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環境と人間(くらしと動物)
❖科目名 Course Title 環境と人間 くらしと動物 ❖担当教員 Instructor 安居院 高志 後期 ❖開講学期 Semester ❖履修可能人数 Capacity 10(遠隔) 制限なし(対面) ❖授業形態 Type of Class ❖対象学年 Year ❖単位数 Number of Credits 1~ 1 講義 ❖キーワード Key Words 産業動物、伴侶動物、実験動物、動物実験、展示動物、野生動物、動物愛護法、鳥獣法、クロー ン動物、遺伝子組換え動物、動物の発生及び形態形成、人獣共通感染症、睡眠 ❖授業の目的 Course Objectives 人のくらしは動物と密接な関わりをもっています。ペットや動物園の動物は人に安らぎ を与え、家畜は肉類、乳製品、卵などを供給してくれます。科学研究には実験動物が欠かせ ません。野生動物は環境の変化を教えてくれる貴重なインジケータです。動物と人は同じ哺 乳類であるため、個体の発生や生理機能は非常に類似しています。動物の病気がときに人に 感染します。このようにくらしと動物とは密接な関係があります。本講義では人のくらしと 動物との関係を科学的に、更には法律、倫理、経済などの視点からも捉えて行きます。 ❖授業概要 Course Description くらしと関わる動物,産業動物,実験動物,伴侶動物,野生動物についてそれぞれの専門 家がオムニバス形式で 2 回ずつ講義する。更に人と動物の共通事項,発生,人獣共通感染 症,睡眠についてそれぞれの専門家がオムニバス形式で 2 回ずつ講義する。それぞれの講 義の後に小レポートを提出する。小レポートは 7 つ提出することになる。小レポートはそ れぞれの担当教員によって採点され,合計点で成績判定を行う。 ❖到達目標 Course Goals (1)人と動物の関係の歴史と現状を理解する。 (2)動物が人間社会にどのように役立っているのかを理解する。 (3)動物に対する人のあり方と責任を学ぶ。 ❖授業計画 Course Schedule 1)ガイダンス(1 コマ)安居院高志(責任教員) 講義全体の紹介とこの講義で学習すること、レポートの提出方法、成績判定の仕方などについ て述べる。 2)産業動物関係(2 コマ)佐伯和弘(近畿大学) ウシやブタなどの家畜は、我々の食に欠くことのできない畜肉や乳製品を提供している。これら 家畜はすべて人工授精などの発生工学を利用して育種改良され生産されてきた。本講義では今 までに開発されてきた人工授精や胚移植などの既存の発生工学技術と、これから利用されるであ ろう新規技術である遺伝子改変技術やクローン技術について紹介する。遺伝子改変技術の応用 例として食肉の脂質を動物性から植物性への変換が可能なホウレン草由来脂肪酸不飽和化遺伝 子を導入したブタを、また、クローン技術の応用例として 10 年間冷凍庫で放置された組織由来細 胞から作製された伝説的種雄牛、安福号のクローン復元を取り上げて、筆者の既報を基に論説す る。 ○レポート 3)動物実験倫理と実験動物学の発展(2 コマ)安居院高志(実験動物学) 動物実験はバイオメディカル研究のためには必須の手段である。しかしながら最近は国民の間 で動物実験の是非が論じられている。初回の講義では、国民に理解される動物実験とはどのような ものか、科学者はどのような倫理を持って動物実験を行うべきかについて論ずる。人類は実験動物 (主にマウス・ラットなどのげっ歯類)をバイオメディカル研究に使い易いように変えてきた。すなわ ち実験動物を遺伝的に均一にしたり、感染症をフリーにしたり、遺伝子を組換えたりして実験動物 を科学的に利用してきた。第2回目の講義では 20 世紀から始まった近代的実験動物学の発展か ら 21 世紀現代の最先端の実験動物学の発展までを学習し、実験動物がバイオメディカル研究に 果たした役割を考える。 ○レポート 4)絆をささえる伴侶動物の健康管理(2 コマ) 滝口満喜(獣医内科学) くらしの中で我々に癒しを与えてくれるだけでなく、いまや家族の絆の中心的存在でもある伴侶 動物。犬と猫に代表される伴侶動物の健康管理を最先端の獣医療を通じて行っている大学附属 動物病院での様々な実例を紹介することで、地域における大学動物病院の役割について紹介す る。 ○レポート 5)人と野生動物〜身近な自然と野生動物を守るために(2 コマ)福井大祐(特定非営利活動法人 EnVision 環境保全事務所 調査研究員) 野生動物とは何か?人と野生動物の関わり(生活被害、共通感染症、野生動物の絶滅危惧など) について、身近な事例を挙げながら解説し、お互いが快適で幸せな環境と社会をつくっていくため の方策を学び考える。また、動物園は、野生動物の生息域外保全の場としての機能をもつが、そ れは生物多様性の保全を目指すための手段の一つであり、域内保全に還元することを意識した活 動展開が必要であり、それらに関連した調査研究などの活動例も紹介する。一つの地球で、ヒト、 家畜・ペット、野生動物、多様性のある生き物が健康にくらしていくため必要な“One World, One Health”という地球の健康管理(保全医学)の概念の理解を目指す。 ○レポート 6)動物の発生と形態形成(2 コマ)昆 泰寛(解剖学) 動物個体は1個の受精卵が分裂することによって形作られる。どのように、そしてなぜ親と同じ形 になるのか、解剖学の立場から述べ、くらしの中の動物を見直してみる。 ○レポート 7)動物からうつる人の病気(2 コマ)苅和宏明(公衆衛生学) 人と動物の間で自然に伝播する感染症を人獣共通感染症という。これまで産業動物と家庭動物 に由来する感染症を中心に対策がとられてきたが、最近では野生動物に由来する新型の感染症 が国内外で問題となっている。これらを概説する。 ○レポート 8)睡眠を正しく理解する〜健康に暮らすために(2 コマ)寺尾 晶(東海大学) 動物の睡眠様式と寝相は生活環境に応じて多種多様であり、各々が独自の発展を遂げている。 この講義では、睡眠に関わる様々の話題を紹介し、固定観念にとらわれず色々な側面から睡眠を 理解することを目的とする。 ○レポート ❖成績評価 Grading System 出席 7 割以上を単位取得の条件とする。成績はレポートで評価する。レポートは 2 回の講義こと に各担当教員がレポート課題を課し、その都度提出する。レポートは各担当教員が 4 段階評価(1 〜4 点)し、それらの評価を合計して総合点を算出する。2 回の講義を両方とも欠席しレポートのみ 提出した場合は、提出点(1 点)のみとする。原則として相対評価を行う。 ❖テキスト Textbooks 原則として各担当教員がプリントを配付する。特定の教科書は使用しない。 ❖参考書 Reading List 指定図書なし。 ❖準備学習 Homework 予習は特に必要としない。授業後は疑問点等を自己学習し、レポートをまとめる際に反映させる。 ※「対象学年」と「単位数」は,科目提供大学における数字であり,受講大学に応じて異なるので, 所属大学で確認してください。 ※「履修可能人数」は,科目提供大学以外の人数であり,遠隔と対面それぞれの受講形態で履修で きる人数を示しています。(例.5(遠隔),5(対面):遠隔授業で5名,対面授業で5名まで 履修可能。) ※北海道大学の対面授業は,教室の収容人数によって履修できない場合があります。