...

8(PDF:1510KB)

by user

on
Category: Documents
6

views

Report

Comments

Transcript

8(PDF:1510KB)
ロープ養殖による植食性魚類の食圧低減技術開発
1.目的
海藻を付加することによる食圧分散と海藻が入植しやすい状態に基質面を更新する技術開発を
行い、磯焼けから早期に藻場を回復させる手法を基礎的な情報を得る。
2.実施海域
実施海域を図1の太線内の範囲とする。
図1
実施海域
3.対象海藻種
対象海藻は、前児島がかつてはヤツマタモクが優占するガラモ場であったことから、ホンダワ
ラ類を中心に、水産有用種のクロメ・アラメ等を対象とする。
4.調査内容
(1)試験区域
前児島西側の海域で、藻場の分布調査結果より、海藻の生えているエリア(汀線~砂面境界)
までを、2 つの区域に分割し、ロープ養殖手法による食圧低減策の実証試験を実施する。
区域
対策工法
備考
実験A区
ロープ養殖+ウニ除去
実験B区
ウニ除去
対照区(2か所)
何もしない
※海底にウニ類が高密度で蝟集しているので、ロープ養殖の効果の発現を明確にするため、
ロープの設置前にウニ除去を実施する。
-89-
図2 実施海域(詳細)
(2)試験対策の概要
1)ロープ等による海藻育成(食圧分散)
植食動物の食圧を分散させるために、ロープ養殖の手法を用いた餌用海藻を供給し、藻場へ
の食圧を低減させる。
図3 ロープによる海藻育成(食圧分散)イメージ図
今年度実施するロープによる海藻取り付け量は次のとおり。
○ 海藻バンクの海藻プレート:50 枚
○ 冷蔵コンブ:10kg×2 回
○ アラメ・カジメ:50 本程度
2)ウニフェンスの製作設置とウニ除去
ウニ除去区へのウニの再侵入を防止するフェンスを敷設するとともに、高密度に生息するウ
ニ(ガンガゼなど)を除去して藻場への食圧を低減させる。
3)高圧水による磯掃除
潮間帯に付着するフジツボやカキ類を高圧水で払拭させ、海藻の着生を促進させる。
5.実施体制
本調査は、郷ノ浦漁協、長崎県、壱岐市の協力のもとに実施する。
-90-
6.スケジュール
全体工程
事前調査・準備
説明会
6月
7
8
9
10
11
12
1
2
3
○
○
○
ウニフェンス製作・設置
○
ウニ除去
○
ロープ養殖(コンブ・アラメ)
○
高圧水による磯掃除
○
○
アラメ・クロメ採苗・育苗
基質設置・種苗取付
○
モニタリング
○
○
○
7.調査結果(平成 22 年 12 月現在)
1)ロープ等による海藻育成(食圧分散)
9 月 29 日~10 月 4 日の間に、ロープ養殖の手法等を用いて海藻を調査海域に設置した。
○アラメ
珊瑚崎から採取したアラメ 50 株をロープに設置した。
図4 アラメのロープ吊り下げ
○冷蔵コンブ
壱岐東部漁協から購入した冷蔵コンブ 10 ㎏をロープに設置した。
図5 冷蔵コンブのロープ吊り下げ
-91-
○ホンダワラ類
海藻バンク(坪地区)から海藻プレート 50 枚を取り外し海底に設置した。
図6 海藻プレートの設置
2)ウニフェンスの製作設置とウニ除去
漁業者の協力を得ながら、実験区を仕切るウニフェンスを設置し、その中に生息するウニ類
の除去を行った。
ウニフェンスの敷設
ウニフェンスの製作
図7 ウニフェンスの製作設置とウニ除去
3)高圧水による磯掃除
潮間帯に付着するフジツボやカキ類を高圧水で払拭させ、海藻の着生を促進させる。
図8 高圧水による磯掃除
-92-
4)1 回目モニタリング(平成 22 年 10 月 14 日)
アラメのロープ(L=50m) 植食性魚類の食害
コンブのロープ(L=30m) コンブ流失 再設置(右)
海藻プレート 植食性魚類の食害
ウニフェンス
ウニ除去
ウニ除去数:24,387 個(10/3,10/14)
ガンガゼ、ムラサキウニ、ラッパウニ
-93-
① クロメロープの結果
表 1 設置時(10/2)
岸側
位置番号
1
2
3
4
52
34
51
42
子嚢斑の有無
-
+
-
+
喰痕の有無
-
-
-
-
全長
クロメ
(㎝)
アラメ
沖側
5
6
7
8
9
9
8
7
6
5
4
38
41
43
46
37
46
46
43
35
46
-
-
+
+
-
-
+
+
+
+
-
-
+
-
有 50%
+
+
-
-
-
-
-
-
-
-
+
+
-
-
有 22%
1
57
3
2
1
54
54
集計
平均 44 ㎝
40
平均 50 ㎝
表 2 12 日後(10/14)
岸側
位置番号
全長
クロメ
(㎝)
アラメ
1
2
3
4
×
S
S
S
沖側
5
6
7
8
9
9
8
7
6
5
4
3
2
S
52
20
46
S
43
41
42
S
46
S
56
+
-
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
S
42
子嚢斑の有無
喰痕の有無
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
位置番号
岸側
沖側
1
2
3
4
5
6
5
4
3
1
集計
長さ
55
64
117
144
100
118
111
115
123
109
平均 106 ㎝
枚数
1
1
1
1
1
8
5
3
3
1
平均
3枚
表 4 11 日後(10/14)
岸側
位置番号
沖側
1
2
3
4
5
6
5
4
3
1
集計
長さ
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
枚数
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
注)マコンブの長さは取付け部から先端までの長さである。 沖側2番は欠損。
③ ホンダワラ類(海藻プレート)
表 5 設置時(10/3)
位置番号
岸側
沖側
1
2
3
4
5
5
4
3
2
1
集計
最大全長(㎝)
38
40
32
44
36
34
35
46
44
33
平均 38 ㎝
ヤツマタモク
3
1
2
7
8
5
6
5
6
5
合計 48 本
トゲモク
1
ノコギリモク
個体数
4
1
マメタワラ
1
2
ホンダワラ
4
ホンダワラ属
1
3
3
3
合計 2 本
合計 20 本
1
合計 3 本
1
1
2
アラメ・クロメ幼体
1
1
合計 2 本
1
1
1
合計 5 本
1
合計 2 本
表 6 11 日後(10/14)
位置番号
岸側
沖側
1
2
3
4
5
5
4
3
2
1
集計
最大全長(㎝)
28
30
19
35
30
21
36
21
43
22
平均 29 ㎝
ヤツマタモク
2
1
2
6
6
5
5
5
6
5
合計 43 本
2
1
1
4
1
3
3
3
トゲモク
ノコギリモク
個体数
合計 18 本
マメタワラ
ホンダワラ
ホンダワラ属
アラメ・クロメ幼体
1
1
1
-94-
合計 1 本
合計 2 本
平均 21 ㎝
+
-
有 78%
+
+
有 100%
注)葉状部が残っているもののみ全長・子嚢斑の有無を測定した。×:流出、S:茎のみを示す。
全長は茎の最下部からの長さ。子嚢斑は少しでもあれば有とした。
② 冷凍コンブロープの結果
表 3 設置時(10/3)
集計
平均 22 ㎝
5)2回目モニタリング(平成 23 年 1 月 30-31 日)
クロメの種苗ロープづくり
種苗ロープの設置状況
対照区
実験区
海底の状況
-95-
6)3回目モニタリング(平成 23 年 3 月 10 日)
種苗ロープの設置状況
対照区
実験区
海底の状況
高圧洗浄機の基質面の刷新状況
-96-
表 7 魚類の出現状況
種名 区
ニシン目
ニシン科
キビナゴ
スズキ目
ハタ科
キジハタ
クエ
マハタ
テンジクダイ科
ネンブツダイ
クロホシイシモチ
オオスジイシモチ
メジナ科
メジナ※
イスズミ科
ノトイスズミ※
イサキ科
コロダイ
タイ科
マダイ
フエフキダイ科
イトフエフキ
キンチャクダイ科 キンチャクダイ
イシダイ科
イシダイ
イシガキダイ
スズメダイ科
スズメダイ
ソラスズメダイ
ベラ科
イラ
ホシササノハベラ
イトベラ
ホンソメワケベラ
カミナリベラ
ホンベラ
ブダイ科
ブダイ科※
イカナゴ科
イカナゴ
ニザダイ科
ニザダイ※
アイゴ科
アイゴ※
ハゼ科
ハナハゼ
ダテハゼ
クツワハゼ
アカオビシマハゼ
チャガラ
トラギス科
コウライトラギス
トラギス
イソギンポ科
ニジギンポ
タウエガジ科
ダイナンギンポ
カサゴ目
フサカサゴ科
カサゴ
ミノカサゴ
ハナミノカサゴ
ウバウオ目 ウバウオ科
ハシナガウバウオ
フグ目
カワハギ科
ヨソギ
カワハギ
ハコフグ科
ハコフグ
フグ科
キタマクラ
ハリセンボン科
ハリセンボン
出 現 種 数
10月3日
10月14日
r
r
3月10日
cc
r
r
cc
c
cc
r
c
r
r
c
r
cc
cc
r
c
c
r
c
c
cc
c
cc
r
c
c
cc
cc
c
r
r
c
r
c
c
r
c
cc
cc
r
c
c
r
c
cc
c
c
cc
r
c
c
r
c
c
r
r
r
c
r
r
c
c
r
34
注)観察された魚類の多寡は次の 3 段階で区分した。
cc:100 尾以上、c:10 尾以上 100 尾未満、r:10 尾未満。
網掛けは水産上有用種を、※は植食性種を示す。
-97-
1月31日
r
c
r
r
c
r
cc
r
c
r
r
r
r
r
29
r
r
9
r
10
Fly UP