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第1範囲 世界史こぼれ話5

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第1範囲 世界史こぼれ話5
☆桃谷高校通信制の課程 世界史 B スクーリング⑤ 歴史のこぼれ話
今回はイスラーム世界です。これからイスラーム教徒(ムスリムといいます)の人とふれあう機会が
あるかもしれません。色々と学ぶと、彼らを身近に感じられるのではないでしょうか。
◎イスラームという宗教について
日本人にとってなかなか馴染みがないのがこのイスラームという宗教ではないでしょうか?ムスリ
ム(イスラーム教徒)の知り合いがいるという方はそれほど多くないのではないかと思います。そこで、
今回は基本的なことを述べたいと思っています。イスラームという宗教はスクーリングでやったよう
に、商人ムハンマドが 7 世紀に唯一神アッラーの啓示を受けた預言者として布教を始めた宗教です。
現代社会でもキリスト教とイスラームの対立が喧伝されたこともあってか、同じ一神教であるユダヤ
教やキリスト教とは全く相いれない教えであると思っている人もいると思います。しかし、イスラー
ムの教えでは、彼らの神であるアッラーとユダヤ教・キリスト教の神であるヤハウェは同じだといい
ます。ムスリムによると、唯一の神の言葉を受けた預言者は数多くいて、ユダヤ教のモーセやキリス
ト教のイエスもその一人だそうです。
しかし、
彼らは神のメッセージを全て受けとめることはできず、
それができたのが最大にして最後の預言者であるムハンマドなのだと。だから、ムスリムには聖典と
して『コーラン』(『クルアーン』)がありますが、彼らはユダヤ、キリスト教の聖書も認めていて、
彼らを「啓典の民」として他の民族より優遇しています。とはいえ、イスラームには他の宗教にはな
い、独特の教えもあります。一日に五回、メッカの方向に礼拝をおこなうこともそうですし、気をつ
けないといけないところでは厳格な偶像崇拝の禁止もあります。偶像崇拝(神を像に彫って拝むこと)
はユダヤ教・キリスト教でも本来禁止されているのですが、特にキリスト教では礼拝に便利なため、
それほどうるさく言われません(イエスの像や聖母マリアの像を見たことがあるでしょう?)。しかし
イスラームでは偶像崇拝は厳しいタブーになります。右上の絵は天使ガブリエル(ジブリール)の啓示
を受けるムハンマドを表したものですが、ムハンマドの顔には何も描かれていません。これは預言者
の顔を描くことがタブーになるからです。数年前にもデンマークの新聞社がムハンマドを揶揄した風
刺画を掲載して、イスラーム諸国が猛反発して国際問題になったことがありました(皆さんも冗談でも
ムハンマドやアッラーの落書きを書いてはいけませんよ!)。宗教による対立や争いは歴史をみるとあ
ちこちで起こっていて、現代でもそれはあまり変わらないとも言えるのですが、争いの多くは無知や
偏見からくるものです。世界にある宗教がどのようなものかを理解し、お互いにそれを認め合うよう
な世の中が早く来ればいいと思いますね。思わずまじめな話になってしまいました。
◎イスラーム世界の学問について
あまりイメージにない方もいらっしゃると思いますが、イスラーム世界は人類の歴史の長い間、科
学の最先端を走っていました。8 世紀にはアッバース朝の都バグダードは人口 100 万人を超えて繁栄
していました。同時代に人口 100 万人を超えていたのは他に唐の都の長安だけというから、その繁栄
ぶりもわかるというものです。さて、イスラーム世界の科学ですが、科学の世界にはアラビア語起源
の言葉がたくさんあります。アルカリ、アルコール、ナトリウムなどがそうです。これらの言葉はイ
スラームの科学がヨーロッパよりも進んでいたことを示しています。天体観測を行うイスラーム世界
の学者を描いた画があります。このような画が残っているのは中国を除いてはイスラーム世界にしか
ありません。現在のヨーロッパの科学はイスラーム世界からその成果を学ぶことで発展していったの
ですね。
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