3D-配管 CAD,VIEWER を利用した設計・施工の取り組み

技術・製品の紹介
３D-配管 CAD,VIEWER を利用した設計･施工の取り組み
１．はじめに
３．３Ｄ-配管ＣＡＤでできること
近年，コンピュータの能力は飛躍的に向上し，安価で高
3D-配管 CAD は配管設計をするためのツールであり，
性能なコンピュータが容易に入手できるようになった．こ
配管設計者が考えた配管レイアウトをコンピュータの中
れに伴い，従来 2 次元 CAD より設計コストの面で劣ると
に 3 次元の情報として記録する.
言われてきた 3D-配管 CAD を用いた配管設計が，品質･
設計工期の両面で優位に立てる段階にきている．さらに
また，単に形状を記録するだけでなく，サイズ，流体名
称，サービスクラス(材質，肉厚，接続方式などが定義さ
VIEWER ソフトの導入により，3D-配管 CAD で作成した
れている)，設計圧力，温度などの属性もラインごとに記
モデルを，高価な CAD ソフトをインストールしていない
録する．これらのデータは施工データとなるので，これら
コンピュータでも見ることができるようになった．
当社は,20 年前より 3D-配管 CAD を導入しているが，設
を上手く利用して施工の効率アップを図ることができる.
2D-CAD と比較した場合の 3D-配管 CAD の利点として
は，以下の点が挙げられる.
計面でのメリットに加え，プレゼンテーションや施工計画
1) 配管の干渉を自動的にチェックする
など多方面に渡って活用範囲が広がっている(図１,２).
2) 溶接間距離の不都合などを自動的にチェックする
以下に 3D-配管 CAD，VIEWER を利用した設計・施工
への取り組み状況を紹介する.
3) 断面,部分詳細を簡単に作成する
4) 材料集計を自動的に行う
5) アイソメ図を自動的に作成する
２．使用ソフトウエア
ただし，モデル作成前に材料スペックや各部品の形状
使用しているシステムは，以下の通りである.
データなどを定義しておく必要がある．また，全ての配管
２.１ ３Ｄ-配管ＣＡＤ
の形状を 3 次元で入力した後でないと図面を作成できな
EYE-CAD
9式
いなど，2D-CAD を用いた場合と異なる設計の進め方が
EYE-PID
2式
必要となる．
EYE-List
2式
3D-配管 CAD の機能の中では，配管の干渉･エラーチェ
EYE-Export
1式
ックが特に有効である．従来の設計では熟練を要した配
EYE-Supt
1式
管の干渉や溶接間距離の確保などのチェックが短時間で
EYE-TAKADA
2式
できる．
例えば複数の勾配配管が交差する場合など，2D-CAD で
２.２ ＶＩＥＷＥＲ
Navis Works Publisher
1式
Navis Works Roamer
3式
の設計では多量の断面図を作成する必要があったが，3D配管 CAD を用いればこれらの作業なしに短時間で行える．
プレゼンテーション
モデル承認
PicsM,P
NavisWorks
危険予知
配管設計
EYE-CAD
工事計画
図１ VIEWER の活用イメージ
36・3D-配管 CAD，VIEWER を利用した設計・施工の取り組み
TAKADA TECHNICAL REPORT Vol.15 2005
従来は施工時まで気が付かなかった問題点が，すべて設計
6) モデルを指定した範囲でクリッピングする(断面を切る)
時に解決できるようになった．
7) 視点を連続的に移動させてアニメーションを作成する
４．ビューワでできること
５．おわりに
VIEWER は 3D-配管 CAD で作成した形状データと一
以前は VIEWER のような CG 画像は作成に時間がかか
部のプロパティを取り込んで，その形状をパソコンの画面
り，ビデオなどに録画してプレゼンテーションに用いるこ
で見るためのソフトである．
とが多かったが，現在は表示速度が非常に高速になったこ
VIEWER のメリットは,
とにより VIEWER を用いて工事計画やお客様への確認が
1) CAD に比べて操作が容易
できるようになった．
2) CAD に比べて安価で,機能限定ではあるがフリーソ
障害物や足場の状況が容易につかめ，現場溶接個所の決
定，プレファブピースの取り込み計画および施工前の状況
フトもある
3) CAD に比べて能力の低いパソコンでも動作可能
把握による作業の効率化などに利用でき，建設コスト面で
4) モデルの表示速度が速い
の効率化に寄与している．
などであるが，基本的にモデルの修正はできない．一部
可能なソフトもあるが，あくまで VIEWER としてのモデ
ル変更であり，元の CAD データにフィードバックするこ
とはできない．
図面を見るだけでその完成像を把握することは難しい
が，VIEWER を使うことにより完成プラントの全体およ
び部分を把握することが容易になった．
また，VIEWER を用いることでお客様に完成イメージ
を掴んでいただき，施工開始前にご要望を計画に反映でき
また，VIEWER にはモデルを見る上で CAD にはない
以下の便利な機能がある.
るようになった．配管施工開始後の変更を大幅に減らすこ
とが可能で，お客様にとってもコスト・工期･品質の面で
1) モデル中に視点を置き,その中を歩くように，または
メリットをご提供できると考える．
今後は，3D-配管 CAD の機能と VIEWER の機能を生
飛行するように視点を移動させる
2) モデルを自由に回転させて見る
かして，後戻り作業の発生しない設計を目指すと共に,高
3) 指定した機器，配管の色を変える
田技報 14 号で紹介した Pics などの自社開発施工管理ソフ
4) 指定した機器，配管をズームアップする
トとの連携を深めて，短納期･低コストの配管設計･施工を
5) モデルの全体または一部を半透明にする
提供できるように努力する所存である．
阿部
図２
TAKADA TECHNICAL REPORT Vol.15 2005
達哉（エンジニアリング部）
VIEWER 画面イメージ
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