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平成 21 年度 事 業 報 告 書 財団法人 日本国際問題研究所

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平成 21 年度 事 業 報 告 書 財団法人 日本国際問題研究所
平成 21 年度
事
財団法人
業
報
告
書
日本国際問題研究所
目
総
括
次
………………………………………………………………………………………… 1
補助金事業
Ⅰ
政策研究及び提言
1.
……………………………………………………………………… 2
米国の政治と外交
…………………………………………………………………… 2
(1)アメリカ政治研究会……………………………………………………………
2
(2)日米カナダ会議………………………………………………………………………… 3
(3)日米安全保障セミナー ……………………………………………………………… 4
(4)日米中会議 …………………………………………………………………………… 8
2. 中国の対外政策……………………………………………………………………………… 10
(1)中国の分野別外交……………………………………………………………………… 10
(2)日中国際問題討論会
…………………………………………………………… 10
(3)米国シンクタンクとの研究交流(CFR等との協議)……………………… 12
3.
朝鮮半島情勢
………………………………………………………………………… 13
(1)日米韓会議
……………………………………………………………………… 13
(2)日中韓会議
……………………………………………………………………… 16
(3)日韓国際問題討論会
…………………………………………………………… 17
4. アジア・太平洋地域の政治と安全保障
(1)ASEAN 研究会
…………………………………………… 18
…………………………………………………………………
(2)JIIA-IISS 東京会議
18
………………………………………………………………
19
(3)日越対話
…………………………………………………………………………
21
(4)日 NZ 対話
………………………………………………………………………
22
(5)東アジア共同体シンポジウム……………………………………………………
23
(6)アジア太平洋安全保障協力会議(CSCAP) …………………………………
24
5. 欧州の新時代
…………………………………………………………………………
(1)NATO 研究会
(2)日独協議
……………………………………………………………………
…………………………………………………………………………
(3)アデナウアー財団との協議
25
25
26
……………………………………………………
27
(4)日仏協議……………………………………………………………………………
28
6. ユーラシアの動向
……………………………………………………………………
29
(1)ロシア研究会
……………………………………………………………………
29
(2)日米露会議…………………………………………………………………………
29
7. 中東情勢
………………………………………………………………………………
31
(1)2009 年大統領選後のイランの総合的研究―内政、外交、国際関係―……
31
(2)日イラン協議
……………………………………………………………………
32
(3)日エジプト協議……………………………………………………………………
33
8. 紛争と開発
……………………………………………………………………………
(1)IISS Manama Dialogue
9. 地球温暖化問題等
…………………………………………………………
33
33
……………………………………………………………………… 34
(1)新しい核の秩序構想タスクフォース・フェーズ2研究会
(2)日蘭・水シンポジウム
…………………
34
……………………………………………………………
35
(3)アトランティック・カウンシル等(NIC)との協議………………………………… 35
II
国内政策論議の推進 ……………………………………………………………………… 37
1. JIIA 国際フォーラム
………………………………………………………………
2.
ホームページの充実
3.
情報機能の強化
III
……………………………………………………………… 39
……………………………………………………………………… 39
対外発信機能の強化 …………………………………………………………………… 39
1.英文電子ジャーナル AJISS-Commentary
2.対外発言力の強化
IV
37
…………………………………………………………………… 41
諸外国研究者の育成支援
1. 開発途上国の研究員受入
V 事業見合い借料
…………………………………………… 39
…………………………………………………………… 41
…………………………………………………………… 41
………………………………………………………………………… 41
Ⅵ
太平洋経済協力会議(PECC)及び日本委員会(JANCPEC)の活動概要
Ⅶ
受託調査研究
…………… 42
………………………………………………………………………… 42
平成21年度事業報告書
総括
平成21年度において、日本国際問題研究所は国庫補助金 412 百万円及び自己資金(法人
会費、個人会費、受託収入など)計 167 百万円、合計 579 百万円の年度予算(決算ベース)
を得て研究活動を実施した。当研究所は予算の効果的かつ効率的活用を旨とし、特に事業
予算の執行に当たっては、「政策研究および提言」、「国内政策論議の推進」、「対外発信機能
の強化」、「諸外国研究者の育成支援」といった重点事業を相互に関連付けて一体的に実施
することにより、関連予算を最大限に活用するよう努めた。
政策研究および提言に関しては、各種研究会を主催し、外交及び国際社会における重要
課題に関する検討・分析を深めるとともに、外国研究機関との意見交換や政策対話を行っ
た。こうした意見交換、政策対話の相手方としては、米国、ドイツ、中国、韓国、越、イ
ンド、NZ,ポーランドといった国々に加え、新たにエジプトを平成21年度から含める
事とした。さらにこうした二国間の協議に加え、日中韓、日米中、日米印、日米韓を始め
とする3か国間の協議も重視した。
また、国際戦略問題研究所(IISS)と共催により、東京において第2回目の国際会議を
開催した。米国アジア、ソサィエティとの共催でウィリアムズバーグ会議を福岡県で開催し
た他、オランダ国大使館等の後援を得て日蘭・水シンポジウムを岐阜県で開催した。さらに、
鳩山内閣総理大臣(当時)もお迎えし、「東アジア共同体の構築を目指して」と題する大規模な
国際シンポジウムを行った。
国内政策論議の推進のために実施している JIIA 国際フォーラムについては、アイケンベ
リー・プリンストン大学教授、グレッグソン米国国防総省次官補、ルース駐日米国大使、フ
ァイサル殿下・キング・ファイサル財団理事長、麻生太郎総理大臣、中曽根弘文外務大臣、
ホルブルック米国アフガニスタン・パキスタン担当特別代表を含め24回実施した。またフ
ォーラムの概要については迅速にホームページに掲載するよう努めた。さらにホームペー
ジの充実にも努めた。
対外発信機能の強化として、平成19年4月に財団法人世界平和研究所、財団法人平和
安全保障研究所、財団法人日本国際フォーラムとの協力により配信が開始された英文電子
ジャーナル「AJISS-Commentary」については、平成21年度計25本の論文を諸外国の政
府関係者、政治家、コラムニスト、研究者、学者等に配信した。
諸外国研究者の育成支援として、グルジア及びインドネシアより研究員を受け入れた。
-1-
Ⅰ
政策研究及び提言
1. 米国の政治と外交
(1)アメリカ政治研究会
当研究所は平成 20 年度に引き続き、平成 21 年度においても「アメリカにおける政治
基盤の構造の調査・分析」について研究会事業を実施し、その成果を報告書にまとめた。
本プロジェクトにおいては候補者、政党、政治資金、或いは政治活動委員会(PAC)な
ど、直接目に見える形で政治に参入するアクターとは異なり、より長期的に政治構造に
影響を与えるアメリカ政治における基盤構造(インフラストラクチャー)の分析に焦点
を当てた。このような研究は今後のアメリカにおける政治のダイナミズムを中長期的に
理解するためには必須の研究といえる。
アメリカでは政治環境が一変したかのような変化が突如として起こったかのように
見えることがあるが、しばしばそのような大きな変化の背後に基盤構造レヴェルでの目
立たない変化の蓄積とその作用を見て取ることができる。しかしながら、そのような側
面に焦点を当てた研究はわが国ではまとまった成果がなく、アメリカにおいても優れた
研究は稀少ではないかと考える。そこで本プロジェクトでは財団や監視団体、シンクタ
ンク、大学、メディア、メディア監視団体、法曹界、軍、政治家要請機構などの諸団体
に焦点を当てて研究を行うこととし、また上記の文脈とは別に日米関係や米中関係に影
響を及ぼすと考えられる政治的基盤構造についても独立した分析を展開している。
研究会委員
主査:
久保 文明
東京大学大学院法学政治学研究科教授
当研究所客員研究員
委員:
足立 正彦
住友商事総合研究所シニアアナリスト
植木(川勝)千可子
早稲田大学大学院アジア太平洋研究科教授
岡山 裕
慶應義塾大学法学部准教授
高畑 昭男
産経新聞社編集委員兼論説委員
辰巳 由紀
ヘンリー・スティムソン・センター研究員
彦谷 貴子
防衛大学校公共政策学科准教授
前嶋 和弘
文教大学人間科学部准教授
松岡 泰
熊本県立大学総合管理学部長
宮田 智之
在米日本大使館専門調査員
渡部 恒雄
東京財団研究員
委員兼幹事: 中山 俊宏
津田塾大学国際関係学科准教授
当研究所客員研究員
西川 賢
当研究所研究員
-2-
(2)日米カナダ会議
当研究所はブリティッシュ・コロンビア大学、ジョンズ・ホプキンス大学ライシャワ
ー・センターと共催で平成 21 年 10 月 15 日・16 日に「第一回日米カナダ会議」を開催
した。本会議には二つのセッションが設けられ、それぞれ「北極問題」と「エネルギー
及び環境問題」についての討議が行われた。
第一セッションでは、カナダ側より、カナダと米国間で起きている北西航路をめぐる
支配権問題などの北極問題にカナダがどのようなアプローチをとっているか、また北西
航路を通過する船舶に対する航海上の問題や環境法上の問題について報告があった。続
く日本側報告においては、1:北極における航海上の安全性の問題と環境保全との関連
性、2:問題への既存の国際法の適用と新法制定の必要性、3:北極問題に対する多国
間協力の可能性について言及がなされた。米側は、北極に関して地政学上の重要性、エ
ネルギー上の懸念を強調した。米側は、また、温暖化の影響によって氷がとけている今、
北極の問題は極めて切実な課題のひとつであり、米国内では北極を政治的・軍事的、お
よび領土に関する問題としてとらえる見方が根強いが、重要なことは北極に関する包括
的レジームの構築であると論じた。
第二セッションでは、カナダ側よりエネルギー安保についての報告があった。はじめ
に日米加の三国がともに石油に過度に依存した経済を有していることについての言及
があり、続いて日本・米国・カナダの各国がそれぞれどのように石油依存を見直し、代
替的エネルギーを開発することに努力を払っているかに関する分析があった。日本側報
告は日加間のエネルギー協力に関する現状の分析であった。カナダは日本にとって油砂、
ウラン、石油頁岩などを供給してくれるエネルギー・サプライヤーであり、これらの分
野での日加共同プロジェクトが進行中である。日本側報告者はそれらプロジェクトに関
する詳細な紹介と分析を行った。最後に米国側報告者は日米カナダ各国が共同で行う地
球気候変動問題に関する協力の可能性について意見を述べ、各国の二酸化炭素排出削減
量決定方式の優劣について分析を加えた。
日本側参加者:
福川
正浩
在カナダ日本国公使
菊池 努
青山学院大学教授・当研究所客員研究員
兼原
敦子
立教大学教授
前田
匡史
国際協力銀行資源金融部長
西村
秀隆
在カナダ日本国大使館一等書記官
西川
賢
当研究所研究員
アメリカ側参加者:
Kent Calder
Professor, Johns Hopkins University
Eiichiro Ito
Visiting Fellow, SAIS, Johns Hopkins University
-3-
Robert Shum
PhD Candidate, SAIS, Johns Hopkins University
カナダ側参加者:
Yuen Pau Woo
President and CEO, Asia Pacific Foundation of Canada
Kaity Arisoniandas-Stein
President, International Ship-Owners Alliance, Inc.
Catharine Bergman
John Sloan
Director General, Economic Policy Bureau, DFAIT &
Canadian Senior Official to APEC
Michael Byers
Professor, University of British Columbia
Paul Evans
Professor, Liu Institute for Global Issues and Institute for
Asian Research
Brian Flemming
Professor, University of Dalhousie
Christopher Gravel
Political Officer, DFAIT
Brian Job
Professor, University of British Columbia
Tsuyoshi Kawasaki
Professor, Simon Fraser University
Ross McDonald
Manager, Special Project and Arctic Shipping, Transport Canada
Rear-Admiral Tyron Pyle Commander of Maritime Forces Pacific, Canadian Navy,
National Defence
Jill Price
Executive Director, Asia Pacific Foundation of Canada
John Rozhon
Senior Researcher, Canadian Energy Research Institute
Yves Tiberghien
Professor, University of British Columbia
David VanderZwaag
Professor, Dalhousie Universirty
Bryon Wilfert
Chair of Canada-Japan Inter-parliamentary Group
(3)日米安全保障セミナー
当研究所は、パシフィック・フォーラム CSIS 及び在サンフランシスコ日本国総領事
館との共催で、平成 22 年 1 月 15 日、16 日の両日、米国ワシントン DC のホテルにおい
て「第 16 回日米安保セミナー」を開催した。同セミナーにおいては日米両国の政府関
係者、学者、民間人などの有識者が一堂に会し、日米同盟の直面する課題と今後につい
て幅広い角度から討議を行った。
第一日目のパブリック・セミナーは一般公開され、日米を代表する四名の有識者によ
って、(1)開国以来の日米関係の歴史、(2)1990 年代の日米関係の回顧、(3)鳩山政
権下での日米同盟の現状分析、
(4)ポスト冷戦期の日米同盟の抱える問題について、そ
れぞれ分析と提言が行われた。
二日目の第一セッションは民主党新政権の外交・安全保障政策の見通しとその変化に
焦点を合わせたものであった。日本側報告者は鳩山政権が日米同盟を含む外交安保政策
にどのような理念や見解を有しているかについての分析を行った。同報告者は民主党政
-4-
権に助言している有識者についての分析や民主党の外交政策に用いられる用語、あるい
は日本国民の外交政策上の理念模索の変遷とも絡めて、問題の分析を行った。この報告
に対する米側応答では、民主党政権は「創造的混沌」の段階にあり、政策理念や政策形
成を模索している段階にある、米国はこの「新しい日本」と共同作業する準備を進める
べきで、日米両国は日米同盟の未来を見据えた共同作業にむけて邁進しなくてはならな
いと述べた。
第二セッションでは米国国内の政治的変化、特にオバマ政権の成立以降から初年度に
かけての外交安全保障戦略と日米同盟に関する分析が行われた。米国側報告者はオバマ
政権の外交安保政策のグランド・ストラテジーについて言及し、次に同政権のアジア政
策について述べ、最後にオバマ政権が直面している課題に関する現状分析を行った。報
告者は、オバマ政権のグランド・ストラテジーは現時点ではどのように構築され変更さ
れていくか、それは今後の状況次第であると述べた。続けて、オバマ政権はアジアに関
心が高いと述べ、オバマ政権はイラン、アフガニスタン、核態勢見直し(Nuclear Posture
Review)など数多くの重要な問題に直面しているとし、詳しく分析を行った。この報告
に対する日本側応答では、オバマ政権の支持率は大きく下がっているが、これは国民皆
保険をめぐる議論や経済状況の悪化によるところが大きい、オバマ政権は今後この状況
を打開するために残り 3 年間で立法業績をあげるべく新たな戦略を模索するであろう
と述べた。日米両国は日米同盟が抱えてきた数多くの危機と緊張をいずれも乗り切って
きた歴史があり、普天間の問題が期限どおり解決しなければ日米同盟が直ちに危機を迎
えるなどと考えるべきではないとの付言もなされた。
第三セッションでは日米同盟を維持するために不可欠の要因及び日米同盟の未来像
について検討が行われた。セッション冒頭、日本側報告者が日米同盟の今後の見通しに
関する分析を提示した。同報告者は、日米両国は日米同盟をよりよくするために努力を
重ねてきたが、現在の日米同盟には多くの問題が存在すると述べた。報告者は G20 や
中国やインドの台頭など国際社会の変動が日米同盟に大きな影響を与えていると論じ、
日米同盟のあり方や機能もこれによって大きく変わっていくものであると結論付け、詳
細な分析を行った。この報告に対する米側応答では、日米同盟の未来には(1)日米同
盟弱体化に伴って日本が中国と関係を強化するシナリオ、
(2)日米両国の関係が希薄化
し、米中関係が強化されるシナリオ、
(3)日米同盟が弱体化したまま存続するシナリオ、
(4)日米同盟が強化され両国がより強固な信頼関係を築くシナリオの四つがあるとさ
れた。
日本側参加者:
Mr. Takeo Akiba
Ambassador Ichiro Fujisaki
Dr. Yoichi Funabashi
Minister, Political Section, Embassy of Japan, Washington,
D.C.
Ambassador of Japan to the U.S., Embassy of Japan,
Washington D.C.
Editor-in-Chief, The Asahi Shimbun
-5-
Mr. Takehiro Funakoshi
Director, Japan-U.S. Security Treaty Division, Ministry of
Foreign Affairs
Mr. Hisayoshi Ina
Columnist/Vice Chair of the Editorial Board, Nikkei Shimbun
Major General Koichi Isobe
Director, Defense Plans and Policy Department
Prof. Matake Kamiya
Professor,National Defense Academy of Japan
Mr. Hideki Kato
Chairman, The Tokyo Foundation
Prof. Shinichi Kitaoka
Professor of Political Science, The University of Tokyo
Prof. Fumiaki Kubo
Faculty of Law, The University of Tokyo
Dr. Toshihiro Nakayama
Associate Professor, Tsuda College, Adjunct Fellow, The
Japan Institute of International Affairs
Amb. Yoshiji Nogami
President, The Japan Institute of International Affairs
Mr. Yukio Okamoto
Former Special Advisor to the Prime Minister
Vice Admiral Fumio Ota
JMSDF (Ret.) Director, Center for Security & Crisis
Management Education, National Defense Academy of
Japan
Mr. Kiyoshi Serizawa
Director, Japan-U.S. Defense Cooperation Division,
Bureau of Defense Policy, Ministry of Defense
Mr. Hideo Suzuki
Minister, Political Section, Embassy of Japan,
Washington, D.C.
Mr. Nobushige Takamizawa
Director-General, Bureau of Defense Policy, Ministry
of Defense
Mr. Hitoshi Tanaka
Senior Fellow, Japan Center for International Exchange
Mr. Koji Tomita
Deputy Director-General, North American Affairs
Bureau, Ministry of Foreign Affairs
Mr. Akinori Uchida
Editorial Writer, Yomiuri Shimbun
Mr. Tsuneo Watanabe
Senior Researcher, The Tokyo Foundation
Prof. Noboru Yamaguchi
Professor, National Defense Academy of Japan
Mr. Hiroshi Yuasa
Columnist, Sankei Shimbun
Mr. Akira Kadomoto
Secretary, Political Section, Embassy of Japan,
Washington, D.C.
Mr. Masaaki Kanai
Counsellor, Political Section, Embassy of Japan,
Washington, D.C.
Ms. Megumi Murakami
Japan-U.S. Security Treaty Division, Ministry of
Foreign Affairs
Mr. Hidehiko Nakama
Secretary, Political Section, Embassy of Japan,
Washington, D.C.
Dr. Masaru Nishikawa
Research Fellow, The Japan Institute of International
Affairs
Major General Mitsuru Nodomi
Defense & Military Attaché, Embassy of Japan,
Washington, D.C.
Mr. Yasuyuki Okazaki
Deputy Director, Japan-U.S. Security Treaty
Division, Ministry of Foreign Affairs
Mr. Sugio Takahashi
Senior Fellow, The National Institute for Defense
Studies
米国側参加者:
Ambassador Richard L. Armitage
Dr. James E. Auer
Dr. Michael Auslin
President, Armitage International
Director, Center for U.S.-Japan Studies and
Cooperation, Vanderbilt Institute for Public Policy
Studies
Resident Scholar, American Enterprise Institute for
Public Policy Research
-6-
The Honorable Jeffrey Bader *
Ms. Suzanne Basalla
Mr. William T. Breer
Dr. Victor D. Cha
Mr. Ralph A. Cossa
Professor Gerald Curtis
The Honorable Joseph R. Donovan
Mr. L. Gordon Flake
Mr. Brad Glosserman
Dr. Michael J. Green
Mr. David W. Hamon
The Honorable John Hamre (T)
Mr. Frank S. Jannuzi *
Admiral Timothy Keating
Hon. James A. Kelly
Mr. Kevin Maher
RAdm. Michael A. McDevitt
Mr. Torkel L. Patterson
Dr. William J. Perry
Dr. James J. Przystup
Mr. Evans J. R. Revere
Lt. Gen. Edward A. Rice, Jr.
The Honorable John Roos
Mr. Daniel R. Russel *
Mr. Robin (Sak) Sakoda
Mr. R. Michael Schiffer
Dr. Amy E. Searight
Dr. Sheila A. Smith
The Honorable James B. Steinberg
BG William “Bronco” Uhle
Senior Director, Asian Affairs, National Security
Council
Country Director for Japan, U.S. Department of
Defense
Senior Advisor, Center for Strategic and International
Studies
Director and Professor of Asian Studies, Senior Fellow,
Pacific Council and Senior Advisor and Korea Chair,
CSIS, Georgetown University
President, Pacific Forum CSIS
Burgess Professor, Political Science, Columbia
University, Visiting Professor, Waseda University
Principal Deputy Assistant Secretary, Bureau of East
Asian and Pacific Affairs, U.S. Department of State
Executive Director, The Maureen and Mike Mansfield
Foundation
Executive Director, Pacific Forum CSIS
Japan Chair, Center for Strategic and International
Studies
Deputy Director for Research and Studies, Advanced
Systems & Concepts Office, Defense Threat Reduction
Agency
President and CEO, Center for Strategic and
International Studies
U.S. Senate Foreign Relations Committee
Former Commander, U.S. Pacific Command
Scowcroft Chair, President Emeritus, Pacific Forum
CSIS
Director, Office of Japan Affairs, Bureau of East
Asian and Pacific Affairs, U.S. Department of State
USN (Ret.) Vice President/Director, CNA Strategic
Studies, The CNA Corporation
President, Group Pacific International
Michael and Barbara Berberian Professor, Senior
Fellow, Hoover Institute, Stanford University
Senior Research Fellow, INSS, National Defense
University
President, Korea Society
Commander, U.S. Forces – Japan
U.S. Ambassador to Japan, Embassy of the United
States, Tokyo
Director for Japan, South Korea and North Korea,
National Security Council
Partner, Armitage International
Deputy Assistant Secretary of Defense, Office of
the Assistant Secretary of Defense
Adjunct Fellow, CSIS and Adjunct Professor, Elliot
School of International Affairs, George Washington
University
Senior Fellow for Japan Studies, The Council on
Foreign Relations
Deputy Secretary of State,U.S. Department of State
Deputy Director for Operations, J30, U.S. PACOM
-7-
Dr. Ezra Vogel
Col. Jeffrey S. Wiltse, USA
Mr. Peter Ennis
Col. Mark O. Hague, USA
Mr. Bill Heinrich
Mr. Richard Katz
Mr. Dewardric L. McNeal
Mr. Christopher D.W. Nelson
Dr. Nirav Patel (T)
Capt. Samual P. Shimp
Mr. Joseph Young
Henry Ford II Professor Emeritus of the Social
Sciences, Fairbank Center for East Asian Studies,
Harvard University
Director, Plans and Policy, J5, U.S. Forces – Japan
U.S. Correspondent/Columnist, Weekly Toyo Keizai
Chief, Northeast Asia Policy Division, HQ
USPACOM J51
Bureau of Intelligence and Research, U.S. State
Department
Editor-in-Chief, The Oriental Economist
Special Assistant to the Deputy Assistant, Asian &
Pacific Security Affairs, U.S. Department of
Defense
Senior Vice President & Editor, Samuels
International Associates, Inc.
Senior Special Adviser to the Assistant Secretary,
East Asia and Pacific Affairs Bureau, U.S.
Department of State
USAF, Aide to Gen. Edward Rice, U.S. Forces
-Japan
Chief, Political-Military Affairs, U.S. Embassy,
Tokyo
(4)日米中会議
平成 22 年 3 月 23 日から 26 日の四日間にわたり、ワシントン DC において、当研究
所は、米国アジア財団と中国外交部の研究機関である中国国際問題研究所と第 13 回日
米中会議を開催した。今回の会議では「金融危機とグローバル・地域レベルでの協力枠
組みへの影響」、
「政治的関係と地域レベルでの安全保障協力の枠組み」、
「気候変動問題
-コペンハーゲン後の次のステップは?」
、
「朝鮮半島の安定」の 4 つの議題の下、活発
な議論が行われた。第 1 セッションでは、金融危機後の G7 と G20、IMF や世界銀行、
アジア太平洋地域の多国間枠組みや日米中の役割について討議した。金融危機後の今こ
そ、これまでの金融制度を軌道修正し、モニタリングを強化する好機であることが確認
された。第 2 セッションでは、今日のアジア太平洋地域における重要な政治的課題につ
いて幅広く意見交換が行われた。米中戦略対話の制度的な問題点と限界性、鳩山政権樹
立後も日本の安全保障戦略においては日米同盟が引き続き主軸であること、オバマ政権
は二国間の同盟体制を地域の安全保障枠組よりも重要視していること、北朝鮮の核問題
が未解決であるため 6 者協議は地域の安全保障枠組の母体とはなりえないことなどが
確認された。第 3 セッションでは、三ヵ国の間でクリーンエネルギーの分野でお互いに
協力する必要があるという総論では意見が一致したが、中国での保護主義的な政策と知
的所有権の保護の甘さが障害であるという指摘がなされた。また、温室効果ガス排出量
の削減にあたっては、各国での一般庶民に対する啓蒙が重要であることで同意を得た。
第 4 セッションでは、朝鮮半島のみならず、朝鮮半島周辺の安定についても考える必要
があるとの議論がなされた。今日の北朝鮮は政策面では軍事優先から経済優先へとシフ
-8-
トし、交渉姿勢にも柔軟性が現れるなど安定化傾向を示しているとの中国側の見方に対
し、中国の軍備増強や核ミサイル能力の向上、北朝鮮の核保有は日本国内の不安を高め
ており、朝鮮半島周辺の安定と平和的な秩序を支えている日本の非核政策も国際情勢の
変化如何によっては変わり得ることを国際社会は認識すべきであるとの指摘が日本側
の一部からなされ、活発な議論が行われた。全体を通して、日米中の三ヵ国がそれぞれ
の立場や利害の違いを踏まえながらも、三ヵ国が抱える喫緊の問題について前向きに話
し合った会議であった。
日本側参加者:
野上
義二
当研究所理事長
谷野
作太郎
日中友好会館会長代行・当研究所評議員
桝本
晃章
日本動力協会会長・世界エネルギー会議日本国内委員会議長
高木
誠一郎
青山学院大学教授・当研究所客員研究員
神谷
万丈
防衛大学校教授
寺田
貴
早稲田大学アジア研究機構教授
中山
俊宏
津田塾大学准教授・当研究所客員研究員
渡辺
紫乃
当研究所研究員
中国側参加者:
簡)
Dr. Yuan Jian(元
強)
Mr. Liu Qiang(劉
Dr. Liu Qing(劉
中国国際問題研究所副所長
国家発展改革委員会エネルギー研究所上席研究員
卿)
中国国際問題研究所アメリカ研究室室長
Mr. Wu Xinbo(呉
心伯)
復旦大学米国研究センター教授
Mr. Yang Xiyu(楊
希雨)
中国国際問題研究所研究員
Ms. Zhang Haibing(张 海冰) 上海国際問題研究所研究員
米国側参加者:
Hon. Douglas Bereuter
アジア財団総裁
Mr. Charles Freeman
戦略国際問題研究所中国研究部長
Dr. Michael Green
戦略国際問題研究所シニア・アドバイザー兼日本部長
ジョージタウン大学准教授
Dr. Harry Harding
バージニア大学バッテンスクール学部長
Amb. Thomas Hubbard
コリア・ソサイアティー理事長
Dr. Kenneth Lieberthal
ブルッキングス研究所首席研究員
Mr. Douglas Paal
カーネギー国際平和財団副所長
Amb. Stapleton Roy
ウッドロー・ウィルソン国際センターキッシンジャー
インスティテュート所長
-9-
Mr. John Brandon
アジア財団国際関係部長
Dr. Ellen Frost
ピーターソン国際経済研究所客員研究員
米国防大学客員研究員
Ms. Boonie Glaser
戦略国際問題研究所中国研究部研究員
パシフィック・フォーラム研究員
Mr. Frank Jannuzi
米国上院外交委員会上級スタッフ
Dr. Albert Keidel
アトランティック・カウンシルシニアフェロー
2. 中国の対外政策
(1)中国の分野別外交研究会
当研究所は、平成 21 年 12 月より研究会事業「中国外交の問題領域別分析研究会」を
開始した。当プロジェクトは、平成 21 年度と平成 22 年度の 2 年度にわたって行う予定
のものである。
今日、国際社会の中で中国の存在感は急速に高まっている。中国の外交も一枚岩では
なく、多元化が進んでいる。そのため、今日の中国外交を理解し今後の展開について考
えていくためには、多様な角度からの分析が必要になっている。しかし、今日までの中
国外交に関する研究は、中国と他の国との関係といった二国間関係を中心に分析したも
のが大半であり、安全保障や経済政策といった問題領域別に中国外交を分析する試みは
まだほとんど見られない。
そこで、本プロジェクトは、中国外交の中でも特に重要な問題領域である多国間安全
保障、核軍縮・軍備管理政策、対外イメージ戦略、海洋政策、経済政策、対外援助政策
の 6 つについて、国際政治の視点に加えて、中国国内の政策決定過程にも考慮しながら
多角的で総合的な調査研究を行っている。このような分析は、我が国の中国外交に関す
る研究の質を向上させるとともに、中国外交をより正確に把握するためにも不可欠のも
のと考えられる。
研究会委員
主査:
高木 誠一郎
青山学院大学教授・当研究所客員研究員
委員:
中居 良文
学習院大学教授
浅野 亮
同志社大学教授
大橋 英夫
専修大学教授
毛里 亜樹
海洋政策財団研究員
委員兼幹事: 渡辺 紫乃
当研究所研究員
(2)日中国際問題討論会
当研究所は、平成 21 年 11 月 27 日に中国国際問題研究所との第 23 回目の会議を東京
(当研究所大会議室)において開催した。会議は「日中両国はアジア及び世界の平和、
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安定及び発展にどのように貢献できるか」との共通テーマのもとに、「核軍縮」、「対ア
フリカ外交」
、
「金融危機への対応とアジア域内金融協力」、
「気候変動」
、
「国連改革」の
全 5 セッションから構成され、日中協力の可能性について議論が交わされた。
「核軍縮」
については、日本側より日米中間の経済的相互依存の拡大と東アジアにおける軍事的能
力の拡大により、紛争が発生すればこの 3 国のいずれにとっても一方的な勝利はあり得
ないという現実の認識をもとに、
「相互確証依存(Mutual Assured Dependency)」という
概念が提示され、中国側の関心を集めた。また、「対アフリカ外交」については中国側
からは日本の ODA 戦略の経験に学びたいとの発言がある一方で、被援助国のガバナン
スを問題にしない中国のアフリカ外交に日本側から批判が出され、「気候変動」におい
ても中国で関心が高まっている省エネを気候変動対策の一貫と捕らえた技術協力の可
能性が提案される一方で、中国の知的所有権保護が未整備であることが日本の対中技術
移転の足かせとなっていることが指摘されるなど、地域およびグローバル問題における
日中協力については、両国間で総論についての合意はあるものの、各論において課題が
残ることが浮き彫りとなった。
日本側参加者:
野上 義二
当研究所理事長
谷野
作太郎
当研究所評議員・日中友好会館会長代行
高木
誠一郎
当研究所客員研究員・青山学院大学教授
高原 明生
東京大学教授
斎木
当研究所副所長
尚子
秋山 信将
当研究所客員研究員・一橋大学准教授
矢野 和彦
みずほ総合研究所株式会社調査本部経済調査部長
亀山
康子
国立環境研究所主任研究員
増田
雅之
防衛研究所教員
下谷内
奈緒
当研究所研究員
渡辺
紫乃
当研究所研究員
湯澤
武
当研究所研究員
中国側参加者:
刘友法(LIU Youfa)
中国国際問題研究所副所長
劉江永(LIU Jiangyong) 清華大学国際問題研究所副所長・教授
虞少华(YU Shaohua)
中国国際問題研究所アジア太平洋安全保障協力室主任
杨希雨(YANG Xiyu)
中国国際問題研究所研究員
张瑶华(ZHANG Yaohua) 中国国際問題研究所副研究員
王泰平(WANG Taiping) 元中華人民共和国駐大阪総領事館総領事
谢卉(XIE Hui)
中国国際問題研究所プログラムオフィサー
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(3)米国シンクタンクとの研究交流(CFR 等との協議)
当研究所は、平成 22 年 3 月 22 日と 23 日の両日にわたり、米国の主要シンクタンク
との研究交流を行った。協議先は戦略国際問題研究所(CSIS)、外交問題評議会(CFR)、
アメリカン・エンタープライズ研究所(AEI)、ブルッキングス研究所であった。同研
究交流においては日米の主要外交シンクタンクに関係する有識者が一堂に会し日米関
係や米国・日本の外交政策の現状分析、日本の内政、東アジア共同体構想、中国の台頭、
北朝鮮問題など数多くの課題と今後の展望について広範な角度から分析を加え、討議を
行った。
CFR との協議における午前中のセッションでは日米関係と東アジアの安全保障につ
いての報告と質疑応答、午後のセッションでは日本外交と東アジア共同体構想について
の報告と質疑応答がそれぞれ行われた。ブルッキングスとの協議では日本の対北朝鮮外
交、対中国外交、ならびに対米外交に関して日本側有識者から簡単な報告が行われ、引
き続き日米双方の有識者を交えての討議が行われた。CSIS との協議では日本の外交政
策の現状分析に主な焦点が当てられた。特に鳩山政権が安保や外交全般にどのような理
念やアイディアを有しているのかということに関する議論がなされ、同政権下での個別
の外交政策領域、例えばエネルギーや貿易といった領域にも言及がなされた。また参議
院選挙が日本の外交安保政策の今後に及ぼす影響、普天間移設問題に関する意見の交換
もあった。AEI との協議ではオバマ政権の東アジア政策における中国の位置づけ、鳩山
政権の東アジア政策、そしてオバマ政権の外交が日本でどのように受け止められている
かについて日本側有識者から報告が行われ、米側を交えての討議が行われた。
日本側参加者:
野上
義二
当研究所理事長
谷野
作太郎
日中友好会館会長代行
髙木
誠一郎
青山学院大学教授・当研究所客員研究員
神谷
万丈
防衛大学校教授
添谷
芳秀
慶應義塾大学法学部教授
寺田
貴
早稲田大学教授
中山
俊宏
津田塾大学准教授・当研究所客員研究員
西川
賢
当研究所研究員
渡辺
紫乃
当研究所研究員
アメリカ側参加者:
Michael Green
Japan Chair, CSIS
Sheila Smith
Senior Fellow for Japan Studies, CFR
Richard Bush
Director, Center for Northeast Asian Policy Studies, The Brookings
Institution
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Michael Auslin
Director of Japan Studies, AEI
Charles Freeman
Freeman Chair, CSIS
Amy Searight
CSIS & Georgetown University
Kevin Doak
Professor, Georgetown University
Rust Demming
SAIS, Johns Hopkins University
Bonnie Glaser
CSIS
Jae Ku, SAIS
Johns Hopkins University
Kenneth Liebethal
The Brookings Institution
Doug Paal
Carnegie Endowment for International Peace
Alan Romberg
The Henry L. Stimson Center
Nobuo Yoneyama
Mitsui &Co. USA, Inc.
MI Ae G. Taylor
CRS
Rob Quartel
NTELX
Thomas Omestad
Center for Transatrantic Relations, SAIS
Mike Mochizuki
George Washington University
Evan Medeiros
NSC
Mark Manyin
CRS
Robert Manning
NIC
Makoto Haverick
NIC
Alexander Lennon
The Washington Quarterly
Denis Lamb
OECD
Weston Konichi
Mansfield Foundation
Alpheus Jessup
Energy Politics
Balbina Hwang
NDU
L. William Heinrich
US Department of State
Paul Heer
NIC
Carl Green
Hitachi, Ltd.
Ellen Frost
Peterson Institute for International Economics
Evan Feigenbaum
CFR
Ayako Doi
Japan Digest
Daniel Bob
US House of Representatives Committee on Foreign Affairs
3. 朝鮮半島情勢
(1)日米韓会議
当研究所は、全米外交政策会議(NCAFP)、牙山政策研究院(AIPS)、韓国国際政策
研究院(IpsiKor)との共催で、平成 21 年 4 月 23 日、当研究所大会議室において「日米
韓会議」を開催した。同セミナーにおいては日米韓各国の有識者が一堂に会し、日米韓
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の直面する課題と今後の展望について幅広い角度から討議を行った。
【第一セッション:「アジア地域主義と北東アジアの安全保障」】
米国側報告者がオバマ政権は前政権とは異なる外交姿勢を有し、相手国との対話を尊
重し、孤立主義よりも関与政策を、そして多国間主義と柔軟性をより重視し、東アジア
各国との関係を重視しているとの見解を提示した。日本側報告者は冷戦終了後の東アジ
アにおいて米中関係こそ最重要であるが、中国が軍事的プレゼンスの拡大を企図してい
るのに対して、米国は自らのアジア太平洋戦略に添った形で米中関係を捉えており、こ
の点で両国の関係は「同床異夢」であると論じ、いずれは軍事的プレゼンスを強めた中
国と米国の間で緊張が高まるかもしれないと分析した。韓国側報告者はアジア地域主義
と北東アジアの安全保障に影響を与えると考えられる問題は数多く存在すると述べた。
韓国側報告者は中国の台頭と北朝鮮問題に照準を合わせ、両国がいかに北東アジアの安
全保障に影響を与えるか、また日米韓各国がいかにそれに対処するべきか、展望を述べ
た。
【第二セッション:「オバマ政権をどう見るか」
】
米国側報告者はオバマ政権について、現時点で良し悪しを論じるのは早計に過ぎるが、
「偉大な大統領」と目されるようになる可能性も大いにあると述べた。報告者は、オバ
マ政権はプラグマティックながらも明確なヴィジョンを有し、東アジア、アフガン、パ
キスタンなど様々な領域で優先課題を明らかにしつつ数多くの問題に同時に取り組ん
でいると結論した。韓国側報告者は、オバマ政権はブッシュ前政権の外交政策を踏襲し
ていると思われる部分も多く、特にテロ政策や核不拡散、あるいは民主主義の拡大とい
った分野ではそれが顕著なように思うと述べ、続けて同政権の対北朝鮮政策を詳細に分
析した。日本側報告者は、日本ではオバマは非常に好意的に受け止められており、特に
オバマのパーソナリティへの期待感が高く、オバマは過度に軍事力に依存せず、多国間
主義を尊重し、脱イデオロギー的で柔軟な外交政策を展開するのではないかと思われて
いると述べた。日本側報告者は米国に過度の一方的期待をすることなく、日米韓はお互
いに協力できるポイントを見出すべきであるとの結論を提示した。
【第三セッション:「六者協議について」】
米国側報告は、北朝鮮との密な対話を軸とする核兵器問題の解決こそ重要であるとい
う主張を提起した。報告者は北朝鮮をめぐる外交上の『ゲーム』が新しい段階に差し掛
かりつつあると述べ、北朝鮮もはや従来のようなアメリカとの国交正常化を重視する姿
勢から国内問題を重視する姿勢に転じているとの見解を提示し、我々は北朝鮮に対して
従来までの外交アプローチを全面的に見直すべきときに差し掛かっているのかもしれ
ないとも述べた。韓国側報告者は平成 21 年 4 月 5 日のミサイル発射に関する経緯を分
析した。報告者は現在の北朝鮮をめぐる状況は過去の類似の危機に比べ、遥かに深刻だ
と述べた。同報告者は六者会合参加国の対応が一定していない点、北朝鮮のミサイル兵
器の性能向上、ミサイル発射に関する北朝鮮の意図について分析した。同報告者は北朝
鮮を六者会合の席に引き戻し、対話を継続すること、特に朝鮮半島統一を視野に入れた
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形で朝鮮半島の平和と安定化、そして北朝鮮の非核化を目指し、日米韓各国はそれを共
通の目標に据え、協力を模索しなければならないと語った。日本側報告者は六者会合は
暗礁に乗り上げたといってよい状況にあるが、北朝鮮を六者会合に引き戻す手段は残さ
れていると述べた。同報告者は北朝鮮の「主権」を認めることが鍵となると語り、日米
韓三カ国はポスト金正日体制を視野に入れつつ、北朝鮮にミサイル問題や非核化プロセ
スを前進させるためのアジェンダを新たに提起するべきであると結論した。
日本側参加者:
野上
義二
当研究所理事長
斎木
尚子
当研究所副所長
阿川
尚之
慶應義塾大学総合政策学部長
伊豆見
元
静岡県立大学教授
川上
高司
拓殖大学教授
倉田
秀也
防衛大学校教授
添谷
芳秀
慶應義塾大学法学部教授
西原
正
平和安全保障研究所理事長
宮家
邦彦
立命館大学客員教授・AOI 外交政策研究所代表取締役社長
渡部
恒雄
東京財団研究員
西川
賢
当研究所研究員
渡辺
紫乃
当研究所研究員
アメリカ側参加者:
George D. Schwab
President, National Committee on American Foreign Policy
Gerald Curtis
Burgess Professor of Political Science, Columbia University
Robert Dujarric
Director, Institute of Contemporary Japanese Studies, Temple
University
Winston Lord
Chairman Emeritus, the International Rescue Committee
Evans Revere
President and CEO, The Korea Society
Donald S. Zagoria
Senior Vice President and Northeast Asia Project Director,
National Committee on American Foreign Policy
A. Greer Pritchett
Assistant Project Director, Northeast Asia Projects,
National Committee on American Foreign Policy
韓国側参加者:
Han Sung-Joo
Chairman, The Asan Institute for Policy Studies
Chairman, The International Policy Studies Institute of Korea
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Cha Young Koo
Visiting Professor, Graduate Institute of Peace Studies, Kyung Hee
University
Kim Sung-han
Professor, Graduate School of International Studies and Director of
Ilmin International Relations Institute, Korea University
Yun Byung-Se
Visiting Professor, Graduate School of International Studies,
Sogang University
Hong Jeong-Pyo
Professor, Faculty of International Comparative Culture, Miyazaki
International College, Japan
Hong So-il
Program Coordinator, The Asian Institute for Policy Studies
(2)日中韓会議
平成 21 年 7 月 5、6、7 日の三日間にわたり、中国の北京と承徳において、当研究所
は、韓国外交通商部の研究機関である外交安保研究院と中国外交部の研究機関である中
国国際問題研究所と第 2 回日中韓会議を開催した。これは、平成 19 年 6 月の日中韓外
相会議(於韓国済州島)において、今後の三国間協力の具体的方策の一環として、「三
国の外交・安保研究所間の交流再開の推進」が合意されたことを受けて開催された、平
成 20 年 5 月 26、27 日の第一回日中韓協議を受けて、2 回目にあたる会議である。なお、
上述の 3 研究所の間では、平成 8 年から平成 14 年にかけて日本側の主催で 2 年に一度
4 回にわたって協議が行われていたが、上述の外相会議以後主催を持ち回りにして装い
も新たに開催することになったものである。日中韓の良好な三カ国関係が構築されつつ
ある中で、今回の会議は「金融危機に対処するにあたっての三ヵ国協力」、
「気候変動と
エネルギー問題に関する協力」
、
「地域統合推進にむけての協力」、
「地域の安全保障情勢」
の 4 つのテーマについて討議が行われた。第 1 セッションでは、アメリカがもはや過剰
な消費体制を維持できない以上、日中韓の三ヵ国はアメリカへの輸出を前提とした経済
成長戦略はとれないことと、三ヵ国の貿易依存度を高めるべく FTA を推進すべきこと
が総論として確認された。第 2 セッションでは、気候変動やエネルギー分野での協力に
関して、途上国であるから技術を移転されてしかるべきであるとする中国と、先進技術
を保有している民間企業が中国に技術供与するためには何らかのインセンティブが必
要であるとする日本や韓国との間で、意識や立場の差が明確に表れた。第 3 セッション
では、東アジアの地域統合を推進するにあたって相応しいメカニズムの形態や日中韓の
役割について幅広く議論された。そして、第 4 セッションでは、地域の安全保障におけ
る喫緊の課題として、北朝鮮情勢と核開発の問題を中心に意見交換が行われた。それぞ
れのセッションでの議論を通して、日中韓三ヵ国の間では共通点よりも差異が大きく、
協力の目的やアプローチ、度合いは異ならざるを得ない現実が共有された会議であった。
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中国側参加者:
馬振崗(MA Zhengang)
中国国際問題研究所所長
元簡(YUAN Jian)
中国国際問題研究所副所長
王泰平(WANG Taiping) 中国国際問題研究所特別招聘研究員
趙晋平(ZHAO Jinping)
国務院発展研究センター副部長
虞少華(YU Shaohua)
中国国際問題研究所研究員・アジア太平洋安全保障協力研
究室主任
姜躍春(JIANG Yuechun) 中国国際問題研究所研究員・世界経済発展研究部主任
瀋世順(SHEN Shishun)
扈大威(HU Dawei)
中国国際問題研究所研究員
中国国際問題研究所副研究員・動向情報突発事件研究
副部長
韓国側参加者:
李順天 (LEE Soon-Chun)
韓国外交安保研究院院長
金徳柱(KIM Dok-Ju)
韓国外交安保研究院教授
姜善珠(KANG Seonjou)
韓国外交安保研究院副教授
崔源起(CHOE Wongi)
韓国外交安保研究院副教授
曺良鉉(JO Yanghyeon)
韓国外交安保研究院副教授
KIM Hyun-Wook
韓国外交安保研究院教授
韓国外交安保研究院研究員
KIM Yewon
李定勲(LEE Jeong-hoon)
韓国外交安保研究院書記官
日本側参加者:
野上 義二(NOGAMI Yoshiji)
当研究所理事長
田中 均(TANAKA Hitoshi)
日本国際交流センターシニア・フェロー
高原 明生(TAKAHARA Akio)
東京大学教授
中西 寛(NAKANISHI Hiroshi) 京都大学教授
倉田 秀也(KURATA Hideya)
当研究所客員研究員・防衛大学校教授
西岡 秀三(NISHIOKA Shuzo)
国立環境研究所特別客員研究員
鈴木 貴元(SUZUKI Takamoto) みずほ総合研究所上席主席研究員
渡辺 紫乃(WATANABE Shino) 当研究所研究員
(3)日韓国際問題討論会
当研究所は、
韓国外交通商部の研究機関である外交安保研究院と平成 21 年 10 月 29、
30 日にソウル市の外交安保研究院において、
「第 24 回日韓国際問題討論会」を開催し
た。今回の会議は、「日本と韓国の内政と外交」、「北朝鮮の内政と外交」、「アメリカ、
中国と東アジアの地域情勢」、
「日韓関係」の4つの議題の下、大変活発で忌憚のない意
見交換が行われた。第 1 セッションでは、日本側による 8 月末の衆議院選挙後に誕生し
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た民主党政権や今後の日本の政治や外交の展望についての説明を軸に議論が展開され
た。第 2 セッションでは、金正日の健康問題や後継者体制についての分析や北朝鮮への
今後の対応について日本側と韓国側の見方を示した上で、北朝鮮の行動は国内要因によ
る部分が大きくなっており、予測しにくい状況にあることが確認された。第 3 セッショ
ンでは、中国の発展の方向性や鳩山政権の東アジア共同体構想について議論された。韓
国側からは、日米中の「G3」に対する強い警戒感と鳩山政権の構想の中身が見えない
ことへの不安が示された。第 4 セッションでは、2010 年を迎えるにあたって韓国では
日本への期待と不安が高まっている中、日本や韓国としては何をすべきなのか、現実的
な視点から話し合われた。全体を通して、今後も日韓両国での協力の可能性を探ってい
くことが必要であることが確認された会議であった。
韓国側参加者:
Amb. LEE Soon-chun
Chancellor, Institute of Foreign Affairs and National Security
(IFANS)
Dr. BAE Geung Chan
Dean of Research, IFANS
Dr. YUN Dukmin
Professor and Director-general, IFANS
Dr. JUN Bong-geun
Professor, IFANS
Dr. JO Yanghyeon
Assistant Professor, IFANS
Dr. KIM Hyun-Wook
Assistant Professor, IFANS
Mr. CHUNG Kwang-kyun
Deputy Director-General, Ministry of Finance and Trade
(MOFAT)
Dr. LEE Su-Seok
Senior Researcher, Institute for National Security Strategy
Ms. YOO Ji-seon
Researcher, IFANS
rd
Ms. JEE Eun Gyeong
3 Secretary, MOFAT
日本側参加者:
野上
義二
小此木
政夫
当研究所理事長
慶應義塾大学教授
中西
寛
京都大学教授
倉田
秀也
当研究所客員研究員・防衛大学校教授
河野
勝
早稲田大学教授
渡辺
紫乃
当研究所研究員
4.
アジア・太平洋地域の政治と安全保障
(1)ASEAN 研究会
2007 年に発足 40 周年を迎えた ASEAN は、2008 年1月に「ASEAN 憲章」を採択し
て本格的な国際機関として歩み始めた。しかしながら、ASEAN は組織内に様々な問題
- 18 -
を抱えており、2015 年を目途に「ASEAN 共同体」を構築するという目標も簡単には実
現しそうにない。このような背景を踏まえ、本研究会は、ASEAN の組織制度と政策形
成の動態を再検討することにより、ASEAN という組織のポテンシャルを解明すること
を目的としている。今年度は、平成 21 年 4 月から 22 年 3 月にかけて計 10 回の研究会
を行い、最終報告書を完成させた。
研究会委員
主査:
山影
進
東京大学教授
委員:
菊池
努
青山学院大学教授・当研究所客員研究員
鷲尾
友春
国際経済交流財団主任研究員兼業務部長
首藤
もと子
筑波大学教授
大庭
三枝
東京理科大学准教授
鈴木
早苗
アジア経済研究所研究員
青木
まき
アジア経済研究所研究員
湯川
拓
東京大学大学院総合文化研究科博士課程
湯澤
武
当研究所研究員
(2)JIIA-IISS 東京会議
当研究所は平成 21 年 6 月 1~3 日に東京において、第 2 回 JIIA-IISS 会議「アジアに
おけるグローバルな戦略的挑戦」を国際戦略問題研究所(英国)(IISS:International
Institute for Strategic Studies)および海洋政策研究財団(OPRF)と共催した。本会議に
はアジアと欧米から著名な研究者や政策担当者ら約 50 名が参加し、世界金融危機の影
響や対ロシア関係、核廃絶論争、海洋の安全保障、オバマ政権のアジア政策、日米中関
係など、アジアが直面する広範な課題について、非公式な場で自由な意見交換が行われ、
中・長期的な政策立案に寄与することが目指された。会議では、今回の金融危機の背景
にはインドの経済自由化路線や中国の対外開放政策によるグローバル化が引き起こし
た global imbalance(世界的不均衡)があることや、中国の台頭と日中関係の改善等により
北東アジアとしてのまとまりが出ている一方で米国と日本を含むアジアの関係が不透
明であることなど、構造的な変化と課題についての指摘が目立った。なお、本会議は前
年に行われた第1回 JIIA-IISS 会議「アジアの戦略的挑戦:共通の政策課題を求めて」
に続くものである。
会議参加者:
ロバート・ブラックウィル
国際戦略問題研究所評議員
リチャード・バート
キッシンジャー・マクラーティー・アソシエイツ上
級顧問
ケント・カルダー
ジョンズ・ホプキンズ大学
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エドウィン・ライシャワー東アジア研究センター所長
マーク・フィッツパトリック
国際戦略問題研究所上席研究員
ジェームス・プリスタップ
米国防大学戦略問題研究所主任研究員
ジェームス・スタインバーグ
米国務副長官
ドヴ・ザクヘイム
ブーズ・アレン・ハミルトン、元米国防次官補
ジョン・チップマン
国際戦略問題研究所所長
ティム・ハクスリー
国際戦略問題研究所常務理事
アジア太平洋安全保障担当上級研究員
アダム・ウォード
国際戦略問題研究所研究部長
フランソワ・ゴドマン
アジア・センター所長
フランソワ・イズブール
国際戦略問題研究所会長
ジェラルド・ヴァリン
フランス海軍インド洋統合司令官
ヴォルカー・スタンゼル
ドイツ連邦外務省政務局長
トーマス・プリンス
在京ドイツ大使館参事官
アラン・デュポン
シドニー大学国際安全保障研究センター所長
ヒュー・ホワイト
オーストラリア国立大学戦略研究部教授
ブラウマ・チェラニー
インド政策研究センター教授
D. K. ジョシ
インド海軍幕僚副長
ツイ・リール
中国現代国際関係研究院院長
ユエ・リンダ
オクスフォード大学研究員
イ・チュンミン
延世大学大学院国際関係学部長
オクサナ・アントネンコ
国際戦略問題研究所ロシア・ユーラシア部長
アレキサンダー・ルーキン
MGIMO 東アジア・センター長
相原 宏徳
TTI・エルビュー株式会社取締役会長
秋山 昌廣
海洋政策研究財団会長
梅本 和義
外務省北米局長
遠藤 哲也
元原子力委員会委員長代理
当研究所上級客員研究員
大江 博
大河原 良雄
防衛省防衛参事官(国際担当)
(財)世界平和研究所理事長
岡本 智博
ユーラシア21研究所軍事問題主任研究員(元空将)
岡本 行夫
岡本アソシエイツ代表、元首相補佐官
小笠原 有輝子
ジャパンタイムズ社長
金田 秀昭
岡崎研究所理事(元海将)
兼原 信克
外務省欧州局参事官
久保 文明
東京大学教授
國見 昌宏
海洋政策研究財団特別顧問
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斎木 尚子
当研究所副所長兼主任研究員
佐々江 賢一郎
外務省外務審議官
佐藤 行雄
当研究所副会長
新保 雅俊
防衛研究所長
髙見澤 將林
防衛省防衛政策局長
西原 正
(財)平和・安全保障研究所理事長
別所 浩郎
外務省総合外交政策局長
野上 義二
当研究所理事長
藪中 三十二
外務省事務次官
山口 昇
防衛大学校教授(元陸将)
吉崎 知典
防衛研究所研究部第5研究室長
古本 陽荘
毎日新聞外信部記者
湯浅 博
産経新聞論説委員
春原 剛
日本経済新聞国際部編集委員
(3)日越対話
当研究所は、平成 21 年 9 月 13 日、ベトナム外交戦略研究所と第 5 回目の会議をベト
ナムのハイフォン市において開催した。会議は全 4 セッションから構成され、以下の通
り議論が行われた。第 1 セッションは「中国の増大する役割と地域へのインプリケーシ
ョン」 のテーマで行われた。ベトナムにとっては中国の台頭が経済的な機会であると
ともに近隣国にとっては不安材料でもあること、中国が 90 年代半ば以降、従来の二国
間関係を中心とした外交に加えて多国間外交も積極的に展開していること、今後 10~
15 年の中国の戦略的な目的は国内的には安定を維持し対外的には平和的な台頭をアピ
ールするだろうことが確認された。第 2 セッションでは「地域の安全保障枠組み」とい
うテーマで、ASEAN の今後の役割について活発な議論が展開された。ASEAN が今後
も多くの安全保障に関する協議で引き続き主導的な役割を果たしていくべきであるこ
とが確認された一方で、ASEAN が ASEAN Way から脱却して、意思決定などでより制
度化しない限り、ASEAN は限界に直面するだろうとの見方も出された。第 3 セッショ
ンでは「ASEAN の役割とその将来」というテーマで、ASEAN の今後の発展の方向性
とベトナムや日本の役割についての議論が行われた。2010 年に ASEAN の議長国である
ベトナムから、中国がこの地域への関与を深める中で日本へのより一層の期待が表明さ
れた。第 4 セッションでは、「日越の包括的協力の強化:ベトナムの経済発展における
日本の直接投資と ODA の役割」というテーマで、日本企業がベトナムで投資をする際
の問題や限界、ベトナム企業の日本市場参入上の問題について、活発な議論が行われた。
全体を通して、日越の間では敏感なテーマも含め率直な意見交換が行われ、多くの分野
での日越協力の潜在的な可能性を感じさせる会議であった。
- 21 -
ベトナム側参加者:
H.E. Bui Thanh Son
Assistant Minister of Foreign Affairs
Ambassador Duong Van Quang
President, Diplomatic Academy of Vietnam (DAV)
Ambassador Nguyen Tam Chien
Senior Adviser of Institute of Foreign Policy and Strategic
Studies (IFPSS), DAV
Dr. Nguyen Vu Tung
First Deputy Director General of IFPSS, DAV
Dr. Pham Quoc Tru
Deputy Director General of IFPSS, DAV
Dr. Vu Le Thai Hoang
Head of Policy Analysis Division, Department of Foreign
Policy, MOFA
Ms. Nguyen Phuong Hong
Deputy Director General of Department of North East
Asia, MOFA
Mr. Nguyen Tien Phong
Assistant Director General, Director of External
Cooperation Department, DAV
Ms. Nguyen Thi Hai Yen
Head of Division of Foreign Languages, Centre for
Continuing Education, DAV
Ms. Nguyen Thi Thin
Dean of Department of Education, DAV
Ms. Khong Thi Binh
Deputy Director of the Centre for Political and Security
Studies, IFPSS, DAV
Mr. Ha Anh Tuan
Deputy Director of the Centre for Political and Security
Studies, IFPSS, DAV
Mr. Nguyen Trung Dung
Desk Officer, External Cooperation Department, DAV
Ms. Le Thi Thu Thuy
Desk Officer, General Office, DAV
Dr. Nguyen Van Thanh
First Vice Chairman of Hai phong People’s Committee
Mr. Pham Van Moi
Chief of the Hai phong People’s Committee Secretariat
日本側参加者:
相星
孝一
駐ハノイ日本大使館公使
高木
誠一郎
当研究所客員研究員・青山学院大学教授
佐藤
考一
桜美林大学教授
小笠原
高雪
山梨学院大学教授
鷺坂
真聡
駐ハノイ日本大使館二等書記官
渡辺
紫乃
当研究所研究員
(4)日 NZ 対話
平成 21 年 9 月 11 日にニュージーランド(NZ)大使館において意見交換会を開催し
た。本会議では、「中国の対外関係」「東アジアの地域協力」「北東アジア」の3つのテ
ーマについて議論が行われた。尚、本会議は、NZ 側参加者が本会議開催日の前週に北
- 22 -
京と上海を訪れ、政府関係者や研究者と意見交換を行ったことを踏まえ、NZ 側が現地
で得た知見を基に意見交換を行うスタイルをとった。
日本側参加者:
斎木
尚子
当研究所副所長
高木
誠一郎
青山学院大学教授・当研究所客員研究員
村井
友秀
防衛大学校教授
大庭
三枝
東京理科大学准教授
湯澤
武
当研究所研究員
渡辺
紫乃
当研究所研究員
ニュージーランド側参加者:
Ian Kennedy
Ambassador, New Zealand Embassy, Japan
Richard Grant
Executive Director, Asia New Zealand Foundation
Brian Lynch
Michael Powles
Director, The New Zealand Institute of International Affairs
Senior Fellow, Centre for Strategic Studies, Victoria University
Jian Yang
Senior Lecturer, Auckland University
David Capie
Senior Lecturer, Victoria University
Beth Greener-Barcham Senior Lecturer, Massey University
(5)東アジア共同体シンポジウム
平成 22 年 3 月 17 日に東京に於いて公開シンポジウム「東アジア共同体の構築を目指
して」を開催した。本シンポジウムは、以下の 2 点を主な目的とした。1)東アジア共
同体構想を広く一般に周知する、2)現在提起されている共同体構想を含めた様々な地
域協力の現状と課題について共通理解を深めるとともに、最終的な共同体の実現に向け
てどのような具体的方策をとることができるのかを議論することで今後の議論の発展
を促す。
本シンポジウムでは、冒頭に鳩山由紀夫内閣総理大臣にご挨拶いただくとともに、下
記の通り、幅広い国から著名な方々にパネリストとしてご参加いただき、活発な議論が
交わされた。また、会場へも 400 名を越える参加者が集まり、上記の目的に適う、非常
に内容の濃い、意義深いシンポジウムとなった。
司会者:
野上
義二
当研究所理事長
道傳
愛子
NHK解説委員
パネリスト:
白石
隆
内閣府総合科学技術会議議員/アジア経済研究所所長
船橋
洋一
朝日新聞社主筆
- 23 -
T・J・ペンペル
カリフォルニア大学バークレー校教授
王
逸舟
北京大学国際関係学院副院長
孔
魯明
世宗財団理事長/元駐日大使/元韓国外交部長官
エズラ・F・ボーゲル
ハーバード大学名誉教授
ラジーブ・シクリ
元インド外務省次官
トミー・コー
シンガポール無任所大使/シンガポール国立大学教授
ピーター・ドライスデール
オーストラリア国立大学名誉教授
(6)アジア太平洋安全保障協力会議(CSCAP)
当研究所は、CSCAP 発足時より CSCAP 日本代表として、また日本委員会の事務局と
して機能してきたが、これまで当研究所が果たしてきた役割については CSCAP 各国の
間でも高く評価されている。近年においては「北東アジア/北太平洋の多国間安全保障
ガバナンス」作業グループと「アジア太平洋における海軍強化」作業グループの共同議
長国として、CSCAP の研究活動をリードしている。「北東アジア/北太平洋の多国間安
全保障ガバナンス」作業グループは、現在進行する六者協議やその他多国間制度の動向、
また地域主要国の外交・安全保障政策を考察することによって、北東アジア地域に多国
間安全保障メカニズムを構築するためにいかなる方策をとるべきかを明らかにするこ
とを目的としている。また、「アジア太平洋における海軍強化」作業グループは、近年
アジア諸国間で顕著になっている海軍力強化の流れが地域の安全保障に与える影響や
各国海軍間の信頼醸成を高める方策などについて考察している。また各作業グループに
は、各研究分野の一線で活躍する有能な日本人研究者を派遣し、議論および研究成果に
影響を及ぼすことを通して CSCAP 日本委員会のプレゼンスの強化を図っている。今年
度開催された CSCAP 作業グループと日本委員会からの参加者は以下の通りである。
1)「アジア太平洋の海軍強化」
第1回会合:平成21年5月25-26日
於:シンガポール
第2回会合:平成22年3月26-28日
於:オークランド(ニュージーランド)
日本からの参加者:金田秀昭
(岡崎研究所理事・当研究所客員研究員)
2)「アジア太平洋における国際犯罪グループ拠点」
第1回会合:平成21年5月1-2日
於:バンコク
第2回会合:平成21年10月10-11日
日本からの参加者:山田哲也
於:プーケット
(南山大学教授)
- 24 -
3)「アジア太平洋における大量破壊兵器の不拡散」
第9回会合:平成21年6月29-30日
於:北京
第10回会合:平成21年12月7-8日
於:ハノイ
日本からの参加者:黒澤満(大阪女学院大学教授・軍縮・不拡散促進センター客員研究
員)
4)「保護する責任」
第1回会合:平成22年2月25-27日、於:ジャカルタ
日本からの参加者:星野俊也
(大阪大学教授)
5)「輸出管理専門家会合」(大量破壊兵器の不拡散作業グループのサブグループ)
第5回会合:平成21年12月9-10日、於:ハノイ
日本からの参加者:佐藤丙午
(拓殖大学教授)
6)「気候変動の安全保障へのインプリケーション」
第2回会合(最終会合):平成21年5月30日-31日、於:クアラルンプール
日本からの参加者:野村康
(名古屋大学大学院准教授)
5. 欧州の新時代
(1)NATO 研究会
NATO は 2009 年に創設 60 周年を迎え、2010 年には新しい戦略概念(strategic concept)
の採択を控えている。現在 NATO は大きな岐路に立っており、日本にとっても今後の
NATO の動向を踏まえておくことは重要となっている。このような問題意識に鑑み、平
成 21 年度において前年度に引き続き NATO をテーマとする研究会を実施し、NATO に
ついての研究を行った。
具体的には NATO の現在の動向や主要な加盟国の NATO 政策、
NATO とその周辺地域との関係などをテーマに平均月 1 回の頻度で研究会を行い、報告
書を作成した。
研究会委員
主査:
内藤
昌平
当研究所客員研究員
委員:
岩間
陽子
政策研究大学院大学准教授
河東
哲夫
Japan and World Trends 代表・東京財団上席研究員
鶴岡
路人
防衛研究所教官
広瀬
佳一
防衛大学校教授
宮原
信孝
久留米大学教授
吉崎
知典
防衛研究所第 5 研究室室長
渡部
恒雄
東京財団上席研究員
- 25 -
委員兼幹事:
小窪
千早
当研究所研究員
(2)日独協議
平成 22 年 2 月 16‐17 日、ドイツのドイツ国際安全保障問題研究所(SWP)との第 6
回目の協議が当研究所にて行われた。安全保障、不拡散問題、アジアにおける日中印 3
カ国の関係、環境問題について、それぞれ和やかな中にも活発な議論が展開された。安
全保障のセッションについては、日独及び日欧の安全保障協力の可能性について、特に
破綻国家への対処などを中心に議論がなされ、不拡散問題のセッションでは、最近の「グ
ローバル・ゼロ」に対する日本の取り組みやドイツにおける NATO の核の共有の問題が
言及されたほか、新しい不拡散体制の構築の重要性などについて議論がなされた。アジ
アにおける日中印 3 カ国のセッションでは、中国やインドを国際社会の様々な問題に対
して如何にグローバル・ガバナンスに取り込むかといった問題などが議論された。環境
問題については、気候変動問題について、COP15 の結果を踏まえて、気候変動問題に
ついて、京都議定書に入っていない国々も含めて新しい枠組みをどう作るかやその中で
日欧が果たしうる役割などについて議論がなされた。
日本側参加者:
野上
義二
当研究所理事長兼所長
斎木
尚子
当研究所副所長
伊藤
剛
明治大学政治経済学部教授
佐藤
丙午
拓殖大学海外事情研究所教授
鶴岡
路人
防衛省防衛研究所教官
中井
良文
学習院大学法学部教授
星野
俊也
大阪大学大学院国際公共政策研究科教授
水谷
章
一橋大学国際公共政策大学院教授
高木
誠一郎
当研究所客員研究員・青山学院大学国際政治経済学部教授
内藤
昌平
当研究所客員研究員
西村
六善
当研究所客員研究員
小窪
千早
当研究所研究員
SWP 側参加者:
Vorker PERTHES
ドイツ国際安全保障問題研究所所長
Christian WAGNER
ドイツ国際安全保障問題研究所アジア課主任
Markus KAIM
ドイツ国際安全保障問題研究所国際安全保障課主任
Markus TIDTEN
ドイツ国際安全保障問題研究所アジア課上席研究員
Bernt BERGER
ドイツ国際安全保障問題研究所アジア課研究員
Oliver GEDEN
ドイツ国際安全保障問題研究所 EU 統合課研究員
- 26 -
(3)アデナウアー財団との協議
平成 21 年 12 月 3 日、ドイツのアデナウアー財団(Konrad Adenauer Stiftung)との会
議が当研究所で行われた。会議では、日欧の安全保障協力、アジア地域における地域協
力の枠組み、アフガニスタン問題について、活発な議論が展開された。日欧の安全保障
協力のセッションでは、日本と NATO、EU との協力の可能性について議論され、アジ
ア地域における地域協力の枠組みでは、アジアにおける様々な協力の枠組みの可能性と
限界について議論がなされた。また、アフガニスタンのセッションでは、日独双方のア
フガニスタンへの取り組みについて言及がなされ、また現地の軍や警察を養成すること
が急務であるという点などが議論された。
日本側参加者:
野上
義二
当研究所理事長
斎木
尚子
当研究所副所長
岩間
陽子
政策研究大学院大学教授
内藤
昌平
当研究所客員研究員
中内
政貴
平和・安全保障研究所研究員
佐橋
亮
東京大学特任助教
田中
浩一郎
エネルギー経済研究所理事
鶴岡
路人
防衛研究所教官
柳
秀直
元駐ドイツ公使
吉崎
知典
防衛研究所第 5 研究室長
小窪
千早
当研究所研究員
アデナウアー財団側参加者:
Colin Dürkop
Axel Berkofsky
Narayanan Ganesan
Regional Representative, Konrad Adenauer Stiftung, Seoul
Professor, University of Pavia, Italy
Professor, Hiroshima Peace Institute, Hiroshima City
University
Akio Konuma
Secretary General, Konrad Adenauer Stiftung
Tomonokai,Tokyo/Japan
Haruo Oba
Former Professor, University of Tsukuba
Klaus Olshausen
President, Clausewitz Association, Germany
Anna Prinz
Minister, Embassy of the Federal Republic of Germany
Thomas Prinz
Counselor, Embassy of the Federal Republic of Germany
Peter Roell
President, Institute for Strategy, Policy, Security and
Economic Consultancy, Germany
- 27 -
Cara Scheif
Volker Stanzel
Delegation of the European Union to Japan
Ambassador, Embassy of the Federal Republic of Germany
Yoshihiko Sugano
Sugano & Partner Consulting Office
Ralph Thiele
Chairman, Political-Military Association, Germany
Atsuyoshi Yatsunami
Association of German Pfandbrief Banks
Kanokporn Suriya
Konrad Adenauer Stiftung, Singapore
Lee Hye Kyung
Konrad Adenauer Stiftung, Singapore
(4)日仏協議
平成 21 年 1 月 14 日午後、フランスの研究所アジアセンターとの会議が当研究所にお
いて行われた。会議では、安全保障における新しい脅威への対処と協力をテーマに、日
仏双方の、伝統的脅威への対応と、非伝統的脅威への対応と協力の可能性について議論
がなされた。非伝統的脅威のセッションでは、海賊対策やテロ対策、そして民軍協力の
重要性などについて議論され、日仏双方の取り組みと協力の可能性などについて意見交
換がなされた。伝統的脅威のセッションでは、不拡散問題に焦点を当て、北朝鮮の核開
発の問題などについて意見交換がなされた。
日本側参加者:
野上
義二
当研究所理事長
斎木
尚子
当研究所副所長
猪口
邦子
日本学術会議会員、前衆議院議員
金田
秀昭
当研究所客員研究員
兼原
信克
外務省欧州局参事官
古川
勝久
科学技術振興機構研究員
秋山
信将
一橋大学准教授
内藤
昌平
当研究所客員研究員
小窪
千早
当研究所研究員
フランス・アジアセンター側参加者:
Joelle Garriaud-Maylam
Pierre Mayaudon
フランス上院議員
国防省装備局副局長
Contre-amiral Yves Joly
海軍准将、統合参謀本部軍備管理局局長
Christian Lechervy
外務省予測局副局長
François Godement
アジアセンター所長
Guibourg Delamotte
アジアセンター研究員
- 28 -
6. ユーラシアの動向
(1)ロシア研究会
平成 21 年度ロシア研究会は、昨年度からの継続研究課題「ロシアの政策決定―政治
的諸勢力の政策決定に及ぼす影響」について、8 回の研究会および現地調査(5 名)を
実施し、課題研究を深く進展させた。これらの成果を 2 年にわたる研究の集大成として
報告書に取りまとめ、平成 21 年度末に提出した。具体的な成果は、全般的な政治情勢
分析に加え、(1)政策決定構造における内務省、連邦保安庁などの「シロヴィキ」グ
ループの影響力分析、
(2)対外経済政策の決定構造-WTO 加盟交渉過程、地下資源法
と外資規制法成立過程、2012 年 APEC 開催準備過程-(3)メドヴェージェフ政権の
軍事政策決定過程と軍需企業の実態解明、
(4)NPO 法設立をめぐる立法過程および対
外政策決定過程について大統領府の影響力、ソ連外交政策との継続性、などである。
研究会委員
主査:
横手
慎二
慶応義塾大学法学部教授
委員:
上野
俊彦
上智大学外国語学部教授
大野
成樹
旭川大学経済学部准教授
金野
雄五
みずほ総合研究所主任研究員
寺山
恭輔
東北大学東北アジア研究センター准教授
永綱
憲悟
亜細亜大学国際関係学科教授
兵頭
慎治
防衛研究所研究本部主任研究官
伏田
寛範
京都大学大学院経済学研究科後期博士課程
山内
聡彦
NHK 解説委員
道上
真有
当研究所研究員
委員兼幹事:
(2)日米露会議
平成 22 年 3 月 29 日から 30 日にかけて、米国ワシントン DC の戦略国際問題研究所
において、当研究所と米国戦略国際問題研究所(CSIS)、ロシア世界経済国際関係研究
所(IMEMO)の三機関の共催による「第 1 回日米露三極有識者会合」の第一回会合「北
東アジアにおける安全保障の課題」が開催された。会議では 1 日目に第 1 セッション「北
東アジアにおける通常戦力バランスの変化とその安全保障上の脅威」
、2 日目に第 2 セ
ッション「北東アジアにおけるエネルギー安全保障」と第 3 セッション「北東アジアに
おける核安全保障」という計 3 つのセッションが開かれ、各テーマの下で順次報告と質
疑応答が行われた。中国の台頭による北東アジア安全保障のバランスの変化、北朝鮮の
核問題、ロシアの天然資源をめぐるエネルギー需給の安定性など、北東アジア地域の新
たな諸課題に対処していく上での国際協力の可能性について議論が繰り広げられた。こ
の会合は今後 3 年かけて議論を積み重ね、最終的には各国政府への政策提言をまとめる
予定である。
- 29 -
日本側参加者
野上
義二
当研究所理事長
伊藤
庄一
米戦略国際問題研究所客員研究員
岩下
明裕
北海道大学スラブ研究センター長
梅本
哲也
静岡県立大学教授
金田
秀昭
当研究所客員研究員
下斗米
伸夫
法政大学教授
高原
明生
東京大学教授
西原
正
平和・安全保障研究所理事長
横川和穂
当研究所研究員
(オブザーバー)
兼原
信克
外務省欧州局参事官
滝崎
成樹
外務省総合外交政策局安全保障政策課長
アメリカ側参加者
John Hamre
CSIS 所長
CSIS 上級研究員
Ed Chow
Bonnie Glaser
CSIS 上級研究員
Michael Green
CSIS 上級顧問
Douglas Hengel
米国務省次官補代理
Andrew Kuchins
CSIS 欧州・ユーラシア部長
Michael McDevitt
新アメリカ安全保障研究所(CNAS)副所長
Sharon Squassoni
CSIS 不拡散プログラム長兼上級研究員
Michael Swaine
カーネギー国際平和財団上級研究員
(キーノートスピーカー)
Kurt Campbell
米国務次官補
Joseph Nye
ハーバード大学ケネディ行政大学院名誉教授
Michael McFaul
大統領特別補佐官、国家安全保障会議(NSC)ロシア・ヨーロ
ッパ問題担当上級部長
ロシア側参加者
Alexander Dynkin
IMEMO 所長
Alexei Arbatov
IMEMO 国際安全保障センター長
George Kunadze
IMEMO 主任研究員
Vasily Mikheev
IMEMO 副所長
Elena Telegina
ロシア国立石油ガス大学教授
- 30 -
Vasily Usoltsev
ロシア連邦国家院議員
Fedor Voitolovsky
IMEMO 上級研究員
Roman Tkachenko
Usoltsev 国家院議員補佐
Vladimir Dvorkin
元ロシア国防省第四中央研究所長
7. 中東情勢
(1)2009 年大統領選後のイランの総合的研究―内政、外交、国際関係―
本研究会の目的は、2009 年大統領選挙以降のイラン情勢を踏まえ、同国の内政・外
交政策に関する考察を行うこと、およびイラン情勢が中東地域・国際政治に及ぼす影響
について総合的に論究することである。昨今のイラン国内における政治エリート間の亀
裂は著しく、先の大統領選挙後には、改革派を中心にイスラーム共和国体制の既存権益
層に対する異議申し立てが顕現化した。本研究会では、未だ実態解明がなされていない
同国内政・外交に対する詳細な分析を行い、その政策決定過程に関して分析を加え、同
国が直面する国内的課題について検討した。また、イラン情勢は一国内でとどまる性質
のものではなく、中東地域、さらには国際政治にまで影響を及ぼすものである。周知の
ように、イランの進める核開発は国際社会が直面する重要課題となっている。また、イ
ラク・アフガニスタン・湾岸諸国・レバノンなど周辺国に対する影響力も強固であり、
エネルギー・経済問題の点からも重要なアクターである。本研究会では、イラン内政・
外交に関する分析を踏まえ、域内・国際政治のより広い視野からも考察を行ない、イラ
ンに関する総合的な調査研究を目指す。研究会実施にあたっては、イランに関する専門
家・有識者の他に、中東・米国・核不拡散など諸分野の専門家・有識者による研究体制
を構築し、成果物として研究報告書を作成した。
研究会委員
主査:
山内
昌之
東京大学大学院教授
委員:
秋山
信将
一橋大学准教授
大野
元裕
財団法人
中東調査会上席研究員
加藤
普
財団法人
総合研究開発機構理事
佐藤
秀信
法務省法務事務官
鈴木
恵美
早稲田大学准教授
高岡
豊
上智大学研究補助員
立山
良司
防衛大学校教授
山﨑
和美
中東調査会研究員
横田
貴之
当研究所研究員
委員兼幹事
- 31 -
(2)日イラン協議
当研究所は、平成 21 年 9 月 29 日に東京において、イラン外務省付属政治国際問題研
究所(IPIS)との共催で、第6回日本イラン・ラウンドテーブルを開催した。第1セッ
ション「地域情勢―中東と北東アジア」では、北朝鮮の核開発問題を中心に北東アジア
情勢、パレスチナ問題とアフガニスタン問題を中心に中東情勢に関する報告がなされた。
第2セッション「国際関係におけるイラン」では、イランについて国際政治の大きな枠
組みの中で議論することを目的とした。第3セッション「イラン外交-対日・対米関係
を中心に」では、イランの外交政策について、対米・対日関係を中心に報告が行われた。
会議を通じて、イラン側からは、地域大国としての強い自負・誇りとともに、欧米諸国
に対する不満や要望が強く感じ取られた。日本側からは、オバマ政権誕生の中で、イラ
ンの「変化」に対する期待も指摘された。また、参加者からは当研究所と IPIS のさら
なる研究交流・共同研究の発展や、人的交流の促進を望む意見が多く出された。今後の
日イラン協議では、経済分野に関するアジェンダを設ける必要性も述べられた。
日本側参加者:
野上
義二
当研究所理事長
須藤
隆也
当研究所軍縮・不拡散促進センター シニア・アドバイザー
倉田
秀也
防衛大学校教授
松永
泰行
東京外国語大学准教授
田中
浩一郎
日本エネルギー経済研究所理事・中東研究センター長
中西
久枝
名古屋大学教授
直井
洋介
日本原子力研究開発機構核不拡散科学技術センター技術主席兼計
画推進室長
星野
守
三菱商事業務部長代行
濱田
和子
日本原子力研究開発機構
横田
貴之
当研究所研究員
イラン側参加者:
Amb. Seyed Rassoul Mousavi
Director General, IPIS
Amb. Jala Kalantari
Director for Asia and Pacific Studies, IPIS
Amb. Syed Abbas Araguchi
Ambassador of Islamic Republic of Iran to Japan
Ms. Mansoureh Sharifi
Deputy Chief of Mission/ Minister-Counselor, Iranian
Embassy in Japan
Mr. Siayosh Jafari
Second Counselor, Iranian Embassy in Japan
Mr. Mohammad Darabi
Third Counselor, Iranian Embassy in Japan
Mr. Javad Momeni
First Secretary, Iranian Embassy in Japan
- 32 -
(3)日エジプト協議
当研究所は、平成 22 年 2 月 7 日にカイロにおいて、アフラーム政治戦略研究所
(ACPSS)との共催で、第1回日本エジプト・ラウンドテーブルを開催した。第 1 セッ
ション「中東和平」では、昨今の中東和平の現状分析を踏まえ、日・エジプト両国の中
東和平への取り組み、さらには将来的展望が議論された。第 2 セッション「イラン問題」
では、2009 年大統領選挙以降のイラン情勢について、内政・外交の両面から詳細な分
析が加えられた。第 3 セッション「日エジプト二国間関係」では、日本とエジプトの二
国間関係について、これまで経済・技術協力が中心であった両国関係のさらなる発展の
余地について、日・エジプト双方から活発な議論が交わされた。参加者の間からは、当
協議のような研究交流や共同研究プロジェクトの促進が、両国関係の強化には必須であ
るとの意見が多数述べられ、さらなる交流発展を確認しあった。
日本側参加者:
斎木
尚子
当研究所副所長
池田
明史
東洋英和女学院大学教授
佐藤
秀信
法務省法務事務官
松本
太
在エジプト日本大使館参事官
池内
恵
東京大学准教授
横田
貴之
当研究所研究員
エジプト側参加者:
Gamal Abdel-Gawad Sultan
Director of ACPSS
Diaa Rashwan
Deputy Director of ACPSS
Magdy Sobhy
Deputy Director of ACPSS
Emad Gad
Research Fellow of ACPSS
El-Sayyed Yasin
Consultant of ACPSS
Mohamed Fayez Farahat
Managing Editor of ACPSS
Hassan Abou Taleb
Consultant of ACPSS
その他約 10 名のオブザーバー
8. 紛争と開発
(1)IISS Manama Dialogue
第6回マナマ会議は、英国の国際戦略研究所(IISS)が、2004 年から毎年、バーレー
ンのマナマで開催しているもので、民間主催であるが、実質的な「中東地域大臣級安全
保障会合」となっている。
本会議には、中東地域を中心に、関心を有する欧州、アジアなどの各国外務・国防大
臣や国軍司令官、外交、防衛、軍当局者が集まり、民間の研究者などとともに、地域の
- 33 -
安全保障、軍事(防衛)問題の率直な意見交換を通じて、相互理解の進捗や信頼感の醸
成を図り、また特にこの機会を利用して、色々な組み合わせによる 2 国間または多国間
の外務・国防(防衛)首脳対話を行い、様々な懸案事項の解決に結び付ける役割を果た
しつつある。
開催国であるバーレーンからは、後継王子のハリーファ国軍総司令官やハリーファ副
首相(別人)ほか外交・国防最高首脳が多数参加した他、湾岸諸国からはクエートのサ
レム副首相、イランのモッタキ外相、イラクのジバリ外相、UAE のナハヤン外相が参
加し、域外からは、イエメンのアニシ官房長官、トルコのゴウヌル国防相、アフガニス
タンのステンザイ大統領顧問、パキスタンのクエルシ外相、インドのナラヤン首相顧問、
ドイツのシュミット国務大臣、日本の榛葉防衛副大臣など、計 28 ヶ国、2 機関(NATO、
UN)の安全保障首脳が一同に会し、活発な議論が繰り広げられた。
本会議のハイライトは、湾岸諸国固有の課題である「GCC 諸国の結束」、「イラクの
安定」、
「イランの脅威」及び「イエメンの統合」に加え、先行きに不安材料を多く抱え
る「アフガンの出口戦略」、及び海上テロや海賊対処など「海上における安全保障」で
あり、当研究所から金田秀昭・客員研究員が参加した。
9. 地球温暖化問題等
(1)新しい核の秩序構想タスクフォース・フェーズ2研究会
2008 年の G8 北海道洞爺湖サミットに対し、当研究所より安全と安心に配慮した原
子力の国際展開のあり方について提言を出したフェーズ1の活動を引き継ぎ、2010
年に開催が予定されている核兵器不拡散条約(NPT)運用検討会議に向けて、再度原
子力の平和利用の国際展開のあり方および核軍縮の進め方について提言する。
2010 年の NPT 運用検討会議は、近年の核軍縮の機運、原子力平和利用の拡大の中
で非常に重要な会合であるとの認識が高まりつつある。G8 洞爺湖サミットでは、原
子力の重要性を共通認識として持ち、平和利用推進に当たって核不拡散(保障措置)、
核セキュリティ、原子力安全の3つの S がきわめて重要とのメッセージが発信された
が、これをさらに掘り下げ、実際に国際的な原子力の展開のなかでどう実現していく
かの議論を深める必要がある。NPT の 3 本の柱の一つである核軍縮についても、米国
から核廃絶論や、日豪のイニシアティブによる核不拡散・軍縮国際委員会の活動など
の動向を踏まえ、2010 年 5 月に行なわれる NPT 運用検討会議を成功に導き、平和利
用と軍縮の両面において国際社会の新しいコンセンサス形成に向けた政策提言を発
出する。
研究会委員
主査:
遠藤 哲也
委員:
秋元
勇巳
阿部
達也
元原子力委員会委員長代理・当研究所上級客員研究員
(財)日本原子力文化振興財団理事長
青山学院大学国際政治経済学部准教授
- 34 -
伊藤
隆彦
中部電力(株)顧問
内山
洋司
筑波大学教授
小川
伸一
立命館アジア太平洋大学客員教授
岡崎
俊雄
日本原子力研究開発機構理事長
西原
正
平和・安全保障研究所理事長
委員兼幹事:秋山 信将
一橋大学准教授・当研究所客員研究員
(2)日蘭・水シンポジウム
当研究所では平成 21 年 6 月 25 日から 26 日にかけて、東京と岐阜県大垣市において
地球温暖化と水害対策をテーマにした国際会議と公開シンポジウムを日蘭両国の専門
家を招いて行った。26 日には駐日オランダ王国大使館、内閣府、外務省、国土交通省、
環境省、日本水フォーラムの後援を受けて、国際会議「日蘭シンポジウム東京会議~水
を通じた気候変動への適応:日蘭両国はどう取り組むか~」を開催した。日蘭修好 400
周年を記念して行われた本会議では、日蘭の水害対策の歴史やオランダの新デルタプラ
ンや日本の気候変動適応策などの具体策が報告され、皇太子殿下もご聴講された。翌
26 日には岐阜県大垣市において岐阜県、大垣市、中日新聞社との共催で「日蘭水シン
ポジウム 2009 in ぎふ~迫りくる巨大水害にどう対応するか?日蘭の経験を基に~」を
開催した(後援:駐日オランダ王国大使館、国土交通省中部地方整備局、助成:日本財
団、国際交流基金、財団法人 大垣国際交流協会)
。シンポジウムでは冒頭に、堤防等の
人工物の建設を中心とした水資源管理と自然との調和の問題を指摘した駐日オランダ
王国大使の基調講演と、岐阜県の治水対策にゆかりの深い、木曽三川分流工事を完成さ
せたオランダ人技師デレーケについての講演が行われ、その後、日蘭の治水対策につい
てのパネルディスカッションが行われた。公開シンポジウムには約 200 名が参加し、共
に海抜ゼロメートル地帯を抱える岐阜県とオランダの間で知見の交換が行われた。なお、
会議は日本財団および国際交流基金の助成を受けた。
(3)アトランティック・カウンシル等との協議
当研究所は、アトランティック・カウンシル、National Intelligence Council、Transatlantic
Policy Network E.U. Institute for Security Studies との共催で、平成 21 年 12 月 10 日、当研究所
大会議室において日米欧各国の政府関係者、学者、民間人などの有識者が一堂に会し、「グ
ローバル・ガバナンス 2025」と題する意見交換会を行った。今回の来日チームは「国家情
報会議(NIC: National Intelligence Council)」が 2008 年 11 月に発表した『グローバル・トレ
ンド 2025:変化する世界』(Global Trends 2025: Transformed World)の作成にあたって、中
心的な役割を果たした米欧の有識者によって構成されていた。
補足すると、NIC はインテリジェンス・コミュニティからの情報に基づき、アメリカ合衆
国大統領のために中・長期的予測を行う諮問機関である。15~20 年間に渡る世界の政治情
勢の予測のほか、同機関は、「国家情報評価(NIE: National Intelligence Estimates)」と称さ
- 35 -
れるより短期的な評価を大統領のために作成している。NIE は、大統領と政府閣僚のみが受
領しるもので、その作成には民間出身者も多数参加している。
上述の『グローバル・トレンド 2025:変化する世界』という報告書は 2025 年の世界情勢
を予測しようとするもので、「グローバル化する経済」、「人口問題」、「グローバル世
界における新たなプレイヤー」、「豊かさの中での欠乏」、「紛争の潜在的要因」、「現
在の世界システムは潜在的脅威に対するのに十分なのか?」、「多極化する世界の中での
協力関係」という章立てで構成され、2025 年の世界情勢を踏まえ、その政策的含意につき
検討したものである(同報告書はインターネットよりダウンロード可能)。
(http://www.dni.gov/nic/NIC_2025_project.html )。
今回の会議の目的は、同報告書の内容を踏まえ今後 10~15 年後のグローバル・トレ
ンドの予想される趨勢に付き、日本側の有識者からもヒアリングを行うことで今後発行
が予定されている『グローバル・トレンド 2030』をより多面的なものにしようという
ものであった。
セッション 1 では地球環境問題およびエネルギー問題、ならびに金融や貿易など、ソ
シオ・エコノミックな争点とグローバル・ガバナンスとの関連についての分析と討議が
なされた。セッション 2 では破綻国家と地域紛争、テロ、核不拡散、海賊問題などのハ
ード・セキュリティ問題についての討議が行われた。最後にセッション 3 では新しい国
際的制度やレジーム構築の可能性、非政府系主体の活動についての討議が行われた。
日本側参加者:
斎木 尚子
当研究所副所長
森本 敏
拓殖大学教授
西村 六善
内閣官房参与
菊池 努
青山学院大学教授・当研究所客員研究員
前田 匡史
国際協力銀行資源金融部長
吉崎 知典
防衛研究所研究部第5研究室長
飯山 雅史
読売新聞調査研究本部主任研究員
佐島 直子
専修大学教授
山田 哲也
南山大学教授
川上 高司
拓殖大学教授
安藤 重実
外務省経済局国際経済課
美甘 哲秀
丸紅経済研究所副所長
鶴岡 路人
防衛研究所研究部第7研究室教官
渡辺 紫乃
当研究所研究員
西川 賢
当研究所研究員
- 36 -
米欧側参加者:
William Burke-White
Policy Planning Staff, U.S. Department of State
Mathew Burrows
Counselor, National Intelligence Council
Patrick deGategno
Associate Director, Asia Programs, Atlantic Council
James Elles
Member European Parliament, Chairman, Transatlantic Policy
Network
Banning Garrett
Director, Asia Programs, Atlantic Council
Giovanni Grevi
Senior Research Fellow, E.U. Institute for Security Studies
Rosemary Opacic
Administrator, Committee on Foreign Affairs, European
Parliament
Gudrun Wacker
II
Senior Research Fellow, Stiftung Wissenschaft und Politik
国内政策論議の推進
1.
JIIA 国際フォーラム
平成 21 年度は、ウォレス・グレッグソン米国防総省次官補、ジョン・ルース駐日米
国大使、サイエド・ラスール・ムサヴィー・イラン政治国際問題研究所所長、麻生太郎・
内閣総理大臣(当時)、中曽根弘文・外務大臣(当時)、リチャード・ホルブルック米国
アフガニスタン・パキスタン担当特別代表を含む 24 件の JIIA 国際フォーラムを開催し
た。
JIIAフォーラム開催実績一覧
回
開催日
報告者
テーマ
場所
数
グナージャブ・バトジャルガル
24
モンゴル外交・貿易省
3 月 19 日
「外交と開発」
大会議室
戦略計画・監査・調査・評価局長
23
ドミトリー・ヴィタリエヴィチ・トレーニン・カーネ
「アジア太平洋地域の安全保障環境
ギー・モスクワセンター所長
と米露関係」
3 月 10 日
大会議室
ジョン・アイケンベリー・プリンストン大学ウッドロ
22
3月1日
「21 世紀の日米同盟を見通す」
ホテルオークラ
マラム・シュテルン・世界ユダヤ人会議(WJC)副議長
「ユダヤ人コミュニティーの現在」
大会議室
ガイ・ミルトン・
「リスボン条約下における EU の共
EU 理事会事務局法務部機構間関係局課長
通外交安全保障政策」
イクローディ・ガーボル・
「リスボン条約発効後のEU
ハンガリー外務省専門次官ほか
—中東欧諸国の視点から-」
ー・ウィルソン公共政策大学院教授
21
2 月 25 日
20
2 月 23 日
19
大会議室
2月1日
大会議室
- 37 -
ウォレス・グレッグソン・米国国防総省次官補
18
2月1日
東海大学
「日米同盟について」
(東アジア・太平洋担当)
校友会館
石川県立音楽堂
17
1 月 29 日
西村六善・内閣官房参与(気候変動問題担当)ほか
「~気候変動問題と日本の将来~」
交流ホール
16
1 月 29 日
15
1 月 26 日
高須幸雄・日本政府国連代表部特命全権大使
「日本の国連外交の課題」
大会議室
ジャック・クラウチQNA社戦略開発担当副社長・
「日米同盟を考える:
霞が関ビル1階
元アメリカ合衆国大統領次席補佐官
米国防政策の視点から」
プラザホール
エイミー・シーライト・ジョージワシントン大学エリ
「アメリカとアジアの地域主義
14
12 月 11 日
大会議室
オットスクール非常勤教授兼米戦略国際問題研究所
―外部からの見方―」
(CSIS)非常勤研究員
13
12
トム・マリノフスキ・ヒューマン・ライツ・ウォッチ
「オバマ政権の人権外交政策と
ワシントン・アドボカシー・ディレクター
その課題」
12 月 4 日
ジョン・V・ルース・駐日米国大使
「日米関係の多面性」
帝国ホテル
12 月 3 日
ボニー・ジェンキンス・米国国務省脅威削減
原子力平和利用と核不拡散、
浜離宮
プログラム調整官(大使)ほか
核軍縮にかかわる国際フォーラム
朝日小ホール
エドワルド・ナルバンジャン・アルメニア外務大臣
「アルメニア外交の現状」
ホテルオークラ
「日米同盟の未来」
大会議室
「現下の中東情勢」
ホテルオークラ
「アフガニスタン:今後の課題」
大会議室
12 月 8 日
大会議室
11
-4 日
10
11 月 26 日
9
11 月 9 日
リチャード・ローレス・元米国防省副次官
アジア・太平洋問題担当ほか
トルキー・アル=ファイサル殿下・
8
10 月 21 日
キング・ファイサル財団理事長
サイエド・ラスール・ムサヴィー・
7
9 月 30 日
イラン政治国際問題研究所(IPIS)所長
6
7 月 28 日
5
7月9日
佐藤行雄・財団法人日本国際問題研究所 副会長
「核廃絶運動 『グローバル・ゼロ』」 大会議室
ナブラチチ・ティボル・フィデス議員団長
「ハンガリー経済状況と
(ハンガリー)
今次金融危機克服に向けた課題」
大会議室
「麻生太郎・内閣総理大臣による
4
6 月 30 日
麻生太郎・内閣総理大臣
帝国ホテル
外交政策演説」
「東西文明の交差点・アゼルバイジ
エルマル・メメディヤロフ・
3
ャン:地域の安全保障と繁栄におけ
6 月 18 日
ホテルオークラ
アゼルバイジャン共和国外務大臣
る同国の役割」
「ゼロへの条件
2
4 月 27 日
中曽根弘文・外務大臣
ホテルオークラ
-世界的核軍縮のための 11 の指標」
1
リチャード・ホルブルック
「アフガニスタンとパキスタン
米国アフガニスタン・パキスタン担当特別代表ほか
―共通の課題に向かって」
4 月 17 日
帝国ホテル
- 38 -
2. ホームページの充実
(1)国際問題に関する年表データベースの基礎調査
1945 年以降の国際問題に関する重要事項約 12 万9千6百件をウェブ上で検索可能に
するべく平成 21 年度においても、引き続き最新の平成 21 年 4 月~平成 22 年 3 月のデ
ータ入力と校正と加工を実施し、検索可能な年表データベースとして利用できるよう、
データ更新し、当研究所の WEB で一般公開した。
(2)国際問題に関する文献データベースの基礎調査
平成 21 年度は、引き続き平成 21 年 4 月~平成 22 年 3 月のデータ、及び過去データ
の入力と校正を実施し、当研究所の WEB で公開しているデータベースの更新を実施し
た。
(3)月刊誌『国際問題』のアーカイブ化
学術雑誌として定評のある月刊誌『国際問題』については、既に、創刊号より平成
17 年 12 月分まで発行していた冊子版を電子化してアーカイブとして掲載しているが、
新たに平成 18 年 4 月号からは、
電子版としてウェブ上に掲載するべく作業をしている。
今年度は、平成 21 年 4 月~平成 22 年 3 月分について電子化を実施した。
(4)研究事業等の成果の内外への発信強化
当研究所の和文ホームページ全体を、国内・外の利用者に更に利用しやすくするため、
部分的な改編作業を行い、より積極的に情報発信の強化に努めた。これにより管理側に
とっては日々の管理がしやすくなり当研究所が実施・蓄積してきている研究事業等の成
果をより迅速に掲載でき、また、利用者にとっては時宜にかなった成果や情報をより速
く得ることが可能となった。
3. 情報機能の強化
当研究所の活動、情報、分析、及び政策提言を積極的にかつ迅速に国内・外にアウト
プットしていくための情報機能の強化を図り、併せて当研究所が有効かつ効率的に事業
活動を遂行するための情報セキュリティの運用確保を強化した。
III
対外発信機能の強化
1. 英文電子ジャーナル AJISS-Commentary
財団法人世界平和研究所、財団法人平和・安全保障研究所との協力で海外の有識者(学
者、ジャーナリスト、政府関係者等)を対象に配信している英文電子ジャーナル
「AJISS-Commentary」は、平成 21 年度に計 25 本の論文を配信した。本年度は、イラン
や北朝鮮の核問題や日米関係、核軍縮等の外交・安全保障問題のほか、日本の政治や教
- 39 -
育、農業問題など、日本国内の問題についての原稿配信にも力を入れた。平成 21 年度
掲載論文のテーマは以下の通りである。
<参考資料:平成 21 年度掲載論文一覧>
*No. は AJISS-Commentary の通し番号。
No.
テーマ
著者
63 パキスタン
田村賢周
64 太平洋諸国会議
小林泉
65 イランの核問題
秋山信将
英文タイトル
掲載日
Pakistan: Change in Mindset Needed to
H21 年 4 月 15 日
Counter Threats from Within
Why is the Pacific Islands Summit
H21 年 4 月 17 日
Important?
Mutually Assured Threat Reduction' for
H21 年 4 月 21 日
Resolving Iran's Nuclear Problem
イ ラ ク 復 興支 援 航
66 空 自 衛 隊 空輸 活 動 の 遠竹郁夫
評価
The Lessons of the ASDF Iraq Mission
67 北朝鮮の核問題
倉田秀也
An Unwelcome Déjà vu: A New
H21 年 5 月 20 日
US-North Korea Missile Deal
68 インドネシア政治
白石隆
Indonesian Politics: Prospects for the
H21 年 5 月 26 日
Coming Presidential Election
69
71
Strategic Implications for Japan of the
Relocation of US Marines from H21 年 6 月 23 日
Okinawa to Guam
Why Japan Needs Science and
H21 年 6 月 30 日
Technology Diplomacy
米 軍 グ ア ム基 地 再 編
神谷万丈
問題
70 日本の科学技術外交
薬師寺泰蔵
COP 1 5 に の ぞ む 日
西村六善
本の姿勢
72 日本の核軍縮
Copenhagen and Japan
中 国 新 疆 ウイ グ ル 自
73 治 区 で の 暴動 と そ の 千野境子
対応
ヨ ー ロ ッ パ政 治 と 日
岩間陽子
本
75
核 軍 縮 議 論に お け る
阿部純一
中国と日本への影響
76 日本政治
飯尾潤
77 イランの核問題
立山良司
78 日本政治
野中尚人
79
Lessons from the Uighurs' Revolt
What is achievable in Afghanistan? Japan and Europe should talk straight
to the US China Will Not Join Global Nuclear
Disarmament
The New DPJ Government: Hope for
Democratic Foreign Policy Making
Japan's Nuclear Diplomacy Should
Take a Clearer Stand against Iran
ア フ リ カ の保 健 問 題
道傳愛子
(妊産婦死亡率)
80 中台関係と日本
松田康博
81 平和構築
上杉勇司
H21 年 8 月 4 日
Japan Should Work Harder for Nuclear
H21 年 8 月 5 日
Disarmament
黒沢満
74
H21 年 4 月 24 日
H21 年 9 月 10 日
H21 年 9 月 11 日
H21 年 9 月 25 日
H21 年 10 月 6 日
H21 年 10 月 14 日
The End of LDP Rule and its Meaning
H21 年 11 月 10 日
The Meaning of Vibrant Africa
H21 年 11 月 13 日
Improved
Cross-Strait
Relations
H21 年 12 月 28 日
Confusing to the Japanese
Japan's Peacebuilding Policy toward
Afghanistan: The Need for a Civilian H22 年 1 月 28 日
Surge to Improve Security
- 40 -
普 天 間 基 地移 設 問 題
渡部恒雄
と日米関係
日本の農業問題(米政
83
山下一仁
策について)
82
84 日メコン関係
85
江橋正彦
ヨ ー ロ ッ パ経 済 と 日
嘉治佐保子
本
86 ミャンマー情勢
工藤年博
日 本 の 教 育問 題 ( 大
87 学 ・ 高 等 教育 の あ り 八田達夫
方)
We Need Both Hatoyama's Decision
and Obama's Patience
Rice Policy Reforms in Japan: Seek
Food Security through Free Trade
Japan's New Strategy toward the
Mekong Region
The 'Economic' Implications of the
Euro
H22 年 2 月 9 日
The Army and Elections in Myanmar
H22 年 3 月 11 日
H22 年 2 月 15 日
H22 年 3 月 3 日
H22 年 3 月 8 日
Reforming
Japanese
Government
H22 年 3 月 19 日
Policy towards Universities
2. 対外発言力の強化
東裕・苫小牧駒澤大学国際文化学部教授を3月5日~14日の期間、フィジー及びトン
ガへ派遣し、フィジーにおいてはバイニマラマ首相と面談を行うなど、太平洋島嶼国にお
ける民主主義確立に関する調査及び我が国からの情報発信を実施した。
IV
諸外国研究者の育成支援
1. 開発途上国の研究員受入
2 名の研究員を受け入れた。各研究員は下記の夫々のテーマについて研究を行い、当
研究所において成果を発表した。
(1)Mr. Konstantine Tsereteli(グルジア)
所属・肩書:
トビリシ・フリー大学アジアアフリカ研究所講師
受入期間:
平成 21 年 10 月 27 日~12 月 27 日
研究テーマ: 「East Asian Community and New Foreign Policy of Japan」
(2)Mr. Tonny Dian Effendi(インドネシア)
所属・肩書: ムハマディヤ・マラン大学国際関係学部講師
受入期間: 平成 21 年 12 月 1 日~平成 22 年 3 月 31 日
研究テーマ: 「Japan's Public Diplomacy」
V 事業見合い借料
平成 21 年 4 月以降の借料について本費目に計上の予算より支出した。
- 41 -
Ⅵ
太平洋経済協力会議(PECC)及び日本委員会(JANCPEC)の活動概要
PECC はアジア太平洋地域における国際協力関係を推し進めるために 1980 年 9 月に
発足した「産・官・学」の 3 者構成の国際組織で、24 カ国/地域がメンバーとして加盟
している。
本事業年度の概要は以下のとおり。
5 月にワシントンにて常任委員会及び総会が行われ、常任委員会では JANCPEC とし
て「Social Resilience プロジェクト(略して SR プロジェクト)」の立ち上げ用意について
野上 JANCPEC 委員長から発表した。SR プロジェクトとは、これまで投資貿易の自由
化を議論してきた APEC/PECC にとって、初めて議論される持続的な成長を支える社
会政策研究である。当プロジェクトはアジア地域における年金、医療保険、雇用保険、
貯蓄と消費のマクロ分析の 4 つの柱から構成されている。総会では、昨年の金融危機に
端を発した国際経済における影響をテーマに議論が行われた。
7 月には第 44 回国内総会を開催し、新規プロジェクトである SR プロジェクトの紹
介、JANCPEC の 16 名の新規委員の紹介が行われた。
10 月にシンガポールにて開催された PECC 会議において、SR プロジェクトが正式に
PECC International Project として承認された。
1月に電話にて執行委員会が開催され、2009 年の各国の活動報告と 2010 年の予算、
会合について話し合いが行われた。
2月には第 45 回国内総会を開催し、APEC2010 へ向けての政策提言についての意見
交換を行った。
3月には JANCPEC の強いリーダーシップの下進められている SR プロジェクトの中
間発表を兼ねた国際シンポジウム「危機に打たれ強い社会経済基盤構築に向けて」を東
京で開催した。
Ⅶ
受託調査研究
平成21年度は、調査研究及び研究交流に関する委託事業を複数件実施したが、委託
元との守秘義務に関する取り決めにより、公表を差し控える。
- 42 -
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