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現状と課題
資料2 現状と課題 1.県の現状・課題 (1)安全・安心 (2)文化・観光 (3)くらし・環境 (4)経済・産業 2.新たな課題(東日本大震災) 3.整備が進む交通インフラ 1.県の現状・課題 (1)安心・安全分野 z東海地震に対する切迫性が増大している. →図1 z海岸沿いに交通ネットワークが発達しているが,交通が集中する薩埵峠は防災上のネックとなっている. →図2 z山間地や伊豆半島の緊急輸送路は,土砂災害や地すべりの危険性が高く,災害時において孤立集落が発生する可能性が 高い.→図3 z社会資本ストックが老朽化し、更新需要が増加している. →グラフ1 図1[東海地震の想定震度分布(静岡県第3次地震被害想定)] 図2[海岸沿いに発達する交通ネットワークの脆弱性] 防災面で課題の大きなサツタ峠 静岡県民380万人の 生活圏の大部分が 震度6強~震度7 震度7 131㎢ ( 2%) 震度6強 1,459㎢(19%) 震度6弱 5,739㎢(74%) 震度5強 386㎢ ( 5%) JR東海道本線 国道1号 東名 発災後数分で 静岡県沿岸に大津波 ・津波高は5mから10mに達する ・津波避難対象地区には 27万人が居住(人口の 7%) 図3[半島や中山間地における防災面での課題] 深層崩壊推定頻度マップ グラフ1[静岡県が管理する橋梁の耐用年数の超過率] 橋梁数をH22の数と想定 100% 80% 10年後 10年後 33% 61% 60% 84% 40% 67% 20% 39% 16% 耐用年数未満率 耐用年数超過率 0% 東海地震想定震源域 H22 H32 H42 3,135箇所 (H22末) 1.県の現状・課題 (2)文化・観光分野 z観光交流客数は横ばい,宿泊客数は減少傾向にある.→グラフ1 z静岡県の観光は,伊豆地域・富士山地域に特化しており,他地域の観光客が少ない.→グラフ2 z関東近隣の観光客が多く,遠方からの観光客が少ない.→グラフ3 z日本人の出国に比べ、外国人来訪者数の比率が低い. z駿河湾を運行するフェリーをはじめ、海上交通の利用者数や航路数が減少している. z各観光地での独自の動きが強く,特に県中部、西部地域では地域間の連携が進んでいない. z観光シーズンにおいて交通渋滞が顕著であり,多大な時間損失をこうむっている.→グラフ4 グラフ1[宿泊客数の推移] グラフ2[地域別観光交流数(平成21年度)] 地域別観光交流数(千人) 地域別宿泊客(千人) 万人 西北遠 -1,050万人 -38%減少 中東遠 (H3比) 12,131千人 県全体の70% 西駿河 奥大井 70,824千人 県全体の50% 駿河 富士 伊豆 資料:静岡県(平成21年度静岡県観光交流の動向) グラフ3[静岡県訪問客の居住地(平成21年度)] 近畿 4.3% 中部 その他 海外 静岡県を着地とする旅客流動 4.4% 0.6% 県内 遠距離 13.8% 9% 近距離 49% 県内 41% 41.3% 上位3都道府県で 全体の約8割を占める. 愛知県 東京都 1.5倍 +45,013台・海水浴客 ・観光等 18,011 17% 平均100,021台 神奈川県 28,284 27% 関東 35.6% グラフ4[伊豆スカイラインの月別交通量(平成21年度)] 静岡県 35,484 34% 資料:国土交通省(平成19-21年度貨物・旅客地域流動調査) 資料:静岡県道路公社概要(H22版)静岡県道路公社 1.県の現状・課題 (3)くらし・環境分野 z静岡の推定人口は,2010年ごろをピークに減少傾向に転じ,特に遠州北部や伊豆半島の中山間地では,人口減少が著しい. z中山間地域や伊豆半島では,高齢化が進み,都市部との格差が広がっている. →グラフ1,図1 z公共サービス施設が減少・集約化され,サービス提供に地域的な偏りがみられる.例えば,無医地区は,中山間地域や伊豆半島 に集中している. →図2 z都市部に交通渋滞が集中している(通過交通の混在による都市交通への影響) z自動車の分担率が高い中で,3セク鉄道・バスなどの公共交通の取り巻く環境は厳しい状況にある. →グラフ2 z県内の二酸化炭素の全排出量に占める運輸部門の構成比は24%(H19)であり、自家用車と貨物自動車が大半である。 グラフ1[静岡県の推定人口] 2035年 推計値 図1[人口増減率(2030年)] 35% 高齢者人口 生産年齢人口 人口増減率(%) = 24% 横浜市 静岡市 県庁所在地 資料:平成17年まで総務省統計局「国勢調査」 推計値は国立社会保障・人口問題研究所「都道府県別将来推計人口」(平成19年5月推計) 資料:国立社会保障・人口問題研究所「都道府県別将来推計人口」(平成19年5月推計) 静岡県の無医地区・ 準無医地区の推移 グラフ2[路線バスの廃止系統数] ■無医地区 ■準無医地区 無医地区:医療機関のない地域で、中心的な場所を起点として、概ね4km の区域内に50 人以上が居住している地区であって、か つ容易に医療機関を利用することができない地区としている。 資料:静岡県(第11 次へき地保健医療計画) -累計 ■市町自主運行路線 ■事業者路線 系統数 ヘリポートがあるSA・PA ヘリポートの無いSA・PA へき地市町(全部) へき地市町(一部) 無医地区 準無医地区 2000年市町人口 (% ) 120 110 100 90 80 70 60 50 年少人口 図2[県内の無医地区] 甲府市 2030年推定人口 資料:静岡県(ふじのくに総合交通計画資料編) 年度 18 1.県の現状・課題 (4)経済・産業分野 z古くから東海道に沿って人・物・文化の交流が進み,この地の利を活かし,三大都市圏に次ぐ地域力を生み出してきた.→表1 z温暖な気候を活かし,付加価値の高い多彩な農林水産品が大都市に向けて出荷しているとともに,静岡空港により海外への 出荷を可能としている.→グラフ1 z静岡の経済・産業を支える交通基盤は,全国の交通ネットワークの進展により,地理的優位性が低下している. z近年経済成長が著しい中国など東アジアを中心とする海外との厳しい競争環境下にある.→グラフ2 z県内発着の外貿コンテナ貨物の県内港湾利用率は6割程度であり、取扱量は横ばいである. z近年アジアとの結びつきが強くなっている. →グラフ3 表1[静岡県の地域経済指標] グラフ1[静岡空港を発地とする航空貨物の推移] 380万人 全国10位 (平成21年) 県内総生産 16兆9,275億円 全国10位 (平成19年) 一人当たり 県民所得 3,384千円 全国3位 (平成19年) 19兆1,777億円 全国3位 (平成20年) 人口 製造品出荷額 グラフ2[各国の名目GDPの推移] 大都市の間にある 静岡県は古くから 東海道に沿って 交通インフラが整備 H22.10より 国際貨物の 取扱が開始 t 東海道の宿場数 22宿/53宿 東海道新幹線 6駅/17駅 東名・名神高速道路 185km/539km グラフ4[強まるアジアとの結びつき] 地域別海外事業所等(H20) 中南米 8.9% オセアニア その他 0.7% 1.5% 中国 31.4% ヨーロッパ 12.6% 全体数 1,285 北米 13.9% 資料:静岡県総合計画富国有徳の理想郷“ふじのくに”のグランドデザイン 参考資料 その他の アジア 9.4% 箇所 アジア 66.0% アセアン 25.2% 地域別構成(外貿輸出量)[清水港] 2.新たな課題(東日本大震災) 東日本大震災からの教訓 ● 海路・陸路,空路による交通モード連携の必要性 ● 迅速な地域の復旧・復興における道路啓開の意義→図1 ● ● ● ● ● ● 広域的視点からの道路啓開の実施 複数の中継地からの物資搬送の実施→図2 鉄道の代替輸送機関としてのバスの機動性→図3 道路の副次的な防災機能の発揮→図4 防災拠点としての道の駅の位置付け→図5 管理者間の情報の共有化と民間による情報提供の多様化→図6 ● ライフライン、エネルギーの到達経路の確保 東海地震に対する切迫性の増大 ● 海側を中心とする産業立地への懸念 ● 東海・南海・東南海の三連動地震への対応 図1[くしの歯作戦による道路啓開 第1ステップ 第2ステップ 第3ステップ 気仙沼市 [3/12~3/24] 24 便 合計22路線651便の 臨時便が運行 新千歳 33 便 54 便 青森 32 花巻 便 34 山形 便 34 34 便 168 便 4 号 号 号 4 太平洋 陸前高田市 45 号 釜石市 東北道・ 国道 宮古市 太平洋 東北道・ 国道 太平洋 東北道・ 国道 4 国道 久慈市 大船渡市 図2[国内線の臨時便運行状況] 福島 70 便 48 南三陸市 便 便 羽田 石巻市 東北道,国道4号 横軸ラインを確保 国道45号は震災7 日後までに97%が 縦軸ラインを確保 通行可能 伊丹 中部 静岡 ※便数の多い上位10路線を表示 (資料:国土交通省) JAL ANA AIR DO 図3[鉄道代替バスの運行状況] 図4[道路の副次的な防災機能] 瓦礫の進入防止として機能 一次避難地として機能 がれきの流入防止 仙台東部道路 校舎2階と 国道45号を 繋ぐ避難階段 図5[防災拠点として機能した道の駅] 道の駅「津山」 (宮城県登米市:R45) 自衛隊の前進基地 ホテル客が避難 道の駅「ひらた」 (福島県平田村:R49) 水,電源を無料提供.避 難所に食料を提供 図6[情報の共有化への課題] カーナビでの誤った経路表示事例 市道で落橋により通行できない区間 (VICSで表示されない※) 直轄国道通行止区間 (VICSで表示されている) 3.整備が進む交通インフラ [短期(~2012年(~平成24年))] z新東名高速道路の県内区間が開通し、東西軸が強化されるとともに、駿河湾港(清水港、御前崎港、田子の浦港)の機能が強 化される。 富士山静岡空港 供用開始 3エプロン整備 [H24.3 ] 予定 運用時間延長 13時間へ 新東名高速道路 県内開通 御殿場JCT 東名高速道路 東西軸の強化 東海道新幹線 県内区間で供用開始 田子の浦港 引佐JCT 清水港 清水港 第2バース[H25年度 ] 新東名高速道路 金谷御前崎連絡道路 御前崎港 クレーン整備 田子の浦港 航路・泊地完了 御前崎港 供用開始予定 港機能の強化 第5回交通ネットワークビジョン検討委員会 3.整備が進む交通インフラ [中期(~2020年(~平成32年))] z新東名が全線開通し、大都市間を結ぶ東西軸が強化されるとともに、南北地域を結ぶ地域高規格道路が概成し、広域的な交通 網が整備される。 北信地域まで ヒンターランド化 地域高規格道路 中部横断自動車道 三遠南信自動車道 伊豆縦貫自動車道 長野県 長野 中部横断自動車道 三遠南信自動車道 三遠南進自動車道 岐阜県 南北軸の強化 山梨 名古屋 新東名高速道路 清水立体 新東名高速道路 全線開通 神奈川県 新東名高速道路 伊豆縦貫自動車道 愛知県 山梨県 東京 東海道新幹線 金谷御前崎連絡道路 東西軸の強化 東名高速道路 伊豆 第5回交通ネットワークビジョン検討委員会 3.整備が進む交通インフラ [長期(~2027年(~平成39年))] z東京-名古屋間を結ぶ中央新幹線の開通が予定されており、それに伴い、東海道新幹線は短中距離旅客を中心に新たな運用 や活用が期待される。 北陸新幹線 中央新幹線開通 一部区間[H39予定] 上越新幹線 東北新幹線 “高速”東西軸 中央自動車道 三遠南信自動車道 東海道新幹線の 新たな運用・活用 中央新幹線 新東名高速道路 地域密着型 “新”東西軸 東名高速道路 第5回交通ネットワークビジョン検討委員会 工程表 3.整備が進む交通インフラ 2013(H25)~2020(H32) ~2012(H24) 東名 全線供用 高速道路間接続 新東名 2021(H33)~2027(H39) 静岡県内 中部横断 三遠南信 中央道~上信越道間 引佐JCT~鳳来IC 中央道まで全線供用 伊豆中央道・修善寺道路 鳳来IC~中央道間 東駿河湾環状道路 伊豆縦貫 修善寺~下田間 静岡空港 空港~国道1号間連絡 空港~東名間連絡 空港~新東名間連絡 R473(菊川IC~金谷IC) 連絡道路 R473(空港~東名) R473(倉沢IC~菊川IC) 東海道新幹線 中央新幹線との連絡 中央新幹線 中央新幹線 中部横断:中央道まで全線供用 三遠南信:鳳来IC~中央道間 連絡道路 航路・泊地 新興津第2バース岸壁 田子の浦港 新興津港埠頭 清水港 中部横断:中央道まで全線供用 連絡道路 コンテナクレーン 御前崎港 御前崎港~東名間連絡 御前崎港~国道1号間連絡 連絡道路 R473(菅山・大沢立体) R473(倉沢IC~菊川IC) 中央道~上信越道間 第2バース 御前崎港~新東名間連絡 R473(菊川IC~金谷IC) 検討委員意見 (1)安心・安全分野 z 静岡で想定される地震は直下型であり,東日本大震災時に防災機能を担った盛土構造物は被災する恐れがある.また,津波に ついても震源が都市と近接するため,直後に到来する.この時,交通ネットワークは何ができるのか,緻密な検討が必要がある z 日本全体の交通マップを見ながら大きな視野の中で考えていく必要がある.その際には,他県で起った災害に対し,静岡のネット ワークがどのような役割が担えるか,といった視点(繋がっていることの意味)が重要である z 非常時において空港の役割は極めて高い.これは,他県が災害にあった時のバックアップ機能としても重要である.空港と鉄道は 繋がっていなければならない. z 交通途絶(孤立集落)とならないよう,陸上のみならず,空路や海路による交通ネットワークを確保していく必要がある. z 歴史的つながりのある地域,地縁を支えるネットワークを考えることも重要である. z リダンダンシーを確保した幹線ネットワークはもとより,それらの支線が有機的に連絡することが不可欠であり,これにより最大限 の効果が発揮される. z 交通ネットワークの整備に合せ,それぞれの機能分担や性能目標を明確にし,それが達成できるようなネットワーク整備を行って いく必要がある. z ガソリンや電気・ガス・上下水道などライフラインネットワークの視点にも着眼し,交通ネットワークを検討していくことも重要である. z 道路は,非常時を想定し余裕ある幅を用意しておくことが重要である. z 東日本大震災の教訓から,道の駅やSA・PA等の拠点を防災拠点として整備し,周知していくことが重要である. z 災害時に観光客を観光客を守ることが観光復興の第一歩であり,そのためにも正確な情報の収集や連絡など情報ネットワークの 整備が必要である. 検討委員意見 (2)文化・観光分野 z 長期滞在型を目指す必要があり,観光周遊範囲を拡大させ,遠方からの旅行者を増加させる必要がある.その際には,静岡空港 を利用するツアーを考える必要があり,周遊観光地までのアクセスルートの整備が重要となる. z 東海道の歴史や産業観光,自然観光など多様な観光資源を活かしていく必要がある. z 川・海・山・文化・産業など地域特長ある拠点を,「ストーリー」を持った「道」(例えば,多様な食を結ぶ「道」など)で結び,点在する観 光拠点を1つのツーリズムとして新しい魅力を創造することが可能となる. z 例えば,由布院のように,他県を含め周辺地域がそれぞれの特長を活かしながら連携することで大きな魅力を引き出すことが可 能となる. z 静岡は早くから交通網が整備され,努力せず人や物の流れが作られてきた.今後は,中央新幹線の活用をはじめ,通過交通を滞 S 留させ,流れを引き込む努力が必要である. z 観光客は,往路と復路は異なったルートを選択し,往路はゆっくり,復路は速さを求めるため,その意味からも複数モードによる多 S 重ネットワークの整備が重要である. z 観光ネットワークは,多様なモードを前提とするものであり,乗り継ぎ先の交通情報が過不足なく提供されるなど,観光地の情報と シームレスな総合交通情報を細部にわたり提供し,行動範囲の広がりと観光地としての魅力を高めることが必要である. z 静岡には,東海道53次の面影を残す風景が残されている. z 静岡の観光資源として,素晴らしい自然環境を体感でき,景観にも優れた心地よい移動空間を形成していく必要がある. z SA・PA,道の駅を「地域と来訪者を結ぶ交流の接点」や「地域の防災拠点」とするなど,地域づくりのための多目的拠点として活用 S していく必要がある. 検討委員会意見 (3)くらし・環境分野 z 新東名ができると東名の通過交通が転換する.即ち,現東名の役割が変わることになるので,それを踏まえ,交通ネットワークを 検討する必要がある. z 通過交通の存在が交通まちづくりのネックであったが,新東名によって大きな転換を向える.新東名が開通すると,交通転換に よって都市内道路に余裕が生まれる.これによって,バス,LRTなどの公共交通,自転車,歩行者など都市内交通に特化した道路 空間の再配分が可能となる. z 中央新幹線ができて仮にのぞみが止まることになったとしても,迂回をしてでも静岡に訪れたくなるならないと意味はない.そのた めには,静岡に来ようとする魅力を持たせるとともに,交通ネットワークの魅力もアップさせることが重要である. z 中央新幹線ができた段階で,空港駅はつくるべきである.その際,新幹線の中でチェックイン等の手続きができれば空港での待ち 時間が節約でき,例えば神奈川県の人にとっては実質的に羽田・成田に勝てる可能性が出てくるのではないか. z 医療のネットワークが喫緊の課題であり,道路ネットワークと連携していく必要がある.総合病院があっても医師が不足していると いったアンバランスも生じている. z 静岡はドクターヘリの保有数が多く,他県での救助実績も多い.このような素地を活かし,県内のみならず全国のサポートとしての 役割を考えていくべきである. z 中山間地域→都市部から都市部→中山間地に志向を転換し,都市と中山間地域が共存できる地域社会を育んでいく必要がある. z SA・PA,道の駅を「地域と来訪者を結ぶ交流の接点」や「地域の防災拠点」とするなど,地域づくりのための多目的拠点として活用 していく必要がある. z 少子高齢化社会の中で,誰もが移動しやすい環境を整えるなど,量的拡大から質的転換を重視した交通ネットワークのあり方を 議論していく必要がある z 交通ネットワークを維持するためには,行政の管理・運営だけでは難しいのではないか.その際には,地域の特長や実情に根差し た地域の活動として,地域に浸透させていくことも重要なポイントとなる. 検討委員会意見 (4)経済・産業分野 z 南北方向の交通ネットワークの整備は,山梨や長野だけでなく,日本海側や首都圏を挟で北関東などとの連携強化にも繋がる. 交通ネットワークが可能にする交通圏域の広がりを戦略的に考えることも重要である. z 中国など大陸に向けた物流を考えた場合,速さからは日本海側の港の方が有利である.つまり,三遠南信を飯田まででなく日本 海までのルートとして考える必要がある. z 新東名は規格が高く振動が少ないため,非常に質の高いサービスの提供が可能となる.物流の質に着目して交通ネットワークを 考える必要がある. z 静岡の将来を考える上で,新東名IC周辺の活用を考えることが重要である.新東名IC周辺は都市計画区域外にあることから,都 市計画による位置付けを明確にして,土地利用コントロールをしていくことが重要である. z これからは,工場などの企業立地のみならず,国内物流拠点として静岡の地理的条件や交通ネットワークを活かしていく必要であ る. z 物流は「流れ」だけではなく,「物を溜める」ことにも着目する必要がある. z 静岡空港や清水港等の港など交通ネットワークの整備は,静岡の産業面で大きな流れの変化を引き起こす可能性がある. z 陸海空が繋がってはじめて機能することを前提とした議論が必要である. z SA・PAに物流センターを併設することで高速道路を乗降せずに荷物運搬が可能となる.このようなシステムは物流センター立地 のインセンティブとなり,静岡県の物流戦略の一端を担うものと期待される z 今の車両は高度情報化され,走行位置や運転行動が管理されるとともに,緻密なルートの選び方により物が運ばれ,人が動いて いる.即ち,交通ネットワークに「情報のみち」としての付加価値を付けていく必要がある.