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Page 1 京都大学 京都大学学術情報リポジトリ 紅
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配偶者のサーチモデルと晩婚化現象 ―恋愛結婚か見合
い結婚か―
坂爪, 聡子
經濟論叢 (1998), 162(4): 76-93
1998-10
https://doi.org/10.14989/45245
Right
Type
Textversion
Departmental Bulletin Paper
publisher
Kyoto University
平 成 卜 年 十 月一 日発 行 ︹
毎 月 .口
論叢
回発 行 ︺
第162巻
第4号
1
.
㍗緊 、 ,﹁・
畷..鉾 .
宴.
高 負 債 ・資 本 比 率 経 済 と ア ジ ア の 危 機 … … … … 本
山
彦
柄
潤
、
霧. ほ ヨ、
舞
美
8
2
顧・
砲 ㌻. 年 .
大 気 汚 染 に 対 す る 課 税 と 土 地 利 用 規 制(1)・
・… 鄭
.江
一、
中国 の イ ン フ レー シ ョンの原 因 に 関す る
3
4
経 済 分 析(ユ979-96年)…
… …… … …… … ・
・… 鍾
非
2
6
保 育 にお け る認 可 制 度 の効 果 … … ・
…………・
…・
横
山 由 紀 子
平 成!0年10月
東押 大學 綬 濟 學 倉
爪
聡
子
盗U
7
配偶 者 の サー チ モデ ル と晩婚 化 現 象 … …… …… ・
坂
経 済 論 叢(京 都 大学)第162巻
第4号,199呂
年10月
配 偶 者 の サ ーチ モ デル と晩 婚 化 現 象
一
恋愛結婚か見合い結婚か一.
坂
1は
日 本 で 榔970年
以 降,男
め
子
聡
に
女 と も に 平 均 初 婚 年 齢 が 次 第 に 上 昇 し,晩
が 進 行 して き た 。 厚 生 省 の
年 に は 男 性26,9歳,女
じ
爪
『人 口 動 態 統 計 』 に よ る と,平
性24.2歳
で あ っ た が,1995年
歳 に ま で 上 昇 した 。 こ れ は 諸 外 国 と比 較 し て も,ス
い 水 準 で あ る 。 し か し,ス
婚化 現 象
均 初 婚 年 齢 は,1970
に は 男 性28.5歳
女 性26.3
ウ ェ ー デ ン な ど と並 ん で 高
ウ ェ ー デ ン な ど で は 事 実 婚 が 非 常 に 多 い た め,実
.的 に は 日 本 は 世 界 の 中 で も有 数 の.晩婚 国 と い え る だ ろ う 。 最 近,日
質
本 にお い て
晩 婚 化 問.題が 様.々な 分 野 で 取 り上 げ ら れ 始 め た 。
な ぜ 日 本 で は 晩 婚 化 現 象 が 進 行 し て い る の か 。 ユ970年 以 降,結
ら か の 変 化 が 起 こ っ た の で あ ろ う か 。1970年
と,大
以 降.の結 婚 状 況 を 詳 細 に 検 討 す る
き な 変 化 に 気 付 く。 そ れ は 結 婚 形 態 が 見 合 い 結 婚 か ら,大
中 心 へ と 移 行 した こ と で あ る 。 厚 生 省 の
の 間 に 結 婚 し た 夫 婦 に つ い て,見
た が,1987年
か ら1992年
文 で は,恋
き く恋 愛結 婚
『出 生 動 向 基 本 調 査 』 に よ る と,1970
年 か ら1974年
1970年 以 降,晩
婚 に関 して何
合 い 結 婚 の 割 合 は33.2%で
の 間 の 同 割 合 は15.2%に
あ っ
ま で 減 少 した 。 こ の 傾 向 は
婚 化 現 象 と平行 して次 第 に強 くな っ て きて い る。 そ の た め 本論
愛 結 婚 と 見 合 い 結 婚 の 関 係 を 考 慮 し な が ら,晩
婚 化 現 象 につ い て検
討 す る。
人 間 の 結 婚 行 動 は,経
済 学 で は 「家 族 の 経 済 学 」 の 一 分 野 と し て 研 究 さ れ て
きた 。 結 婚 行 動 を 経 済 学 の 分 野 で 最 初 に 分 析 し た の はBecker[1973,1974]で
配偶者のサマチモデル と晩婚化現象.〔369)77
あ る.。彼 は 家 計 内 生 産 物(h。useholdco㎜odity)D.と
族(家
い う 概 念 を 導 入 レ,家
計 〉 の 効 用.は家 計 内 生 産 物 の 総 量 に 依 存 す る と した 。 そ して 結 婚 と は,
結.婚す る 場 合 の 効.用が 独 身 時 代 の 効 用 を 上 回 る と き 成 立 す る と し た 。 つ ま り,
結 婚 と は,夫
婦 の 協 力 に よ っ て 生 産 さ れ る 家 計 内 生 産 物 の 総 量 が,独
身時のそ
れ ぞ れ の 家 計 内 生 産 物 の 和 以 上 に な る と き成 立 す る と した 。
Beckerが
論 文 で 述 べ た 結 婚 の 理 論 は,多
くの 研 究 者 に 引 き 継 が れ,様
々な
角 度 か.ら よ り.深 く 研 究 さ れ た 。 そ の 中 で 結 婚 年 齢 に つ い て 研 究 し た の が
Keeley[1977]で
あ る 。 彼 はMortensen[1970]の
ジ ョ ブ サ ー チ ・モ デ ル を 応
用 し.,サ ー チ 期 間 を 導 出 す る こ と に よ っ て 結 婚 年 齢 に つ い て 分 析 し た 。 そ の 際,
彼 は 結 婚 賃 金(maritalwage)と
チ ・モ デ ル を 参 考 に,メ
い う 概.念 を 導 入 し た 。 そ し て,ジ
イ トサ ー チ ・モ デ ル を 作 成 し た 。
本 論 文 に お い て も基 本 的 に は サ ー チ.モデ ル を 利 用 し,日
い る 晩 婚 化 現 象 を 中 心 に 検 討 す る 。 そ の 際,次
1)恋
の2つ
本 に お い て進 行 して
の 問題 に焦 点 を あ て る。
愛 結 婚 と見 合い 結 婚 の関 係 につ い て 。
2)晩.婚
化 現.象 の 原 因 に つ い て 。
以 上 の 問 題 を 検 討 す る た め,本.論
①
ョブ サ ー
文 の モ デ ル に 次 の3つ
結 婚 形 態 を 恋 愛 結 婚 と見.合い 結 婚 に 分 類 し,結
婚 形 態 に よ っ て サ ー チ方
法 が 違 う も の と して 考 察 す る 。 恋 愛 結 婚 の 場 合 は,サ
際 を 通 し て 行 わ れ,見
れ る 。 そ の た めKeeleyと
合 い 結 婚 の 場 合 は,候
1〕Beck,[1973]は
は 異 な り,独
の 特 徴.を導 入 す る 。
ー チ は候 補 者 と の交
補 者 との見 合 い を通 して行 わ
身 時代 の賃 金 を 恋 愛 に よ る賃 金 と
家計 内生産物 を次の ように定義 した。
家司.内生産物 とは,企 業 などに よって生塵され,.市場 におい て取引 され る生産物 に対 し,家 計
内において市場財 と生活時間を投 入 して生産される様 々な生産物の総称であ る。例 えば食.事の質,
了・
供 の量と質,レ クリニ[一シコン,家 族 間のつ きあい,愛 情,健 康状態な ど生活 に関する様 々な
ことが含 まれ る、家言1.内
で は夫婦が筋力 して,そ の量が最大 になるように家計内生産をお こな う.
.家計 内生産物 は,投 入され る市場財や生 活時間の他 に,家 計内生.産性 に影響す る夫婦の属性 に依
存す る。属性 とは知性.教 養,容 姿,健 康,性 格,家 柄,宗 教,人 種等であ る。
2)KeeleyI.且9771は 結婚賃金 を次の ように定義 した。
結婚賃金 とは,個 人がサーチする市場 内のある候補者 と結婚す るとき,そ の候補者 と協 力 して
生産す る単位期間あた りの家計内生産物 における.個人の分配分の ことであ る。個人の結婚 賃金ほ,
結.婚す る候補者の属性に.依存する。
78(37①
∫.第162巻
第4号
そ れ以 外 の賃 金 に分 類 す る。
②
従 来 の サ ー チ モ デ ル に,サ
ー チ期 間 中 に サ ー チ方 法 が 変 更 され る ケー ス
を導入する。
③Keeleyの
モ デ ル と は 異 な り,受
さ れ る の で な く,各
ま ず,第
諾 賃 金 が サ ー チ 開 始 前 に1だ
期 の 初 め に 逐 次,設
且節 で は 恋 愛 結 婚 と見 合 い 結 婚 の 関 係 を 検 討 し,そ
つ い て サ ー チ モ デ ル を 作 成 す る 。 初 め に,恋
れ ぞれ の 形 態 に
愛結 婚 と見合 い結 婚 に お け る候 補
者 の サ ー チ 方 法 につ い て,.そ の 違 い を 明 ら か に し,検 討 す る 。 次 に,そ
の サ ー チ 方 法 の 関 係 を 考 察 す る 。 個 人 に と っ て,ど
最 後 に,そ
はKeeleyの
れぞれ
ち ら の サ ー チ 方 法 に よ り候
補 者 を サ ー チ す る ほ うが 合 理 的 で あ る の か,.ま た,サ
変 更 す る 場 合,い
け設定
定 され るよ うにす る。
ー チ 方法 を サ ー チ期 間 中
つ 変 更 す る こ とが 合 理 的 で あ る の か と い う こ と を 検 討 す る 。
れ ぞ れ の 形 態 に つ い て サ ー チ モ デ ル を 作 成 す る 。 そ の 際,基
モ デ ル を 踏 襲 す る が,本
論 文 で はMortensenだ
本 的に
け で は な くSalop
[1.973]の サ ー チ モ デ ル も 参 考 に す る31。続 い て 第 皿節 で は,本
論文 のモデルを
用 い晩 婚 化 現 象 の原 因 につ い て検 討 す る。
n恋
1恋
愛 結 婚 と見 合 い 結婚 の サ ー チ モ デル
愛 結 婚 と見 合 い 結 婚 の サ ー チ方 法
こ の 節 で は,恋
愛 結 婚 と 見 合 い 結 婚 に お け る サ 門 チ 方 法 に つ い て,そ
の 違 い.
を 中心 に考 察す る。
ま ず 前 提 と し て,結
婚 賃 金,恋
愛 賃 金,独
結 婚 賃 金.(maritalwage)はKeeleyに
鋤MDrtεnsヒnとSalop.の
る。
M。rtensenで は,個
大 き な違 い は,個
身賃 金 につ い て定 義 す る。
従 い,次
の よ う に 定 義 す る。 個 人 が
人 に 与 え ら れ て い る企 業 に 関 す る情 報 につ い て で あ
人 は 市 場 全 体 の 賃 金 分 布 を 知 っ て い るが,個
々の企 業の賃金 についての
情 報 は 与 え られ て い な い と仮 定 さ れ て い る。 そ の た め,個 人 は市 場 内 の 企 業 を任 意 に 選 び 出 し
サ ー チ す る。
そ れ に対 して,Salopで
は,個 人 は 市 場 内 の企 業 そ れ ぞ れ の 賃 金 に 対 して,あ る程 度 の 情 報 が
与 え られ て い る と仮 定 され て い る 。 そ の た め,個
サ ー チ す る順 序 を 決 め る。
人 は サ ー チ す る とき,市
場内の企業 について
配偶者のサーチモデル と晩婚化現象
あ る 候 補 者 と結 婚 す る と き,生
〔371)79
産 さ れ る 単 位 期 間 あ た りの 家 計 内 生 産 物 に お け
る 個 人 の 分 配 分 とす る 。 個 人 の 結 婚 賃 金 は,結
婚 す る 候 補 者 の 属 性`,に 依 存 す
る。
恋 愛 賃 金(Lovewage)と
の あ る 交 際(サ
ー チ)を
は,個
人 が 独 身 時 代 に,あ
る候 補.者 と の 恋 愛 関 係
通 して 生 産 さ れ る 単 位 期 間 あ た り の 家 計 内 生 産 物 と す
る 。 例 え ば 恋 人 と楽 しむ レ ク リエ ー シ ョ ン,恋
人 間 の愛 情 等 が あ る。 個 人 の 恋
愛 賃 金 は交 際 す る候 補 者 の 属 性 に依 存 す る。
.そ れ に 対 し て 独 身 賃 金(singlewage)と
は,.個
人 が 独 身 時 代 に お い て,恋
愛 以 外 を 通 して 生 産 さ れ る 単 位 期 間 あ た り の 家 計 内 生 産 物 と す る 。 例 え ば 友 人
と 楽 しむ レ ク リ.エー シ ョ ン,あ
る い は1人
で 楽 しむ 趣 味 等 が あ る。独 身賃 金 は
個.人の 属 性 に 依 存 す る 。
恋 愛 結 婚 と見 合 い 結 婚 の サ ー チ 方 法 に は,次
①
の5点
に お い て相 違 が 存 在 す る。
個 人 が サ ー チ で き る候 補 者 の 範 囲 に つ い て 。 ②
補 者 の 属 性 に 関す る情 報 につ い て 。③
て 。④
個 人 に 与 え.られ て い る 候
個 人 が サ ー チ 期 間 中 に 得 る 賃 金 に つ い.
結 婚 に到 る ま で の 外 的 要 因 に よ る 障 害 に つ い て 。 ⑤
個人のサーチす る
候 補 者 の選 択 につ い て 。
ま ず,こ
れ ら の 相 違 点 に つ い て,代
い 結 婚 に わ け 仮 定 す る 。、
次 に,そ
表 的 個 人 の 行 動 を 考 え,恋
れ ぞ れ の サ ー チ 方 法 に つ い て 検 討 す る 。.恋愛
結 婚 お よ び.見合 い 結 婚 の 場.合 と も に,個
い く も の と す る 。 そ し て,個
愛結 婚 と見合
人 は 毎 期1人
ず つ 候 補 者 を サ ー チ して
人 は 一 度 結 婚 す る と生 涯 離 婚 しな い も の と し,期
間 は無 限 とす る。
(恋 愛 結 婚)
①
サ ー チ の 範 囲 は 限 定 さ れ,候
婚 の 場 合,恋
補 者 の 数 は 有 限 と す る 。 な ぜ な ら,恋
愛 関 係 が 成 立 しな け れ ば な ら な い た め に,個
愛結
人 が サ ー チ で き る候
補 者 の 範 囲 は 個 人 の 日常 的 な 行 動 範 囲 に 限 定 さ れ る か ら で あ る 。 そ の 行 動 範
4:〕 属 性 と は,Beck血[ユ973]の
来 性,性
格 等 とす る 。
定 義 を 参 考 に,教
養,学
歴,知
性,容
姿,社
会 的 身 分,収
入 ,将
80(372).第162巻
囲 に つ い て は,例
とす る。 ②
第4号
え ば 職 場 内 な ど が 考 え ら れ る 。 こ こ で は 候 補 者 の 数 をN入
個 人 は サ ー チ 開 始 前 に,候
補 者 そ れ ぞ れ の い くつか の 属 性 に 関す
る 情 報 を 与 え ら れ て い る と す る 。 な ぜ な ら,個
人 は 日常 的 行動 範 囲 の 中 で候 補
者 を サ ー チ す る か ら で あ る 。 個 人 は 所 有 す る 情 報 よ り,そ
婚賃 金
伽)に
,.,,」v)の
対 し て 主 観 的 確 率 分 布 を も つ 。 個 人 が も つ 候 補 者 ∫(ゴ=1,2,
結 婚 賃 金 の 主 観 的 確 率 密 度 関 数 を8、 伽)と
が 恋 愛 の 場 合,候
賃 金(∫)を
れ ぞ れ の 候補 者 の結
補 者 ゴを サ ー チ し て い る 期 間,個
合 計 し た(4+S)を
す る。 ③
サーチ方 法
人 は 恋 愛 賃 金 α∂ と独 身
得 る 。 個 人 の 恋 愛 賃 金 は 結 婚 賃 金 と 同 様 に,
候 補 者 の属 性 に依 存 す る。 種 々 の 属 性 は すべ て 両賃 金 に 同方 向 に働 くもの とす
る.(候 補 者i=1,2と
す る と,〃 多
、>ml.⇔'且
〉'2)。 ま た,簡
人 は 恋 愛 賃 金 につ い て は正 確 に予 測 で き る もの とす る 。④
単 化 の た め,個
結 婚 に 到 る まで の
外 的 要 因 に よ る 障 害 が 見 合 い 結 婚 と 比 較 す る と 多 い 。 例 え ば,親
の 反 対,ラ
バ ル の 出 現 等 が 考 え られ る5;。 候 補 者 ゴと 結 婚 に 到 る 確 率 を9+(4,〈1)と
こ こで は 簡 単 化 の た めq,=q(i=1,2,3,...,N)と
す る。⑤
イ
す る。
個 人 は サ ー チ す.
る候 補 者 を 自 由 に 選 択 で き る もの と す る 。
以 上 の 仮 定 の も とで 恋 愛 結 婚 の サ ー チ 方 法 た つ い て 検 討 す る 。 個 人 に と っ て,
範 囲 内 の 候 補 者 を ど の 順 序 で サ 」 チ して い くの が 最 適 と.なる の だ ろ うか 。
こ こ で 確 率 密 度 関 数8`伽)か
ら 導 出 さ れ る 候 補 者 ゴの 結 婚 賃 金 の 期 待 値 を
島 とお く。
海F∫ 四班9・㊥ 吻
こ こで は候 補 者 ゴ=α,みと2人 に限 定 して 考 察 す る。 候 補 者 西 よ り候 補 者 α
.を先 にサ ー チ した 方 が 良 い場 合,次
轟+(1一
a十s十1十
ρ(1+ρ)(1+
の不 等 式 が 成 立 す る。 ρは 割 引 率 とす る 。
の(ら」豊+(-一9)9h,l
ρ
ρ)p2
5〕 第10回 歯止 動 向.基本調 査 に よ る と,未 婚 者 で 結 婚 の 障 害 と して考 え られ る もの と して,「 親 の
承 諾 」 を挙 げ て い る者 が 多 い 。 特 に 女性 で は,多 くの 人が 結 婚 の 障 害 と して 「親 の 承諾 」 を挙 げ
て い る。
〉"+3+
の ゐ(1一
の('。 十5)(1一
の4海 。
,(・+,)+(・+,).+(、.,)・
左 辺 は 先 に 候 補 者 α を サ ー チ し,次
期 待 生 涯 所 得 で あ る 。 一 方,右
ρ
に 候 補 者 ∂を サ ー チす る と きの 個 人 の
..川州醐㎜.
酬⋮
堀酬酬.
(373)81
配 偶 者 の サ ー チ モ デ ル と晩婚 化 現 象
辺 は候 補 者 のサ ー チ順 序 を逆 にす る と きの個 人
胴
の 期 待 生 涯 所 得 で あ る 。 不 等 式 を 整 理 す る と,
(・七){い+西,1㍗,、)二(…+,,鋒,、)}・
・
が 得 られ る。
こ こ で ・ ・_1-q1
+A・
o十s十
・ で あ ・ ・.・ ・ て ・.・'
φ 。 〉 ら十s十t
ψ ゆ(1)
ρ(1+ρ)
ρ(1+ρ)
は,そ
れ ぞ れ の 候 補 者 を サ ー チ し,結
期 待 生 涯 所 得 を 比 較 し た も の で あ る 。(1)式
サ ー チ し,結
よ り,個
婚 す る場 合 の 個 人 の
人 に と っ て,候
補 者を
婚 す る 場 合 の 期 待 生 涯 所 得 の 高 い 者 か ら順 に 選 び だ しサ ー チ す る
た は 恋 愛 賃 金)の
高い候
す る 。 期 間 と,そ
の期 間
補 者 か ら順 に サ ー チ す る こ と を 意 味 す る 。
個 人 が サ ー チ す る 候 補 者 を 候 補 者 戸'と
に サ ー チ す る 候 補 者 と結 婚 す る場 合 の 個 人 の 期 待 生 涯 所 得 と の 関 係 は 図1の
うに な る。
図1
恥㌧農)
.揮
r
よ
-I
.⋮
u
I
.
こ と が 合 理 的 で あ る 。 ま た,.そ れ は期 待 結 婚 賃 金(ま
期 間'に
囲㎜⋮
が 成 立 す る 。(1)式
82〔374).第162巻
第4号
.(見合 い 結 婚)
① 候 補 者 の サ ー チ 範 囲 は 限 定 さ れ な い も の とす る。 な ぜ な ら,候 補 者 は
様 々 な 仲 介 人 に よ って 個 人 に紹 介 さ れ るか らで あ る。 ② 個 人 はサ ー チ 開始 前
に,候 補 者 のい くつ か の属 性 に 関す る情 報 が あ る程 度 与 え られ,か つ候 補 者 達
の属 性 は ほ ぼ 同 じで あ る と予 測 して.いる とす る。 なぜ な ら,仲 介 人 に よ って個
人 に適 当 と思 え る属 性 を もつ候 補 者 が 紹 介 され るか らで あ る。 個 人 は す べ て の
候 補 者 の結 婚 賃 金 に対 して 同 じ主 観 的確 率 分 布 を もつ 。 この 確 率 密 度 関数 を
∫(吻 とす る。③ サ ーチ 方 法 が 見 合 い の場 合,個 人 は 候 補 者 の サ ー チ 中,毎
期 独 身 賃 金(5)の
み 得 る とす る。④ 結 婚 に 到 るま で に外 的 要 因 に よ る障 害 が
.恋 愛 結 婚 と比 較 す る と少 な い 。 こ こで は 簡 単 化 の た め σ=1と
す る。 ⑤ 個 人
はサ ー チ す る候 補 者 を 自 由 に選 択 で き ない もの とす る。 なぜ な ら,候 補 者 は 仲.
介 人 か ら紹 介 さ れ る た め,個 人 が 自分 で 選 べ な い か らで あ る。
以 上 の 仮 定 の も とで見 合 い結 婚 のサ ーチ 方 法 につ い て検 討 す る。 この 場 合,
ど の候 補 者 を紹 介 さ れ,サ ー チ し,結 婚 す る と して も個 人 の期 待 生 涯 所 得 は 同
じで あ る。 確率 密 度 関 数 ∫(甥)か ら導 出 され る候 補 者 の期 待 結 婚 賃 金 を ぬ と
お く。
み一∬ 畷(吻 血
こ の と き,個
人 の期 待 生 涯 所 得 は次 式 の よ うに な る。
み5十
ρ(1十 ρ)
恋 愛 結 婚 の 場 合 と 同 様 に,期
間 と,そ
の 期 間 に サ ー チ す る 候 補 者 と結 婚 す る場
合 の 個 人 の 期 待 生 涯 所 得 と の 関 係 は 図2の
よ うに な る。
2switch-point
.次 に,恋
愛 結 婚 と.見合 い 結 婚 の 関 係 に つ い て 検 討 す る 。
個 人 の 期 待 生 涯 所 得 を 比 較 す る こ と に よ り,恋
愛結 婚 と見合 い結 婚 のサ ーチ
嚇
図2
伽
Il
(375)83
配 偶 者 の サ ー チ モ デ ル と晩 婚 化 現 象
5+ん
ρ(里+ρ)
「
方 法 の 関.係 に つ い て,次
の3つ
の ケ ー スが 考 え られ る。
ψ 、1)'
乃.
1十.s十 ρ(1+ρ) ≦5十 ρ(1+ρ)
…+,,、
等,,・ ・ …
・)1・+・+,、
費,,・
轟
、.
・+,、 、年 万、・・…,、
警 房
次 に そ れ ぞ れ の ケ ー.スに つ い て 検 討 す る 。
1)こ
の ケ ー ス は,見
合 い の 候 補 者 の 期 待 結 婚 賃 金 が 恋 愛 の 候 補 者 と比 較 し
て 非 常 に 高 い 水 準 に あ る と き,ま
こ の 場 合,図3よ
り,個
た,恋
愛 賃 金 が 非 常 に 低 い と き現 れ る 。
人 に と っ て 候 補 者 を 見 合.いだ け で サ ー チ す る こ と
が 合 理 的 で あ る。
図3
lll1
r+5+
すぬr'
ρ(1+ρ)
∼
f
84(376)第162巻
2)こ
第4号
の ケ ー ス は,恋
愛 の 候 補 者 の 期 待 結 婚 賃 金 が 見 合 い の 候 補 者 と比
較 し て.非常 に 高 い 水 準 に あ る と き,ま
る 。.こ の 場 合,図4よ
チ し,N期
り,個
た,恋
愛 賃 金 が 非 常 に 高 い と き現 れ
人 に ζ っ て1V期
ま で は候 補 者 を恋 愛 で サ ー
以 降 は 見 合 い で サ ー チ す る こ と が 合 理 的 で あ る 。 こ こ で は,N
期 を サ ー チ 方 法 のswitch・pointと
す る。
図4
い ・》(警
,)
∫+
ρ(+p}
ハ1'
3)こ
の ケ ー ス は,ケ
個 人 に.とっ て'o期
ー.71).と
ケ ー ス2)の
中 間 の と き現 れ る 。 図5よ
ま で.は候 補 者 を 恋 愛 で サ ー チ し,to期
り,
以 降 は.見合 い で
サ ー チ す る こ と が 合 理 的 で あ る 。 こ の 場 合,'。 期 が サ ー チ 方 法 のswitchpointで
あ る 。switch-pointは,恋
愛 賃金 や 候 補 者 の 期 待 結 婚 賃 金 に よ っ
.て 変 化 す る 。 恋 愛 賃 金 が 上 昇 す れ ば,switch・pointは
遅 く な る 。 ま た,恋
愛 の 候 補 者 の 期.待結 婚 賃 金 が 全 体 的 に 上 昇 した り,見 合 い の 候 補 者 の 期 待
結 婚 賃 金 が 低 下 す る と,switch-pointは
3恋
遅 くな る 。
愛 結 婚 と見 合 い結 婚 の サ ー チ モ デル
こ の 節 で は,皿
一2節 に お い て 分 類 した3つ
の ケ ー ス そ れ ぞ れ に つ い て,恋
愛 結 婚 と 見 合 い 結 婚 に わ け て サ ー チ モ デ ル を 作 成 す る 。 恋 愛 結 婚 と見 合 い 結 婚
と も に,個
人 は 受 諾.賃金 を 設 定 す る 。 そ して,サ
金 が そ れ 以 上 で あ れ ば,受
諾 し,結
ー チ し て い る候 補 者 の 結 婚 賃
婚 す る 。 ま た,そ
れ 以 下 で あ れ ば,拒
否す
(377)85
配 偶 者 の サ ー チ モ デ ル と晩 婚 化 現 象
図5
柵 創
鼎
馴
﹁
O
∼
∫
鯛
期 ま た別 の候 補 者 をサ ーチ す る。 一 度拒 否 した候 補 者 を
再 度 サ ー チ す る こ と は で き な い も の とす る 。 サ ー チ は,個
人 が 受諾 賃 金 以 上 の
結 婚 賃 金 を 持 つ 候 補 者 と 出 会 う ま で 続 け ら れ る 。 こ こ で は,Keeleyと
り,受
諾 賃 金 よ りサ ー チ 期 間 で は な く.結
以.ヒ の 前 提 で,.こ
デ ル.化す る 、,な お,ケ
こ で は ま ず,ケ
ー ス1)と
は異な
婚 確 率 の 累.積 を 導 出 す る 。
ー ス3)に
つ い て受 諾 賃 金 の設 定 方 法 を モ
ケ ー.ス2)は,ケ
ー ス3)の
特 殊 ケ ー ス と考 え
られ る。
ま ず,恋
愛 結 婚 の 場 合,春
期 に つ い て,サ
ー チす る候 補 者 の 恋 愛 賃金 お よ び
結 婚 賃 金 の 主 観 的 確 率 分 布 は 異 な る 。 そ の た め,受
諾 賃 金 は各 期 に 逐 次,設
定
され る。
一方
,見
合 い 結 婚 の 場 合,候
で あ る 。 ま た,サ
ー チ 期 間 は 無 限 で,ザ
賃 金 を 得 る 。 そ の た め,受
以 上 よ り,恋
の た め,こ
補 者 すべ て の結 婚 賃 金 の主 観 的確 率 分布 は 同 じ
ー チ 期 間 中,個
人 は 毎 期 に....一
定 の独 身
諾 賃 金 は サ ー チ 開 始 期 に 一 度 だ け,設
愛 結 婚 の 場 合,受
定 さ れ る。
諾 賃 金 を 後 向 き 帰 納 法 を 用 い て 導 出 す る。 そ
こで は 初 め に見 合 い結 婚 の場 合か ら受 諾 賃 金 を導 出 す る。
(.見合 い 結 婚)
受 諾 賃 金 を 〃。と す う 。 個 人 が 単 位 期 間 あ た り,候
とす る 。
補 者 を受 諾 す る確 率 を β
網..II
.
る 。 拒 否 した 場 合,次
i
彫
86(378>
第162巻
第1号
β一∫ン(・)伽
候 補 者 が 受 諾 され る場 合 の期 待 結 婚 賃 金 を な とす る。
κ一仰)・ ∫1・幽)伽
受 諾 賃 金 は,サ
E躍oを
ーチ方 法 を見合 い に変 更す る ときの個 人 の期待 生 涯所 得
最 大 に す る値 で あ る 。1階
立 つ(詳
し く は 補 論1を
の 条 件 よ り,ザ
参 照)。 な お,2階
に つ い て次 の 関 係式 が 成 り
の 条 件 は 成 り立 つ と仮 定 す る 。
β(配一 〃D)=ρ(〃o-5).(2)
こ の と き,結
婚 確 率 の 累 積 ぽ,'期
に お い て 結 婚 し て い る 確 率 をP,と
す る
と,
P,=∫ 》,_、+(1-P,_、)β(恥+1≦
の
と な る。
(恋 愛 結 婚)
'期(候
補 者')の
受 諾 賃 金 を 飾 とす る 。'期
に 個 人 が 候 補 者'を
受諾す る
確 率 を.αオ とす る 。
・
傷一」:ン(初
物
こ こ で 五(甥)は,
.五師)=す
・8+(刎
とす る 。
候 補 者'が
受 諾 さ 航 る場 合 の 期 待 結 婚 賃 金 を た,と す る 。
島 一(1価)・ 」:1噸(沸)伽
以 上 の 仮 定 の も とで,各
(詳 し く は 補 論2参
こ こ で は,最
期 の 受 諾 賃 金 勧 を 後 向 き帰 納 法 を 用 い て 導 出 す る
照)。
終 期do期
とto一 π 期(1≦
階 の 条 件 は 成 り立 つ と仮 定 す る 。
π≦to…-)に.つ
い て 示 す 。 な お,2
配 偶 者 の サ ー チ モ デ ル と 晩 婚 化 現 象.
9,。=β
.(379)87
・E躍o
蜘 一・{ ・+鵠 辛炉
・一嘱
・)談
宝
器 、}
受 諾 賃 金 〃,が 決 定 す る と,.各 期 に つ い て 個 人 が サ ー チ す る 候 補 者 は 皿一1節
で 決 定 し て い る た め,す
こ の と き,結
べ て の 結 婚 確 率a,(1≦'≦'。)が
導 出 さ れ る 。.
婚確率の累積 は
Pf=Ff_1十(1-Y,_L)αf(1≦'≦to).
.と な る 。
塗 に,ケ
ー スDお
ケ ー ス1)で は,サ
よ び ケ ー ス 幻 つ い て 検 討 す る 。..、
一
ー チ 方 法 は 見 合 い だ け で あ る 。 よ っ て,受
諾 賃金 は ケー ス
3)の.見 合 い 結 婚 の 場 合 と 同 様 に 導 出 さ れ る 、
、
ケ ー ス2)に つ い て 検 討 す る。 サ ー チ 方 法 が 見 合 い の 場 合 は,.受 諾 賃 金 は ケ ー
ス3)の 見 合 い 結 婚 の 場 合 と 同 様 に 導 出 さ れ る 。 ま た.サ
は,ケ
ー ス3)と 同 様 に,受
諾 賃 金 は1V期
ー チ方 法 が 恋 愛 の場 合
か ら後 ろ向 き帰 納 法 を 用 い て 導 出 さ
.れ る 。
最:後に,個 人 が サ ー チ活 動 を行 う条 件 を恋愛 結 婚 と兇 合 い結 婚 にわ けて 検 討.
す る。
恋 愛 結 婚 の 場 合 は,'期
に お い て 次 の 不 等 式 が 成 立 ナ る と き,値
入 は サ ー チ.
活 動 を行 う。
EW,〉
豊
ρ
つ ま り,'期 以 降 サ ー チ 活 動 を続 睡 る と き の個 人 の期 待 生涯 所 得 が,舟 一 チ活
動 を や め 一生 独 身で い る と きの 期待 生 涯所 得 を上 回 る とき,個 人 ば サ ー チ 活動
を行 う。
見 合 い結 婚 の場 合 は,次 の 不等 式 が 成 立す る と き,.個 人 は サ ー チ 活 動 を行 う5
EW・ 〉豊
.ρ
つ ま り.見 合 い で サ ー 手 活動 す る 酵
の鵬
生涯所儲
サ ー チ 活動 をや め一
鴎(380)第162巻
第4号
隼 独 身 で い る と きの期 待 生 涯 所 得 を上 回 る と き,個 人 は サ ー チ活 動 を行 う。.
III晩
婚化現象の原因
この 節 で は,晩 婚 化 現 象 の原 因 につ い て 分 析 す る。 晩婚 化 現 象 とは,前 節 の
モ デ ル を 用 い る と,結 婚 確 率 の 累積 が 全 体 的 に下 降 す る こ とに よ り説 明 で き る。
こ こで は;独 身賃 金5と,す
べ て の候 補 者 の 恋 愛 賃 金'`が 上 昇 す る こ と に よ
り各 期 の 受 諾 賃 金 が..ヒ
昇 し,結 婚 確 率 の 累 積 が 全 体 的 に下 降す る こ とを説 明 す
る。
まず,独
身 賃 金Sが.ヒ 弄 す る こ とヒ よ り晩 婚 化 現 象 が 進 行 す る こ と を,見
合 い 結 婚 と恋 愛 結 婚 に わ け て説 明す る。
(見合 い 結 婚)
他 の 条 件 を一 定 に す る と,独 身 賃 金5の
うに変 化 す るだ ろ うか 。H-3節
器 一嵩
が 得 ら れ る 。(3)式
の(2)式
上 昇 に よ り,受 諾 賃 金 ゼ は どの よ
を全 微 分 す る こ とに よ り,
・・.:..、(1)
よ.り,独
身 賃 金3の.ヒ
昇 に よ り受 諾 賃 金yoが.L昇
す る こ
とが い え る 。
他 の 条 件 を 一 定 と す る と,受
諾 賃 金yoの
上 昇 に よ り,個
人 が 候 補 者 を受 諾
す る確 率 β は減 少 す る。
∂β =_∫(卸D)〈0
∂yo
そ の た め 結 婚 確 率 の 累 積P,=P,一1+(1-P,一
る 。 従.っ て,見
合 い 結 婚 の 場 合,独
、)β(`。+1≦ の は 全 体 的 に.ド降 す
身 賃 金Sの.L昇
に よ り晩 婚 化 現 象 が 進 行
す る ζ とが い え る 。
(恋 愛 結 婚).
こ こ で は,ま
ず ケ ー ス3)に つ い て 検 討 す る 。 な お,ケ
ー ス2)に つ い て は ケ ー
ス3>と 同 様 に 証 明 で き る 。 他 の 条 件 を 一 定 と す る と,独
身 賃 金 の 上 昇 に よ り各
配偶者のサーチモデル と晩婚 化現象.(381)89
期 の 受 諾 賃 金 は ど の よ う に 変 化 す る だ ろ う か 。 こ こ で は 独 身 賃 金Sの
よ り,冬
上昇 に
期 の 受 諾 賃 金 跡 が上 昇 す る こ と を帰 納 法 を 用 い て証 明す る。
ま ず'。 期 の 受 諾 賃 金 働
につ い て は次 の よ うに な る。
∂蹟D∠
∂S>0...(4>
次 に('一1)期
<1よ
の 受 諾 賃 金.〃f。
一1に つ い て は,(4)式
り(1-a,。)>0で
∂雪ぎ1
よ り ∂鋲♂∂S>0,か
つa,。
あ る か ら,
一・+,
、栃
・雛
・1-at.…..(・)
が 成 立 す る。
(to一π)期 の 受 諾 賃 金 〃書
。一
。 に つ い て 次 の 不 等 式 が 成 り立 つ と仮 定 す る 。
∂野的一
♂∂5>0
こ の
と き,偽
∂〃,。_♂
∂S>0,か
∂"器誹
一 η 一1>期
つ
αr。_η<1よ
の 受 諾 賃 金
ン島"一 旦 に つ い て は,仮
り(1-a,。_。)>0で
定
よ
り
あ る か ら,
王一 〇一
←
(11+p)・
∂音量(1-a,.一.)>0、...(6)
が 成 立 す る。
以 上 よ り独 身 賃 金Sの
上 昇 に よ り,各
期 の 受 諾 賃 金 ン,が 上 昇 す る こ と が 証
明 され る。
他 の 条 件 を 一 定 とす る と,受
少 す る 。 よ っ て,結
諾 賃 金 駈 の 上 昇 に よ り各 期 の 結 婚 確 率 α、が 減
婚 確 率 の 累 積P,=P,一
に.ド降 す る 。 従 っ て,恋
、+(1-Pト
愛 結 婚 の 場 合 も,独
、)α,(1≦'≦
身 賃 金5の
紛
は全 体 的
上 昇 に よ り晩婚 化 現
象 が 進 行 す る こ とが い え る 。
な お,ケ
ー ス2)も 同 様 に 証 明 す る こ と.がで き る 。
次 に 恋 愛 賃 金Jrの
(.各候 補 者)の
上 昇 に つ い て 分 析 す る 。 他 の 条 件 を.一定 と す る と,各
期
恋 愛 賃 金 が 上 昇 す る と受 諾 賃 金 は ど の よ う に 変 化 す る だ ろ うか 。
見 合 い 結 婚 の 場 合,受
諾 賃 金 は 恋 愛 賃 金 に 依 存 し て い な い た め,こ
愛結婚の場合のみ検討する。
こで は恋
90(382)第162巻
第4号
(恋 愛 結 婚)
独 身 賃 金 の 場 合 と 同 様 に,初
ま ず,簡
単 化 の た め,各
め に ケ ー ス3)に つ い て 検 討 す る 。.
期 の 恋 愛 賃 金 を 線 形 化 し,
'`=4'十1(1≦'≦to)...(7>
と お く.。
こ こ で,サrチ
す る 候 補 者 の 恋 愛 賃 金 は,H-1節
に低 下 し て い くた め,α 〈0と
で 述 べ た よ うに期 間 ご と
な る。 各 期 の 受 諾 賃 金 肋 に(7)式
を 代 入 す る と,
以 ドの よ う に な る。
蜘
変化な し
断
・{1・
繭 亭・+藩
一
・セ綴
一
・{・+・
・'・
一・・… 呼71i季
各 期.(各
よ っ て,こ
、… 一偏・
轟
一… 畷i惰
、}
… 一・),編 、}
寄L・ ・
ト 扁,溜,}
候 補 者 〉.の恋 愛 賃 金 が 上 昇 す う と,「直 線'、 が 上 方 に シ フ トす る 。
こで は 各期 の 恋 愛 賃 金 の..ヒ
昇 を 切 片'の
独 身 賃 金 の 場 合 と 同 様 に,帰
納 法 を 用 い て,恋
上昇で表す。
愛 賃 金 の 上 昇 に よ り各 期 の 受
諾 賃 金 が 上 昇 す る こ とが 証 明 で き る 。 こ こで は,証
省 略 す る 。 各 期 の 受 諾 賃 金 が.L昇 す る と,結
明 に つ い て の 詳 しい 説 明 は
婚 確 率 の累 積 は全 体 的 に下 降 す る。
従 っ て,.恋 愛 賃 金 の 上 昇 に よ り晩 婚 化 現 象 が 進 行 す る こ とが い え る。
な お,ケ
ー ス2)も,同
以 上 よ り,独
様 に 証 明で きる。
身 賃 金 と 恋 愛 賃 金 の 上 昇 に よ り晩 婚 化 現 象 が 進 行 す る こ とが.
サ ー チ モ デ ル を用 い て 説 明 で きる 。
IVお
わ
り
に
.本 論 文 で は,日 本 にお け る結婚 行 動 につ い て,晩 婚 化 現 象 を中 心 に検 討 した。
そ の際,日 本 的 特 徴 をあ き らか にす るた め に,結 婚 形 態 を恋 愛 結 婚 と見 合 い結
F
凋
配偶者 のサー・
チモデ ルと晩婚化現 象(383>91
婚 に分 類 した。
ま ず,恋
愛 結 婚 と見 合 い 結 婚 め 関 係 に つ い て 検 討 レ た 。 そ の 際,、結 婚 形 態 に
よ り,候 補 者 の サ ー チ 方 法 が 異 な る こ と に 注 目 し た 。 個 人 は サ ー チ 方 法 を 状 況
に応 じて 選 択 す る 。 サ ー チ 方 法 の 選 択 に つ い て,次
b個
の2ケ
ー スが 導 出 され た。
人 は候 補 者 を見 合 い め み で サ ー チ す る。.2)個 人 は 候 補 者 を初 め 恋 愛 で
サ ー チ%挙
る時 点 で サ ーチ 方 法 を見 合 い に 変 更 す るp
次 に,具 体 的 に結 婚 形 態 をわ け,サ ー チ モ デ ル を作 成 し,晩 婚 化現 象 の原 因.
につ い て検 討 した。 モ デ ル を用 い る と,恋 愛 賃 金 と独 身賃 金 が ヒ昇 す る こ とに
よ り,結 婚 相 手 に対 す る受 諾 賃 金 が 上 昇 し,晩 婚 化 現 象 が進 行す る こ とが 説 明.
で きた 。 また,恋 愛 賃 金 を導 入す る こ とで,晩 婚 化 現 象 と恋 愛 の 関係 を分 析 す
る こ とが 剛.能とな る。
匿
(補 講1)
受 諾 賃 金goをMortensen[1970]を
個人の期待生涯所得
嵩
こ こ で ほ,見
4t一⊥は,f期
,、毒 ・1轡
一㈲
合 い に よ るサ ー チ の 開始 期
・.・A一
偽 十D期
σ,_1≡1一(1一
を 第1期
とす る。
βアー1(A-2)
の 意 味 は,個
人 は'期
に お い て,結
婚 し て い な い 場 合 は 独 身 賃 金Sの
(A...2)式 を(A-1)式
. 鯉
・
・..
の 初 め ま で に 個 人 が 結 婚 して い る確 率 と し,
と な る 。(A-D式
た を 得,結
…
に 代.太 し,整
婚 して い る 場 合 は 期 待 結 婚 賃 金
み を得 る とい う こ とで あ る。
理 す る と,.霜
。=亙一 上
β+至.〔 北_5)
ρ
ρ
が 得 ら れ る 。 受 諾 賃 金 ゼ は 期 待 生 涯 所 得EWを
最 大 に す る 値 で あ る 。 よ っ て,.1
階 の条 件
∂E吐
∫@1)ρ 吐
ρx一 穿oβ一 〃oρ噸+5ρ)一
∂びり.pa(β
が 成 立 ず る 。(A-3)式
・..(A-3)
十 ρ)2
よ り,
一 むoβ一 Ψ。
ρ十 κβ十5ρ=0
1
一.﹂.
一
参考 に導 出す る。
〔E躍 。)は 次 式 の よ う に な る 。
92(384)第162巻
第4号
が 成 り立 つ 。.
毒.
従 っ て,上
式 を 変 形 す る と受 諾 賃 金goに
ついて
β 〔左一 穿u)=ρ(∬D-5)
が 成 立 す る こ と が い え る 。-
(補 論2)
各 期 の 受 諾 賃 金 を 後 ろ 向 き帰 納 法 を 用 い て 導 出 す る 。
ま ず,最
終期 ♂
。に つ い て 受 諾 賃 金 を 導 出 す る 。'。期 に お け る 期 待 生 涯 所 得(ER',。)
は次 式 の よ うに な る。
8肱_α
(A-4)式
生 得,確
轟+(1_α,∂E彫
ρ
の 意 味 は,個
人 は,確
率(1-a,,)で
率 幽 。で 候 補 者foを
受 諾 し て 期 待 結 婚 賃 金 κ`。を 一
サ ー チ 方 法 を 見.合 い に 変 更 す る と い う こ と で あ る 。 受 諾 賃 金
びr。は 期 待 生 涯 所 得EW,。
∂欝
・...(A-4)
を 最 大 に す る 値 で あ る 。 よ っ て1階
一fo(you)(子
が 成 立 す る 。(A-5)式
・・晒
の条件
一 ・.....(A-5)
よ り,
… 一 ・・肝
_.ピ.(A二6)
と な る。
.次 に 蟄。
一、を 導 出 す る 。 同 様 に,期
待 生 涯 所 得E隅
。一1を 求 め る と次 式 の よ う に な
る。
£賑
一縣 野'+(・
一知){'調
㌔ 言転+(・
一輪)(f鴇
〕
(A-7)
(A-7)式
に(A-6)式
を 代 入 す る と,次
P・
・一偏{恥
g,。と 同 様 に 導 出 す る と,1階
一
同 様 に,(ち
は,.船
一2).期,(あ
一3)期
π)期(1≦
・誰 掌篇、・・
レ 飾 ・,,葺,、}
の 条 件 よ り,〃m-Lは
・{1・+・+,艶;ア
形 の('一
式 の よ う にな る。
・(・一…
次 式 の よ うに な る。
、,葺,、}
… の 受 諾 賃 金 〃炉 蛎g炉 ゴ ・
・を 導 出 し て い く 。 こ こで
π≦'。一Dの
受 諾 賃 金 蜘 一.を 示 す 。
脈 一・{扁+・+蟹i聖 がL+・・一
偏,鴇}
配 偶 者 の サ ー チ モ デ ル と 晩 婚 化 現 象(385)93
参
Becke・G・S・.[1973]"AThe・
琢
考
文
献
・fM晦9・
・P・rtl"
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Vo】.81,No,4.
Becker,G.S.[1974]"ATh・
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,JournalofPoliticalEca.
Kee】ey,M.C・[1卯7]町h・E・
…mi・s・f止
血i正・F・=a・i
・バ1& '、,f肋
淋
V〔}艮.15,No,2.
M…nsen,D.T・[197。]"」
PhillipsCurve'
・b5・arch
,th・D・
・atio・ ・f止,U。em。1。,me。,and,h巳
,AmericanEconomicRevie叫V⑪1
Salop,S・C・[1973]"S・
η滅 二醜 配ゴ甜5,Vol
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.60,No.5,
・i・J・hSearcha・dU・
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、1・。m㎝f・
経 済 企 画 庁 編.『 平 成4年
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国 民 生 活 白 書 』 大 蔵 省 印 刷 局
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婚観 と子供翻 尉
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Fly UP