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累積輝度の比較による移動物体の追跡法

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累積輝度の比較による移動物体の追跡法
平成
年度
修士学位論文
累積輝度の比較による移動物体の追跡法
橋本 雄太
指導教員
情報システム工学科 岡田 守
年
月
日
高知工科大学大学院 工学研究科 基盤工学専攻
情報システム工学コース
要 旨
累積輝度の比較による移動物体の追跡法
橋本 雄太
本研究は自然背景に存在する移動物体を追跡し軌道を検出することを目的としている 現
在 放送業界では自然背景に存在する特定の物体を追跡する技術が注目されている 特定の
物体をモザイク模様で隠す作業は
フレームごとに人の手で行われている 従来の研究では
ボールや人体など追跡対象を限定して物体抽出・追跡を行うことが多い そこで 累積輝度
ヒストグラムと
検定を用いた手法を使う 累積輝度を使うことによっ
てカメラの性能を選ばず 取得方法も簡単である
検定は計算法が簡
便であるため プログラム化を簡単に行うことが出来る この手法では 各フレームの追跡対
象を追跡するために累積輝度ヒストグラムを用いて基準パターンを作成する 作成した基準
パターンを元に各フレームの追跡対象を探索する そして 探索して検出した結果と基準パ
ターンの最大誤差を算出する
検定を用いて探索結果と基準パターン
は統合できるのか判定する 本稿では提案手法を用いて動画像中の移動物体を対象に軌道を
検出する実験を行う 実験の結果から提案手法の有効性を考察する
キーワード
物体追跡 累積輝度
検定
目次
第
章
研究の背景と目的
研究背景
従来手法
本研究の狙い
論文の構成
第
章
提案手法
提案手法概要
検定
基準パターンの作成
パターンマッチング法
追跡対象の探索
提案手法のフローチャート
第
章
実験
撮影機材
累積輝度の検出
3つの環境
追跡対象の累積輝度が変化する
追跡対象の形状が変化する
背景輝度の変化が激しい
実験結果
追跡対象の累積輝度が変化する
追跡対象の形状が変化する
目次
背景輝度の変化が激しい
第
章
検証実験
探索結果マッチング法
検証実験 まとめ
第
章
考察
基準パターンの更新
失敗の要因
第
章
今後の課題
基準パターンの更新
探索範囲の限定
新しい追跡手法のフローチャート
第
章
参考文献
結論
図目次
提案手法 概念図
検定 概念図
提案手法概念図
追跡対象の探索法
提案手法 フローチャート
使用したカメラ
累積輝度検出の流れ
追跡対象の累積輝度が変化する 例
追跡対象の累積輝度が変化する 例
追跡対象の形状が変化する 例
追跡対象の形状が変化する 例
背景の輝度変化が激しい 例
背景の輝度変化が激しい 例
追跡対象の累積輝度が変化する 正答率
成功例
失敗例
成功例
失敗例
成功例
失敗例
成功例
失敗例
追跡対象の形状が変化する 正答率
図目次
成功例
成功例
成功例
成功例
成功例
失敗例
失敗例
失敗例
背景輝度の変化が激しい 正答率
成功例
成功例
成功例
成功例
成功例
失敗例
失敗例
失敗例
探索結果マッチング法 フローチャート
探索結果マッチング法 成功例
探索結果マッチング法 失敗例
探索結果マッチング法 失敗例
探索結果マッチング法 失敗例
成功例
失敗例
失敗例
図目次
失敗例
基準パターンが更新されるタイミング
一見 成功しているように見える失敗
一見 成功しているように見える失敗
本来追跡するべき部位
提案手法で追跡していた部位
探索範囲の限定 概念図
新しい追跡手法 フローチャート
表目次
撮影機材
追跡対象の累積輝度が変化する 正答率まとめ
追跡対象の形状が変化する 正答率まとめ
背景輝度の変化が激しい 正答率まとめ
探索結果マッチング法 正答率
探索結果マッチング法 正答率
探索結果によって除外される
まとめ
第
章
研究の背景と目的
研究背景
現在 画像処理は様々な分野で応用されている セキュリティの分野では コンピュータに
よる監視システムとして利用されている 公共の施設内などで監視カメラを通して 指名手
配犯などを探し出すために 個人認識の技術が使われている コンピュータによって個人の
顔特徴を抽出し 危険人物の顔特徴が保管されているデータベースと連動して 危険人物の
探索を行う
また カメラ画像から個人認証を行うことで 入退出管理等のサービスが提
供されている
品質管理の分野では 作業の効率化を行うために 物体認識の技術が使われている 例とし
て水道水源での浄水処理では通常 熟練者が光学顕微鏡を使って有害な微生物を発見し処理
を行っている そのために多大な作業時間が必要とされている そこで 物体認識の技術を
使い顕微鏡画像から微生物を抽出する技術が開発された
この技術によって
時間 機
械による水質監視が可能となった
スポーツの分野においては 野球選手が投球などの動作を行うときに 体の各部位を追跡
し軌道を表すことで 選手は導き出された情報を基にフォームの改善を行うことができる
フォームの改善以外でも 新体操や鉄棒などに分類される演技スポーツの分野においては
画像処理の技術を使って自動採点するシステムを実現している
また サッカーにおけるオフサイドラインなど 一般人にとって理解が難しいルールにつ
いて 画像処理を使って可視化し解説を行うことがある サッカーの場合では ルールに詳し
くない一般人が試合を見ていると オフサイドにより試合が中断されたとき 何が起こった
従来手法
のか理解できないでいる 仮にサッカーのルールを知っていたとしても プロサッカーの試
合展開は動きが早く複雑である そこで 画像処理の技術によってオフサイドラインを可視
化することによって 視聴者に分かりやすくサッカーを見てもらうという手法が研究された
サッカー競技におけるオフサイドラインは 守備側後方から
ることが多い そこで 物体追跡の技術を使い 守備側後方
跡位置をオフサイドラインとして表示する
人目の位置を仮想ラインとす
人目の選手を位置を追跡し 追
これによって サッカーのルールに詳しくな
い一般人でもオフサイドについて理解できるようになった
物体追跡の技術はロボット開発の分野でも使われている 現在 人間の動きを持ったロボッ
ト開発の一環として人間が走る 跳ぶなどの動作を行うときに関節の動きや腕の振りなど
を追跡し ロボットに投影させるという実験が行われている 各部位にどのような負担がか
かっているのか調べ 人体運動の解析を行う また 人間の動きを取り入れたロボット開発の
ために行われる
これらにより 本来 人間が行う膨大な作業を機械で行うことにより 人
間が負担する作業量を削減することが可能となった
現在 放送業界では自然背景に存在する特定の物体を追跡する技術が注目されている 通
常 特定の物体をモザイク模様で隠す作業は
フレームごとに全て人の手で行われている
そのために モザイク処理は膨大な仕事量となっている
この作業を自動で行うために 対象物体を追跡する技術が注目されている このように物
体追跡は生活や研究開発において欠かせないものとなっている しかし 従来の追跡手法は
人間に多くの手作業を要するものや 専用のスタジオが必要であるなど コスト面や操作性
について課題が多い
従来手法
移動物体の追跡法として数多くの手法が研究されている
は
つの問題を抱えている
追跡対象の状態変化に対応していない
~
しかし これらの多く
従来手法
つ目の問題として 既存手法の多くは色情報や輝度情報を基に追跡を行っている その
ために 追跡対象が日影や光角によって 情報が変化した場合では追跡失敗が起こる可能性
が高いことが問題となっている
解決策として追跡を行う色情報や輝度情報の範囲を広げ
ることが挙げられる しかし この方法では追跡対象ではない物体を追いかけるなどの誤っ
た追跡が行われる可能性が高い
追跡を行うための操作が複雑である
つ目の問題として 追跡処理を行うためのパラーメータの設定は輝度情報や閾値など
専門の知識を必要とする場合が多い
そのために 専門のスタッフや追跡処理を行うため
の学習が必要となることが問題となっている これまでに様々な物体追跡を行うソフトウェ
アが開発されている しかし どれも操作が複雑であり 専門の知識がない一般の人々には物
体追跡を行うことが難しい
専用のスタジオや複数台のカメラなどが必要になる
つ目の問題として 追跡手法によっては 複数台のカメラや専用のスタジオなどが必要
となる そのために 追跡手法を行うための手間やコストが必要になることが問題となって
いる スポーツ競技全般に言えることだが 練習の際に行う動作と実際の試合で行われる動
作は大きく異なっている この問題を解決することで 試合本番に不調であったときに 自身
のベストなフォームと比較することによって不調の原因を確かめることができる しかし
リアルタイムで自分のフォームを取り込む方法が存在しないために 実現することができな
い また 前提条件として 熟練カメラマンのカメラ操作を要求する手法も存在している
追跡対象が限定されている
最後の問題として 従来手法ではボール 人物顔など追跡対象を限定している場合が多い
そのために 追跡対象の種類に応じて複数の追跡法が必要になることが問題となって
いる 放送業界では様々な番組が企画されている その中で スポーツ選手のフォームや爆破
実験で吹き飛んだ破片など様々な物体の軌道を表示する 表示された軌道を基にスポーツ力
学など開設する番組もある 対象の移動物体を追跡し
けでは伝わりにくい情報を視聴者に伝えることができる
の技術で描画することで映像だ
本研究の狙い
本研究の狙い
既存手法の問題点を解決する手法として 累積輝度の比較による移動物体の追跡法を提案
する 追跡を行う際に 輝度情報を用いることでカラー・グレー画像の両方で追跡処理を行
うことができる 追跡処理を行うために ユーザは追跡を行う開始終了フレームを指定し
フレーム画像から追跡対象位置を指定することによって 対象物の軌道を検出することがで
きる ユーザは開始終了フレームの画像と追跡対象位置を指定するだけなので 専門の知
識や複雑な操作が必要が無い場合でも 追跡処理を行うことが出来る また
検定を用いることで 追跡処理の成功・失敗の判断を行う
検定 以下
検定 はテクスチャマッチング法など
使用されている計算法である
つのヒストグラムの同一性の検定に
検定で使用される閾値によって 判断基準を調節する
ことが出来る また 計算法が簡便であり プログラム化を行う場合に処理が簡単であること
が言える また 処理時間の軽減が期待できる
本論文では 提案手法の有効性を検証するために 追跡処理を行う上で失敗が起こりやす
い環境である 追跡対象の累積輝度が変化する
変化が激しい
これら
追跡対象の形状が変化する
つの環境で提案手法を行う そして 各環境において
背景輝度の
検定によ
る最適な閾値を検討する
論文の構成
第
章では 本論文における移動物体の追跡手法について述べる まず 追跡対象の追跡
に成功したか失敗したか判定する
検定について説明する 次に各フ
レームでの追跡対象を探索するために作成される基準パターンについて説明する 最後に
追跡対象の輝度変化に対応させるための方式であるパターンマッチング法について説明す
る 第
章では 本論文における実験について述べる まず 実験機材を示し 輝度の取得方
法について説明する そして 実験用の動画を取る際に設定した環境について説明する 最
後に各環境で本論の提案手法を行った結果を示す 第
章では 提案手法の有効性を検証す
論文の構成
るために
チング法と
つの手法との比較実験を行った 非核実験用として選ばれた手法は探索結果マッ
次元動画計測ソフト
である 提案手法と同じ環境で実験を行い
正答率を基に有効性を検証する 第
題点を解決する方法を考案し 第
章では 本論文の考察を行い 第
章で提案手法の問
章で提案手法の有効性について結論を述べる
第
章
提案手法
提案手法概要
本稿で提案する手法の概要を説明する 追跡処理を行うためにユーザが行う動作は
ス
テップ存在する まず ユーザは追跡を行う開始フレーム画像を選択し 開始フレーム画像に
存在する追跡対象の位置を指定する 次に終了フレーム画像を選択し 終了フレーム画像に
存在する追跡対象の位置を指定する 最後に追跡開始の命令を入力すると追跡処理が開始さ
れ 追跡結果が表示される ユーザが行う操作に関して複雑な操作を要求しておらず 従来の
手法よりも簡便であると考えられる
図
提案手法 概念図
提案手法概要
検定
検定の説明を行う
値を下回ったときに
検定とは
つの累積輝度ヒストグラムの最大誤差が適当な閾
つのヒストグラムは同じテクスチャを持っているとして そうでなけ
ればその仮説を棄却するという検定法である
検定を用いる理由として
検定は計
算法が簡便であり 提案手法を実装する際に処理時間の軽減が期待できる事やプログラム化
を行った際に期待通りの結果が出ると判断したからである
示す 概念図を図
度値を示す
と
に示す 式
検定の計算式を式
の各パラメータを説明する
の最大誤差が閾値
を越えていない場合に
断する
図
検定 概念図
は輝度値
と
に
は累積輝
は同じ分布を判
提案手法概要
基準パターンの作成
これより 開始終了フレーム間の追跡対象を探索する方式について説明する 各変数は式
を参考にしていただきたい まず 開始終了フレーム間の追跡対象を探索するために基
より作成する このとき作成される基準パターンは開始終了フレーム
準パターンを式
の累積輝度から線形補間によって求めることができる 次にフレーム番号
の画像を呼
び出し 開始フレームで指定された追跡対象の位置を中心にn
の範囲で累
~
積輝度を検出する そして 検出された累積輝度と探索するフレーム番号に対応する基準パ
ターンとの比較を行い 最大誤差を検出する 次に基準パターンとの最大誤差が最も低い値
に対して
検定を行う
検定の結果によって次の処理を行う 追跡成功と判断された
場合では次のフレームでの探索を行う 追跡失敗と判断された場合では前のフレームでの追
跡対象位置から累積輝度を検出し新たな始点フレームの累積輝度とする 新たな始点フレー
ムの累積輝度と終了フレームの累積輝度から線形補間を行い 新たな基準パターンを作成し
追跡対象の探索を再開する これらの処理をフレーム番号
例外処理としてフレーム番号
の探索が終了するまで行う
の探索結果が追跡失敗と判断された場合ではそれまでに
求めた対象物体の軌道を表示し追跡処理を終了する 今回の基準パターンを作成する方式で
はフレーム番号
で追跡失敗と判断された場合では新たに作成される基準パターンは追
跡失敗と判断された基準パターンと全く同じになり ループが発生するからである
累積輝度
輝度
終了フレーム番号
開始フレーム番号
基準パターンフレーム番号
開始フレームの累積輝度
終了フレームの累積輝度
基準パターンの累積輝度
探索範囲
提案手法概要
パターンマッチング法
今回 追跡対象の輝度が変化した場合に起こる追跡失敗に対応させた これより その手順
について説明する
検定で基準パターンと探索結果で検出された累積輝度と比較を行っ
た後に始点の累積輝度と比較を行う このときの結果による処理は基準パターンと比較を
行ったときの処理と同じである
この処理を行うことで追跡対象の状態が変化した場合に変化した状態に対応した基準パ
ターンが作成される 以前の研究
では
と基準パターンの比較を行った結果のみで
追跡処理を行っていた この方法では 背景輝度の変化が激しい場合では追跡失敗が起こる
可能性が高いという結果を得た そこで 本論文では始点の累積輝度と比較を行い 基準パ
ターンの更新を行う条件を新たに設定することで 追跡対象の状態変化に応じて基準パター
ンを更新することが出来る この処理を行うことで追跡対象の状態が変化することによって
起こる追跡失敗に対応できる このときの計算法を式
に示す
に示す 概念図を図
提案手法概要
基準パターンと比較を行う場合の閾値
開始フレームの累積輝度と比較を行う場合の閾値
最も基準パターンとマッチングした矩形領域の累積輝度値ヒストグラム
図
提案手法概念図
追跡対象の探索
追跡対象の探索
各フレームの追跡対象の探索について説明する まず 次のフレーム画像を呼び出す 次
に前のフレームで指定した追跡対象の位置を中心に任意の範囲で矩形領域を検出する 図
の例では ~
の範囲で矩形領域を検出している 次に検出した矩形領域から累積
輝度を検出し 基準パターンとの最大誤差を求める そして 基準パターンとの最大誤差が最
も低い値に対してパターンマッチング法を行う パターンマッチング法の結果が追跡成功と
判断された場合 探索を行ったフレーム画像での追跡対象の位置は矩形領域が検出された位
置とする
図
追跡対象の探索法
追跡対象の探索
提案手法のフローチャート
本稿の提案手法のフローチャートを図
図
に示す
提案手法 フローチャート
第
章
実験
撮影機材
本稿での描く動画の撮影にあたり 撮影に必要なカメラシステムの構築を行った
今回
の実験ではデジタルビデオカメラを三脚に固定して撮影した 実験に用いた撮影機材は表
に示す 撮影に使用した各機材の使用を表に示す 撮影条件は特に設定していない
機材
説明
デジタルビデオカメラ
三脚
カメラの固定に仕様
各動画の保存に使用
表
図
撮影機材
使用したカメラ
累積輝度の検出
累積輝度の検出
これより 今回の提案手法における累積輝度の検出方法について説明する まず 開始終了
フレームでユーザが指定した位置を中心に矩形領域を検出する そして 検出した矩形領域
内にある
の輝度を検出し累積輝度としてまとめる この流れが本稿の提案手法におけ
る累積輝度の検出方法である
図
累積輝度検出の流れ
3つの環境
3つの環境
本稿では追跡を行う上で失敗が起こりやすい環境である 追跡対象の累積輝度が変化す
る
追跡対象の形状が変化する
背景輝度の変化が激しい
これら
つの環境で各
パターンの動画に対して提案手法を行う 追跡処理の成功失敗の判断は目視で行った また
終点フレーム番号
の探索結果である位置より探索範囲内に終了フレームで指定した位置
が存在するのかという事柄も判断に加えた
追跡対象の累積輝度が変化する
追跡対象の累積輝度が変化する環境とは光角や日陰の影響などによって追跡対象の累積輝
度が変化する状況を指す 基本的に物体追跡を行う場合 輝度を基本情報として追跡を行う
事が多い つまり 輝度値が変化すれば追跡失敗が起こる可能性が高い 本稿ではカメラの
「しぼり」を調節することで意図的に光量を変化させている 追跡処理開始から中盤までは
光量を上げているが 追跡が終了する辺りから光量を下げている また 図
の動画では
ペン先を追跡対象としている しかし 追跡処理が中盤まで行われるとペン先に付いている
カバーが取れる これにより 追跡対象の累積輝度が変化する
図
追跡対象の累積輝度が変化する 例
3つの環境
図
追跡対象の累積輝度が変化する 例
追跡対象の形状が変化する
追跡対象の形状が変化する環境とは人体の運動動作によって追跡対象の形状が変化する状
況を指す 例として人体運動における手首を追跡対象として選択した場合を挙げる 追跡処
理の途中で手首の返しの動作によって追跡対象の形状が変化することで累積輝度が変化す
る 今回 主にスポーツでの運動動作を行う動画を集めた
図
追跡対象の形状が変化する 例
図
追跡対象の形状が変化する 例
3つの環境
背景輝度の変化が激しい
背景輝度の変化が激しい環境とは主に自然背景が挙げられる 室内で撮影した動画は背景
の輝度が統一されており 追跡処理を行うのに適した環境である しかし 自然背景の場合で
は 様々な輝度を持つ物体が存在する 追跡処理を行う場合に 別の物体を追跡する可能性が
高い 過去の研究
においても 自然背景の中で追跡処理を行う場合に追跡失敗の可
能性が高いことが分かっている 今回 自然背景に存在する人物顔に対して追跡処理を行う
図
背景の輝度変化が激しい 例
図
背景の輝度変化が激しい 例
実験結果
実験結果
追跡対象の累積輝度が変化する
追跡対象の累積輝度が変化する この環境に対して提案手法を行った結果をまとめる
図
追跡対象の累積輝度が変化する 正答率
閾値
表
図
\閾値
追跡対象の累積輝度が変化する 正答率まとめ
成功例
図
失敗例
実験結果
図
成功例
図
失敗例
図
成功例
図
失敗例
図
成功例
図
失敗例
実験結果
追跡対象の形状が変化する
追跡対象の形状が変化する この環境に対して提案手法を行った結果をまとめる
図
追跡対象の形状が変化する 正答率
閾値
表
図
\閾値
追跡対象の形状が変化する 正答率まとめ
成功例
図
成功例
実験結果
図
成功例
図
成功例
図
成功例
図
失敗例
図
失敗例
図
失敗例
実験結果
背景輝度の変化が激しい
背景輝度の変化が激しい この環境に対して提案手法を行った結果をまとめる
図
閾値
表
図
成功例
背景輝度の変化が激しい 正答率
\閾値
背景輝度の変化が激しい 正答率まとめ
図
成功例
実験結果
図
成功例
図
成功例
図
成功例
図
失敗例
図
失敗例
図
失敗例
第
章
検証実験
本稿で提案する手法の有効性を検証するために既存手法との比較実験を行った 比較対象
として選択した手法は探索結果マッチング法と市販の軌道検出ソフト
提案手法で行った
である
つの環境で実験を行う
探索結果マッチング法
探索結果マッチング法とは前のフレームでの探索結果が持つ累積輝度を新たな基準パター
ンとして探索を進める手法である 追跡を開始したとき基準パターンは始点の累積輝度であ
る 基準パターンとの比較によって検出された位置が持つ累積輝度を新たな基準パターンと
して扱い 次のフレームでの探索を行う 以降これらの処理を終了フレームまで繰り返す 以
前の学会でこの方法との比較を行うべきであるというコメントをいただいていた 探索結果
に示す 探索結果マッチング法のフローチャートを図
マッチング法の正答率を表
に示す
環境
正答率
追跡対象の累積輝度が変化する
追跡対象の形状が変化する
背景輝度の変化が激しい
表
探索結果マッチング法 正答率
探索結果マッチング法
図
探索結果マッチング法 フローチャート
図
探索結果マッチング法 成功例
図
探索結果マッチング法 失敗例
図
探索結果マッチング法 失敗例
図
探索結果マッチング法 失敗例
は追跡対象が持つ輝度を基に追跡処理を行うソフトである
フレームごとの
移動範囲を指定し 追跡対象が持つ輝度を入力することで追跡処理を行うことが出来る
環境
正答率
追跡対象の累積輝度が変化する
追跡対象の形状が変化する
背景輝度の変化が激しい
表
図
図
探索結果マッチング法 正答率
成功例
失敗例
図
失敗例
図
失敗例
検証実験 まとめ
提案手法と探索結果マッチング法と
で検証実験を行った
つの環境での正答
率を調べた結果では 提案手法の正答率が最も高いことが分かった 特に探索結果マッチン
グ法と
で追跡を成功することがなかった
つの環境で追跡が成功していること
に注目したい 通常 追跡処理を行う場合では追跡対象の輝度が変化する場合では追跡失敗
の失敗の可能性が高い 今回の検証実験によって本稿の提案手法は輝度の変化にも対応して
いることが分かる
第
章
考察
今回の実験によって提案手法が有効であることが分かった 提案手法が成功した理由を考
察する
基準パターンの更新
提案手法は基準パターンと始点の累積輝度との最大誤差を検出し 閾値を越えていれば基
準パターンの更新することで追跡処理を続ける仕様となっている では 運動動作の動画か
ら基準パターンの更新するタイミングを見てみる 図
きのフレーム番号画像である
は基準パターンが更新されると
回目の更新では靴の側面が現れ始めたとき
は完全に靴の側面が見えたとき
回目の更新で
回目の更新では靴の裏面が見えたときに行われた 追跡
対象の状態が変化するタイミングに合わせて基準パターンが更新されている これが 成功
の要因となっている可能性が高い
図
基準パターンが更新されるタイミング
失敗の要因
失敗の要因
今回の実験結果から失敗の原因は
つ有ると考える
つ目の要因としては やはり 追
跡対象とよく似た輝度を持つ物体が存在していたということにある 自然背景や追跡対象の
人物が来ている服などを追跡する場合が多かった
つ目の原因としては追跡を行う部位に
誤差が生じていたことにある これによって 図
のような追跡失敗が起こる 図
を例として説明する ユーザは自然背景に存在する人物顔を対象に追跡処理を
行った追跡を行う矩形領域は顔の中心であった しかし 提案手法で追跡を行っていた矩形
領域は顔の中心ではなく対象の人物が来ている白いシャツが矩形領域に含まれている これ
が以降の追跡処理や基準パターンの更新に影響が出る
図
一見 成功しているように見える失敗
図
本来追跡するべき部位
図
一見 成功しているように見える失敗
図
提案手法で追跡していた部位
第
章
今後の課題
基準パターンの更新
今回 基準パターンの更新は
検定の閾値を越えた場合に行われていた 最大誤差があ
る程度大きくなった場合に基準パターンを更新した場合では
失敗の要因で説明したよう
にユーザが指定する追跡対象を追跡することが難しい そこで 一定の追跡を終えると基準
パターンを更新するという方式を考案する この方式では
検定の閾値を越えた場合に作
成される基準パターンよりも信頼できる基準パターンが作成される
探索範囲の限定
今回の提案手法では
フレームの動画に対して追跡処理を行ったとき
分以上の時間
を要した 検出する矩形領域の大きさに比例して追跡処理の時間も長くなった 原因として
計算量の多さにあると考えられる この問題に対して探索結果に応じて探索範囲を限定す
る方式を考案する 図
に注目していただきたい この図は探索範囲を表したものであ
る 探索範囲の限定は追跡対象の探索結果によって決める 例として 前フレームの探索結
果が「
「
」に含まれている位置になったとする この結果によって 次回からの探索では
」に対して対称の位置にある「
」の位置から矩形領域は検出を行わない
内で検出されなかった場合では探索範囲の限定は行わない
探索範囲の限定
探索結果
表
除外される
探索結果によって除外される
図
探索範囲の限定 概念図
まとめ
新しい追跡手法のフローチャート
新しい追跡手法のフローチャート
基準パターンの更新と探索範囲の限定方法を提案手法に組み込んだ場合のフローチャート
を図
に示す
図
新しい追跡手法 フローチャート
第
章
結論
本論文では累積輝度を使った移動物体の追跡法を提案した 輝度情報を基に追跡を行う上
で 追跡が困難である環境の中で実験を行い
検定の最適な閾値を調査した結果を示し
た そして 従来手法と比較することによって 提案手法の有効性を検討した
今回の実験では追跡対象の形や輝度が変化した場合ではパターンマッチング法による追跡
法が今回 提示した手法よりも正答率が良好であったことが分かった これによりパターン
マッチング法による追跡は有効であるといえる 失敗の原因に関しては 追跡対象の周辺に
追跡対象とよく似た背景や物体が存在したために追跡失敗が起こるという場合がほとんどで
あった 閾値を小さくすることによって 追跡成功失敗の判断を厳密に行なうことができる
しかし 本論文での提案手法は連続で追跡失敗という判定が出た場合に対する処理が適当で
なかったために追跡失敗となることがあった
今後の課題として 連続で追跡失敗が起こったときの対応を検討している 連続で追跡失
敗が起こったときに 追跡不能として 追跡処理を終えるのではなく あらかじめ 追跡を行
う回数を決めておく 第
章今後の課題で提案した手法では
回まで探索を行う また 今
回はパターンマッチング法による判定で基準パターンの更新を行っているが 別の方法とし
て一定の探索処理を終えたときに基準パターンを更新する方法を検討している
謝辞
本研究を行うにあたり 主査である高知工科大学情報学群岡田守教授 また お忙しい中
副査を勤めていただいた同じく島村和典教授と吉田真一講師の親切な御指導 心より感謝申
し上げます
岡田研究室には学部生から今まで
年間お世話になりました この
輩に恵まれ 本当に充実した学生生活を送ることが出来ました この
年間 良い同期や後
年間を宝として社会
に旅立とうと思います 本当にありがとうございました
岡田教授には今まで
年間お世話になりました 私のような不出来な人間をご指導してく
ださり 本当にありがとうございました 私を成長させるために電子情報通信学会への入会
を勧めていただいたり 私が楽しんで研究を進めるために面白そうな論文を紹介していただ
きました おかげで私は物体追跡の知識以外にも 手話や表情認識の知識を深めることが出
来ました また 私は説明が苦手な人間で いつも論文の紹介を行うときにいつも苦労して
いました そんな私の説明でも 岡田教授は私の話しを理解してくれ 的確なアドバイスを
私にしてくださいました ほかにも プレゼンテーション能力を鍛えるために学会への参加
を勧めてくれました 初めての学会発表は電子情報通信学会の全国大会であり 全国の大学
や企業が集まり議論を交わす大きな学会でした 学会での発表が終わったときに岡田教授か
ら「いい発表だった」という言葉をいただいたとき それまでの疲れも取れ 本当に参加して
よかったと思うことが出来ました このときの経験を糧として 以降の学会でも堂々と胸を
張って発表することが出来ました 今 思えば岡田教授は私に自信を付けさせるために学会
への参加を勧めたのだと思います 当時の私は先への不安もあり 何事にも後ろ向きでした
しかし 全国大会で発表したという事実からほんの少しでも自信というものが付いたと思い
ます もしも 「そんな意図はなかった」ということだとしても 学会で発表したという事実
から自信が付いたということは本当です この重ね重ねこの
いました
年間 本当にありがとうござ
また 修士論文発表会にて コメント 質問をしてくださった島村和典教授 篠森敬三教授
山際伸一准教授これら三方には感謝を申し上げます 島村和典教授には発表会の後に 今回
の提案手法の応用例や社会人としての心構えなどをご教授いただき 心より感謝を申し上げ
ます 今回 いただいた資料などは今後 社会人として働くようになった時に活用していきた
いと考えています 篠森敬三教授には
年前の学部生であった時に私の研究についてコメ
ントをいただきました そして 今回の修士論文発表会でもコメント 質問をいただきまし
た 2回に渡り 私の研究を見ていただき 心より感謝を申し上げます 山際伸一准教授は
質問だけではなく 私の研究は世間での関心も高い研究であるというコメントもいただきま
した このたびは本当にありがとうございました 心より感謝を申し上げます
そして 研究室の先輩 後輩にこの場を借りて感謝の言葉を申し上げます 先輩である有澤
嘉洋氏 永野雄士氏 西本美勇士氏 平井太郎氏 弘光大輔氏 藤谷一洋氏 山口公一氏 これ
らの方々には レポートの添削 研究の進め方 学生生活に対する相談などにしていただき
大変お世話になりました 特に 有澤嘉洋氏には 御卒業後にも就職活動に対する相談や修
士の学生としての心構えなどを教えていただき 大変お世話になりました 心より感謝申し
上げます 同期である末光誠氏 田中智文氏 棚橋真里乃氏 長尾伸吾氏 東志保氏 宮脇拓
朗氏 学部生の頃では 同期ということもあって 世間話をする機会が多く 研究をしている
中でたまっていたストレスなどを解消することが出来ました 後輩である北村尚紀氏 坂下
誠氏 竹内健氏 富田努武氏 山本圭太氏 安友貴大氏 楠瀬正弥氏 中越慶氏 半山新氏 福
住広喜氏 山本賢治氏 これらの方々には 色々と助けられました 研究や修士生活の中でた
まっていた愚痴を聞いてもらうことによって 自分の中で気持ちを整理することが出来まし
た このような助けがあったからこそ 私の研究をスムーズに進めることが出来たのだと思
います この場を借りて深く感謝を申し上げます 特に楠瀬正弥氏と福住広喜氏は交友も深
く 卒業後も連絡を取りたいと考えています
今回 実験用の動画を撮影するに当たって ご協力いただいたソフトテニス部の皆様にも
感謝を申し上げます 皆様が練習をしている中 突然の「あなた方のフォームをカメラで
撮影させて欲しい」という私の願いを快く引き受けていただきました そのおかげもあって
今回の実験では十分な環境を設定することが出来ました ソフトテニス部の皆様には心より
感謝を申し上げます
最後に大学院まで大学生活をサポートしてくださった家族に感謝の言葉を述べたいと思い
ます 私はとてもよくできた息子とは言いがたくこれまでに多大な迷惑をかけてきたと思い
ます 県外の大学で
年間自由に学ばせていただきありがとうございました 思えば この
年間なんの不自由もなしに過ごしてこれたと考えています 毎月送られてくる仕送りは十分
すぎるほどでした そのおかげもあって就職活動も金銭面で余裕を持って行うことが出来ま
した そして 地元就職ではなく「自分の行きたいところに言ってもかまわない」という言
葉をいただきました 無事に企業から内定をいただき来年度から社会人として新たにスター
トしていきます 高知工科大学で
年間学んだことを基にしっかりと親孝行をしていきたい
と考えています これから 今までに贈ってもらった仕送りの額を何倍にも返していこうと
考えています これからも 応援よろしくお願いします
最後に改めて私の大学生活に関わった全ての人に感謝を申し上げます
参考文献
河合 純 永田 章二 清水 宏章 新谷公朗 金田 重郎 モーションセンサとビ
デオカメラを用いた個人識別型位置検出手法 情報処理学会研究報告 平山 高嗣 岩井 儀雄 谷内田 正彦 顔画像認識を用いた施錠セキュリティシステム
の開発 電子情報通信学会誌
中村 哲 長尾 智晴 顕微鏡からの微生物の抽出に関する研究
電情報通信学会 総
合大会
辛 貞殷 小沢 慎治 動画像処理によるスポーツ運動解析の研究 鉄棒競技の自動採
信学技法
点システムに向けて
三須 俊彦 高橋 正樹 合志 清一 蓼沼 眞 藤田 欣裕 八木 伸行 実時間画像処理に基
づくオフサイドライン可視化システム 電子情報通信学会論文誌
坂井 伸朗 村上 輝夫 澤江 義則 ヒト肩関節を規範としたロボットアーム関節機構の開
発
バイオメカニズム
株式会社ライブラリー
次元動画計測ソフトウェア
高橋 正樹 藤井 真人 柴田 正啓 八木 伸行 ゴルフ中継での放送カメラを用
いたティーショット軌道表示システム 電子情報通信学会論文誌
高橋 正樹 三須 俊彦 合志 清一 藤田 欣裕 画像内の物体抽出技術を用いた高速投球軌
跡作画手法
電子情報通信学会論文誌
Ⅱ
橋本 雄太 岡田 守
累積輝度ヒストグラムと
動物体の軌道検出
電子情報通信学会 総合大会
Ⅱ
検定を用いた移
参考文献
橋本 雄太 岡田 守
検定を用いた人物顔の追跡 電気関係学会
四国支部連合大会
高木幹雄 下田陽久 新編 画像解析ハンドブック 東京大学出版会
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