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対人不安、インターネット利用、およびインターネットにおける人間関係

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対人不安、インターネット利用、およびインターネットにおける人間関係
2005.5.19
対人不安と人間関係
„
対人不安とは
現実の、あるいは想像上の対人場面において他者からの評価
に直面したり、もしくはそれを予測したりすることから生じる不安
状態(Schlenker&Leary 1982)
対人不安、インターネット利用、
およびインターネットにおける人間関係
対人不安傾向が高いと・・・
西村 洋一
2004HP019 堀田 雅子
人間関係形成に大きな影響を与え
る!!
<影響の例>
„
„
人間関係形成の阻害(非親和的、他者からの回避
周囲からの社会的サポートの減少など
しかし、これらの研究は
対面コミュニケーションを前提としたもの
研究目的①
CMC∼インターネットでの人間関係形成
„
CMC(Computer Mediated Communication)とは
これまで述べてきたように、インターネットは
人間関係形成の場として普及されると予想
インターネットに代表される、コンピュータに媒介さ
れたコミュニケーションのことであり、非対面的なコ
ミュニケーションである。
„
こうしたネット環境において対人不安傾向の高い人は
CMCは文字を主としたコミュニケーション
・公的自覚状態の低減、身体的魅力についての懸念の排除
„
„
対人不安傾向を高める要因
インターネットをどのようにとらえているの
か?
インターネット上で形成された人間関係をどの
ように評価しているのか?
対人不安は対面状況において顕著に現れる。
非対面的であるCMCならば
これらの調査を行う!!!
対人不安傾向の高い人でも、インターネット上では、
人間関係形成の促進が考えらる
研究目的∼より具体的に
仮説
„
仮説①対人不安傾向の高い人は低い人に比べてインターネットにおいて
人間関係を形成しようという動機が高い
„
仮説②対人不安傾向の高い人はCMCにおける対話を対面状況におけ
る対話よりも高く評価する。
„
仮説③対人不安傾向の高い人はCMCにおける対話に対して対人不安
傾向の低い人よりも高い評価を行う。
„
仮説④対人不安傾向の高い人は、対面状況よりもインターネットにおい
てより高い適応度と満足感を感じている。対人不安傾向の高い人は、対
面状況においては対人不安傾向の低い人よりも低い適応度と満足感を
感じているが、インターネットにおいては両者の間に差は見られない。
„
仮説⑤対人不安傾向が高い人の中でも、インターネットを人間関係形成
のために利用する動機、およびCMCの対話評価が高い人の方が、それ
らが低い人よりもインターネット上に置ける人間関係の適応度と満足度
が高い。
„ 動機的側面
„ 対話的評価
„ インターネット上で形成された人間関係
この3点について調査を行う
„ 対人不安傾向の高い人
2者間にどのような差異があるのかを検
討!!
„ 対人不安傾向の低い人
1
方法②<質問紙構成>
方法①<調査対象、手続き>
„
調査対象
分析に使用されたのは男女147名。(全回答数
は261)調査対象者はインターネット上で募集さ
れた。(インターネットでの人間関係形成にはインターネットの経験
„
„
調査期間
調査のためのWebページを2000年11月1日から、
2001年1月9日まで公開。
„
手続き
„
・男女比ほぼ均等(男性72人、女性75人)
・年齢と人数の比率
„
„ LSA群、HSA群の算出
年齢
10代
20代
30代
40代
50代
人数
(%)
14人
9.5%
54人
36.7
%
55人
37.4
%
12人
8.2%
8人
4人
5.4% 2.7%
調査者の対人不安傾向の程度を測定するため
に、修正版相互作用不安感尺度を使用し、因子
分析を行った。結果、一因子が妥当と判断し(寄
与率50.5%)α係数も.86と十分に高かった。尺
度得点を合計し、それを対人不安傾向得点とし
た。その得点の中央値を算出し、それ未満の非
調査者を低対人不安群(以下LSA群)、それ以
上の非調査者を高対人不安傾向群(以下HSA
群)とした。
→Table1参照
60代
かなりインターネットを利用する人が回
答者になっていることを示す数値
結果∼インターネット利用動機について
„
„
„
人口統計学的特徴に関する質問
性別、年齢、学歴、職業、年収、週辺りの利用時間、PC利用暦など
・PC利用年数
1年未満が63人(42.9%)初心者が多く見受けられる
・インターネット週辺りの利用時間
5時間以上10時間未満
全体の49.7%
10時間以上20時間未満
„
対面状況、およびインターネット上における人間関係の評価
対面状況とインターネット上のそれぞれについて、治部が形成してい
る人間関係の適応度がどの程度かを尋ねる。
結果∼対人不安傾向について
結果∼人口学的特徴
„
CMCおよび対面状況における対話の評価尺度
他者とのコミュニケーションを行う際に、対面で行う場合とCMCで行
う場合の対話そのものの評定をさせる。
„
①全回答中不完全な回答が114と多いが、システムの問題と思わ
れる回答不備が49(43.0%)あり、その内訳は重複回答17(14.
9%)、文字化け5(4.4%)、上記以外の回答不備43(37.7%)で
あある。→質問項目の数が多数であったため、完全に回答すること
ができなかった人が多くいたのでは、と考えられる。
インターネットの利用動機
どのような動機でインターネットを利用するのかを尋ねるために。川
上・河浦。池田。古川(1993)、金(1996)の尺度を参考利用
と日常的な利用が必要と考えられるため。)
„
対人不安傾向
調査対象者の対人不安傾向を図るため、修正版相互作用不安感尺
度(岡林・生和1991)を用い、対人不安傾向の指標とした。
18項目ある利用動機に関する質問紙について、
因子分析を行った結果、4因子が妥当とされた。
「人間関係形成」因子
「時間つぶし」因子
「電子メール使用」の因子
「情報活用」因子
因子ごとの得点を、対人不安傾向のグループ、性
別、年代別にまとめた(Table1参照)
結果∼インターネット利用動機について②
„
「人間関係形成」因子について
対人不安傾向(高・低)×性別(男・女)×年代(20台以下・
30代以上)の3要因分散分析を行った
結果、対人不安傾向と年代、および対人不安傾
向と性別の交互作用がみれられた。
①HSA群の年代別の比較 20代以下>30代以上
②30代以上の対人不安傾向高・低の比較
LAS群>HAS群
③20代以下の対人不安傾向高・低での比較
LAS群≒HAS群
②と③については仮説①の支持にはならず。
2
結果∼インターネット利用動機について③
„
「時間つぶし」因子についても、同じように③要因
分散分析を行った。
結果∼各メディアにおける対話の評価
„
結果、年代の主効果のみ有意
時間つぶし動機の年代間の比較
20代以下>30代以上
„
対面状況における対話とCMCにおける対話の評価を被
験者内要因とし、対人不安傾向、年代、性別を被験者間
要因とする四要因の分散分析を行った。
„
「電子メール」因子、「情報活用」因子についても、
同じように3要因分散分析を行った。
„
„
結果∼インターネット(CMC)における人間関係と
対面状況における人間関係
ネット上の人間関係、およびオフラインにおける人間関係の
中で自分がどのくらい適応しているのか、またその満足感を
測定。
→対人不安傾向、年代、性別、メディアの種類の4因子分散
分析を行った
メディアの種類の主効果
対人不安傾向の主効果
„ メディアの種類×対人不安傾向×年代×性別の交
互作用
①両群ともに、対面状況での適応度をネット上における人間関
係の適応度よりも高く評価している
②LSA群の方がHSA群よりも、メディアの種類に関係なく常に
高い適応度を感じている
③対面状況における人間関係に対する満足感の方が、インター
ネットにお変える人間関係に対する満足感よりも有意に高かっ
た。
結果∼対人不安傾向、インターネット利用
動機、CMCにおける対話の評価
„
対人不安傾向の尺度得点、インターネット利用動機の「人間関係
形成」因子の得点、CMCというメディアにおける対話の評価の標
準化得点を用いて、平方ユークリッド距離を求め、Ward法による
階層的クラスター分析を行い、第四クラスターまでの分類結果を
採用(Table3参照)
„
各クラスターの解釈
第1クラスター:16名(10.8%)対人不安傾向、人間関係形成
„
„
„
動機、CMC対話評価の3点ともに得点が低い。
・対人不安傾向は低い
・インターネットに対して消極的かつ非好意的
„第2クラスター:22名(14.9%)対人不安傾向は低いが、人間
関係形成動機、CMC対話評価がともに高くなっている
・対人不安傾向は低い
・インターネットに対して積極的かつ好意的
考察
結果∼対人不安傾向、インターネット利用
動機、CMCにおける対話の評価②
„
„
メディアの種類の主効果
メディアの種類×対人不安傾向の交互作用
①対面状況の対話評価では LSA群>HSA群
②CMCでの対話状況の対話評定では
LSA群≒HSA群
③LSA群、HSA群ともに、CMCにおける対話よりも、
対面状況における対話をより高く評価している
どこにも有意な差はみられなかったが、「情報活
用」因子のみ、男性>女性という差が見られた。
„
各メディアにおける対話自体をどのように評価し
ているのかを、木村・都築(1998)の尺度を用い
測定。測定結果の得点はTable2を参照
各クラスターの解釈の続き
第3クラスター:31名(21.1%)対人不安傾向は高く、人間関
„
当初の予測
„
仮説1→支持されず。しかし、興味深い結果が得られた
・CMCは対人不安傾向お高い人にとって多くの利点をもたらす
・対面状況よりも人間関係形成活動がしやすい
係形成動機、CMC対話評価の2点に関して得点が低い。
20代以下
・対人不安傾向は高い
・インターネットに対して消極的かつ非好意的
„第4クラスター:78名(44.1%)対人不安傾向は高く、人間
関係形成動機、CMC対話評価がともに高くなっている
・対人不安傾向は高い
・インターネットに対して積極的かつ好意的
„ インターネット上の適応度、満足度
„
„
„
第2クラスターが最も高く、最も低いのは第3クラスター
第2×第1クラスター、第3×第4クラスターには有意な差は見
られず。
満足度においては第3、第4クラスターに有意な差がみられた。
対人不安傾向の高低に関わらず、インター
ネットを人間関係形成の利用動機にしてい
る。かつ、その得点が30代以上よりも高い
インターネット利用動機には、年代で大きな差がある!!
„
仮説2,3→支持されず
CMCでの対話状況の対話評定では対人不安傾向の高低で
の差は認められなかったので
„ しかし、話しやすさということだけに限定すれば、CMCは対人
不安傾向の高い人にとって、かなりポジティブな面をもったメ
ディアであることが明らかに!!
„
仮説4→支持されず
対人不安傾向の高い人が体面状況よりもインターネット上の
人間関係に対して、より高い適応度や満足感を感じているわ
けではない。
3
考察②
仮説1.2.3が支持されなかったことから・・・
日常インターネットを利用している人には強くCMC=ハイ
パーソナルな性質(利点の多いコミュニケーション法)という
ことが強く認知されていないことがわかった。
„
CMCの性質が、人間関係形成に活されていない
<本研究から得られた興味深い点>
„ 対人不安傾向の高い人が、インターネットを利用することで、
人間関係形成の適応度や満足感を、対面状況に比べて上
昇させるといった経過が明確に示されなかった点
„ クラスター分析の結果では、高対人不安傾向の人でも人間
関係形成のためのネット利用動機が高い
„ 人間関係形成の高い動機とCMCにおける対話への高い
評価を持つ人が、実際にインターネットにおいて人間関係
への適応と満足を感じていたという結果が得られた点。
本研究の問題点と今後の課題
<問題点>
„ 母集団設定の失敗
„ 従来の質問紙法のように、配布、回収という手続きとの
比較が必要
„ インターネットにおいて使用されているコミュニケーション
形態の違いを考慮した上での調査が必要
<今後の課題>
インターネット上での人間関係形成に影響を与えるプロ
セスを明らかにする→ネット上の人間関係形成への理解
が深まる。
„ より具体的な調査
„ CMCでの人間関係形成経験が、対面状況での人間関
係形成にどのような影響を及ぼすのか。
„
コメント
„
„
仮説と結果が多すぎて(こんなもんでしょうか
ね)途中から何をどうしていいのかわからずこん
がらがる。
若い人たちは今、なんでもかんでもコミュニケー
ションの第一歩でCMCを利用しているので、論
文にもあったように対人不安傾向でどうのこうの
いうのは難しいと思った。むしろ、20代半ば以
上のの、社会に出てからの人をまとに絞た研究
をしたら、また違った研究結果がでたのではな
いかと思う。
4
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