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【請求項1】 (a)

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【請求項1】 (a)
JP 3917661 B2 2007.5.23
(57)【 特 許 請 求 の 範 囲 】
【請求項1】
( a ) ジ ヒ ド ロ キ シ ア セ ト ン 、 ( b ) ポ リ マ ー 物 質 を 含 み 、 DHAが ヒ フ の 最 外 層 に あ る 組
織層を超えて浸透するのを防ぐための浸透減弱剤、および(c)化粧学的または薬学的に
許容できる担体を含む、増殖性皮膚病の光線療法治療に使用する局所用組成物。
【請求項2】
ジ ヒ ド ロ キ シ ア セ ト ン が 10∼ 20重 量 % の 量 で 存 在 す る 、 請 求 項 1 記 載 の 組 成 物 。
【請求項3】
ジ ヒ ド ロ キ シ ア セ ト ン が 15重 量 % の 量 で 存 在 す る 、 請 求 項 1 記 載 の 組 成 物 。
【請求項4】
10
ポリマー物質が、線状または分岐状のポリウレタン類、ポリエチレン類、ポリアクリレー
ト類、重合第四級セルロース系誘導体、ならびにシリコーン、ピロリドン、アクリル酸、
あるいはメタアクリル酸の共重合体から選ばれる、請求項1記載の組成物。
【請求項5】
浸透減弱剤がポリオールプレポリマーを含む、請求項1記載の組成物。
【請求項6】
浸 透 減 弱 剤 が 0.2∼ 20.0重 量 % の 量 で 存 在 す る 、 請 求 項 1 記 載 の 組 成 物 。
【請求項7】
浸 透 減 弱 剤 が 5.0∼ 15.0重 量 % の 量 で 存 在 す る 、 請 求 項 1 記 載 の 組 成 物 。
【請求項8】
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さらに酸性成分を含む、請求項1記載の組成物。
【請求項9】
酸性成分が無機酸または有機酸を含む、請求項8記載の組成物。
【請求項10】
酸性成分がアルファーヒドロキシ酸またはその誘導体を含む、請求項8記載の組成物。
【請求項11】
酸 性 成 分 が 乳 酸 を 含 む 、 請 求 項 10記 載 の 組 成 物 。
【請求項12】
酸 性 成 分 が 0.1∼ 20.0重 量 % の 量 で 存 在 す る 、 請 求 項 8 記 載 の 組 成 物 。
【請求項13】
10
酸 性 成 分 が 1.0∼ 5.0重 量 % の 量 で 存 在 す る 、 請 求 項 8 記 載 の 組 成 物 。
【請求項14】
酸 性 成 分 が 2.5重 量 % の 量 で 存 在 す る 、 請 求 項 8 記 載 の 組 成 物 。
【請求項15】
増殖性皮膚病が乾癬、菌状息肉症、湿疹、日光角化症または扁平苔癬である、請求項1記
載の組成物。
【請求項16】
さらに光増感剤を含む、請求項1記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
1.発 明 の 分 野
20
本発明は、乾癬およびその他の増殖性皮膚病の治療に有用な組成物に関する。さらに詳し
くは、本発明は、ジヒドロキシアセトンを含有してなる、乾癬およびその他増殖性皮膚病
を光線療法技術により治療するのに有用な組成物に関する。
2.発 明 の 背 景
2.1.ジ ヒ ド ロ キ シ ア セ ト ン 含 有 組 成 物
ジ ヒ ド ロ キ シ ア セ ト ン ( DHA) は 、 化 学 式 C 3 H 6 O 3 を も つ 白 色 結 晶 性 の 吸 湿 性 粉 末 で あ る 。 D
HAは 炭 素 数 3 個 の 糖 で あ り 、 調 製 直 後 の 水 溶 液 中 で は 通 常 ダ イ マ ー と し て 存 在 し て い る 。
米 国 特 許 第 2,949,403号 に は 、 ヒ ト 表 皮 用 の 日 焼 け ( tanning) 剤 と し て DHAを 使 用 す る そ
の 使 用 方 法 お よ び 組 成 物 が 開 示 さ れ て い る 。 DHAは 、 局 所 投 与 す る と 、 角 質 層 表 面 に 浸 透
す る 。 角 質 層 に お い て 、 DHAは そ の ア ミ ノ 基 を 介 し て 表 皮 タ ン パ ク 質 と 共 有 結 合 し 、 化 粧
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学的に許容できる「日焼け」色を生じる。
米 国 特 許 第 2,949,403号 は 、 DHAを 0.05∼ 約 90.0重 量 % の 濃 度 で 使 用 す る こ と が で き る と 開
示 し て い る 。 し か し な が ら 、 市 販 の 日 焼 け 剤 製 品 は 、 せ い ぜ い 約 5% ま で の DHAを 含 有 し て
いるのが普通である。これ以上高い濃度では、許容できる人工的な日焼けがもたらされな
い か ら で あ る 。 自 動 日 焼 け ( self-tanning) 組 成 物 は 7.5% 程 度 の DHAを 含 ん で い る こ と が
あ る 。 こ れ ら の 製 品 に 存 在 す る DHAの 量 は 、 許 容 で き る 組 成 物 に 高 濃 度 の DHAを 配 合 す る 困
難性などの、多くのファクターに依存する。同様に、所望の人工「日焼け」色を得るには
約 5% の DHA濃 度 で 十 分 で あ る 。 高 濃 度 の DHAは 、 再 現 し た い 所 望 の 「 日 焼 け 」 色 よ り は る
かに黒い色か、または所望の日焼け色とは異なる色の肌にしてしまうことが多い。特に、
さらに高濃度になると、自然な日焼けとは似ても似つかない色になったり、消費者にとっ
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て許容できない程肌が黒くなる。
1960年 代 以 降 、 人 工 的 な 日 焼 け を 与 え る 活 性 成 分 と し て DHAを 使 用 す る 組 成 物 が い く つ か
開 示 さ れ た 。 例 え ば 、 米 国 特 許 第 4,708,865号 は 、 色 白 の 人 達 が DHAを 使 用 す る こ と に よ っ
て 生 じ た 、 望 ま し く な い オ レ ン ジ 色 の 外 見 ・ 顔 色 を カ バ ー す る た め に 、 DHAお よ び そ の 他
の着色剤を含む局所用液を開示している。
さ ら に 、 水 中 油 型 乳 剤 、 50% ま で ア ル コ ー ル を 含 有 す る 製 剤 、 ク リ ー ム 基 剤 の よ う な 種 々
の 担 体 、 お よ び ロ ー シ ョ ン や 軟 膏 、 粉 末 剤 な ど 、 そ の 他 通 常 の 担 体 シ ス テ ム に DHAを 配 合
することも周知である。一般にこれらの組成物は、その他多くの任意成分、例えば、香料
、保存剤、皮膚軟化剤、防腐剤、顔料、着色剤、保湿剤、ならびに化粧用または医薬用と
して望ましいその他の物質を含んでいる。特に多くの市販製品は、人工日焼けが残る時間
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を 長 く す る た め 、 皮 膚 組 織 層 の 深 く ま で DHAの 吸 収 を 促 進 さ せ る た め の 浸 透 促 進 剤 と し て
作用する物質を含んでいる。
さ ら に 、 人 肌 に 人 工 的 な 日 焼 け を 起 こ す 能 力 に 加 え 、 DHAと 皮 膚 組 織 に 「 日 焼 け 」 色 を 与
える化合物との反応生成物が、効果的なサンスクリーン剤であることも知られている。特
に 、 こ の 反 応 生 成 物 は 、 約 350ナ ノ メ ー タ に ピ ー ク を も つ 300∼ 600ナ ノ メ ー タ 域 の 紫 外 光
を吸収するので、そのような光線に曝露することによって生じるダメージから皮膚を保護
することが知られている。
2.2.増 殖 性 皮 膚 病 の 光 線 療 法 治 療
乾 癬 、 湿 疹 、 菌 状 息 肉 症 、 日 光 角 化 症 お よ び 扁 平 苔 癬 の よ う な 増 殖 性 皮 膚 病 は 、 年 間 15万
∼ 26万 例 の 発 症 が あ り 、 米 国 人 口 の 1乃 至 2% に 達 す る こ と が 知 ら れ て い る ( 「 Research N
10
eeds in 11 Major Areas in Dermatology I. Psoriasis( 皮 膚 科 学 の 主 要 1 1 分 野 に お け
る 研 究 の 必 要 性 I. 乾 癬 ) 、 J. Invest. Dermatol. 73: 402-13, 1979) 。 皮 膚 細 胞 の 急 激
な 増 殖 を 治 療 す る 一 つ の 方 法 は 、 皮 膚 に 紫 外 ( UV) 光 を 吸 収 さ せ て 急 激 に 成 長 し て い る 細
胞 を 殺 し 、 増 殖 を 停 止 さ せ る 光 線 療 法 で あ る 。 今 の と こ ろ 、 320∼ 400nm( UVA照 射 ) ま た
は 290∼ 320nm( UVB照 射 ) の UVを 皮 膚 に 照 射 す る UVAお よ び UVB療 法 が 両 方 と も 有 効 で あ る
と し て 汎 用 さ れ て い る 。 光 線 療 法 化 学 の 一 形 態 で あ る PUVA療 法 も ま た 広 く 使 わ れ て い る が
、この療法は、皮膚患部にソラレンまたはソラレンをベースにした化合物を繰り返し局所
塗 布 し た 後 、 そ の 患 部 を UVA線 に 曝 露 す る こ と を 含 む 。 増 殖 性 皮 膚 病 、 特 に 乾 癬 お よ び 菌
状 息 肉 症 を 治 療 す る の に 使 用 さ れ る 他 の 方 法 は 光 力 学 療 法 ( PDT) で あ る 。 こ の 方 法 で は
、患者に光増感剤を投与する。この光増感剤は癌細胞に選択的に取り込まれる薬剤である
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。 光 増 感 剤 は 、 光 を 吸 収 ( 光 増 感 剤 に 依 存 し 、 主 と し て 320∼ 700nmの 間 ) し た 後 に 、 光 化
学反応を生じ、細胞傷害性の一重項酸素を生成して最終的に皮膚の腫瘍管破壊をもたらす
( Andersonら , Arch. Dermatol. 128: 1631-1636, 1992) 。
しかしながら、以上のようなタイプの療法を用いて増殖性皮膚病を長期にわたって治療す
ることは、紅斑や掻痒症、皮膚癌などの重篤な急性および慢性の副作用、および慢性的な
光 に よ り 引 き 起 こ さ れ る 皮 膚 損 傷 を 生 じ る ( Sternら , N.E.J. Med. 300: 809-812, 1979
)。
従って、光線療法中には皮膚が光線に曝露される回数を減らすことが望ましい。治療を成
功 さ せ る の に 必 要 な 累 積 反 復 数 ( 通 常 25回 程 度 ) を 減 ら す 方 法 と し て 、 PUVA療 法 ( Wolff,
Pharmacol. Ther. 12:381, 1981) お よ び PUVA療 法 を わ ず か な 間 隔 を お い て 他 の 療 法 と 置
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き 換 え る 方 法 ( Parrisら , The Science of Photomedicine, Reganら 編 、 1982, p.615) が
提案されている。光線療法の回数を減らすのに使用される他の方法として、治療中に光学
的 な 影 響 を 増 加 さ せ て い く 手 法 が あ る ( Honigsmann et al., Dermatology in General Me
dicines, 第 3版 、 T.B.-Fitzpatrick et al.編 、 1533-1558, 1987; Ryatt, et al., J. Am
. Acad. Dermatol., 9: 558-562, 1983) 。 分 離 し た 班 を 、 紅 斑 発 生 を 生 じ る 光 学 的 影 響
レ ベ ル と し て 定 義 さ れ る 最 小 紅 斑 量 ( MED) の 2∼ 3倍 の 光 線 レ ベ ル に 曝 露 し た 場 合 、 患 部
が ク リ ア と な る の に 必 要 な 時 間 を 3分 の 1ま で 減 ら す こ と が で き る ( Parrish et al., J. I
nvest. Dermatol. 76: 359-362, 1981) 。
UVA線 も UVB線 も 共 に 正 常 な 皮 膚 に は 有 害 で あ る か ら 、 最 終 的 に は 皮 膚 を 紫 外 光 に 累 積 曝 露
することで生じる副作用によって、治療を進める際の耐容限度が制限される。今のところ
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UV照射レベルは、光線療法治療の間、できるだけ高く、すなわち、痛みを伴うサンバー
ンを起こす量よりも若干下回るレベルに設定されている。
光線療法中紫外光に対する曝露増加の影響を減らすため、皮膚患部の周囲の、非患部皮膚
すべてにサンスクリーン剤を塗ることも可能であるが、これは実用的ではない。ほとんど
の増殖性皮膚病では、体全体にわたって数十または数百の患部がランダムに散らばってい
る こ と が 多 い か ら で あ る 。 さ ら に 、 PDTの 間 は 、 皮 膚 の 非 患 部 に 感 知 で き る 程 度 ま で 光 増
感剤を取り込んで、薬剤を活性化する光線から非患部を保護することが望ましく、そうす
ることが多いからである。
増 殖 性 皮 膚 病 の 光 線 療 法 に 、 以 前 は DHAが 使 わ れ て い た ( ″ Dihydoxyacetone( DHA) Enhan
ced Photochemistry of Psoriasis″ ( ジ ヒ ド ロ キ シ ア セ ト ン ( DHA) に よ り 増 強 し た 乾 癬
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の 光 線 療 法 ) 、 L. Hruza et al. 4th annual Photo-medicine Conference, New Orleans
( February 3, 1995) 参 照 ) 。 し か し な が ら 、 特 に PUVA療 法 に マ ッ チ し 、 か つ 改 良 さ れ た
活 性 を も つ DHA組 成 物 が な お 要 望 さ れ 続 け て い る 。
3.発 明 の 要 約
本 発 明 の 組 成 物 は 、 化 粧 学 的 お よ び /ま た は 薬 学 的 に 許 容 で き る 担 体 で あ る 、 DHAお よ び 浸
透 減 弱 剤 を 含 有 し て な る 。 本 発 明 の 組 成 物 の う ち の 特 定 の も の は 、 特 に PUVA療 法 用 に 処 方
さ れ る 。 DHAは 角 質 層 の 部 分 に 結 合 し て 光 線 、 例 え ば 、 紫 外 線 を 部 分 的 に 吸 収 す る 。 浸 透
減 弱 剤 は 、 DHAが 最 上 部 組 織 層 に 浸 透 す る の を 防 ぎ 、 そ れ に よ っ て 皮 膚 患 部 か ら の 、 DHAに
よ る 日 焼 け が さ ら に 迅 速 に 「 剥 落 す る ( sloughing off) 」 よ う 促 進 す る 。 場 合 に よ り 、
本発明の組成物は酸性成分を含有することができる。酸性成分は、組成物を安定化してそ
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の pHを 至 適 化 す る と 同 時 に 、 DHAと 健 常 な 非 患 部 皮 膚 組 織 と の 反 応 を さ ら に 迅 速 に 促 進 す
る機能をもっている。
好ましい態様によれば、本発明の組成物は、乾癬、菌状息肉症、湿疹、日光角化症または
扁平苔癬を治療するのに用いられる。本発明の他の特徴および利点は、以下に続く好まし
い態様の記載および特許請求の範囲から明らかになるであろう。
本発明は、皮膚の患部および非患部をもつ、ヒト患者における増殖性皮膚病の光線療法治
療用組成物に関する。本明細書における「増殖性皮膚病」なる語は、乾癬、菌状息肉症、
湿疹、日光角化症、扁平苔癬および、皮膚細胞の急激な増殖により生じるその他の病気を
意味する。
本発明の組成物を使用する増殖性皮膚病の光線療法治療は、主として以下の工程、すなわ
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ち、
( a) 皮 膚 の 患 部 お よ び 非 患 部 に 日 焼 け 防 止 サ ン ス ク リ ー ン 剤 を 局 所 投 与 す る 工 程 、
( b) 患 部 の 皮 膚 が 、 非 患 部 の 皮 膚 よ り も 剥 落 す る の に 十 分 な 時 間 待 機 す る 工 程 、 お よ び
、
( c) 患 者 皮 膚 の 患 部 お よ び 非 患 部 を 、 皮 膚 患 部 を 治 療 す る の に 十 分 で あ り 、 か つ 皮 膚 非
患部に重大なダメージを生じるには不十分である、選択された光線量に曝露する工程
からなることを特徴とする。
増殖性皮膚病の治療のなかで光線療法が有利に使用される一つの特徴は、皮膚の外層であ
る 表 皮 の 過 増 殖 で あ る 。 皮 膚 患 部 は 、 非 患 部 に 比 べ て 約 10倍 の 速 度 で 成 長 し 剥 落 す る 。 従
って、患部の角質層に付着するサンスクリーン剤のような局所用剤は、非患部に適用する
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サンスクリーン剤に比べ、はるかに早く剥落する。すると、所定の時間後、皮膚の非患部
には、患部に比べて大量のサンスクリーン剤が保持されるという結果が生じる。
サ ン ス ク リ ー ン 剤 に よ る 患 者 皮 膚 の 患 部 お よ び /ま た は 非 患 部 に 対 す る 光 防 御 量 は 工 程 ( b
) と ( c) と の 中 間 段 階 に お い て 測 定 す る の が 好 ま し く 、 測 定 は 、 例 え ば 、 サ ン ス ク リ ー
ン剤で処置した皮膚の反射率特性を測定するなどの、光学的な方法を用いて行われる。さ
ら に 他 の 態 様 に お い て は 、 工 程 ( c) の 前 に 、 患 者 に 対 し て 光 増 感 剤 の ソ ラ レ ン ま た は ソ
ラレン類化合物を投与する。
4.発 明 の 詳 細 な 説 明
本 発 明 の 組 成 物 は 、 DHAが 所 望 の 化 学 的 お よ び 光 学 的 特 性 を 発 揮 す る の で 、 光 線 療 法 治 療
の と き に 有 用 で あ る 。 DHAが も つ 所 望 の 「 化 学 的 」 特 性 と し て は 、 そ の 低 毒 性 な ら び に 皮
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膚 の 患 部 お よ び 非 患 部 領 域 に お け る 付 着 能 力 が 挙 げ ら れ る 。 さ ら に DHAは 、 高 い 実 質 性 を
有 す る 。 す な わ ち 、 DHAは 容 易 に 洗 い 流 さ れ る こ と が な く 、 か つ 共 有 結 合 に よ っ て 角 質 層
の成分(例えば、ケラチン、その他のタンパク質、脂質など)に付着している。
所 望 の 「 光 学 的 」 特 性 と し て は 、 紫 外 お よ び /ま た は 可 視 光 振 動 域 に お け る DHA反 応 生 成 物
の 比 較 的 広 い 吸 収 ス ペ ク ト ル お よ び 、 入 射 光 の 少 な く と も 50% を 吸 収 す る DHAの 能 力 を 挙
げ る こ と が で き る 。 DHAの 反 応 生 成 物 は 、 光 の 吸 収 後 に は 光 分 解 を 受 け ず 、 光 線 療 法 期 間
における皮膚の過色素沈着を最小限にする。
さ ら に DHAは 、 適 用 さ れ た 皮 膚 を 着 色 す る と い う 好 都 合 な 性 質 を も っ て い る 。 こ れ は 光 線
療法治療には特に有利である。治療を施す個々人に対してサンスクリーン組成物を適用し
た部位を簡単に判断でき、従って、適切に保護されていない皮膚領域を不用意に有害光線
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に曝露することによって、健常な皮膚を損傷するおそれを減らことができるからである。
本 発 明 の 組 成 物 は 、 DHAの 特 性 を 利 用 し 、 PUVA療 法 に お け る そ の 性 能 を 助 長 し ま た は 増 強
して、患者の皮膚苦痛に対し組成物を受容可能にする、独特の処方をもっている。特に光
線療法治療を受ける患者は、ほとんどの場合皮膚に重篤な損傷を受けており、生の赤膚が
露出している。従って、本発明の組成物は、局所投与に際してできるだけ不快感を与えな
いように処方されている。
本 発 明 の 組 成 物 は 、 DHAお よ び 浸 透 減 弱 剤 、 な ら び に 化 粧 学 お よ び /ま た は 薬 学 的 に 許 容 で
き る 担 体 を 含 有 し て な る 。 本 発 明 の サ ン ス ク リ ー ン 組 成 物 に お け る DHAの 濃 度 は 、 正 常 な
哺乳類の皮膚に対して実質的な光保護を与えるのに必要な濃度として定義される。好まし
く は 、 本 発 明 の 組 成 物 は 、 約 5.0∼ 約 20.0重 量 % の DHAを 含 有 し て い る 。 さ ら に 好 ま し く は
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、 本 発 明 の 組 成 物 は 、 約 10∼ 約 20重 量 % の DHAを 含 ん で お り 、 最 も 好 ま し く は 、 約 15重 量
% の DHAを 含 ん で い る 。
本 発 明 の 浸 透 減 弱 剤 は 、 DHAが 皮 膚 の 最 外 層 に あ る 組 織 層 を 超 え て 浸 透 す る の を 防 ぐ 機 能
を も っ て い る 。 DHAの 浸 透 を 防 ぐ こ と に よ っ て 、 「 日 焼 け 」 お よ び こ れ に 伴 っ て 皮 膚 に 付
与される光保護は、厳密に表面環境として保たれるので、むしろ迅速に皮膚患部から「日
焼 け 」 を 剥 落 さ せ る ( 例 え ば 、 乾 癬 班 ) 。 も し DHAを 患 部 深 く ま で 浸 透 さ せ る と 、 剥 落 ま
でにおよそ数週間はかかるであろうし、光線療法治療で利用される、固有に選択的な剥離
特性の利点は得られなくなってしまう。さらに本浸透減弱剤は、本発明のサンスクリーン
組成物を健常な非患部皮膚組織に、より普通の方法で分布させる役割をもっている。
好 ま し く は 、 浸 透 減 弱 剤 は 、 一 つ の 成 分 、 本 発 明 に お い て は DHAと 会 合 す る か ま た は DHAに
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溶解する傾向をもつ膜形成物質を含んでなる。この膜形成物質は一般に、皮膚内部へ浸透
できないほどの高分子量をもつ大型のポリマーである。弱い静電力であるファンデルワー
ル ス 力 か ま た は 水 素 結 合 に よ っ て 会 合 し て い る た め 、 与 え ら れ た 物 質 、 例 え ば DHAは 、 皮
膚成分よりもポリマーのほうと強く会合することができる。そしてポリマーサイズの故に
、ポリマーと会合する成分は固定され、皮膚組織内を移動することができなくなる。好ま
しい溶解度を与えることによって、成分は、皮膚組織成分に溶解するよりも、ポリマーの
ほうに溶解する。従って、もしその物質の溶解度が皮膚組織成分に対するよりもポリマー
系に対するほうが高い場合、かつ、ポリマーが大きすぎて浸透できない場合には、問題の
成分も浸透しないであろう。
前記の基準に基づき、どの数のポリマー物質も本発明の浸透減弱剤として有用であると考
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えられる。これらの連携された性質をもち、かつ、この減弱化を示す物質の一般的な範疇
には、以下の例示に限定されるものではないが、線状または分岐状のポリウレタン類、ポ
リエチレン類、ポリアクリレート類、重合第四級セルロース系誘導体、およびシリコーン
、 ピ ロ リ ド ン 、 ア ク リ ル 酸 、 メ タ ア ク リ ル 酸 等 の 共 重 合 体 ( comb copolymers) が 含 ま れ
る 。 本 発 明 の 好 ま し い 態 様 に お い て 、 浸 透 減 弱 剤 は 商 標 名 「 Polyolprepolymer」 と し て Ba
rnet社 よ り 市 販 さ れ て い る ポ リ ウ レ タ ン を 含 ん で な る 。
浸 透 減 弱 剤 は 、 DHAが 皮 膚 の 最 外 層 、 例 え ば 、 角 質 層 よ り も さ ら に 奥 へ 浸 透 す る の を 妨 ぐ
か ま た は 阻 害 す る に 十 分 な 量 で 存 在 す る こ と が で き る 。 特 に 浸 透 減 弱 剤 は 、 約 0.2∼ 約 20.
0重 量 % の 量 で 存 在 す る 。 好 ま し く は 、 本 発 明 の 組 成 物 は 約 5.0∼ 約 15.0重 量 % の 浸 透 減 弱
剤 を 含 有 す る 。 最 も 好 ま し く は 、 本 発 明 の 組 成 物 は 約 10重 量 % の 浸 透 減 弱 剤 を 含 有 す る 。
40
DHAお よ び 浸 透 減 弱 剤 は ビ ヒ ク ル ま た は 担 体 を 通 し て 皮 膚 に 適 用 さ れ る 。 化 粧 学 お よ び /ま
たは薬学的に許容できる従来の担体またはビヒクルであれば、いずれも使用することがで
きる。適当な担体としては、ローション、クリーム、オイル、乳剤、ゲル、チンキおよび
軟膏を挙げることができる。これらの担体は、散布可能であることが望ましいが、スプレ
ー出来るものであればよい。当業者であれば、本発明の組成物に使用する適当な担体を容
易に処方することができるであろう。
本 発 明 の 組 成 物 は ま た 、 必 要 に 応 じ て 、 製 剤 を 安 定 化 し て そ の pHを 最 適 化 す る 作 用 の あ る
酸性成分を含有することができる。さらにこの酸性成分は、非患部健常皮膚組織とのより
迅 速 な 反 応 を 促 進 す る と 共 に 、 DHAに よ る 患 部 組 織 の 着 色 能 力 を 維 持 す る と 考 え ら れ る 。
特定の酸性成分を選択する場合、大切なのは、本発明の組成物が主として皮膚患部に直接
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適用されるという点を認識しておくことである。多くの場合、患部は重篤な損傷を受けて
おり、生の赤膚が露出している。従って、酸性成分を選択する場合には、本発明の組成物
適用に伴う不快感を最小限にするよう配慮しなければならない。
本発明の酸性成分には多数の有機および無機酸を使用することができる。当業者は容易に
、 当 該 酸 性 成 分 と し て 適 当 な 有 機 お よ び /ま た は 無 機 酸 を 決 定 す る こ と が で き る 。 例 え ば
、希塩酸は本発明の組成物の酸性成分に適当である。酸性成分として使用するには、αー
ヒドロキシ酸が好ましい。最も好ましいのは、乳酸を本発明の酸性成分に使用することで
ある。
本発明組成物の酸性成分の量は、使用する酸のタイプ、ならびに酸の濃度および相対的強
さ の よ う な フ ァ ク タ ー に よ っ て 変 化 す る 。 一 般 に 、 約 0.1∼ 約 20.0重 量 % の 酸 性 成 分 が 本
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発 明 の 組 成 物 に 存 在 す る 。 好 ま し く は 、 約 1.0∼ 約 5.0重 量 % の 酸 性 成 分 が 本 発 明 の 組 成 物
に 使 用 さ れ る 。 最 も 好 ま し く は 、 約 2 ∼ 約 3重 量 % の 酸 性 成 分 が 本 発 明 組 成 物 に 使 用 さ れ
る。
本発明の組成物は、その他種々の任意成分を含有することができる。これらの成分として
は、下記例示に限定されるものではないが、保存剤、皮膚軟化剤、防腐剤、顔料、着色剤
、保湿剤、噴射剤、ならびに化粧用または医薬用として望ましいその他の物質がある。
その一般的な例は、以下の文献に記載されている。
CTFA International Cosmetic Ingredient Dictionary, 第 4版 、 The Cosmetic, Toiletry
, and Fragrance Association, Inc., Wahington, D.C., 1991,な ら び に Remington's Pha
rmaceutical Science, 第 18版 、 A.R. Greenaro編 、 Mack Publishing Co., Easton, Pa.,
20
1990。 上 記 成 分 の 一 般 的 な 例 を 以 下 に 掲 げ る が 、 こ れ は 例 示 の た め で あ っ て 限 定 を 意 図 す
るものではない。
任 意 の 成 分 と し て 、 Peg-100ス テ ア リ ン 酸 塩 、 グ リ セ リ ル モ ノ ス テ ア レ ー ト 、 DEAセ チ ル ホ
ス フ ェ ー ト 、 ジ メ チ コ ン ・ コ ポ リ オ ー ル 、 TEAス テ ア リ ン 酸 塩 の ご と き 乳 化 剤 ; 皮 膚 に 柔
軟性または潤いを与える適当な成分、例えば、グリセリン、プロピレングリコール、鉱油
、 ワ セ リ ン 、 ミ リ ス タ ル ( myrystal) ラ ク テ ー ト や カ プ リ ル 酸 ト リ グ リ セ リ ド お よ び カ プ
リン酸トリグリセリドのような脂肪酸エステル、ジメチコンおよび天然全オイルまたはそ
の成分、コムギ脂質エキスまたはセラミドのような保湿剤、メチルパラベンのような保存
剤、フェノキシエタノールなどが挙げられる。
活 性 化 合 物 を 含 有 す る 付 着 性 ( adherent) の サ ン ス ク リ ー ン 剤 を 適 用 し た 後 に 、 迅 速 な 皮
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膚増殖のため患部領域(例えば、皮疹部)における皮膚の優先的な喪失が起こり、該領域
に非患部に比べて低い濃度のサンスクリーン剤が残る期間が続く。従って皮膚患部は、光
線 療 法 ま た は PDTの 間 、 相 対 的 に 光 学 的 照 射 か ら 保 護 さ れ な い 状 態 に な る 。 本 発 明 の 組 成
物 に よ り 非 患 部 の 皮 膚 を 選 択 的 に 保 護 す る こ と は 、 ( 1) さ ら に 積 極 的 な 光 線 療 法 を 可 能
に し 、 皮 膚 の ク リ ア リ ン グ プ ロ セ ス を 促 進 す る ( Carabott et al., Clin. Exp. Dermatol
. 14: 337-340, 1989) ;
( 2) サ ン バ ー ン 日 焼 け 、 皮 膚 癌 、 お よ び そ の 他 の 急 性 副 作 用 が 生 じ る の を 減 ら す ; そ し
て ( 3) 増 殖 性 皮 膚 病 を 迅 速 に 治 療 す る の に 必 要 な 治 療 回 数 を 減 ら し 、 そ の 結 果 こ の 療 法
を 簡 略 化 す る こ と が で き る 。 従 っ て 、 本 発 明 の 組 成 物 は 、 光 線 療 法 、 PDTま た は 光 化 学 療
法を用いる患部治療を、より安全にかつより効率的にする。
40
4.1.DHAと 角 質 層 と の 相 互 作 用
局所投与した後、本発明のサンスクリーン組成物は角質層の最外細胞層に含まれるタンパ
ク質と結合する。あるいは、該サンスクリーン組成物は脂質のような皮膚の他の成分と重
合 ま た は 結 合 す る こ と も あ る 。 DHAの 場 合 こ れ は 、 酸 化 化 合 物 の 生 成 を 生 じ 、 該 化 合 物 は
光 を 吸 収 し た 後 、 蛍 光 性 挙 動 を 示 す よ う に な る ( Ellis Adv. Carbohydrate Chem. 14: 63
-135, 1959) 。
着 色 の 深 さ を 決 め る に は 、 乾 癬 皮 膚 サ ン プ ル に DHA溶 液 の 1回 塗 布 で 処 理 し 、 次 い で 生 検 す
る 。 皮 膚 の 凍 結 片 を 調 製 し 、 1日 後 お よ び 3日 後 に 、 標 準 的 な 吸 光 分 光 分 析 法 を 用 い て 、 DH
Aの 蛍 光 を 皮 膚 の 深 さ の 関 数 と し て 測 定 す る 。 1日 後 に DHA着 色 皮 膚 に 誘 導 さ れ る 蛍 光 は 、
角 質 層 の 上 半 分 に 制 限 さ れ る べ き で あ る 。 蛍 光 強 度 は 、 角 質 層 の 剥 落 に よ り 3日 後 に は 実
50
(7)
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質的に減少しなければならない。着色された皮膚の蛍光強度は、その実験の未着色対照サ
ンプルと対比する。
DHA浸 透 の 深 さ は 、 DHA溶 液 を 局 所 投 与 し た 後 、 DHAが 角 質 層 に 浸 透 す る の に 十 分 な 時 間 待
機し、誘導された蛍光強度を測定しながら、粘着テープで皮膚層を剥離することによって
測定することができる。
局 所 用 サ ン ス ク リ ー ン 剤 を 用 い て 、 正 常 な 皮 膚 を も つ 健 常 人 前 腕 の 一 セ ク シ ョ ン に 、 DHA
の 薄 層 を 塗 布 す る 。 DHAが 角 質 層 に 拡 散 す る に 十 分 な 時 間 ( 4∼ 6時 間 ) 保 っ た 後 、 接 着 テ
ー プ を サ ン ス ク リ ー ン 剤 の 塗 布 領 域 の 皮 膚 に 張 る 。 こ の テ ー プ を 剥 離 す る と 、 約 0.5μ mの
厚さをもつ皮膚細胞のほぼ一層が除去される。各皮膚層を剥がした後、標準的な吸光分光
分 析 法 を 用 い て 得 ら れ た 皮 膚 表 面 の 蛍 光 強 度 を 、 皮 膚 を 侵 さ な い よ う に ( non-invasively
10
) 測 定 す る 。 こ の プ ロ セ ス を 反 復 す る と 、 DHAの 存 在 に よ り 誘 導 さ れ る 蛍 光 強 度 は 各 剥 離
毎に減少していく。
サ ン ス ク リ ー ン 剤 に お け る DHAの 濃 度 が 理 想 的 で あ れ ば 、 皮 膚 表 面 だ け に 結 合 す る 、 光 防
御性の高い層が形成される。濃度が高いほど角質層内部に結合する活性成分の量は過剰に
な り 、 DHAが 実 質 的 に 剥 が れ 落 ち る の に 必 要 な 時 間 が 長 く な る 。 そ の 結 果 、 サ ン ス ク リ ー
ン 剤 の 適 用 と 光 線 療 法 と の 間 の 時 間 が 長 く な る 。 乾 癬 皮 膚 の 角 質 層 は 正 常 皮 膚 速 度 の 8∼ 1
0倍 の 早 さ で 剥 が れ 落 ち る が 、 多 く の 場 合 、 正 常 皮 膚 よ り も 厚 み が あ る 。 従 っ て 、 角 質 層
を通して結合している活性化合物は、より高レベルの着色をもたらす。そして実際に、完
全に剥がれ落ちるにはもっと長い時間がかかる。
サ ン ス ク リ ー ン 組 成 物 に お け る DHAの 望 ま し い 濃 度 は 、 正 常 皮 膚 に 対 し 実 質 的 な 光 保 護 を
20
与 え る の に 必 要 な 濃 度 と し て 定 義 さ れ る 。 DHA皮 膚 着 色 に 影 響 を 与 え る ビ ヒ ク ル ま た は 薬
剤 の 使 用 に 応 じ 、 約 5∼ 20重 量 % の 濃 度 が DHAに は 適 当 で あ る と 期 待 さ れ る 。
光線療法がクリアリング期にある間、角質層結合サイトの濃度および剥離速度は両方とも
変 動 す る と 考 え ら れ る の で 、 DHAの 濃 度 は 治 療 中 に も 選 択 的 に 調 整 す る こ と が 必 要 で あ ろ
う 。 患 部 皮 膚 領 域 か ら の DHAの 示 差 損 失 は 、 主 と し て 初 期 の 治 療 に 現 れ る が 、 患 部 領 域 が
ク リ ア に な る に つ れ 、 損 失 率 は 減 少 し DHAが よ り 長 い 期 間 保 持 さ れ る 。 従 っ て 、 DHAを 適 用
する頻度および濃度は、個々の患者により、光線療法の期間中、皮膚の剥落速度および皮
膚の結合サイト変動に従って変化させることができる。本明細書に開示されたガイダンス
を用いて、そのような頻度および濃度調整を行うのは常法の手順である。
さらに、ソラレンまたはソラレン類化合物のような光増感剤を患者に投与して局所用サン
30
スクリーン剤と併用することができる。これらの化合物は、常法の一つにより(例えば、
経口、非経口、経皮、経膜投与)あるいは、生分解性、生体適合性ポリマーを用いる徐放
性製剤として、またはミセルやゲルおよびリポソームを用いるオンサイトデリバリーによ
り、投与されることができる。一旦投与されたら、該化合物を患部皮膚領域で選択的に保
持するため、十分な時間経過せしめる。好ましくは、患部および非患部領域に保持される
薬剤比が、これらの領域を覆うサンスクリーン剤の量比が最小になる時期とほとんど同時
期 に 最 大 化 す る よ う 、 該 化 合 物 を 投 与 す る 。 そ う す る こ と に よ っ て 、 PDTを 用 い る 患 部 の
効率的な治療が可能となる。
本発明の方法に使用することができる光増感剤の例としては、ヘマトポルフィリン誘導体
( HPD) 、 ポ ル フ ィ マ ー ナ ト リ ウ ム ( Photofrin) 、 ベ ン ゾ ポ ル フ ィ リ ン 誘 導 体 一 酸 環 A( B
40
PD-MA) 、 モ ノ -1-ア ス パ ル チ ル ク ロ リ ン e6( NPe6) 、 ク ロ ロ ア ル ミ ニ ウ ム ス ル ホ ン 化 フ タ
ロシアニンおよび、患部領域で選択的に保持され、かつ光を吸収して活性化される(すな
わち、光化学反応を受けて細胞傷害性一重項酸素を生成する)、同様の光吸収化合物を挙
げ る こ と が で き る 。 さ ら に 、 5-ア ミ ノ レ ブ リ ン 酸 ( ALA) 、 生 合 成 さ れ る ポ ル フ ィ リ ン の
天 然 前 駆 体 プ ロ ト ポ ル フ ィ リ ン IXを 光 増 感 剤 と し て 使 用 す る こ と も で き る 。 本 発 明 の 方 法
に 使 用 す る こ と が で き る ソ ラ レ ン 類 化 合 物 の 例 と し て は 、 8-MOP( メ ト キ シ サ レ ン 、 キ サ
ン ト ト キ シ ン ) 、 5-メ ト キ シ ソ ラ レ ン ( 5-MOP、 ベ ル ガ プ チ ン ) 、 7-メ チ ル ピ リ ド ソ ラ レ
ン、イソソラレンおよび、その他のソラレン異性体および化学的誘導体を挙げることがで
きる。
4.2.光 線 療 法 に 対 す る 光 学 的 影 響 レ ベ ル の 測 定
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最 小 紅 班 量 ( MED) と は 、 照 射 後 患 者 に 遅 延 紅 班 を 生 じ る の に 必 要 な 光 線 の 影 響 で あ り 、 M
EDは 単 位 面 積 当 た り の エ ネ ル ギ ー と し て 測 定 さ れ る 。 光 増 感 剤 の 投 与 後 、 遅 延 紅 班 を 生 じ
る の に 必 要 な 線 量 は 最 小 光 毒 性 量 ( MPD) と 呼 ば れ る 。 光 毒 性 保 護 フ ァ ク タ ー ( PPF) は 、
光増感皮膚反応から皮膚を保護するサンスクリーン剤の能力を意味し、サンスクリーン剤
で 保 護 さ れ た 皮 膚 お よ び サ ン ス ク リ ー ン 剤 な し の 皮 膚 に 対 す る MEDま た は MPDの 比 と し て 定
義 さ れ る 。 従 っ て 、 あ る 皮 膚 タ イ プ に 対 し サ ン ス ク リ ー ン 剤 に よ り 与 え ら れ る PPFは 、 治
療された皮膚領域および治療なしの皮膚領域に紅班を生じさせるに十分高いUV光に皮膚
を曝露し、ついで光学的影響比を決定することによって測定することができる。
サ ン ス ク リ ー ン 剤 は 受 動 的 な 光 学 的 減 弱 フ ィ ル タ と し て 作 用 す る の で 、 PPFも ま た 、 保 護
された皮膚の角質層を通る光の透過率と簡単に関連づけられる。サンスクリーン剤の適用
10
後 、 特 定 の 皮 膚 サ ン プ ル に 対 す る PPFを 正 確 に 決 定 す れ ば 、 光 線 療 法 に お い て 選 択 す べ き
適 切 な 光 量 が わ か る 。 PPFを 過 大 に 見 積 も る と 、 治 療 中 に 皮 膚 や け ど を 生 じ る こ と が あ り
、一方これを過小に見積もると、光線療法の効果が減小して、結果的に治療を長引かせる
ことがある。
皮 膚 サ ン プ ル の PPFは 、 患 者 の 皮 膚 か ら の 反 射 拡 散 成 分 を 測 定 す る 、 非 侵 襲 的 方 法 を 用 い
て 正 確 に 決 定 す る こ と が で き る ( Wan et al., J. Photochem. Photobiol. 34: 493-499,
1981; Kollias et al., Biological Responses to UVA Radiation, F.Urbach編 、 Valdenm
ar Pub. Co., Overland Park, KS, 1992) 。 DHAで 皮 膚 を 着 色 し た 場 合 、 PPFは 、 サ ン ス ク
リ ー ン 剤 の 適 用 前 お よ び 適 用 後 、 皮 膚 か ら 反 射 さ れ る 拡 散 光 比 の 平 方 根 に ほ ぼ 等 し い 。 PP
Fは 、 以 下 の 式 に よ っ て あ ら わ す こ と が で き る 。
20
式中、RO およびRs u n s c r e e n は、それぞれ、対象波長におけるサンスクリーン剤適用前お
よび適用後の皮膚の拡散成分反射率である。この結果は、以下の式に示すように、対数的
に表すこともできる。
式 中 、 ODは 式 ( 3) :
( 式 中 Rは 光 保 護 に 対 す る 対 象 波 長 で の 拡 散 反 射 率 で あ る ) と し て 便 宜 上 定 義 さ れ る 皮 膚
30
の見かけの光学密度である。
従 っ て PPFは 、 適 当 な 波 長 を も つ 光 で 皮 膚 表 面 を 照 射 し 、 適 当 な 光 検 出 器 で 反 射 光 を 測 定
し 、 次 い で 上 記 の 式 ( 1) を 用 い て PPFを 計 算 す る こ と に よ り 、 見 積 も る こ と が で き る 。
活 性 化 合 物 を 含 む サ ン ス ク リ ー ン 剤 は 皮 膚 に 特 定 の PPFを 与 え る 。 該 サ ン ス ク リ ー ン 剤 は
また、患者の皮膚タイプに応じた色に皮膚を着色することができる。これら二つのファク
ターは、種々の皮膚タイプについて比較することができ、「カラーチャート」を作成して
、 着 色 レ ベ ル を 、 得 ら れ た PPFと 関 連 づ け る こ と が で き る 。 こ れ は 、 皮 膚 着 色 レ ベ ル の 簡
単 な 観 察 に よ っ て PPFの 推 定 を 可 能 に し 、 そ の 結 果 治 療 中 に 使 用 す べ き 適 当 な 光 線 量 決 定
に用いる手法を単純化することができる。
4.3.皮 膚 の 光 照 射
40
PPFお よ び 適 切 な 光 照 射 レ ベ ル を 決 定 し た 後 は 、 当 分 野 に 周 知 の 標 準 的 治 療 ユ ニ ッ ト で 光
線 療 法 を 行 う こ と が で き る 。 UVB光 線 療 法 に 対 し て は 、 320nmよ り 短 波 長 を 発 生 す る 光 源 が
使 用 さ れ る 。 UVAお よ び PUVA療 法 に 対 し て は 、 そ の よ う な ユ ニ ッ ト は 通 常 、 355nm付 近 に ピ
ー ク を も つ 光 線 を 発 生 す る こ と が で き る 蛍 光 バ ル ブ を 含 む 。 UVA量 の 強 度 は 、 主 と し て 350
∼ 360nmの 最 大 感 度 を も つ 光 検 出 器 で 測 定 さ れ る 。 治 療 部 位 内 に お い て は 、 照 射 強 度 は 比
較的一定に保たれる。該バルブから発生する赤外波長は、皮膚を熱くして治療中患者に不
快感を与えるので、通常は治療部位に到達するまでにフィルターで除去される。光線療法
治 療 に 使 用 す る 機 器 は 、 Honigsmann et al., Dermatology in General Medicines, 第 3版
、 T.B. Fitzpatrick et.al.編 、 1728-1754, 1987で さ ら に 詳 細 に 説 明 さ れ て い る 。
光増感剤を局所用サンスクリーン剤と併用する場合には、入射光線の波長が該光増感剤の
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(9)
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吸 収 ス ペ ク ト ル 内 に あ る こ と が 必 要 で あ る 。 こ の 領 域 は 、 使 用 薬 剤 に 応 じ て 、 通 常 は 320
∼ 700nmの 間 に あ る 。 日 焼 け 可 能 な 着 色 剤 ま た は ソ リ ッ ド ス テ ー ト の レ ー ザ ー 、 金 属 蒸 気
レーザー、またはダイオードレーザーのごときレーザーを光源として使用するのが好まし
い。レーザーは治療用光源として最も実用的な光源であることが多い。薬剤を活性化する
適当な波長におけるその高いパワー出力は、曝露時間を最小にすることができるからであ
る。さらに、レーザー光は、可撓性の光ファイバーと簡単に組み合わせることができるの
で 、 治 療 部 位 の 光 送 達 を 簡 単 に す る こ と が で き る 。 蛍 光 バ ル ブ や 太 陽 光 シ ミ ュ レ ー タ ( Do
ugherty, et al., Cancer Res. 38: 2628-2635, 1978) の よ う な そ の 他 の 光 源 も 使 用 す る
ことができる。
4.4.活 性 化 合 物 の 濃 度 に よ る PPFの 変 化
10
サ ン ス ク リ ー ン 剤 に よ っ て 与 え ら れ る PPFは 、 活 性 化 合 物 の 濃 度 に よ っ て 変 化 す る で あ ろ
う 。 DHAに よ っ て 与 え ら れ る 、 濃 度 関 数 と し て の PPFの 依 存 性 は 、 I-IVの 範 囲 の 皮 膚 タ イ プ
を も つ 患 者 集 団 に 対 し 、 紅 班 を 生 じ る に 十 分 な 光 学 的 影 響 レ ベ ル を 特 徴 と す る PUVA療 法 を
行うことによって決定することができる。各患者の異なる皮膚部位に適用された各濃度溶
液 の 薄 層 を も つ 光 保 護 剤 と し て 、 そ れ ぞ れ の 患 者 に 濃 度 を 変 え た DHAの 溶 液 を 使 用 す る 。
異 な る 部 位 の MPDは 、 単 一 の 皮 膚 野 で lcm平 方 の サ イ ト 9個 を 増 分 的 に 増 加 す る UVA照 射 量 に
曝 露 す る こ と に よ り 測 定 し た 。 UVA照 射 は 365nm近 く を 中 心 に 行 っ た 。 こ れ ら 照 射 野 の MPD
を DHAな し 照 射 野 の MPDと 対 比 す れ ば PPFを 決 定 す る こ と が で き 、 次 い で DHA濃 度 と 関 連 づ け
ることができる。
そ の よ う な テ ス ト か ら 、 DHA濃 度 と PPFと の 間 に は 、 DHA濃 度 を 増 加 す る こ と に よ っ て 紅 班
20
に対する保護が増強されるという直線関係があることがわかる。
DHAに よ っ て 与 え ら れ る PPFは 、 上 記 の 非 侵 襲 性 光 学 測 定 を 使 用 し て 推 定 す る こ と も で き る
。実験は、二つのサンスクリーン剤について、サンスクリーン剤の薄層で覆った皮膚サン
プルの蛍光励起スペクトルを測定することにより行う。励起光源の波長をスキャンした後
、 単 一 の 波 長 に お い て 皮 膚 の 蛍 光 を 検 出 す る こ と に よ り 、 非 侵 襲 的 に 測 定 値 を 取 る ( Wan
et al., J. Photochem. Photobiol. 34: 493-499, 1981) 。 上 記 の 実 験 に 使 用 す る サ ン ス
ク リ ー ン 剤 は 、 活 性 化 合 物 と し て DHAお よ び 、 蛍 光 性 分 子 と し て ダ ン シ ル ク ロ リ ド を 含 ん
で い な け れ ば な ら な い 。 ダ ン シ ル ク ロ リ ド は 、 角 質 細 胞 剥 離 速 度 の 標 準 ア ッ セ イ ( Takaha
shi et al., J. Soc Cosmetic Chem. 38: 321-331, 1987; Marks, Curaneous Investigat
ion in Health and Diseases, Leveque編 、 Mercel Dekker, Paris, 33-47, 1989) で 共 通
30
に 使 用 さ れ る 蛍 光 性 分 子 で あ る 。 励 起 光 源 お よ び モ ノ ク ロ メ ー タ ー を 特 徴 と す る Spex蛍 光
計は、対象サンプルに光線を送達するため、光ファイバー束を備えていなければならない
( Spex Indstries, Edison, NJ) 。 励 起 波 長 を 選 択 し て DHA( 350nm) か ま た は ダ ン シ ル ク
ロ リ ド ( 335nm) の 吸 収 ス ペ ク ト ル ピ ー ク に 合 わ せ る 。 励 起 光 は モ ノ ク ロ メ ー タ ー を 通 っ
て ( 4nmバ ン ド パ ス ) フ ァ イ バ ー 束 の 一 ア ー ム へ 入 り 、 そ こ で 皮 膚 を 刺 激 す る の に 使 用 さ
れ る 。 皮 膚 か ら の 蛍 光 を 同 じ フ ァ イ バ ー で 集 め 、 発 光 モ ノ ク ロ メ ー タ ー を 通 っ て ( 4nmバ
ン ド パ ス ) 検 出 器 へ 導 く 。 DHA( 500nm) か ま た は ダ ン シ ル ク ロ リ ド ( 465nm) ど ち ら か の
発光スペクトルピークで励起スペクトルを測定し、この測定値を、無着色皮膚からの発光
による自動蛍光の微弱なバックグラウンドに対して補正する。同じ機器を使用し、同一波
長に対して励起および発光モノクロメーターをセットすることにより、皮膚の反射率スペ
40
クトルを測定する。入射光強度を、誘導された蛍光または反射強度と対比することによっ
て、吸収波長における活性化合物の光学密度を知ることができる。
式 ( 3) に 定 義 し た OD変 化 は 、 350nmに お い て 、 DHAで 着 色 し た 健 常 人 の 種 々 の 皮 膚 部 位 で
測 定 す る 。 得 ら れ た 測 定 値 は 、 PPFの 関 数 と し て プ ロ ッ ト さ れ る 。 PPFは 、 8-メ ト キ シ ソ ラ
レ ン ( 8-MOP) の 吸 収 後 、 同 じ 皮 膚 部 位 を 350nmの 光 線 に 曝 露 し て 測 定 す る 。 次 い で そ の デ
ー タ を 対 比 し て 、 そ れ が 式 ( 2) に 合 致 す る か ど う か を 見 る 。 該 デ ー タ お よ び 式 と が 一 致
することは、本発明の皮膚反射率法が、簡単な、非侵襲性測定によって、適用されたサン
ス ク リ ー ン 剤 に よ る PPFを 正 確 に 予 測 可 能 で あ る こ と 示 し て い る 。
4.5.迅 速 な 皮 膚 剥 落
角質層の剥離は、サンスクリーン剤を局所適用した後、皮膚蛍光強度の時間依存性減少を
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モ ニ タ ー す る こ と に よ っ て 知 る こ と が で き る 。 DHAか ま た は ダ ン シ ル ク ロ リ ド を 含 有 す る
サンスクリーン剤で着色した、乾癬皮膚および非患部皮膚サンプルの時間依存性蛍光強度
は 、 DHAを 含 有 す る サ ン ス ク リ ー ン 剤 が よ り 短 時 間 の 光 線 療 法 治 療 を 可 能 に す る こ と を 示
し て い る 。 適 用 約 96時 間 後 皮 膚 か ら の 完 全 な DHAの 剥 落 を 伴 っ て 、 DHA着 色 乾 癬 班 か ら 誘 導
された蛍光強度は、より迅速に減少する。これに対し、ダンシルクロリドによる着色は、
乾 癬 皮 膚 か ら 剥 が れ 落 ち る の に 、 も っ と 長 い 時 間 が か か る 。 DHA着 色 乾 癬 班 に お い て 誘 導
さ れ た 時 間 依 存 性 蛍 光 強 度 は 、 ダ ン シ ル ク ロ リ ド に 比 べ 、 DHAと 角 質 層 と の 結 合 が よ り 表
面で起こっていることを暗示している。
光 線 療 法 治 療 中 、 DHA適 用 と 皮 膚 の 光 線 曝 露 と の 間 を 約 72時 間 と す る と 、 光 線 療 法 の 条 件
が 最 適 と な る 。 乾 癬 組 織 の 自 然 剥 落 プ ロ セ ス は 、 患 部 を 最 小 の DHA保 護 状 態 に し 、 一 方 、
10
非患部は相対的に光線照射から十分に保護されている。このことは、光線療法中により高
い光学的影響を行使できるようにし、従って乾癬症状の治療を促進させることができる。
注 目 す べ き は 、 DHAま た は そ の 他 の 活 性 化 合 物 を 含 有 す る サ ン ス ク リ ー ン 剤 が 皮 膚 か ら 剥
がれ落ちる速度を増加させるのに、角質層を剥離するための活性な手段を使用することが
で き る と い う 点 で あ る 。 特 に 、 乳 酸 の よ う な α -ヒ ド ロ キ シ 酸 は 皮 膚 剥 離 剤 と し て 有 効 で
ある。高い実質性をもつサンスクリーン剤の適用前、適用中または適用後にこれを適用す
ると、サンスクリーン剤の消失に必要な時間を減少させることができる。皮膚を除去する
物理的な手段も使用することができる。
4.6.光 線 療 法 に お け る DHAの 使 用
DHA着 色 皮 膚 の 吸 収 ス ペ ク ト ル は お よ そ 300∼ 600nmに 及 び 、 そ の ピ ー ク は 350nm近 辺 に あ る
20
。 DHAに よ る 着 色 は 黄 褐 色 ま た は 橙 色 で あ り 、 一 般 に は 化 粧 学 的 に 許 容 で き る 。 こ の 色 が
自 然 の 日 焼 け 肌 に よ く 似 て い る か ら で あ る 。 PUVA療 法 中 、 皮 膚 は 普 通 320∼ 330nm程 度 の 光
波 長 に 最 も 敏 感 で あ る 。 こ れ ら 二 つ の ス ペ ク ト ル の 重 複 は 、 PUVA療 法 に 使 わ れ る 、 活 性 で
か つ 最 も 有 害 な 光 波 長 が DHAに よ り 優 先 的 に 吸 収 さ れ る こ と を 示 し て い る 。 従 来 の DHA調 製
物 は 、 ほ と ん ど UVB範 囲 に お け る 吸 収 を も た な い ( Levy, J. Am. Acad. Dermatol. 27: 98
9-993, 1992) 。 DHAの 吸 収 は pH依 存 性 で あ る 。 そ し て 着 色 さ れ た 黄 色 生 成 物 は 、 高 pHで あ
る が な お 安 全 な pH値 で 人 肌 に 生 じ る こ と が 観 察 さ れ て い る 。 こ の こ と は 、 含 有 さ れ た DHA
の 吸 収 ス ペ ク ト ル が 高 い pH環 境 に お い て 300nmの ほ う ヘ シ フ ト し て い る こ と を 暗 示 し て い
る 。 従 っ て 、 高 pHの DHA調 製 物 は 、 UVB光 保 護 剤 と し て サ ン ス ク リ ー ン 剤 に 使 用 す る こ と が
で き る 。 増 加 し た DHA濃 度 を 使 用 し て 、 UVB光 線 療 法 に 有 効 な サ ン ス ク リ ー ン 剤 を 作 る こ と
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も で き 、 こ の サ ン ス ク リ ー ン 剤 は 、 320nm近 く の 波 長 に お い て 、 よ り 高 い 光 吸 収 を も た ら
す 。 あ る い は 、 グ リ セ リ ル ア ミ ノ 安 息 香 酸 塩 、 ア ミ ル -p-ジ メ チ ル ア ミ ノ 安 息 香 酸 塩 ( Pad
imate-A) 、 2-エ チ ル ヘ キ シ ル -p-ジ メ チ ル ア ミ ノ 安 息 香 酸 塩 ( Padimate-O ) お よ び 3.3.5
-ト リ メ チ ル シ ク ロ ヘ キ シ ル サ リ チ ル 酸 塩 ( homosalate) の よ う な 活 性 化 合 物 は UVB範 囲 に
近い波長をもつ光を吸収する。高い実質性をもつサンスクリーン剤に配合された場合、こ
れらの活性化合物は有用な光保護剤となる。
光増感剤を投与した後、薬剤が、皮膚の非患部位において、しばしば感知できる程度に取
り込まれることがあり、療法中これらの部位に入射する光線を減弱する必要がある。従っ
て、光源の薬剤活性化波長に実質的な光吸収をもつ活性化合物を含有するサンスクリーン
剤 を 使 用 す る こ と が 望 ま し い 。 DHAで 着 色 し た 皮 膚 は 、 320∼ 600nmの 間 に 部 分 的 な 光 吸 収
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を 示 す 。 従 っ て 、 DHA着 色 皮 膚 は 、 皮 膚 患 部 を 治 療 す る た め の 種 々 の 光 増 感 剤 と 併 用 す る
ことができる。
以下に示す本発明の組成物の実施例は、例示および記載の目的で提示するものである。こ
れらの実施例は、本発明を以下に開示されたその通りの形に徹底させるものではなく、ま
た限定する意図でもない。
5.実 施 例
5.1.実 施 例 1-DHA含 有 組 成 物
表 1に 記 載 の 処 方 に 従 い 、 数 種 類 の DHA含 有 組 成 物 を 作 製 し た ( 表 中 の 名 称 は 、 ( CTFA) に
よ り 提 供 さ れ た 名 称 で あ る ) 。 表 1中 の パ ー セ ン ト は す べ て 重 量 % を 表 す 。 組 成 物 No.4は
、本発明の好ましい態様である。
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上 記 組 成 物 1∼ 6は 、 様 々 な DHAの 割 合 を 有 す る サ ン ス ク リ ー ン ロ ー シ ョ ン で あ る 。 こ れ ら
の組成物は以下のように作製した。
1.Amphisol以 外 の 、 表 1に 掲 げ た 成 分 の う ち 最 初 の 10成 分 を 混 ぜ 合 わ せ 、 得 ら れ た 混 合 物
を 80∼ 85℃ に 加 熱 す る 。 加 熱 し た 混 合 物 に Amphisolを 加 え 、 混 合 物 が 均 一 に な る ま で 攪 拌
する。
2.Cellosize PCG-10を 室 温 で 脱 イ オ ン 水 に 分 散 す る 。 約 80℃ ま で 徐 々 に 加 熱 す る 。 「 ジ ェ
ル 化 ( jelled) 」 す る ま で 混 合 し 、 次 い で ソ ル ビ ン 酸 、 Na 2 EDTA、 Tween 20Nfお よ び メ チ
ルパラベンをそれぞれ適量加える。
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3.工 程 1お よ び 工 程 2の 混 合 物 を ホ モ ミ キ サ ー に 移 し 、 1/2の 速 度 で 4∼ 5分 間 混 合 す る 。
4.工 程 3の 混 合 物 を 約 45℃ ま で 冷 却 す る 。
5.表 1に 掲 げ た 成 分 の う ち 最 後 の 5成 分 を 混 合 す る 。 こ の 混 合 物 を 溶 解 さ せ る た め 40℃ に 加
熱 す る 。 こ の 混 合 物 を 工 程 4の 混 合 物 に 加 え る ( 45℃ ) 。
6.工 程 5の 混 合 物 を 室 温 ま で 冷 却 す る 。
(13)
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フロントページの続き
(72)発明者 レンティニ,ピーター,ジェイ.
アメリカ合衆国 11360 ニューヨーク州,ベイサイド,215ティーエイチ ストリート 17―26
合議体
審判長 森田 ひとみ
審判官 弘實 謙二
審判官 横尾 俊一
(56)参考文献 国際公開第95/24888(WO,A1)
(58)調査した分野(Int.Cl.,DB名)
A61K31/12,47/30,47/12
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