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農業機械化の発展過程とその分析: 北海道大学農学部附属農場における

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農業機械化の発展過程とその分析: 北海道大学農学部附属農場における
Title
農業機械化の発展過程とその分析 : 北海道大学農学部附
属農場における35年 第3報 修理費と維持管理費
Author(s)
河合, 孝雄; 佐藤, 浩幸; 中野, 英樹; 橋本, 哲也; 青木, 宏; 杉
山, 修一; 中嶋, 博; 高井, 宗宏
Citation
北海道大学農学部農場研究報告 = Research bulletin of the
University Farm Hokkaido University, 28: 67-76
Issue Date
1993-03-25
DOI
Doc URL
http://hdl.handle.net/2115/13420
Right
Type
bulletin
Additional
Information
File
Information
28_p67-76.pdf
Instructions for use
Hokkaido University Collection of Scholarly and Academic Papers : HUSCAP
北海道大学農学部農場研究報告
第
2
8号 :67-76(
1
9
9
3
)
農業機械化の発展過程とその分析
北海道大学農学部附属農場における 3
5年 一 一
第 3報 修 理 費 と 維 持 管 理 費
河合孝雄・佐藤浩幸・中野英樹・橋本哲也・青木宏*
杉山修一・中嶋博
(北海道大学農学部附属農場作業管理部)
高井宗宏
(北海道大学農学部附属農場農機具部)
(
19
9
2年
1
2月 1
5日受理)
トラクタ・作業の修理及び維持管理費
他のトラクタに比べ保守・点検が行き届かなかっ
た一面もある。
附属農場におけるトラクタ・作業機の修理及び
Fig.1に全トラクタを 6系統に類別した系統別
維持管理費を,記録を取り始めた 1
9
6
1年からの
ig.2に年度毎系統別推移を示した。こ
修理費, F
3
0年間にわたる経過をまとめた。
の中には,一般に修理費 1)とされている機械の故
これら機械を総括管理する作業管理部の運営予
障による修理費,使用時間に応じた定期的な分解
3部門の稼働時間に応じた算定比率を
算は,農場 1
整備費,およびその消耗部品費にオプション部品
1
9
8
2年より年毎にあまり大きな変動がない
基に (
(作業管理部として予算措置出来る範囲のもの。
よう配慮する意味から過去 5年聞の平均値)各部
例,後付コントロールバルブ,ウエイト,タイヤ
門が負担するいわゆる受益者負担を原則にしてい
チェーン等)・燃費計購入費が含まれている o 6系
る。そのため,収支決算を毎年運営委員会に報告
統の類別は,次のとおりである。
しなければならないため,その基礎資料としてこ
1)エンジン系統:噴射ポンプなどを含めたエ
れらの記録帳簿は 6
7年の一部を除き,全て残され
ンジン関係
ている。例えば車検時など点検・整備が多枝にわ
タネーター,バッテリ,計器,各灯火類
たる場合も各請求書の控えが残っているため分類
力伝達系統:走行クラッチ,
が可能で、ある。
PTO(外部動力伝達装置)関係
2)電気系統:セルモーター,オル
3)動
ミッション,デフ,
4)走行系統:
ステアリング機構,ブレーキ機構, タイヤ,足回
1
り
トラクタ修理費の推移
5)作業操作系統:三点リンクを含む各油圧
6)その他:主に車検時における 2
4ヶ月点
1
9
7
6年までは車検有効期間中であっても冬期
5
0
0ト
間,毎年業者に点検・整備を委託(三菱 R2
検,車検代行料,下回りペイント料,運搬料など
ラクタを除<)していた。また,当場の地理的問
の他板金外装など各系統に属さない部分を包括し
題でもあるが,畜産第二部が離れたところに位置
た。なおこれ以降トラクタ名については第 1報 2)
している。そのため,
Table1のカッコ内の略称を使用する o
トラクタ業務上支障をきた
装置
さないようフォード 5
0
0
0トラクタ,フ オード
3
0
0
0トラクタは導入時より畜産第二部に常駐さ
2倍 強 の 経 費 が 積 算 さ れ て い る 。 こ れ に よ っ て
せることになり,作業管理部の車庫に保管される
FMが椋働 5年目で一回目のエンジンオーバーホ
*1992年 3月 3
1日定年退職
部の経費予算は 8
1万円で,約半分の経費が充てら
l
年度毎系統別推移を見ていくと, 6
2年に前年の
ールを行い,タイヤも一新した。この当時,管理
6
8
北海道大学農学部農場研究報告
第
2
8号
圃 白 圏 回 口E
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Fig.2. Repairc
JD .作業機の修理経
れている。さらに NF方、ソリントラクタカヘ 6
0王
子
のオーバーホールに加え,
に導入され,その当時毎年カ、、ソリン代が 157j円前
7
費も重なり大幅な赤字決算となった。そのため 6
後という負却もあり満足な工具すら揃っていなか
年度の予算は圧迫され赤字決算で未払い伝票が残
ったとし、つ。
った。
6
6年は, F Mの簡単なエンジンオーバーホール
とl
噴射ポンプ,夕、イナモ, セルモーター,
ノズル
6
8年は, JDの不凍液の交換時期を逸し,エン
ジン凍結によるシリンタ京一フゃロック交換修理を余
6
9
河合・佐藤・中野・橋本・青木・杉山・中山鳥・高井:農業機械化の発展過程とその分析
i
儀なくされた。この年より台数増加という理由も
あり,
トラクタ維持管理経費増額が実現していっ
総額 1
5,
3
8
5千円余りを要している o これらのな
かには故障による修理費の他,一般的に消耗品と
されているべーラトワインなどもすべて含まれて
f
こo
それ以降修理費は,台数増加も加わって, l
斬増
傾向をみせている。 8
1年のピークは,
いる。
JDのエン
飼料作物の収穫作業関連機械が修理費全体の
7
5万円)で, 8
6年のピ
ジン全面オーバーホール (
6
3%となっているが,この大部分は牧草サイレー
ークは F5のオイル管理不備によるエンジンオー
ジ収穫作業である。
6
0万円), M 5の PTO
修理 (
2
6万
ノ〈ーホール (
フォーレージハーベスタ(以下,
0年以降動力伝達系統の経費が増加
円)による。 8
フライホイールタイプであったため金属の混入が
7
4年までのジョンディア社製
F Hと表示)は,
傾向にある。多数 (
2
0数名)のオペレーター聞の
あっても余り大きな損傷を受けることはなかっ
クラッチ操作熟練度の差によりオーバーホールが
た
。
75年より,ニューホーランド社製のシリンダー
集中したのが大きな要因である。
8
3年以降より,経費が漸減傾向を示している。
これらの要因の一つは,
性が向上したため,
タイプに入れ替えてから状況が一変した。特にへ
イテッダでの牧草反転作業中にタインが脱落し,
トラクタが更新され耐久
もう一つは,整備機器の充実
それが F Hに入るとナイフはもちろんのことナイ
と整備士の資格をもった職員が増え,車検整備,
フサポート,
噴射ポンプ関連,エンジンの全面オーバーホール,
ドラム,シュートにまで大きな損傷
を受け,多大な出費が余儀なくされている
O
特殊工具を必要とする整備関係以外の整備につい
この大きな違いはナイフのセット方法の差異か
てはほとんど直接職員の手で行うので,部品の購
ら来るもので,フライホイールタイプの場合ナイ
フはボルトで固定され,受刃とのクリアランスは
入のみで済むようになったことが上げられる。
フ。ッシュボルトで行うため,タインなど金属の混
2 作業機の修理費
入があって急激な衝撃を受けたとしてもナイフの
第 2報 3
)
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b
l
e1で類別した作業区分毎の修理
ずれを起こす事がないため,受刃と干渉しない。
一方,シリングータイプの場合ナイフのセット
6
1年 -1990年)を Fig.3に示した。
費(19
8.57%
13.56%
-回日図口圃
3.29%
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北海道大学農学部農場研究報告
ボルト穴は長穴で加工され,受刃とのクリアラン
第2
8号
いる。
スはナイフの移動によって行う。従って,ナイフ
3
の保持力はナットの締付けトルクに比例すること
トラクタの系統毎にみた修理費
になる。ナイフに衝撃がかかった場合衝撃力が保
Table 1に出力順のトラクタ別,系統毎の修理
持力を上回り衝撃を受けた部分は受刃から遠ざか
費割合を示した。新しいトラクタはデータが少な
るが,他の箇所と他のナイフにずれが生じ受刃と
いため比較的古いトラクタ 9台を用いた。
干渉し破損する。規定トルク以上での締め付けも
各トラクターともその他の経費がかなりの比率
試みたが殆ど効果がなかった。このような故障は
を占めているが,これはおもに車検時の経費であ
1
7年間で 2-3年に 1回発生し,修理費で 4
0
0万
る。導入初期は 2年おきの車検であるが 1
0年を過
円
1回当たり約 6
0万円を費やした o'
ぎれは、毎年車検となり,点検料,代行料,下回り
この機種を選定した理由は,当場のサイロがス
ペイント料,運搬料など多岐にわたり,かなりの
F Hの裁断性能がボトムア
出費が要求される。それに比べ R2のみ小型特殊
チールサイロであり,
トラクタのため車検がなく低率で、ある。
ンローダの掻き出し能率を大きく左右するため,
その他を除いて比較するとフォード,ジョンデ
この裁断性能を最重要視したためである。
根本的な防止のためには,タインを脱落させな
ィア系は,エンジン系統,マッセイファー力、ソン
いことが先決である。圃場の不整備,牧草量の多
系は,動力伝達系統の割合がそれぞれ高い傾向を
いところで多発しており,脱落防止装置を講じる
示している。これは,個々のトラクタの作業条件
と共にオベレーターの細心の注意を喚起したが,
等が違うため一概に論ずることはできないが,興
防止を皆無に出来ずにいる。
味深い傾向だと思われる。
現在,有効な手段として,金属探知装置付き F
R2の作業操作系統 4
7
.
8%は,過去に 1度油圧
H を要求中であるが,更新きれることによって,
修理で 1
0万円強の出費を要したが,もともと総修
事故防止はもちろんのこと,金属の牛体内への進
理費が 3
0万円余りであるため大きな値を示して
入も防止されることによって内臓疾患事故からも
いる。
開放され二重の安全が期待きれる。
耕起・整地作業の維持費割合も高いが,圃場が
4
F
i
g
.
4に修理費と使用時間, F
i
g
.
5に修理費率4)
粘質土壌である事と精密圃場等では細かい砕土が
要求されるため,ロータリの 2回
3回掛けが多
トラクタの修理費と稼働時間
と使用時間を示した。
11月まで
本報告では,農作業という事で 4月 -
く,耕うん爪の消耗が早いため交換サイクルが短
くなっているのが大きな要因である。また,運搬・
の稼働時間で集計ーしているが,実際問題として冬
1年よりダンプトレーラの専検費用
その他には 8
期間も除雪,運搬等に利用されている。特に, N
が含まれているため,比較的大きな割合を示して
F, JD, F5, F3, M1, F6は,スノーブ
Table1
. Rateofrepaircostclassifiedbysystem (%)
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2
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北海道大学農学部農場研究報告 第 2
8号
7
2
レード,スノーブロアーが装着され,除雪機とし
-78年までは冬期間も毎日短時間運搬に使用さ
て使用しており,一期間一台当り 8
0時間前後稼働
れ,バッテリーの交換サイクルが非常に早かった
1
2月 -3月)日誌の記入を
しているが,冬期間 (
こと,第二に運搬作業によるボデー損傷,タイヤ
義務づけていないため本データには含まれていな
を初めとする足回りの故障が多かったことなどが
い。しかし,修理費は,様々な故障が農作業,除
挙げられる。
雪作業のどちらに起因したものであるかの判断が
難しい場合が多いため全ての修理費が計上されて
5 トラクタ別経費及び時間当り経費
Table2に主要トラクタ 9台の項目別一覧を示
いる。
FMは 5
7年
, NFは 6
0年に導入されたが 6
1年
までの聞は稼働日数のみで稼働時間の記録がない
ため,含まれていない。従って,この間 F Mは
しT
こ
。
まず, 1
0年毎に区分した年間修理費率の最初の
1
0年間の数字を見ると高齢機種のトラクタが高
2
5
0
0
3
0
0
0時間, NFも 5
0
0時間前後の利用があ
,
ったと推定されるので付記しておきたい。 FM
い傾向にある。これは台数が少ない中で,一台当
JD, F5が高い修理費率を示しているが,過去
事と,これらの修理が整備機器の不備からほとん
3
0年前後の長い歴史の中で物価上昇率を全く考
2年当時の一
慮、しない単純計算である。ちなみに 6
般車検料は 3
5,
0
0
0円前後だった。
また, FMは現有トラクタで最も古<,一時抹
1年 -20年で
ど外注されていた事が上げられる。 1
りの利用時間が比較的多く故障発生率が高かった
,
は更に高い率を示す傾向にある。特に高い F5は
他のトラクタに比べ多用され,エンジン,クラッ
チ関係の修理が生じたためである。 2
1年から 3
0
消も検討されたが,古いがゆえに構造も簡単で、耐
年では逆に低い率になるが,これらの高齢機種は
5年を過
久性に富み,部品も調達可能という事で 3
比較的軽作業を中心に利用され,故障発生率が低
0
0時間前後利用
ぎた現在も軽作業を中心に年間 1
いためである。
2
8
2
8
0時間と少なしトラ
使用時聞は年平均 1
されている。
M 1が利用時間の割合からすれば,かなり高い
クタ台数の増加と共に一台当りの利用時間が減少
修理費率を示している。これはまず,第一に比較
している。資料 5)によれはわが国の年間利用時聞
的大出力トラクタということで, M 5が導入され
0
0時間となっており,あくまでも当場のよう
は2
るまで重作業が集中し酷使されたこと,第二に機
な教育・研究機関としては妥当な数字であると考
構上の問題ともからみ,走行用クラッチと
PTO
クラッチが同一ペダル二段操作(1段目に PTO
,
える。
2段目に走行)で,操作にはかなりの熟練を必要
FMである。これは特に単価の安い時代に多用さ
とするため,クラッチのオーバーホールが多発し
れたためである。特徴的には R2が時間当りの修
7年間で 6屈のオー
たためである。ちなみに過去 1
理費を上回ると共に F3の 2倍弱の値を示してい
1年間に 2固という時期
る。これは微速を使つての細かな砕土が要求され
ノくーホールが実施され
もあった。他のトラクタの機構(インデイベンデ
次に時間当りの燃料費を見ると,一番安いのが
るロータリ作業に多用された反面,
F3は運搬作
PTO・走行用クラッチ併用)に比べはるか
業を中心とした作業が多かったためである。一方,
に多い交換を余儀なくされた。各オベレーターの
F6が一番多い数字であるが,農業機械化研究所
ント
機械に対する知識,運転操作の向上が修理費の上
でもいかに大切で、あるかを示している。
JDは,導入時より M lが入るまで牧草収穫作
業を中心とした重作業に多用されたためエンジン
(現,生物系特定産業技術研究推進機構)の検査
成績によると,現有トラクタ内で燃費が一番高い
数字を示しており,さらに,作業内容も負荷のか
かる作業が多いためである。
関係の故障が比較的多かった。
F3も比較的高い数字であるが,第一に 7
0年
当場の修理費は,機械の故障による修繕費の割
河合・佐藤・中野・橋本・青木・杉山・中嶋・高井.農業機械化の発展過程とその分析
7
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合が大きく占めている。一般に故障の原因は,次
のように区分されている
2)
今後の課題として次のことが上げられる。
4) 設計製作上の
これまで 1968年より 7次 に わ た る 定 員 の 削 減
5)部品の自然損耗などに区分される 1)。当
が実施され,行政職職員は 65年に 62名 だ っ た が
点検整備不良,
欠陥,
1)運転操作不良,
培への時代を経て今日に至っている。
3) 修理不良,
場では,運転操作それにともなう作業機の調整不
91年 に は 40名 と な り , 臨 時 の 雇 用 も 60年に 22
良,設計製作上の不良などの原因によるものの割
名だったが 91年には 8名 と 減 少 し た 。 こ れ に 対
合が多いことが明らかになった。
し,機械化作業の呆たしてきた役割は大きいと思
これらのことから次のようなことが今後の課題
となる
われる。さらに,今年度より第八次の削減割当が
実施される予定であり,完全週休二日制も実施さ
O
1)オーバーホールなど予防整備の計画的実施及
れている。このような状況の中で農場を運営して
び整備施設の充実をはかる。
いくためには,作業の能率向上・年間を通しての
2)運転者の日常的な点検整備の励行,機械に対
作業時聞の平準化等が求められて来ると思われ
する知識,運転操作の向上をはかる。
る
。
3)機械の経済的耐用時間 5)を 超 え な い う ち の 更
本報告では,これまでの機械化作業の実績を検
新の実施をはかる。また機械の選定に際し故障の
討してきた。今後稼働時間のピーク(①春季の整
少ない機構かどうかも考慮する。
F
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.
6
) など,
地②飼料作物収穫③秋耕)の解消 (
4)基盤整備を実施し,固場の均平化をはかり機
作業の改善をどう進めていくか考察した。
械作業をしやすくする。また土壌の改善も進めて
いく必要がある。
作業改善の進め方
1 大型トラクタ作業体系の確立
大型四輪駆動トラクタが導入きれ,作付面積 1
ha当りトラクタ馬力は 80年 に 約 6馬力であった
F Mを 導 入 以 来 今 日 ま で の 当 農 場 の
のが, 91年には約l3馬力と 10年間で倍増してい
機械化作業は,初期の人力,蓄力に変わってトラ
るO しかし,作業機はプラウ,ロータリ,飼料作
クタが作業を行う機械化,これにともなう形で進
物収穫関連作業機を中心に従来機か同規格が多
められた基盤整備の時代,その後の完全機械化栽
い。プラウ,ロータリは,農場の粘質土壌のため
1956年に
7
4
北海道大学農学部農場研究報告
第2
8号
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大型化しなかった側面をもつため土壌の改善,適
ことも重要で、あるの
切な耕深・砕土等の検討を行い燃料消費量の増加
を抑え能率的な作業を行っていくこと。また効率
的な新機種導入を進めていく必要がある。飼料作
物関連作業は,天候に左右されやすくそのため作
3 精密圃場・種々の要求への対応
これまで精密国場・疏菜闘場の小区画固場では,
播種・管理・収穫作業は人力・小農機具を主に行
業時間も変動しやすいが,作業時間・期間の短縮
われてきている。これらを中・小型トラクタで体
をするため大型トラクタに適した作業幅の作業機
系化していく必要がある。
の導入,収穫作業体系の見直 L(例えば乾草をコ
これまでの機械化は,作物の収穫までが主でそ
ンパクトトベーラからロールベーラへ変更)等を
の後の乾燥・調整・貯蔵等の施設が不十分で、ある
行う必要がある。
ため収穫作業に支障をきたしている。今後は作業
能率向上のためにこれら施設の充実も欠かせな
2 基盤整備,管理作業体制の改革
し
、
。
これまでの作業体制は,部門単位で行われてい
摘 要
るため同一作物も点在して栽培されてきた。この
ため同一作業も連続して行われず,作業機の脱
北大農場の 3
0年間におけるトラクタ・作業機の
着・調整等も多くなりがちで非効率的な而が多く
維持修理費をまとめ,分析すると共に当農場の今
みられた。これらを改善して行くために,作物の
後の機械化体系のあるべき方策を考察した。
共同管理等を進め同一固場化すること,大型トラ
クタ作業に適応するため基盤整備を行い圃場を大
区画化する。また,これまで、の機械作業に様々な
弊害をもたらしている粘質土壌の改善をしていく
トラクタの維持・修理費はすでに廃棄済みも含
め
,
1
4台から算出した。
一般的には年間修理費率が 7-8%といわれて
いるが,当場の場合それより高い傾向であった。
河合・佐藤・中野・橋本・青木・杉山・中嶋・高井
購入価格に対する総修理費率では,一番古い F M
が
統が電気,動力伝達,走行,作業操作その他と分
ト
ラクタ別の比較では,フォード,ジョンディア系
は,エンジン系統,マッセイファーカ、ツン系は,
動力伝達系統の割合がそれぞれ高い傾向を示し
た。作業機の面では,修理者は飼料作物収穫作業
が 63% と 多 く そ の 大 部 分 は フ ォ ー レ ー ジ ハ ー ベ
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名
岡 村 俊 民
作
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高崎康夫
高橋直秀
杉山修一
喜多寓美治
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スタである。これは金属混入による破損が主因で
青木
あり,探知機付きハーベスタの導入が待たれる。
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河合孝雄
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告幸
後で少ない数字を示した。時間当りの修理費の比
市川伸次
稼働時間では,過去平均一年一台当り
較では最高と最低で実に
1
0倍以上の差であった。
一方,時間当りの燃料費についても最高と最低
で 7倍 近 い 数 字 で 当 然 古 い ト ラ ク タ が 低 か っ た
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5%を示した。系統別修理費ではエンジン系
類した中では一番大きな割合を占めた。また,
農業機械化の発展過程とその分析
中野英樹
橋本哲也
(兼)は他部との兼務者
在勤時代
役職(在勤時)
、1951-52 、
助教授(主任)
教授(主任、兼) (53 :
助手
52-66
助教授(主任)
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82-現在
助手
教授(主任、兼)
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助教授(主任)
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(兼)
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1
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1
が,これは物価上昇を考慮しない単純計算であり,
これらを加味した分析も今後必要で、あろう。
あとがき
これまでの主任,教職員リストを Table3に示
した。
なお,調査取り纏めに当たっては,部の創設か
ら現在まで長年にわたる資料の蓄積に協力を頂い
た歴代作業管理部の職員と畜産第一,二音1
5, 農 業
実習部より貴重な資料の提出,栗林財団より一部
研究費交付の協力を得たことに感謝の意を表す
る
。
引用文献
1.農業機械学会新版農業機械ハンドブック. f
欄 コロナ
社,東京. 1
9
8
4
.
2
. 河合孝雄・佐藤浩幸・中野英樹・橋本哲也・青木 宏
・
杉山修一・中嶋 博・高井宗宏ー農業機械化の発展過
程とその分析ー北海道大学農学部附属農場における
3
5年 第 l報作業体系と収量.北海道大学農学部農
場研究報告 2
8:4
1
5
3
.1
9
9
3
.
・
3
.佐藤浩幸・河合孝雄・中野英樹・橋本哲也・青木 宏
杉山修一・中嶋博・高井元、宏・農業機械化の発展過
程とその分析北海道大学農学部附属農場における
3
5年 一 第 2報作業性能と燃料消費量.北海道大学農
8:5
5
6
5
.1
9
9
3
.
学部農場研究報告 2
4
. 南部悟 トラクタの経済的使用時間及ひ、維持・修理費
に関する事例研究.北海道大学農学部農場研究報告
2
5:3
3
4
2
.1
9
8
7
.
5
.I
司村俊民 農業機械化の基礎.北海道大学図書刊行会,
キL
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