Comments
Description
Transcript
施設野菜類におけるアザミウマ類の冬季防除の徹底について
病 害 虫 対 策 資 料 第 11 号 佐 農 技 防 第 601 号 平 成 25 年 2 月 4 日 各関係機関長 様 佐賀県農業技術防除センター所長 施設野菜類におけるアザミウマ類の冬季防除の徹底について ナス、キュウリ等の施設野菜類において、 近年アザミウマ類(主にミナミキイロアザミ ウマ)が多発生傾向にあります。 アザミウマ類は例年、厳寒期である1~2月に発生が少なくなりますが、これら 施設内で 越冬した虫は、その後の増殖源となり、春先からの気温の上昇に伴い増加 します。そのた め、 発生密度が低下した冬季から防除を徹底して発生密度を低く維持すること が重要です 。 ついては、下記事項を参考にして、冬季からの防除を徹底してください。 記 1.発生概況 1)ナスは、11 月から 1 月下旬にかけて平年並で推移しているものの(第 1 図)、1 月下旬の 調査では 8 圃場中 5 圃場で発生がみられ、寄生株率が高い圃場もある(第 1 表)。 2)キュウリは、植替え後の 1 月下旬の調査では平年並であり(第 2 図)、7 圃場中 1 圃場で 寄生が認められている。 15 寄 生 株 率 ( % ) ナス アザミウマ類の寄生 平年 平年 寄 生 10 株 率 ( % ) 5 前々年 40 前年 本年 20 0 9下 第1図 10下 11下 12下 1下 2下 3下 4下 5下 巡回調査圃 場に おけるアザミウマ類の 0 1下 第2図 ~ 前々年 前年 本年 2下 3下 4下 5下 巡回調査圃場に おけるアザミウマ類 の発生状況(キュウリ) 発生状況(ナス) 第1表 31.3 29.3 ~ 60 キュウリ アザミウマ類の寄生 巡回調査圃場別にみたアザミウマ類の寄生株率(ナス、平成 25 年 1 月下旬調査) 寄生株率 (%) A圃場 B圃場 C圃場 D圃場 E圃場 F圃場 G圃場 H圃場 5 0 0 75 10 10 0 25 2.防除対策上アザミウマ類を低密度に保つことの重要性 ミナミキイロアザミウマは雄と雌が交尾した場合、雌が多く産まれる性質がある。高密度条 件では、雌と雄が出会って交尾する機会が多くなり、雌割合も高くなることで、産卵数がさら に増加し、増殖率も高まり、防除が困難となる。 一方、本種は交尾しなくても雌は産卵するが、その卵から発育した成虫はすべて雄となる性 質がある(産雄単為生殖)。低密度条件では雄と出会う機会が減り、 交尾しない雌が産んだ雄 の割合が多くなることで、産卵数は減少し、増殖率も低くなる 。よって、防除対策上、密度を 低く保つことが極めて重要である(第 3 図)。 以上のことから、発生密度が低下した冬季から防除を徹底して発生密度を低く維持すること で、春季以降の施設内の発生を低く抑えることができる(第 4 図)。 3.防除対策 1)耕種的防除 (1)アザミウマ類の発生源となる施設内の雑草を除去する。 2)薬剤防除 (1)春先の多発生を防ぐため、冬季からの防除を徹底し、施設内の発生密度を低く抑える(第 3 図)。 (2)葉裏や下位葉にも薬液がかかるよう十分量を丁寧に散布する。 (3)薬剤感受性の低下を防ぐため、同一系統の薬剤を連用せず、系統の異なる薬剤でのロー テーション散布を行う (県のてびき参照)。 (4)薬剤散布後に効果の確認を行い、効果が低下している薬剤については使用を控える 。 (5)アザミウマ類の蛹は土中にいるため、薬剤防除後羽化し成虫が現れることがある。その ため、発生が多い場合は、一週間程度の間隔で 1~2 回、薬剤防除を行う。