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金融リスクソリューション

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金融リスクソリューション
三菱総研グループニュース
S o l u ti o n
Re s e a rc h
C o n s u l ti n g
金融リスクソリューション
リテール分野におけるバーゼルII規制対応と金融リスク管理の高度化
2006年3月から始まった、新しい自己資本比率規制であるバーゼルII規制は、内部格付けなど金融機関の独自のリスク管理の方
法を認める代わりに、
その正しさについて規制当局への説明が求められています。そのためには、
リスクに関するデータの収集、高度
なデータベース構築技術とデータ分析能力が必要となります。
STEP
1
STEP
2
プロトタイプ用環境
懸案事項に対する取り組み方針決定
予備計算用環境
本番計算用環境
予備計算と当局対応
予備計算と当局対応
リテールの
取組範囲
格付モデル
選択
分析結果
プール区分
PD/LGD/EAD
検証結果
検定結果
DB監査
疎明資料
データの範囲と
品質の見極め
お客様ポートでの
現行とCRITSの
比較検証
クロスセク
ション分析
パラメータ
推計モデル
統計的
検証・検定
DB構築
情報
プロトタイプDB
お客様
加工・クレンジング処理
データ取込処理
データ取込処理
SAS環境
SAS環境
(三菱総研Iまたは
お客様)
(三菱総研)
格付
モデル
定常運用
バーゼルII対応システム
予備計算用DB
機
能
拡
張
加工・クレンジング処理
予備計算用環境の
一部を新システムに
組み込み
既存システム
から
データ収集
格付
モデル
既存システム
から
データ収集
予備計算用環境を
そのまま
定常運用環境に移行
SAS環境
(三菱総研Iまたは
お客様)
バーゼルII規制に対応したリスク計測環境の構築 資料:三菱総合研究所
やリスク管理能力の高さを市場に
ドライバーとなる要因系のデータに
PR できる絶好の機会を得ることと
ついては、分析できる形でデータ化
なりました。
されていないケースがほとんどです。
また、データ取得期間の問題も見過
トの計算において各金融機関のオリ
リテール分野における
バーゼルII規制で必要となるもの
ジナルな方法を認めることで、リス
しかし、一方で金融機関が正しく
占おうとすれば、必然的に景気循環
ク管理の高度化を促進させるインセ
リスク量を計測するということには
を上回る長期間の分析データが必要
ンティブが導入されました。これは、
大きな困難が待ち受けています。そ
となりますが、こうしたデータを蓄
従来アセットの種類に応じて一律同
れは素材(データ)が必ずしも良く
積できているケースは極めて希な状
程度と見なされていたリスクについ
ない(質が均一ではない)ことです。
態と言えます。しかも、データの種
て、個別金融機関ごとのリスク計量
リスクを分析するために必要なデー
類によっては入力精度の問題もあり、
を認めるというものです。高度なリ
タは、多くの場合、金融機関あるい
これらのデータが“正しい”こと、
“網
スク管理がなされていれば、金融機
は関連会社を含めた至る所に分散さ
羅的である”ことを証明することは
関にとって自行の自己資本比率を高
れた形、またさまざまな形式(フォー
多大な労力と困難がつきまといます。
めるだけでなく、経済資本の合理性
マット)で蓄積されており、リスク
次にこれらの素材をどう料理する
バーゼルII規制は
リスク管理高度化の第一歩
バーゼル II 規制では、自己資本比
率計算の分母に当たるリスクアセッ
38
2008 02 三菱総研グループニュース
ごせません。リスクと景気の関係を
お問い合せ先
株式会社三菱総合研究所 金融ソリューション本部 金融リスク管理グループ 圷 雅博/奥村拓史
TEL:
03-6711-6893
FAX:
03-6711-6888
か。一般的に金融リスクの計量化に
は、次の 2 点が求められます。1)
顧客のリスク・収益計量
リスク計量モデルが統計的に有効で
データに基づいた
リスク─収益の最適化
あること。2)頑健性(安定性)が
データマイニング技術の活用
対処アクション実施
顧客の増加
デフォルトの減少
タイミングの良いアクションと
効果の確認スキーム
+
得られた知識の有効活用
+
利用の増加
あること。これらを証明するために、
収益増大
高度な統計的手法を駆使した分析を
行う訳ですが、それには統計的な知
基盤整備
識やノウハウはもちろんのこと、正
データの蓄積・保存
顧客の動態を精緻に把握
しく分析用データベースを構築する
データマイニング利用の基盤
スキルが必要となります。データベー
ス構築から分析に至る過程において
は多大な試行錯誤が発生します。試
ポスト・バーゼルII規制をにらんだ分析スキーム 資料:三菱総合研究所
行錯誤の理由として、1)データの
異常値・外れ値、2)仕様の曖昧さ、
スが構築されます。それによって恣
ていきます。テスト環境においても、
3)データの不整合、等々が考えら
意性を入れない客観的な分析が可能
データは網羅的に整備し、正しさや
れますが、都度それらを発見し原因
となります。バーゼル II 規制対応で
網羅性を確保する仕組みも併せて検
を特定した上でデータのクリーニン
はまさに、それが求められます。
討します。こうして、規制対応に沿っ
グを行うこととなります。そして、
たスキームと要件定義が整った後は、
データベースを再構築後、推定を行
リテール分野におけるバーゼルII
規制対応ソリューション
いその結果を確認する、といった作
こうした現状を踏まえて、当社金
業を繰り返すことになります。膨大
融ソリューション事業本部では、金
なデータをすべて分析対象とする以
融リスクの計量化に向けたソリュー
上、どうしてもイレギュラーなデータ
ションを提供しています。意外と認
バーゼル II 規制対応ソリューショ
や不整合なデータを取り扱わなけれ
識されていませんが、バーゼル II 規
ンは規制対応が目的ですが、金融リ
ばならなくなります。しかしながら、
制では、きちんとした(正しくかつ
スクの管理は単に規制に対応するだ
イレギュラーなデータや不整合なデー
網羅的な)データベースを構築し、
けでは意味がありません。蓄積され
タは統計的な分析には馴染まないた
それを運用していく環境と体制を整
たデータに基づいて、リスク・モニ
め、分析過程でさまざまな悪さを引
備することこそが重要です。
タリングを始めとして、初期与信と
金融機関のニーズに沿った形でさま
ざまなサービスを提供します。
ポスト・バーゼルII規制
き起こす要因となるのです。これら
リスク分析には多くの試行錯誤が
の融合等のリスク管理の高度化や、
のデータを吟味し、必要に応じて適
つきものであることから、まずは三
収益管理の精緻化などさまざまな形
切な処理を加えることで、分析に耐
菱総合研究所内部にテスト環境を構
で応用することが可能となりますし、
えうる正しくかつ網羅的なデータベー
築し、分析を進めながら要件をつめ
そうすることが求められています。
三菱総研グループニュース
2008 02 39
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