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数学Ⅰ 三角比の相互関係
数学Ⅰ テレビ学習メモ 講師:赤 岩 辰 巳 第 3 章 三角比 三角比の相互関係 第 28 回 今回学ぶこと 今回は三平方の定理を利用して三角比相互の関係を 2 つ導きます。これ らの関係を利用すれば1つの三角比の値からほかの 2 つの三角比の値を求 めることができます。三角比の値を 2 乗した値が出てきますので,最後に √をつけることを忘れないようにしましょう。また,分数の計算が多く出て きます。間違えないように計算していきましょう。 学習のポイント ①サイン・コサイン・タンジェント 相互の関係 ② 2 つの関係式 ③ 90° − A の三角比 POINT 1 ▼ サイン・コサイン・タンジェント 相互の関係 図 1 のように∠Cが 90°の直角三角形 ABC があって,sinA = 1 とす 2 図1 斜辺 2 るとき,cosA と tanA の値を求めることができるか,考えてみましょう。 sinA = 1 ということは,3 つの辺の長さの比が,1:2: 3 となります。 2 このことからこの直角三角形は図 2 のような 30°,60°,90°の直角三角 形となりますので cosA = 3 2 ,tanA = 1 3 B A B 2 A 60° 1 30° 3 − 113 − C 底辺 図2 と求めることができます。 対辺 1 C 高校講座・学習メモ 数学Ⅰ 三角比の相互関係 sinA の値しかわかっていなくても,cosA と tanA の値を求めることができましたね。 このように,sinA,cosA,tanA のどれか 1 つの値がわかれば,ほかの 2 つの値も求め ることができます。 2つの関係式 POINT 2 右図の直角三角形 ABC で sinA = a b ,cosA = なので a = c sinA,b = c cosA とな c c ります。 B 一方,三平方の定理から辺 a と b と c の関係は a2 + b2 = c2 でした。 c この式に a = c sinA,b = c cosA を代入すると 2 2 a 2 (c sinA) + (c cosA) = c A 整理して,c2(sinA)2+c2(cosA)2=c2 C b 両辺をc2 でわると (sinA)2 + (cosA)2 = 1 となり,(sinA)2 = sin2A,(cosA)2 = cos2A と表すことに すれば, sin2A + cos2A = 1 が成り立ちます。 ▼ また,tanA = tanA = a ですから,この式に a = c sinA,b = c cosA を代入すると b a c sinA sinA = = という式を導くことができます。 b c cosA cosA 三角比の相互関係 sin2A + cos2A = 1, tanA = sinA cosA 非常に大切な公式です。必ず覚えて使えるようにしてください。サインやコサインの 2 乗の書き方にも注意してください。 − 114 − 高校講座・学習メモ 数学Ⅰ 三角比の相互関係 B 例題 1 2 のとき,sinA,tanA の値を求めなさい。 3 cosA = 3 A 答えと考え方 C 2 sin2A + cos2A = 1 を用いて,sinA の値から求めます。 cosA = 2 を sin2A + cos2A = 1 に代入すると 3 sin2A + ( ) 2 ( ) 2 3 = 2 3 2 = 1 4 4 5 ですから,これを移項して,sin2A = 1 − = 9 9 9 sinA > 0 なので sinA = 次に tanA = ▼ tanA = 5 5 = となります。 9 3 sinA を用いて tanA の値を求めます。 cosA 5 2 5 3 5 sinA = sinA ÷ cosA = ÷ = × = 3 3 3 2 2 cosA 例題 2 sinA = B 3 のとき,sinA,tanA の値を求めなさい。 5 A 答えと考え方 2 5 3 C 2 sin A + cos A = 1 を用いて,cosA の値から求めます。 − 115 − 高校講座・学習メモ 数学Ⅰ sinA = 2 ( ) 3 5 三角比の相互関係 3 を sin2A + cos2A = 1 に代入すると 5 = + cos2A = 1 9 9 16 ですから,これを移項して,cos2A = 1 − = 25 25 25 cosA > 0 なので cosA = 次に tanA = tanA = 2 ( ) 3 5 16 4 = となります。 25 5 sinA を用いて tanA の値を求めます。 cosA 3 4 3 5 3 sinA = sinA ÷ cosA = ÷ = × = 5 5 5 4 4 cosA POINT 3 90°-A の三角比 右図の直角三角形 ABC で,sinA = B b a ,cosA = でした。 c c では,sinB と cosB の値はどうなるでしょうか。 右下の図から,sinB = c a b a ,cosB = となります。 c c したがって,sinB = cosA,cosB = sinA が成り立ちます。 ▼ ところで,C = 90°ですから,A + B = 90°。 A C b A すなわち,B = 90°- A となります。 以上のことから, 90°- A の三角比 c b sin(90° − A) = cosA,cos(90°− A) = sinA が成り立つことがわかります。 この公式は,サインをコサインで,コサインをサインで 表すときに用います。 − 116 − B a C 高校講座・学習メモ 数学Ⅰ 三角比の相互関係 例題 sin75° を 45° 以下の角の三角比で表しなさい。 答えと考え方 sin(90° − A) = cosA を用います。 75° = 90° − 15°ですから,sin75°= sin(90°− 15°) = cos15°となります。 ▼ − 117 − 高校講座・学習メモ