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銀行券受払高について
日銀コーナー 統計の散歩道 「銀行券受払高」について やなぎうち 日本銀行 大分支店 総務課 柳内 けんご 健吾 氏 今月は、 日本銀行が毎月公表している 「銀行券受払高」 を取 すなわち、近年、金融機関では経費削減の観点から各種現金 り上げます。 関連事務を警備輸送会社に外部委託する動きが拡大してい 日本銀行は、 わが国唯一の 「発券銀行」 として、 銀行券、 すな るほか、 スーパーやコンビニエンスストアなどの小売業者に わちお札を発行しています。その銀行券は、金融機関が日本 おいても、 売上現金の回収や店舗内ATMの現金回収・装填等 銀行の本支店の窓口から銀行券を受け取り (日本銀行にとっ の作業を警備輸送会社に委託する動きが広がっています。 警 ての銀行券の 「支払」 ) 、 その後、 金融機関から預金を引き出し 備輸送会社は、現金整理等サービスを効率的に行うため、相 た個人や企業の手に渡り、様々な目的に利用された後、再び 応の取扱物量が見込まれる福岡などの大都市圏周辺部に物 金融機関を経由して日本銀行に還流します (日本銀行にとっ 流拠点を設けています。したがって、これらサービスの利用 ての銀行券の「受入」)。銀行券は日々の様々な取引の決済に 拡大によって、 大分県内の金融機関を通じて行われていた銀 使用されることから、その受払動向は、経済活動や資金決済 行券の日本銀行への還流が福岡県内の金融機関へシフトし 手段の変化等と密接に関連しているといえます。 ている可能性が高いと考えられます。 (図表3) 。 日本銀行大分支店における銀行券の受払高の推移をみる 日本銀行大分支店としては、 今後とも銀行券の効率的かつ と、 支払高、 受入高ともに減少傾向にあり、 特に受入高の減少 安定的な流通の維持に努めるとともに、 引き続き銀行券の受 の大きさが目立っています(図表1)。この結果、受入高から 払動向や銀行券を取り巻く環境の変化を把握・分析すること 支払高を差し引いた“受払尻”は大幅な支払超過の状態にあ を通じて、地域経済情勢の的確な理解に繋げていきたいと り、 その額は年々拡大傾向にあります。 直近、 2013年は、 支払 思っています。 額3,349億円に対し、 受入額は1,390億円となり、 1,958億円 の支払超過となりました。 こうした中、 九州・沖縄地区の日銀 図表1 支店における銀行券の受払尻をみると、 福岡支店が大幅な受 入超過となっている一方、 大分支店を含むその他の殆どの支 支店へ集中する傾向があることが分かります (図表2) 。 (千億円) 8.0 支払高 店は支払超過となっており、 九州域内の銀行券の受入が福岡 0.0 物客等が福岡でかなりのお金を使っている、 ように見えるか ▲2.0 受入高 かりに集まっている、言い換えれば、他県からやって来る買 るに当たっては、 “金融機関等の現金関連事務の外部委託” の 日本銀行九州地区内支店における銀行券受払尻の推移 ▲6.0 ▲8.0 91 92 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13(年) (資料)日本銀行 図表3 九州地区内(大分県と福岡県)における銀行券の流れのイメージ 大分県 20.0 支払超 (支払 ) 日本銀行福岡支店 ( 受 入) ( 受 入) 預金 預金の引出し 5.0 (支払 ) 預金 受入高は減少 預金の引出し 受入高は増加 銀 行 0.0 銀 行 現金 ▲5.0 受入超 預金の 引出し等 ▲10.0 ▲20.0 福岡県 日本銀行大分支店 15.0 ▲15.0 ※2 受払尻の「▲」は受入超を示す。 ※1 受入高は「▲」で表示。 (千億円) 10.0 受払尻 ※ 2 ▲4.0 動きが少なからず影響を及ぼしている点に留意が必要です。 図表2 受入高 ※1 4.0 2.0 すが、実は近年、日銀各支店における銀行券の受払動向をみ 支払高 6.0 こうした銀行券の受払動向からは、 九州内のお札が福岡ば もしれません。 確かにそうした動きが一部にあるのも事実で 日本銀行大分支店における現金受払高・受払尻の推移 那覇 鹿児島 熊本 長崎 福岡 北九州 大分 総計 売上金等の 預入れ 警備輸送会社の現金拠点 売上金の 預入れ 売上金等の 預入れ 預金 の 引出し等 売上金の 預入れ 91 92 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13(年) (資料)日本銀行 個 人 企業 買い物等 ( 商店等) での支払い 企業 ( 商店等) 買い物等 での支払い 個 人 創造おおいた 2014.8 11