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生物多様性と森林管理
地球環境関西フォーラム生物多様性部会 120228 1) 固有効果と対症効果 2)数量的表現困難 生物多様性と 生物多様性と森林管理 森林管理 主要効果と副次効果 数字で表現不能という価値の評価 森林の 森林の環境保全機能 環境保全機能の 全機能の評価例 - 一部評価に過ぎない 名古屋大学名誉教授、国民森林会議会長 只木良也 I.森林林業基本計画(2011 年 7 月閣議決定) 森林林業基本計画 林野庁(1972 年) 12 兆 8000 億円/年 ---水源涵養、国土保全、酸素供給、レクリエーション、鳥獣保護 日本学術会議(2001 年) 第1 森林及び林業に関する施策についての基本的方針・政策的対応方向 (1) 前基本計画策定(2006 年)後の推移等を踏まえた取り組みの推進 70 兆 2000 億円/年 ---侵食防止、水質浄化、水資源貯留、表層崩壊防止、洪水緩和、 二酸化炭素吸収、保健・レクリエーション、化石燃料代替エネルギー 3)幾つもの効用を兼ねる 一人十役二十役 -─┬─生物多様性から (2) 森林林業再生プラン 年 12 月)の推進 森林林業再生プラン(2009 プラン 10 年後の木材自給率>50%目標。-1955 年:90%→<20%→2010 年:25%- 4)森林本来の生命活動に根ざす 生態系活動⇨⇨各種効果 --図 1-- ① 森林計画制度見直し-集約化、路網整備、持続的森林経営制度 ② 適切森林施業の為の仕組み整備-更新確保、経営計画尊重制度 ③ 低コスト化向け路網整備等加速化、その人材育成 ④ 担い手となる林業事業体育成-森林組合と民間事業体の結合 Ⅲ.二酸化炭素( 二酸化炭素(CO2)問題と 問題と森林・ 森林・木材 総光合成量(↓)-呼吸量(↑)-枯死脱落量+被食量(↑)= 現存量増加量 草本:現存量増加量≒0、 木本:現存量増加量>0(炭素貯留) 森林・ 森林・木材と 木材と炭素循環: 炭素循環:対応策の 対応策の要点 ⑤ 国産材需要拡大と効率的加工・流通体制確立 ⑥ フォレスター等人材育成-現場広域統括者制の創設 ①その吸収体としての活力ある森林の造成維持 (3) 地球温暖化対策、生物多様性対応 生物多様性 具体的対応? ②炭素貯留の場としての高蓄積森林の長期維持 (4) 国内外木材需要拡大 国内需要拡大、間伐材利用、木材輸出 ③放出源としての非保続的(非更新)森林破壊の停止 (5) 経済復活と山村振興 内需拡大と雇用確保→林業再生、里山利用 ④木材として炭素貯留のままの長期利用 (6) 東日本大震災から復興への取り組み 海岸林、林道等施設復旧 --伐採・木材利用は、炭素の収穫・固定。-COP17(2011 年)で合意- 第2 森林の多面的機能発揮、林産物供給・利用目標 わが国 わが国の森林の 森林の炭素収支試算 第3 総合的・計画的に講ずべき施策 [1990 年排出炭素量の] 政府、官民一体 ― 人工林(木材)中心、内部経済性>>外部経済性の計画。生態系論希薄― 2.森林の 森林の効用の 効用の特徴 長野県 北海道 京都府 森林蓄積量 として : 3 年分 13 年分 19 年分 5 年分 成長量としての固定 : 5.5 % 16 % 10 % 9.6 % 73 % 75 % 針 69 % : 6.3 % 18 % 14 % 8.4 % : 66 % 78 % 71 % 75 % ) ( うち人工林の比率: Ⅱ.森林が 森林が生み出す環境 1.森林の 森林の効用( 効用(環境保全機能) 環境保全機能) 全国 --表1-- 成長量+収穫量 ( 森林面積率 50 % ) IV.森林の 森林の水源涵養の 水源涵養の働き 表1 森林の 森林の環境保全的働き 環境保全的働き 降水 ⇒枝葉層 ⇒(林内雨・樹幹流) ⇒落葉層 ⇒土壌 ⇒(地中流) ⇒谷川 気象緩和:気温・地温・湿度緩和調節、木陰、防風、防霧、熱汚染緩和 森林土壌: 森林土壌:団粒構造(多孔質、大・小孔隙):浸透・排水・通気・保水性 団粒構造 水保全:水量平準化、水質良化、降水量増加 ⇒地表流<地中流 ⇒下流の洪水・渇水を防ぐ、 「河川水量平準化」 、 水源涵養機能:森林の水保全の働きは同時に土保全の働き。ただし、 森林はその生活のために蒸散作用(水消費)、総流出量:森林<禿げ山. 侵食防止:水食防止、風食防止、雪食防止 自然災害防止:山崩、雪崩、洪水、干害、風害、飛砂害、潮害、吹雪害、など防止 防火:延焼阻止、災害時避難地 大気浄化:二酸化炭素吸収・貯留,(酸素供給)、汚染物吸収、塵埃吸着 V.これからの これからの森林管理 これからの森林管理のあり 森林管理のあり方 のあり方 騒音阻止:吸音、音源からの隔離、音源被覆 森林生成過程 初期・中期:現存量増加。後期:保全機能増加・定着。 環境指標:-環境変化を植物の反応で判断- わが国の自然の基本は森林。山岳地形での理想的土地利用は森林利用。 生物種保全:野生鳥獣、生物多様性、遺伝子保存、外来生物侵入阻止 * 経済林(人工林中心) 木材を通じた市場経済、空中炭素の固定収穫 経済林 保健休養:薬効物質、精神安定、保養、行楽・娯楽、スポーツの場 * 生活林(天然生林中心) 自然の豊かさを生活に、(木材以外の林産物) 生活林 風致・快適性:景観・風景構成、風土風格、快適性提供、プライバシー * 環境林(天然生林~天然林) 水土保全、防災・・ (環境も「林産物」) 環境林 教養・教育:情操培養、教育・芸術・科学の場と材料提供 区域内、この3類別の林の適切割合での配置-ゾーニング→適正管理。 木材生産、環境保全ともに、生態系の科学的理論に適った森林管理。 人工林型(針葉樹主体) 多層林、非皆伐、択伐林型、長伐期、人工更新 天然林型(広葉樹主体) 多層林、混交(多樹種)林、多様性、天然更新 生態系の 生態系の基本は 基本は、生物多様性と 生物多様性と物質循環。 物質循環。 [気が向けば開いてみてください] 只木良也 森林はなぜ必要か 小峰書店 119 頁 1992 只木良也 森林環境科学 朝倉書店 159 頁 1996 只木良也 ことわざの生態学(丸善ブックス) 丸善 228 頁 1997 只木良也 森の文化史(学術文庫) 講談社 263 頁 2004- 新書(1981)復刻 只木良也 新版森と人間の文化史 日本放送出版 235 頁 2010 只木HP「 森 林雑 学 研 究室」 http://shinrinzatsugaku.web.fc2.com/ -2009 年 9 月スタート・月 1 回更新 図 1 森林生態系が 森林生態系が生む諸効用( 諸効用(生態系サービス 生態系サービス) サービス)-(只木 1982) 2