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数学Ⅰ 三角形の面積
数学Ⅰ テレビ学習メモ 講師:祖 慶 良 謙 第 3 章 三角比 三角形の面積 第 29 回 今回学ぶこと 今までに学んできた三角比をつかって三角形の面積を求めます。三角形の 面積は「(底辺)×(高さ)÷ 2」で求めることができました。今回はその 式を三角比で書き換えます。2 辺の長さとその間の角のサインで,三角形の 面積を表す公式を導きます。その公式を用いて,いろいろな三角形の面積を 求めます。 学習のポイント ①三角形の面積の求め方 ②三角比を使って面積を求める ③三角形の面積の公式 POINT 1 ▼ 三角形の面積の求め方 早速ですが,次の△ ABC の面積 S を求めてみましょう。 C 三角形の面積 S は「(底辺)×(高さ)÷ 2」で求めることができ ました。 (底辺)= AB = 10 (高さ)= 8 8 1 S = × 10 × 8 = 40 2 A 10 − 118 − B 高校講座・学習メモ 数学Ⅰ 三角形の面積 三角比を使って面積を求める POINT 2 さて,右図の△ ABC の面積 S を求めてみましょう。 C 三角形の面積は「(底辺)×(高さ)÷ 2」ですが, 底辺と高さがわかりません。そのかわり斜辺の長さと A = 60°がわかっています。さら 4 に,△ ABC は直角三角形ですから三角比が使えます。 { { AB AB = (底辺)= AB = 4 × cos60° CA 4 よって BC BC sinA = sin60°= = (高さ)= BC = 4 × sin60° CA 4 cosA = cos60°= { { 1 (底辺)= AB = 4 × 2 ここで だから 3 sin60°= (高さ)= BC = 4 × 2 cos60°= したがって S = 60° A B 1 = 2 2 3 = 2 3 2 1 1 × AB × BC = × 2 × 2 3 = 2 3 2 2 ▼ 今度は,次の△ ABC の面積 S を求めてみましょう。 C △ ABC は直角三角形ではないので,CB =(高さ)ではありません。このま までは,三角比を使うことができません。 8 わかっているのは,2 つ辺の長さとその間の角の大きさです。 底辺は AB ですから 5 とわかっています。 問題は「高さ」です。次ページの図のように頂点 C から辺 AB に垂直な線分 CH を引いてみると,これが「高さ」になります。 − 119 − 60° A B 5 高校講座・学習メモ 数学Ⅰ 三角形の面積 △ AHC は直角三角形となるから,三角比が使えます。∠ A に着目してみましょう。 sinA = sin60°= CH CH = CA 8 つまり (高さ)= CH = 8 × sin60°= 8 × したがって S = C 8 3 = 4 3 2 1 1 × AB × CH = × 5 × 4 3 = 10 3 2 2 60° A 5 三角形の面積の公式 POINT 3 C 角の大きさを A,B,C と大文字で,辺の長さを a,b,c と小文字 C で表わします。また,角と辺は対応するようにします。つまり,頂点 a b A の対辺の長さは a,頂点 B の対辺の長さは b,頂点 C の対辺の長さ は c と約束します。 A C ▼ a B c B C b H c C C A B A いよいよ「三角形の面積の公式」をつくっていきましょう。 A B H H' b B A c 頂点 C から対辺 AB に垂直な線分 CH を引きます。S = 直角三角形 AHC に注目すると sinA = CH b B A a B 1 × c × CH ……① 2 つまり CH = b sinA ……………② − 120 − 高校講座・学習メモ 数学Ⅰ 三角形の面積 ①,②より S = 1 bc sinA ……(イ) 2 今度は,直角三角形 BHC に注目すると sinB = ①,③より S = CH つまり CH = a sinB ……③ a 1 ca sinB ……(ロ) 2 さらに,頂点 A から対辺 BC に垂直な線分 AH' を引きます。 △ ABC = 1 × a × AH' ……④ 2 直角三角形 AH' C に注目すると sinC = ④,⑤より S = AH' つまり AH' = b sinC ……⑤ b 1 ab sinC ……(ハ) 2 ということは,(イ),(ロ),(ハ)を 1 つにまとめると S = 1 1 1 bc sinA = ca sinB = ab sinC 2 2 2 これで,三角形の面積の公式ができあがりました。 ▼ すべて 「( 三角形の面積 ) = 1 × (2 辺の積 ) × (2 辺の間の角のサイン )」 となっています。 2 これは, 「2 辺の長さとその間の角の大きさがわかれば面積を求めることができる」ことを 示しています。最後に,三角形の面積の公式をあらためて見てみましょう。 今回の学習で次の公式が得られました。 S = 1 bc sinA を次のように見てみましょう。 2 } } S = c × b sinA ÷ 2 底辺 高さ これは,みなさんの知っている三角形の面積の公式「底辺×高さ÷ 2」と,なんら変わ らないことがわかります。 − 121 − 高校講座・学習メモ