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国際機関の人事制度

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国際機関の人事制度
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国際機関の人事制度
横山, 和子
經濟學研究 = ECONOMIC STUDIES, 44(3): 33-46
1994-12
DOI
Doc URL
http://hdl.handle.net/2115/31973
Right
Type
bulletin
Additional
Information
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Information
44(3)_P33-46.pdf
Instructions for use
Hokkaido University Collection of Scholarly and Academic Papers : HUSCAP
経済学研究
北海道大学
4
4
3
1
9
9
4
.
1
2
国際機関の人事制度
横山和子
一ーはじめに
国際機関(
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)とは
一般に国際連合をはじめ,運営資金が加盟各国
日本では近年国際貢献についての関心が非常
に高まっている。今や日本は援助大国であり,
ODA(政府間開発援助)は 1
9
9
1年以降金額のう
えで世界第 1位の地位を占め, 1
9
9
3年には 1
1
2
億
により負担され,多国間の共通の利益のために
設立された機関を意味する。
周知のように国際連合は次の 6つの主要機関
から構成されている。
6
千万ドルに達し,全世界の ODA
総額の 1
/
5を占
総会
9
9
5年
めるまでになっている。そして,日本の 1
安全保障理事会
9
9
7年までの国際連合通常予算の分担金割
から 1
一経済社会理事会
2.45%から 15.55%に増加するよう
合は従前の 1
一国際司法裁判所
勧告が出されている。
一信託統治理事会
このように日本の国際社会での責任,役割は
事務局
増大しているにもかかわらず,国際レベルで開発
この下に,総会により設立された下部機関と
援助に従事できる専門家や,国際機関に勤務す
して国連児童基金 (UNICEF),国連開発計画
る日本人職員の数はまだ少ない。特に後者につ
(UNDP) , 国 連 難 民 高 等 弁 務 官 事 務 所
いては,その数が他の先進国出身の職員に比べ
(UNHCR)などの機関が存在する。また,国際
て極めて少ないことが問題となっている。その
連 合 と は 別 に 国 連 食 糧 農 業 機 関 (FAO),世
一つの原因は各国際機関の具体的役割,活動状
2の 専 門 機 関
界 保 健 機 関 (WHO)な ど の 1
況,そこに働く職員が具体的に仕事をどのよう
(
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dAgency)がある。これらの専門機
な条件の下で行っているかなどが日本国内で十
関はそれぞれ独自の条約に基づき設立されてお
分に知られていないことにあるように思われる。
り,法律的には独立の存在であるが国際連合と
国際機関の人事制度は国連憲章に彊われる平
7
0の国籍の職員に当て
等と公平さの原則を約 1
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pAgreement)を締結
は関係協定 (
し密接な協力関係を保っている。
はめた制度であり,職員の国籍,勤務地,担当
国際機関の大多数は職務分類,職員の任命,
分野が多様なことから,勤務地の多くを自国外
給与,その他の勤務条件について同ーの制度を
にもつ多国籍企業の人事制度よりも複雑なもの
採用している。すなわち,職員は同一勤務地で
となっている。
同種の仕事に就いている場合,所属機関が異な
本稿は国際機関の人事制度について紹介しよ
うとするものである。
っていても,同ーの給与,同ーの待遇を受ける。
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この制度は国連システム (
CommonS
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)と呼ばれている。
1.国際機関及び国連システム
国連システムの分類法は使用目的によりわず
かづっ異なるが,本稿では後述する国際人事委
3
4(
2
2
6
)
4
4
3
経済学研究
表 l 国連システム内の 2
7国連機関
I 国際連合
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) UN:国際連合※
(
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] 国際司法裁判所
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ICSC:国際人事委員会
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) 園連総会によって設立された機関(国連下部機関)
UNDP :1
調達開発計画
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UNHCR 国連難民高等弁務官事務所
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UNICEF:国連児童基金
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UNRWA:国連ノ f
レスチナ難民救済事業機関
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:
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世界食糧計画
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IMO
国際海事機関
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国際電機通信連合
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UNESCO:国連教育科学文化機関
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UNIDO 国連工業開発機関
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万国郵便連合
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世界知的所有権機関
WIPO
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WMO
世界気象機関
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2 専門機関
GATT
関税及び貿易に関する一般協定
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IAEA
国際原子力機関
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国際高等技術職業訓練センター
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2 専門機関
FAO 国連食糧農業機関
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ICAO:国連民間航空機関
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IFAD:国際農業開発基金
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ILO 国際労働機関
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ITC
国際貿易センター
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汎アメリカ保健機関
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UNITAR:国連訓練調査研究所
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)
※国際連合内の主要機関、地域委員会、その他の委員会を含む。
員会(ICSC:I
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eCom-
国連システム内の下では,契約期間が 1年以
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s
s
i
o
n
)が採用している分類法を使用する。こ
上の職員が国際公務員として認定されている。
の分類法による国連システム内の 2
7
機関を表 1
雇用期聞が 1年未満のコンサルタントや短期雇
に示したが,この中には,世界銀行グループ,
用者は正規の国際公務員とみなされていない九
すなわち国際復興開発銀行 (IBRD),国際開発
協会(第 2世界銀行, IDA),国際金融公社
(1)職員数
(
I
F
C
),及び国際通貨基金(IMF)は入っていな
国連システムに所属する 2
7の機関に雇用され
い。これらは専門機関ではあるが職員の給与,
る正規の職員数は,行政調整委員会 (
ACC:
その他の勤務条件に関し他の機関とは異なる独
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自の基準を適用しているからである。
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n
)の諮問を受け国連行財政問題諮問委員会
(CCAQ)がまとめた 1
9
9
2年 1
2月末現在の統計に
2
. 国際公務員の概要
国連システムに働く国際公務員の概要につい
て以下に記述する。
1)目的によっては 1年未満の契約で雇用されたコンサ
ルタント,短期雇用者を職員に含めることもあるが,
本稿では国際人事委員会(ICSC)により定義され,国
際機関人事で使用されている定義を用いる。
国際機関の人事制度横山
1994.12
表 2 国連システム内の職員数
機関名
専門/上級職
1
9
9
2年 1
2月3
1日現在
一般事務職
4,
9
2
9
1,
7
6
3
1
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1,
2,
0
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1,
5
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2
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2,
9
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8
1,
7
1
4
1
0,
0
5
3
合計
1
8,
5
6
9
3
4,
4
9
6
5
3,
0
6
5
1
9
9
2年 1
2月3
1日現在
表 3 職員の男女比率
専門/上級職
合計
UN
UNDP
UNICEF
FAO
WHO
UNESCO
ILO
UNIDO
その他 1
9
機関
35(227)
一般事務職
女性
女性
男性
男性
1
5,
5
0
0
6
3
0
4,
(25%)
1
3,
9
3
9
(75%)
(45%)
1
8,
9
9
6
(55%)
3
4,
4
9
6
(65%)
1
8,
5
6
9
(35%)
5
3,
0
6
5
(
100%)
出所:PersonnelStatistics
ACC/1993/PER/R.16
出所:PersonnelStatistics
ACC/1993/PER/R.
1
6
て,プロジェクト・ベースで採用されるフィール
よると 5万人を越える九これを機関別,職員別
のカテゴリーに属する専門家で契約期間が 1年
に示すと表 2の通りである。
表 2からわかるように,最も職員数が多い機
関は国際連合(約 1万 4千人)であり
ド専門家と呼ばれる職員がいる。本稿では,こ
2番目に
国際連合の下部機関の一つである UNDP(
約7
以上である場合には専門職以上の職員とみなし
た
。
表 2及び表 3が示すように,国連システム内
千 2百人),次いで、専門機関の FAO(
約 5千 5百
に働く専門職以上の職員の数は 1万 8千余人で
人)である。
あり,全職員数の 35%を占める。一方,一般事
活動に従事している
なお,この統計には PKO
務職員数は 3万 4千余人であり,全体の 65%を
文民職員は含まれているが,軍事部門に勤務す
占める。専門職以上の職員と一般事務職員の比
る者は含まれない。
率は機関により多少ぱらつきがあるが,だいた
い 1:2程度である。
(
2
) 職員の分類(専門/上級職員と一般事務
職員)
職員は専門職以上と一般事務職に大別される。
(
3
) 等級 (Grade)及びステップ
表 4に国連システム内での専門職以上の職員
P
1から P-5まで)と上級職 (
D
前者は専門職 (
の等級別人数を示した。これら職員の平均等級
1,
D-2,
A S G,
U S G,
SG)に分けられる。一般事
-4であり,全体の 27%を占める。次に P-5が
はP
務職員は現地採用,専門職以上は国際的採用が
原則となっている。
専門職以上の職員は,専門知識や経験を有し
表 4 国連システム内での専門/上級職の等級分布
および性別内訳
各機関事務局で管理・監督を行い,あるいは専門
的業務を遂行する者である。一般事務職員とは,
専門職員の下で事務を担当する者で,秘書,タ
イピスト,庶務係,運転手などの職種に就く者
である。
なお,開発途上国への技術援助の専門家とし
2
) 本稿で使われている統計は国連行財政問題諮問委員
会 (CCAQ)が ま と め た PersonnelS
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c
s(ACC/
1993/PER/R
.16)から算出した。データは 1992年 12
月31日現在のものである。
人数
1
9
9
2年 1
2月3
1日現在
性別内訳
割合
各等級での女
(%)
男性
女性
性比率(%)
U
G
(
局長以上)
1
2
8
2
6
2
7
2
1
1
3
2
1
5
9
4
2
4
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5
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0
2
2,
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7
1
1,
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1
7
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1
0
2
5
9
3
1,
2
2
8
1,
3
8
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1,
0
6
4
2
1
4
5
7
7
1
2
2
4
3
6
4
5
4
8
合計
1
8,
5
6
9 100% 1
3,
9
3
9
4,
6
3
0
25%
1
6
7
D-2(部長)
4
5
8
4
7
7
D-l(部次長) 1,
P-5(課長)
4,
7
4
8
P-4(係長)
5,
0
3
0
P-3
3,
8
5
8
P-2
2,
3
8
1
P-l
4
5
0
出所:Personn巴1Statistics
ACC/1993/PER/R.
1
6
3
6(
2
2
8
)
4
4
3
経済学研究
ほぽP
4と同人数で,全体の 26%を占める。これ
職員の職務遂行能力が不十分と認められる場
0
ら 2つの等級の職員で専門職以上の全職員の 5
合には,職員が試用期間中であればその期間を
%以上を占めている。
8ヵ月まで機関は延長することができる。
最高 1
3までのステップ
給与に関して各等級は最高 1
また,試周期聞が過ぎた後,職務成績が要求水
に細分される。職員は通常,勤続年数が 1年増
準に満たない場合には,機関は (
3
),-等級および
すごとに一つ上のステップの給与を受ける。日
ステップ」の項で述べた年次昇給(ステップの増
本の定期昇給制度と同じと考えるとよい。
加)の停止措置を講ずることができる。
一方,一般事務職員については,等級は通常
G
1から G
7に分かれ,それぞれ1
2から 1
5のステ
ップに細分される。平均等級は G
4である。
(
6
) 定年
国連システム内のほとんどの機関では 6
0才を
定年退職年齢と定めている。早期退職の制度も
(4)学歴/職歴
5
才以上の長期勤続者には早期から
設けられ, 5
専門職以上の職員になるためには少なくとも
第二の人生を選択できる優遇策も用意されてい
大学卒の資格が必要であり,実際には修士号ま
たは博士号の学歴を要求されることが多い。職
る
。
また,専門機関の FAOは以前から定年を 6
2才
4
(最も職員数の多い等級)の
歴については, P
としているが,国連システム全体でも年金制度
場合には 8年以上(博士号保持者は 6年以上),
9
9
0年 1月 1日以降採用され
の改定に合わせ, 1
P
5の場合には 1
5
年以上(博士号保持者は 1
1年
0才から 6
2才に引き上
た職員については定年を 6
以上)の専門分野での職歴が必要とされるのが
げている。
一般的である。応募基準年齢は一般に P
4の場
6
才から 4
0
才
, P
5が4
1
才から 5
0才とされ
合は 3
(7)国籍
ている。
7
機関に勤務する専
表 5に国連システム内の 2
コンピュータ・プログラマーや,財務担当者の
ように実績が高く評価される分野のポストに関
しては,学歴よりも実務経験の方が重視され,
必ずしも修士号を要求されない。
表 5 専門/上級職職員 (P-1から SG) の
上位出身国名
国
名
米国
フランス
イギリス
(
5
) 雇用・契約形態
ドイツ
国際機関での雇用はすべて契約に基づく。通
カナダ
イタリア
F
i
x
e
d
常,職員は当初 2年間の期限付き契約 (
オランダ
TermC
o
n
t
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c
t
)を機関と結ぶ。 2年間のうち最
旧ソ連邦
初の 1年間は試周期間とされる。
職員は職務記述書 (
P
o
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c
r
i
p
t
i
o
n
)に記載
されている任務を遂行することを求められる。
日本
インド
ベルギー
スウェーデン
スペイン
職務を適切に遂行した場合には契約が更新され
エジプト
る
。
スイス
期限付き契約を数度更新した後,はじめて定
d
e
f
i
年までの勤続を保証する終身雇用契約(In
o
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)
n
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t,あるいは C
に切り替わる。
1
9
9
2
年1
2月3
1日現在
人
数
1,
8
8
0
1
.
2
4
0
1
.
1
0
7
6
8
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3
3
8
2
6
5
2
4
9
2
3
4
割合(%)
1
0
7
6
4
3
3
3
3
3
2
2
2
1
l
1
上位 15ヵ国
9
.
7
6
9
53%
全専門職職員
1
8
.
5
6
9
100%
出所:P
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ACC/1993/PER/R.
1
6
1
9
9
4
.
1
2
国際機関の人事制度横山
3
7(
2
2
9
)
門職以上の職員数を国籍別に示した。それぞれ
よる混乱を防ぐためいくつかの言語を公用語
の機関の担当分野および業務・事業内容により
(
O
f
f
i
c
i
a
l Language)または常用語 (Working
職員が特定の国籍に偏る場合(たとえばWIPO
Language)に指定している。
あるいは GATT)もあるが,全体としては 1万
公用語は国連総会あるいは国際会議で使用が
8千余人の職員は 1
6
9ヵ国からの出身者により
認められている言語である。国際機関の総会,
構成されている。
理事会,各種の委員会で作成される議事録はそ
この表は上位 3ヵ国(米国,フランス,イギリ
の機関で承認されている公用語に翻訳される。
ス)出身者が専門職員以上の全職員の 23%を占
国際連合においては,アラビア語,中国語,英
めることを示している。これは,まず,国連シ
語,フランス語,ロシア語,スペイン語の 6ヵ
Work.
ステム内の執務に通常使われる常用語 (
i
n
gLanguage)が英語およびフランス語である
国語が公用語として承認されている。
こと,さらに,国際連合はもともと第二次世界
(
S
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t
)において実際に職員が日常業務
大戦後に戦勝国である連合国が中心となり設立
を行なう際使用する言語である。英語とフラン
された機関であり,主要幹部ポストにつく職員
ス語が指定されていることが多い。近年は英語
は伝統的に連合国から選出されてきたことと密
の使用比率が高くなってきているようである。
接に関連していると考えられる。
しかしながら,地域委員会のような一部の国際
一方,常用語は主として国際機関の事務局
機関では他の言語,たとえば,欧州経済委員会
(
8
) 勤務地
(EEC)ではロシア語,ラテンアメリカ・カリプ
7
3ヵ国,
国連システムに働く職員の勤務地は 1
経済委員会 (ECLAC)ではスペイン語,また,西
5
5
8の市町村にまたがる。
国際連合の本部があるニューヨークには 1
6の
アジア経済社会委員会(ESCWA)はアラビア語
が常用語として指定されている。職員は少なく
8
9
8
人の専門職以
機関の本部/事務所があり, 2,
とも lつの常用語に堪能でなければならないが,
上の職員を含む 7千余人の職員が働いている。
実際には 2つ以上の常用語を使って執務するよ
一方,ジュネーブには国際連合のヨーロツパ地
う要求されることが多い。
ILOなどの専門機関の
域事務所を始め, WHO,
本部など 1
8
機関の事務所があり, 3
,
4
2
7
人の専門
(
10
) 平均年齢
職職員を含む 8千 3百余人の職員が働いている。
専門職以上の職員の年齢分布を表 6に示した。
なお,専門職以上の職員に関しては自国外勤務
年齢の中心レンジは 4
5
才から 4
9
才と 5
0
才から 5
4
が原則となっている。
才でそれぞれ等しく 20%を占める。年齢のレン
日本国内には,東京に国連大学(
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)の本部のほか 7つの国際
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機関の事務所,横浜に国際熱帯木材機関 (
ジを 4
0
才から 5
9
才にまで広げると,専門職以上
2%を占めることになる。
の全職員の 7
全体として職員の高齢化がうかがわれる。組
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織を活性化させるためにも若手職員を積極的に
古屋に国連地域開発センター (
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採用・育成していく必要があるであろう。
C
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lDevelopment)がある。
(
1
1
) 男女比
(
9
) 公用語と常用語
. r女性職員」の項に譲るが,
詳細は後述の 6
加盟国で使用されている言語を数えると世界
9
9
2年
専門職以上のポストについている女性は 1
5
0
以上ある。国連システム内では,言語に
中で 1
,
6
3
0
人であり,全体の 25%を占めてい
末現在で4
る。すなわち,専門職以上の職員の 4人に 1人
3
8
(
2
3
0
)
経済学研究
表 6 国連システムに働く専門職/上位職職員の年齢分布
1
9
9
2年 1
2月3
1日現在
年
人
齢
6
5才以上
数
割合(%)
。
才未満
3
0
7
0
5
6
6
2,8
1
2
3,7
3
5
3,7
7
4
3,0
7
4
2,
2
0
7
1,6
6
3
6
6
8
3
1
5
2
0
2
0
1
7
1
2
9
4
全職員
1
8,5
6
9
100%
60~64
55~59
50~54
45~49
40~44
35~39
30~34
4
4
3
は通常 2年から 5年である。
政治的任命とは,主に管理職ポスト (D-1以
上)に機関の長により直接任命されることをい
う
。
キャリア組の職員の占める割合が圧倒的に高
いことはいうまでもない。しかし,機関の主要
担当分野の性質により,たとえば世界知的所有
権機関 (WIPO)や FAOのように政府からの出
向者の割合が比較的高い機関もある。
3
. 給与体系
出所:P
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ACC/1993/PER/R.
1
6
(1)専門職以上の職員
表 7 管理職に占める女性職員の割合
1
9
9
2
年1
2月3
1日現在
人数
(男性/女性)
UG
D-2
D-1
2,1
0
2
P-5
P-4
P-3
P-2
P-1
1
6,
4
6
7
合計
1
8,5
6
9
割合
(
%
)
11%
女性
1
4
4
各グループ
内での女性
比率(%)
7%
(i)ノーブルメイヤーの原則
国連機関に働く専門職職員の給与体系は 1
9
2
1
年にノーブノレメイヤー委員会(委員長,ノーブ、ル
メイヤー)が国際連盟総会に提出した給与案に
基づいている 3)。これはノーブワレメイヤーの原
則として広く知られている。その趣旨は,国際
89%
4,
4
8
6
27%
機関に働く職員の給与体系は世界中で最も高い
給与水準の国の公務員体系を基礎にすべきであ
100%
3
0
4,6
25%
出所:P
ersonn
巴1
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s
ACC/1993/PER/R.
1
6
る,というものである。さらに,給与体系が各
勤務地での物価水準を考慮、に入れなければいけ
ないこと,海外勤務に伴う報酬を考慮に入れる
必要性があることを誼っている。
は女性であることを考えると,国連システムは
このノーブノレメイヤーの原則は 1
9
4
5
年に国際
女性に開かれた職場であるといえる。しかしな
連合が設立された際にも引き継がれた。そして,
D-1以上)
がら,表 7に見られるように上級職 (
当時世界で最も給与水準が高いとされた米国の
に占める女性の比率は,着実に改善されてきて
連邦政府の制度に基づいて国連システムの給与
はいるが, 7%と依然として低いレベルにとどま
っている。
(
12
) キャリア組,政府出向組,政治的任命
キャリア組と呼ばれる職員は国際機関に採用
された後,長期にわたり継続勤務し,国連シス
テム内でキャリアを形成することを目指す人々
である。
政府出向組とは加盟国の関係省庁等より期間
を区切り国際機関に派遣される者である。期間
3
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1
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4
.
1
2
国際機関の人事制度横山
3
9
(
2
31
)
体系が整えられた。しかし,現在では,諸般の
したと報告している 5)。このように国連システ
事情から米国連邦政府の給与水準が民間に比べ
ムの給与水準はもはや先進工業国の私企業レベ
て非常に低く抑えられており他の先進国と比べ
ルと比較するときわめて見劣りするものとなっ
ても見劣りがすること,国連システムの給与と
ている。国連システムの将来を考える上でも,
の比較の方法に問題があることなどから,ノー
ノーブツレメイヤーの原則の現実的適用を真剣に
ブルメイヤーの原則が現実の給与体系の中にも
考慮する必要があろう。
はや正しく反映されていないと批判されている。
(iii)給与の主要内訳
(i)実際の給与額
専門職職員の給与はドル立てで計算され,通
国際公務員は一体どの程度の給与を受け取っ
ているのであろうか。国際連合,主要専門機関
常,職員の希望する 1つまたは 2つの通貨で支
払われる。給与の主要内訳は次の通りである。
の本部に勤務する職員の手取り年間給与額は以
下の通りである。代表例として,等級P-4,ステ
ップ3,家族は配偶者及び子供 2人の場合を 1994
基本給 (BasicSalary)
これには税込み額と手取り額の区別がある。
年 5月 1日現在のデータを使用して計算した 4)。
国際機関に働く専門職職員は,受け取る給与に
1ドルは 1
0
0円とした。
ついて直接税金を支払うべき固を持たない。し
かし,これらの職員は,自国に居住していたら
ニューヨーク
7
0,
760ドル (
7,
076,
000円)
当然支払うであろう税金を支払わないで、いるこ
ジュネーブ
87,
1
0
5ドル (
8,
710,
500円)
とになる。この不都合を解消するため,基本給
ノてンコック
6
5,
625ドル (
6,
562,
500円)
与の一定の割合を職員課徴金 (
S
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s
e
s
s
-
ローマ
6
2,
440ドル (
6,
244,
000円)
ment)という形で徴収し,職員の母国の政府に
ノf
リ
7
3,
500ドル (
7,
350,
000円)
払い戻している。この職員課徴金を差し引いた
ウィーン
7
4,
772ドル (
7,
477,
200円)
ものが手取り給与額である。職員課徴金の額は
職員が独身者か家族持ちかによって異なるが,
上記給与は(ii
i
)で説明する基本給手取り額,と地
P-4ステップ 3の家族持ちの場合で基本給の約
域調整給を加えた金額である。このほかに,要
30%に達する。
件を満たす者には教育補助金,家賃補助金が支
給される。なお,上記の額から年金の掛金(基本
P
o
s
tAdjustment)
地域調整給 (
給の約 8%)及び健康保険の掛金が控除される。
これは各勤務地での生活水準を平準化させる
.(4)で述べたような
現実的に上記給与額は, 2
ための手当てである。各勤務地で生活に必要と
2つ以上の常用語で執務で
される基礎費用,その地の生活水準,その他関
きるなどの条件を満たす優秀な先進国出身の人
係費用項目に関して,毎月発表される統計に基
材を引きつけるだけ魅力を持っていない。国連
づいて計算される。
学歴/職歴を有し
人事委員会(ICSC)は1985年 1月から 1991年 1
月までの 6年聞に,国際連合および専門機関の
転勤/僻地手当 (Mobility/Hardship
本部に勤務する職員の購買力は平均約 13%低下
Allowance)
4
) 外務省総合外交政策局国際社会協力部国連政策課国
際機関人事センター(編) q
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第233号(1 994年 5 月),
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5
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(
2
3
2
)
4
43
経済学研究
これは職員聞のローテーションを促進させる
ため,僻地(1から 4までのレベルがある)に転
四
利用することができることとして
いる機関もある。
勤する者,転勤を高い頻度でー行っている者に支
払われる手当である。
(
2
) 一般事務職員
(
i
v) 付加給付
一般事務職員は一部の語学関係職員を除き現
主要付加給付として,教育補助金,家賃補助
金,休暇,年金,健康保険などがある。
地採用されており,給与は現地通貨で支払われ
る。このカテゴリーの職員の給与は市場調査な
どを通じ,現地の一流企業で同種の仕事に携わ
教育補助金:大学教育を終了する迄の教育費に
る職員の給与と比較し同等のレベルに設定され
5才までの子供 1名当たり
ついて 2
ている。このため,一般事務職員の給与水準は
,
7
5
0ドルの補助金が支
年額最高 9
一般に高いレベルにあり,ジュネーブなど都市
払われる。例外的に,より高額の
によっては専門職以上の職員の給与に迫るとこ
枠が定められている地域もある。
ろもあって問題となっている。
家賃補助金:住宅供給が不足している勤務地で
一般事務職員の主要付加給付として,専門職
の高額の家賃の支払いを助けるた
カテゴリーと同様,有給休暇,年金,健康保険
め,要件を満たす場合には家賃補
がある。そのほかに,機関が実施する語学試験
助金が支給される。
有給休暇
年金
に合格した一般事務職員に語学手当吋ま支給さ
0日(1ヵ月 2
.
5日)の有給休
:年間 3
れる。第 1語学手当(勤務に際し 2つの公用語を
暇が与えられる。加えて,年間 8
使用できる場合)は勤務地がニューヨークの場
日から 1
0日間程度の祝祭日が各機
合年間 1,
0
0
0ドル,ローマでは年間 1
5
2万リラ(約
関,勤務地ごとに設けられている。
1
0万円)程度である。さらにもう一つの公用語の
:原則として
5年以上の勤続者に
対して 1年当たり年金基準給与額
試験に合格した者には,第 2語学手当として第
1語学手当の 50%が支払われる。
の1.75%に 相 当 す る 額 が 6
2才
(
19
8
9年以前に採用された職員に
4, 採 用 地 域 分 配
0
才)以後に支給される。
ついては 6
基本給与の 24%が年金資金のため
1
/
特に専門職職員の採用に際しての特徴は(1)加
3の 8 %を本人が負担し, 2
/
3の1
6
盟国からの分担金額と職員数との聞に相関関係
%を機関が拠出する。
2
)世界中から広く公平な立場
を持たせること, (
に拠出されている。このうち,
健康保険
国連システムの事務局に勤務する国際公務員,
:各機関がそれぞれの保険会社と契
約しており,治療費等の 8割ない
で優秀な人材を採用することである。
0
1条川こ記載されて
上記の特徴は,国連憲章 1
し 9割が保険でカバーされる。保
険料の半額以上を機関が負担する
のが普通である。被保険者は世界
中本人の好む場所で治療を受ける
ことができる。また年金受給者に
ついては,退職後も掛け金を支払
うことにより健康保険を継続して
6
) 国際機関で要求される語学能力については拙稿「国
際機関における語学能力基準について J~東洋女子短
期大学紀要」第 2
3号 (
1
9
9
1年3月)を参照されたい。
7
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9
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.
1
2
4
1(
2
3
3
)
国際機関の人事制度横山
いる,専門職職員をできるだけ地域的に偏るこ
に対して, D-2
以上のポストの場合には,機関の
となく,原則として分担金に応じた割合で職員
トップにより直接任命される場合が多い。
を採用するという方針が反映された結果である。
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この方針は地域分配(
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参考まで吃, P
の空席公告を表 8に示した。
t
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n
)と呼ばれでいる。
地域分配の対象となるポストや各加盟国出身
5
. 職務分類
の適正職員数の計算方法は機関によって異なる。
700ポストを
国際連合8)の1992年の場合には, 2,
基準配分ポスト数 (
b
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)と定め(1)人口
(5%
)
,
(
2
)加盟国 (40%), (
3
)分担金 (55%)の
3つの要素に配分し各加盟国の適正職員数が決
9
定される。 WH0
の場合には基準配分ポスト数
)
600ポストとし,国際連合の場合と同様に加
を1,
国際連合をはじめ,国連システムに属する 2
7
機関はそれぞれ担当する分野を異にしているが,
システム内での整合性を保つため,職務分類,
職員の任命,給与,その他の勤務条件について
同ーの制度を採用している。
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)
採用後,職員は職務記述書(JobD
盟国への均等配分,分担金率,人口の 3つの要
に記載されている任務を遂行するよう求められ
素を基に望ましい職員数を算定している。
るが,この記述書に示されている職名,等級,
採用に際しては,できる限り能力の秀でた人
職務内容等の決定に当たっては,共通職務分析
材を選考するべく空席公告 (VacancyAnn
o
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-
基準 (
Master S
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),及び共通職種分類
ment)を各加盟国政府,著名大学・研究所,図書
(CCOG: Common C
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館などに配布し,公募している。ポストによっ
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lGroup)が広く用いられている。前者は公
ては,主要新聞,専門ジャーナノレ等に空席広告
平な尺度により各職務の難易度を測定するため
を掲載することもある。
のものであり,後者は職種を共通の尺度により
空席ポストに応募した者についてはまず,書
分類するためのものである。職務分析において
類審査が行われる。その後,関係者による審査
は,該当するポストの職務は以下に示す 6つの
S
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tL
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t
)が作成さ
が行われ選抜候補者名簿 (
要素に分類,評価される。各要素にはそれぞれ
れる。このリストに残った応募者の資格,適性,
ポイントが割り当てられ,それらのポイントを
学歴,国籍,性,などが面接結果と共に考慮,
合計することによりポストに対応する等級が決
審議され採用予定者が決定される。
定される。
なお,選考および事務手続きには相当の期間
を要しており,公募締切りから着任までに半年
から 1年程度かかるのが通例となっている。
機関ないし職種により異なるが, P
-lから P
5
,または D-lまでのポストは一般に空席公告の
対象となり上記の手続きによって選考されるの
要素 1:専門的知識:理論的知識対実務経
験
要素 2:仕事の難易度:個人の能力対仕事
の複雑さ
要素 3:仕事の独立性:ガイドラインの有
無対上司の指導必要度
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.
8
)外務省総合外交政策局国際社会協力部国連政策課国
際機関人事センター(編) r
地理的配分に基づく各国
別の望ましい職員数について』外務省, 1
9
9
3年7月
,
1
3頁
。
9
)同4
5頁
。
要素 4 :仕事全体との関係:スキ lレ対内容,
問題の重要度
要素 5 :監督能力:監督する専門職職員数
対監督する補助職職員数
要素 6 :仕事のインパクト:仕事の効果,
結果対失敗による影響の大きさ
経済学研究
42(234)
表 8 空席広告例
4
4
3
EconomicaffairsOfficer,
P-3.
U凶t
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VACANCYANNOUNCEMENTNUMBER
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94-E-ESC-040-BA
16MAY1994
POSTTITLEANDLEVEL
ECONOMICAFFAIRSOFFICER,P-3
UNE-24330-E-P-3-001
BANGKOK
INDUSTRYSECTION
ESCAP/UNIDODIVISIONOFINDUSTRY,HUMANSETTLEMENTS
ANDENVIRONMENT
ECONOMICANDSOCIALCOMMISSION FORASIAAND
THEPACIFIC(ESCAPI
盟主工出血竪旦
旦旺工 STATIO型
ORGANIZATIONALUNIT
INDICATIVEMINIMUMNETANNUAL
REMUNERATION
340 Withoutdependants
US$ 42,
313 Withdependants
US$ 45,
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自主主♀盟主
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: 66-2-281-4508(Pe
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r66-e-282・9602(ESCAPI
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NANYCORRESPONDENCE
94-16247
たとえば要素 1の場合,理論的知識の必要度
そして,該当する職務についてそれぞれの必要
が横軸に,実務経験の必要度が縦軸にとられる。
度の組み合わせを選択することによりポイント
1
9
9
4
.
1
2
4
3
(
2
3
5
)
国際機関の人事制度横山
が与えられる。同様の手続きを要素 6まで続け
合,所属機関が異なっても,同ーの給与,向ー
各要素のポイントを合計し,その合計を等級の
の待遇が保証されるわけである。以よのような
対照表と比較し,等級が決定される。この方法
国連システム内の職務分類,給与,その他の勤
により,各ポストの職務遂行難易度が測定,評
務条件など人事問題を審議,決定,勧告する機
価,決定される。
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関として国際人事委員会 (
国連システム内で使われている職務分析基準
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) になって
は 3層構造 (
C
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eCommission)が国際連合の総会
下部機関の 1っとして設けられている。
おり,上記MasterStandardはT
ier1と呼ばれ
i
e
r1
1は各等級毎に典
ている。第 2グループの T
6
. 女性職員
型的な職務例を挙げたり,どのように Master
Standardが適用されるかを主要職種別に記述
表 9に見られるように,国連システム内に働
i
e
r1
1の職務基準は組織
したものである。この T
9
9
2年末現在で4,
6
3
0人
く専門職以上の女性は 1
内の各種の職務に意味のある区別を与えたり,
おり,全体の 25%を占めている。その割合を機
同様の職務を他の機関で遂行する際にそれと対
関別に見ると, UNが28%,UNICEFは34%,
応する等級を決定するために使用される。第 3
UNHCRは32%,UNESCOでは 28%とかなりの
グループの T
ierI
I
Iは機関別に法律専門家,コン
数の女性が組織の柱となって働いていることが
ピュータ・プログラマーなど特定の職種分野に
分かる。 FAOの15%,ILOの23%,IAEAの14%
つき職務内容を詳説するものである。
等,機関の業務の性質により女性の進出の割合
一方, CCOGは,国連システム内に存在する職
が低い機関もあるが,日本社会と比較するとは
名をコード化し,主要職名の定義を定めること
るかに高い比率で女性が国際機関に雇用されて
により,職務の内容を明確化させ,かつ,機関
いることがわかる。女性職員数を増加させるた
内あるいは機関聞の人材活用・交流を促進させ
め、国連総会は 1
9
9
0年に事務局に勤務する女性
ることを目的とする職種分類である。まず,職
P
lから P-5) を1
9
9
5年迄に 35%
専門職職員 (
種は専門性,管理能力,技術力を必要とするグ
に、上級ポスト (
D
l以上)に就く女性職員を
ループ(専門職)と,専門性をそれ程必要としな
25%にまで引き上げる努力をする決議を採択し
いグループ(一般事務職)とに大きく分類されて
いる。各グループは職務の性質によりサブ・グル
ープに分けられる。そのサブ・グループはさらに
細分化され,主要職種名に分類されている。た
3
とえば専門職では,行政分野,経済分野など 2
のサブグループに分類されている。そして,経
済分野のサブ・グループは農業経済専門家,開発
経済専門家,計量経済学者などの具体的職名に
分類され,各職名の定義が明記されている。こ
のCCOGのコードは,職員の配置,配置換え,ポ
ストの統廃合などの際に利用される。
上記のような方法により,国連システム内の
全てのポストは,その難易度,特質などが共通
の尺度で分類,評価されている。その結果,職
員は同一勤務地で同程度の仕事に就いている場
表 9 専門/上級職のポストにある女性職員数と比率
1
9
9
2年1
2月3
1日現在
機関名
UN
UNDP
UNICEF
UNHCR
WHO
FAO
l
L
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UNESCO
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IAEA
その他 1
7
機関
合計
女性職員数
全職員数
専門/上級職 専門/上級職
1
,
3
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2
4
0
8
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0
出所:P
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ACC/1993/PER/R.
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6
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7
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,
6
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5
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比率
%
2
8
3
2
3
4
3
2
2
4
1
5
2
3
2
8
2
0
1
4
2
0
2
5
%
4
4(
2
3
6
)
4
4
3
経済学研究
た川。将来的には専門職以上の女性の比率を 5
0
ることがないよう就業規則に明記され,かつ実
%に引き上げる方針が打ち出されている。実際,
行されている。また,機関によっては託児所を
国連システム内で 1
9
9
1年と 9
2年の 2年間で約
設けているところもある。
4
0
0人の女性が専門職以上のポストに採用され
女性職員を増やす方策のーっとして,空席公
た。このことは国連システムが女性の地位を向
告に女性の応募を歓迎する旨記したり,候補者
上させるために積極的態度をとっていることの
が同ーの資格を有する場合には女性の採用を優
現れである。
先するという原則を明記している機関もある。
組織の意思決定に携わる D レベル以上の管理
しかし,基本的に重要なことは,トップ・マネー
職ポストに就いている女性の割合は表 7に示す
ジメントが女性を長期的に雇用し,男性と同様
ように,同連システム内で 7%と依然として低
に処遇しようという意識をもっていることであ
い。また、同連事務局に働く女性管理職職員を
ろう。
25%にまでヨ l
き上げようとする努力目標が 1
9
9
5
年迄に実現される可能性はほとんどない。しか
7
. 日本人職員
し、管理職に就く女性職員の比率が近年改善さ
れてきていることは統計の上でも明らかである。
国連システム内の 2
7国際機関には 1
9
9
2年末現
女性職員のための制度としては,産前産後合
5
5
人の日本人職員が勤務している。その内
在
, 5
計 4ヵ月(16
週間)の出産休暇があり,この期間
訳は専門職および上級職員が4
6
7
人,一般事務職
100%の給与が保障されている。この休暇期間中
員が8
8人である。専門職以上の職員についてい
.
5日の有給休暇が別に付与さ
にも 1月につき 2
6
7
人の全体に占める割合は 3
うと,日本人職員 4
れる。それ故,過去の有給休暇分と上記出産休
%に過ぎない。さらに,この 4
6
7人の中には日本
暇を組み合わせると職場復帰まで数か月間出
政府が費用を負担するジュニア・プロブエショ
産・育児に専念することができる。さらに,職場
ナJレ・オフィサー(JP
O
)が含まれているから,こ
復帰時には以前のポストに戻れる先任権制度が
7国際機関に勤務する
れを差し引くと,実際に 2
完全に保証されている。昇進は出産により遅れ
6
6人となり,全体に占める比率も
正規職員数は 3
当然低下する。
前述の 4
.r
採用一地域分配」で述べたとお
表1
0 適性日本人職員数と実際の職員数
適性とされる日本人職員数
機関名
上限
国際連合
下限
実際の日本人
職員数
1
6
5
8
9
I
L
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(
1
9
9
3
.
6
.
3
0
)
7
0
5
2
1
5
UNESCO
(
19
9
3
.1.1)
6
3
3
8
2
2
1
3
0
9
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3
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WHO
(
19
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2
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9
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3
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)
国出身職員の比率はその加盟国の分担金に相当
程度反映する建前となっている。しかし,日本
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2
3
(
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.
3
0)
り,各機関の専門職以上の職員に占める各加盟
の場合は主要国際機関に対して 12%から 15%程
度の分担金を拠出しているにもかかわらず,日
出所地理的配分に基づく各国別の望ましい職員数について」
外務省人事センター
1
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3年 7月
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) 第4
5回 国 連 総 会 決 議 4
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月
18 日 ~12 月 21 日)
本人職員の全体に占める比率は極めて低いもの
となっている。
表1
0に
4つの機関について地域分配に基づ
く日本人職員の適正な人数枠の上限と下限,及
び実際の日本人職員数を示した。
日本の国際機関への高い分担金割合に比べて
日本人職員が少ない理由として,国際連合が第
2次世界大戦後,連合国が中心となって設立さ
れた組織であるなど歴史的背景が考えられるが,
1
9
9
4
.
1
2
4
5
(
2
3
7
)
国際機関の人事制度横山
これとは別に日本人職員の国際機関への雇用を
妨げる要因として以下のことが考えられよう。
一言語の問題。
一給与面の問題。
3)横山和子「国連システムと日本人職員 J W季刊行政
管理研究~
No.4
9
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1
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9
0年 3月)
4)団代空「人事行政J W国連を改造する』世界の動き
9
8
6年
。
社
, 1
一子供の教育の問題。
雇用形態の違い。
一採用に際しての資格及び要件の問題。
上記要因の詳細と日本人職員を増やすための
方策については拙稿「国連システムと日本人職
員 Jll)を参照されたい。
<著書・編著>
1)国連日本人職員会有志の会,外務省国際機関人事
センター,国連日本政府代表部(編) W国連職員へ
の道」世界の動き社, 1
9
9
3年
。
2)グローパ Jレ・リンク・マネージメント(株)編『国際
9
9
2年
。
公務員を目指す留学と就職』アルク, 1
一一結び
3)外務省大臣官房国内広報課(編) W国連と日本」世
界の動き社, 1
9
9
0年
。
筆者は本稿で人事面からみた国際機関に光を
当ててみた。国連システムの人事制度は,国連
4)緒方貞子『国連からの視点』朝日イーブニングニ
9
8
0年
。
ユース社, 1
憲章に彊われる平等と公平さの大原則を 169も
5)河辺一郎『国連と日本』岩波書居, 1
9
9
4年
。
の国籍にわたる職員に当てはめた制度である。
6)国際連合広報センター編・監修『国際連合の基礎
それは,職員の国籍,勤務地,担当分野が多様
9
8
9年
。
知識』世界の動き社, 1
なことから非常に複雑なものとなっており,ま
た,運用面での非効率性や政治性があることな
(
2
) 英文文献
ど問題も多く存在する。しかしながら,プラス
<論文>
の面,マイナスの面を含めその特質を知ること
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に重要なことと考える。
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)
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研究科国内客員研究員としての研究成果をまとめ
たものである。
<著書・編著>
1) Reymond
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(
1
) 邦文文献
<論文>
1)横山和子「国際機関における語学能力基準につい
東洋女子短期大学紀要」第 2
3号(19
9
1年 3
てJ W
月
)
。
2)横山和子「国際機関で働くために J W世界』第 5
7
7
号(19
9
3年 1月
)
。
1
1
)拙稿「国連システムと日本人職員 J W季刊行政管理研
究~
N0.
49(
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0年 3
月
)
, 47-50
頁
。
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(ACC),
(
3
) 資料
1)外務省総合外交政策局国際社会協力部国連行政
課国際機関人事センター(編)r
主要国際機関の日
本人職員名簿(19
9
4年 1月現在 )
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4年
。
1992 (ACC/1993/PER/R
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), New York
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2)外務省総合外交政策局国際社会協力部国連行政
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く各国別の望ましい職員数について』外務省,
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