Comments
Description
Transcript
お話のたのしいところをみつけよう「たぬきの 1 単元の構想 本単元では
お話のたのしいところをみつけよう「たぬきの たぬきの糸車」(きしなみ)∼光村1年∼ 1 単元の構想 本単元では、人物の行動を表す叙述に着目し、場面の様子について問いをもち、仲間と考えを伝え合いなが ら想像を広げて読む子どもの姿を求めました。教材「たぬきの糸車」は、話者が、おかみさんとたぬきの両方 の視点で語る形で書かれています。子どもたちは、おかみさんやたぬきの行動に興味をもちながら読み進めて いくと考えられます。それらの行動を表す叙述に着目し、叙述と叙述を関連付けて読み、場面の様子について 想像を広げて読むことができるようにしたいと ようにしたいと実践に取り組みました。 2 子どもの学びの実際 (1) 第1次 「私のたぬきの糸車」絵本をつくるという 「私のたぬきの糸車」絵本をつくるというめあてをもち、作品を読む 作品を読む 第1次1時の始めに「私のずうっ 「私のずうっと、ずっと、大すきだよ絵本」を読み聞かせました。 た。このとき読み聞かせ をした絵本は、1つ前の学習教材「ずうっ 、1つ前の学習教材「ずうっと、ずっと、大すきだよ」を用いて、教師が登場人物の と、ずっと、大すきだよ」を用いて、教師が登場人物の会話文を新 たに作り、原文に書き加えたもので 書き加えたものです。読み聞かせを聞いた子どもたちは、 子どもたちは、 「先生が作った絵本を読むと、ぼく の気持ちが詳しくわかった。 」 「エルフも、 「エルフも、ぼくのことが大好きということがよくわかった。 ぼくのことが大好きということがよくわかった。 」などの感想を伝え 合いました。中には、 中には、 「わたしもこんな絵本作ってみたい。 」とつぶやく声も聞かれました。そこで、 「こんな絵 本作ってみたいかな。 な。 」という投げかけに、多くの子どもたちから「 「作ってみたい。 みたい。 」という声が上がりました。 次に、全文音読を3回行いました。1回ずつ目的 ました。1回ずつ目的を伝えながら音読に取り組むように促すことで、1回1回 取り組むように促すことで、1回1回 の音読について意識して取り組む姿が見られました む姿が見られました。1回目は、文字がすらすら読めること、 。1回目は、文字がすらすら読めること、2回目は、語句 たちは、文章の中から、考えの根拠となる人物の行動 さいしょ、おかみさんが、つかっていたのに、 全体に説明した後、個人で取り組みました。 全体に説明した後、個人で取り組みました。子ども なんで たぬきの なのかな。 時の子どもの疑問を参考にして教師が決めました 教師が決めました。 ) たぬきの糸車 た。 (全文を通して、書く箇所は5カ所 5カ所あり、第1次1 むかし、ある 山おくに、きこりの 会話文や心内語を学習プリントに書くように促しまし 書くように促しまし ふうふが すんで いました。山おく 第1次2時は、本文の地の文や会話文 会話文につなげて、 の 一けんやなので、まいばんのよう 気持ちなど内容にかかわる疑問が出 出されました。 なんで、たぬきは、まいばんのようにやってきて、 と伝え、本文の行間に疑問を書くよう促 と伝え、本文の行間に疑問を書くよう促すと、人物の いたずらをしたのかな。さみしかったのかな。 その上で、 「自分が不思議に思ったことを書こう」 に たぬきが やっ て きて、いたず をまとめることができるように読むことを伝えました。 まとめることができるように読むことを伝えました。 らを しました。 の意味を確認しながら読むこと、3回目は、あらすじ 3回目は、あらすじ や場面の様子を表す文や言葉を見付けて線を引き、自 場面の様子を表す文や言葉を見付けて線を引き、自 分なりの会話文や心内語をつくっていきました。 話文や心内語をつくっていきました。子ど 本文の行間に書いた 本文の行間に書いた書き込み もたちは、会話文や心内語を考えることをとおして、 会話文や心内語を考えることをとおして、 自分なりの読みをもち始めました。書き終わった後、仲間の作った会話文 。書き終わった後、仲間の作った会話文や心内語を聞き合いました。その中 心内語を聞き合いました。その中 で、おかみさんがたぬきに対して思っていること で、おかみさんがたぬきに対して思っていることについて「変だな」と「かわいいな」とい わいいな」という2つの読みが出さ れたのです。 本文に、会話文や心内語をつなげて書く学習プリント 教師が整理した板書も参考にしながら、自分と 教師が整理した板書も参考にしながら、自分と違う読みがあることに 気付いたのです。 もっと聞いてみたい、自分の考えを伝えたいと そして、仲間の意見をもっと聞いてみたい、自 いう思いが生まれてきました。さらに、 た。さらに、教師が、このお話をもっと想像 を膨らませて読んで「私のたぬきの糸車絵本」をいい ぬきの糸車絵本」をいいもにしようと投げ かけたことで、読みの目的意識が高まる姿が、学習の振り返りの発言な まる姿が、学習の振り返りの発言な どから見られました。 (2) 第2次 読みを交流し作品を読み深める 子どもたち一人ひとりが第1次で 次で考えた会話文や心内語を、大まか な場面ごとに仲間と紹介し合いながら、その 場面ごとに仲間と紹介し合いながら、その読みの違いに気付き、そこ から学習問題をつくり、その問題について 問題をつくり、その問題について仲間とともに考えていきまし た。ここでは、第4場面について取り上げます ここでは、第4場面について取り上げます。 子どもたちは、たぬきが山小屋で糸車を回し、束ねてわきに積み重ね は、たぬきが山小屋で糸車を回し、束ねてわきに積み重ねた箇所で、たぬき た箇所で、たぬきがどんな気持ちだった のかについて自分なりの読みをもちました もちました。教師は、これら全部に目を通し「いたずらのつもりでやっ 全部に目を通し「いたずらのつもりでやった」 「自分 が楽しいから」 「おかみさんが喜んでくれるから」の 「おかみさんが喜んでくれるから」の3つに類別し、短冊に書いて黒板に貼りました 黒板に貼りました。そして、子 どもに、自分がどの読みなのかを明確にして を明確にして、その根拠を本文の文や言葉を挙げて話すよう 話すよう促しました。 ※子どもの発言から A児 自分が楽しいからだと思うよ。毎晩来て回す真似を繰り返していて本物に触りたそうだったし、おかみ さんがいないから、こっそり入って回したのだと思うよ。 B児 うれしくてたまらないと書いてあるから、もう楽しくて体が我慢できないくらい楽しかったと思うよ。 C児 ぼくはいたずらだと思うよ。上手な手つきでやっているから、見つからないようにやっていると思うよ。 D児 C君と同じ「上手なてつき」だけど、ちょっと違うところがあって、ぼくは上手な手つきでやっている のは、丁寧にやっているのだから、おかみさんを喜んでくれると思ってやっていると思う。 E児 山のように積んであるのに、こんなにいっぱいあるのにきれいに積んであるから、おかみさんを喜ばせ ようと思ったと思うよ。 この後で、子どもが取り上げなかった叙述について教師が取り上げて、問いかけました 問いかけました。 「茶色のしっぽがち らりと見えたね、おかみさんどうして騒がなかったのかな。 」 「糸を束ねたと書いてあるけど、ぽいっと置かな かったのかね。 」など、着目して欲しい叙述を取り上げました 欲しい叙述を取り上げました。そして、絵本作りに取り組ませた 取り組ませたのです。 ここでは、板戸のかげからたぬきの様子をみているおかみさんの心内語を書き足すことをし ここでは、板戸のかげからたぬきの様子をみているおかみさんの心内語を書き足すことをしました。 【子どもの作品より】 うれしいな、こんなことたぬきがやってくれて。でも、こんなこと今言うと、たぬきが驚いてしまうからそおっと見て おいてあげよう。かわいいなあ。 (3) 「私のたぬきの糸車」絵本でお話の楽しいところを紹介し合う 第3次では、完成した絵本の表紙を絵や吹き出しを書いて読者を楽しませる工夫をするよう促し では、完成した絵本の表紙を絵や吹き出しを書いて読者を楽しませる工夫をするよう促し では、完成した絵本の表紙を絵や吹き出しを書いて読者を楽しませる工夫をするよう促しました。そ して、グループで集まって、読み合い して、グループで集まって、読み合い、そのよさをカードに書いて友達に渡しました。カードには、たぬきや た。カードには、たぬきや おかみさんの気持ちについて自分にない表現の仕方や内容が書かれていることを指摘し、作品についてさらに 想像を膨らませて読む姿が見られまし ました。 3 実践を振り返って 入門期の児童が、想像を膨らませて文学的な文章を読むことができるようにするために、必然性をもって自然 が、想像を膨らませて文学的な文章を読むことができるようにするために、必然性をもって自然 に作品と出合うことや、繰り返し読み、あらすじや語句の意味を確認し全体の見通しをもつ学習過程は、 繰り返し読み、あらすじや語句の意味を確認し全体の見通しをもつ学習過程は、 繰り返し読み、あらすじや語句の意味を確認し全体の見通しをもつ学習過程は、集団で 読む活動を行う前提として重要であると感じ 重要であると感じました。これらのことに丁寧に取り組むことで、 とで、一人ひとりの子ど もの文章に対する疑問を引き出し、子どもが作品のどこに興味・関心をもっているのか もの文章に対する疑問を引き出し、子どもが作品のどこに興味・関心をもっているのか、 、多少なりとも引き出せ たと感じたからです。また、会話文や心内語を考えるよう促 。また、会話文や心内語を考えるよう促すことは、作品に対する自分なりの読みをもつこと すことは、作品に対する自分なりの読みをもつこと につながっていきました。それを教師が類別し、単純化して提示することで、仲間との読みの違いに気付くこと ができました。そうすることで、自分の読みを深めることにつながっていったのです。