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底生動物 - わかやま海域環境研究機構
∼ 干潟の生き物 ∼ 干潟の生き物 底生動物 干潟にすむ底生動物は、潮の満ち引きに耐えることができ、干潟に特化した生活をしていると いえます。和歌浦干潟で見ることのできる底生動物を平成 11 年度の調査結果(7月と9月)か ら紹介します。 ●和歌浦干潟の底生動物 和歌浦干潟では計 235 種類もの底生動物が出現しています。特に貝の仲間である軟体動物門 やカニやエビの仲間である節足動物門がたくさん生息していることが分かります。この中にはレ ッドデータブックなどにおいて記載のある「貴重種」と呼ばれるものが計 34 種類含まれていま す。貴重種とは、天然記念物や法律により制定された希少な野生動植物種、あるいはレッドデー タブックにある絶滅危惧種、危急種、希少種などの総称となっています。 また、貴重種と呼ばれる 34 種類のうち、さらにこの中の 7 種類が WWF のレッドデータブッ クにおいて「絶滅寸前」 (人為の影響の如何に関わらず、個体数が異常に減少し、放置すればやが て絶滅すると推定される種)にランク付けをされている種となっています。 和歌浦干潟の底生動物 No. 門 種類数 全体に占める割合※ (%) 備考 (代表的な種) 1 紐形動物 1 0.4 ― 2 軟体動物 108 46.0 ホソウミニナ、オキシジミ、アサリ 3 環形動物 25 10.6 ムギワラムシ、ゴカイ 4 星口動物 1 5 節足動物 90 6 触手動物 1 0.4 ― 7 棘皮動物 2 0.9 サンショウウニ、ムラサキウニ 8 原索動物 1 0.4 ― 9 海綿動物 2 0.9 ダイダイイソカイメン 10 刺胞動物 3 1.3 ニンジンイソギンチャク、タテジマイソギンチャク 11 扁形動物 1 0.4 ― 100.0 ― 計 235 0.4 38.3 − アシハラガニ、チゴガニ、オサガニ ※:種類数による全体に占める割合であり、値は四捨五入している。 資料:わかやま海域環境研究機構調査資料より (注)上記の底生動物の種類数は、種名の変更等によりガイドブック(刊行時)の数と異なっています。 − 22 − ∼ 干潟の生き物 ∼ ●底生動物の生息場所 干潟には、砂っぽいところや泥っぽいところ、波当たりの強いところ弱いところ、海面から高 いところ、低いところなどさまざまな環境のところがあります(干潟の環境については「生き物 の生息場所」を参照)。干潟に生息している生き物は、それらが好む環境の場所で生息しています。 たとえばスナガニの仲間では、底質(泥・砂など)や地盤のかたさなどによるすみ分けがみら れ、泥や砂の粒と餌をより分ける口の形が違っています。 ハクセンシオマネキ(オス) オサガニ チゴガニ また、海面からの高さでみられる生き物が違って います。護岸には、1日のうち干出している時間が どのぐらい続くかにより、 生き物が水平なしまもよ うとなって付着している のがみられます。 マガキ コンクリートの護岸 − 23 − ∼ 干潟の生き物 ∼ 干潟の生き物 魚 干潟を利用する魚は干潟の持つ地形的な条件や潮の満ち引きといった特性に合わせて生活の場 をうまく使い分けています。 和歌浦干潟で見ることのできる魚を平成 11 年度の調査結果(7月と9月)等から紹介します。 ●和歌浦干潟の魚 和歌浦干潟では計 62 種類の魚が出現しています。これらの魚は生活の型、行動の型、摂餌の 型によって干潟をどのように利用しているかそれぞれ分類することができます。 生活の型についてはその一生のほとんどを河口干潟で過ごすものと一生の一時を河口干潟で過 ごすもの、本来はより海域に生息し、偶来的に河口干潟に来遊するものとの3つに分けることが できます。行動の型では、海底や干潟面に密着して生活する底生型と表層から底層を遊泳する遊 泳型に分けることができ、摂餌の型では何を食べるかによって細かに分類することができます。 〔生活型〕 1 2 3 一生のほとんどを河口干 潟で過ごす種類 一生の一時を河口干潟で 過ごす種類 産卵、餌場、隠れ場、すみか等として利用 ①産卵の場として利用 ②稚魚の成育場として利用 ③餌場として利用 など 偶来的に河口干潟に来遊 ①潮流にのって流れ着いたり、迷い込む する種類 ②餌を追っていくうちに迷い込む など 〔行動型〕 1 底生型 砂に潜ったり、干潟の上を這い回ったりしながら生活 2 浮遊型 表層から底層までの間を常に遊泳しながら生活 〔摂餌型〕 1 プランクトン食 水中に漂う植物プランクトンや動物プランクトンを食べる 2 草食(藻食) 水中の海草や海藻、岩や干潟の砂の上に生えた藻類 3 肉食 小魚や貝類、甲殻類を食べる 4 その他 何でも食べる雑食性 など − 24 − ∼ 干潟の生き物 ∼ ●和歌浦干潟に見られる主な魚の生活型 和歌浦干潟で見られる主な魚を生活の型で分類してみました。 (和歌浦干潟で確認された魚の生 活型等一覧は巻末の資料-4参照) ★一生 のほ とん どを河口干潟 で過ごす種類 マハゼ ヒメハゼ マハゼやヒメハゼなどのハ ゼの仲間の行動の型は、底生 型です。対して、クサフグや ヒイラギなどは浮遊型です。 これらの魚の摂餌の型は肉 食で、底生動物などを食べて います。 ヒイラギ クサフグ ★偶来的に河口干潟に 来遊する種類 ★一生の一時を河 口干潟で過ごす 種類 スズキ、ボラ、コト ヒキなどの魚は、干潟 では稚魚や幼魚を見 ることができます。 スズキは肉食で、エ ビなどの甲殻類や魚 を食べています。 ボラは岩に付着し た藻類や海底の小動 物、有機物などを食 べています。 スズキ 和歌浦干潟では、小型 地びき網や刺し網などに よる採集調査結果におい て、以下の魚が確認され ています。 ボラ ・アカヤガラ、メジナ、イ シダイ、アイゴ など コトヒキ − 25 − アイゴ