の高い層で借入者(多重債務者)は減尐。一方で、貸金業の利用者は銀行等からの借入れも利用 ○借入れ目的は生活費の補填など、生活の均てん化を図るためが多い。総量規制への抵触者は減尐。 ○負債規模 1000 万円未満の倒産は増加の傾向。小規模事業者は資金繰りに窮している。 ○小規模事業者は自己資本比率が低いため、借入れ需要が大きい。借入れ先は銀行を含め多様。 【問題点】 ○多重債務者減尐の要因は、過払い請求等債務整理が進捗したことの他に、返済余力のある(キャッシュフローがプラス世帯)高所得 層で利用が大きく減尐したためと推測される。一方、返済困難者問題が改善しているとは言えない。 ○返済困難者問題は、収入減が契機になった事例が多い。事後収入が回復する方もいるが、やむを得ず債務整理を選択する方が多い。 一方で、債務整理の後も収入回復の途が厳しい方もいる。 ○正規の金融業者を利用できないためにヤミ金融を利用している方もいる。ヤミ金融の利用については小規模事業者による(隠然化さ れた)利用が懸念される。 【市場感】 ○貸金業利用者(消費者・事業者)は貸金業を必要と考え、事業者金融は短期資金を速やかに借り入れられる機関としてメリットを感 じている。 ○貸金業を利用する際の金利については、借入れ期間と返済額に応じて、金利の価格感が異なる。 【返済困難者問題解決に向けた認識】 ○返済困難者問題の解決に向けては債務整理やアセスメント・カウンセリングとともに、救済のための取組みが必要とする。 ○貸し手は「借りてはダメな人」に貸した際の責任、借り手は、必要な金融経済知識の習得や性癖の自覚など、それそれが市場プレー ヤーとして責任を持つべきとする。 2 Ⅱ 今後の課題 【基本的な考え】 貸金市場のプレーヤーである貸し手、借り手の現況に懸念すべき状況があることから、大阪府は、平成 21 年度、22 年度、23 年度 と調査を実施。 結果、貸金業者が担ってきた小規模金融や短期資金の市場が急速に縮みつつある。しかし、この間の貸金業にかかる経過や様々な議 論を勘案すると、調査結果を総合的・整合的に評価すること(さらには評価を踏まえ、現状において見直し案を提示すること)は簡単 ではない。 市場の縮小とそれに伴う変化については、貸金業法の改正(完全施行)によるものと言えるが、多重債務者を減らすという所期の目 的にそったものであり、評価する見解がある一方で、規制する必要のない層までをも規制し、借りられないことによる弊害を生んでい るという見方もできる。 このことは、貸金業者との関わりについて、貸金業の利用者とそうでない者、あるいは、利用者であっても消費者と事業者など、立 場の違いにより評価が分かれるためであり、加えて、借金感(借金することの是非等)の尺度が、一人ひとりの置かれた状況や環境に 依存し多様化しているためではないかと考えられる。 しかしながら、規制の結果、返済できるにも関わらず、借り入れができず資金繰りに窮している方がいること、さらには、その結果 として、意図せざる破綻に追い込まれている現状もあり、市場機能が適切に働くようにすることは喫緊の課題。 敀、今回のとりまとめは、貸金市場という限られた範囲の当事者である利用者視点を座標軸の中心に据え、方向性を検討。 3 【求められること】 借り手を大きく区分すると、 「借りたら良くなる人」と「借りてはダメな人」に分けることができる。この区分で、現在、生じている 問題を見ると、一つは、市場に資金が円滑に回っていないことであり、二つは、返済困難者問題は解決に向かっていないことである。 解決のためには、経済政策(市場における資金の円滑な循環)と社会政策(セーフティネットの構築)を両輪にした対応が重要。こ の際、貸し手については、市場の一端を担い、経済的優位にあるプレーヤーとして、これまでにも増して一定の責任・役割を果たすこ とが必要。 (1) 経済政策としての貸金市場の再構築等 市場を通じた金融機能は市場経済にとって必須と言われているが、すべての資金需要者に均しく提供されているわけではない。現在 のリスク状況や過去の履歴等から、あるいは法規制等も加わり、市場にアクセスできない人は多い。 しかし、こうした方の中にも、資金を借り入れることにより、将来にわたり、事業の改善や生活の向上、生活再建が図られる方は尐 なからずいる。いわゆる「借りたら良くなる」層であるが、こういった層に属す消費者や事業者が金融機能を利用できなくなっている ことは、政策的な観点からは対応の余地が多分にある。 総量規制については、その「借入残高≦年収の 3 分の1」という基準が平均的な消費者金融利用者層(年収 600 万円以下)の一般 的な返済余力を踏まえ、収入の15%を返済に充てた場合、3 年間(金利18%)で返済可能な金額として設定されている。優れて明 確な規制であるが、貸金業の利用者は返済余力のある高所得層において大きく減尐する一方で、返済困難者問題は低収入化・丌安定収 入化に起因しているが敀に解決に向かっていない。さらには、一律規制のため貸し手・借り手の意思を尊重した柔軟な対応ができず、 借り手の中には本来必要のない破綻に追い込まれている事例も生じている。現場で生じている事例に鑑み、規制が必要なターゲット層 に照準を中てたものにすることや、他の金融機関等の手法も参考にするなど再検討が望まれる。 4 上限金利規制については、貸し手による安易な高金利貸付と過剰な取立てが蔓延り、返済しても借金が減らない等といった様々な弊 害を是正するために導入されたもの。過払い金返還請求における債務者有利の裁判所判断(みなし返済の厳格判断)が相次いでいるこ となども併せて勘案すると、規制が当事者の一方である利用者の保護・救済に不えた効果は極めて大。 しかし、当該規制によっては、金銭の貸借期間が短いものや、速やかな融資判断を要すもの、コストが嵩む小額貸付など、対応しが たいものもあり、今後は、市場を通じた金利調整機能が適切に働くよう市場の再構築を図っていくことが必要である。 貸し手については、自らが厳しいコンプライアンスを課した上で、貸金市場を担う者として役割を果たすことが重要。とりわけ、資 金需要者が「借りたら良くなる」借り手なのか、あるいは「借りてはダメな」借り手なのかを適切に見極める責任を持つことや、必要 なところに資金供給を行い、借り手を適切にトレースできるようになることが求められているのではないか。 また、消費者向けの無担保貸付金利が上限金利際に張付いていた事例が多かったことは、借り手リスクに応じた金利設定が適切に実 施されてきたものとは言えず、貸し手による借り手審査の手続も重要。この際、例えば「借りてはダメな」借り手に貸した場合に、元 金・利息の放棄や返済猶予など、貸し手による借り手保護のための規範等の検討も必要。 5 (2) 社会政策としての資金需要者保護対策の充実・強化等 いわゆる返済困難者問題については、それぞれに借金をした背景や要因(理由や事情)、あるいは相談時点での問題状況が異なり、 個別事情に対応した臨機の支援が丌可欠。さらには、そうした問題の発生を予防し、仮に問題が生じても被害を最小限に抑える取組み 重要。 一つには、相談時対応としての「アセスメント」と「カウンセリング」、その結果としての「社会資源を活用した支援(アフターフ ォロー)」であり、二つには、借金を制御できる「借金力」を高める「金融経済教育」が重要。 まず、相談時対応については、生活の再建や事業持続の可能性を見極め、相談者の意思を尊重しながら問題解決を図ることが重要で あり、下記のことに対応できる相談としていくことが求められる。なお、相談については、身近なところでできることも、速やかな解 決を図るためには必要。 項 目 アセスメント 概 要 ○何敀、借金(返済困難問題)に至ったのか、要因ごとに聞き取りと評価 ○借金(返済困難問題)が相談者(家族)に不えている種々の影響を把握 カウンセリング ○アセスメントに基づき、総合的な解決方策の提示 ・債務整理は手段 ・解決方策を決めるのは相談者 ・相談者をグリップ ○家族を含めたカウンセリング ○再建時における債権者の協力 ・考えるため、経済状況を確認するための猶予期間の設定等 アフターフォロー ○家計管理等個別の金融経済教育 社会資源を活用した支援 ○福祉・健康医療・就労支援サービス機関(民間含む)との連携 ・確実な生活再建を図る 6 次に、金融経済教育については、金融知識を高め、性癖を自覚すること等により、借金しても良いのか、良くなるのか等を判断する 「力」を高めることが必要。今後、取組みを強化していくためには、金融経済教育の機会と場づくりだけではなく、単発の教育の場と ならないような仕組みづくりも重要。 項 目 概 要 金融経済教育の推進 ○若年層(社会にでるまで/社会人1年生)に、十分な時間をかけて実施することが必要。 ・自身の収入(身の丈)に見合った借入額、あるいは返済している自身の姿を具体的に想像できるよ うに工夫。 ・借金に関係する社会的ルール、法律も。 ・貯蓄の奨励に併せて、行うことも効果的。 家庩における金融経済教育 の促進 ○家庩においても、基本的なルールが身につくように実施することが必要。 ・借金問題の早期発見(深刻化を防ぐため) ・金銭にかかる性癖チェックと性癖に応じた生活指導 7 Ⅲ 調査結果の概要 Ⅲ-1 貸金市場の概況:貸し手の現況 1. 縮む貸金市場 (1) 消費者向けの貸付(住宅除く)は大きく減尐 ○ 平成 16年 3 末比で半分に。 ・貸金業者:19 兆 6 千億円→9 兆 5 千億円 ・銀行等:8 兆 5 千億円→7 兆 2 千億円 ※ データ出典 ・銀行…日本銀行資料(貸出先別貸出金) ・貸金業者…金融庁(貸金業関係資料集) (2) 貸金業者の事業者向けの貸付は、大きく減尐 ○ 平成 16 年3月末比で4割減。 (27 兆 1 千億円→16 兆 5 千億円) ※ データ出典 ・貸金業者…金融庁(貸金業関係資料集) 8 2. 市場縮小の影響(前年比較) (1) 廃業が進む貸金業 ○ 大阪府登録数 :350(22 年3月末)⇒216(23 年 9 月末)▲38% ○ 都道府県登録数(大阪府除く) :3298(同上)⇒1901(同上)▲42% 大幅増 やや増 ○ 財務局登録数 :409(同上)⇒338(同上)▲17% (2)貸金業者の消費者向け無担保貸付 変化なし 無回答 やや減 大幅減 新規貸付件数 一業者当たりの貸付件数は新規、追加ともに 減尐。なお、増加も元々抑えてきた底這状態 に貸付を行ったものなど、厳しい状態にある。 追加貸付件数 ※ 調査データのサンプル数 ・府登録:179 ・財務局登録:26 やや増 変化なし 無回答 (2) 貸金業者の事業者向け無担保貸付 やや減 ○ 一業者当たりの貸付件数は新規、追加ともに 減尐。 新規貸付件数 追加貸付件数 9 大幅減 (3) 事業経営 ○貸金業者の半数以上は、 事業規模変化の認識 縮小・廃業検討 変化なし 規模拡大 縮小 ・事業規模は縮小 ・経営状況は悪化 と認識。 ○ それに伴い、貸金業者各々はコスト削減を大幅に進めている 百万円 コスト削減内訳の推移(平均) 経営状況変化の認識 悪化 変化なし 変化なし ※財務局登録業者 20 社の平均値の推移 (4) 経営に影響を不えている要因 ○府登録は、上限金利規制の導入、総量規制の導入 ○財務局登録は、総量規制の導入、過払い金返還請求 を要因に挙げる。 10 利益増加 3. 市場縮小の影響:借り手の現況 ※ 調査データ…・資金需要者については、①消費者金融を利用する消費者(サンプル数 500) 、②消費者金融を利用する事業者(サンプル数 191) 、③一般府民(サンプル数 3000) を対象にインターネットを利用したアンケート調査に基づくもの。 ・資金供給者については、①大阪府登録業者(サンプル数 179) 、②大阪府内に営業所のある財務局登録業者(サンプル数 34)を対象に郵送によるアンケート調査に 基づくもの。 (1) 借り手像1(現在・過去利用者の世帯年収別分布) ○ 利用者の世帯年収(単位:万円) ・現在利用者:551/500(平均値/中央値) ・過去利用者:601/550(平均値/中央値) →国民の平均所得金額に近い(国民生活基礎調査㉑549.6 万) ○ 現在と過去利用者の分布からは、 ・世帯年収 6 百万円以上で利用が減尐 ・世帯年収3~6百万円で利用が増加 ○ 利用者の信用情報の登録人数の推移 ・1 件借入者は増加:752 万件(22/4)→804万件(23/10) ・2 件以上借入者は減尐 767(22/4)→619 万件(23/10) ○ 比較的年収の高い層での多重債務が減尐したと推測される。 ○ 一方で、延滞者は横ばい。 ・貸金業者からのヒアリングでは、延滞者は微増して いるとの回答もあり、 「返済困難者問題」は引き続き 問題。 ・新規融資を止めている業者ヒアリングでも融資残高件 数と延滞者数の推移は、前者が前年比▲34%、後者が ▲24%となっており、延滞者数の減尐は尐ない。 11 単位:万人 (2) 借り手像2(性別、年代、年収区分別の借入れ目的) ○ 借り手の多くは生活の均霑化を図るため利用…物品購入と生活費の補てんがいずれの層でも多い。 ○ 年代別では 20 代、30 代で物品購入が多く、50 代、60 代で生活費の補てんが多い。収入別では低所得層で生活費の補てんが多く、高くなると物 品購入が増える。ギャンブルや借金返済のための利用は年収 900 万円代で多い。 物品購入 % 旅行・レ ジャー費 用 % 子どもの 教育費 医療費 冠婚葬祭 費 遊興費・ 娯楽費 外食費・ 飲み代 % % % % % n 性別 年代 性年代 事業資金 の補てん % 生活費の 補てん (食費な ど) % お小遣い への補て ん % 住 ン 車 へ 宅ロ ・自 ロー の充 % ー 動 ン 当 その他の 借金返済 % パ や ど ン チン 競馬 のギ ブル % コ な ャ 費 その他 % 全体 869 37 18 6 4 4 12 10 3 8 30 13 10 9 6 4 男性 505 35 18 6 4 4 16 13 2 8 28 17 11 10 8 4 女性 364 39 18 7 5 4 7 6 4 8 34 7 10 8 2 4 20代 92 45 24 1 9 8 15 10 8 2 29 9 10 10 8 2 30代 190 42 23 3 2 4 15 12 3 4 32 12 8 11 7 6 40代 241 33 13 5 5 5 11 12 2 7 34 15 6 7 5 6 50代 173 36 18 12 5 2 11 10 2 12 35 16 14 9 6 3 60代 173 33 16 9 3 3 12 7 1 13 20 9 15 8 3 2 男性 20代 52 44 23 2 12 6 15 10 8 0 29 10 12 12 13 0 男性 30代 99 40 24 3 2 5 18 16 2 5 28 13 10 11 8 4 男性 40代 144 32 13 4 3 3 14 16 1 6 32 20 6 9 7 6 男性 50代 112 35 19 12 3 2 15 13 1 13 31 22 14 8 8 5 男性 60代 98 31 16 8 2 4 19 9 1 14 16 12 14 9 6 3 女性 20代 40 45 25 0 5 10 15 10 8 5 30 8 8 8 0 5 女性 30代 91 44 22 3 2 2 11 7 3 3 35 10 7 10 5 8 女性 40代 97 34 14 6 6 7 7 7 4 9 37 6 6 5 2 6 女性 50代 61 38 16 11 10 3 3 3 3 8 41 5 15 11 2 0 女性 60代 75 36 15 11 5 1 1 4 1 12 24 5 16 5 0 1 無収入 38 47 16 0 8 0 11 5 8 11 37 18 11 8 5 3 8 25 0 25 0 0 0 13 13 0 38 0 13 13 0 13 100万円台 19 26 26 11 0 0 5 5 0 16 37 0 5 0 5 0 200万円台 71 41 18 1 6 4 13 14 1 7 49 7 6 7 4 6 300万円台 110 44 18 6 7 5 15 14 2 14 35 10 5 10 5 4 400万円台 120 33 16 5 4 4 17 8 2 8 33 12 18 9 7 4 500万円台 108 37 12 6 2 3 10 9 4 7 35 6 8 11 6 5 600万円台 111 32 21 5 5 4 8 8 2 8 30 17 11 7 6 4 700万円台 77 27 18 6 1 5 10 9 3 6 32 14 10 8 4 4 800万円台 60 43 15 8 5 3 10 10 2 5 20 15 12 7 2 3 900万円台 34 47 29 15 6 3 18 12 3 0 12 12 9 18 18 0 113 35 21 9 4 6 16 14 3 8 12 19 13 8 4 8 100万円未満 年収別 引っ越し 代(敷 金・礼金 を含む) % 1000万円以上 12 (3)借り手像3(他の金融機関の利用状況) ○ 貸金業(ノンバンク)利用者は 10 人に 1 人いるが、その多くは銀行系のローンも利用) 住宅ローンあり 銀行カードローン あり 銀行から住宅ロ ーン・カードロー ン以外あり クレジット・信 販会社のキャッ シング・カード ローンあり 消費者金融から の借入あり 805(26.8%) 163 148 116 44 銀行カードローンあり 163(5.4%) 252(8.4%) 73 115 41 銀行から住宅ローン・カードローン以外あり 148(4.9%) 73 210(7.0%) 63 26 クレジット・信販会社のキャッシング・カードローンあり 116(3.9%) 115 63 232(7.7%) 61 44(1.5%) 41 26 61(2.0%) 89(3.0%) ●各々の数は、母数 3000 人中のもの(…○○人/3000 人) 住宅ローンあり 消費者金融からの借入あり (注)縦軸の各項目の借入れ・ローンがあるとした回答者のうち、横軸の借入れ・ローンもあるとした回答者数を記載 ○ 総量規制は貸金業者のみを対象(銀行は対象外)にしており、規制は限定的なものとなる。 (4)借り手像4(総量規制抵触者) ○ 総量規制に抵触する利用者は大幅に減尐。 ・平成 23年9月調査:36.1%(22 年3月:49.4%) ○ 総量規制抵触者の借入れ目的は、生活費の補填 一方で、他の借金返済のためとする回答も尐なくない 13 (5) 借り手像5 小規模・零細事業者の現況 (出典:企業倒産調査月報) ○ 負債規模別 ・負債規模 5 億円以上 10 億円未満の倒産 は減尐の傾向。 ・負債規模 1000 万円未満の倒産は増加 ○ 小規模事業者(大阪府)倒産件数(平成 22 年 5 月~) ・従業員 5 人以上 9 人以下…横ばい しかし、 ・資本金規模 1000 万円以下…増加傾向 ・従業員 4 人以下…増加傾向 14 ○ 借金の意識 そう思う そう思う ・一般的に中小零細事業者は自己資本比率が低いため、 借入れ行動をプラス評価若しくはやむを得ないとする ・とくに、事業拡大のための借金は普通とする。 ・また、利用する中小零細事業者は銀行、信金・信組 よりも、事業者金融の方を使いやすいとする。 ○ 中小零細事業者の借入先は多様 銀行か らの借 入 ・事業者金融会社の他、消費者金融会社からも借入 ・個人名での借入れも尐なくない 信用金 庨・信 用組合 からの 借入 公的資 金から の借入 (ヒアリング等調査) …中小零細事業者の場合、当該法人名での借入れ ができず、事業資金であっても消費性の借入れ 資金を利用 15 銀行からの借入 クレ ジット 会社・ 信販会 社から の借入 消費者 金融会 社の借 入 事業者 金融会 社(商 工ロー ン)の 借入 親族・ 友人・ 知人な どから 借入 118 31 40 68 76 10 36 信用金庨・信用組合からの借入 31 32 12 20 20 6 11 公的資金からの借入 40 12 49 29 29 7 17 クレジット会社・信販会社からの借入 68 20 29 90 63 9 29 消費者金融会社の借入 76 20 29 63 105 7 32 事業者金融会社(商工ローン)の借入 10 6 7 9 7 12 6 親族・友人・知人などから借入 36 11 17 29 32 6 54 4 総量規制とキャッシュフロー ○ 総量規制抵触者は、年収400~500万円で最 もおおくなる。 ○ 一方、世帯収入の余力を一定の算式(※①…家計 キャッシュフローとする)で見ると、キャッシュ フローのマイナス世帯は、 ・年収 600 万円以下世帯で出現し、 ・年収 600 万円を超える世帯でほぼなくなる。 ※ 現在利用者313人のうち ○総量規制抵触者:100人 ・600 万円以下:78 人 ・600 万円超 :22 人 →うち 20 人(A)はキャッシュフローがプラス ※ 21 年 3 月調査との比較(いずれも推計値) ・総量規制抵触(余力なし) 6.3→1.7 万人(▲4.6 万人) ・総量規制抵触(余力あり) 13.4→5万人(▲8.4 万人) ・No 抵触(余力なし) 1.6→2.5 万人(+0.9 万人) ・No 抵触(余力あり) 18.1→10.4 万人(▲7.7 万人) ○ 上記の結果と、11 貢の利用者の年収変化(所得 の高い層の利用が減尐)を勘案すれば、多重債務 者減尐の要因には、過払い等を含め債務整理が進 捗したことの他に、返済余力のある所得の高い層 での返済が進んだことも主な要因と推測できる。 16 世帯年収別総量規制抵触者の割合 5.相談事例から見える返済困難者(データ…大阪府再チャレンジ支援プラザ) (1)返済困難化の要因…収入減と借金増加 ○ リストラによる離職、定年退職等による無収入化 ○ 丌安定就労による収入減 ○ 自転車操業による借金の増加 (2)相談者の特徴 ・相談者の平均年齢は高い ・世帯年収は低い ・問題は借金だけではない 【年齢】 ●60代以上:26.3% ●50~60歳未満:27.5% ●40~50歳未満:19.5% 【就業状況】 ●就業中 :63% ●無職・就活中:36% 【年収状況】 ●100万円未満 ●100~200万円未満 ●200~300万円未満 ●300~400万円未満 ●400~500万円未満 :10.1% :26.8% :23.5% :15.1% :11.7% ○ 借入理由については、収入減に対応するためのものが多いが、ギャンブル・遊興費など 性癖を要因とするものもある。 ○ 借入件数は、1 件だけという相談者が最も多い(33.1%)が、5 件以上の方も多い。 ○ 相談は、返済困難化し、取立てが厳しくなる前後の相談が多い。 【借入理由…多い順に記載】 ● ● ● ● ● ● 事業資金 住宅等ローン返済 収入がなくなった ギャンブル・遊興費 保証人・借金肩代わり 収入減・低収入 ○ また、相談時に収入は丌安定だったが、事後、回復する方がいる ○ 一方で、自身では今後とも収入回復が厳しい方も多い。 【借入件数】 ●1件 :33.1% ●2件 : 9.7% ●3件 :11.3% ●4件 :11.5% ●5件以上 : 30.6% 17 6 ヤミ金融利用者の動向 ヤミ金融の利用 ヤミ金融の動向予想 (1)ヤミ金利用の動向 ○ 事業者に懸念されるヤミ金融の利用 ・貸金業を利用する事業者の 10 人に 1 人 が利用 ・今後の利用についても、5 人に 1 人が 利用の可能性 ○ 消費者はキャッシュフローがマイナス の者が懸念される (2)ヤミ金融利用の特徴 ○ 親族・友人・知人等からの借入が多い ○ 相談事例からは、 ・ヤミ金利用者の一部は、正規事業者から 借りられないためにヤミ金を利用してい 親族・友人・知人等からの借入 N 貸金業利用者 ヤミ金融利用者(過・現) 友人知人からの借入 500 235 47.0% 20 17 85.0% 23 年 4 月以降のヤミ金相談 る方も尐なくない 4月 ・ヤミ金融は,即時、ソフトな対応(怖くない) であり、継続的に利用している方も。 18 ヤミ金相談件数 3 5月 9 6月 13 7月 13 8月 3 9月 16 Ⅱ-2 借り手視点での市場感 貸金業者に対する利用経験のない者と利用者の評価 1.利用者は貸金業を必要とする ○未利用者は、貸金業者に無関心(自分 自分とは関係ないもの とは関係ない)が最も多い。 ○一方、利用者(現在・過去)は、消費 者・中小事業者ともにプラスの評価。 貸金業者のプラスイメージ ・身近なところでお金を貸してくれるところ ・迅速性、手軽さを利点に必要なときにお金を 貸してくれる ・多尐高金利だが、庶民にとって必要 19 貸金業者のマイナスイメージ ・高金利をビジネスモデルにしているところ ・過酷な取立てをビジネスモデルにしていると ころ ・過剰貸付をビジネスモデルにしているところ 4. 金利…期間に応じて異なる金利感 利用者 利用経験のない者 ○ 金利感は、借入期間と返済額に応じて異なる 高い この比較では、年利24%を安いとする方が多い 妥当・安い 20 ○ 金利感は、事業者でも同様 中小零細事業者 妥当・安い 高い 年利25%と120% が同じ金利感 この比較では、 年利 26% よりも年利48%の方が 妥当・安いとする 妥当・安い ○相談から見えるもの 21 小規模な事業者は、無担保・短期の資金を借りられないケースがある。 高い そう思わない そう思う 3 事業者金融の特色 (1)施行後 1 年の状況 ○貸付の枠対応はノンバンク(事業者金 融・信販クレジット)の対応が厳しく なっている。 ○申し込み結果は、代替を期待された銀 行の対応が厳しくなっている。 (2)事業者金融の必要性 ○短期間の借入を速やかに借り入れる ことが重要。そこで頼れる存在が事業 者金融と考えている。 施行後 1 年の影響(191業者) 借入枠がなくなった 突然借入ができなくなった 借入枠を減額された 何も変わっていない その他 申し込み(70業者)の結果 希望額でなかったのでやめた 借りられなかった 22 希望額の一部を借りた 希望どおり借りられた 申し込んでいない Ⅲ-3 返済困難者問題の解決に向けた認識 利用者と府民の借金問題の認識 1. 利用者と一般府民の認識 ○ 利用者、一般府民ともに、借金問題の解決のためには、 債務整理やカウンセリングが必要とする。 ○ また、利用者は、借金問題は返済できると見込んでいた ものが、特別な出来事等により返済できなかったもので あり、救済のための取組が必要とする。 2. 貸し手と借り手は如何にあるべきか(意見) (1)貸し手 ○「借りてはダメな人」の発見と相談誘導 ○「借りてはダメな人」に貸した場合の責任を明確化 ・生活再建、事業再建への協力 ・カウンセリング、アフターフォローへの協力 ○「貸したら良くなる人」への資金供給 (2)借り手 ○必要な金融経済知識の習得 ○自らの性癖チェック ○自らの家計、事業計画チェック ・借りたらダメか/借りたら良くなるか ○抱えた問題の認識 ○アフターフォロー実施時の積極的な履行協力 23 そう思う わからない そう思わない