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様式第2号 平成24年度 独 創 的 研 究 助 成 費 実 績 報 告 書 平成25
様式第2号 平成24年度 独 創 的 研 究 助 成 費 実 績 報 告 書 平成25年3月28日 申 請 者 調査研究課題 学科名 職 名 講師 氏 名 新山順子 保育学生と地域の障害児が学び合い交流するダンスプログラムの開発と実践 氏 代 表 調査研究組織 保健福祉学科 名 新山順子 所属・職 保健福祉学科・講師 専門分野 舞踊教育 役割分担 研究総括・責任者 分 担 者 調査研究実績 の概要○○○ 1.研究の目的と方法 ダンス活動を通して保育を学ぶ学生と地域の障害をもつ子どもが互いに学び合い交流を する場を作ることを目指して2009年より研究を進めてきた。今年度はこれまでの実践から 得られた知識や課題をふまえて、ダンスプログラムの見直しやあらたな指導方法の検討な どに着手した。このような実践的な研究は保育学・教育学・舞踊教育学の領域でも未だ本 格的に研究が進められておらず、地道に実践を積み重ねて検証していく必要がある。本研 究の最終的な目的は、保育者養成における独自性のある魅力的な身体表現カリキュラムを 構築することである。 2012年度は、本実践(呼称:OPUキッズダンスワーク)を始めて3年目にあたる。今年度 特に重点化した点は、多様なダンスの特性に触れるダンスプログラムの実践・検討であ る。リズムダンスを好む子ども達の特徴を考慮して、学外の専門家と協働して、異文化の ダンスに触れる体験や、円形で保護者も含めて全員が参加するリズム遊びを行う等、新し い内容を組み込んだ。また、ダンス活動で重要な「踊る」「作る」「見る」という3つの 活動を組み込みながら「作品づくりから発表へ」のプロセスを学生や子ども達に体験させ る等、より質の高い実践に取り組むことも試みた。実践の様子は保護者の許可を得てビデ オに撮影した。また、参加学生には毎回事後に400字程度の感想を記述させた。見学の保護 者にも不定期ではあるが、感想の記述を依頼した。分析・考察には、以上のデータを総合 的に活用した。保護者と参加学生には、倫理的配慮に留意して研究成果を発表することが ある旨、説明をして承諾を得ている。 次頁に続く 2.実践の報告と課題 (1)2012年度の活動概要 2012年度は、月1回約1時間の活動を9回行った。プログラムは表1のとおりである。 活動には、14人の子どもが参加した。内訳は、ダウン症児6名、発達障害児3名、きょう だい児5名である。参加した保育を学ぶ学生は本研究室のゼミ学生7名である。場所は岡 山県立大学リズムダンス室、成果発表は「きよね夢テラス」(総社市清音)で行った。写 真1・2は、アフリカンダンスワークショップの様子である。 表1.2012年度 OPUキッズダンスワーク・ダンスプログラム(*今年度の重点的活動) 月 日 4/8 5/20 6/17(成果発表)* 8/25・9/17・10/28 11/18(協働実践)* 12/8 3/3(協働実践)* 活 動 内 容 体ほぐしと遊び,ダンス「風になりたい」「親子で手叩きダンス」 体ほぐしと遊び,ダンス「風になりたい」「大きな栗の木の下で」 子育て応援こっこ10周年記念イベントにて「風になりたい」他、発表 体ほぐしと遊び,ダンス「グッキー」 アフリカンダンスワークショップ(特別講師・武鑓夏美氏ほか) 体ほぐしと遊び,おさらい会,バルーンダンス ビデオ鑑賞会&ミニダンスワークショップ(特別講師・岡本悦子氏) 調査研究実績 の概要○○○ 写真1.ジャンベを叩く 写真2.実演の鑑賞 (2)保育者養成教育における障害児との交流・援助の意義 事後の学生の内省を見ると、アフリカンダンスについて興味・関心が広がっている様子 が伺える。「今日はアフリカンダンスワークショップということで見たことのない楽器が あり、子ども達もとても興味を持っている様子だった。ダンスの振付も簡単なものばかり で、子ども達もすぐに覚えられて、とても楽しそうだった。」(学生H)「保護者の方も 参加しての活動だったため、親子で楽しめたと思う。途中でダンスを見せてもらったり、 保護者のリズムに合わせてダンスをする場面も多く、見てもらえる楽しみや頑張ろうとい う意欲を喚起できたと考える。」(学生Y)ワークでは、講師の指示で保護者の方がジャ ンベを演奏する場面もあり、生の音楽とダンスが一体化している状況を体験することがで きた。ダンスの根源的な楽しさに気付くことができ、場に集う人を自然に巻き込む指導方 法の展開等についても学びを深めることができたのではないか。 (3)交流プログラムの検討と課題 本研究で3年間試行しつつ実践した交流プログラムを整理すると、①「体ほぐし」「遊 び」「ダンス」という3つの内容を約1時間のワークの中に組み込む、②「踊る」「作 る」「見る」という活動をプログラム全体あるいは1回(1時間)の中に組み込む、③子 どもの興味・関心の高いダンスを取り上げる、④学外の専門家や保護者と積極的に連携・ 協働する、という特徴をもち、保育学生と地域の障害児が無理なく触れ合えるものとして 確立できたのではないかと考える。今後は、引き続き地域を拠点に移して実践を継続する 予定である。また、新設される科目「子どもの発達と表現」に研究成果を活かしたい。 成果資料目録 ・日本保育学会第65回大会にて発表 ・OPUフォーラム2012にて発表、OPUフォーラム2013にて発表予定 ・実践DVD教材作成(OPUフォーラム2013にて公開予定) ・幼少児健康教育学会学会誌『運動・健康教育研究』に論文「保育を学ぶ学生と障害児が 交流する身体表現の実践とその教育的価値」投稿済み審査中