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沢 彰記:バーチャル世界でバンド・デビュー01
沢 彰記:バーチャル世界でバンド・デビュー セカンドライフ(Second Life)はご存知でしょうか? インターネット上に展開される仮想世界として、2003 年に鳴り 物入りで運営が開始されましたが、日本における利用者はまだまだ多くはないようです。セカンドライフの特徴の 1 つに、 仮想空間内での創作活動が行えるということ。音楽に関しても同様で、バンドを組んでライブを行ったり、曲を作ってデ ビューしたりということが現実世界と同じ感覚でできるわけです。もちろん実際に曲を作っているのは、こちら側……つ まり現実世界においてであり、その多くは DTM を使って作られています。あなたもこの世界でアーティストをプロデュ ースしたり、バンドでデビューしてみたいと思いませんか? このセミナーでは、そのためのノウハウを紹介していきま しょう。 第 1 回:電脳文楽ミュージックとは? ( 2009 年 2 月 10 日 ) 現在、インターネットなどのネットワークを利用したコミュニケーション世界として、メタバースという総称で呼ばれる サービスが注目されています。メタバースは、いわば電子三次元空間ともいうべきもので、3D 技術を駆使したリあります な生活空間を PC 上に作り上げられたものです。ユーザーは登録後に、アバターと呼ばれるその空間住民に姿を変えて、 空間内を行動することができます。セカンドライフ(以下、SL)は、その中にあって、最も高度なネットワーク技術を駆 使したメタバース世界と言えるでしょう。 ■SL でできること。 SL 電脳文楽ミュージックの先駆的存在といえる「紅胡蝶」のステージ SL が、他のメタバースと決定的に違うところは、その 世界の中で創造活動ができるということです。衣服や家屋、乗物や 食物にいたるまで、ユーザーの手で造形を作り、自由にテクスチュ アを貼り、スクリプトで動かすことも、アニメーションを付けるこ ともできます。これによって、各ユーザーには、いろいろなパフォ ーマンスや芸術表現が可能になるところから、SL ならではの文化 ができているところが特徴といえます。音楽表現も例外にもれず、 自分で楽器を作り(もしくは、SL 内の楽器店で SL 通貨を支払っ て購入して)、これも、アバターの手によって建築されたステージやステージ・システム機器で音楽表現ができます。 しかし、私の眼から見たところでは、その表現手法は、まだ稚拙なところにあり、自分たちの音楽を配信しながら、単に、 ステージでグルグルと動き回っているに過ぎないものでもあります。リアルライフ(以下、RL)の感覚に近づけるには、 より表現に魅力のあるアニメーションが必要になってくるといった感じです。そうしたところは、できないのではなく、 その表現努力の希薄さのためと感じるところが多いですね。とはいうものの、高度なアバターのアニメーション技術やス クリプトのプログラミング技術、また、色々なオブジェクトの造形技術、それと、音響知識と映像知識が必要となるわけ で、これも一人で習得するのは容易なことではないでしょう。 ■SL 電脳文楽ミュージックに必要な技術要素 オブジェクト加工技術 大もととなる数種のオブジェクトから必要な形状の オブジェクトを作り出す スクリプトプログラミング技術 動かすものすべてにはリンデン・スクリプトをプログ ラムして組み込む必要がある。 アニメーション制作技術 アバターを表現するには必要不可欠となるアニメー ション・オブジェクト(bvh 形式)の制作 360 度映像と独自のライティング・システムを駆使した テクスチュア制作技術 「紅胡蝶」のパフォーマンス オブジェクトに貼り付けるテクスチュアの制作 しかし、これも、そういった技術を持ったスタッフを集めることで実現できます。つまりは、RL においても、メジャー級 となれば、それ相応のスタッフ陣営を組むことで、より大きなコンサートを作り上げるもので、そこは、SL も RL も変わ りはないということです。むしろ、RL では、到底、実現できないような大スペクタクルなステージ・パフォーマンスを展 開できる楽しさもあります。 ■SL で生まれた超音楽グループ「紅胡蝶」 この講座でモデルとなってもらうグループは、 「紅胡蝶」という中 国楽器や民族楽器を演奏しながら、素晴らしいボーカル力をみせ てくれる女性 7 人の音楽集団です。彼女たちは、SL にあってト ップ・クラスの音楽性と制作技術スタッフを擁した大型音楽グル ープで、SL の中で誕生し、RL の音楽世界への進出を目指すとい う稀有な集団です。なぜな らば、多くのグループが、 「紅胡蝶写真集」まで発売されている RL で音楽活動をしていた ものを、SL に持ち込んだ ものが多いからです。ゆえに、その裏に人間臭さを感じるものの、その存在は、非 常にミステリアスで人気も非常に高いグループとなっています。 メンバー全員が、個々に、SL での優れたクリエーターでもあり、各々が、それぞ れに異なった特殊な能力を持っているところは、さながら、アニメのキャラクター のような話ですが、ゆえに、ステージ・パフォーマンスに必要なあらゆるものを、自 分たちで作り出してしまうという素晴らしい能力を持っています。 SL 内で作った REASON 4 の ラック・ユニットのシステム それが、彼女達にしかできないオリジナリティあふれるステージを作り出し、パフォーマンスを展開します。それは、 “電 脳文楽ミュージック”ともいうべきもので、彼女たち自身、人形師に近い感性を持ったミュージシャンと言えば、分かり やすいでしょう。また、「紅胡蝶」の大きな特長は、そのスタッフ陣にもあり、20 人を超える音楽分野、プロモーション 分野、映像分野、デザイン分野などのプロ・スタッフが、彼女たちを支えています。こういった人気の背景には、彼女たち がアバターという存在を自分自身と同等に考え、決して、とりあえずの分身と考えていないところにあるでしょう。その 細やかなアバター操作は、あたかも、生きている人間のように繊細で、彼女たちの音楽を楽しむ者の涙を誘うほどです。 ■REASON 4 を活用した「SL 電脳文楽ミュージック」 さてこの SL での音楽活動では、REASON 4 のバーチャル・スタジオ・ソフトが、大きな力を発揮します。バーチャル・ ワールドの中での、バーチャル・スタジオと考えれば、何か、ピンと頭の中に思いつくものがありませんか? そういった、 新しい音楽表現の形を、次回から紹介していきましょう。 ◆◆◆◆◆セカンドライフの世界を体験してみよう!◆◆◆◆◆ ①http://jp.secondlife.com/ にアクセスして、画面右上の【登 録】ボタンをクリックします。 ② 登録画面に移動し必要事項を入力します 。 開始時の容姿を選択(容姿は Second Life にインした後も、自 由に変えることができます)。 ◆コミュニティを選択(これは、最初にインした時の登場場所 を決められるものですが、特に、設定しておく必要はないでし ょう)。 ◆ ファーストネーム (Second Life での名前を入力します。 これは、登録後に変更できません)。 ◆Second Life での姓を選択します。 以下、必要事項を入力していきます。 ◆ロボット対策の確認入力は、一続きの文字列で入力しましょう。 ◆ 利用規約にチェックを入れ、「アカウント作成」ボタンを クリックします 。 *この際、Second Life での名前、姓、パスワードは、イン する際の必須入力項目になりますので、しっかりとメモをと っておきましょう。 ④登録したメールアドレスへにアカウントの最終登録方法の 通知が送られましたので、それをチェックします。 ⑤メールの内容にしたがって、アカウントをアクティブ化し ます。 ⑥これで、アカウントは登録されました。 「英語のダウンロー ドページ」に移動して、Second Life 専用のビューワーをダ ウンロードしましょう。 ⑦「Download Now」ボタンをクリックして、ビューワー をダウンロードします。 ⑧ビューワーのインストールは、通常のアプリケーションと 同様です。 【Second Life にインする】 ①ビューワーを起動して、名前、姓、パスワードを入力 して「ログイン」ボタンをクリックします。 ②利用規格に同意するチェックを入れて、 「続行」ボタンを クリックします。 ③Second Life にインしました。 次回は、Second Life での動き方の練習をしてみましょ う。 沢彰記 ( さ わあ きの り ) 80 年代フォーク・ブームの時に、フォーク・グループ「ピピ&コット」に参加、エレック・レコード より、プロ・デビュー。その後、シンセサイザー・プログラマーとして、音楽制作、原稿執筆におい て、多くの作品を残す。現在、民族楽器と電子楽器のコラボレーションを中心に、音楽活動を続ける。 日本シンセサイザープログラマー協会理事