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巻頭言 ・新年のご挨拶 松井英憲 フォーラム ・公益法人制度の改革と

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巻頭言 ・新年のご挨拶 松井英憲 フォーラム ・公益法人制度の改革と
TIIS ニュース No.243
TIISニュース 2011年01月10日発行
【編集・発行】
社団法人産業安全技術協会
〒350-1328 埼玉県狭山市広瀬台2丁目16番26号
TEL.04-2955-9901 FAX.04-2955-9902
ホームページ http://www.ankyo.or.jp
【印刷】株式会社パイオニアメディアクリエイツ
CONTENTS
巻頭言 ............................................................................... 3
・新年のご挨拶
松井英憲
フォーラム ......................................................................... 4
・公益法人制度の改革とそれへの取り組み
トピックス ......................................................................... 7
・国際粉体工業展東京 2010
基礎講座 ............................................................................. 8
・引火点
TIIS紹介 ............................................................................. 11
・第二試験棟竣工
訪問記................................................................................. 12
・株式会社 千代田テクノル大洗事業所訪問(安全見学会実施報告)
検定だより ......................................................................... 14
・防爆構造電気機械器具の型式の扱いについて
講習会の案内 ...................................................................... 16
・安全技術講習会等のお知らせ
Q&A ................................................................................... 17
・マイクロスイッチの温度試験について
・単品合格品を構成する部品の代替について
・銘板の材質変更について
表紙写真:安全衛生ポスター
「安全衛生を啓発するポスター」は、日本
をはじめ世界各国にあります。平成23年は、
古河鉱業足尾鉱業所所長であった小田川
全之
(おだがわ まさゆき)氏は、当時アメ
リカで提唱されていた
「セーフティ・ファー
スト」を「安全専一
(あんぜんせんいち)」と
名付け、標示板を坑内外に掲示し、従業員の
安全意識の高揚を図るなど、わが国の事業
場で初めて自主的な安全運動を始めてから
100年に当たります。中央労働災害防止協
会では
「産業安全運動100年記念事業」を実
施しております。当協会ではこれから4回
に渡って、古い時代のポスターを掲載し、先
人の安全啓発の試みに触れてみたいと思い
ます。今回は横書の標語が「右から左」に書
かれていた時代のポスターを集めてみまし
た。
協会からのお知らせ ........................................................... 18
・平成22年度第3回常任理事会の報告
・平成22年度第2回理事会開催のお知らせ
・東京事務所・関西事務所閉鎖に伴う業務体制の変更
・指定外国検査機関の指定について
・新入会員
・関係団体からのお知らせ
ISO9001 認 証 取 得
JQA-QM3877検 定 部
2
TIIS ニュース No.243
巻頭言
新年のご挨拶
社団法人 産業安全技術協会 会長
松井 英憲
明けましておめでとうございます。
昨年は政府の行政刷新会議による事業仕分けの波が、独法や公益法人にまで及び、当協会におき
ましても予備調査の対象にはなりましたが、特段の指導・勧告を受けるには至りませんでした。
一方、国内経済に目を転じますと、昨今の円高、株安、デフレスパイラルに象徴される日本経済の
低迷は今も続いており、産業の空洞化や失業の増大が危惧されています。
当協会の昨年4∼11月の業績から今年度(平成22年度)の業績全体を推計してみますと、昨年度
に比べて検定の新規申請件数においてはマイナス34%、収入全体で見るとマイナス18%と、一昨年
度に対する昨年度とほぼ同程度の減少となることが予測されます。すなわち、2年連続して大幅な
業績悪化となっています。昨年8月より新しい国際整合防爆基準が採用されることとなりましたの
で、今後多少なりとも防爆の新規検定申請件数が増えるのではないかと期待しています。しかしな
がら、減収の主な原因である新規検定申請件数の減少は、多分に国内経済構造の変化や検定制度の
ガラパゴス化による要因が大きいと思われるので、長期的には良くて現状維持と考えられます。
現在、当協会の最大の課題は先に述べた通り、新規検定申請件数の減少による業績の悪化改善に
あります。対策としましては、検定収入以外の収入源として、機械安全分野の拡充、安全技術講習会
の開催、技術指針等の解説書の刊行などを企画、実施しようとしています。また、今なお完全には解
消されていない防爆構造電気機械器具の検定処理期間の遅れを無くすことにより、申請者の申請
意欲を高めることも大切と思われます。安定的な業務運営を図るため、収入に見合う支出体制に改
める必要があり、例えば、役職員の給与カットや東京事務所及び関西事務所の廃止等リストラの実
施を決定致しました。また、業務量に見合う手数料体系に改めていくことも必要と考えています。
このほかの報告と致しましては、昨年中に実施を予定していましたI E C E xシステムにおける
ExCB(Certification Body:認証機関)
・TL(Testing Laboratory:試験機関)の認証取得申請につき
ましては、国内環境が整い次第の申請とされたため、引き続き準備中となりました。また、新公益法
人への移行認定申請につきましては昨年末に内閣府へ申請を行うことができました。早期の認定
を期待しているところです。昨年6月に着工しておりました狭山本部敷地内の第2試験棟の建設工
事が完了し、11月15日に無事竣工致しました。これらの設備はこれからの新しい事業の展開に役立
てて参ります。
当協会に取りまして、まだしばらくは厳しい環境が続くものと考えられますが、役職員一丸と
なって業務運営の改善に努めて参りますので、引き続き会員諸兄のご支援、ご協力よろしくお願い
申し上げます。
3
TIIS ニュース No.243
フォ
ォー
ーラム
表1 公益法人の現況
◆公益法人制度の改革とそれへの取り組み
社団法人***
項 目
国所管 県所管 国所管 県所管
[公益法人改革の背景]
2008年(平成20年)12月、新しく公益法人制度改革
3法(略称、一般法、認定法、整備法の3法)が施行され
た。それまでは、1896年(明治29年)に、公益法人に関
する法令が民法第34条として初めて制定された。それ
財団法人***
合計****
法人の数
3,654
8,963
3,066
9,093
24,648
天下り役員*
4,127
4,874
5,161
8,216
22,378
年間収入**
3,024
2,277
7,235
5,800
18,248
219
189
328
435
1,170
(補助金**)
注) *単位:人、**単位:10億円
以来100年以上にわたり、一度の改正もなされなかっ
***県所管は、都道府県所管、****国所管と都道府県
た。
所管の合計から共益所管の数を除去
その民法第34条には、
「学術・技芸・慈善・祭祀等の
公益に関する事業を行う社団・財団であって、営利を
[改革の経緯と要旨]
目的にしないこと」と規定されている。営利に結びつ
明治時代以来の公益法人制度を抜本的に改革し、21
かない事業は、米国では個人からの寄付金によって、
世紀の社会の要請に応える制度を構築することを目
英国ではチャリティ制度によって取り組む文化が定
的に、新しい公益法人制度の設計にあたっては、表2に
着している。しかし、日本には、そのような文化、土壌
示すように、種々の視点から審議が行われた。
が熟成していなかったため、それに取り組む公益法人
が誕生したようである。
その公益法人の数は、戦前、2,000未満であったが、
戦後は加速度的に増え、平成20年度版の「公益法人白
書」によると、2007年(平成19年)には、表1に示すよう
に、戦前の約10倍強の約24,000以上に増大している。
また、官僚から天下りした役員の数は22,000人以上
で、それを受け入れている公益法人が2,313、年間の収
入額も18兆円以上に達し、その中には、収入の50%以
上を補助金に依存しているところが365、保有財産も
金額換算で10億円以上の法人が1,448に達している。
これが背景になっているとは限らないが、公益法人と
表2 公益法人制度の改革に関する経緯
年 月
公益法人の改革に関する経緯等
平成12年12月 「行政改革大綱」閣議決定
平成14年 3 月 「公益法人制度の抜本的改革に向
けた取り組みについて」閣議決定
平成15年 6 月 「公益法人制度の抜本的改革に関
する基本方針」閣議決定
平成16年12月 「公益法人制度の基本的枠組み」閣
議決定
平成18年 5 月 公益法人制度改革関連3法成立
平成19年 4 月 内閣府に公益認定等委員会設置
平成20年 4 月 「公益認定等ガイドライン」等の決定
平成20年12月 新公益法人制度施行
平成25年11月 新公益法人への移行期限
政界との癒着による汚職事件、天下りの弊害等の不祥
4
事が毎年のように噴出している。 結果は、従来の社団法人と財団法人が、平成25年以
公益法人改革の契機は、当初、これらのネガティブ
降には、公益目的事業を主とする公益社団法人と公
要因を解消することであった。しかし、21世紀の社会
益財団法人、およびその比重が小さい一般社団法人と
の活力、発展には、行政機関や営利法人ではできない
一般財団法人の4種類に生まれ変わり、平成20年から
社会ニーズを満たすサービスの提供が基盤になる。そ
平成25年までの新法への移行期間には(次頁の図1参
のため、
「市民の、市民による、市民のための制度への
照)、これらに特例社団法人と特例財団法人も存在す
脱皮」というポジティブ要因を礎とする社会の構築を
ることになった。
目指して、明治時代の制度創設以来、初めて新しい公
改革の主たるポイントは、改革の理念でもある非営
益法人制度に向かって改革の舵が切られた。
利組織の活動を促進するため、また、一般法人は登記
TIIS ニュース No.243
のみで新設できるように簡便にしたこと、天下りの温
も、また、法令に反しない範囲で営利を追求する法人
床と批判されている所轄官庁との結びつきを断つた
も、一般法人として登記することができ、名称が法人
め、公益法人の認定・認可が、所轄官庁から第三者機
であっても、社会的混乱を招く恐れがあることは避け
関である公益認定等委員会に改められたことである。
られない。
また、もう一つの問題点は、
「裏山のハイキングに、
従来の公益法人
ヒマラヤ登頂と同じ重装備が要求されている」といわ
(特例民法法人)
移行申請しない
法人の解散
れるように、公益法人、一般法人とも、両者に対して
公益法人への移行申請
一般法人への移行申請
余りにも煩雑、負荷の大きな事務量を要求しているこ
とである。所轄官庁の権限が及ばないように、また、
公益認定等委員会で認定・認可の審議
天下りや隠れ天下りに象徴される弊害をなくするた
めに、情報公開を始めとする重装備の規定になってい
認 定
認 可
る。しかし、これでは、非営利組織の法人設立を促進
不認定・不認可
公益法人
一般法人
(再申請)
名称変更登記
図1 新しい法人への移行の流れ
するよりも、バリアを設けたことになり、天下りと縁
の薄い法人からは、とばっちりを受けたとの批判の声
もあがっている。
[公益法人と一般法人との相違]
その一方で、制度の構造が2階構造となり、公益法
新しい制度による公益法人と一般法人との主たる
人は、一般法人(1階部分)の上に(2階部分)位置する
相違は、公益目的事業の比率であって、公益法人は、
ことになった。税制面では優遇されるものの、公益認
それが50%以上でなければならないと規定されてい
定等委員会によって公益性が認定されなければ、2階
る。その公益目的事業は、認定法の第2条の第4号別表
部分にはあがることができなくなった。また、それだ
に、事業の種類という名称で、23種類の事業が規定さ
けではなく、公益法人には、後で述べるように、法人
れている。更に、公益目的事業は、不特定、かつ、多数
の運営に関わる収支相償のほか、18項目の全てを満
の者の利益の増進に寄与する公益性でなければなら
たさねばならないことに加え、認定が下りた後も、毎
ないという条件が付与されている。しかし、その公益
年、事業報告ほかの厳格な業務が義務づけられること
性に関する判断基準は規定されてない。これは、公益
になった。これは、法人の規模の大小に拘わらず、事
認定等委員会で審議されることになっているが、混乱
務職員2名程度の事務量が追加された制度になってお
を招きかねなく、問題になる恐れがある。
り、次に述べるように、問題点の一つでもある。
その他、公益法人と一般法人との相違点は、次頁の
表3に示すように、公益法人は、認定を得るために、厳
[新制度の問題点]
格な要件を満たさねばならないとともに、多くの制約
従 来 の 法 人 は、社 団 法 人 に し ろ 財 団 法 人 に し ろ、
が課せられている。
主 た る 事 業 は、公 益 を 目 的 と し た も の で あ っ た。し
このような相違点から、公益法人には自由度がな
かし、新制度にはいくつかの問題点がある。その一つ
く、一般法人へ移行すると、法人の裁量が発揮できそ
は、N P O法人の社会活動、市民のボランティア活動等
うである。しかし、一般法人も、公益法人に準拠する
に象徴される非営利組織の活動を促進しようとする
事業を行わねばならず、また、特例民法法人から一般
理念から、また、法人自体の設立を容易にしようとし
法人へ移行する場合は、移行前に保有していた資産
たことから、法人が行う公益事業の公益性の規定が、
を、公益目的事業に支出する公益目的支出計画をた
法令に明記されていないことである。換言すれば、会
て、使い切ることになっており、その支出計画と事務
員の利益である共益性の事業がほとんどである法人
処理には、公益法人と同等な負荷を伴うことになる。
5
TIIS ニュース No.243
表3 公益法人と一般法人との相違点
項 目
公益法人
一般法人
・法 人 格
主に法律に基づく公益目的事業を実施し
ていることが国家(認定等委員会)によっ
て認められた法人
公益目的事業のほか、収益事業、共益事業
にも取り組み、後者の比率が大きい法人
・事 業
主たる事業は認定法第2条の公益目的事業
で、社会的信頼から事業制限あり
公益目的支出計画以外は、事業の制限なし
・遵守義務
法人法の遵守のほか、収支相償、遊休財産
の規制、役員の役割責任、情報公開等の遵
守義務あり
法人法に準拠しておればよい
・財務基準
公益目的事業比率、収支相償のほか、各種
の基準あり
公益目的事業以外は原則財務に関する基
準なし
・法 人 税
優遇措置あり(公益目的事業は非課税、収
益事業のみ課税)
原則30%の課税
・監督・行政関与
行政への報告、行政からの勧告、認定取り
消しあり
公益目的支出計画以外は、行政関与がほと
んどなし
・残余財産の分配
社員・役員への分配不可
分配可能
[公益法人制度改革への取り組み]
いにも、この事業は、認定法の第2条の第4号別表に規
当協会は、民法34条のもとに設立された社団法人で
定されている「11. 事故又は災害の防止」に該当して
あったが、公益法人制度改革3法の施行と同時に、現在
おり、働く国民の安全と健康の保持のために貢献でき
は特例民法法人になっている。移行の期限である平成
る公益目的事業であると確信している。
25年11月末までに、公益社団法人か、あるいは一般社
規模は決して大きくない協会であるが、設立以来、
団法人のいずれかへの移行を、内閣府(総理大臣)に申
働く国民の安全と健康に貢献することを使命に、公益
請することになり、これを受けて、平成21年に、会長
法人としての歴史を重ねてきた。この歴史と実績を継
をトップとする移行に向けてのプロジェクトが立ち
承し、汚点を残さないためにも、移行にあたって改め
上がった。
て当協会の使命を思うと、想い出されるのは、アメリ
移行にあたり、先に述べた公益法人と一般法人と
カ合衆国の第35代大統領、John F. Kennedy大統領の
の相違に着眼すると、法人の発展、中でも事業の経済
就任演説である。彼は、その就任演説で、
「M y f e l l o w
的発展とか、運営の自主性等に主眼を置くと、厳格な
Americans, Ask not what your country can do for
要件が規定されている公益法人よりも、一般法人の方
you, Ask what you can do for your country. 同胞
に、メリットがあるかも知れない。しかし、もはや経
のアメリカ人諸君よ!国家が君たちのために、何をし
済大国への貢献ではなく、尊敬される国家の発展に、
てくれるかを求めず、君たちが国家のために何ができ
公益法人として寄与するには、メリットが小さいなが
るかを問いかけよ!」と呼びかけ、アメリカ国民だけで
ら、先ずは、公益社団法人への移行に挑戦すべきで、プ
はなく、世界の人々に感動を与えた。
ロジェクトチームでは、その準備を進めている。
この就任演説は、当協会の使命にも投影されるもの
当協会は、 現在まで、所轄官庁から公益法人として
で、国家、社会のために貢献できる法人で有り続ける
の認可を受け、その監督・指導のもとに、労働安全衛生
ためにも、思いを込めて、公益社団法人への移行に挑
法および関連法令に基づいた機械・器具等の検定と、
戦している昨今である。
それを核にした検定関連事業を行っており、これは、
所轄官庁からも認められた公益事業である。換言すれ
ば、当協会の事業は、国家、社会のために意義のある公
益事業であって、その認識があるからこそ、設立以来、
心血を注ぎ、誇りをもって事業に取り組んでいる。幸
6
(社団法人産業安全技術協会顧問 田畠泰幸)
TIIS ニュース No.243
トピック ス
◆国際粉体工業展東京2010
2010年12月1日(水)∼3日(金)の3日間、東京ビッグ
サイトにおいて社団法人 日本粉体工業技術協会主
催、国際粉体工業展東京 2010が開催され、東京の開催
は今年で18回を迎えました。
特設会場の様子
他にも会議棟ではリチウムイオン二次電池の開発
経緯と現在の状況の特別講演や粉じん爆発情報セミ
ナーが行なわれており、今回の粉じん爆発情報セミ
ナーでは、トピックス情報として、危険物乾燥機への
爆発放散設備の設置義務規制に関する行政の見解に
粉体工業展は名古屋、東京、大阪会場で隔年に粉体
技術および関連機器の最新情報の提供と交流の場と
ついて紹介され、近年明確となってきた、粉体貯槽に
おける着火原因としての静電気の危険性と、具体的な
対策についての研究成果、新たに制定された日本粉体
して開催されます。
工業技術協会規格の内容・特徴と技術的背景、欧州で
整備が進行しているA T E X防爆指令の背景・内容・注
目点・問題点等につき、それぞれ直接の関係者による
講演が行なわれました。
次 回 の 粉 体 工 業 展 は2011年10月19日(水)∼21日
(金)に粉体工業展大阪2011、テーマは粉づくり・もの
づくり・夢づくり−粉の技術−をインテックス大阪に
て開催予定ですので粉に興味や疑問をお持ちの方は
足を運んでみてはいかがでしょうか。
展示会場の様子
主催:社団法人 日本粉体工業技術協会
URL:http://www.appie.or.jp
265社におよぶ企業・団体の出展に加え、展示会場内
に設けられた特設会場での最新情報フォーラムやナ
ノ物質ばく露防止技術セミナー、出展社による製品技
当協会では「粉じん爆発特性試験」を受託してお
術説明会等が行なわれ、粉の広場では粉体の専門家に
ります。詳細については当協会ホームページをご覧
よる技術相談窓口も設けられていました。
下さい。
http://www.ankyo.or.jp
7
TIIS ニュース No.243
[引火点と爆発限界の関係]
◆ 引火点
可燃性液体による火災や爆発災害は、ほとんどの場
引火点は液面上の蒸気濃度が爆発下限界濃度に相
合、液面から発散する蒸気に基づくものである。可燃
当するときの液温であると云えるので、厳密には液面
性液体の火災危険性を示す特性値として、一般に引火
上の蒸気濃度がその温度における最大濃度である飽
点が用いられる。引火点とは、
「空気雰囲気下の液体
和濃度に均一に達している必要がある。また、爆発限
が、その表面の近くの火種によって引火するのに十分
界は、通常、ある程度の広さ(5c mφ以上)の空間を火
な濃度の蒸気を生ずる液体の最低温度である」と定義
炎が上方向へ伝播しうる限界と定義される。実際に用
されている。従って、引火点より高い液温において、液
いられる引火点試験器では、火種は液面より数c m離
体を入れた開放容器の液面上では火災の危険性があ
れた上部位置にあり、かつ点火時には液面上の空間の
り、また密閉容器中の液面上空間では爆発の危険性が
一部が開放されるため、厳密には飽和蒸気濃度に達し
ある。引火点の測定方法はJIS規格等で定められ、多く
ているとはいい難い。更には点火空間の直径は5c m以
のデーターが公表されている。引火点は可燃性液体の
下であり、火炎の伝ぱは下方乃至は水平方向と見なさ
火災・爆発危険性を評価する上で最も重要な物性値で
れるので上方向への伝ぱより困難となる。しかしなが
あり、又安全対策を策定するときの基準ともなる有用
ら、規格による引火点試験器は、簡便で再現性が良く、
な燃焼特性値である。
実用的な引火点が測定できるため、引火性液体の危険
区分の決定や分類に広く用いられている。各種ハンド
表1 主要な引火性液体の引火点1)と引火温度範囲2)
物質名
ジエチルエーテル
ガソリン
二硫化炭素
アセトン
ベンゼン
シンナー類
トルエン
メチルアルコール
エチルアルコール
p-キシレン
灯油
軽油
重油
アニリン
ナフタレン
ニトロベンゼン
機械油
ごま油
菜種油
引火点(引火温度範囲),℃
−45
−43以下( ∼−22)
−30
−20(−21∼8)
−11(−12∼15)
−9∼3(1∼31)
4(3∼40)
11(7∼44)
13(9∼42)
27(22∼58)
40(33∼78)∼60
50∼70
60∼100
70
79
88
106∼270
289∼304
313∼320
ブック等に記載されている引火点の数値は、このよう
な規格で定められた装置・方法によって測定された値
が示されている。
一方、密閉空間内での引火性液体蒸気による爆発危
険性を評価する場合には、液体の飽和蒸気濃度が爆発
下限界濃度に相当する液温が引火点となるので、この
場合の引火点を規格測定器による通常の引火点と区
別するため、下部引火点と呼んでいる。同様に、液体の
飽和蒸気濃度が爆発上限界濃度に相当する液温を上
部引火点という。表1に可燃性物質の引火点試験機で
測定された規格引火点と、上・下部引火点の間を示す
引火温度範囲の測定値を示す。液体が密閉容器に入っ
ている場合では、液面近くの空間には蒸気と空気の混
合ガスが存在し、蒸気濃度は液体の温度における飽和
濃度に達している。
このように密閉下における気液平衡の状態では、液
温だけで危険条件を示すことができ、下部引火点と上
消防法では、主として火災の危険性の観点から、引
部引火点で挟まれた引火温度範囲(又は、爆発温度範
火点250℃未満のものを危険物としており、労働安全
囲という)が、爆発性混合ガスを生成し得る条件とな
衛生法では爆発・火災危険性の観点から、引火点65℃
る。ここで、図1に上・下部引火点と爆発限界の関係を
未満の物を危険物としている。国連勧告(U N)では引
メチルアルコールを例に示す 2)。すなわち、その物質
火点93℃未満のものが危険物となる。
8
TIIS ニュース No.243
の蒸気圧線の仲介によって両者は表と裏の関係にあ
場合が多い。又廃油などの場合には、水溶液や懸濁液
り、どちらかの実測値があれば、他は図上で容易に換
となっていることがある。このような液体混合物の引
算値が求められる。
火・爆発特性を知ることは重要である。
①ガソリン/アルコール均一混合液の引火点 空気中のメタノール蒸気濃度、Vol.%
70
将来のクリーンエネルギーの一つとして、アルコー
60
ル類を自動車燃料とすることが考えられている。例え
蒸気圧線
50
ば、メタノールの引火温度範囲は、7∼44 ℃であり(図
40
1参照)、常温で液面上の気相空間の蒸気濃度は常に爆
爆発上限界
上部引火点
30
ミスト
20 爆発範囲
発範囲内にあって、着火源があると爆発が生ずる危険
性がある。常温での引火・爆発の危険性を避けるには、
ガス爆発範囲
発火温度
化学量諭組成
10
メタノールに少量のガソリンを加えてやればよい。こ
爆発下限界
れは、引火点の低いガソリンを加えることによって、
下部引火点
0
20
40
60
80
100
370
380
390
400
410
温度、℃
混合燃料油の上部引火点を常温以下に下げ、燃料タン
ク内の燃料蒸気濃度を爆発上限界以上に保つことに
図1 引火温度と爆発限界の関係(メチルアルコール)
よって、燃料タンク内での引火・爆発の危険性を排除
[加圧下の引火温度]
することができる。メタノールにガソリンを加えた場
引火点は通常大気圧下での火災危険性の指標と
合の各混合割合に対する引火温度の推算値を図3に示
し て 用 い ら れ る が、加 圧 密 閉 系 で の 爆 発 危 険 性 を
す。この図から、少量のガソリンの添加によって、メタ
考える場合にも応用することができる。加圧下でも
ノール混合液の引火点が急激に低くなることが分か
液体の蒸気分圧は温度にのみ依存するので、加圧に
る。エタノールにおいてもほぼ同様の効果が期待でき
よって全圧が増大すると相対的に蒸気濃度は低く
る。
なる。爆発下限界濃度の圧力依存性は小さいので火
②水溶液の引火点 炎伝播が生ずるためにはより多くの蒸気圧が必要
アルコールや酸、アセトンなどの水溶性の可燃性液
と な る。即 ち 引 火 温 度 は 高 く な る。工 業 用 キ シ レ ン
体が、水で希釈され、溶媒として使用されたり、廃棄物
に つ い て 加 圧 下 で 測 定 し た 引 火 温 度 を 図2に 示 す。
として処理されることがある。
60
引火湿度範囲(℃)
引火点, ℃
50
40
30
20
.8.9 1
2
3
4
5
6 7 8 9 10
40
40
20
20
0
0
上部引火点
-20
-20
引火湿度範囲
20
圧力, bar
-40
-40
下部引火点
図2 引火温度の圧力による影響(工業用キシレン)
0
[混合物の引火温度]
実際に使用される引火性液体は、ガソリンやシン
20
40
60
80
100
メタノール中のガソリン(vol.%)
図3 メタノール/ガソリン混合液の引火温度範囲
ナーなどのように数種類以上の物質の混合物である
9
TIIS ニュース No.243
50
代表例として、エタノール水溶液の引火点及び上・
下部引火点の測定結果3)を図4に示す。
40
下部引火点は規格引火点より若干低く、エタノー
引火点
燃焼点
では、爆発性雰囲気を形成している事が解り、着火源
があれば爆発する危険性がある。但し、国連勧告によ
る基準では、タグ引火点が35℃以上の場合には、燃焼
点(引火した後も燃焼し続ける温度)が測定されなけ
れば、火災の危険性はないので危険物には指定されな
い。エタノール水溶液の場合、20%未満では燃焼点は
引火点と燃焼点(℃)
ル濃度が20%程度以上の水溶液は、常温の密閉容器中
30
20
10
0
測定されないようである。
-10
80
0
70
40
60
80
100
水中のn・オクタン(vol.%)
図5 n-オクタン/水 混合物(懸濁液)の引火点と燃焼点
60
上部引火点
引火温度 ℃
20
[まとめ]
50
以上に述べたごとく、引火点は火災・爆発危険性を評
40
引火温度範囲
価する上で極めて有用な物性値である。その意味を
30
20
良く理解して利用すれば、可燃性液体を入れた開放容
下部引火点
10
器の液面上での火災の危険性や、密閉空間での引火性
0
0
10
20
30
40
50
60
70
80
90
100
エ タ ノ ー ル 容 量 % i n Water
図4 エタノール/水混合物の引火温度範囲
③2層分離液の引火点 廃油などでは、均一に混合したものばかりではな
く、水 と 油 又 は 油 と 油 な ど、相 互 に 完 全 に は 混 合 せ
ず、二層に分離したり、懸濁状態の物も考えられる。
特に水と油の混じった廃油の引火特性が問題となる
ことが予測される。水と油の懸濁液については、既に
いくつかのデーターがあり 4)、それによると、懸濁液
の引火点は、油分の含有割合によらず、それがたとえ
液体蒸気による爆発災害の予防対策を考える場合、ま
た、危険場所の危険区分の判定などに利用することが
できる。
参考資料
1)国立天文台編、理科年表、丸善(株)
(1995)
2)柳生昭三著、
「引火温度と爆発限界の関係線図」
RIIS-SD-86(1986)及びRIIS-SD-87(1987)
3)ミュラー・ヒルレブランド著、蒲生朝郷訳
「防爆電気
機器原論」p.31、昭和19年、コロナ社刊
4)産業安全技術総覧編集委員会編、
「産業安全技術総
覧」、p.319、第6章、ガス爆発の防止、丸善(株)
(1999)
微量であっても、常に油単独の場合の引火点を示すこ
とが知られている。これは、油が水の上に二層に分離
している場合でも同様であり、液面上の油の蒸気濃度
が、共存する水の量には関係なく飽和蒸気濃度を保っ
ているためである。
代表例としてn-オクタン/水混合物の引火点
(Seta.C)
及び燃焼点(Tag.O)の測定値を図5に示す。
10
((社)産業安全技術協会 会長 松井英憲)
TIIS ニュース No.243
TIIS紹介
を行うための設備・装置の導入を計り、IE C E xシステ
◆第二試験棟竣工
平成22年度予算に計上された第二試験棟が平成22
年6月に着工し、11月に竣工しました。第二試験棟は、
ムのC B、T Lの申請に対応できるよう、準備を整えて
いく予定となっています。
国際規格に基づく試験施設の導入や依頼試験内容の
高度化を計っていくための施設として平成21年度の
総会において、その計画が認められた施設です。
建物は、鉄骨造、地上2階建てであり、1階には多目的
の試験室、2階は省エネ仕様の事務室及び試験室から
構成されており、大きさは、第一試験棟とほぼ同じ床
面積500m2です。
また、2階は渡り廊下で第一試験棟及び本部棟と接
続され、一体的運用が可能となっております。
今後、第二試験棟には、機械等の性能試験に関連し
た装置、
『工場電気設備防爆指針(国際規格に整合した
技術指針2008)』の検定への適用に対応して、試験が
円滑に進むよう第一試験棟の施設設備・装置の一部を
移動する他、IE Cの防爆に関する規格に適合した試験
本部棟・第一試験棟間連絡通路
第2試験棟(平成22年11月15日竣工)
(第二試験棟・第一試験棟間連絡通路:写真左)
11
TIIS ニュース No.243
◆株式会社 千代田テクノル大洗事業所訪問
(安全見学会報告)
安全見学会が平成22年11月2日(火)に、社団法人日
本保安用品協会との共催で実施されました。
見学先としては、株式会社千代田テクノル大洗事業
所を訪問させていただきました。37名の方が参加さ
れ、貸し切りバスで伺いました。
当事業所は、日本原子力研究所大洗研究所が道路を
挟んで直ぐそばにあり大洗海岸の近くに位置してい
放射線の基礎レクチャー
ます。雄大な太平洋を見ながらバスはサツマイモ畑を
抜けて、大洗事業所に予定より少し早い12:45に到着
しました。
次に、測定センター内の2階会議室にて細田社長か
らのご挨拶をはじめ、山本所長より大洗事業所の概要
当日は、千代田テクノルの細田社長をはじめ、研究
所の皆様にお出迎えをいただき、モダンなホワイトグ
レーの測定センター棟の前で記念撮影をして頂きま
した。
説明並びに根岸部長様より放射線の基礎レクチャー
を受けました。
放射線にはさまざまな種類があって、軟X線、中硬
X線、アルファ線、ベータ線、ガンマ線、中性子などが
あり、放射能(単位:べクレル)と放射線(単位:シーベル
ト)の違い、放射線を遮蔽できるものとして、放射線
別に、アルミニューム、鉛板、水(重水)等の遮蔽効果
について説明を受けました。
こちらの事業所では、これらを測定する計測器を校
正するための照射装置が設置されています。
放射線物質による汚染や被爆線量を最小限に抑え
るために、放射線量を正しく測定することが不可欠と
言っても過言ではないと感じました。
記念撮影
また、ここ株式会社千代田テクノル大洗研究所の基
幹事業となっているガラスバッチによる優れた「個人
線量測定サービス」は、今日の医療機関、非破壊検査、
研究用放射線施設等で働く方々の防護のための、モニ
タリングは欠かせないものであると感じました。
その後、校正施設、及び測定センターを4つのグルー
プに分かれてそれぞれ担当者の方に案内・説明を受け
ながら、およそ70分間の見学をさせていただきまし
た。
校正施設棟は、5つの照射室に7台の照射、校正装置
が設置されていました。多数の個人用モニタに標準照
大洗事業所の概要説明
射を一括して行うなど、作業効率を一気に高める「2
12
TIIS ニュース No.243
πr線照射装置」等が稼働しています。
これらの装置を用いて自社のモニタリングサービ
スを支えるだけでなく、お客様の測定器を校正した
り、お客様の校正場の校正を行うなどの事業を展開さ
訪れる前に、那珂湊の魚市場で海鮮丼の昼食をとり、
休憩時間を利用して漁港に隣接する魚市場を散策し
ました。
ここでは、大小さまざまなお店が並び海産物を中心
に安価に販売されていました。並べられている品物を
れています。
見学しているだけでも楽しいのですが、威勢の良い掛
け声に誘われて、新鮮なアンコウを購入したり、魚介
類の調理方法を聞いたり、値段交渉をしたり・・・、わ
ずかな時間でしたが楽しいひとときを過ごしました。
ガラスバッジ自動サービスシステム(GAS)
那珂湊魚市場
帰り道に、水戸市元吉田町にある明利酒類(株)の
資料館(別春館)に立ち寄り、梅酒の酒蔵の見学をし
ました。地下の蔵に一歩足を踏み入れると、あたりは
梅酒の香りで充満していました。こちらの会社で研究
各種ガラスバッチ
開発された酵母を仕込
みに使用した大吟醸酒
測定センターでは、フイルムバッジからガラスバッ
や地元で造った芋焼酎、
ジによる測定サービスの変遷についての説明を受け、
変わったところではイ
1階にあるガラスバッジオートマチックサービスシス
チョウの葉のエキスが
テム(G A S)をラインに沿って各班毎に担当者の方か
入ったリキュール酒等
ら説明を受けながら見学いたしました。
のご説明を受けました。
送付されたガラスバッジの受入、確認作業、開封か
イチョウエキスに含ま
らセンサ分別、洗浄、センサチェック、ケース消毒/ラ
れるフラボノイドは血
ベル剥離、ガラス線量計自動測定、モニタ組立装置、
管を柔らかくする作用
発送からなる実にシステマティックな面とマンパ
があるといわれている
ワーによる入念で厳密な検査でもって万全の体制で
そうです。
実施しているシステムだからこそ、安心して測定依頼
できるのだと実感しました。
資料館梅酒の酒蔵見学
出発時刻になり、なごり惜しい気持ちで再びバスに
乗車し、J R水戸駅を経由して、車窓から晩秋の暮れか
けていく空を眺めながら一路東京へ向かいました。
訪問当日は、株式会社千代田テクノル大洗事業所を
13
TIIS ニュース No.243
◆防爆構造電気機械器具の型式の扱いについて
防爆構造電気機械器具に関する機械等検定規則第六条第1項の「型式ごと」の解釈を示している通達(昭和53年2
月10日付け基発第80号「機械等の検定規則の一部を改正する省令の施行について」)が改訂されました。別添を除
く全文を転載しますが、詳細については、下記ウエブサイトでご確認下さい。
http://www.ankyo.or.jp/examination/toriatukai.html
http://www.jaish.gr.jp/anzen/hor/hombun/hor1-51/hor1-51-35-1-0.htm
基発1005第3号
平成22年10月5日
都道府県労働局長 殿
厚生労働省労働基準局長
防爆構造電気機械器具の型式の取扱いについて
防爆構造電気機械器具に関する機械等検定規則(昭和47年労働省令第45号)第6条第1項の「型式ごと」の解釈に
ついては、昭和53年2月10日付け基発第80号「機械等検定規則の一部を改正する省令の施行について」
(以下「基発
第80号通達」という。)及び平成元年3月22日付け基発第128号「国際規格等に基づき製造された防爆構造電気機械
器具の型式の取扱いについて」
(以下「基発第128号通達」という。)で示しているところであるが、
「型式ごと」の解
釈に疑義が生じていたことから、これを明確にすることとし、また、国際規格との整合化のため電気機械器具防爆
構造規格に係る技術的基準を改正したこと、最新の構造規格と整合性を図る必要があること、最近の防爆構造電
気機械器具の技術が進展したことなどに伴い、基発第80号通達を下記のとおり改正することとしたので了知され
たい。
なお、登録型式検定機関に対しては、別添のとおり通知したので申し添える。
記
1 基発第80号通達の一部を次のように改正する。
(1)記のⅡの2(2)中、
「同一であるものごとをいうこと。」の次に「この場合において、当該機械等の容器の形状、
安全性能に関係する部分に用いる材料又は冷却に関する条件のいずれかが異なる場合は、同一であると認
めないものとすること。」を加える。
(2)別表の防爆構造電気機械器具の項を別紙のとおり改める。
2 基発第128号通達を廃止する。
3 施行期日
この通達は、発出の日より施行する。
14
TIIS ニュース No.243
別紙
機械等の 要 素
区分
種類
機械等の 要 素
区分
種類
防 爆 構 造(1)種類
イ 三相誘導電動機
防 爆 構 造(4)定格電圧
イ 低圧
電気機械
ロ 単相誘導電動機
電気機械
ロ 高圧(3000V級)
器具
ハ 同期電動機
器具
ハ 高圧(6000V級)
ニ 直流電動機
ホ 油入変圧器
へ 乾式変圧器
ト 計器用変成器
ニ 特別高圧
(5)爆発等級又
は対象とさ
れるガス若
しくは蒸気
チ 気中開閉器
リ 気中遮断器
ヌ 制御盤
ル 分電盤
①構造規格に基づ
き製造された防
爆構造電気機械
器具の場合の爆
発等級
ヲ 電磁弁用電磁石
ヨ 流量計
タ 記録計
レ 白熱燈
ソ 蛍光燈
ツ 高圧水銀燈
ネ 高圧ナトリウム燈
ナ LED燈
ラ 通信機
ノ 警報装置
オ 信号装置
イ 耐圧防爆構造
ロ 内圧防爆構造
ハ 安全増防爆構造
ニ 油入防爆構造
ニ 3b
②国際規格等に基 イ A
づき製造された
ロ B
防爆構造電気機
械器具の場合の ハ C
対象とされるガ
ス又は蒸気
(6)発火度又は
温度等級
①構造規格に基づ
き製造された防
爆構造電気機械
器具の場合の発
火度
イ G1
ロ G2
ハ G3
ニ G4
ホ G5
②国際規格等に基
づき製造された
防爆構造電気機
械器具の場合の
温度等級
イ T1
ロ T2
ハ T3
ニ T4
ホ 本質安全防爆構造 ia
ホ T5
へ 本質安全防爆構造 ib
ヘ T6
ト 樹脂充てん防爆構造 ma
チ 樹脂充てん防爆構造 mb
リ 非点火防爆構造
(3)端子箱の
防爆構造
ハ 3a
へ 3n
ク 差込み接続器
(2)本体の
防爆構造
ロ 2
ホ 3c
ワ 温度計
カ 圧力計
イ 1
(7)端子箱から イ 耐圧スタッド式
本体への導
ロ 耐圧パッキン式
線引込方法
ハ 耐圧固着式
ヌ 特殊防爆構造
ニ スタッド式
ル 粉じん防爆普通防じん構造
ホ パッキン式
ヲ 粉じん防爆特殊防じん構造
へ ブッシング式
イ 耐圧防爆構造
ト 固着式
ロ 内圧防爆構造
ハ 安全増防爆構造
ニ 粉じん防爆普通防じん構造
ホ 粉じん防爆特殊防じん構造
15
TIIS ニュース No.243
講習会の案内
◆安全技術講習会等のお知らせ
当協会が平成23年1月以降に実施予定の安全技術講
開催日時・場所
習会は、以下のとおりです。ご関心のある方々は、是非
日時 平成23年2月2日(水) 9:30∼16:00
ご参加下さいますようご案内申し上げます。
場所 産業安全会館 8階大会議室
詳細は協会ホームページ(http//www.ankyo.or.jp)
(〒108-0014 東京都港区芝5-35-1)
をご覧下さい。
演題・講師
[静電気災害・障害防止のための基礎知識]
(1)電位の測定(電位の測定技術、各種電位計の特
可燃性溶剤・微粉じん等の化学物質を取り扱う産業
性を解説し、電位計を用いて電位測定の実際を
の分野においては、静電気放電による爆発・火災災害
理解する。)
の危険性は常に存在しており、その危険性の軽減化対
春日電機株式会社 営業第一技術
策は重要です。
次長 鈴木 輝夫 氏
この講習会においては、静電気の発生現象の実演を
(2)静電容量・漏洩抵抗の測定
(静電容量の概要、測
通して、静電気の基礎及び対策の具体的方法を解説す
定技術を解説し、静電容量の測定、静電気安全対
るとともに、実際の現場における静電気の危険性を評
策の確認に必要な漏洩抵抗測定の実際を理解す
価するための測定技術について、わかりやすく解説致
る。)
します。
社団法人産業安全技術協会 東京事務所
開催日時・場所
所長 蒲池 正之介
日時 平成23年2月1日(火) 10:00∼16:30
(3)電荷量の測定(電荷量の測定技術、各種測定方
場所 産業安全会館 8階大会議室
法を解説し、ファラディケージ等を用いて電荷
(〒108-0014 東京都港区芝5-35-1)
量測定の実際を理解する。)
演題・講師
社団法人産業安全技術協会 危険性評価試験室
(1)静電気災害防止対策の基礎知識
主任試験員 泉 房男
社団法人産業安全技術協会 危険性評価試験室
主任試験員 泉 房男
(2)静電気現象と安全対策の基礎
社団法人産業安全技術協会 東京事務所
所長 蒲池 正之介
(3)静電気特性評価のための現場で行う測定技術
春日電機株式会社 営業第一技術
次長 鈴木 輝夫 氏
受講料(消費税込)
:16,000円(当協会会員12,000円)
[静電気測定技術「実習セミナー」]
受講料(消費税込)
:24,000円(当協会会員20,000円)
[防爆構造電気機械器具型式検定申請の手引き(改訂
版)]に関する講習会]
防爆電気機械器具検定の基準、同一型式の考え方等
が変更されたのに伴い、検定の手引(改訂版)につい
て説明を行ないます。
開催日時・場所
(1)東京会場(女性と仕事の未来館 4階ホール)
日時:平成23年2月22日(火) 9時50分∼16時30分
(2)大阪会場(大阪産業安全技術館 6階講堂)
静電気の放電による着火危険性を評価するために
日時:
(第1回)平成23年2月16日(水)9時50分∼16時30分
は、静電気の電位・電荷量、静電容量などの具体的な
(第2回)平成23年2月25日(金)9時50分∼16時30分
データを把握する必要があります。
この講習会では、これらのデータを測定するため、
16
技術を習得することを目的としています。
受講料(消費税込)
1名につき12,000円 (当協会会員:10,000円)
電位計やファラデーゲージの使い方、静電容量や漏洩
使用テキスト(当日配布)
抵抗の測定方法などを実習し、精度の高い静電気測定
防爆構造電気機械器具 型式検定の手引き(3分冊)
TIIS ニュース No.243
Q&A
◆マイクロスイッチの温度試験について
Q:単品として検定合格した機器について、機器の使用
Q:電気機械器具防爆構造規格による申請で、耐圧防爆
開始後に構成部品が故障し交換の必要が生じた場
構造の容器に内蔵するマイクロスイッチの温度試
合、全く同じ型番の部品や組込機器ではなく機能的
験方法について検討しています。
に同等な別の部品や組込機器により代替すること
申請品は、耐圧容器、マイクロスイッチ、電線お
は可能でしょうか?(例えば製造元の生産終了など
よび端子台で構成されており、負荷は外部回路と
により、全く同じ型番の部品や組込機器の新規入手
なります。このような構成の申請品についてマイ
が不可能となるような場合など)
クロスイッチの温度試験を行うにあたり、マイク
また、代替が可能でない場合は検定の再申請を
ロスイッチに定格電流が流れるような電圧(定格
しなくてはならないのでしょうか?
電圧ではない)と外部負荷の接続を考えています。
A :合格図面・書面に記載された部品や組込機器と全く
指 針 に は、定 格 電 圧、定 格 負 荷 で の 試 験 が 必 要
同じ型番の製品以外は、たとえ機能的に同等なもの
と書いてありますが、温度試験を行うマイクロス
であっても別のものに替えることは出来ません。
イッチにおいても定格電圧を印加したうえで、定
また、型番の異なる別の部品や組込機器を使用
格負荷により決まる定格電流が流れるような負荷
するためには、その部品や組込機器を含んだ申請
を接続して試験しないといけないでしょうか?
品を新たに製造して新規に検定を受けていただく
また、上記において、マイクロスイッチ内の抵抗
ことが必要です。
値が低く、温度上昇が考えにくいことから、温度試
なお、全く同じ型番のものとの交換は、型式検定
験を省略することはできないでしょうか?
合格品(単品)の保守の範疇で可能です。
A:ご質問の場合の温度試験について、試験結果に影響
◆銘板の材質変更について
する主な発熱箇所は、マイクロスイッチ内部にある
Q:構造規格による合格品に取り付ける銘板について、
接点の接触抵抗を持つ箇所によるものと考えてよ
現在アルミ板を材料として使用していますが、生産
いと思います。
性向上のためポリエステルフィルム製のものに変
ご質問にもありますが、一般的なスイッチの接触
更を考えています、変更は可能でしょうか?
抵抗は通常ミリオームオーダーであるため、その接
ポリエステルフィルム製の銘板は、弊社の他の
触箇所の電圧降下を指針でいう定格電圧に等しく
合格品にも使用しており、文字が容易に消えにく
とり試験を行うことは現実的ではありません。
いものとなっています。
このような場合は、定格電圧の電源−定格負荷
A :電気機械器具防爆構造規格では、銘板の材質につ
間にマイクロスイッチを挿入する、或いは定格負
いて特に定められているものではありませんが、
荷により決定される定格電流に等しい電流を流す
機械等検定規則第14条、型式検定合格標章につい
ことができる定電流源を用意してマイクロスイッ
てその備考に”金属その他耐久性のある材質”とあ
チに定格電流を流し、温度試験を実施して結果を
ります、これを参考に御社で変更を検討されてい
得ることで問題ありません。
る銘板の材料が“その他耐久性のある材質”にあた
試験の省略可否について、過去に行った実験や
るとご自身で判断される場合、新しい材料への変
試験の結果などを根拠に、明らかに規定の値を超
更は問題ないと考えられます。
えないことを説明できるのであれば、試験の省略
なお、図面に銘板の材質を記載してあるような
ができる可能性があると考えられます。
場合には、新たな材質を同一型式として追加する
◆単品合格品を構成する部品の代替につ
いて
必要があります。
17
TIIS ニュース No.243
◆平成22年度第3回常任理事会の報告
◆指定外国検査機関の指定について
平成22年度の当協会の第3回常任理事会が、12月10
指 定 外 国 検 査 機 関(防 爆 構 造 電 気 機 械 器 具)と し
日(金)K K Rホテル東京にて開催されました。主な議
て、DEKRA Certification B.V.(前 KEMA Quality
題は次の通りです。
B . V(K
. E M A)が指定されました。平成22年12月末現
(1)事業報告
在、厚生労働省が指定した外国検査機関は次の3機関
(2)会員の申込状況
です。
(3)その他
常任理事会では、事業計画及び実施状況、検定申請
数等について報告がありました。また、新規検定申請
(1)検査機関の名称:UL International Demko A/S.
指定の有効期間:平成20年10月30日から3年間
(2)検査機関の名称:
数の減少に対する対応について協会から報告があり、
Physikalish-Technishe Bundesanstalt(PTB)
常任理事から意見・提案・助言が寄せられました。
指定の有効期間:平成22年2月17日から3年間
◆平成22年度第2回理事会のお知らせ
(3)検査機関の名称:DEKRA Certification B.V.(前
平成22年度の第2回理事会が下記の通り開催されま
KEMA Quality B.V.(KEMA)
す。
指定の有効期間:平成22年12月3日から3年間
日 時 平成23年1月21日(金)10:30∼
詳しくは、下記ホームページをご覧下さい。
場 所 KKRホテル東京
http://www.ankyo.or.jp/examination/shitei.html
東京都千代田区大手町1-4-1
◆新入会員
議 案 (1)事業経過報告について
○入会申込(平成22年12月1日現在)
(2)入会申込承認について
(3)その他
会社名:日本エマソン(株)EGS事業部
所在地:〒105-0022
東京都港区海岸1-16-1ニュートピア
◆東京事務所・関西事務所閉鎖に伴う業務
体制の変更
竹芝サウスタワービル7F
諸般の事情により、平成23年2月末をもって東京事
代表者:EGS事業部長 菅沼利昭
務所、関西事務所での業務を停止し、平成23年3月末
営業品目:防爆関連機器の製造販売
TEL 03-5403-8595
をもって閉鎖します。これまでご活用頂いた皆様には
ご不便をおかけいたしますが、ご了承頂きたく存じま
す。なお、平成23年2月中に開催されます講習会、2月末
までの書籍の販売につきましては、これまでと同様に
各事務所で事務手続きを行いますので、ご活用下さい。
平成23年3月1日以降につきましては、書籍販売、講
習会の受付業務を本部(狭山市)にて実施いたします。
取扱の詳細につきましては、2月中にホームページで
ご案内いたしますのでご覧下さい。
(http://www.ankyo.or.jp/)
◆関係団体からのお知らせ
中央労働災害防止協会では産業安全運動の
創始から100年目となる平成23年を迎えるに当
たり、
「産業安全運動100年記念事業」を実施し
ております。本記念事業を通じて、安全衛生意
識の一層の向上と安全衛生活動の更なる発展
を目指すため、本記念事業への企業・事業所・団
体の参加拡大に努めているところです。詳しく
は、下記の「産業安全運動100年記念サイト」を
ご覧下さい。
http://anzen100nen.jisha.or.jp/「安全100年」
18
TIIS ニュース No.243
「労働安全衛生総合研究所一般公開」
賀正
のお知らせ
本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。
平成23年度科学技術週間
平成 23 年元旦
労働安全衛生総合研究所では、研究施設の一般
公開を次のとおり行います。
社団法人産業安全技術協会
会長 松井 英憲
<働く人の安全に関する研究施設公開>
・日時:平成23年4月20日(水)13:30∼16:30
(受付終了16:00)
注)この時間内で随時参加が可能です。
・場所:東京都清瀬市梅園1-4-6
労働安全衛生総合研究所(清瀬研究施設)
・申込み先:E-mail [email protected]
または FAX 042-491-7846
・問合せ先:TEL 042-491-4512(担当:高木、木村)
副会長 秋田 徹
副会長 神谷 明文
常務理事
(兼 技術指導部長) 本山 建雄
(兼 検定試験部長) 永石 治喜
認証部長 岩田 進
防爆電気担当部長
(兼 機械器具担当部長) 澤田 望
国際標準部長 林 年宏
他職員一同
<働く人の健康に関する研究施設公開>
・日時:平成23年4月24日(日)13:30∼16:30
(受付終了16:00)
注)この時間内で随時参加が可能です。
・場所:神奈川県川崎市多摩区長尾6-21-1
労働安全衛生総合研究所(登戸研究施設)
・申込み先:E-mail [email protected]
または FAX 044-865-6124
・問合せ先:TEL 044-865-6111(担当:篠原、小林)
詳細は、ホームページ
(h t t p : / / w w w . j n i o s h . g o . j p / a n n o u n c e /2011/
open11/)をご覧下さい。
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