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当日配布資料(1.89MB)
音声韻律・脳血流情報を用いた 認知症早期スクリーニングの 支援技術 名古屋工業大学 大学院工学研究科 情報工 学専攻 准教授 May 26-27 / 2011 東海国立3大学新技術説明会 加藤昇平 1 きっかけ 高齢者向けロボット開発・サービス提案の イフコム社から技術相談 発話者の発話音声からそのメンタルを推定 することは可能か? 我々も同様の技術を研究開発 音声から発話者の感情を推定する技術 技術内容を公開済,学術的評価済み 技術Key: 音声韻律特徴,ベイジアン推定技術 May 26-27 / 2011 東海国立3大学新技術説明会 2 技術シーズ:エモーションエンジン -感性ロボットの感情制御モデル- 発話音声からの感情推定 人間の発話 自己の 感情遷移 相手の 感情推定 感情要素 の抽出 解析 感情推定 自己の感情遷移 ベイジアンネットワークによる感情推定 こんにちは... ・言語情報 ・音声情報 ・話者表情 May 26-27 / 2011 表情制御 感情要素付加 文生成 ロボットの表情発話 エモーション・エンジン ロボットの感情空間と遷移 ・喜び ・怒り ・悲しみ ・楽しみ ・喜び ・怒り ・悲しみ ・楽しみ 元気がでるお話 しよう。 悲しそうだなぁ 東海国立3大学新技術説明会 3 音声・言語混合ベイジアンネット感情推定モデル 目的 ロボットに対話者の感情を認識させる 対話者感情を考慮した会話 音声の感情要素 音声韻律特徴 言語の感情要素 発話言語情報 f0s f0min time Bayesian Network 感情推定知識 モデル化 f0max sex pmax emot ps pmean 音声 混合感情推論器 Σ info1 •K2探索アルゴリズム •BIC評価基準 info2 emot gram 言語 音声・言語双方が持つ感情要素 総合的な感情推定が可能 May 26-27 / 2011 不特定話者・自由発話音声に対する推定性能 4 東海国立3大学新技術説明会 高齢者福祉へ利用できないか? 認知症早期発見・診断支援への応用を共同検討 背景: 認知症をとりまく問題点 国内の認知症者数の予測 500万人 認知症の早期診断 の重要性 450万人 400万人 300万人 200万人 200万人 100万人 [粟田ら2008: 厚生労働科学研究報告書]より 2008年 2035年 厚生労働省「認知症の医療と生活の質を高める緊急 プロジェクト」 今後の認知症対策: 認知症の早期診断の重要性 May 26-27 / 2011 東海国立3大学新技術説明会 5 認知症早期診断の現状 医療機関で実施 医師等の経験判断、かつ、手間がかかる 現在の認知症スクリーニングツール ・改定長谷川式簡易評価スケール(HDS-R) ・MMSE 10分程度の認知機能検査 ・質問式 一定のトレーニングが必要 より広域にスクリーニングが可能 科学的かつ簡便さが さらに進めば 認知症の早期診断 ・医師 ・臨床心理士 知能・学習・統計数理・IT技術で何とかならないか? 高齢者の発話音声データから認知症患者の特徴を取り出すこ とは可能? 血圧や体温を計るように手軽にチェックできたら…(夢の技術) May 26-27 / 2011 東海国立3大学新技術説明会 6 従来技術 v.s. 提案技術 音声特徴を用いたアルツハイマー型認知症の補助的診断ツール May 26-27 / 2011 東海国立3大学新技術説明会 7 認知症スクリーニングシステム 認知症診断補助ソフトウェア 認知症をスクリーニングする機能 音声韻律特徴を指標 データベース機能 非侵襲 で 簡易な 認知症スクリーニング 音声と認知症診断の臨床データを 蓄積・管理 認知症スクリーニングシステム 臨床データベース 韻律特徴データ 音声データ 音声韻律特徴抽出 学習 May 26-27 / 2011 音声韻律特徴を指標 認知症スクリーニング機能 音声 + 認知症診断結果 東海国立3大学新技術説明会 推定結果 音声と認知症診断の 臨床データを蓄積・管理 8 GBNを用いた認知症推定システム(試作) 推定エンジン:ベイジアンネットワーク データマイニング,学習型 Nの増加により 信頼性が向上 未知の音声データの 認知症を自動的に推定 既知の診断結果を用いてGBNが学習 May 26-27 / 2011 東海国立3大学新技術説明会 9 高齢者音声とHDS-Rを用いた実験 データ採取 臨床データ: 84名 (64~89歳男女) 健常(NL):24名,軽度認知機能障害(MCI):31名,認知症(AD):29名 施設入居高齢者とその家族: 115名 (38~99歳,男性32名,女性83名) 健常(NL):75名, 認知機能障害(CI):40名 音声特徴 98属性 スペクトルとピッチ関連: 13 フォルマント関連: 61 発話速度と反応時間: 2 短時間パワー関連: 22 音声韻律に基づく認知機能障害度評定 SPCIRスコア: Speech Prosody-based Cognitive Impairment Rating 相関分析: HDS-R(長谷川式スコア)との相関性 重回帰分析 主成分分析 ステップワイズ変数選択 May 26-27 / 2011 東海国立3大学新技術説明会 10 SPCIR:音声韻律に基づく認知機能障害度評定 HDS-Rスコアとの間に 高い相関を確認 SPCIR R 0.73 (相関係数) 2 R 0.57 S.E. 3.75 (補正済み決定係数) (標準誤差) 相関係数Rの絶対値|R| 1.0≧|R|≧0.7:高い相関がある 0.7≧|R|≧0.5:かなり高い相関がある 0.5≧|R|≧0.4:中程度の相関がある 0.4≧|R|≧0.3:ある程度の相関がある 0.3≧|R|≧0.2:弱い相関がある 0.2≧|R|≧0.0:ほとんど相関がない 出典:「社会調査の基礎」放送大学テキスト May 26-27 / 2011 東海国立3大学新技術説明会 11 音声韻律特徴 以下の音声韻律98特徴から選択・合成 周波数に関する13特徴量 フォルマントに関する61特徴量 短時間パワーに関する22特徴量 時間に関する2特徴量 May 26-27 / 2011 東海国立3大学新技術説明会 12 SPCIRを用いた認知症スクリーニング実験 NL/MCI/ADに対する2群判別推定 SPCIRを用いた認知症スクリーニングの試作 音声 推定モデル:Tree-augmented Naïve Bayes (TAN) 音声韻律 98 特徴 13 特徴 [Hz] Spectrum [dB] time 22 特徴 61 特徴 Intensity [Hz] formant time ステップワイズ変数選択に より選択された 31 特徴 2 特徴 Response Time time モデル構築 クラシファイア(2分類) Tree Augmented Naive Bayes (TAN) 推定 NL or MCI May 26-27 / 2011 東海国立3大学新技術説明会 MCI or AD NL or AD 13 実験結果(判別対象:NL / MCI) •TANによる変数選択 T1 For48 •7特徴量(選択基準:感度と特異度の平均) For34 •構造学習方法:TAN 推定値 診断 NL MCI 17 67データ MCI 17 49 66データ 74.24 74.63 May 26-27 / 2011 For16 Pow4 推定モデル 50 特異度 (%) Pow18 0 or 0.5 NL 感度 (%) For19 For16:第三フォルマント周波数の最大値 For19:第二フォルマント周波数の最小値 For34:第一フォルマント帯域幅の標準偏差 For48:第三フォルマント帯域幅の最小値 Pow4:発話開始直後0.015秒間のパワー値の 微分係数の中央値 Pow18:短時間パワーの最大値 T1:採取された返答音声の合計時間 陽性推定 陰性推定 陽性尤度比 陰性尤度比 的中率(%) 的中率(%) 74.24 74.63 東海国立3大学新技術説明会 0.3418 2.8973 14 実験結果(判別対象:NL / AD) Pow6 •TANによる変数選択 For19 •5特徴量(選択基準:感度と特異度の平均) For7 For58 •構造学習方法:TAN 推定値 診断 NL 0 or 1 AD 推定モデル NL 46 21 67データ AD 15 40 55データ 感度 (%) 特異度 (%) 陽性推定 的中率(%) 72.73 68.66 65.57 May 26-27 / 2011 Pow8 For7:第二フォルマント周波数の標準偏差 For19:第二フォルマント周波数の最小値 For58:第一フォルマント帯域幅の 線形近似直線の傾き Pow6:発話開始直後0.025秒間の パワー値の微分係数の中央値 Pow8:発話開始直後0.035秒間の パワー値の微分係数の中央値 陰性推定 陽性尤度比 陰性尤度比 的中率(%) 75.41 東海国立3大学新技術説明会 0.4310 2.5174 15 脳血流測定を取り入れた新展開 認知・認識・思考活動時の脳機能情報 fNIRS: 脳機能イメージング測定装置 fNIRS(機能的近赤外線分光法)によ る脳機能計測技術 認知症患者と健常者の脳機能計測 回想課題において顕著な相違を確認 統計値(t値) GLM a:5秒 [S社製品紹介Webサイト]より May 26-27 / 2011 東海国立3大学新技術説明会 16 認知症スクリーニングシステム 認知症診断補助ソフトウェア 認知症をスクリーニングする機能 音声韻律特徴およびfNIRS脳機能計測 データを指標 データベース機能 非侵襲 で 簡易な 認知症スクリーニング 音声・fNIRSデータと認知症診断の臨床 データを蓄積・管理 認知症スクリーニングシステム 韻律特徴データ 音声データ 音声韻律特徴抽出 臨床データベース 脳機能特徴データ fNIRSデータ May 26-27 / 2011 脳機能特徴抽出 音声韻律特徴を指標 認知症スクリーニング機能 学習 音声,fNIRS + 認知症診断結果 東海国立3大学新技術説明会 推定結果 音声・fNIRSと認知症診断の 臨床データを蓄積・管理 17 用途・波及効果 ごく簡易な認知症スクリーニングシステム 誰でも,定期的に,安心して,認知 症スクリーニング検査を受けること が可能 認知症の疑いを早期に発見し,専 門医への受診誘導を促す仕組みの 実現 地域ネットワークづくり(専門医, か かりつけ医, 地域包括支援センター の連携)を強化する中核的コンテン ツの提供 May 26-27 / 2011 東海国立3大学新技術説明会 18 用途・波及効果 想定される市場・業界 利用者・対象 認知症サポート医 かかりつけ医の教育研修を担当:871名(H17-20実績) 地域のかかりつけ医・クリニック 認知症に関する研修を受講するかかりつけ医(受講者数:約7000名/年) 市場規模(ターゲット) 一般診療所: 約10万ヶ所 65歳以上の定期検診/ 認知症スクリーニングを提案 年齢65~74歳人口: 約1,500万人 認知症発症(75歳)まで 5~10年の期間から May 26-27 / 2011 東海国立3大学新技術説明会 19 将来の展望 医師の日常の診療時間を阻害しない認知症スクリーニングシステム 認知症の早期発見が、かかりつけ医によって、きわめて容易に実現可能 かかりつけ医への応用サービス 地域高齢者医療ネットワーク 言葉の意味ではなく 韻律の特徴を分析する 認知症スクリーニング ( 一次:音声 二次: NIRS ) May 26-27 / 2011 日常会話でOK わずかな時間でOK 東海国立3大学新技術説明会 20 産学連携プロジェクト 2002-2004年 (株)ビジネスデザイン研究所,ブラザー工業(株)など数社 感性会話ロボットifbotの開発 グッドデザイン賞受賞・高齢者向け癒しロボットの開発・商品化・愛知万博 他 多数イベント出展 2004年 NEDO 経済産業省大学発事業創出実用化研究開発事業 採択 独居高齢者の安否確認ロボットの開発 2007年-現在 (株)イフコム 高齢者音声を用いた福祉サービスロボットに関する研究 2008年-現在 (株)イフコム,認知症介護研究・研修東京センター 音声モニタリングによる認知症の危険度推定システム 2009年-現在 (株)島津製作所,国立長寿医療研究センター 脳血流(fNIRS)計測による認知症の早期発見システム 2009-2010年 JST先端計測分析技術・機器開発事業 採択 認知症の早期スクリーニングのための計測分析システムに関する調査研究 この他に過去多数の産学連携共同研究の実績 May 26-27 / 2011 東海国立3大学新技術説明会 21 本技術に関する知的財産権 発明の名称: 認知機能障害危険度算出装置, 認知機能障害危険度算出システ ム,及びプログラム 出願番号: 特願2010-134403 出願人: 名古屋工業大学,イフコム, 本間 昭(認知症専門医) 発明者: 加藤昇平,小林朗子,小島敏昭 伊藤英則,本間 昭 May 26-27 / 2011 東海国立3大学新技術説明会 22 本技術の特徴 本技術の特徴 音響・生体信号解析技術 さまざまな信号系列,テキスト文字情報等に応用可能 データマイニング技術 分析・判別したいデータを相当数用意すれば,目的に応じ て自動分類モデルを構築 企業・パートナーへの期待 測定装置(ハード)の提供・開発 入出力インターフェース(ユーザビリティ)の共同開 発 データの提供・測定協力 May 26-27 / 2011 東海国立3大学新技術説明会 23 お問合せ先 名古屋工業大学大学院 工学研究科 情報工学専攻 加藤昇平 TEL: 052-735-5625 FAX: 同上 Email: [email protected] URL: http://www-katolab.ics.nitech.ac.jp 産学官連携コーディネーター 山本 豊 TEL: 052-735-5787 FAX: 052-735-5542 Email: [email protected] May 26-27 / 2011 東海国立3大学新技術説明会 24